2016-01-15(Fri)

原油価格急落 恩恵を家計に届けねば

原油30ドル割れ 影響の広がりに警戒を  世界経済波乱要因に 

-----原油価格の下落が止まらない。国際的な指標となっている原油の先物価格が、約12年ぶりに1バレル=30ドルを下回った。各国の株式市場や債券市場にも動揺が波及し、大荒れの年明け相場である。
 
驚くのは原油相場の変動の幅と速さだ。2003年の1バレル=20ドル台から08年夏の150ドル寸前まで急騰したかと思えば、リーマン・ショック後の金融危機で急落。ほどなく反転すると、たちまち100ドル近辺まで値を戻した。
 
そこからわずか1年半ほどで、3分の1以下に落ち込んだのである。

-----先進国の証券・不動産市場から、産油国の投資資金が引き揚げられ、相場の下落が続く懸念もある。石油関連企業の破綻で債務不履行が相次ぎ、信用不安につながることはないかも警戒しなければいけない。
 
大きな影響が世界中に及びそうな原油相場の急落だが、需要と供給の関係だけで、これほどの変動を説明するのは難しい。
 
確かに、中国など主要消費国の景気減速に伴う需要減や、シェールオイルの台頭に代表される供給力の増大は原油価格下落の背景にある。だが、金融危機後、主要国の中央銀行が導入した大規模金融緩和策であふれ出た巨額のマネーが、相場を過剰につり上げていた面も見過ごせない。
 
米国の中央銀行が量的緩和を終え、利上げに踏み切ったことで、マネーの流れが反転し、原油先物相場の下落に拍車がかかった。
 
その米国の利上げは、緒に就いたばかりで、これからが正念場だ。日本や欧州の量的緩和終了は、市場関係者の視野にさえ入っていない。原油相場に限らず、過剰マネー時代の終息が迫る市場や経済環境の変化に備える必要がある。
(毎日新聞)

<各紙社説>
毎日新聞)原油30ドル割れ 影響の広がりに警戒を(1/15)
岩手日報)原油価格急落 経済の強度が試される(1/15)
信濃毎日新聞)原油価格低下 世界経済の波乱要因に(1/13)
南日本新聞) [原油価格急落] 恩恵を家計に届けねば(1/15)




以下引用



毎日新聞2016年1月15日 東京朝刊
社説:原油30ドル割れ 影響の広がりに警戒を


 原油価格の下落が止まらない。国際的な指標となっている原油の先物価格が、約12年ぶりに1バレル=30ドルを下回った。各国の株式市場や債券市場にも動揺が波及し、大荒れの年明け相場である。
 驚くのは原油相場の変動の幅と速さだ。2003年の1バレル=20ドル台から08年夏の150ドル寸前まで急騰したかと思えば、リーマン・ショック後の金融危機で急落。ほどなく反転すると、たちまち100ドル近辺まで値を戻した。
 そこからわずか1年半ほどで、3分の1以下に落ち込んだのである。
 日本のようにエネルギーを海外から輸入している国にとって、原油安自体は恩恵となる。消費者に身近なガソリンや灯油の値下がりは、家計にとってありがたいことだ。
 問題は、原油相場の下落がいつまで続くかである。長期化すれば、さまざまな悪影響が広がりそうだ。原油の輸出に依存する中東諸国や他の新興国では経済が冷え込み、財政難や社会の混乱を招く恐れもある。
 代表的な産油国のサウジアラビアやロシアは、すでに大幅な歳出削減を余儀なくされている。サウジは、手厚い補助金により、燃料や公共料金の値段を低く抑えてきたが、持続困難になり、国民に不人気の値上げに踏み切らざるを得なかった。
 資源国や新興国の不振は、日本を含む先進国の経済にも跳ね返る。成長市場と期待されてきた資源国・新興国への輸出が減少し、先進国で企業業績が落ち込む恐れだ。
 先進国の証券・不動産市場から、産油国の投資資金が引き揚げられ、相場の下落が続く懸念もある。石油関連企業の破綻で債務不履行が相次ぎ、信用不安につながることはないかも警戒しなければいけない。
 大きな影響が世界中に及びそうな原油相場の急落だが、需要と供給の関係だけで、これほどの変動を説明するのは難しい。
 確かに、中国など主要消費国の景気減速に伴う需要減や、シェールオイルの台頭に代表される供給力の増大は原油価格下落の背景にある。だが、金融危機後、主要国の中央銀行が導入した大規模金融緩和策であふれ出た巨額のマネーが、相場を過剰につり上げていた面も見過ごせない。
 米国の中央銀行が量的緩和を終え、利上げに踏み切ったことで、マネーの流れが反転し、原油先物相場の下落に拍車がかかった。
 その米国の利上げは、緒に就いたばかりで、これからが正念場だ。日本や欧州の量的緩和終了は、市場関係者の視野にさえ入っていない。原油相場に限らず、過剰マネー時代の終息が迫る市場や経済環境の変化に備える必要がある。
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岩手日報(2016.1.15)
論説:原油価格急落 経済の強度が試される


