2016-03-15(Tue)

3・11東日本大震災・福島原発事故5年 各紙社説等(8)

被災地復興 地方と日本の未来を示す 「人の復興」を正面に据えよ 原発政策 教訓が生かされていない

<各紙社説>
新潟日報)被災地復興 地方と日本の未来を示す(3/12)
新潟日報)福島原発事故 何を教訓として得たのか(3/11)
新潟日報)大震災から5年 古里を取り戻すためには(3/10)
信濃毎日新聞)原発政策 教訓が生かされていない(3/12)
信濃毎日新聞)住まいの再建 復興の土台 支えを強く(3/11)
福井新聞)被災文化財の再生 修復技術の構築、共有に道(3/12)
福井新聞)大震災・原発事故5年 復興の二極化 全力で防げ(3/11)
京都新聞)原発事故5年  エネルギー政策を再考せよ(3/12)
京都新聞)大震災5年  「人の復興」を正面に据えよ(3/11)




以下引用



新潟日報 2016/03/12
社説:被災地復興 地方と日本の未来を示す


 東日本大震災から5年を迎えた11日、被災地をはじめ全国や世界各地で鎮魂の祈りがささげられ、復興への誓いが新たにされた。
 愛する人や古里を奪われた方々にとってこの5年は、つらく長かったことだろう。悲しみや苦しさに耐え「故郷を元気にしたい」と前を向く人々に寄り添いたい。
◆将来像どう描くのか
 しかし被災地のインフラの整備は道半ばだ。生活や産業の再建も進まず、人口流出は止まらない。
 被災した岩手、宮城、福島の3県は、もともと過疎や高齢化が進んでいた地域だった。
 大震災はそれに拍車をかけた。被災地の「いま」は、日本の未来の姿ともいえる。
 被災地の未来を描くことは、あるべき日本の将来を示すことにつながる。復興の歩みを着実に、前へと進めなくてはならない。
 国はこの5年で「集中復興期間」を終え、4月からの5年間を「復興・創生期間」と位置づける。
 その基本姿勢として強調するのが「地方創生のモデルとなるような復興を実現する」ことだ。
 被災地は少子高齢化や人口減少、産業の衰退といった地方が抱える課題が凝縮して表れている。
 基本姿勢はその言葉通り、掛け値なしに実現させてもらいたい。
 一方で国は、被災地の自立を目指すこの期間に、一部事業で地元自治体に費用負担を求めている。
 高台への移転、防潮堤建設などインフラの整備は、遅れながらも進んできた。
 だが災害公営住宅の建設は、3県で予定している約2万9千戸のうち半数程度の完成にとどまる。
 整備の遅れの一因として、2020年東京五輪のための資材や人件費の高騰が挙げられる。
 復興が遅れれば東北の人口減少が加速しかねない。そのことが復興を阻む、負の連鎖に陥らせてはならない。
 震災前の10年と15年を比較した人口減少率は、宮城を除く東北5県が全国の1~5位を占める。
 東京への一極集中は止まらず、アベノミクスの成果を地方や中小企業が実感できていない。
 「中央」がけん引役を務めるというならそれでもいい。しかし大都市や大企業が潤うだけでは、日本の明るい未来など築けない。
 省庁や企業の本社機能移転なども掛け声に終わっている。
◆「暮らしの復興」こそ
 あの日、首都圏も交通網が乱れ帰宅困難者があふれた。直下型の地震が起きたらどうするのか。
 防災面からも、中枢機能を複数の地方都市に分散させる議論を本格化させねばならない。
 道路や建物といったインフラの整備は重要だ。だがそれは最低限の条件にすぎない。
 安心して生活し、働き、学ぶことのできる「暮らしの復興」こそ、急がなくてはならない。
 被災地で最も深刻といえる問題に高齢者対策がある。被災した3県にある災害公営住宅の入居者は65歳以上が35%近くを占める。
 このうち1人暮らしが3分の1に上る。地域や肉親とのつながりを絶たれ、孤独感が心身の負担となることが懸念されている。
 阪神大震災でも公営住宅での高齢化や孤独死が問題となった。行政や地域による見守り、支援がこれまで以上に必要だ。
 それを支える地域やコミュニティーを育むため、特に若者の働く場の確保が急がれる。
 漁業や農業、そして商店街をどう復興させていくのか。知恵を絞らなくてはならない。
 被災地の復興の進み具合にはばらつきがある。被災者のニーズも多様化している。
 国は地域の実情に応じた、きめ細かな支援をすると強調するが、具体策が見えてこない。
