2016-02-17(Wed)

軽井沢スキーバス事故 規制緩和の弊害に目を

間口を広げて新規参入を促し、問題があれば後で市場から退出させる「事後規制」の手法が、交通に限らず人の命を預かる分野でどこまで許され、国民の安全が本当に確保できるのか。


-----亡くなった大学生の父親の言葉を重く受け止めたい。
「日本が抱える労働力不足や過度の利益追求、安全の軽視など社会のひずみによって事故が発生したように思えてならない」と。まさに本質を突いている。
 
今こそ規制緩和弊害をもっと直視すべきだ。
貸し切りバス事業は16年前に免許制から許可制になって参入が大きく緩和され、事業者数は約4500社に倍増した。
車両10台以下の小規模事業者が7割を占める。
 
その中で優先されてきたのは何か。
自由競争の名の下に利益を確保し、かつ消費者に安さをアピールするための経費の削減であり、安全にコストを投じる視点がどこまであっただろう。
むろん格安ツアーを次々と企画し、バスの運賃を値切る旅行会社についても同じである。
 
そうした風潮こそ高度な技術が求められる運転手の労働条件を悪化させ、技量低下と人材不足を招いたと指摘されている。
重大事故が起きても構図は変わらないままだった。
 
外国人観光客の急増もあって貸し切りバスの需要は当面、さらに膨らむ可能性が高い。
だからこそ国はもっと深刻に考えてもらいたい。「安かろう悪かろう」でいいのか、と。
 
今なお規制改革は成長戦略の柱と位置付けられる。
この際、規制緩和の在り方も問い直す必要はなかろうか。

間口を広げて新規参入を促し、問題があれば後で市場から退出させる「事後規制」の手法が、交通に限らず人の命を預かる分野でどこまで許され、国民の安全が本当に確保できるのか。この事故の重い問い掛けでもあるはずだ。

中国新聞 2016/2/17
社説:軽井沢バス事故の教訓 規制緩和の弊害に目を


NHK 2月17日 22時32分
バス事故1か月 存在した“予兆”



以下引用



中国新聞 2016/2/17
社説:軽井沢バス事故の教訓 規制緩和弊害に目を


 突然、未来を断ち切られた大学生の乗客13人の無念を、あらためて思う。長野県軽井沢町で起きたスキーツアーバスの惨事から1カ月が過ぎた。
 大型バスの運転に不慣れだった高齢の運転手が下りカーブで制限速度を大幅に超過し、道路から転落したことが明らかになっている。長野県警などによる原因究明は道半ばだが、死亡した運転手の過失だけで片付けてはなるまい。事故を招いたさまざまな背景を深く検証しないのなら犠牲者は浮かばれない。
 事故後、バス運行会社への特別監査では33もの法令違反が発覚した。価格を抑えたいツアー会社の求めにせよ今回、基準を下回る運賃で請け負っていたことも目を引いた。事業許可取り消しは当たり前だが、氷山の一角ともいえるのではないか。
 国土交通省が各地のバスターミナルなどで抜き打ち監査したところ、軽井沢の事故でも問題になった「運行指示書」の不備を含めて4割のバスで法令違反が見つかったという。貸し切りバス業界に安全軽視の体質があると言われても仕方ない。
 監督官庁として慌てたのだろう。国交省は違反への罰則拡大や新規参入のチェック強化などを検討しているという。とはいえ目の前の抜け穴をふさぐ対策だけでいいのだろうか。
 4年前に関越道で7人が死亡したツアーバス事故など、国は重大な事態が起きるたび規制を強化したが、小手先の対策だった感は否めない。しかも監査や処分が追いつかず、悪質業者の実態を十分把握できなかった現実がある。今後は民間団体にも業者を巡回指導させるというがどこまで実効性があろう。
 亡くなった大学生の父親の言葉を重く受け止めたい。「日本が抱える労働力不足や過度の利益追求、安全の軽視など社会のひずみによって事故が発生したように思えてならない」と。まさに本質を突いている。
 今こそ規制緩和弊害をもっと直視すべきだ。貸し切りバス事業は16年前に免許制から許可制になって参入が大きく緩和され、事業者数は約4500社に倍増した。車両10台以下の小規模事業者が7割を占める。
 その中で優先されてきたのは何か。自由競争の名の下に利益を確保し、かつ消費者に安さをアピールするための経費の削減であり、安全にコストを投じる視点がどこまであっただろう。むろん格安ツアーを次々と企画し、バスの運賃を値切る旅行会社についても同じである。
 そうした風潮こそ高度な技術が求められる運転手の労働条件を悪化させ、技量低下と人材不足を招いたと指摘されている。重大事故が起きても構図は変わらないままだった。
 外国人観光客の急増もあって貸し切りバスの需要は当面、さらに膨らむ可能性が高い。だからこそ国はもっと深刻に考えてもらいたい。「安かろう悪かろう」でいいのか、と。
 今なお規制改革は成長戦略の柱と位置付けられる。この際、規制緩和の在り方も問い直す必要はなかろうか。間口を広げて新規参入を促し、問題があれば後で市場から退出させる「事後規制」の手法が、交通に限らず人の命を預かる分野でどこまで許され、国民の安全が本当に確保できるのか。この事故の重い問い掛けでもあるはずだ。
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NHK 2月17日 22時32分
バス事故1か月 存在した“予兆”



