2015-12-20(Sun)

長周期地震動 高層ビル、最大6mの横揺れも 

大阪など三大都市圏で顕著 内閣府が初想定

-----南海トラフ沿いの巨大地震対策の一環で、国の有識者検討会は17日、大地震の際に高さ60メートル(20階建て程度)超の高層ビルなどに見られる「長周期地震動」の揺れの予測を推計し、報告書にまとめた。最大級の地震が発生した場合、東京や大阪などの高層ビルでは、最大2~6メートルの幅の横揺れの可能性があると指摘した。内閣府は、建物の管理者らに必要な点検や措置を取るよう促す。
 内閣府に設置した「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長=阿部勝征東大名誉教授)がまとめた。長周期地震動による高層ビルへの影響を推計したのは初めて。
(朝日新聞)

南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」について
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_report.html






以下引用


内閣府 防災情報のページ
http://www.bousai.go.jp/
[平成27年12月17日公表]
南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」について NEW
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/nankaitrough_report.html

南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」について
南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する検討について、「南海トラフの巨大地震モデル検討会」及び「首都直下地震モデル検討会」の両検討会(両検討会座長:阿部勝征 東京大学名誉教授)で共同して検討を行い、今回、その成果として「南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」がとりまとめられた。
報道発表資料一式(平成27年12月17日公表)
南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告_本文(PDF:436KB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_01.pdf
南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告_図表集(PDF:17.9MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_02.pdf
別冊①-1南海トラフ沿いの過去地震の強震断層モデル及び津波断層モデル(PDF:5.2MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_03.pdf
別冊①-2南海トラフ沿いの過去地震の強震断層モデル(図表集)(PDF:5.25MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_04.pdf
別冊①-3南海トラフ沿いの過去地震の津波断層モデル(図表集)(PDF:14.7B)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_05.pdf
別冊②統計的グリーン関数法を用いた震度分布の推計手法(PDF:362KB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_06.pdf
別冊③三次元差分法を用いた長周期地震動の推計手法(PDF:3.05MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_07.pdf
別冊④長周期地震動の推計結果~長周期地震動による地表の揺れ~(PDF:1.09MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_08.pdf
別冊⑤長周期地震動の推計結果~擬似速度応答スペクトル~(PDF:3.88MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_09.pdf
別冊⑥長周期地震動の推計結果~超高層建築物における最上階の揺れ~(PDF:7.54MB)
http://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/jishinnankai20151217_10.pdf

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産経ニュース 2015.12.17 20:42
南海トラフの長周期地震動 大阪など三大都市圏で顕著 内閣府が初想定
長周期地震動に対する主な対策
 南海トラフで想定される巨大地震に伴う「長周期地震動」について内閣府の検討会は17日、揺れや建物への影響を試算した初の想定を公表した。揺れは大阪などの三大都市圏で顕著で、超高層ビルの最上階では最大で毎秒2・5メートル、幅は片側で3メートルに達すると推計。事業者などに防災対策の強化を求めた。
 南海トラフで過去に起きた大地震の震源断層がすべて動くマグニチュード(M)9級の最大級の地震を想定。周期2~10秒でゆっくりと揺れる長周期地震動の影響を分析した。
 地表で毎秒5センチ以上の揺れが3分以上続く地域は地盤が軟弱な東京や千葉、名古屋、大阪周辺に集中。神戸市と大阪市の沿岸部では6分40秒以上続くとした。
 揺れが最も大きいのは大阪市此花区などで、高さ約300メートルの超高層ビルがある場合、最上階で毎秒2・5メートルに達する。国が平成24年にM8級の南海地震について試算した揺れと比べ、約7割大きくなった。
 現存する建物で最大の揺れは同市住之江区の大阪府咲洲庁舎(高さ256メートル)で、最上階で毎秒約2メートル、全幅約6メートル。高層ビルが倒壊する揺れは模擬実験で毎秒4・2メートルとされており、倒壊することはないが、人は立っていられないほどの揺れになるとした。
 室内では家具や事務機器が猛スピードで飛んできてけがをしたり、停止したエレベーターに閉じ込められたりする恐れがあり、家具の固定や救出訓練などの対策を求めている。


