2016-03-14(Mon)

3・11東日本大震災・福島原発事故5年 各紙社説等(5)

岩手日報 支援者の疲弊 倒れる前に守る体制を 原発の「解禁」 福島の原点に立ち戻れ

<論説>
岩手日報)<震災5年>「復興庁」常設を 平時から備えるために(3/12)
岩手日報)<震災5年>復興の限界感 「出る杭」まず伸ばそう(3/11)
岩手日報)<震災5年>原発の「解禁」 福島の原点に立ち戻れ(3/10)
岩手日報)<震災5年>支援者の疲弊 倒れる前に守る体制を(3/9)
岩手日報)<震災5年>内なる風化 「つながり」絶やすまい(3/8)




以下引用



岩手日報 (2016.3.12)
論説:<震災5年>「復興庁」常設を 平時から備えるために


 震災5年を経過して、本格復興は緒に就いた段階だ。陸前高田市や大槌町など市街地を失った多くの地域では、高度成長期のニュータウン造成を思わせるようなゼロからのまちづくりが進む。
 原状回復を基本としてきた従来の災害復興とは異なり、地元行政はもとより国内でも前例のない大事業。課題、難題は今も、そして今後も、思いもよらぬ方向から顕在化する可能性は否めない。
 「復興の主体は市町村」という原則は曲げられないが、10年間で計32兆円の巨額を投じる復興事業は国にも相応の当事者意識を迫る。
 復興は、復興庁の設置期限である10年で成就するとは限らない。国が、継続的に被災地支援に専念する仕組みが欲しい。それは今後も想定される大災害への備えとしても、重要な意味を持つだろう。
 今更ながら、震災発生直後の政治の混乱は最悪だった。
 民主党政権下、衆院と参院で多数派が異なる「ねじれ」を背景とした与野党対立のあおりで、補正予算の成立は11月にずれ込み、復興庁の発足は年を越して発災から約1年後の2012年2月だった。
 前代未聞の複合災害という有事にあって、政治が露呈した危機管理の拙さは被災現場の絶望に輪を掛けた。その不信感は、誰が悪い、どの党が足を引っ張った-といったたぐいの議論では到底癒やされるものではない。
 発災5年。新たな大災害も想定される中で、安倍晋三首相は悲願の憲法改正に絡めて「緊急事態条項」の必要を説く。災害や安全保障上の有事に首相に権限を集中させ、国民は国や公共機関の指示に従う義務を負う内容とされる。
 よしんば安倍首相は有能だとしても、全ての首相が優れた政治指導者と言い難いのは過去の教訓。折々の政治経済情勢に災害対策が左右される可能性こそ憂慮される。
 被災の現場で、教訓は個人や組織、官と民など立場に応じて星の数ほどあり、これからも確実に積み増しされる。大災害の度に立法化されてきた法制度は、ある意味それ自体が教訓だが、その蓄積が有機的に機能してきたかとなると大いに疑問がある。
 地震列島日本で、自然災害の頻度の高さは国土が戦場となる可能性の比ではない。大災害に特化して国と地方、官民連携により平時から備えを進めることで、過去の教訓は具体的な対策として有効に機能するだろう。
 復興庁は東京五輪の翌21年3月までに廃止され、各省庁の出向職員は所属に戻る。貴重な経験や教訓を資料庫で眠らせないために、国は専門職による災害対策の専門組織常設を検討してほしい。
(遠藤泉)
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岩手日報 (2016.3.11)
論説:<震災5年>復興の限界感 「出る杭」まず伸ばそう


