2015-12-26(Sat)

2016年度予算案 (1)軍拡・財界優先が異常すぎる

国民を見くびるのか 税収増で規律が緩んだ 財政健全化は手付かず

<各紙社説・主張>
朝日新聞)予算と税制 国民を見くびるのか(12/25)
読売新聞)16年度予算案 成長基盤の強化を急ぎたい(12/25)
毎日新聞)16年度予算案 税収増で規律が緩んだ(12/25)
日本経済新聞)縦割り排し社会保障・税一体改革を (12/25)
産経新聞)28年度予算案 大胆な歳出改革進めよ 補正による「抜け道」許すな(12/25)
東京新聞)政府予算案 財政健全化は手付かず(12/25)
しんぶん赤旗)予算案の閣議決定 軍拡・財界優先が異常すぎる(12/25)




以下引用



朝日新聞 2015年12月25日05時00分
(社説)予算と税制 国民を見くびるのか


 政府が来年度の一般会計予算案を決めた。総額は96・7兆円と、また過去最高を更新した。計上予定だった一部を今年度の補正予算に回しながら、なお膨張が止まらない。
 一方で、財源不足を穴埋めする新たな国債の発行は前年度から2兆円余り減らす。底堅い景気に支えられ、税収が今年度当初予算から3兆円ほど増えると見込んだからだ。それでも国債発行額は34兆円を超え、歳出全体の3分の1余りを将来世代へのつけ回しに頼る。
 巨額の財政赤字を抱えて高齢化が進むだけに、必要な予算に絞り込み、負担増に向き合うしかない。にもかかわらず、来年夏に参院選を控えて「負担増は選挙後まで封印」という政府・与党の姿勢が露骨だ。選挙こそが給付と負担のあり方を問う機会なのに、負担の話を隠せば票が集まると言わんばかりではないか。あまりに国民を見くびっている。
 予算編成では、医療の高額療養費制度が焦点になった。年齢や所得に応じて患者が支払う分(総額の1~3割)に上限を設ける制度だ。70歳以上向けの特例や優遇を見直し、一定の所得がある人は現役世代と同じ負担水準にして医療を巡る財政を改善することが検討されたが、選挙を意識する与党の反対で「来年末までに結論」となった。
 「世代」を軸に作られてきた日本の社会保障を「所得や資産」に応じた制度に改め、豊かな人には負担増や給付減を求めることが避けられない。実際、政府の改革工程表には介護保険でも負担増につながる検討項目が並ぶが、それらも「16年末までに結論」である。
 税制でも先送りが顕著だ。
 17年度から導入する消費税の軽減税率を巡り、1兆円もの税収減をどう穴埋めするのか。自民・公明両党は決められず、「16年度末までに安定的な恒久財源を確保する」とうたうにとどまった。所得税の配偶者控除の見直しに関する政府税制調査会の2年越しの議論も、当分の間お蔵入りになった。
 政府・与党だけではない。政権時に2段階の消費増税を決めた民主党では、10%への増税に反対する声が出ている。対象範囲を広げた軽減税率の導入に納得できないことが理由のようだが、増税をやめて財政再建の道筋をどう描くのか。
 年明け早々に国会が始まる。納得できる負担なら受け入れるという国民は少なくあるまい。どの政党が税・財政問題に責任を果たそうとするのか。そこに注目しよう。
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読売新聞 2015年12月25日 03時05分
社説:16年度予算案 成長基盤の強化を急ぎたい