 被災地の声を聞き自立を支援するためには、復興庁を被災地に移すことも検討すべきだろう。
 被災地で懸念されている介護の担い手不足や子供の貧困なども、日本全体が抱えている問題だ。対策を加速させる必要がある。
◆地域の交流深めたい
 中越地震、中越沖地震などを経験した本県は、これまで以上に被災地を支援し、交流したい。
 中越地震で初めて導入した地域復興支援員制度は、被災集落と行政をつなぐ役割を担い、東日本大震災の被災地でも活用されている。被災地と連携しながら成果をさらに積み上げたい。
 被災地や本県を含む地方は、豊かな自然をはじめ多様な魅力にあふれている。それぞれが地域を見直し、魅力を磨いて発信し合うことで新たな発見もあるだろう。
 地方が元気になってこそ日本が元気になる。私たち一人一人が地域を、被災地を見つめ、行動していくことが求められている。
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新潟日報 2016/03/11
社説:福島原発事故 何を教訓として得たのか


 国際評価尺度で最悪レベルの東京電力福島第1原発事故が起きてから、5年となった。
 県内外で避難生活を送る人は依然、10万人近くに上る。別居を余儀なくされている家庭や、苦渋の決断をして新たな一歩を踏み出した家族は少なくない。将来への不安にさいなまれている避難者も多いはずだ。
 福島県の震災関連死は地震による直接死を超えた。多大な犠牲を強いながら、政府と電力各社はまるで事故が風化したかのように原発回帰へと突き進んでいる。
 事故から何を教訓として得たのか。大津地裁が関西電力に命じた高浜原発3、4号機(福井県)の運転差し止めは、そうした姿勢への警告と受け止めねばならない。
 事故がもたらした現実に、もっと向き合うべきだ。
◆放射能への不安強く
 原発から20キロ圏内に入る楢葉町は昨年9月、全町避難が解除された。全体が避難指示区域となっている自治体では初めてのことだ。
 町に戻った人は、ことし2月段階で400人を超える程度にとどまる。人口の6%にすぎない。大半が高齢者だ。
 先行して解除された田村市都路地区と川内村の一部を合わせても1割に満たない。国は南相馬市も4月中に解除したい考えだが、住民の反発は強い。
 そこから見えてくるのは、避難指示を解除して帰還を加速させようとする政府の前のめりな姿勢だ。避難者の思いと懸け離れていると言わざるを得ない。
 帰還を妨げている最大の理由は、放射能への不安である。
 福島県は森林が約7割を占める。放置したままでは、放射性物質を含んだ土砂が川に流出するなどして、生活圏に影響を及ぼす可能性がある。ところが、除染は進んでいない。
 民家の前には至る所で、除染で出た廃棄物を詰め込んだ袋が仮置きされている。
 それを保管する肝心の中間貯蔵施設建設のめどは立っていない。建設用地の大半がまだ取得できていないからだ。
 低線量被ばくでも、がんなどが発症するとの調査もある。故郷に戻りたくても、ちゅうちょするのは当然だろう。幼い子供を抱える親なら、なおさらだ。
 むしろ、形だけの復興を急ぐ政府への不信感を強めるだけだと言っていい。
◆見えない廃炉への道
 福島第1原発でいまだに続くのが汚染水との闘いだ。
 原発構内では汚染水をためるタンクが敷地を埋めている。その数は増えるばかりだ。
 汚染水対策の柱となるのが、地盤を凍らせて地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」だ。
 だが、トンネル工事で活用されているとはいえ、長くて数年間という指摘もある。どこまで効果が期待できるかは未知数だ。
 最も難しいのは、1~3号機の炉心溶融(メルトダウン)で溶け落ちた燃料(燃料デブリ)の取り出しだ。いまだに燃料がどこにあるのか分かっていない。
 原子炉格納容器は放射線量が高く、作業員は立ち入れない。燃料デブリを取り出す技術開発は緒に就いたばかりだ。処分方法も決まっていない。
 工程表通り、事故から40年で廃炉が完了するかどうかは極めて不透明といえる。
◆後世にツケ回すのか
 原子力規制委員会の新規制基準の審査に合格した原発が順次、再稼働している。
 勘違いしてはならないのは、規制委が強調するように、新規制基準が絶対の安全を保障してはいないことだ。