先月15日、長野県軽井沢町の国道で、スキーツアーのバスが道路下に転落し、乗客と乗員、合わせて15人が死亡した事故から1か月が過ぎました。NHKは事故で死亡した運転手が事故の1か月前に受けていた運転適性検査の結果を入手しました。そこには事故につながる“予兆”ともいえる新たな事実が記載されていました。社会部の宮原修平記者と斉藤隆行記者が解説します。
“社会に問う「事件」ではないか”

事故から1か月がたった長野県軽井沢町の現場では、犠牲者を悼む人たちが次々と訪れました。地元の軽井沢中学校の全校生徒が折った4千羽の鶴も献花台に供えられました。女子中学生は、「2度とこのようなことがないようにという思いが一層強くなりました」と話していました。
今回の事故で死亡した乗客13人は全員が大学生で、26人が重軽傷を負いました。
事故で、ゼミの学生が亡くなった法政大学教授の尾木直樹さんが事故から1か月たった現在の心境を語りました。

事故ではバスに乗っていた尾木さんのゼミの学生10人のうち4人が亡くなり、6人が頭の骨を折るなどのけがをしました。尾木さんは、犠牲になった学生の遺族と連絡を取り合ったり、けがをした学生を見舞ったりしているということで、かばんの中にはいつも亡くなった4人の写真を入れて持ち歩いているということです。
現在の心境について、「街を歩いていて亡くなった学生とそっくりのショールをしている子を見ただけでどきっとしてしまう。若い人に会うだけで、どんなに無念だったろうという思いがこみ上げてくる。1か月というのは何の区切りにもなっていない」と述べました。また、けがをした学生の状態について「学生の中には回復したと思っていたのに新たに体に不都合が出てきている子もいる。けがの程度は世間に伝えられないほど厳しい」と話していました。そして、今回の事故について「これは単純な事故ではなく、行政の目が行き届かず、チェックが甘い中で起きた社会的な『事件』だと感じる。こうした状況を見逃してきた関係者は自分の問題としてとらえて欲しい。この『事件』を通して社会に問うていきたい」と話していました。

加速し続け転落か
事故の原因はどこまで分かってきたのか。
事故現場の直前のカーブをかなりのスピードで下っていく様子が映っていたバス。
警察が運行記録計を詳しく調べたところ下り坂で一度もスピードを落とさずに加速し続け、事故の直前、制限速度のおよそ2倍の時速96キロに達して転落したとみられることが分かりました。

警察は運転手がギヤを低速にするなどの適切な操作をしなかったために加速しすぎて制御を失ったとみて、さらに分析を進めています。
運転手の適性検査は最低評価
今回の事故では、乗員2人も死亡しました。事故の当時、バスを運転していたのは土屋廣運転手、65歳でした。
土屋運転手は事故のおよそ1か月前の去年12月10日、前のバス会社に在籍していた時に任意の運転適性検査を受けていたことが分かり、NHKはその診断結果を入手しました。土屋運転手が今回、受けていた運転適性検査は、速度感覚とあせりの度合い、状況変化に対しての反応、注意力の持続性などの3種類のテストを行い、合わせて9つの項目について5段階で評価しています。
診断結果では、土屋運転手は、9つの検査項目のうち、状況変化への反応をみる「正確さ」や「速さ」など3つの項目で5段階で最も低い「1」と評価されていたことが分かりました。