 思い描いていたものとは、どうも違う。東日本大震災から5年を迎えた今、そんな声が復興に携わる人から聞かれるようになった。
 県の行政マンは漏らす。「役所ができることはハード中心。なりわいや産業を公の力で創るのは難しい」
 NPOの関係者は語る。「復興が進んでも、もともと被災地にあった『壁』にぶつかる。その壁は厚い」
 「壁」は、震災前から三陸沿岸に立ちはだかる。人口減と産業の沈滞による地域の衰退を指す。復興は当初、壁を突き崩し、全国のモデルにすることを目指した。
 「この地に、時代をリードする経済社会の可能性を追求する」。政府の復興構想会議は震災2カ月後、技術革新を通じて被災地を日本の先端とする理念を掲げた。
 国の予算の4分の1に上る巨費を投じ、道路や防潮堤を造り、高台移転と暮らしの再建を後押しする。一方、特区や研究開発で新産業を生み、集積させるはずだった。
 そして5年。国や県は復興の総仕上げに入るが、その姿は当初の理念から懸け離れている。新しい街ができても、人はみるみる減り、新産業は生まれていない。「壁」は厚く残ったままだ。
 巨額の公共投資がなくなれば、被災地はますます衰退するのではないか。復興の限界感が語られている。それは行政主導の限界でもある。
 現実は厳しい。だが復興は立ち止まることなく続く。人が残る。戻ってくる。新たに招き入れる。今後の大きなテーマになるだろう。
 宮古市のNPO法人みやっこベースは、高校生に自分たちの街づくりや地元で働くことを考えてもらう活動をしてきた。主体的に地域に加わる若者を育てている。
 「残る、戻る理由がないと人の流出は続く。それは地域への愛着しかない」。事務局長の早川輝(あきら)さんは言う。
 29歳の早川さんは、被災地の力になりたいと北九州市から縁もゆかりもない宮古に飛び込んだ。復興を支えたのはこのような外部の力、特に若者の存在が大きい。
 被災地に活動の場を求める若者がいることで、沿岸部の人口は20代前半だけは増えている。Uターンして社会的起業に取り組む人もいる。
 若い力を地域戦略の軸にしようと、大船渡市は「出る杭(くい)育てる」プロジェクトの開始を宣言した。起業を全面支援し、復興需要が消えた後も経済の活力を保つ狙いだ。
 リスクを取って挑戦する民間の「出る杭」を伸ばし、支える仕組みと雰囲気をつくる。さらに外からの刺激を加えて化学反応を起こす。
 そこに限界の突破口があるのではないか。
(郷右近勤)
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岩手日報 (2016.3.10)
論説:<震災5年>原発の「解禁」 福島の原点に立ち戻れ


 「原発解禁」にかじを切った政府にとって衝撃的な「運転中止命令」だ。関西電力高浜原発3、4号機(福井県)に対し大津地裁が運転差し止めの仮処分を決定。稼働中の原発では初のケースとなる。
 東京電力福島第1原発事故後、国内は「稼働ゼロ」の空白期もあった。だが、昨年以来、新規制基準下での再稼働が相次いでいる。
 しかし、新基準に適合して運転を始めた原発に対する差し止め。司法の厳しい判断が今後、政府のエネルギー政策や電力会社の方針に大きな打撃を与えるのは必至だ。
 福島の事故から5年。原因が十分究明されないままに、「脱原発」の政策は維持・推進方向に転換。再稼働がこれからも続くのは既定路線となっていた。
 決定はそれへの警鐘。あらためて「安全」について考える機会としたい。
 もし、もう一度過酷事故が発生したら、日本が存亡の危機に直面するかもしれない。そんな国難を招かないためには、原発を無くすることが一番だ。稼働するにしても危険回避に最大限努力すべきだ。
 しかし、このところ憂慮すべき姿勢がみられる。
 その一つが老朽原発の「延命」だ。関西電力は40年超となる高浜1、2号機の「60年運転」に向けた審査を昨年申請。原子力規制委員会は先ごろ事実上の合格を出した。
 福島の事故の教訓に立って法律が定めた運転期間は「原則40年」。あくまで特例措置のはずの運転延長は今回、多額の資金投入による安全対策が評価され認められたが、前例になればルールは骨抜きとなる。
 憂慮すべき姿勢のもう一つは、新基準下で再稼働第1号となった九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)の施設整備。事故時の対応拠点となる免震重要棟の新設を撤回、既存施設拡充の方針に転換した。
 これは危機管理に対する意識の欠如ではないのか。福島事故当時の東電社長が後に「あれ(免震重要棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と語っていた施設だ。
 川内原発は避難計画の実効性確保などの課題を残したまま再稼働に踏み切っている。消えたはずの「安全神話」がよみがえってはいないか。
 基本的な原則に外れていても、安全対策上の問題が指摘されても、次々「解禁」されてきた再稼働。事故を受けて目指したはずの「脱原発」に逆行する流れとなっている。
 あらためて5年前を原点に考えたい。本県を含め広大な範囲に被害を及ぼした事故。あの時、原発ありきの社会から転換を目指したはずだ。その意味でも、事故対策を厳しく指摘した司法判断を重く受け止めたい。
(菅原和彦)
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岩手日報 (2016.3.9)
論説:<震災5年>支援者の疲弊 倒れる前に守る体制を


