2016-01-24(Sun)

スキーバス転落事故 おおもとに規制緩和推進策 

各紙社説 事後監査の強化だけで十分か 人命優先の規制強化こそ急げ

----深刻なのは、貸し切りバス業界のなかで安全置き去りの事業者が後を絶たず、構造的な問題になっていることです。引き金は、自民・公明政権の「規制緩和」路線にもとづき2000年に行われた道路運送法改定です。バス事業への参入要件を免許制から許可制に緩めた結果、事業者数は約2300から約4500へ急増しました。それが受注競争を激化させ、異常な値引き競争を引き起こしたのです。(しんぶん赤旗)

国土交通白書 2002年版
1.規制緩和の推進
(1)交通政策の基本的考え方
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013110.html
---- 交通サービスの安定的な供給を確保する観点から事業を安定化させる機能を果たしてきた需給調整規制については、交通運輸市場が成熟段階に入り、自家用交通の普及が進む中で、その制度的意義が薄れる一方で、需給調整によって実現されてきた内部補助(注)による不採算路線の維持手法の限界や弊害が指摘されるようになった。
 このため、従来の運輸行政を転換し、民間活動を可能な限り市場原理に任せる、あるいは、活用することにより、事業者間の活発な競争を通じて交通サービスの向上等を図ることとし、人流・物流を含めた各事業分野において、順次、需給調整規制の廃止等の規制緩和を進めてきている。
---- 一方、安全の確保、環境問題等市場原理のみでは対応できない課題については、交通政策として適切に対応していくことが必要である。
(注)内部補助:収支採算性の高い路線から得られる利益を、不採算路線の運営により発生する欠損に充てること

(4)事後チェック型行政の確立
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013240.html
---- 需給調整の廃止といった経済的規制の自由化が進んで行く中で、交通の安全の確保等社会的規制は引き続き重要であり、国土交通省に課せられた重大な使命である。
 この使命を厳格に果たしていくため、今後も、規制緩和の動向を踏まえ、安全や消費者利益を確保するための事後チェック型行政を着実に実施していくこととしている。

(2)規制緩和の効果
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013120.html
 公共交通の各分野における規制改革により、各交通事業者等においては、運行頻度の増加、安い運賃等の提供等多様なサービスの提供に向けた取組みが進んでいる。
----
2)旅客自動車運送事業における規制緩和
 貸切バス事業については平成12年2月に、乗合バス及びタクシー事業については、14年2月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行された。
 これにより、事業の参入については、需給調整規制を前提とした免許制から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする許可制へ移行し、運賃制度についても、事業者の創意工夫により多様な運賃を設定することが可能となった。また、運行管理者制度の新設等輸送の安全対策についても充実を図っている。

(イ)貸切バス事業
 貸切バス事業については、規制緩和が行われた平成12年度に、新規参入事業者数が前年と比べほぼ倍増するなど市場原理の導入による競争促進効果がみられたが、13年度においては、景気低迷等の影響を受け、横ばいで推移した。
 また、貸切バス事業への新規参入事業者は、タクシー事業者等の異業種からの参入もみられ、事業の合理化・効率化等経営改善の取組みが積極的に行われている。



<各紙社説・論説・主張>
しんぶん赤旗)スキーバス事故 人命優先の規制強化こそ急げ(1/24)
河北新報)ずさんなバス事業/監査の強化だけで十分か(1/22)
秋田魁新報)スキーバス事故 安全よりも安さ優先か(1/22)
岩手日報)バス転落事故 構造問題にも踏み込め(1/21)
徳島新聞)軽井沢バス転落 再発防止へ監査強化を (1/21)
南日本新聞) [ツアーバス事故] 安全第一の原点確認を(1/21)




以下引用


国土交通白書 2002年版
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/index.html
(2)規制緩和の効果
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013120.html
 公共交通の各分野における規制改革により、各交通事業者等においては、運行頻度の増加、安い運賃等の提供等多様なサービスの提供に向けた取組みが進んでいる。
----
2)旅客自動車運送事業における規制緩和
 貸切バス事業については平成12年2月に、乗合バス及びタクシー事業については、14年2月に、需給調整規制の廃止等を内容とする改正道路運送法等が施行された。
 これにより、事業の参入については、需給調整規制を前提とした免許制から、輸送の安全等に関する資格要件をチェックする許可制へ移行し、運賃制度についても、事業者の創意工夫により多様な運賃を設定することが可能となった。また、運行管理者制度の新設等輸送の安全対策についても充実を図っている。