コメントでは「『特に注意』です。誤りの反応が多くありました。突発的な出来ごとに対する処置を間違いやすい傾向があるので、危険な場面での一か八かの行動は絶対に避けてください。また、反応が遅れがちです」などと警告されていました。また、注意力の持続性などに関するテストでは、どれだけ正確に障害物を通過したかを調べる項目で「1」と評価され、「全体的に注意力が散漫」だと指摘されていました。

結局、9つの検査項目のうち4項目が「1」で総合的な評価でも5段階で最低の「特に注意」と診断されていました。
存在した“予兆”
この診断結果はその後、どう扱われたのでしょうか。
実は適性検査が任意で行われたことや直後に土屋運転手が会社を辞めたことなどから、診断結果は会社や本人に渡っていなかったということです。土屋運転手は適性検査を受けた直後、事故を起こしたバス会社に入社しました。
一緒に乗務したことがある同僚は「ハンドルさばきは疑問はあった。進路変更とかは微妙に遅れてみたり、ちょっと集中力が欠けちゃったりとかそういうのは見られた」と証言しました。
しかし、土屋運転手が入社した際、会社は法令で採用時に義務づけられた適性検査を受けさせないまま乗務させ、今回の事故が起きたのです。運転適性検査はバス会社に対して新たに雇った運転手や65歳以上の運転手などに受診させることを法令で義務づけ、その診断結果にもとづいて運転手に適切に指導するよう求めています。しかし、今回、バス会社は土屋運転手に適性検査を受けさせていなかったことで、いわば事故の“予兆”ともいえる情報が結果として生かされることはありませんでした。
適性検査の徹底を
国土交通省は今回の事故のあと、全国のバス会社に適性検査の実施の徹底を指示しています。
交通機関の安全対策に詳しい関西大学の安部誠治教授は「極めて重要な適性検査を事業者にきちんとやらせる仕組み、やらない場合は厳しい処分を下すという制度にしていかなければならない」と指摘しました。

また、「バス業界はかなり深刻な人手不足で高齢の運転手が増えているが、会社は仕事を受けるために検査で多少問題があっても乗務させている現実がある。そういう状況にメスを入れる制度設計が必要だ」と述べました。その上で安部教授は、「適性検査と健康診断の結果のデータを公的な第三者機関に蓄積して、新しく運転手を雇い入れる会社がそのデータを見て判断できるような仕組みが構築できれば安全性は高まる」と提言しています。
車体強度に課題も
今回の事故では、バスの車体強度についての課題も浮かび上がってきました。
バスは、衝突の衝撃で車体の損傷が激しく、特に天井部分は立ち木と衝突して「く」の字に大きくへこみました。
車内はどうなっていたのでしょうか。NHKは車内の写真を入手しました。

乗客がいた座席部分を写した写真では、大きくへこんだ天井によって一部の座席が押しつぶされて床に倒れているのが確認できます。天井全体も座席の真上まで迫り、車内空間が極めて狭くなっていたことがわかります。
別の写真では、窓ガラスが大きく割れ、複数の座席が完全に車外に露出した状態になっています。
運転席を写した写真では、速度計などの計器類は壊れハンドルが切断されているほか、座席右側の窓ガラスや車体のフレームはめちゃくちゃに壊れ、一部がえぐられるようになくなっています。

国土交通省によりますとメーカー各社は自主的に国際的な車体強度の基準に適合させていますが、国内では大型バスの車体強度について法的な基準は設けられていません。
車体強度を高める対策を
自動車工学が専門の日本大学の西本哲也教授は「車体下部はあまり破損していない一方で、乗客がいる上部空間が大きく破損しているのは窓枠を大きくとる構造に原因がある」として、窓枠を大きくとり、車体の軽量化を図る大型バス特有の車体構造が深刻な被害につながった可能性を指摘しました。そのうえで、「大型バスの窓枠や車体の側面、天井部分の強度を上げる必要がある」と述べました。

国土交通省は新たに車体強度の安全基準を設けるなど、車体の強度を高める対策を検討することになりました。
二度と事故を起こさないために
私たちはこれまでもバス事故が起きるたびに、再発防止に向けて問題点を探る取材を続けてきました。
そして、国や業界も事故が起きるたびに対策を打ち出してきました。
しかし、今回、またも大きな事故が起きてしまいました。今回の事故で亡くなった阿部真理絵さんの父親の知和さんは「今回の事故は、今の日本が抱える、偏った労働力の不足や、過度な利益の追求、安全の軽視など、社会問題によって生じた、ひずみによって発生したように思えてなりません」と問題点を厳しく指摘しています。
取材を続けるなかでも貸切バス業界はいまもずっと、阿部さんが指摘するように激しい価格競争と人手不足、そして、運転手の高齢化といった構造的な問題は変わっていないように感じます。

