2015-12-27(Sun)

2016年度予算案 (3)選挙目当てがより明確に

歳出拡大ばかりが目立つ 財政健全化と言えるのか 税収増も楽観には程遠い

<各紙社説・論説>
新潟日報)16年度予算案 歳出抑制はどこに行った(12/25)
信濃毎日新聞)政府予算案 選挙目当てがより明確に(12/25)
福井新聞)16年度予算案 地方創生を確かなものに(12/26)
京都新聞)来年度予算案  歳出抑制の努力が必要(12/25)
神戸新聞)政府予算案/歳出拡大ばかりが目立つ(12/25)
山陰中央新報)16年度予算案/財政健全化と言えるのか(12/25)
山陽新聞)政府予算案 税収増も楽観には程遠い(12/25)
中国新聞)政府予算案 「健全化」と胸張れるか(12/25)




以下引用



新潟日報 2015/12/25
社説:16年度予算案 歳出抑制はどこに行った


 政府は24日、2016年度予算案を閣議決定した。一般会計総額96兆7218億円は過去最大だ。
 先の補正予算と合わせると100兆円を超える。厳しい財政状況の中、どこまで歳出抑制できたか甚だ疑問と言わざるを得ない。
 16年度予算が膨らんだのは社会保障費が高齢化で増えたのが一番の要因だ。「1億総活躍社会」の実現を目指し、子育てや介護関係に手厚く盛った。
 安保、外交を重視する安倍カラーも明確にした。
 防衛費は1・5%増で初の5兆円超えだ。中国の海洋進出に備えて離島防衛を強化する。
 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を前に、政府開発援助(ODA)も17年ぶりに増額し、積極外交をアピールする。
 歳入面を支えるのが税収の伸びだ。バブル期以来の高水準を見込む。これにより新規国債の発行額を減らした。社会保障費の伸びも目標内に抑えている。
 総じてにじむのは来夏の参院選を意識した対応だ。
 わずかだが公共事業費を増やした。環太平洋連携協定(TPP)に直面する農林水産予算も2年ぶりの増額だ。人口減対策に取り組む自治体への新型交付金は1千億円を盛った。
 必要な投資はもちろんある。だが、ばらまきは厳に戒めなければならない。
 焦点だった診療報酬の改定では、全体でマイナスとした一方で、医師らの技術料を0・49%上げ、500億円を積み増した。日本医師会の選挙支援目当てともささやかれる。政治の利害を持ち込んでは筋が通らない。
 麻生太郎財務相は会見で「歳出改革に全力で取り組み、国民負担の抑制が図れた」と自賛したが、そう言い切るには無理があろう。
 大なたをふるうどころか、官邸や自民党からの圧力に屈した場面が目立った。予算の主要な項目で削減できたのは地方交付税交付金くらいだ。将来世代に負担をつけ回す姿は変わっていない。
 借金頼みからの脱却も遠い。歳入の3分の1を国債に依存する。国と地方の借金残高は過去最悪の1062兆円だ。先進国では異例の危険水域である。
 基礎的財政収支を20年度に黒字化するのが、財政再建の目標だ。名目成長率3%超が続いたとしても達成は困難だ。
 歳入が見込み通りに伸びなければ一段と歳出削減が求められる。消費税アップに伴う軽減税率導入に対する財源確保の宿題も積み残したままだ。
 安倍内閣はデフレ退治と景気回復を一大看板にしてきた。円安と株高への誘導により大都市圏や大企業、富裕層にはその恩恵が表れてきた部分はあろう。
 だが、県内の中小企業の大半が「景気が悪い」と感じている。地方の景気低迷に今のところ変化の兆しはない。
 高い成長率目標をどうやって実現させるのか。いかに地方の隅々まで景気浮揚を浸透できるか。それが安倍晋三首相の課題であり、参院選前までが正念場だ。
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信濃毎日新聞 2015年12月25日(金)
社説:政府予算案 選挙目当てがより明確に