 高浜原発3、4号機の運転差し止めを命じた大津地裁が、過酷事故対策についての設計思想や緊急時対応、津波対策などに疑問を呈したのは、その表れといえる。
 だが、政府や電力会社は経済活動を最優先に、新基準を新たな「安全神話」にしようとの思惑をのぞかせる。
 何より問題なのは、核燃料サイクルという根本課題が何も解決されていないことだろう。
 各原発の使用済み核燃料プールは平均7割が埋まっている。再稼働後、2~3年で満杯になるとみられる原発もある。
 だが、再処理工場は稼働していない。再処理後に残る高レベル放射性廃棄物の最終処分も先行きは見通せない。「核のごみ」解決への道筋は全く見えないのである。
 これでは後世にツケを回すだけではないか。いったん原発事故が起きれば、甚大な被害につながることを私たちは学んだはずだ。
 原発に依存した社会から、もう決別すべき時だ。
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新潟日報 2016/03/10
社説:大震災から5年 古里を取り戻すためには


 中越地震の時、避難所の催しで被災者が歌う唱歌「故郷(ふるさと)」をよく聞いた。
 子供からお年寄りまで声をそろえた。山や川、そして人の心が深く傷ついていた。それをいたわるように優しく、励ますように力強く、歌声は響いた。
 いくつもの大災害を乗り越えて、新潟は古里再生への歩みを進めてきた。今なお、残された課題解消の挑戦のさなかにある。
◆あってはならぬ風化
 東日本大震災の被災地の苦闘が続く。同じ痛みを知る被災地として、東北が古里を取り戻す日まで応援を続けよう。
 大震災はあす11日、発生から5年を迎える。
 すさまじい数に上った犠牲者といまだ帰らぬ行方不明者のために、静かに祈りたい。
 長く大きな揺れに驚き、テレビが伝える津波の映像に息をのんだあの日だった。東京電力福島第1原発事故がまき散らした放射能の恐怖に立ちすくんだ。
 経験のない破壊と汚染に見舞われて、私たちは文明のもろさを実感し、これ以降、考え方と生き方を変えなければならないと誓ったはずだった。
 月日を重ねたいま、その思いが薄れていないか、私たちは自問する必要がある。
 見直しや変化から逃げれば、大震災後の世界は開けてこないと知るべきではないか。
 原発事故や原発に頼り切ったエネルギー政策への反省もそこそこに、国、電力会社は原発再稼働に突き進んだ。
 いったい、事故から何を学んだのかと聞きたい。
 意図的に目をそらそうとするのは許される態度ではない。思い出すのがつらくても、語り伝えるべき被災の記憶の風化などはあってはならないことだ。
 被災者にとって大震災は現在進行形の災厄だからだ。その気持ちに寄り添い、救済と生活再建を加速することが急務だ。
◆「住」こそ生きる原点
 大震災と原発事故で被災した岩手、宮城、福島の3県では、5年たった今もプレハブ造りの仮設住宅に暮らす人々が1月末時点で5万9千人を数える。
 入居者数はピーク時の半数ほどに減っている。だが、住宅地の高台移転先の整備遅れや、原発事故避難の長期化により、仮設の解消の見通しは立たない。
 人口の4分の1が仮設で暮らす岩手県大槌町は、仮設を解消できる時期を大震災から10年後の2021年3月と見込む。
 このほか、避難指示の解除時期が決まらないため、原発周辺の福島県の市町村の多くが「仮設解消は見通せない」とする。
 仮設に残る高齢者らの心身への負担は大きい。高台移転や浸水対策のかさ上げ、復興公営住宅の整備を進め、仮設からの解放を図らねばならない。
 同時に、仮設に適切な補修を施し、医療や福祉面での支援をしっかり継続する必要がある。
 生活の基盤である住宅や仕事の回復が思うにまかせない状況に、住民の焦りが募っている。それがあきらめや絶望に変わる前に、少なくとも道筋を示していく努力が求められる。
 本県への避難世帯に対する県の調査で、3割が今後の生活拠点を「未定」と回答した。
 「避難元に戻る」の割合に迫る数字は、避難者の深い苦悩を象徴するものだろう。
 郷里の生活環境の再建や、除染が進まないことが背景にある。避難指示解除地域への帰還率も低い。自主避難者を含めて、総合的に支える態勢が不可欠だ。
◆復興五輪どう迎える
 政府は大震災から10年間を復興期間とし、前半の15年度までを集中復興期間と定め、事業費の全額を国費負担としてきた。