(イ)貸切バス事業
 貸切バス事業については、規制緩和が行われた平成12年度に、新規参入事業者数が前年と比べほぼ倍増するなど市場原理の導入による競争促進効果がみられたが、13年度においては、景気低迷等の影響を受け、横ばいで推移した。
 また、貸切バス事業への新規参入事業者は、タクシー事業者等の異業種からの参入もみられ、事業の合理化・効率化等経営改善の取組みが積極的に行われている。

(3)適切な競争を確保するための方策
 以上に述べたように、交通運輸分野における市場原理の導入は、交通サービスの向上等をもたらしているが、引き続き、このような規制緩和の効果を十分に引き出していくためには、事業者の市場環境を整備することにより、適切な競争を確保するための措置を講じていくとともに、市場原理の活用のみでは対応できない諸課題を解決していくための取組みを行っていくことが不可欠となっている。
 このため、国土交通省では、1)大手事業者と対等な競争を行うために必要となる社会資本を新規参入事業者に有利に配分を行う等による公平な競争条件の整備、2)創造的な新規ビジネスを育てるために必要な規制の改正や膨大な費用を要するため民間事業者で行うことが困難な基礎研究を行うこと等による新しいサービスの創出支援、3)港湾や空港等主として交通事業者が利用する基盤の整備等に取り組むことにより、交通運輸分野における市場環境の整備を図っている。
 また、規制緩和による競争の促進を図る場合において、1)安全の確保、2)環境に優しい交通の実現、3)混雑の緩和や生活交通の維持等地域における円滑な交通の確保、4)バリアフリー対策をはじめとする少子・高齢社会への対応、5)総合的な交通ネットワークの形成に必要な異なる交通機関間の連携・調整、6)独占的市場の形成や情報の不平等等からの消費者利益の保護等市場原理の活用のみでは対応できない課題が存在していることから、国や地方公共団体が民間事業者と連携して、所要の助成措置や新たな基準の設定等必要な措置を講じつつ、これらの課題への対応を図っているところである。
*************************
第3節 交通政策の改革
1.規制緩和の推進
(1)交通政策の基本的考え方
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013110.html
 交通サービスの安定的な供給を確保する観点から事業を安定化させる機能を果たしてきた需給調整規制については、交通運輸市場が成熟段階に入り、自家用交通の普及が進む中で、その制度的意義が薄れる一方で、需給調整によって実現されてきた内部補助(注)による不採算路線の維持手法の限界や弊害が指摘されるようになった。
 このため、従来の運輸行政を転換し、民間活動を可能な限り市場原理に任せる、あるいは、活用することにより、事業者間の活発な競争を通じて交通サービスの向上等を図ることとし、人流・物流を含めた各事業分野において、順次、需給調整規制の廃止等の規制緩和を進めてきている。
 少子高齢化の進展等により、従来のように公共交通の需要が右肩上がりで望めない中で、各事業者が自由な経営戦略を展開しつつ、創意工夫による交通サービスの改善等を通じて、利用者の増加等を図るという市場原理の活用は、今後より一層重要となることから、国土交通省では、これまで実施してきた規制改革の成果をより確実なものとするよう、規制緩和の影響等を適確に把握しつつ、その定着を図るとともに適正な競争環境の整備に取り組んでいるところである。
 一方、安全の確保、環境問題等市場原理のみでは対応できない課題については、交通政策として適切に対応していくことが必要である。

2.21世紀型交通施策の総合的展開
(4)事後チェック型行政の確立
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h14/H14/html/E2013240.html
 需給調整の廃止といった経済的規制の自由化が進んで行く中で、交通の安全の確保等社会的規制は引き続き重要であり、国土交通省に課せられた重大な使命である。
 この使命を厳格に果たしていくため、今後も、規制緩和の動向を踏まえ、安全や消費者利益を確保するための事後チェック型行政を着実に実施していくこととしている。

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しんぶん赤旗 2016年1月24日(日)
主張:スキーバス事故 人命優先の規制強化こそ急げ