産経ニュース 2015.12.17 21:22
【南海トラフ】高層ビルの揺れ対策どうする? 問われる行政の対応
 長周期地震動が社会問題化した平成15年の十勝沖地震から12年。南海トラフ巨大地震における長周期地震動について、内閣府が揺れの推計を初めてまとめ、ようやく具体的な揺れの大きさが示されたが、対策はほぼ手つかずだ。
 内閣府は今回、60メートル以上の高層ビル建設に許認可権を持つ国土交通省に対し、構造設計時に用いる長周期地震動の波形基準を策定するよう提案した。
 実は国交省は22年12月時点で設計基準案を作成していたが、その3カ月後に発生した東日本大震災でいったん保留に。今後の方針は明かしていないが、以前の案をベースに基準策定を検討するとみられる。
 家具固定などの対策も重要だが、周知徹底されているか微妙だ。そもそも防災対策は自治体が主体だが、高層ビルの安全基準所管は国交省。埼玉県の防災担当者は「家具固定は減災対策として広く呼びかけているが、高層ビルに特化した対応はしていない」と話す。
 名古屋大学減災連携研究センターの福和伸夫センター長(耐震工学)は「個々の物件は個別に検証が必要で、作業には国の手助けが必要かもしれない。被害の大きさを知ることより、対策を始めることが何よりも大切だ」と話した。


朝日新聞 2015年12月17日19時47分
高層ビル、最大6mの横揺れも 長周期地震動の予測推計
最大クラスの地震による建物最上階の揺れ
 南海トラフ沿いの巨大地震対策の一環で、国の有識者検討会は17日、大地震の際に高さ60メートル(20階建て程度)超の高層ビルなどに見られる「長周期地震動」の揺れの予測を推計し、報告書にまとめた。最大級の地震が発生した場合、東京や大阪などの高層ビルでは、最大2~6メートルの幅の横揺れの可能性があると指摘した。内閣府は、建物の管理者らに必要な点検や措置を取るよう促す。
 内閣府に設置した「南海トラフの巨大地震モデル検討会」(座長=阿部勝征東大名誉教授)がまとめた。長周期地震動による高層ビルへの影響を推計したのは初めて。
 検討会は南海トラフ沿いで過去約300年間に発生した5回の巨大地震と、それを上回る最大級の地震の揺れを検証。関東~九州の太平洋側を中心に、揺れが1往復する「周期」が2~10秒の長周期地震動が、高層ビルや室内に及ぼす影響を推計した。
 制震などの対策が取られていない前提で、100~300メートルの超高層ビルの最上階の揺れを検証。最も揺れが大きかったのは、大阪市住之江区の埋め立て地の200~300メートルのビルで最大約6メートル。東京23区は同じ高さのビルで最大約2~3メートルの揺れがあるとした。名古屋市中村区は100~200メートルのビルで最大約3メートルの揺れを推計した。
 地面の揺れが続く時間は、大阪市や神戸市の沿岸部の一部で6分40秒以上、千葉、愛知、大阪など7府県の一部で5分以上。ただ、地震の周期と各建物の固有周期が重なり、大きく揺れる「共振」が起きたとしても、ビルの梁(はり)などが損傷する恐れはあるが、「倒壊までには強度的に一定の余裕がある」と結論づけた。
 内閣府は推計について、「最大級の地震でも建物がすぐに倒れることはない」としたうえで「制震対策などがない建物の場合、最長で10分以上も揺れが止まらない可能性はある。建物が立つ地盤や本体の構造で、実際の揺れや継続時間にはばらつきがあることに留意してほしい」と指摘し、住民に家具の転倒防止対策を取るよう呼びかけている。
 推計結果を受けて、国土交通省は高層ビルなどを新たに建設する際の指針作りに着手する方針。総務省消防庁でも、石油タンクの液面が地震の揺れで大きく波打つ「スロッシング現象」によって火災が誘発された例もあり、対策を進める。
 一方で検討会は、同時発表する予定だった「相模トラフ沿いの巨大地震」の影響は先送りした。現時点では影響を計算する方法が解明できないためだが、関東地方では、今回の推計よりも大きな影響をもたらす可能性もあるという。(鈴木逸弘)
     ◇
 〈長周期地震動〉 地震の揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」という。小刻みに揺れる短周期に対し、ゆっくりと揺れる1往復2秒以上を「長周期」といい、震源が浅く、マグニチュード(M)7以上の規模の大きい地震で起きやすい。震源から遠い場所まで届き、地盤が緩い平野部の高層ビルなどでは、揺れが増幅されやすい。世界的に注目を浴びたのは1985年のメキシコ地震(M8・1)で、震源から400キロ離れたメキシコ市でビルが倒壊した。気象庁は現在運用中の緊急地震速報とは別に、長周期地震動の予報の発表も検討している。


