2016-01-17(Sun)

株安と安倍政権 目先優先のつけ回る

経済政策に「百年の計」を 株安の進行 海外要因だけなのか

-----株式市場で年初から波乱含みの展開が続いている。日経平均株価は大発会から6営業日連続で下げた。これは戦後初めての事態だ。年初来の下げ幅も合計で一時2000円を超えた。

中国経済の減速など海外要因が理由とはいえ、政権3年間で株価が2倍以上に上昇したことを「アベノミクスの成果」と誇る安倍政権にとっては痛手だろう。だからと言って政府や日本銀行が目先の株価対策に走るようなことがあってはならない。
 
これまでの株高は、超金融緩和によってもたらされた側面が強い。経済成長のほうはゼロに近いわずかな伸びにとどまっており、実体経済とは遊離した株高だったと言える。ならば、経済政策が株価に振り回される必要はない。政府には、この株安を長期的な備えを促す警鐘として受け止めてほしい。

-----目先優先のつけ回る
 安倍政権経済政策は、短期的な成果や評価を重視しすぎるきらいがある。人々の目の前の期待に応えようとする一方で、将来世代への視点を著しく欠いているのではないか。

-----足元の経済成長や株高という目先の政策を優先してきたつけが将来に回りかねない危うさがここにも潜んでいる。

-----それでも政権は「アベノミクスは成功している」としている。ならば、なぜ企業は史上最高益をあげても賃上げに及び腰で、内部留保をため込むのか。国民が消費に尻込みするのはどうしてなのか。
 
小林慶一郎慶大教授は「“短期楽観”を強調する政府の姿勢そのものが厳しい現実を見ていないことを露呈し、かえって企業や消費者を“長期悲観”に陥らせている」という。
(朝日新聞)

<各紙社説>
朝日新聞)株安と安倍政権 経済政策に「百年の計」を(1/16)
読売新聞)金融市場大荒れ 中国発の不安連鎖を断ち切れ(1/16)
日本経済新聞)マネー変調へ警戒緩めるな (1/15)
東京新聞)株安の進行 海外要因だけなのか(1/13)




以下引用



朝日新聞2016年1月16日05時00分
(社説)株安安倍政権 経済政策に「百年の計」を


 株式市場で年初から波乱含みの展開が続いている。日経平均株価は大発会から6営業日連続で下げた。これは戦後初めての事態だ。年初来の下げ幅も合計で一時2000円を超えた。
 中国経済の減速など海外要因が理由とはいえ、政権3年間で株価が2倍以上に上昇したことを「アベノミクスの成果」と誇る安倍政権にとっては痛手だろう。だからと言って政府や日本銀行が目先の株価対策に走るようなことがあってはならない。
 これまでの株高は、超金融緩和によってもたらされた側面が強い。経済成長のほうはゼロに近いわずかな伸びにとどまっており、実体経済とは遊離した株高だったと言える。ならば、経済政策が株価に振り回される必要はない。政府には、この株安を長期的な備えを促す警鐘として受け止めてほしい。
 世界のお金の流れは大きく変わろうとしている。昨年末、米連邦準備制度理事会(FRB)が7年ぶりにゼロ金利を解除し、利上げに踏み切ったことで、先進国から新興国へと流れていたお金の潮流に巻き戻しが始まった。世界中でだぶついていた緩和マネーは今後収縮していく可能性が強い。
 緩和の恩恵を受けてきた株式市場で調整がおきるのは避けられない。最近の日本の株安もそういう構造変化の文脈でとらえたほうがいい。世界中が歴史的な株高に沸いた時期は、昨夏のチャイナ・ショックまでと見るべきだろう。
 ■目先優先のつけ回る
 安倍政権経済政策は、短期的な成果や評価を重視しすぎるきらいがある。人々の目の前の期待に応えようとする一方で、将来世代への視点を著しく欠いているのではないか。
 来年4月に予定される消費増税で食料品などに導入する軽減税率を巡る政策対応は、その典型と言っていい。
 軽減税率を構えるために必要な財源1兆円のめどがたっていないなかで、首相は国会で「税収上ぶれ分」を検討することに言及した。税収が予想より増えるのをあてにして恒久的な政策を決めるのは、きわめて無責任だ。税収が予想より増えなかった場合、結局は、政府が新たな借金でしのぐしかなくなる。つまりは、これも将来世代への問題の先送りにすぎない。
 アベノミクスを支える日銀の異次元緩和にも「見えない国民負担」が隠されている。いま日銀は高値で国債を大量購入しているが、いずれ景気がよくなれば国債価格は下落(利回りは上昇)する。その局面での金融引き締めは日銀には逆ざやとなって巨額損失が見込まれる。債務超過の恐れもある。穴埋めに使われるのは国民の税金である。
 足元の経済成長や株高という目先の政策を優先してきたつけが将来に回りかねない危うさがここにも潜んでいる。
 ■将来世代と連結で
 それでも政権は「アベノミクスは成功している」としている。ならば、なぜ企業は史上最高益をあげても賃上げに及び腰で、内部留保をため込むのか。国民が消費に尻込みするのはどうしてなのか。
 小林慶一郎慶大教授は「“短期楽観”を強調する政府の姿勢そのものが厳しい現実を見ていないことを露呈し、かえって企業や消費者を“長期悲観”に陥らせている」という。
 国民負担を先送りしても、いずれ、この国の誰かが支払わなければならない。先送りしている間にそれがいっそう膨れあがり、時間の経過とともに増税や歳出削減の規模が大きくなってしまうかもしれない。いつか超インフレに襲われ生活が脅かされる可能性だってある――。
 国民はすでにそう予感し、行動しているのではないか。
 そんな不信を取り除くには、リタイア世代、現役世代、将来世代をあわせた現在と未来の「連結決算」で政策効果を検証し、国民に示す必要がある。
 年初には株式市場や経済界には経済の先行きを楽観する声があふれていた。政権と声を合わせ「うまくいく」と自己暗示をかけることが救われる道なのだと信じているかのように。
 ■財政再建こそが課題
 だが、超金融緩和がもたらしたカネ余りの時代は終わりを迎えようとしている。「名目3%、実質2%成長」という楽観に楽観を重ねた政府の経済見通しと、それに基づく中期財政計画は早晩、行き詰まる。さえない経済の時代が長く続くことも想定した現実的見通しに基づいて財政再建を進めていくことが、最重要課題になるはずだ。
 今国会でも、ばらまき的色彩が濃い低年金高齢者への給付金を盛り込んだ補正予算案が審議されている。安倍政権の関心は夏の参院選対策に向けられているのだろう。
 もっと先も見据え、日本の国家運営の「百年の計」を考えて財政再建に取り組む姿勢がいまの政治にほしい。政権のエネルギーはそこに注ぐべきだ。
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読売新聞 2016年01月16日 03時09分
社説:金融市場大荒れ 中国発の不安連鎖を断ち切れ