 乗客乗員15人が死亡し26人が重軽傷となった長野県軽井沢町のスキーツアーバス事故で、事故を起こしたバス運行会社や旅行会社の法令違反やずさんな業務実態などが次々と明らかになっています。なぜここまで事態が放置されてきたのか、怒りを禁じ得ません。政府は、深刻なバス事故が起こるたびに「再発防止」策をとるとしてきたのに、なぜ今回の惨事を防げなかったのか。安全置き去りの大本にメスを入れ、悲劇を繰り返さない措置をとることが急務です。
構造的問題が放置され
 多くの若者たちの未来を突然奪った今回の事故は、大型バスがひとたび事故を起こせばどれほど悲惨な事態に直結するかを改めて見せつけました。なぜ大型バスに不慣れな運転手がハンドルを握らされたのか。なぜ予定ルートを通らずに難度の高いカーブの多い道を運転したのか。再発防止のためにも徹底究明が急がれます。
 国土交通省の特別監査や警察の捜査などを通じて明らかになってきたのは、人命をあずかる交通機関として安全を担っていることへの責任や自覚を欠いたバス運行会社とツアーを企画した旅行会社のあまりにずさんな姿勢です。
 事故を起こしたバス会社は運転手13人のうち10人が健康診断をしていなかったことなどで事故直前に行政処分を受けていました。今回も運転手の健康チェックのための点呼もしていません。時間外労働についての労使協定も結ばない違法な実態も判明しました。
 バス会社と旅行会社は、国が安全を確保する基準として定めた運賃下限を大きく下回る金額で契約していました。明らかな法律違反です。「激安」「格安」を売り物にした旅行会社が、バス会社に低運賃を押し付けた疑いが濃厚です。
 深刻なのは、貸し切りバス業界のなかで安全置き去りの事業者が後を絶たず、構造的な問題になっていることです。引き金は、自民・公明政権の「規制緩和」路線にもとづき2000年に行われた道路運送法改定です。バス事業への参入要件を免許制から許可制に緩めた結果、事業者数は約2300から約4500へ急増しました。それが受注競争を激化させ、異常な値引き競争を引き起こしたのです。
 コスト削減のため運転手に低賃金と長時間労働が押し付けられ、健康被害も進みました。27人が死傷した07年の大阪府吹田市のスキーバス事故、45人が死傷した12年の群馬県内の関越道のツアーバス事故などは、運転手の無理な働かせ方による過労が原因でした。
 国交省などは事故のたび、長距離運行では運転手を2人体制にするなど「再発防止」策をとってきましたが、後手に回ったうえ参入規制など問題の大本に手を着けてきていません。関越道事故後も過労運転による事故は発生していました。現場の労働者からは、深刻な危険が繰り返し指摘されていたにもかかわらず、事態を放置してきた政府の責任は免れません。
事後チェックは限界
 バス、タクシー、トラックなどで12万以上の事業者にたいし国交省の監査職員は約370人です。業者の事後チェックに限界があるのは明らかです。問題ある業者を参入させない規制を強めることが、待ったなしです。悲惨な事故を繰り返さないため「規制緩和」を根本から見直すことが必要です。
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河北新報 2016年01月22日金曜日
社説:ずさんなバス事業/監査の強化だけで十分か