悲劇を二度と繰り返さないために安全の取材に関わってきた記者として、今度こそ、バス業界やツアー業界、そして、行政が構造的な問題の根本的な解決につなげられるよう、粘り強く取材し、伝え続けていかなければならないと感じています。
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朝日新聞デジタル 2016年2月15日03時59分
苦悩する遺族「毎日夢に出てくる」 長野バス事故1カ月
 長野県軽井沢町でスキーツアーの大型バスが道路脇に転落し、乗客・乗員15人が死亡した事故から15日で1カ月になる。
 「被害者支援に正解はない」。遺族支援を担当してきた長野県警犯罪被害者支援室の警部補、内田麻衣さん(35)は今、改めて実感している。
 自分を責める人、ショックで何も話せない人。遺族の中にも気持ちに違いがあり、毎回悩みながら向き合ってきた。「悪いのはあなたじゃない。自分を責めないで、一人で悩まずに相談してほしい」
 事故発生の1月15日。内田さんは、軽井沢町中央公民館に駆けつけて遺体と対面する遺族に付き添い、霊柩(れいきゅう)車の手配を手伝った。17日からは、現場で見つかった旅行カバンや洋服などの遺品を遺族に届けた。
 遺族宅を訪れる時、白やピンクのサクラソウの鉢植えを一緒に手渡した。軽井沢町の町花。「亡くなった方を少しでも近くに感じてほしい」との思いを込めたという。現在も週1回ほど遺族に連絡を取り、捜査状況などを伝えている。
 2014年9月の御嶽山噴火災害で遺族らの支援を経験。昨夏には「サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)」と呼ばれる心の応急処置の研修も受けた。
 内田さんは「事故から1カ月と言っても、遺族や負傷者の心の傷は深い。どうすれば元の生活を取り戻せるかを考え続けています」と話す。
 事故で亡くなった首都大学東京2年の田原寛さん(当時19)の父義則さん(50)は「事故当日は放心状態で余裕がなかったが、長野県警には手厚くケアをしてもらった。すごく感謝している」と語る。
 義則さんが発起人となった遺族会が今月7日に結成された。東京都内で同日開いた会合には、複数の遺族が集まった。「家族で一緒に過ごした家に戻りたくない」「毎日夢に出てきて、朝起きると涙が止まらない」――。涙を流しながら思いを語り合った。「事故以降、外に出るのはこれで3回目」と話す遺族もいたという。
 遺族会は再発防止に向けた行政への提言もするが、一番の目的は「心のケア」だ。思いを共有することで、悲しみが緩和されやすいという。
 遺族会には亡くなった乗客13人の遺族全員が参加しているわけではない。遺族会事務局で、弁護団長も務める酒井宏幸弁護士は「ぜひ(遺族会に)参加してほしい。今は難しくても、半年後も1年後もあなたのことを忘れていませんよ、というサインを送り続けていきたい」と呼びかける。
 遺族会では「現場に慰霊碑を建てたい」という意見も出ている。弁護団と遺族会は当面の間現場を保存するよう、今月中にも国土交通省に対して申し入れをする方針だ。(井口恵理)