 その先の5年間は一部事業で地元自治体に費用負担を求める方針を決めている。
 地元自治体にとっては、これからの人口減少と復興のための財源確保が大きな不安だ。
 しかも、被災3県の市町村長へのアンケート調査では、半数が「復興に遅れ」と回答した。
 地元負担を求めるというのであれば、これまでにも増してきめ細かく、被災地の声に寄り添った対応を重ねてもらいたい。
 「復興五輪」を掲げる20年東京五輪・パラリンピックの時点でまだ仮設住宅が残り、避難者の苦しみが続いているようなら、世界にどう説明するのだろう。
 被災者に力を与え、経済波及効果をもたらす五輪であってほしいのは当然だ。だが、五輪の準備以前に、なすべきことが山ほどあることも忘れてはならない。
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信濃毎日新聞(2016年3月12日)
社説:原発政策 教訓が生かされていない


 廃虚のような4棟の原子炉建屋を取り囲むように、約1500本の凍結管が地中に埋め込まれた。
 東京電力福島第1原発。周囲から建屋に流れ込む地下水は、放射性物質に触れて汚染水に姿を変える。これまでくみ上げた汚染水は約80万トン。凍結管は地盤を凍らせ、流入を遮断するために設けた。汚染水対策の切り札として、国が350億円を投じた。
 事故から5年。これまでの廃炉作業は汚染水との闘いだった。溶融燃料の取り出しに向けた作業はまだ建屋内の調査段階だ。完了まで30〜40年。気の遠くなるような作業が続く。
<「脱・脱原発」の流れ>
 福島県内外では10万人近い人々が避難生活を送っている。故郷に帰りたくても、かなわない人もいるだろう。
 事故は、暴走した原発が国土と後世に多大な影響を与えることを示した。脱原発は現在も世論の多くを占めている。それなのにこの1年間で4基の原発が再稼働された。「脱・脱原発」の流れを止めなければならない。
 再稼働に走る政府と電力会社は目先の利益を優先している。
 電力会社が原子力規制委員会に再稼働に向けた審査を申請したのは26基に上る。電力会社からは「原発は競争力の源泉」(北陸電力)など、再稼働で経営改善を図りたい本音が漏れる。
 約1兆4千億円。原発が1基も稼働していなかった2014年度に電力9社が原発の維持管理にかけた経費だ。原発は動かなければ金食い虫にすぎない。
 これまでは経費を消費者に請求できる総括原価方式をとってきた。4月からは電力小売り全面自由化が始まり、価格を競い合う時代になる。総括原価方式も廃止される。動かない原発を抱える余裕はない。廃炉にも経費がかかる。電力会社が再稼働を急ぐ理由だ。
 安倍政権は昨年決めた30年の電源構成比率で、原発を20〜22%に設定した。法定寿命の40年を超えて運転する原発がなければ実現できない。14年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で示した「原発依存度を可能な限り低減する」という方針を、電気料金値上げを嫌う産業界の要請に応え、簡単に転換したといえる。
 効率や利益を重要視し、最も大切な安全性の確保がおろそかになっていないか―。国民の不安はそこにある。
 大津地裁は9日、規制委の新規制基準に適合して再稼働した関西電力高浜原発3、4号機について、運転を差し止める仮処分を決定した。「過酷事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点がある」という判断だった。
 国民が求めているのは福島と同様の事故を二度と起こさないことだ。事故の防止対策では、考えられる最大限の自然災害を想定しなければならない。さらに万が一、想定外の事態が起きたとしても、事故につながらない対策が必要だ。対応できない原発は運転するべきではない。
<安全意識への疑問>
 国や電力会社は、福島の教訓を生かしているとは思えない。
 規制委の田中俊一委員長は「新規制基準の審査に合格しても十分ではない」と繰り返す。一方の政府は基準に適合すれば安全とみなして、今後も再稼働を続ける方針だ。安全性に対する責任の所在は不明確なままだ。