 「強制的に休ませる法律でもつくらない限り、みんな倒れてもおかしくない」「復興の遅れを住民に批判されたが、上司は守ってくれない」…。復興を担う支援者から、悲痛な声が相次いでいる。
 消防士、警察官、自衛官らは「隠れた被災者」とも呼ばれ、遺体を扱うことなどに伴う惨事ストレス対策が進められてきた。加えて復興期の今、顕著なのは被災市町村職員や団体職員、応援職員ら支援者の心身の疲弊だ。
 本県では2012年に盛岡市から陸前高田市への応援職員、13年には兵庫県宝塚市から大槌町への応援職員が自殺。山田町職員も14年、自ら命を絶った。県や市町村は、職員のストレスチェック、個別面談、研修会の開催など対策に力を入れている。
 だが、深刻な実態に追いついているだろうか。被災3県の39市町村で15年度、うつ病など精神疾患を理由に休職した職員は151人。10年度の1・6倍に増加している。
 疲労が蓄積する中、膨大な事務に追われ、進まぬ復興に自責の念を強め、さらに疲弊していく。仮設から恒久住宅への移行が進む今後は、被災者の心のケア、新たなコミュニティーの形成などソフト面の支援が重要になるが、対人援助こそストレスが大きい。
 疲弊の背景にはマンパワー不足がある。2月1日現在の応援職員の充足率は92・4%。精神保健の専門職不足も震災以前からの課題だ。
 復興期の「隠れた被災者」をどう救うか。自治体レベルの取り組みには限度がある。国は実情を直視し、応援職員確保の後押しはむろん、支援者の心身のケアの体制整備に力を注いでほしい。
 支援者の疲弊は阪神大震災で大きな課題となった。惨事ストレス対策の第一人者、加藤寛・兵庫県こころのケアセンター長の著書「消防士を救え!」(09年)は、疲弊がもたらす数々の深刻な事例を挙げ、対策強化を訴える。
 例えば、01年の米中枢同時テロから数年後、ニューヨーク消防本部の消防士1万2千人のうち、呼吸器疾患や精神的理由などで約2千人が退職し、組織が危機に陥ったという。東日本で、こんなことが起きてほしくはない。
 「創造的復興」という言葉は阪神でも東日本でも飛び交ったが、それ以前に必要なのは、ごく身近な想像力だ。
 支援者を守れないと、どうなるか。被災者を守ることができなくなる。支援者がねぎらわれ、きちんと休める環境整備こそ復興の近道だ。
 支援者を支援する体制が今のうちに構築できないと、どうなるか。南海トラフ地震津波など将来的な大災害からの復興の道のりは、かなたに遠のくだろう。
 (黒田大介)
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岩手日報 (2016.3.8)
社説:<震災5年>内なる風化 「つながり」絶やすまい


 工事車両がひっきりなしに行き交う陸前高田市。気仙町の図書館「にじのライブラリー」で、現地責任者の荒木奏子さんは「まちが朽ちていかなければいいのですが」とつぶやいた。
 図書館があるのは、津波で流された神社の社務所跡地。窓から見える風景は、かさ上げですっかり変わった。復興がハードだけを指すなら確かに進んでいる。
 だが、荒木さんは大事なものが欠けていると感じる。図書館で行われる手仕事やお茶飲み話に、市内のあちこちから集まってくる女性たちと話していてそう思う。
 仮設住宅に住む人、みなし仮設にいる人、自宅が残っても大黒柱を失った人…。話題は、やはり自分たちの生活とまちの将来。荒木さんは、復興をみそ汁にたとえる。
 だしをきちんととらなければ、みそ汁はおいしくできない。だしは住民の理解。「説明会はあっても専門用語だらけ。でも、理解してもらおうという姿勢が足りない」
 住民の行き着く先は、行政任せの「待ちの姿勢」だ。まちづくりは、そこに住む人たちの思いの総体だが、前に歩み出した人の一方で、取り残される人は少なくない。
 被災地の人口減少も止まらない。住まい、仕事、病院、子どもの教育。古里を去る事情はさまざまだが、復興への情熱は総量として小さくならざるを得ない。「風化」は、被災地の外だけでなく内側にもあるのかもしれない。
 人が減ることは、津波の記憶も減るということだ。荒木さんはあの日、市中心部から必死で逃げた。
 二度と犠牲者を出さない安心・安全なまちは必要だ。だが、膨大なかさ上げ、巨大な防潮堤を見ると、「逃げる文化」も同時に失ってしまいそうな気がする。
 まちへの愛着、かけがえのない思い出、そこに住んでいたという証し。それらを刻んだ風景が、津波と復興工事で二度も変わってしまった。
 頭では理解しても、心はなかなか割り切れない。古里をもう一度つくるといっても、ともすれば絶望する場面があるに違いない。
 しかし、哲学者の内山節さんは言う。「自然とのつながり、先人のつくった生き方や文化がある限り、復興の基盤はなくなっていない」
 そして、復興とは「復興されたかたち」ではなく、「人が復興とともに生きたということ」にあると指摘する。どんなまちに暮らしたいかを求め続けることだ。
 その思いの実現は被災地だけでは難しい。この震災で感じた人と人のつながりを、どちらからも絶やすまい。「忘れない」とは、そのことだと思う。
(村井康典)
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