 来年の夏に予定される参院選目当ての上積みが目に付く。将来の世代に重い付けを回すことにならないか。心配になる。
 きのう閣議決定された2016年度の政府予算案だ。一般会計の歳出総額は96兆7218億円で過去最大である。
 一方、国と地方を合わせた借金残高は過去最悪の1062兆円に膨らんでいる。
 財政破綻への懸念が強まる。安倍晋三政権には、その危機感があるのだろうか。財政の立て直しに対する甘い姿勢を強く印象付ける予算案といえる。
   <危機感が見えない>
 歳入の中心を占める税収は57兆6040億円を見込んでいる。これはバブル期以来、25年ぶりとなる高い水準だ。安倍政権になって急速に進んだ円安・株高によって大企業を中心に収益が伸びたことが背景にある。
 歳入のもう一つの柱、借金に当たる新規国債の発行額は34兆4320億円。15年度当初より2兆4310億円減らした。
 これらの額を見て安心することはできない。税収が増え続ける保証はなく、借金依存体質も変わっていないからだ。
 景気回復は日銀の「異次元」と呼ばれる金融緩和で円安になったことが大きい。だからといって日本経済の足腰が着実に強くなっているとはいえない。
 日銀の追加緩和もそろそろ限界に近づいている。政府が発行する国債をいつまでも買い支えることができるだろうか。
 首相の経済政策「アベノミクス」が不透明さを増す中、予算案から国の将来像を描くことはできない。予算編成に当たって掲げた歳出全般の徹底的な見直しは掛け声だけに終わった感が強い。
 予算規模を膨らませたのは高齢化に伴う年金や医療費などの社会保障費である。
 6月に決まった経済財政運営の指針では今後3年間の社会保障費の伸びを1兆5千億円に抑えることを打ち出した。来年度は15年度当初と比べ、伸びは5千億円以下で目標には沿っている。
 最大の焦点になったのは診療報酬の改定である。薬価部分を大きく引き下げる一方、医師らの技術料などに当たる本体部分は0・49%引き上げた。
 財務省は財政規律を重視し、本体、薬価ともマイナス改定を主張したが、首相サイドの意向で決まったとされる。日本医師会など支持団体に配慮したようだ。
   <補正ではばらまき>
 先週閣議決定された15年度の補正予算案には、環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受け、農林水産関係の票が離れていく恐れがあることからTPP対策費として3403億円を計上した。防災関連の公共事業も追加し、大盤振る舞いをしている。
 低年金の高齢者に3万円を給付する事業に3624億円も盛り、ばらまき色が濃いものとなった。補正予算案と16年度予算案のセットで参院選を乗り切ろうとする政権の思惑が明確になった。
 首相自身がこだわってきた分野は今回も優遇された。自衛隊の海外活動を広げる安全保障関連法の施行を見据え、防衛費は前年度当初より1・5%増やし、初めて5兆円を突破。増額は4年連続になる。異例のことだ。
 最新鋭のステルス戦闘機や新空中給油機の購入、南西諸島の警備部隊配置などに充てる。中国の海洋進出に対抗するのが目的で、軍拡競争が現実味を帯びてきた。何より、防衛費が「聖域化」する懸念が拭えない。
 政府開発援助(ODA)も17年ぶりに増額した。首相は国際社会で存在感を示すことに躍起になっている。海外でのばらまきになる恐れもあるだけに、使い道の厳しい検証が欠かせない。
 一方、暮らしへの目配りは物足りない。例えば子育て支援だ。幼児教育の無償化拡充では幼稚園、保育園とも1人目の子どもの年齢に関係なく、2人目は半額、3人目以降は無料とする。
 しかし、低所得者対策としても家計支援策としても中途半端だ。無償化の対象は世帯年収が360万円未満との制限が付く。所得制限の額から見て、対象はかなり狭くなるのではないか。効果があるのか、疑問視する声は多い。
 むしろ、家計に配慮している姿勢をアピールすることを狙っているように映る。選挙目当てはここにもにじむ。
   <国会で厳しく追及を>
 安倍首相は9月に「1億総活躍社会」の実現という新たなスローガンを打ち出した。社会保障の国庫負担がかさむ中、1人でも多くの人に働いてもらって成長を促す狙いなのだろう。労働や企業活動をめぐって国家の意向が幅を利かせる恐れがある。
 年明け早々に通常国会が召集される。首相が国の将来像をどう描いているか。財政再建は約束通り達成できるのか。各党は予算案を厳しく検証することで、問題点をあぶり出してもらいたい。
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福井新聞(2015年12月26日午前7時25分)
論説:16年度予算案 地方創生を確かなものに