 ◆財政健全化の手綱も緩めるな◆
 経済再生と財政再建の両立へ、成長基盤の強化と一層の構造改革を着実に進めねばならない。
 政府が2016年度予算案を閣議決定した。
 一般会計総額は、15年度当初予算比0・4%増の96・7兆円と、過去最大になった。
 景気回復に伴い、税収は15年度より3兆円多い57・6兆円と、25年ぶりの高い額を見込んだ。新規国債発行額は34・4兆円で、7年ぶりの低水準に抑えた。アベノミクスが奏功し、財政状況が好転していることは評価できる。
 ◆少子化対策に重点配分
 ただ、来年夏の参院選を意識したバラマキ色の濃い予算も散見される。財政再建の道のりの険しさを、より真剣に自覚すべきだ。
 限られた予算の中で重点配分したのは、「1億総活躍社会」に向けた子育て支援などの少子化対策だ。保育施設の整備や児童扶養手当の増額で家計を後押しする。
 麻生財務相は「少子高齢化に正面から取り組む」と強調した。
 企業は、人口減による国内市場の縮小を見越し、設備投資などに慎重になっている。少子化に歯止めをかけ、経済の活力を高める狙いは理解できる。
 歳出総額の約3割を占める社会保障費は、15年度比4400億円増の31・9兆円となった。
 政府は社会保障の伸びを年5000億円に抑える方針を掲げており、目標の範囲内に収めた。
 これは、2年に1度の診療報酬の見直しにより、マイナス改定としたことが大きな要因だ。
 だが、高齢化が進行する中、今の制度のままでは、社会保障費の伸びを抑制し続けることは難しい。抜本的な改革を断行しないと、社会保障制度の持続可能性自体が危ぶまれよう。
 所得の多い高齢者の医療費負担増や、年金課税の強化などの検討を急がねばならない。
 公共事業費は5・9兆円で15年度とほぼ同額となった。その中で、防災対策や老朽化したインフラ(社会資本)の補修・更新に手厚く配分したのは適切だ。
 地方交付税交付金は、15年度比1・6%減の15・2兆円に抑えた。自治体財政は改善しており、リーマン・ショック後に緊急対策として導入した「別枠加算」を廃止するのは妥当である。
 ◆ODA増額は適切だ
 政府開発援助(ODA)費には5500億円を計上した。17年ぶりの増額を歓迎したい。
 安倍政権の「積極的平和主義」に基づき、ODAの戦略的活用を進めることが大切である。
 防衛費は4年連続の増額で、初めて5兆円を上回った。
 中国の海洋進出などで、日本の安全保障環境は厳しさを増している。離島防衛や警戒監視活動を強化するのは当然と言えよう。
 気がかりなのは、家計の下支えを名目に、低所得の年金受給者向けの給付金制度に、15年度補正予算案との合計で3800億円も計上したことだ。1000万人以上に各3万円を支給するという。
 一時的な給付では貯蓄に回る分も多く、十分な効果が出ない恐れがある。財政への目配りをせず、選挙目当てで、高齢者に大盤振る舞いをするのなら問題だ。
 農道や用水路の整備などを行う土地改良事業も、15年度補正予算案と合わせて、1200億円以上増やした。
 環太平洋経済連携協定(TPP)の発効を見据えて、農地の有効活用を図るのが目的だという。
 かつてのウルグアイ・ラウンド対策では、土地改良事業に巨費を投じながら、農業の競争力強化の成果はあまり上がらなかった。今度も同じ轍を踏まないか。
 農家の生産性向上など、政策効果の精緻な検証が欠かせない。
 ◆税収増の持続は不透明
 借金で予算をどれだけ賄うかを示す国債依存度は35・6%で、08年度以来の低い水準となった。
 税収の大幅増を見込んでいるためだが、この強気の見積もりは、名目3・1%という高めの成長が前提になっている。
 しかし、中国の景気減速や米国の利上げの影響など、世界経済の先行きには不透明感が漂う。
 国内でも、企業の業績改善に伴う税収増が、果たしていつまで続くのか、不安は拭えない。
 政府は、20年度に基礎的財政収支を黒字化する目標を掲げる。名目3%の高成長を続けても、20年度には、なお6兆円もの赤字が残ると試算されている。
 景気動向に左右されやすい税収の増加を過剰に期待するだけでなく、歳入・歳出改革を徹底することが求められる。
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毎日新聞2015年12月25日 東京朝刊
社説:16年度予算案 税収増で規律が緩んだ