朝日新聞 2015年12月18日05時00分
高層ビル、揺れ2~3メートル 南海トラフ地震、東京23区内推計
 南海トラフ沿いの巨大地震対策の一環で、国の有識者検討会は17日、大地震の際に高さ60メートル(20階建て程度)超の高層ビルなどに見られる「長周期地震動」の揺れの予測を推計し、報告書にまとめた。最大級の地震が発生した場合、東京や大阪などの高層ビルでは、最大2~6メートルの幅の横揺れの可能性があると指摘した。内閣府は、建物の管理者らに必要な点検や措置を取るよう促す。▼39面=備えは
 内閣府に設置した検討会がまとめた。長周期地震動による高層ビルへの影響を推計したのは初めて。
 検討会は南海トラフ沿いで過去約300年間に発生した5回の巨大地震と、それを上回る最大級の地震の揺れを検証。関東~九州の太平洋側を中心に、揺れが1往復する「周期」が2~10秒の長周期地震動が、高層ビルや室内に及ぼす影響を推計した。
 制震などの対策が取られていない前提で、100~300メートルの超高層ビルの最上階の揺れを検証。最も揺れが大きかったのは、大阪市住之江区の埋め立て地の200~300メートルのビルで最大約6メートル。東京23区は同じ高さのビルで最大約2~3メートルの揺れがあるとした。名古屋市中村区は100~200メートルのビルで最大約3メートルの揺れを推計した。
 地面の揺れが続く時間は、大阪市や神戸市の沿岸部の一部で6分40秒以上、千葉、愛知、大阪など7府県の一部で5分以上。ただ、地震の周期と各建物の固有周期が重なり、大きく揺れる「共振」が起きたとしても、ビルの梁(はり)などが損傷する恐れはあるが、「倒壊までには強度的に一定の余裕がある」と結論づけた。
 内閣府は、「最大級の地震でも建物がすぐに倒れることはない」としたうえで「制震対策などがない建物の場合、最長で10分以上も揺れが止まらない可能性はある。建物が立つ地盤や本体の構造で、実際の揺れや継続時間にはばらつきがあることに留意してほしい」と指摘し、住民に家具の転倒防止対策を取るよう呼びかけている。(鈴木逸弘)
 ◆キーワード
 <長周期地震動> 地震の揺れが1往復するのにかかる時間を「周期」という。小刻みに揺れる短周期に対し、ゆっくりと揺れる1往復2秒以上を「長周期」といい、震源が浅く、マグニチュード(M)7以上の規模の大きい地震で起きやすい。震源から遠い場所まで届き、地盤が緩い平野部の高層ビルなどでは、揺れが増幅されやすい。