 九州電力は、川内原発(鹿児島県)の審査適合の前提だった免震重要棟の建設を撤回する方針を明らかにした。福島事故では免震重要棟に被害がなく現地本部が置かれた。東電社長だった清水正孝氏は国会事故調査委員会で「あれ(免震重要棟)がなかったら、と思うとぞっとする」と語っている。
 九電は規制委の批判を受け再検討する意向を示したものの、撤回方針は取り下げていない。川内原発は今も免震重要棟がないまま運転が続いている。
 志賀原発1号機(石川県)では、原子炉建屋直下の断層に活動性があると、規制委の調査団が判断した。規制委が追認すれば再稼働はできない。北陸電力は反発し、反論していく構えだ。
 事故時の住民の避難計画が機能するのか検証も足りない。再稼働で増える使用済み核燃料の処理問題も解決されていない。山積する課題の多くは放置されたままだ。
<長期の行動計画を>
 福島事故を受け脱原発にかじを切ったドイツは、22年末までに全原発を停止し、代替として再生可能エネルギーを普及させる長期計画を進めている。
 メルケル首相は11年6月の施政方針演説で福島の事故を取り上げ、「日本のようなハイテク国家であってさえ、原子力エネルギーのリスクを確実に制することはできないと認識した」と述べ、脱原発の必要性を強調した。
 日本は事故をどう受け止めたのか。福島を見つめ直して脱原発に向けた長期計画をとりまとめ、新たなスタートを切りたい。
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信濃毎日新聞(2016年3月11日)
社説:住まいの再建 復興の土台 支えを強く


 宮城県東部、太平洋岸に位置する女川(おながわ)町。大地震と高さ15メートル近い大津波に襲われた中心部は壊滅し、約830人が亡くなった。
 震災から9カ月後、2011年12月に訪れた時には荒涼たる風景が広がっていた。
 沿岸部には鉄骨のビルが残るだけ。国内有数の漁港に漁船の姿はない。JR女川駅は駅舎もレールも流されて跡形もなかった。
 女川までの石巻線が4年がかりで全線復旧した。先週、その列車に乗って再び町を訪ねた。
   <表の顔は整っても>
 降り立った駅は、温泉施設を併設した鉄骨3階建てに生まれ変わっていた。有名な建築家が設計した斬新なデザインだ。
 駅前には、レンガを敷きつめた道の両側にシックな装いのテナントが並ぶ真新しい商店街ができていた。被災した商業施設の復興を国が支援する「まちなか再生計画」の第一号。飲食店や工房など30近い事業者が入居し、週末は町外からも来る人でにぎわう。
 近くの漁港には約20隻の漁船が係留されていた。町の復興はかなり進んだように見える。
 ところが、駅裏の山側に向かうと、以前と変わらない光景がそこかしこにあった。
 プレハブの仮設住宅団地。29カ所に1279戸が立つ。5年たっても仮設から出られない世帯が多く、入居率は76・5%。宮城県内で最も高い。
 多目的運動場を埋める仮設団地に一人で暮らす藤中郁生さん(68)の部屋は4畳半一間に台所。ベッドと机との隙間はわずかだ。
 仮設の入居期間は原則2年。それを前提にした造りになっているため傷みが目立つ。底冷えがし、押し入れにはかびが生えてきた。鉄骨の梁(はり)には結露があり、部屋に水滴が落ちる。
   <長引く仮設暮らし>
 仮設暮らしが長い人の中には心身の健康を崩す人も多い。それでも入居率が高いのは、他に行き先がないからだ。
 津波の心配がない山側の土地確保が難しく、災害公営住宅の建設ははかどらない。これまでに完成したのは258戸分だけ。仮設の戸数の2割ほどだ。
 仮設の入居期間は延長が繰り返され、今は6年間。だが、2千人近い人があと1年で全員退去するのは不可能だ。
 災害前、ほとんどの町民が戸建てに暮らしていた。コミュニティーが途切れ、家賃がかかる公営住宅をついのすみかにすることをためらう人や、環境が合わないと退去する人もいるという。
 藤中さんは自宅の再建を目指す。仙台にいる娘が女川に戻りたいと言うからだ。金融機関にローンの相談に行ったが、年齢と収入減の壁があった。災害前、自宅で開いていた学習塾を仮設の事務所で続けているが、生徒数は3分の1に減ってしまった。
 住宅確保の難しさは人口減にもつながっている。
 震災前の2010年と直近の15年の国勢調査を比較すると、女川町の人口は3700人余減った。減少率37%は県内で最大だ。住宅再建を諦め、仙台など都市部に暮らす子どもや親せきを頼って町を出た人も少なくない。