 年明けから原油価格が一段と下がっている。米国の市場では一時、1バレル=30ドルを割り込んだ。12年ぶりの安値水準で、さらに下落する可能性も指摘される。
 暮らしには恩恵が大きい。14日発表の県内のレギュラーガソリンは1リットル平均117円台と値下がりが続く。169円台だった一昨年夏から50円以上安くなった。
 県生協連の配達灯油も今季3回値下げされ、11年ぶりに1リットル60円を切る。燃料費の動きが反映される電気料金も下がっている。
 寒さ本番を迎えた岩手で、灯油や電気代が安くなるのは歓迎されよう。車が欠かせない地域だけに、ガソリン安も家計の助けになる。
 中小企業や農業者らにとっては、燃料費の下落がコスト低減につながる。これまでは円安や消費税増税にあえいできただけに、一息つける事業者もあるだろう。
 だが、日本経済全体で見ると負の側面が無視できなくなってきた。原油安を背景に円高が進み、株価急落に歯止めがかからない。
 戦後初めて年明けから6日続落した東京株式市場の平均株価は14日、下げ幅が一時700円を超えた。株安は世界に連鎖し、投資家の不安心理が広がっている。
 市場の変調は、財政が悪化した産油国のオイルマネー流出が直接の原因となった。投資家はリスクの高い株や原油の取引を控え、「安全資産」の円を買う。すると円は高く、株は安くなる。
 しかも原油安は長引くと見込まれる。経済が減速する中国やインドの需要が落ち込むのに加え、産油国間の対立で生産量を協調して減らすことができなくなった。
 イランとサウジアラビアの断交が中東の混迷に輪を掛ける。米国が新型原油「シェールオイル」を大量生産し、輸出を解禁することで、ますます底値は見えにくい。
 円安・株高を経済の好循環としてきた安倍政権は試練を迎えたが、麻生太郎財務相は「日本企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)は悪くない」と楽観的だ。
 しかし原油安は物価を、株安は経済の体温を下げてデフレ脱却は遅れる。日本経済の基礎が悪くないとするならば、その強度が試される局面ではないか。
 とりわけ日銀の立場は難しい。原油安で2%の物価上昇目標の達成は風前のともしびとなった。猛烈な勢いで金融を緩和した結果、追加の打つ手は限られる。
 安倍政権は、日銀の大規模緩和と年金積立金の市場投入により「官製」の株高を演出してきた。経済の変調は、アベノミクスの真の姿も浮かび上がらせることになろう。
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信濃毎日新聞 (2016年1月13日)
社説:原油価格低下 世界経済波乱要因