朝日新聞 2015年12月18日05時00分
高層ビル、大揺れに備える 家具転倒「命に関わる」
 大規模な地震の際、震源から遠く離れた場所の高層ビルに、大きな揺れをもたらす長周期地震動の影響が初めて公表された。東京や大阪など都市部沿岸の超高層ビルでは、最大2~6メートルの横揺れの可能性がある。不安を抱えながらの対策が進むが、家庭ではどんなことに注意すればいいのか。▼1面参照
 「もし数メートルの横揺れが続いたら、うちの家具の転倒防止対策はまだ不十分」
 東京湾の埋め立て地「芝浦アイランド」(東京都港区)に立つ49階建ての超高層マンション。27階に家族4人で住む会社員の岩崎鉄平さん(39)は、不安を感じている。
 柱や梁(はり)の強さで揺れの力に耐える「耐震構造」。東日本大震災では大きく揺れたが、鏡が割れたほかに被害はなかった。震災後、水や食料、医療品などの備蓄は進めた。長周期地震動も頭にあったが、転倒防止対策をしたのは食器棚くらいだ。
 5歳と生後7カ月の子供がいる。「家具が飛んできたら、子供たちの命に関わる。転倒防止グッズも活用して、対策を進めたい」
 超高層ビルでは対策も進められている。
 完成が1976年の現・損保ジャパン日本興亜の本社ビル(新宿区)は、地上43階建て、高さ200メートル。当時、認識され始めた長周期地震動も考慮し、高層階の壁の構造の一部に、各階の天井と床をつなぐ鉄筋を入れて横揺れ対策とした。
 だが、30年以上前の技術レベルには限界も。東日本大震災後、揺れを軽減する制震ダンパーを348カ所に設置したほか、高層階の構造に長周期地震動の対策として使われている鉄筋の疲労度を監視できるシステムも導入した。
 完成した91年当時、日本一高いビルだった東京都庁舎。14年から振れ幅を約3割減らし、揺れる時間を短くする制震装置の設置工事が進んでいる。第1庁舎(48階建て、高さ243メートル)と第2庁舎(34階建て、163メートル)の中高層階で、20年度までに計155カ所にとりつける計画で、現在約30カ所を終えた。費用は40億円を見込む。
 防災拠点にもなるビルだが、長周期地震動の対策は施されておらず、東日本大震災では横揺れで天井パネルなどが落下した。
 (後藤遼太、松沢憲司、鈴木逸弘)
 ■エレベーター停止、孤立も
 国土交通省によると、60メートル超のビルは全国に約3千棟あり、地盤のやわらかい東京、大阪、名古屋の3大都市圏に集中する。
 国交省は2010年12月、高層ビルを新たに建設する際の長周期地震動への対策基準案を公表したが、その後、東日本大震災が起きたため、基準作りは一時ストップ。今回の報告書を踏まえ、対応を検討する。
 一方、高層ビルの構造基準は00年に変わっており、それ以前に建築されたビルは長周期地震動への対応が不十分なケースが多いといわれる。対策に制震装置をつけている既存のビルもあり、新たな推計を元に任意で点検を求める。影響が大きい場合は追加の対策工事を促すが、所有者の自主的な取り組みに委ねられる。
 長周期地震動はエレベーターにも大きな影響を与える。04年の新潟県中越地震では、200キロ離れた東京の六本木ヒルズの森タワー(54階)でエレベーターが揺れ、ワイヤの一部が切れた。同省は09年、地震を感知すると最寄り階に止まる安全装置やワイヤの絡まりを防ぐフックの設置などを新設エレベーターに義務づけた。