 「からくり予算」と言えばいいのだろうか。
 政府が決定した2016年度予算案は一般会計歳出総額96兆7218億円と過去最大規模。25年ぶりの高い税収の伸びを見込み、借金の国債発行額も8年ぶりの低水準になるという。アベノミクス効果を強調しながら「1億総活躍社会」実現をアピールする。
 しかし、歳出抑制の裏で15年度補正予算案に事業費約3兆5千億円を投入している。環太平洋連携協定(TPP)の影響緩和を図る農業対策や公共事業費を先取り。低所得高齢者に1人3万円を配る臨時給付金の約3600億円をはじめ「1億総活躍」に充てる約8千億円の社会保障費も補正措置だ。来年夏の参院選をにらみ、表面だけ帳尻合わせのばらまきでは困る。
 安倍カラーを背景に初の5兆円台に乗せた防衛費や外交予算の優遇も際立つ。新規国債発行は2兆4千億円強減らしたとはいえ、34兆円を超えて予算全体の35%強だ。長期債務残高は地方合わせ16年度末には過去最悪の1062兆円に膨らむ見通し。財政再建が計画通り進むか疑問だ。
 予算の政策経費は73兆1097億円で過去最大。うち社会保障費は44%を占めこれも最大を更新した。ただ高齢化に伴う社会保障費の伸びは診療報酬引き下げなどで、財政計画に示す抑制の目安は達成させた。
 今予算は「基礎的財政収支を20年度までに黒字化する」との目標を定めた財政健全化計画の初年度だ。同計画は実質2%、名目3%の高い成長が前提。潜在成長率が0%台とされる中で楽観的なシナリオではないか。さらに17年4月の消費税再増税時の軽減税率導入で税収に約1兆円の穴が開く。財源はどうする。
 政策では、TPP発効に向けた競争力強化や中小企業の海外展開促進をはじめ、各自治体による人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」の実行を後押しするため、1千億円の交付金創設を打ち出した。
 本県関係では、整備新幹線に事業費ベースで本年度当初比28%増の2050億円を計上。北陸新幹線の金沢-敦賀は4・1倍の900億円が付いた。23年春ごろの開業へ九頭竜川橋などの工事を加速させる。中部縦貫自動車道では早期全線開通へ本年度以上の予算確保ができるかが焦点だ。
 原発関連では廃炉や再稼働対策への重点支援として全国枠100億円規模を経産枠で確保。廃炉で電源三法交付金が減る自治体への支援策となる。高速増殖炉もんじゅ関連では12億円減額の185億円を計上。文部科学省は日本原子力研究開発機構に代わる運営主体を半年後めどに見つける必要に迫られている。
 原子力政策は転換期に来ている。廃炉が現実化する地元地域は産業の構造転換が可能なのか。立地県の将来像を「地方創生」の中でどう描いていくかだ。
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[京都新聞 2015年12月25日掲載]
社説:来年度予算案  歳出抑制の努力が必要


 政府が2016年度予算案を決定した。税収の伸びを見込み、借金である新規国債発行額を減らしたが、高齢化による社会保障費の増加などで一般会計の歳出総額は96兆7200億円と過去最大に膨らんだ。財政再建に向けて歳出抑制に取り組む必要がある。
 歳入は、税収が57兆6千億円と、バブル景気の影響があった1991年度以来25年ぶりの高水準になると見積もった。名目成長率を3・1%と高く見込んでいるが、中国をはじめとする新興国経済の減速や米国の利上げが日本経済に影響すれば、楽観的な前提が崩れる恐れがある。
 新規国債発行額は34兆4300億円と、2015年度当初予算から2兆4300億円減らしたものの、歳入の3分の1以上を借金で賄うという極めて厳しい状態は変わらない。国と地方を合わせた16年度末の長期債務残高は21兆円増えて1062兆円に達する見通しで、国民の将来に対する不安は募るばかりだ。
 歳出では、公共事業費と防衛費が4年連続で増加となり、安倍政権の姿勢が鮮明になったといえよう。来夏の参院選に向け自民党内に増額を求める声があることも背景に、公共事業費は15年度から26億円上積みした。防衛費は初めて5兆円を突破。中国の海洋進出に備えた離島防衛強化などが主な要因だが、今後、膨張をどう抑えるかが問われる。
 社会保障費は診療報酬のマイナス改定などにより、財政計画で示した抑制の目安は達成したが、31兆9700億円と過去最大を更新した。高齢者を支えるために、将来世代にツケを回すという構図が続くのは問題だ。
 借金の元利払いに充てる国債費は23兆6100億円となった。もし金利が上昇すれば、借金が急激に増えて財政を大きく圧迫しかねない。
 政策に使う経費を借金に頼らず賄えているかを表す「基礎的財政収支」は10兆8千億円の赤字だ。リーマン・ショック後に赤字が20兆円を超えた10~13年度と比較すれば改善しているものの、国と地方財政を合わせた収支を20年度に黒字化するという政府目標の達成には、やはり大幅な歳出抑制が欠かせない。
 来年1月4日召集の通常国会では、予算案に無駄遣いや非効率的な事業の経費が含まれていないかを精査するとともに、与野党がそれぞれ財政再建の道筋を明確に示し、議論を深めてもらいたい。
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神戸新聞 2015/12/25
社説:政府予算案/歳出拡大ばかりが目立つ