 原油価格の低迷が世界経済の不安定要因の一つになっている。11日のニューヨーク原油先物相場は一時1バレル=30ドル台まで下がった。2003年12月以来、12年1カ月ぶりの低水準だ。20ドル台突入が目前に迫っている。
 産油国の政府系ファンドは、原油安で収支が悪化すれば、手持ちの資産を売却する。ほかの投資家も株安を懸念し、さらに売りに出る。原油価格の急激な変動は、世界の経済にはマイナスだ。
 原油安の傾向は14年夏に始まった。中国など新興国経済の減速感が強まり、需要が伸びないと予測されたからだ。
 最近になって価格低下が加速したのは、産油国の足並みが乱れ、供給が過剰になったことが要因とされる。主要産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)は昨年12月の総会で減産を見送った。
 新型原油シェールオイルの生産を米国が増やし、世界の需要に占めるOPECのシェアは低下傾向にある。その中でOPECの盟主サウジアラビアは、価格を引き下げてシェールオイル陣営に打撃を与え、市場シェアを確保する戦略を優先している。
 サウジと対立するイランは、核問題に伴う欧米の経済制裁が解除されれば増産する構えで、減産に消極的だ。両国の国交断絶は減産を探る余地を小さくすると受け止められ、さらに価格が低下した。
 米国が原油輸出を40年ぶりに解禁すると昨年末に決めたことも、価格下落の要因の一つだ。
 米国内ではガソリンの在庫が急速に増え続けている。イランが輸出を増やす前に、海外での販売先を確保したいという米国の思惑が、供給過剰につながったとの見方もある。
 年が明けてからは、中国の景気減速が鮮明になり、原油価格がさらに低下した。原油マネーが先細りする懸念に、中国の影響で世界経済が減速する懸念が加わり、投資家心理を冷やした。
 主要国の金融緩和であふれた投資マネーは、原油や株式市場から逃げて、安定資産とされる円や債券に流れている。きのうの外国為替相場では一時1ドル=117円台前半の円高になった。
 東京株式市場は戦後初めて大発会から6営業日続落し、この間に1800円以上下がった。米ダウ工業株30種平均も下落傾向だ。
 市場の混乱は日本だけでなく、米国経済にも影響を与える。要因は複雑に絡み合っている。政府や日銀は経済への影響を慎重に見極める必要がある。
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南日本新聞 ( 2016/1/15 付 )
社説: [原油価格急落] 恩恵を家計に届けねば


 原油価格が急落している。輸入頼みの日本経済にとっては明るい材料だ。原油安の恩恵をしっかり家計に届け、経済再生の追い風にしたい。
 ニューヨーク市場の原油先物相場は一時、1バレル=30ドルの大台を割った。30ドル割れは12年ぶりで、過去最高値から実に8割もの下落になった。
 背景にあるのは供給過剰だ。
 米国は新型原油「シェールオイル」の大量生産を始め、今や最大の産油国である。主要産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)は、先月の定時総会で減産を見送った。値崩れ対策より市場シェア確保の姿勢が鮮明だ。
 一方の需要はといえば、石油を大量に消費してきた新興国の経済成長にブレーキがかかっている。代表格である中国は、昨年の貿易総額が6年ぶりの前年比マイナスに沈んだ。
 今後の価格についても先安感がなお強い。20ドル割れを予測する海外金融大手すらある。
 OPEC加盟国のイランが核問題で欧米と最終合意した。経済制裁が近く解除されれば、輸出を拡大することも一因だろう。
 地政学的リスクなどを挙げて、不透明とする見方は一部にとどまる。
 東日本大震災で原発が停止し、日本経済は火力発電の燃料費高騰に苦しんできた。原油値下がりはガソリン、灯油の価格低下にもつながる。家計にとって歓迎すべきことだ。
 特に地方は買い物や通勤に車が欠かせない。ガソリン安値の恩恵は、首相の経済政策アベノミクスより即効性がある。
 もっとも原油急落はリスクも伴う。産油国の経済や財政を揺るがし、その影響が世界全体に及ぶことだ。
 産油国ロシアは通貨安も進み、とうとう国家予算の削減に追い込まれる。原油安が加速すれば、プーチン政権の支持率に及ぶ可能性もある。
 年明け早々の世界的な株安は中国市場の混乱に加え、原油下落が一因とされる。東京株式市場も例外ではなく、戦後初の6日続落を記録した。
 円高株安への転換が進んで、日本経済に冷や水を浴びせないか。政府は慎重に見極め、景気失速を防がなければならない。
 原油安は物価全体を下げる。2%の物価上昇目標を掲げる日銀には頭の痛い問題だろう。
 しかし、負担増の続く家計には朗報である。個人消費を含めた経済全体に目配りして、柔軟に目標を修正すべきである。
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