2015-12-21(Mon)

2015年度補正予算案 まるで選挙対策

全国建設業協会会長「補正の予算規模、十分とは言い難い」/公共事業関係費3886億円(国交省)

<各紙社説>
朝日新聞)補正予算案 まるで選挙対策だ(12/20)
東京新聞)補正予算案 選挙目当てでは困る(12/19)
北海道新聞)補正予算案 ばらまきの色彩が強い(12/20)
河北新報)補正予算案決定/それもこれも選挙対策か(12/19)
中国新聞)補正予算案 選挙対策にしか見えぬ(12/20)

建設業界は不満のようだ。

○全国建設業協会会長コメント要旨
「多くの地域で工事量が激減し、受注の地域間格差が顕在化しており、地域建設業の疲弊が再び始まることを懸念。
これまで大型補正予算の早期編成を切望してきたが、残念ながら今回の補正予算規模は十分とは言い難い。
 国民の安全・安心を守る国土強靭化やストック効果の発現による地域経済の活性化、既存施設の老朽化対策などは喫緊の課題。
対応する社会資本整備の着実な推進が必要不可欠。2016年度当初における公共事業予算の着実な増額を改めて要望する。」




以下引用



朝日新聞 2015年12月20日(日)付
社説:補正予算案 まるで選挙対策


 政府が決めた今年度の補正予算案は、与党の選挙対策だと評価するしかない内容である。
 必要な政策を積み上げるという予算編成の基本を忘れ、「いくら使えるか」が先に立ち、来年夏の参院選までに有権者へおカネを届けることを意識した項目が目立つからだ。
 総額3兆円余の財源は、今年度の税収が見込みより増えそうな分と前年度決算の余りでまかなう。新規国債の追加発行は避け、4千億円余りは当初予算で計画した国債発行を減らすことに充てる。
 財務省は「財政健全化に目配りした」と言うが、とんでもない。
 政府は、今年度の国と地方の基礎的財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比3・3%に抑える目標を掲げてきた。これを守れるギリギリの線まで補正予算の規模を膨らませ、必要となる国債発行の減額幅を計算したに過ぎない。今年度に予定してきた国債発行が37兆円に迫ることを忘れたのだろうか。
 補正では、安倍政権が掲げる「1億総活躍」の目玉政策として、年金額が少ない高齢者に1人あたり3万円、総額3300億円を配ることを盛り込んだ。
 低年金者には資産を多く持つ人もいて、全員が貧しいとは限らない。与党の自民党内からでさえ、「なぜ高齢者ばかりかと若い世代は思う」「バラマキのイメージが先行してしまう」と、疑問が噴き出している。
 農林水産省が所管する約4千億円の4分の3強、3千億円余りは環太平洋経済連携協定(TPP)関連対策と位置づけられた。その3分の1近くは、公共事業で農地や集落を整備する農業農村整備事業だ。
 農水省は「農地の区画拡大などに絞り込んで使う」と説明し、温泉施設の建設にも使われたかつてのウルグアイ・ラウンド対策費との違いを強調する。ただ、自民党の関係議員の間では、金額こそが大切と言わんばかりに早くから予算獲得の目標額が飛び交っていた。
 そもそも、TPPはまだ発効していない。農水省は「あらかじめ体質を強化しておく」と言うが、全体で30近い新規事業を並べ、基金の創設を乱発する中身をみれば、「参院選をにらみ、TPPへの農林漁業者の不満や怒りを抑える」という思惑がありありだ。
 補正予算は当初予算と比べて編成期間が短く、どうしてもチェックが甘くなる。災害復旧などの緊急対策に絞るのが筋だ。政府・与党は過ちをいつまで繰り返すつもりなのか。
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東京新聞 2015年12月19日
【社説】補正予算案 選挙目当てでは困る