 これは、東日本大震災の翌日に起きた栄村の大規模地震でも見られた現象だ。人口減少は産業や町の再生を阻み、そのことがさらに人口減に拍車をかける。
 21年前の阪神大震災では5年弱でプレハブ仮設住宅は解消した。東日本では5年たっても岩手、宮城、福島の被災3県でなお3万戸近い仮設住宅に約6万人が暮らす。孤独死も200人近い。復興には程遠い現実が横たわる。
 防潮堤や道路などのインフラ整備は進んでも、復興の土台となる住まいの再建の支えは弱い。
   <「共助」で補うことも>
 阪神大震災のあと、「公助」の仕組みを盛った被災者生活再建支援法ができた。国費と都道府県の拠出金を財源に、全壊・大規模半壊した家の建て直しに最高300万円が支給される。
 それでも十分な蓄えがなければ、多額の借金が必要な状況は変わらず、利用をためらう人も多い。半壊や一部損壊は支援の対象の外に置かれてもいる。
 約25万戸の住宅が全半壊する震災を経験した兵庫県は、「共助」の仕組みをつくった。住宅所有者が年5千円を出し合い、半壊以上で最高600万円を給付する。これによってその後の災害で住宅再建を果たした人もいる。
 東日本の喫緊の課題は、住宅再建への公的支援とアドバイスする人材を充実させることだ。
 災害列島に暮らす以上、誰もが被災者になる可能性がある。長野県内でも糸魚川―静岡構造線断層帯の全体が動く大規模地震が起きたら、阪神並みの20万棟以上が全半壊すると想定される。兵庫のような共助を全国に広げることも考えなければならない。
 家を失った多くの人がどうやって立ち直るか。東北の被災地の現状からくむべき教訓は多い。
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福井新聞(2016年3月12日午前7時05分)
社説:被災文化財の再生 修復技術の構築、共有に道


 東日本大震災は、地域で受け継がれてきた貴重な文化財にも甚大な被害をもたらした。こうした被災文化財について、全国の文化財関係者が連携し、再生への活動が続けられている。福井市の県立歴史博物館で開かれている企画展「よみがえる文化財」(21日まで)は、再生の方法や意義を考える貴重な機会だ。
 展覧会は、岩手県陸前高田市で被災し、修復された文化財を中心に約110点を展示している。陸前高田には市立博物館や図書館など四つの文化施設があったが、大津波ですべて水没。合計約56万点の資料のうち約46万点が回収された。
 しかし、海水に漬かった文化財は塩分や雑菌、泥にまみれ、カビが発生するなど腐敗が進行する。このため劣化要因を取り除き、長期にわたり保管できるようにする「安定化処理」が必要になる。そこで、世界でも例のない津波被害からの救援活動が行われてきた。
 修復作業は対象物により方法が異なる。展示会場には試行錯誤の末よみがえった土器や土偶といった考古資料から仏像、古文書、教科書、漫画、民俗関連まで多彩な資料が並んでいる。
 郷土芸能「高田歌舞伎」の衣装は袖などの部位ごとに分けて解体、洗浄し形を整えて元の状態に戻した。昆虫標本は、ばらばらになった標本を専門家が1点ずつ汚れをはらったり、洗浄したりして修復した。低温保管などの応急処置や最新の保存科学により、一見すると修復不能に見える資料も、見事によみがえった。
 こうして蓄積された技術は、今後の災害にも生かしたい。そのためには人材の育成が重要だ。今回の展覧会に合わせて、福井県立歴史博物館に岩手県の博物館学芸員らが訪れ、本県の学芸員らを対象に安定化処理のワークショップを開いた。中には一般市民でも可能な作業もある。そうした技術を普及させると、いざというときの大きな力になるだろう。
 被災文化財の再生には10年を越す年月が必要だといわれる。それだけの時間や多くの費用をかけて再生する意義について、救援活動の中核を担う岩手県立博物館の学芸員は▽地域に伝わる貴重な自然、文化遺産の保存と継承▽博物館など文化活動の再生▽地域が日本や世界の歴史の中で果たしてきた役割の再検討に必要―と説明する。
 伝統芸能の復活が心のよりどころとなり、地域の絆を取り戻し地域再生のエネルギーになることもある。未来への継承にも衣装や道具などの資料は重要だ。