 政府は一般会計総額で96兆7218億円となる2016年度予算案を閣議決定した。4年連続で過去最大を更新した。
 安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」の実現に向け、子育て支援や介護サービスの充実など家計に配慮した。地方自治体が自由に使える一般財源も過去最高額を確保し、「地方創生」を後押しする。
 家計や地方に手厚い内容で、来年夏の参院選をにらんだ予算配分の色合いが濃い。防衛費は初めて5兆円台に乗せるなど外交、防衛関連の増加も目立つ。厳しい財政事情の中、メリハリをつけて歳出削減にもっと切り込むべきではなかったか。
 目玉となる1億総活躍には2兆4千億円を計上した。子どもの貧困対策に重点を置いたのが特徴だ。ひとり親家庭対象の児童扶養手当の増額や資格取得を目指す人への貸付制度を創設する。低所得の多子世帯には保育料負担の軽減なども盛り込まれた。先進国で最悪水準とされる子どもの貧困の解消に向け、一歩前進したのは評価したい。
 ただ、焦点だった診療報酬を引き下げ、医療、介護などの社会保障費の伸びは4400億円強に抑制した。それでも全体では総額31兆円を超え、過去最大となった。
 政府開発援助(ODA)予算が17年ぶりに増えたのは、主要国首脳会議を見据えた措置だろう。国際社会を意識した安倍カラーと言える。
 環太平洋連携協定(TPP)で揺れる農林水産分野は、農地の大区画化など土地改良事業関連が15年度補正と合わせて夏の概算要求を大幅に上回るなど、大盤振る舞いである。歳出は膨らむ一方だ。
 税収の伸びに支えられ新規国債の発行額は減らした。だが、国と地方の借金残高は過去最悪の1062兆円に膨れ上がる。目先の選挙対策で次世代にツケを回すべきではない。
 安倍政権は経済再生と財政健全化の両立を目指す。名目成長率3%程度という見通しを前提に、借金に頼らず政策経費を賄えるかを示す「基礎的財政収支」の黒字化を20年度に達成する考えだ。来年度も3・1%という高い経済成長を見込んだ。
 だが、米国の利上げに伴う新興国経済の減速懸念など景気の先行きには不透明感がつきまとう。政府は経済成長頼みでなく、財政健全化の道筋をきちんと示すべきだ。
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山陰中央新報 ('15/12/25)
論説 :16年度予算案/財政健全化と言えるのか