 政府が閣議決定した二〇一五年度補正予算案は、自民党内でさえ異論が噴出した低年金受給者への三万円給付など問題だらけだ。党内から出た「バラマキ」批判は多くの国民も同じ思いだろう。
 補正予算案は、農家の補助金拡充など環太平洋連携協定(TPP)の対策費や、東日本大震災の復興財源の上積みなどを含み、歳出規模は三兆三千二百十三億円になった。
 財源は一四年度予算の使い残しなどで賄い、新規の国債発行(借金)に頼ってはいない。だからといって非効率な使途や効果の見込めない予算が許されていいはずはない。
 問題となったのは、低所得の年金受給者の約千百万人に一律三万円の給付金を配ることだ。安倍晋三首相が掲げる「一億総活躍社会の実現」の緊急対策に盛り込まれ、首相の「アベノミクスの賃上げの恩恵が行き届きにくい世帯の支援を」との指示で決まった。
 だが、ちょっと待ってほしい。そのアベノミクスの恩恵を受けた人がどれだけいるというのか。働く人の七割を占める中小企業の従業員は恩恵を受けたのか。年金すら受け取っていない無業の人や低賃金の非正規労働者は、なぜ給付の対象にならないのか。
 自民党内からも「高齢者を優遇しすぎではないか」「選挙目当てのバラマキだ」との批判が続出した。来夏の参院選前後のタイミングに投票率が相対的に高い高齢者だけに三万円もの現金を配れば、選挙対策と受け取るのが普通ではないか。それを堂々と指示するのだから、感覚がまひしているか驕(おご)りがあるかであろう。
 一方で、来年度から子供一人当たり三千円の子育て給付金を打ち切ることが決まった。消費税増税の負担軽減策として昨年度から始まったが、軽減税率の財源確保の一環として廃止する。
 「一億総活躍社会」といいながら子育て支援は打ち切り、高齢者支援には三千億円強もの現金を配るというのでは看板倒れも甚だしい。ただの選挙至上主義だといわれても仕方あるまい。
 補正予算案には、待機児童や介護離職対策として施設整備費が計上されたが、これらは緊急事業でなく長期にわたり予算を組むべきものだろう。社会保障費の組み替えも含め当初予算でしっかりと位置付けるのが筋だ。
 予算が余ったら使ってしまうといった財政規律の欠如が、この政権が抱える最大の問題である。
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北海道新聞 2015/12/20 08:55
社説:補正予算案 ばらまきの色彩が強い


 政府は、総額約3兆3千億円の2015年度補正予算案を閣議決定した。年明けに召集される通常国会に提出する。
 安倍晋三首相が唱える「1億総活躍社会」実現に向けた対策と、環太平洋連携協定(TPP)に備えた農業対策が柱である。
 災害復旧費などは不可欠だが、緊急性の乏しい事業も目立つ。特に、補正予算を編成する根拠とされた二つの主要施策には、場当たり的な項目も見受けられる。
 国会の審議を通じて徹底的な検証を求めたい。
 中でも、「1億総活躍社会」の目玉に位置付けられた低年金受給者への臨時給付金には、首をかしげざるを得ない。
 住民税が非課税の高齢者を対象に、来春以降、1人当たり3万円を給付する内容で、約3600億円が計上された。
 政府は、消費税率を10%に引き上げる17年4月以降、年金の少ない人に最大で年6万円を配る予定だ。この半額分を、景気対策の名目で前倒しするというのである。
 しかも、給付対象者は当初の800万人から1100万人に拡大された。増税時の支援という本来の趣旨から外れる上に、過去の例を見ても、一時金的な措置の景気浮揚効果は疑わしい。
 これでは、国民の目には、来夏の参院選を意識したばらまきと映るのではないか。
 生活の苦しい世帯を助けるのは大切なことだが、政府が言う「賃上げの恩恵が及びにくい層」には、低年金者に加え、非正規雇用の若者なども含まれるはずだ。
 不安定な雇用は少子化の一因でもある。高齢者に限定せず、きめ細かな支援策を練ることは、「1億総活躍社会」が目指す出生率向上にもつながるだろう。
 子育て、介護、低所得者対策といった社会保障の充実には、補正予算による手当てではなく、制度全体を見据え、長期的な視点で安定財源を探す必要がある。
 TPP対策には農道整備も入っているが、当初予算の基盤整備事業で対応すれば済む。
 そもそも、協定の詳細が国民に周知されておらず、影響試算の公表も遅れている。本格的な国会論戦さえ始まっていないのに、批准を前提に、対策を小出しにするのは納得できない。
 財源には、主に14年度予算の剰余金などを充てる。金が余ったからといって、目的も効果もあいまいな政策に使うのでは、財政健全化への姿勢も疑われよう。
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河北新報 2015.12.19
社説:補正予算案決定/それもこれも選挙対策