 地震や津波、火山噴火といった災害は日本列島のどこででも起こりうる。2004年の福井豪雨の際は、資料の被害こそ少なかったが、地域にあるはずの貴重な歴史資料の所在が分からないケースが多かったという。災害が起きる前に、資料の価値の認識や所在情報の把握も欠かせない。
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福井新聞(2016年3月11日午前7時04分)
社説:大震災・原発事故5年 復興の二極化 全力で防げ


 「復興」とは何だろう。政府は着実に復興が進んでいる状況を強調するが、それはマクロの視点でしかない。被災住民の視点に立てば、復興には程遠い現状が露出する。岩手県の達増拓也知事はこう言う。「究極的には1人1復興。一人も取りこぼしがないようにしなければならない」
 それが「ふるさとを消滅させない」ことなのだ。
 東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から5年。政府の「集中復興期間」が終わり、4月から5年間の「復興・創生期間」に入る。25兆5千億円を投じても東北の再生はまだら模様だ。地域格差が目立ち3県の沿岸部における住宅再建のスピードは2倍の差がある。進展と停滞の二極化だ。まず生活再建を急がなければならない。
 特に福島県では、県外に流出した18歳未満の子どもは1万人強に上る。未曽有の災害は人口流出と高齢化を加速させるばかりか、地域の未来をも危うくする。ハードからソフトへ、生活実態に合ったきめ細かい支援や若者の雇用を確保する新産業創出が不可欠だ。
 ■分断される生活■
 交通や港湾整備、高台移転などインフラ整備は進んでも、生活の立て直しは容易ではない。災害公営住宅の整備も遅れている。東北3県のプレハブ仮設住宅入居者はピーク時の半分ほどに減ったが、まだ約5万9千人が暮らしている。
 空室率は44%となり、新たな生活の場を確保した住民も多い一方、高齢者や障害者など生活弱者が取り残され、孤立する懸念が増している。警察庁調べで、仮設住宅での1人暮らしの死者が昨年末で202人に上った。6割が65歳以上だ。生きがいを失う高齢者らに地域コミュニティーを分厚くする支援が欠かせない。
 復興庁によると、震災の避難者は東北3県で計17万8千人。ピーク時の47万人からは減ったが、福島県ではなお10万に近い住民が避難生活を送る。再建のめどが立たず、遠方の地で定住する家族も増えてきた。
 ■復興進まず7割■
 福島県では、除染で出た汚染土を保管する中間貯蔵施設の建設計画を受け入れたものの、地権者への理解が得られず、めどが立たない状況。原発に近い楢原町は昨年9月の避難指示解除後も数%が戻ったにすぎない。風評被害も収束せず、「前進したと思うと、より複雑な課題が現れる」(内堀雅雄県知事)。これが福島のジレンマである。
 日本世論調査会の調べでは、復興が「進んでいない」と考える人が72%に上る。一方で被災地への関心も77%が「薄くなっている」とする。あれほど多かった国民の寄り添う気持ちが徐々に薄れ、ボランティアも減少。深刻な人手不足が復興を遅らせる。大震災を風化させてはならない。
 ■東電への不信感■
 世論調査では、原発事故への国の取り組みも64%が「不適切」とみている。これは東電の対応力に問題があるからではないか。
 国民の不信感がさらに増す実態が露見した。事故直後に最も深刻な炉心溶融(メルトダウン)が起きていたのに「炉心損傷」として否定し続け、2カ月後やっと認めたことである。2月の会見で、判断する基準の社内マニュアルを見過ごしていたと釈明したが、作為的に事故を過小評価したと疑われても仕方がない。
 廃炉工程表では21年に溶けた核燃料の取り出しを始め、事故から30〜40年で廃炉を完了させる計画。現実は高濃度の放射線に阻まれ作業が進まない。汚染水対策も試行錯誤が続き、約千基(約80万トン)に及ぶタンクの林立が事態の深刻さを表す。「安全神話」が築き上げた原子力政策の「負の遺産現場」である。
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[京都新聞 2016年03月12日掲載]
社説:原発事故5年  エネルギー政策を再考せよ


 人類史上最悪の原子力災害となった東京電力福島第1原発事故の発生から5年が過ぎた。事故はいまだ収束が見通せず、福島県では10万人近くが避難を続けている。政府は昨年、復興指針を改定し被災者の自立を促す姿勢に方針転換したが、住民の帰還が順調に進むとはいえない状況だ。