 政府は、一般会計総額で96兆7218億円と過去最大の2016年度予算案を決定した。高齢化に伴う社会保障費の伸びを夏の概算要求から圧縮する一方、税収は57兆6040億円と25年ぶりの高い水準を見込んだ。このため国の借金である国債発行額は8年ぶりの低水準になる。
 今回の予算は「基礎的財政収支を20年度までに黒字化する」との目標を掲げ今夏に定めた財政健全化計画の初年度に当たる。計画は特に、16年度からの3年間を集中改革期間と位置づけている。
 このため安倍政権としては健全化計画に沿って歳出を抑える一方、経済運営の成果で税収が増え国債発行も減る、と順調な滑り出しをアピールするだろう。
 ただし、素直に好スタートと言い切れない面がある。社会保障費や公共事業費が16年度予算案では抑えられているが、並行して編成された15年度補正予算案に大盤振る舞いのような巨費が盛り込まれたからだ。
 当初予算に厳しく、補正予算には甘い-この姿勢は、これまでにも経済財政諮問会議の民間議員などから財政規律を損なうと問題視された。
 そうでなくとも健全化計画は「実質で2%、名目で3%を上回る」極めて高い成長を前提にしており、学識者や民間エコノミストから実現性に疑問が投げ掛けられている。国民や金融市場の信頼を得られる対応に改めるよう求めたい。
 数字合わせの典型例が社会保障費だ。健全化計画を守るため16年度は、その増加を5千億円程度に抑えねばならず、概算要求から1700億円を削る必要があった。このため政府は診療報酬の引き下げを中心に削る額を捻出したとしている。
 しかし、その一方で補正予算には、低所得高齢者に1人3万円を配る臨時給付金の約3600億円をはじめ「1億総活躍」の名の下に約8千億円の社会保障費が盛り込まれた。補正予算での措置がなければ、健全化計画はスタートから頓挫したことだろう。
 公共事業費は16年度予算案で、5兆9737億円と表面的には前年度比ほぼ横ばいとなった。しかし、こちらも補正に6千億円近くが入っていて、それと合わせれば実質は大幅増になる。見えないところで「ばらまき」が仕込まれていると指摘されても仕方ない。
 一方の歳入面では、高い税収見通しの裏側にトリックまがいの仕掛けがある。予算編成の前提となる16年度の政府経済見通しで、名目成長率を3・1%と高い数字に設定した点だ。
 物価が上昇して名目成長率が高まれば、それに伴い税収も増える傾向がある。高い税収を期待して成長見通しを引き上げがちだが、日本の名目成長率は過去20年間、3%に届いたことがないというのが現実だ。
 そして歳出と歳入両面を、いわば取り繕った予算案で、明らかに別扱いされたといえるのが5兆円を初めて超えた防衛費だ。在日米軍へのいわゆる「思いやり予算」も増額となった。
 安全保障を特に重視する安倍政権が米国傾斜を強めているためだが、これでは財政再建に「聖域」をつくってしまうことになりかねない。
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山陽新聞(2015年12月25日 07時23分 更新)
社説:政府予算案 税収増も楽観には程遠い


 政府の2016年度予算案が閣議決定された。一般会計の総額は96兆7218億円で、高齢化に伴う社会保障費の増加などで過去最大に膨らんだ。税収増という好材料はあるが、不足する約3分の1は依然借金頼みだ。財政再建の道のりは容易ではない。
 税収は57兆6040億円で15年度当初比5・6%増を見込む。企業業績の改善に助けられ、バブル景気の影響で税収が伸びた1991年度以来、25年ぶりの高水準となる。これに伴い、新規国債発行額は同6・6%減の34兆4320億円に抑制される。借金の割合を示す国債依存度は35%台となり、リーマン・ショック以前の水準にほぼ戻る。
 借金頼みの度合いは和らぐが、全く楽観はできない。政府は基礎的財政収支を20年度に黒字化させるとしている。ただ、名目3%超の経済成長が続いても達成は困難だ。国と地方の借金残高も16年度末に1062兆円に膨らむ。
 今回は税収増に支えられたが、こうした経済情勢が今後も長く続く保証はない。将来的に着実に財政再建に向かっていく状況には程遠い。
 政策経費は73兆1097億円とこれも過去最大となった。公共事業費などは15年度当初比で横ばいだ。来年夏に迫った参院選を控えて、歳出抑制で景気が下振れするのを恐れる自民党内からの圧力もあったようだ。
 安全保障や外交の分野では安倍カラーが強くにじんだ。防衛費は初めて5兆円を超え、自衛隊が日本周辺海域の警戒監視に使う哨戒ヘリコプター17機を一括調達する。政府開発援助(ODA)も17年ぶりに増額となった。
 社会保障費は31兆9738億円となる。薬価引き下げにより8年ぶりに診療報酬をマイナス改定し、15年度当初比約4400億円の増にとどめた。予算の約3割を占め、年々1兆円ずつ膨らむとされる分野であり、無駄を削り出す不断の見直しが必要だ。
 安倍政権が看板施策に掲げる「地方創生」は実質2年目を迎える。そのための施策に充てる「まち・ひと・しごと創生事業費」には15年度と同額の1兆円を充てた。各自治体が人口減少対策の5カ年計画「地方版総合戦略」を来年3月までに完成させるのに合わせ、「地方創生推進交付金」1千億円を盛り込んだ。
 交付金は、高齢者の地方移住促進や、地域産品のブランド化などを後押しする。地方からは上積みを求める声が上がり、前倒しする形で15年度補正予算案にも「地方創生加速化交付金」1千億円を計上し、計2千億円とした。
 安倍晋三首相は16年度予算案に関して「地方創生を本格的に展開していく」と述べた。「1億総活躍社会」が新たな看板に掲げられ、先行する地方創生の取り組みがかすみかねないという懸念も地方にはある。政府の本気度が試されており、同時に地方の知恵と熱意も問われる。
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中国新聞 2015/12/25
社説:政府予算案 「健全化」と胸張れるか