日本経済新聞 2016/2/15 9:42
軽井沢スキーバス転落事故から1カ月 運転ミスの見方強まる
 スキーツアーの客ら15人が死亡した長野県軽井沢町の大型バス転落事故は15日で発生から1カ月を迎えた。捜査関係者によると、これまでの捜査で車体や部品には事故に結び付く異常が見つかっておらず、長野県警はバスが下り坂で加速し車体を制御できなくなったのは、運転ミスだったとの見方を強めている。
 原因解明に向け、運行記録計(タコグラフ)の記録紙の解析結果や乗客の証言から、バスが転落に至った経緯を精査。運行会社「イーエスピー」(東京)の同僚からも事情を聴き、大型バスに不慣れだったとみられる運転手の技術の程度や同社の研修の実態を調べている。
 これまでの調べによると、バスは現場までの約1キロの下り坂を、制限速度の時速50キロを大きく上回る速度で走行。現場の手前約250メートルで対向車線にはみ出して同約100メートルではガードレールに接触し、時速96キロで左カーブの右側ガードレールをなぎ倒して転落した。
 捜査関係者によると、フットブレーキには使いすぎで部品が過熱し、利きが悪くなる現象が発生した痕跡はなかった。
 フットブレーキに必要な空気圧は事故後の検証時、ゼロだったが、県警は事故の衝撃でエアタンクや配管が破損したためとみている。空気圧低下を知らせる警報音を聞いた乗客の証言も出ておらず、フットブレーキは正常だったとみられる。
 バスのギアは検証時、動力がタイヤに伝わらないニュートラルの状態だったことが既に判明。事故の衝撃でギアが変わる可能性は低く、走行中からニュートラルになり、エンジンブレーキや補助ブレーキが利かない状態だったとみられる。
 ギアを動かすシフトレバー周辺にも異常はなかった。ギアは高速から低速に無理に変えようとするとニュートラルになるよう電子制御されており、運転手が操作ミスをした可能性がある。
 県警は、バスがいつ制限速度を超えたかやフットブレーキがどのように使われたのか特定を急いでいる。捜査関係者によると、速度超過の状態でカーブに入り、横転を恐れて強くペダルを踏めなかった可能性もあり、現場直前と手前約100メートルに残ったタイヤ痕がブレーキ痕なのか慎重に確認を進めている。〔共同〕


日本経済新聞 2016/2/15 11:23
「心の傷深く」 尾木教授、継続支援訴え
 長野県軽井沢町のバス転落事故でゼミ生4人を亡くした法政大の尾木直樹教授が取材に応じ、早い立ち直りを期待してゼミ活動を再開しようとし、学生らがパニック状態になったエピソードを明かした。「心の傷は深く、回復を待つのが大事だと気付いた」と話した。
 ゼミは3、4年生計20人が所属。10人が事故に遭い、4人が死亡、6人が重いけがをした。
 事故2日前の1月13日、尾木さんは新年会の席で、誕生日をサプライズで祝福された。亡くなった西原季輝さん(21)にもらったケーキの重みが「そのまま残っている」と話す。「(4人の命は)さっと火が消えるように消された」と悔しさをにじませる。
 事故3日後、ツアーに行かなかった3年生を大学に集め、研究発表会に予定通り参加しようと提案した。早く立ち直らせるには日常を取り戻すことが必要だと思った。
 「できないっ」。ある学生が叫んだ。他の学生も同調し、その場はパニックに。「小中学生にはそうした方法でうまくいった経験があったが……(やり方を)間違った」と苦しげに振り返る。
 冗談好きの学生が無言になる一方、異常に高いテンションで話す学生も。「ゼミの活動はしばらくクッキーでも食べながらの雑談にし、回復の兆しが見えてきた段階で動きだしたい」と話す。
 「ずさんな企業と、それを見逃した国のせいで起きた事件なんです」と尾木さん。「安全を犠牲にするのはあり得ない。二度と起きないようにするのが自分の仕事。命ある限り全力でやりたい」と決意を口にした。〔共同〕


日本経済新聞 2016/2/15 13:25
失われた若い命に献花相次ぐ 軽井沢のバス転落現場
 長野県軽井沢町のバス転落事故から1カ月となった15日、発生時刻の午前1時55分に合わせてバス運行会社「イーエスピー」(東京)の高橋美作社長が現場を訪れて献花した。失われた多くの若い命に「ただただ申し訳ない」と改めて謝罪した。
 時折通るトラックのライトを除き、真っ暗な国道18号碓氷バイパス。高橋社長は「この場所のこの時間帯を肌で実感する必要があると感じていた。当日は寒かったと思う」と沈痛な面持ちで話した。
 日が昇った後も現場を訪れて花を手向ける人が相次いだ。地元に住む60代の女性は「自分にも娘がいる。未来ある若者の命が奪われ、悔しい」と目を潤ませた。〔共同〕

日本経済新聞 2016/2/15 10:53
運行会社社長が献花 軽井沢スキーバス転落
 長野県軽井沢町のバス転落事故から1カ月となった15日、発生時刻の午前1時55分に合わせてバス運行会社「イーエスピー」(東京)の高橋美作社長が現場を訪れて献花した。失われた多くの若い命に「ただただ申し訳ない」と改めて謝罪した。
 時折通るトラックのライトを除き、真っ暗な国道18号碓氷バイパス。高橋社長ら2人は、多くの花束が供えられた献花台で線香を上げ、手を合わせた。
 高橋社長は「この場所のこの時間帯を肌で実感する必要があると感じていた。当日は寒かったと思う」と沈痛な面持ちで話した。〔共同〕