 ただ、今年5月の小笠原諸島西方沖の地震では、首都圏の高層ビルやマンションなどでエレベーター約1万9千台が停止。上層階に多くの人が取り残された。
 同省幹部は「エレベーターの復旧は人海戦術。人手も限られ対応に限界もある。内閣府の推計を踏まえ、どんな対応が出来るのか検討したい」と話す。
 長周期地震動は石油タンクの火災も誘発する。総務省消防庁は05年、タンクの技術基準を厳しくした。全国に1119基ある長周期の影響を受けやすいタンクは、2017年3月までに新しい基準に適合させなければならない。(峯俊一平)
 ■揺れ10分超す恐れ 家具固定は必須
 2~10秒の長周期の地震動が影響を及ぼすのは、高層ビルや石油タンク、長いつり橋など巨大建築物だ。
 建物にはそれぞれに揺れやすい周期があり、高く巨大になると周期は長くなる。地震動の周期と建物の周期が近いと揺れが共振し増幅される。特に堆積(たいせき)層とよばれるやわらかい地盤が厚い3大都市圏には高層建築物が集中し、影響が大きい。
 東日本大震災の時、都庁第1庁舎で最大1・3メートル、大阪府の咲洲庁舎(高さ約250メートル)で2・7メートル揺れた記録が残る。内閣府の今回の推計では、東日本の揺れを大きく超える。立ってはいられず、何かにつかまるか、四つんばいでないと耐えられない。揺れている時間も最長で10分を超える可能性もある。
 揺れても高層ビルは倒壊しないのか。検討に参加した工学院大学建築学部の久田嘉章教授は「築年数など建物で差があり、全ての悪条件が重なった場合を考えると絶対に倒壊しないとは言えないが、かなりの余力がある」と話す。
 ビル自体は大丈夫だとしても、危険なのは部屋にある家具や家電製品だ。
 「大きな揺れが襲うと、背が高く奥行きがあまりない本棚や食器棚のような家具は固定していないと倒れ、けがにつながる可能性が高い」。揺れによる家具の動きを研究する清水建設技術研究所の金子美香安全安心技術センター所長は指摘する。過去の地震では、家具の転倒によるけが人は、けが人全体の3~5割に上るという報告もある。家具の固定は必須だ。
 固定する場合は、強度を持つ壁に固定しないと、動いた家具が壁を引っ張り、壁や天井が破壊され崩落する危険がある。座席や寝ている所に倒れてこないような位置に家具を置くことや、食器棚や引き出しなどは中身が飛びでないようにすることも必要だ。オフィスにあるキャスター付きの複合機は重さ150キロにもなり、固定していないと想定外の方向に大きく動く。
 高層階の長周期の揺れは、地震発生後の数十秒から数分後にピークがくる。10階以上の高層階にいる時、緊急地震速報などで地震発生を知ったら、家具から離れ、小さな揺れのうちに机の下などで身の安全を図ることも必要だ。
 揺れの不安に加え、高層階で怖いのは「孤立」だ。エレベーターが機能しなくなる上、建物の防災センターは1階にあることが多く、上層階の揺れの様子が分からず、救援が遅れる。内閣府も「誰も助けに来られないことを前提に対応すべきだ」として、各階でバールや救急用品など防災用具を備えることや、ビルやマンションごとの防災組織の充実を求めている。
 (渡辺周、桑山敏成)