 政府は2016年度予算案を閣議決定した。財政健全化計画の初年度だが、一般会計総額は96・7兆円と過去最大を更新した。
 来年の参院選を意識して、歳出の切り込みはほぼ手つかずだ。税収を25年ぶりの高水準と見込んでおり、税収増を背景に財政規律が一段と緩んだとみられても仕方がない。
 税収が増えるのは、円安で好調な企業業績に伴って法人税収などが伸びるためだ。歳入の国債依存度は35%台と8年ぶりの低水準になる。政府は「健全化計画の初年度にふさわしい予算」と強調する。
 しかし、国債の新規発行額は34兆円台と巨額だ。800兆円を超す国債発行残高もさらに膨らみ、「借金漬け」は変わらない。
 一般会計の3割超を占める社会保障費は15年度当初予算比4400億円増とした。診療報酬をマイナス改定し、財政健全化計画(年5000億円増)の枠内には収めた。
 だが、健全化計画自体が裕福な高齢者の医療費負担増など痛みを伴う歳出改革を先送りしている。計画を守ったと胸を張れるものではない。
 公共事業費は、第2次安倍晋三政権が発足してから4年連続で増加した。与党の要望に応えた形だ。
 防衛費も4年連続で増え、5兆円を突破した。安全保障を重視する政権の姿勢を反映したものだが、優遇ぶりが目立つ。
 政府は予算編成の基本方針を「歳出全般を聖域なく見直す」としていた。しかし、主要経費で大きく削減できたのは、地方税収の伸びを背景とした地方交付税交付金だけだ。
 看板の「1億総活躍社会」関連は約2・4兆円を計上した。だが、工場の省エネ補助金といった旧来型の施策も含まれる。子育て支援にもっと重点的に振り向けるなど大胆に組み替える発想は乏しかった。
 また、15年度補正予算案と合わせた歳出規模は約100兆円に上る。
 補正には低所得の年金受給者向け給付金3600億円や公共事業費6000億円を計上した。抜け道のように補正を膨らませ、当初予算を健全に見せる手法は適切ではない。
 健全化計画の目標は基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化することだ。だが、内閣府の試算では、名目3%、実質2%という高成長で税収が増えても、20年度に約6兆円の赤字が残る。
 アベノミクスが軌道に乗らない中、景気に左右される税収をあてにした健全化計画は危うい。実現には歳出効率化が欠かせない。
 政府は17年4月に消費税率を10%に引き上げる予定だ。国民に増税を求めるなら、歳出の無駄を徹底的に見直すのが政府の役割だ。
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日本経済新聞 2015/12/25付
社説:縦割り排し社会保障・税一体改革を