 加速しなければならない震災復興のための費用、9月にあった関東・東北豪雨の災害復旧事業などを盛り込んだのは理解できる。だが、それら以外の事業にどれだけの緊急性があるのか、疑問だ。
 というより、いずれも国会で徹底した議論が必要な重要課題だ。その一部施策を先取りし予算化する。なぜ、それほどまで強引に、先を急ごうとするのかが分からない。
 政府がきのう、閣議決定した総額約3.5兆円の本年度補正予算案である。
 その柱は二つ。「1億総活躍社会」実現に向けた取り組みと、環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受けた農業対策である。
 まず総活躍社会について言えば、経済成長し少子高齢化という構造的課題を改善しようと、秋に安倍政権が2020年ごろを目標に打ち出した経済・社会保障政策である。
 だが国会の「洗礼」を受けていない。本来なら安倍政権の新政策課題として、年明け召集の通常国会で必要性や工程を丁寧に説明。実質初年度となる来年度の当初予算案に関連施策を盛り込んで議論を交わすのが筋ではないのか。
 補正の中身にも問題がある。子育て・介護支援では保育所や介護施設を前倒しで整備するものの、そこで働く人材確保のための、賃金を含む待遇改善には踏み込み不足。充実を図るべき両輪のうち、施設整備がせり出す格好だ。
 もっと解せないのは、所得が低い年金受給者約1100万人に1人3万円を配ることだ。「賃金引き上げの恩恵が及びにくい」として、1回限りのお金が消費下支えのためというより、総活躍社会実現のために配られることに強い違和感を覚える。
 しかも支給時期は来夏の参院選を控えた春以降という。
 子育て・介護充実策にしても、高齢者の低年金問題にしても、付け焼き刃的にではなく腰を落ち着けて国会で議論すべき課題ではないのか。
 TPPに関しては、英文はあっても、日本語に訳した協定案の全文は公表されていない。政府による経済効果・影響試算もまだだ。これではTPPの是非論も交わせない。
 コメを含む重要5農産物の「聖域」確保を求めた国会決議が守られたかどうかさえ、本格議論はなされていない。
 そうした中での対策の予算化は、先走り過ぎだ。
 一部とはいえ対策を打つのは、生産者の不安を和らげるため。だが、なぜ、そんなに急ぐ必要があるのか。対策の一つ、農地の大区画化を含む土地改良は公共事業であり、保育・介護の施設整備も主にハコモノ事業である。
 そこに低年金者への現金給付を重ねれば、浮かび上がってくるのは、参院選をにらんだ選挙対策ではないか。
 補正の財源には、14年度の剰余金と本年度の税収増加分が使われる。経済成長と財政再建の両立は安倍政権の金看板だ。であるなら、少なくとも2兆円近い税収増加分は、全て財政健全化のために充てられても不思議はない。
 補正予算に盛り込んでまで対応しなければならない緊急性や必要性はあるのか、国会で厳しく問うてもらいたい。
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中国新聞 2015/12/20
社説:補正予算案 選挙対策にしか見えぬ