毎日新聞2015年12月18日 東京朝刊
クローズアップ2015
南海トラフ、長周期地震動 超高層、被害見通せず
 内閣府の検討会が17日公表した南海トラフ巨大地震による長周期地震動の予測は、大都市圏の超高層ビルが最大でどの程度揺れるかなどを初めて推計した。だが、過去のデータが不足しているため被害の予測には限界がある。関係省庁やビル会社、住民らには、想定外の事態が起こりうることを見据えた対策が必要だ。
前例少なく対策必要
 「長周期地震動が検討され始めたのは最近。経済的、人的損失がどの程度になるかや、必要な対策までの予測は難しい」。内閣府の検討会委員を務めた古村孝志・東京大教授(地震学)は予測の限界を訴える。南海トラフ地震で国は2012年、最悪の場合は32万人が死亡し、240万棟が倒壊・焼失するとの被害想定を発表したが、今回はこうした推計はしなかった。
 被害予測が難しいのは、参考になる過去の例が少ないからだ。
 大きな長周期地震が発生するのは、マグニチュード(M)7以上で、震源の深さが10〜30キロ程度の浅い場所という条件がある。日本で初めて高さ100メートルを超す「霞が関ビル」が東京都心に建ったのは1968年。その後の地震で長周期地震動による被害が大都市で出たのは、83年の日本海中部地震(M7・7)▽2004年の新潟県中越地震(M6・8)▽11年の東日本大震災(M9・0)−−などで、東日本大震災を除けばいずれも局地的で軽微だった。
 だが、30年以内に70%程度の確率で起こるとされる南海トラフ沿いのM8〜9級地震は、長周期地震動の発生条件に合致する。しかも特に揺れが大きく、時間も長いとされる東京、名古屋、大阪の3大都市圏には超高層ビルが集中する。
 日本建築学会の09年の集計では、高さ60メートル以上の建築物は全国に約2500棟あり、長周期地震動の影響を受けやすい固有周期が2秒以上の建物は約1100棟。うち6割が関東平野に、2割が大阪平野に建っている。その後も、あべのハルカス(大阪市阿倍野区)、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)などの超高層ビルが建設され、国土交通省によると今は3000棟前後あるという。
 ビルの中では、どのようなことが起きるのか。報告書によると、長周期地震動で倒壊することはないが、エレベーターの停止や火災などの恐れがあるという。揺れが長く続けば、中にいる人は避難がなかなかできず、船酔いのような自律神経の失調が起きる恐れもある。揺れ幅が6メートルに達すると、固定していないと部屋の隅から隅へ飛ぶ家具もあり、負傷の危険も高い。
 北村春幸・東京理科大教授(建築構造学)は「想定外の事故も起きかねず、けが人が出た時の救助方法や、中にいる人を帰宅させる順番など、いろいろな面を想定した対策が必要だ」と警戒を促す。
 また、長周期地震動は、ビルの固有周期や築年数、構造などで揺れに差が出るため、必要な備えも一様ではない。久田嘉章・工学院大教授(地震工学)は「高層ビルの管理者は、今回の推計を基に揺れがどの程度かを把握し、設計者と一緒に被害を小さくする方策を考えてほしい」と呼び掛ける。【久野華代】
改修民間任せ 法令基準なし
 日本建築学会の09年の集計では、固有周期2秒以上の建物約1100棟のうち、制振・免震装置があるビルは約半数にとどまった。しかし、11年の東日本大震災などを機に、長周期地震動に備えた改修を進めるビルが増えている。
 70〜80年代に次々と超高層ビルが建った東京・西新宿。74年に完成した新宿三井ビル(地上55階、高さ225メートル)は、東日本大震災で最上階が約2メートル揺れた。所有する三井不動産(東京)は鹿島と共同で開発した制振装置を15年に屋上部へ6基設置した。この装置は、振り子式のおもり(300トン)がビルの揺れと逆方向に揺れることで全体の動きを抑えるもので、室内工事がないためテナントへの影響を軽減でき、眺望を損なわない利点もあった。
 三井不動産の担当者は「テナントのニーズは震災を機に『安全なのは当然。さらに安心感を持ちたい』にまで高まった」と話す。
 森ビル(東京)はソフト面の対策にも力を入れる。03年完成の六本木ヒルズ森タワー(同54階、同238メートル)など所有する都内の11棟で、ビルに設けた地震計からすぐに建物の揺れ幅などを計算し、メールで社員に伝えるシステムを構築し、館内放送などに活用。担当者は「専門家でなくても影響が分かり、迅速な対応につながる」と説明する。
 しかし長周期地震動対策は、現状では構造設計上の基準などが法令で明確に定められておらず、所有者らの判断に委ねられているのが実情だ。ビルの改修を検討しているある会社の担当者は「改修をしようにも統一化された基準や制度がないため、テナントへの影響やコスト面を考え、ためらう部分もある」と漏らす。
 国土交通省は10年末、超高層ビルの設計で、長周期地震動も念頭に置いた構造計算を求める対策案を示し、意見を募っていた。だが、内閣府が長周期地震動の影響予測をすることになり、検討を保留。当面は所有者らに自主対策を促す通知を出していた。今回の報告を踏まえ、基準作りなどを改めて検討する方針だ。
 テナントや住民の対策では、家具などの固定が最重要だ。防災グッズの製作などを手がけるNPO法人プラス・アーツは、行政が勧める強度の高いL字型金具の設置が難しい場合、身の回りにある物で代用する方法を講座などで紹介している。例えば、家具の上に滑り止めシートと段ボールを置いて天井との隙間(すきま)を2センチ以内にし、家具の下にも滑り止めシートを敷くと転倒防止に有効という。【狩野智彦】