 政府が2016年度予算案を決めた。予算総額は96兆7千億円程度と過去最高を更新した。
 税収増を見込み、新規国債発行額を抑える結果、借金で歳出をどれくらい賄うかを示す国債依存度は35.6%まで下がる。
 日本の借金残高は国内総生産(GDP)の2倍を超え、財政は先進国で最悪の状態にある。単年度の財政赤字を前年度より小さくしたのは前進だが、財政健全化の道筋が整ったとはいえない。 
世代間の不均衡是正を
 財政赤字の主因は、高齢化に伴う医療や年金、介護といった社会保障費の増加だ。16年度は前年度比の増加額を4400億円強にとどめた点はひとまず評価できるものの、歳出は切り込み不足だ。
 医療の公定価格である診療報酬は8年ぶりに引き下げられる。しかし、診療報酬のうち、医師、歯科医師、薬剤師の技術料部分、いわゆる本体は引き上げられた。
 診療所の収益は増えているのに本体部分をプラス改定したのは、来年の参院選を意識して医師会などに配慮した結果と疑わざるを得ない。
 地方財政も、国からの自立を促す改革を素通りしている。
 政府は国と地方をあわせた基礎的財政収支を20年度に黒字にする目標を掲げている。
 金融市場で日本の国債への信認が疑われると長期金利が上昇し、事実上の財政破綻につながるリスクが高まる。経済成長を確保しつつ堅実な財政運営が求められるのは、この心配をなくすためだ。
 社会保障費を賄う安定財源としての消費税はいずれ10%を超えて上げる必要があるだろう。ただ、社会保障費の膨張に歯止めをかけなければ、際限のない増税を強いられかねない。だからこそ社会保障制度の効率化は急務となる。
 こうした観点からみると、16年度予算案は及第点に達しない内容だ。3つ問題がある。第1は所得や資産にゆとりのある高齢者に負担を求める改革に踏み込んでいないことだ。
 医療では、70歳以上の高齢者の窓口自己負担が原則1~2割にとどまり、現役世代の3割より低く抑えられたままだ。
 年金では、受給者が現役世代の所得控除より手厚い税制優遇措置を受けている。そのうえ高所得の年金受給者についても、基礎年金の半分に税金が投じられている。
 所得や資産が比較的豊かな高齢者にも優遇措置を続ければ、世代間の給付と負担の不均衡はいっこうに是正されない。今回も痛みを伴う改革を先送りし、この点では「決められない政治」が続いた。
 第2は子ども・子育て支援だ。幼児教育無償化の対象を広げたりひとり親家庭に配る児童扶養手当を増やしたりするのは妥当だ。
 しかし、安倍晋三政権が合計特殊出生率をいまの1.4台から1.8に上げる目標を掲げている割には小粒な内容だ。
 少子化への対応は息の長い取り組みが要る。そのためには高齢者向けの歳出を抑え、浮いた財源を思い切って子ども・子育て支援に振り向ける、といった歳出の抜本的な組み替えが必要だ。今回の予算案はその難題を避けた。
 15年度補正予算案では低所得者のうち年金受給者だけを対象に給付金を大盤振る舞いする。高齢の有権者が増えるほど、高齢者を優遇する政策がまかり通る「シルバー民主主義」の弊害は目に余る。
勤労税額控除も一案
 第3に、真に支援が必要な低所得者向けの対策だ。17年4月の10%への消費増税時には軽減税率を導入することが決まった。
 それでも、国民年金や国民健康保険(国保)といった社会保険では、税以上に低所得者の負担が相対的に重い「逆進性」の問題が残っている。
 改善策として例えば、税と社会保障の共通番号(マイナンバー)を使い、勤労税額控除のようなしくみを導入するのは一案だ。
 働いても所得が低い間は社会保険料負担を減免し、手取りの所得を増やせるような誘因策はあっていい。働く意欲を持つ人々を下支えする施策は、生活保護の改革などとあわせ安全網を再構築するうえで重要になる。
 日本では、税は自民党税制調査会と財務省、社会保険は厚生労働省と縦割りでバラバラに制度設計をしてきた結果、効率性や効果に乏しい制度を温存してきた。
 社会保障制度を持続可能にするとともに、財政健全化の道筋を固める。そのためには社会保障制度と税制を一体的に抜本改革する必要がある。安倍政権はその課題から逃げてはいけない。
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産経新聞 2015.12.25 05:03
【主張】28年度予算案 大胆な歳出改革進めよ 補正による「抜け道」許すな