毎日新聞2016年2月15日 11時27分
スキーバス転落
下り1キロ減速せず 運行記録計で判明
事故発生時刻に合わせて現場に向かって手を合わせた事故を起こしたバスの運営会社「イーエスピー」の高橋美作社長(右)と山本崇人営業部長(左)=長野県軽井沢町で2016年2月15日、安元久美子撮影
 長野県軽井沢町のスキーツアーバス転落事故で、バスは現場手前の峠頂上から事故現場までの下り坂約1キロ区間を加速し続け、減速した形跡はないことが、バスに装着された運行記録計(タコグラフ)の記録から分かった。捜査関係者が明らかにした。現場の国道の制限時速は50キロだが、転落直前は96キロに達していた。
 大学生13人と乗員2人が死亡し、乗客26人が重軽傷を負った事故は15日、発生から1カ月を迎えた。県警軽井沢署捜査本部は、土屋広運転手(65)=死亡=がブレーキを踏んだものの、速度が出過ぎていて制御できなかったとみて、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で捜査している。
 捜査関係者によると、バスは国道18号碓氷(うすい)バイパスの入山(いりやま)峠を越えた直後から始まる約300メートルの急な直線の下り坂で加速。現場手前約250メートル地点では、高速でカーブを曲がったため極度に荷重が偏った際に付いたとみられる右側タイヤ痕が二つ、新たに確認された。タコグラフの速度記録は上昇し続けており、ギアはエンジンブレーキが利かないニュートラルに入った状態で走行していた可能性が高いという。
 一方、現場直前と約100メートル手前の路面にそれぞれ、ブレーキ痕とみられるものがあり、ブレーキを踏んだものの速度を落とせずに転落事故が起きたと、捜査本部はみている。
 捜査本部の車両検証では、部品の一部に劣化はあったが、エンジンやブレーキなどの主要な装置に目立った異常はなかった。バスが現場手前のカーブを曲がっていることから、居眠り運転や運転手の突発的な病気の可能性は低い。
 ただ、運転手が死亡したことや、タコグラフでは秒単位の速度の変化は分からないことから、ある捜査員は「ギアがいつ、どうしてニュートラルに入ったかを解明するのは、非常に困難。雪解けを待って同型のバスを走らせ、現場やタコグラフに残されたわずかなデータと照らし合わせて少しでも真相に迫りたい」と話す。
 バスは1月14日夜、長野県北部のスキー場に向かって東京を出発。藤岡インターチェンジ(群馬県藤岡市)で関越自動車道を下り、15日午前1時55分ごろ、現場の下り坂でセンターラインを越えて約3メートル下に転落した。国土交通省は、バス運行会社「イーエスピー」(東京都羽村市)の貸し切りバス事業許可を取り消す方針。【川辺和将、安元久美子】


毎日新聞2016年2月14日 10時35分
軽井沢バス事故
基準運賃順守徹底へ 手数料にも契約書

道路脇に転落して樹木にぶつかり折れ曲がったバス=長野県軽井沢町で2016年1月15日、本社ヘリから撮影
 長野県軽井沢町でのスキーツアーバス事故を受け、観光庁は、国の基準を下回る安値でのバス運行防止策を打ち出す。旅行会社がバス会社に支払った運賃が基準を満たしていても、旅行会社が運賃から紹介料など手数料をバックさせ、事実上基準を下回るケースがある。このため手数料について契約書作成を求め、基準を守るよう促す方針だ。
 国は車両整備など安全にかかるコスト確保のため、基準運賃を設定している。旅行会社が基準を下回る運行を強要すれば行政処分の対象になる。一方、手数料の徴収は規制されていない。
 そこで観光庁は、手数料の契約書を作り、運賃から徴収するのかどうかを明確にすれば、基準運賃順守につながると考えた。
 観光庁はこのほか、旅行会社とバス会社に対し、発着点や運賃を記載する運送申込書・引受書に、国の基準額も明記するよう求める方針だ。基準運賃を強く意識させる狙いがある。
 観光庁によると、事故を起こしたバス会社「イーエスピー」は、旅行会社「キースツアー」の求めに応じて、東京−長野・斑尾高原間を国の運賃基準の下限である約26万4000円を大幅に下回る約19万円で運行していた。【内橋寿明】


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