 所得の少ない高齢者に3万円ずつ配る臨時福祉給付を急ぎ、国会での議論がさして進んでいない環太平洋連携協定(TPP)の対策費まで盛り込んでいる。総額3兆3千億円に上る2015年度補正予算案は、来年夏に迫る参院選を相当に意識したものと言わざるを得ない。
 政府は1月4日に召集する通常国会の冒頭に提案し、早期成立を目指すという。安倍晋三首相は、自ら掲げる1億総活躍社会への「挑戦に向けた第一歩」と強調した。ぴんとくる国民がどれほどいるだろう。
 約3600億円を積んだ給付金をめぐっては、自民党内も割れている。ばらまき批判を浴びる懸念に加え、「高齢者に手厚く、現役世代への支援が薄すぎる」との指摘もくすぶる。
 TPP対策では、交渉12カ国の間で10月に大筋合意するやいなや、矢継ぎ早に大綱をまとめた。酪農・畜産の効率化や農地集積に向けて今回、3400億円の対策費を組んだ。
 とはいえ、TPP発効の大前提となる決議が、交渉国の間で出そろう時期は定かではない。野党の求める臨時国会を拒み、国内農業に対する影響もまだ詳細を示していない。「自民1強」の基盤さえあれば、補正予算の審議も押し切れると安倍政権は踏んでいるのだろうか。
 TPP対策など不要だという議論があるわけではない。実際に発効すれば、国内農業への打撃は避けられず、ひいては国民の食卓にもしわ寄せがあろう。だからこそ、実効性のある中長期の農業振興ビジョンを示し、それに沿った予算投入が求められている。生産者に限らず、国民の多くを占める消費者の理解もまた欠かせない。
 その点でいえば、TPP対策費の3割を占めている土地改良費の990億円はどうだろう。農道整備や農地の区画拡大などに充てる。安い外国農産物に対抗できる「攻めの農業」には欠かせないとの考えだ。
 過去最大規模を見込む16年度当初予算案でも、土地改良に3820億円が組まれる見通しだ。今回の補正との合計で、本年度当初に比べて1200億円程度の大幅アップとなる。
 強く働き掛けてきたのは、全国土地改良事業団体連合会である。トップに座るのは、国会運営で首相が一目置く二階俊博総務会長である。都道府県単位でつくる政治団体は長年、自民党の選挙を支えてきた。来夏の参院選でも、組織内候補が既に同党の公認を得ている。
 土建業者は潤うかもしれないが、農家、農村の体質強化に一体どれほどつながるだろう。約20年前の関税貿易一般協定(ガット)ウルグアイ・ラウンドでも対策費6兆円のうち、多くを土地改良に投じてきた。結果は見ての通りである。耕作放棄地となった例も珍しくない。
 金額ばかりが先行する土地改良費には、強い違和感や戸惑いが農家から聞こえる。行政依存体質への先祖返りにつながりはしないだろうか。
 そもそも補正予算は財政法上、緊急に必要となった場合などに限られる。時の政権が選挙対策や支持率アップを狙い、「便利な財布」代わりに用いてきたのは悪弊である。主要国で最悪の赤字財政を立て直すためにも、不要不急の事業を厳しくより分ける必要がある。
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日刊建設通信新聞 [ 2015-12-21 1面]
国交省関係補正/総額4736億円/公共事業関係費3886億
 政府は18日、2015年度補正予算案を閣議決定した。国土交通省関係の補正予算は、総額4735億6900万円(国費)で、うち公共事業関係費は3885億6000万円(同)となった。
 国土交通省関係補正予算のうち、災害復旧・防災減災事業への対応に3611億円(うち公共事業関係費3505億円)を充てる。災害復旧・防災減災事業の内訳は、関東・東北豪雨を始め台風や豪雨で被害を受けた公共土木施設復旧など大規模災害からの復旧が870億円(同863億円)、関東・東北豪雨を踏まえた河川の緊急防災事業や豪雨災害リスク回避のための道路・港湾・空港・鉄道・航路標識緊急防災事業、防災・安全交付金など自然災害リスクを踏まえた緊急防災対策が2742億円(同2642億円)となった。
 国庫債務負担行為(ゼロ国債)は2960億円(事業費)を計上した。
 「一億総活躍社会」の実現に向けた緊急実施対策には、436億円(うち公共事業関係費381億円)を充てる。このうち、三世代同居・近居がしやすい環境づくりのための木造住宅の整備の63億0100万円、サービス付き高齢者向け住宅の整備加速に向けた地域のサービス拠点施設整備補助の189億円、既存住宅団地のバリアフリー改修促進や子育て支援施設・福祉施設誘致の97億9900万円は、公共事業関係費となっている。このほか、TPP(環太平洋経済連携協定)関連としてインフラ海外展開の戦略的広報に1億0800万円、豪雨災害に備えた地籍整備の推進に28億6000万円など。
 公共事業関係費を分野別でみると、治山治水が742億4300万円、道路整備が710億円、港湾空港鉄道などが223億5600万円、住宅都市環境整備が350億円、防災・安全交付金が997億0100万円、災害復旧などが862億6000万円となる。
■全国建設業協会・近藤晴貞会長のコメント/補正の予算規模、十分とは言い難い
 全建と各都道府県建設業協会は、多くの地域で工事量が激減し、受注の地域間格差が顕在化しており、地域建設業の疲弊が再び始まることを懸念していることから、これまで大型補正予算の早期編成を切望してきたが、残念ながら今回の補正予算規模は十分とは言い難い結果と言わざるを得ない。
 厳しい財政状況下にあっても、国民の安全・安心を守る国土強靭化やストック効果の発現による地域経済の活性化、既存施設の老朽化対策などはわが国における喫緊の課題であり、これに対応する社会資本整備の着実な推進が必要不可欠だ。全建と各都道府県建設業協会は、2016年度当初における公共事業予算の着実な増額を改めて要望するとともに、今後も計画的・安定的な公共事業予算の確保・拡大を目指し、一丸となった取り組みを進める。

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