 経済再生の足取りを確かなものにすると同時に、極度に悪化した日本の財政を立て直す。安倍晋三政権が目指す財政運営は、極めて難しい道筋の追求である。
 その実行力が問われた平成28年度予算案は、看板である「1億総活躍社会」関連事業などに重点配分し、一般会計総額は過去最大の96・7兆円に達した。
 子育て世代の家計や地方経済が上向かなければ、力強い景気回復が望めないのは当然である。これを、強い経済を取り戻すきっかけとしたい。
 ≪景気回復へ家計重視を≫
 28年度は、基礎的財政収支(PB)の黒字化に向けた経済・財政再生計画の初年度でもある。
 財政再建を着実に進める必要があるのは、経済の持続的な成長に欠かせぬ基盤だからだ。借金返済がかさめば、景気が悪化したときの財政対応を含め本来使うべき予算にもしわ寄せがいく。計画の遅滞を許す余裕はない。
 歳入は、所得税や法人税の増加を見込んで新規国債の発行を減らし、国債依存度も35・6%まで低下した。25年ぶりの税収増があればこその改善である。
 税収を見積もる前提となる経済成長率見通しは名目3・1%、実質1・7%としている。伸び悩んでいる個人消費や設備投資の改善に期待した強気の見通しだ。
 ただ、足元の景気は停滞感が漂い、新興国経済が減速するリスクもある。成長の果実である税収増を財政再建につなげる政権の戦略は妥当だが、期待先行とならないか注意が必要だ。
 歳出総額が膨らんだのは高齢化に伴って社会保障費が増加したためである。今後3年間の一般歳出の伸びを計1・6兆円程度にするとした「目安」に沿って28年度の伸びを5300億円にとどめたのは一歩前進だが、歳出削減への取り組みはまだ足りない。
 主要項目では地方税収の増加に伴い地方交付税交付金を大きく削減した。リーマン・ショック後の危機対応として自治体の財源不足を補ってきた「別枠加算」を廃止したのは当然で、むしろ遅すぎたくらいである。
 微増となった公共事業は、27年度補正予算案にも盛り込まれている。それを踏まえて、さらに切り込む余地はなかったのか。
 他の政策も含めて予算の効果を厳しく見極め、予算配分を大胆に見直す工夫がほしかった。歳出改革の深化が必要である。
 歳出の3分の1を占める社会保障費は、財政再生計画で示した目安に沿って伸びを抑制した。診療報酬を8年ぶりのマイナス改定としたことが功を奏したもので、これ自体は評価できる。
 ただし、診療報酬の中身をみると、大幅に価格を下げたのは「薬価部分」であり、医師らの技術料にあたる「本体部分」はプラスだった。日本医師会などに配慮して引き上げありきで検討した印象は否めない。
 ≪給付金に持続効果ない≫
 財政再建と社会保障制度改革は一体で進めるべき課題だ。支払い能力に応じて負担を求め、真に必要な人に重点的にサービスを提供する。これを基本とし、歳出構造に切り込む改革を不断に進めるべきは言うまでもない。
 指摘しておかなければならないのは、27年度補正予算でみられた財政規律の緩みである。相次いで編成した28年度予算と補正を合わせると、その規模は約100兆円に達する。
 予算の中身が厳しく精査される当初予算で認めにくい分を、補正で安易に手当てしようとする手法が定着してきたことに厳しい見方が出ていることを認識しなければならない。参院選を控えた今年は特にその傾向が色濃く出た。
 低所得の年金受給者に3万円を配る給付金が典型である。消費を持続的に底上げする効果は見込めず、自民党内からも、票目当てのばらまきだという批判が出た。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)対策で農業インフラの整備費を盛り込んだのも同じ狙いだったのではないか。
 補正でばらまきを許すなら、いくら当初予算の伸びを抑制しても意味はない。問われているのは補正も含めた歳出改革である。外国人投資家の日本国債購入が増える中、財政に対する市場の信認が失われれば、金利高騰のリスクが一段と高まる恐れがあることも認識しておかねばならない。
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東京新聞 2015年12月25日
社説:政府予算案 財政健全化は手付かず


 政府が決めた来年度予算案は、税収の大幅増見込みから財政規律が緩み、過去最大の大盤振る舞いとなった結果、借金残高はさらに増大する。財政健全化に手を抜き、納税者を裏切る予算だ。
 「安倍政権らしい予算」といえるだろう。防衛費を四年連続で増やして初の五兆円台に乗せ、公共事業も拡大を続けた。参院選を控え農業や医師会など業界、支持層にも目配りした。すっかり「古い自民」を取り戻した格好である。
 税収は企業を後押しする政策を反映して法人税や、株の配当・譲渡益などによる所得税の増加で三兆円強もの増収を見込み、二十五年ぶりの高水準という。しかし、税収が増えたらその分を使ってしまうのである。年度途中の補正予算編成も恒常化し、税収の上振れや剰余金も使い切っている。
 これではいくら増税しても財政再建は実現しない。借金残高(国と地方の長期債務)は国内総生産(GDP)の二倍以上の千六十二兆円(二〇一六年度末)に膨らみ、ギリシャより悪い水準だ。
 財政の危機的状況と叫びながら甘い財政規律が許されるのは、日銀による事実上の国債引き受けのおかげである。異次元緩和で国債を大量に買い続け、金利を異常に低く抑え込んでいる。だが、いつまでも続けるわけにはいかない。税収が増えた時に借金返済に力を入れずに、いつ力を入れるのか。結局は増税頼みということか。
 予算の構造を抜本的に変える必要がある。歳入面の「税収」と「その他収入」の計六十二兆円強では、社会保障や公共事業などの一般歳出経費七十三兆円を賄いきれず、借金の返済と利払い(国債費)は新たな借金に頼っている。消費者金融の借り換え状況と同じである。選挙を意識して痛みを伴う歳出切り込みから逃げているといわれても仕方あるまい。
 公共事業費も四年連続で増え続け、農林水産予算も前年度水準が維持された。社会保障関係の焦点だった診療報酬改定も結局は帳尻合わせに終始した。日本医師会や厚労族議員の抵抗により医師の診察料など「本体」はプラスで決着したのである。これが「成長と財政再建の両立を目指した予算」なのか大いに疑問だ。
 政府は借金に頼らずに一般歳出を賄える基礎的財政収支の黒字化を二〇年度に実現する目標を掲げる。名目3%超の高い成長を続けても達成できない数字だが、いつまで楽観的でいるつもりなのか。
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しんぶん赤旗 2015年12月25日(金)
主張:予算案の閣議決定 軍拡財界優先が異常すぎる