毎日新聞2015年12月18日 東京朝刊
南海トラフ巨大地震
長周期、揺れ幅3〜6メートル 超高層、3大都市圏で顕著 国が想定初公表
 内閣府の検討会は17日、南海トラフ巨大地震による長周期地震動が超高層ビル(高さ60メートル超)に与える影響を初めて報告書にまとめ、公表した。想定される最大クラスの地震では、特に東京、名古屋、大阪の3大都市圏で大きな影響が予想され、ビル最上階の揺れ幅は、揺れが伝わりやすい地盤の大阪市の埋め立て地で最大約6メートルとなったほか、震源から遠い東京23区や、名古屋市でも最大約3メートルに及ぶと指摘。ビル会社や住民らに防災対策を求めた。
 内閣府は東日本大震災を受け、2011年8月に南海トラフの巨大地震モデル検討会(座長・阿部勝征東大名誉教授)を設置。12年3月に震度分布などの推計を公表し、長周期地震動の検討を続けてきた。検討会は、南海トラフ沿いで起きたマグニチュード(M)8級の5地震を基に、紀伊半島沖を震源とする最大クラス(M9級)の地震を想定し、長周期地震動(揺れの周期2〜10秒)の影響を調べた。
 地表の揺れ(秒速5センチ以上)が続く時間は、軟らかい堆積(たいせき)層が厚く広がる3大都市圏の平野部で長く、特に大阪、神戸両市の一部で最大6分以上、千葉、愛知県などで最大5分以上となった。地表の揺れに応じて建物全体が揺れる速さは、3大都市圏の広い範囲でおおむね秒速150センチ以下。建物の強度には余裕があり、長周期地震動を直接の原因とする倒壊はないと推定した。経年劣化し耐震性などが万全でない建物は室内に危険が及ぶ可能性があり、検討会は改修などの措置を取るよう求めた。
 建物にはそれぞれ高さなどに応じて揺れやすい周期(固有周期)があり、地震動の周期がこれに近いほど共振が起きて揺れが激しくなる。また、揺れは上層階ほど大きい。現存するビルで最上階の最大の揺れ幅を推定すると、高さ200〜300メートルのビルで、大阪市住之江区約6メートル▽名古屋市中村区約2メートル▽東京23区2〜3メートル。首都直下地震など相模湾から房総半島の相模トラフ沿いを震源とする巨大地震による長周期地震動については、16年2月までに検討会を設ける。【狩野智彦】
________________________________________
 ■ことば
長周期地震動
 揺れが1往復する周期が2秒以上と長い地震動。超高層ビルの上層階ほど影響を受けやすく、低い建物をガタガタと揺らす短周期と違ってゆっさゆっさと大きく揺らすのが特徴。地震の規模が大きく震源が浅いほど生じやすく、遠くまで伝わりやすい。堆積層の厚い平野部で増幅する。東日本大震災では、大阪市住之江区の大阪府咲洲(さきしま)庁舎も最大2・7メートル揺れた。

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