 直接の事故原因は別として「起こるべくして起きた事故」と言えるのではないか。
 長野県軽井沢町の国道でスキーツアーバスが転落し、15人が死亡、26人が負傷した事故から1週間が過ぎた。
 この間に行われたバス会社に対する国土交通省の特別監査や旅行会社への調査などで、ツアーバス運行をめぐり法令違反が常態化していた実態が次々に明らかになった。
 ずさんな運行管理や採算優先のツアー企画が事故の背景にあった疑いが濃く、違反は業界に共通した悪弊であるとの指摘も相次いでいる。
 以前に起きた深刻なバス事故の教訓が生かされず、同じ悲劇が繰り返されたのはなぜか。事故原因の究明はもちろん、バス事業の監督の在り方も含めて検証が必要だ。
 未来ある多数の若者が一瞬にして命を落とした事故の悲惨さと深刻さを重く受け止めて、現行の法令や基準を抜本的に見直す覚悟で再発防止に取り組む必要がある。
 バス会社は運転手に渡した運行指示書に休憩などの前提になる走行経路を明記しておらず、健康状態の確認のために義務付けられた出発前の点呼も怠っていた。勤務実態をチェックする書類の虚偽記載や記入漏れ、基準を超えた労働時間も明らかになった。
 昨年暮れに契約社員として採用された運転手は、面接時に「大型バスは苦手」と語っていたといい、運転教育や習熟は不十分だった。
 旅行会社の提示を受け、適正基準料金の下限を3割近く下回る低料金で運行を請け負っており、ほかのツアーでも基準割れの契約を繰り返していたことも分かっている。
 浮かんでくるのは、営業や採算を優先し、安全管理を後回しにする、あるいはせざるを得ないツアーバス業界や旅行業界の危うい実態だ。
 政府の規制緩和により、貸し切りバス事業は2000年以降、それまでの免許制が許可制に変更された。その後は新規参入が相次ぎ、事業者は変更以前から倍増して約4500社まで膨らんでいる。
 格安競争などに伴うトラブルや法令違反が相次ぎ、国交省は対策を強化してきた。
 居眠り運転が原因で7人が死亡した07年の関越自動車道事故の後は、安全コストを反映するため料金の下限を定める見直しにも踏み込んだが、その措置も骨抜きになっていたことが今回裏付けられた。
 事故を受けて国交省は急きょ、行政処分歴のあるバス会社への集中監査に加え、運行直前の抜き打ち監査に乗りだす方針を決めたが、やはり後手後手の印象は拭えない。
 ツアーバスの安全確保に関わる構造的課題は、総務省が10年に行った行政評価で既に詳細に指摘し、実態把握や監査強化を勧告している。にもかかわらず法令違反が放置され、結果として重大事故が防げなかったことを国交省は重く受け止める必要がある。
 規制緩和の代償として、乗客の命が危険にさらされるのでは本末転倒だろう。
 格安ツアーバスというビジネスモデルを根本から問い直すとともに、参入条件の厳格化など入り口規制の検討にも踏み込む必要がある。
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秋田魁新報 (2016/01/22 付)
社説:スキーバス事故 安全よりも安さ優先か


 長野県軽井沢町でスキーツアーの客を乗せた大型バスが道路脇の斜面に転落、41人が死傷した事故から1週間がたった。事故後、バス会社の法令違反が次々と明るみに出ている。
 事故は15日未明、東京から長野県北部のスキー場に向かう途中で起きた。バスの運転手2人と乗客13人の計15人が死亡、乗客26人が重軽傷を負った。ツアー客は東京都渋谷区の旅行会社が集め、バス運行を東京都羽村市の会社に委託していた。
 バス会社の第一の法令違反は、旅行会社から示された料金が国の基準を大きく下回っていたにもかかわらず、運行を受託したことだ。基準料金は、格安をうたうツアーバスが2012年に群馬県の関越道で起こした事故を受け、車両整備費や人件費に見合う額として設定された。
 第二の違反は、運転手の健康管理を怠っていたことだ。さらに残業をさせるのに必要な労使協定を結んでいなかったという違反もあった。違反が事故に直接結び付いたとは言えないとしても、乗客の命を預かるバス会社としては、ずさん過ぎる。
 バスには航空機や列車のような二重、三重の安全装置はなく、運転手の技量や安全運転意識に頼るところが大きい。それだけに法令を順守し、運転手の負担を軽減して事故リスクを低下させる努力が欠かせない。
 今回のスキーツアーのような貸し切りバス事業は2000年に、それまでの免許制から、要件を満たせば営業ができる許可制になった。これにより13年度の事業者数は1998年度の2倍超の約4500社に増えた。
 この規制緩和の結果、バス業界は過当競争に陥ったため、旅行会社から示される運行料金が基準以下でも請け負わざるを得ないのが現状だ。運転手の負担は増し、事故リスクが高まったとされる。低料金で運行させ、結果として安全を軽視している旅行会社の責任も大きい。
 事故後の17日には、兵庫県の高速道路で観光バスが蛇行運転し、添乗員がハンドル操作を補助して停止させる出来事があった。運転手は蛇行中のことを覚えていないという。20日には東京都内で観光バスが信号柱に衝突、乗客24人が軽傷を負った。運転手は「ぼーっとしていた」と話しているという。
 規制緩和にはバス業界への新規参入を促すことで乗客の利便性を高める狙いがあった。だがそれによってずさんな事業者が増えた可能性は否定できない。
 国交省は今後、事業参入時の審査を厳しくし、事業者の安全管理意識を高めるという。だがこれは、規制緩和と同時に講じるべき措置ではなかったか。
 貸し切りバスは訪日外国人客の増加で需要が伸びている。空港や駅から観光地への交通網が十分でない本県にとっても重要な「足」だ。国交省が業界への指導を強めるのは当然だが、業界としても安全性を高める取り組みが求められる。
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岩手日報 (2016.1.21)
論説:バス転落事故 構造問題にも踏み込め