 中国経済への不信を震源とする世界の金融市場の動揺が続いている。
 東京市場の日経平均株価は一時、1万7000円を割り込んだ。その後は、やや持ち直したが、年明け以降の株価の下げ幅は1800円にも達した。
 中国・上海市場が年初来、15%も下落したことが引き金となった。欧米、アジアの主要市場でも株価の乱高下が止まらない。
 中国経済の成長鈍化と、通貨・人民元の下落への不安感が市場を覆い、投資マネーが行き場を失ったことが混乱を招いている。
 原油相場の下落に歯止めがかからない中、産油国が各国市場で保有株を大量に売却したことも株安に拍車をかけている。
 米ニューヨーク市場では、原油が一時、1バレル=29ドル台まで下がり、12年ぶりの安値をつけた。反発のきっかけも見えない。
 不安の連鎖を断ち切り、市場の沈静化を図る必要がある。各国金融当局の協調が大切だが、とりわけ中国の責任は重大である。
 習近平政権は、投資中心の成長から消費主導の安定成長に移行する「新常態」(ニューノーマル)を目指しているが、その道筋は明確になっていない。
 当面の景気の急減速を防ぐ手立てを講じる。さらに、国有企業改革や地域金融機関の不良債権処理などを具体化する。こうした政策の工程表を明示すべきだ。
 相場急変時の取引停止制度や株の売却規制をめぐる場当たり的な対応を改め、市場と丁寧に対話する努力も欠かせない。
 米国は昨年12月、ゼロ金利政策を解除し、一段の利上げを視野に入れる。自国の金融政策が国際市場にどう波及するかを分析し、次の利上げ時期や上げ幅を慎重に検討することが求められる。
 日本は、現在の国内市場の動揺が実体経済に悪影響を及ぼさないようにすることが重要だ。
 企業は過去最高水準の好業績を記録し、景気は緩やかな回復を続けている。原油安も、企業活動や家計にはメリットがある。過度に悲観する必要はあるまい。
 ただ、円高の進展は懸念材料である。企業の多くが想定する円相場は、1ドル=120円前後だ。現在の117円前後より円高が進めば、自動車や電機といった輸出関連企業の業績を下押ししよう。
 こうした懸念に目配りしつつ、何より必要なのは、政府の成長戦略を強化することだ。新事業の創出や雇用機会の拡大を進めて、経済の底上げを急ぎたい。
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日本経済新聞 2016/1/15付
社説:マネー変調へ警戒緩めるな