 いったい誰のための国の予算なのか。安倍晋三内閣が閣議決定した2016年度政府予算案の中身を読んで、あらためて怒りがこみ上げます。軍事費は4年連続で増加させ過去最大の5兆円を突破する一方、社会保障費の伸びは無理やり削って約5000億円増にまで抑え込みました。大企業が優遇される法人税減税も前倒しで実施します。消費税増税で国民にさんざん負担増を強いておきながら、国民の暮らしを立て直す予算になっていません。税金の使い方を根本的に間違っている安倍政権の予算案を認めることはできません。
財政のゆがみを拡大させ
 16年度予算案は、安倍首相が政権復帰して4度目、消費税を8%に引き上げてから3度目の予算編成です。予算規模は過去最大の96兆7218億円に達しましたが、国民の暮らしを支える社会保障、文教、中小企業などの分野は抑制・削減しました。
 その最大の標的になったのが社会保障費です。高齢者人口の増加や医療技術の進歩などにより、日本の社会保障費は年1兆円程度「自然増」するといわれるなか、安倍政権はその半分の約5000億円の伸びしか認めませんでした。
 なかでも大きく削られたのは、安全・安心の医療を国民に提供するために必要な診療報酬です。「医療崩壊を引き起こす」という医療関係者の反対・警告に逆らって、前回14年度改定に続き2回連続で診療報酬の引き下げを決めたことは、国民の暮らしと健康に深刻な影響を与えるもので重大です。
 これに対して軍事費は、第2次安倍政権発足後4年連続で増加しただけでなく、16年度初めて5兆円を突破しました。他の予算が「財政健全化」計画の名の下で、もっぱら削減・抑制されているのに、軍事費の「聖域」扱いは異常というほかありません。
 今年9月、安倍政権は国民のわきあがる反対世論を無視して、日本がアメリカの戦争に参加できる戦争法を強行しました。その後の最初の予算編成で、軍事費を増大させ集団的自衛権の行使に向けた装備を次々購入する姿勢は、国民の平和への願いにも反します。
 「社会保障のため」といって消費税増税を国民に押し付けながら、予算編成のたびに社会保障費が削減の焦点になること自体、国民は納得できません。政府は16年度に消費税による収入を17兆2000億円弱と見込んでいます。法人税収の約1・4倍です。大もうけしている大企業には法人の実効税率を32・11%から29・97%まで前倒しで引き下げる大盤振る舞いです。
 庶民を苦しめながら、財界・大企業を優遇する―。歳入面でも歳出面でも、ここまでゆがんだ構造をつくり、その財政のゆがみをさらに拡大させる安倍政権に日本経済のかじ取りを任せられないことは明らかです。
安倍政治の転換こそ急務
 大企業がもうかれば経済がよくなるという「アベノミクス」はもはや通用しません。「1億総活躍社会」とか「新・3本の矢」などのスローガンばかりで「アベノミクス」の焼き直しの政策では、国民の暮らしの立て直しはできません。社会保障拡充など国民の暮らしをあたため消費を拡大する経済への転換が急がれます。消費税に頼らずに社会保障財源を確保する道へすすむことこそ必要です。
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