 長野県軽井沢町で15日に起きたスキーバスの転落から、あすで1週間を迎える。大学生ら15人が命を落とした事故の衝撃はなお大きい。
 原因解明は今後の捜査に委ねられるが、既にバス運行会社のずさんな管理体制が明らかになっている。作成が義務づけられる「運行指示書」を作っていなかった。
 さらに、社長が遅刻して運転手の点呼をしていないのに実施済みの印を押していた。運転手の健康診断も行っていないなど数々の法令違反が浮かび上がる。
 見逃せないのは、死亡した65歳の運転手が大型バスに不慣れだったとみられる点だ。採用面接の際に「慣れていない」と話し、大型の運転経験は数回しかなかった。
 技量不足にもかかわらず、ハンドルを握った可能性が高まっている。悲劇を繰り返さないためにも、徹底した原因解明が望まれる。
 事故を受けて国土交通省は、中小の貸し切りバス事業者に対して今月から一斉監査を始める。運行直前のバスの抜き打ち監査や、旅行業者に対する検査も強める。
 安全管理の向上を促すのは大切だが、業界の構造的な問題を軽視してはならない。再発防止のために国交省が設ける有識者委員会は、その部分に踏み込む必要がある。
 貸し切りバス事業は2000年の規制緩和で免許制から許可制になり、参入が進んだ。事業者の数は倍増し、4500社に迫る。この間、重大事故が繰り返された。
 12年には群馬県の関越自動車道で高速ツアーバスが防音壁に激突、乗客7人が死亡した。運転手の過労が原因で、国交省は運転手1人の夜間走行距離を400キロまでにする安全策を打ち出した。
 その後も夜行バスの事故や運行会社の法令違反は後を絶たない。背景には熟練した運転手の不足がある。
 大型バスの運転に必要な大型2種免許の保有者は14年末に98万人と、3年間で6万人減った。一方で60歳以上の割合が高まっている。
 県交通や県北バスは大型2種の取得支援制度を設け、女性採用にも取り組むが、運転手の確保には苦労している。県内の業界関係者によると、手取りの多いトラック運送に転職する例も目立つ。
 運送業界も含めて高齢化が進み、担い手不足は深刻だ。人件費の上昇が収益を圧迫するが、競争が激しく、極端に料金を下げる業者も現れる。結果、安全面にお金をかけられない悪循環が起きる。
 適切な環境の下で競争し、収益は安全管理に投資する。悲惨な事故の教訓を生かすために有識者委は、利益より安全を最優先とする業界づくりの方策を探ってもらいたい。
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徳島新聞 2016年1月21日付
社説:軽井沢バス転落 再発防止へ監査強化を