 経済成長と財政健全化の両方に目配りできた―。そんな自画自賛が閣僚たちから聞かれた。きのう政府は2016年度予算案を閣議決定した。
 一般会計総額では96兆7218億円と過去最大を更新した。夏の概算要求から絞り込んだとはいえ最終的には、やはり水膨れに近い。その割に危機感がそれほど伝わってこない。
 もともと積極的な財政出動が安倍政権の旗印である。このところの税収回復が、少々の歳出増は大丈夫という楽観的な空気を生んでいるのだろう。
 確かに企業収益は円安局面において過去にないほど好調で、税収は57兆6千億円余りとバブル期以来の数字を見込む。ただ名目成長率を3・1%と相当高めに設定したためで、世界経済の動向次第では皮算用に終わることを忘れてはならない。
 そうした点を考えても、政権の現状認識はどうなのか。中長期的な財政運営を見通した視点が薄いように見えるのは気掛かりである。
 財政再建を考える上で、この予算の意味は重い。「基礎的財政収支を20年度までに黒字化する」とした新たな財政健全化計画の初年度に当たるからだ。
 新たな借金である国債の新規発行は減っている。16年度は34兆4千億円余りで本年度よりも2兆円以上、ピークに比べれば10兆円ほど少ない。やみくもな経済対策が借金を増やした08年のリーマン・ショック以前に戻ったことにはなる。だからこそ政権としては、健全化計画は順調なスタートを切ったと言いたいのだろう。
 しかし、依然として歳入の3分の1以上が国債頼みの上、歳出抑制が不十分なために16年度の基礎的財政収支は、まだ11兆円弱の赤字の見通しだ。このままでは黒字化への道は遠い。
 歳出への切り込みをめぐって象徴的なのが総額で32兆円近い社会保障費の扱いである。
 年に1兆円もの自然増の傾向に対し、4400億円余りの伸びに抑えた。診療報酬のマイナス改定などで概算要求から削ったというが、年明けに提出する本年度補正予算案を使った数字のからくりも見過ごせない。こちらに低所得の高齢者への3万円給付など約8千億円の社会保障費が盛り込まれたからだ。
 歳出全体を見回しても維持または積み増す分野が目立つ。公共事業のほか環太平洋連携協定(TPP)対策も掲げる農林水産関連もそうだ。主要項目でそれなりに削減したのはリーマン・ショック後の別枠加算が終わる地方交付税ぐらいである。
 むろん個別に見れば災害対策など不可欠な事業もあろうが、来年の参院選を意識してさまざまな歳出圧力に配慮した「ばらまき」の印象は拭えない。子育て世代の家計支援に重点配分するのも、その一環だろう。
 「聖域なき歳出削減」どころか「聖域」がどんどん拡大していくのを危惧する。その中で防衛費が4年連続で増加し、ついに5兆円を超えたことに国民の理解はどこまで得られよう。
 安倍晋三首相が政権に返り咲いて3年。そのカラーが、最も反映された予算編成といえなくはない。ただ国家財政の行く末よりも目先の政治的な思惑を優先する姿勢ばかりなら、リーダーとして真の信頼に値しないことは肝に銘じてほしい。
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