 世界で金融マーケットの動揺がなかなか収まらない。14日の東京市場では日経平均株価が一時、1万7000円を割り込み、長期金利は過去最低を更新した。株式など値動きが激しいリスク資産から資金が流出し、相対的に安全度が高い国債が買われる流れが欧米でも顕著だ。
 中国景気や人民元の先行きに対する懸念と、原油安の長期化が、投資家の心理を引き続き冷え込ませている。米国が昨年暮れ、世界経済の回復に力強さが欠けるなかで利上げに転じ、資金の流れに変化を生んだ点も見逃せない。
 米連邦準備理事会(FRB)は世界の経済や市場の状況をみながら、これからの利上げペースを慎重に決めてほしい。
 市場の動揺は日本経済の足元の変化を映すものではないが、世界の投資マネーの変調が長引くと、国内の景気や企業業績へも響きかねない。政府・日銀や企業経営者は市場の急激な変動に警戒を緩めることなく、さまざまなリスクに目配りすべきだ。
 日本にとって原油安は燃料費の低下という恩恵がある一方、企業業績への悪影響ももたらす。例えば資源依存度の高いブラジルがマイナス成長に陥り、キリンホールディングスは2015年に同国の事業で1000億円超の減損損失を出した。
 主力上場会社は利益の半分以上を海外で稼いでいる。経営者は世界で事業を拡大するうえで、新興国を中心に各国経済の動向をよく見極めるべき時だ。
 投資家が不安心理を強めているのに伴い、外国為替市場では円高圧力も増している。輸出産業を中心に円安による収益の押し上げ効果がしぼむなか、企業はマクロ政策に頼らず「稼ぐ力」の実力をいかに高めるかが問われる。
 上場会社は約100兆円の手元資金を抱える。企業は潤沢な資金を持つ強みを今こそ生かして成長戦略を進め、政府は企業の活力を高める規制緩和にさらに力を入れるべきだ。
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東京新聞 2016年1月13日
【社説】株安の進行 海外要因だけなのか


 株安が止まらない。年明けから六営業日連続の株価下落は戦後初だ。中国経済の減速、中東などの地政学的リスク、原油の値崩れといった海外要因が語られる。日本の経済政策には問題はないのか。
 昨年八月の世界同時株安に続いて二度目の「中国ショック」というのが株式市場の受け止めである。年明け早々、中国の株式市場が急落し、同国経済の減速が世界経済に及ぼす懸念から世界中で株価が下落した。
 加えて中東のイランとサウジアラビアの断交と、北朝鮮の核実験という地政学上の大きなリスクが表面化し、市場の不安を増幅させた。原油安で産油国の財政が悪化、オイルマネーが株式市場から引き揚げられたことやロシア、ブラジルなど資源国経済が悪化した。
 そもそも二〇〇八年のリーマン・ショック後から始まった米国、日本、欧州の強力な金融緩和によるマネー膨張が世界的な株高を生んだ。しかし、その「宴(うたげ)」は終わりを迎えたのである。
 米国が昨年十二月に利上げに転じ、緩和マネーは新興国から米国へ逆流する動きが出始めた。中国ではリーマン後に世界経済をけん引した巨額投資が、今は逆に過剰債務となってのしかかっている。
 問題は今後である。世界株安は止まるのか。再びリーマン・ショック級の世界不況に陥るか否か。
 中国は生産・投資主体の高成長から、消費主導の経済「新常態(ニューノーマル)」への転換を目指しているが軟着陸できるか予断を許さない。難民問題に揺れる欧州はデフレ懸念が強まっている。利上げした米国も、エネルギー関連企業が多いだけに原油価格が一段と下落すると景気の足を引っ張りかねない。
 そこで日本経済である。安倍晋三首相は「デフレではないがデフレ脱却というところまでは来ていない」と曖昧だ。アベノミクスの行き詰まりは認めたくないが、参院選を控え景気対策に含みを残したい。そんなところなのだろう。
 しかし「株価は経済の先行きを映す鏡」といわれる。海外要因とばかりはいえないはずだ。大手企業の多くは過去最高益を見込むにもかかわらず、代表的なトヨタ自動車の労組は今春闘のベア要求を昨年の半分の三千円に引き下げる。要求の根拠となるのは物価上昇率と業績だが、アベノミクスでは物価が上がらず景気も期待できないということだ。
 トップ企業でさえ昨年を下回る賃上げ要求しかできないのではデフレ脱却できるか大いに不安だ。
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