 長野県軽井沢町でスキーツアーの大型バスが転落し、15人が死亡した事故から明日で1週間になる。
 この間、道路運送法で義務付けられた書類の不備が見つかるなど、バス運行会社のずさんな管理や法律違反が次々と明らかになってきた。
 人命を預かる仕事であるにもかかわらず、安全に対する意識の低さにあきれるばかりだ。同時に、こんな状態が放置されてきたことに、あらためて怒りが湧く。
 国土交通省や捜査当局は事故の原因究明を急ぐとともに、背景にある問題を解明し、再発防止につなげなければならない。
 国交省の特別監査などによると、バス会社は、ツアーの「運行指示書」に経由地などのルートを記載せず、発着点だけを記していた。同様の例は過去にも複数あったというから驚く。
 業務実態を把握する「点呼簿」には、ツアーの無事終了を示す印が押されていた。
 バス会社は、運転手に健康診断を受けさせていなかったとして、事故の2日前に国交省から行政処分を受けたばかりだ。それなのに、ツアーの出発前、法令で義務付けられた運転手の点呼をせず、健康状態の確認を怠った。法令軽視にも程があろう。
 さらに問題なのは、国が定める基準料金を下回る額で、ツアーを企画した旅行会社から受注していたことだ。基準は、2012年に関越自動車道で起きた高速ツアーバス事故を受け、安全性を担保するために設けられた。
 旅行会社は、雪不足でスキー客が少ないことを理由に、料金を基準以下にした。立場の弱いバス会社に無理を強いたのだとしたら、見過ごせない。同じようなケースは他の会社でもあるのではないか。観光庁など関係機関は、徹底的に調査してもらいたい。
 事故の原因はまだ分かっていないが、監視カメラの映像やガードレールの破損状況などから、バスはかなりの速度で下り坂を走っていた可能性がある。
 死亡した運転手は大型バスに不慣れで、バス会社もそれを把握していたようだ。
 00年の規制緩和で貸し切りバス事業者が急増した上、訪日外国人客やトラック輸送の需要の増加で、運転手の人材不足は深刻になっている。
 だからといって、技術が未熟な運転手に人命を任せることなど、決してあってはならない。業界全体が襟を正すとともに、運転手の確保に取り組む必要がある。
 国交省は近く、中小の貸し切りバス事業者を対象に一斉監査に着手する。厳しく調べるのは当然だが、監査官は全国で365人しかおらず、タクシーやトラック業者の監査も含めると、人数が足りないのが現状だ。ずさんな運行が見逃された一因でもあろう。
 悲惨な事故が二度と起きないよう、監査体制を強化し、悪質な事業者を排除しなければならない。
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南日本新聞 (2016/ 1/21 付 )
社説: [ツアーバス事故] 安全第一の原点確認を


 長野県軽井沢町で起きたスキーツアーのバス事故で、バス会社のずさんな運行管理が次々に明らかになってきた。法令順守意識の低さに驚くほかない。
 一部の業者で片付けては事故をまた繰り返しかねない。業界を挙げて安全第一の原点に立ち返り、再発防止に取り組むべきだ。
 意識不明だった学生1人が死亡し事故の犠牲者は15人になった。
 国土交通省の特別監査によると、事故を起こしたバス会社は道路運送法などの法令違反が常態化していた。
 ルートや休憩時間などの記載を含め、作成が義務づけられている「運行指示書」をきちんと作っていなかった。乗務員台帳や定期点検整備に関する書類などの不備も相次いで発覚した。
 国交省の担当者は「かなりひどい状態」と指摘する。
 残念でならないのは、2012年に7人が死亡した関越自動車道でのツアーバス事故の教訓が生かされていないことだ。
 関越道の事故はツアー会社が低料金で乗客を募集し、安全教育が不十分な運転手が居眠り運転したことが原因だった。
 問題視されたのは、ツアー料金の値下げ競争を背景とする安全運行へのしわ寄せだ。人件費などのコストを削っていけば、経験の浅い運転手に頼らざるを得ないなど弊害が大きい。
 ところが、今回の事故は似たような構図が見て取れる。旅行会社は国が定めた下限を下回る運賃を提案し、バス会社もこれを受注していた。
 バス業界からは「立場が上の旅行会社に料金を設定されると、断れない」という声が聞かれる。
 だからといって、安全運行のためのルールを無視していいことにはならない。国も旅行会社への指導を強めてほしい。
 チェック機能の強化も急務である。国交省は中小の貸し切りバス事業者を対象に、月内にも一斉監査する方針だ。
 監査の対象になるのは、開業から日が浅い業者や過去の監査で問題が見つかった会社などに絞られるようだ。
 国交省が1年間に事務所に出向いて監査できるのは全体の5分の1程度という。人員に限界があるとはいえ、手が回らないでは済まされない。抜き打ち点検を含めた効率的な体制を工夫すべきだ。
 利用者も業者選びの際に料金面だけでなく、安全面にも目を向けたい。そのためには十分な情報が必要だ。国交省は法令違反を重ねている会社名の公表をより徹底してほしい。
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