 住民の帰還見通せず
 福島第1原発では、廃炉に向けた工程が進められているが、その中心は汚染水対策だ。保管タンクは約千基、総量は80万トンに上る。国が建設費350億円を投じ、対策の柱となる「凍土遮水壁」は先月、ようやく完成した。
 廃炉作業ははるか先だ。放射線量が高くて近づけないため、原子炉内で溶けた核燃料の場所や状態がはっきりせず、取り出しや処分には新技術の開発が前提となる。30~40年もかかる長い作業だ。
 政府は昨年9月、一部自治体の避難指示を解除した。住民の帰還を促す方針だが、子育て世代にとって、原発事故による環境への不安は切実だ。除染作業は進んでいるものの放射線の影響に関する懸念は根強い。中間貯蔵施設計画も難航し、除染廃棄物は仮置き場や住宅の一部に保管されたままだ。雇用環境の不安や病院、商業施設の不足なども住民の帰還をためらわせる要因となっている。
 しかし、政府は2016年度末までに居住制限区域と避難指示解除準備区域を解除し、避難者への賠償を17年度末で一律終了、商工業者への賠償を原則16年度末で打ち切る方針だ。
 東電による賠償は総額7兆円を超える見通しだが、負担を抑えるねらいで、被災者の支援を後退させることは許されない。自主避難者への公営住宅無償提供も来年3月で終了する。被災者を孤立させてはならない。実情に応じたきめ細かな支援を続けるべきだ。
 再稼働に司法の警告
 過酷な原発事故の経験を踏まえるなら、日本が目指すべき方向は「脱原発」のはずだ。
 ところが、現実は逆に進んでいる。原子力規制委員会の新規制基準に合格したとして、昨年8月から九州電力川内原発(鹿児島県)が、今年1月からは関西電力高浜原発(福井県)が運転を再開した。川内原発については、日本火山学会が噴火予測の限界などを踏まえて審査基準を見直すよう提言しており、高浜原発では、隣接する京都府、滋賀県の住民の避難計画や共同避難訓練に課題を残したままだ。
 4月からの電力自由化への競争力をつけるため、原発の再稼働を急いで電気料金を引き下げたい電力会社の思惑も透ける。経済を優先して安全を後回しにする「安全神話」の復活すら疑われる。
 事故後、民主党政権は「2030年代に原発ゼロ」「原発の新増設は行わない」などを原則とする「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめた。エネルギーの将来をめぐって各地で意見聴取会が開かれ、日本で初の討論型世論調査も行われた。そこで示された「脱原発」の民意を反映させた形だ。
 ところが、政権交代後、安倍内閣は原発をベースロード電源として使い続けると決定。30年の電源構成比率で、原発を20~22%として法定寿命の40年を超える原発の運転延長をも想定している。
 国民世論は一貫して「脱原発」を求め続けている。京都新聞社など加盟の日本世論調査会が今年2月末に行った世論調査でも、原発の将来についての質問で「即時ゼロ」が12%、「段階的に減らし将来はゼロ」が50%を占めた。
 明快に示された民意を基にしたエネルギー政策を、簡単に覆したことに正当性は認められまい。
 再稼働の流れの中、大津地裁が9日、高浜原発の運転を差し止める仮処分決定を出した。福島事故の現実を踏まえ、安倍内閣が「世界一厳しい」と繰り返す新規制基準に疑問を呈した内容だ。国主導による住民の避難計画策定も求めた。司法からの警告を謙虚に受け止めなければならない。
 先送りする余裕なし
 「脱原発」が必要なのは、それだけではない。原発を動かし続けるための核燃料サイクルが事実上破綻し、高レベル放射性廃棄物の最終処分も見通せないからだ。
 使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す中核施設の再処理工場(青森県)は23回も完成を延期し、プルトニウムを使う高速増殖炉もんじゅ(福井県)は度重なるトラブルでほとんど稼働できないまま、規制委に運営主体の変更を勧告されている。
 再処理工場が動かないため、各原発で使用済み核燃料の貯蔵プールは平均7割埋まり、2~3年で満杯になる原発もある。新しい貯蔵場所の確保も容易ではない。
 最終処分場について、政府は公募方式から国が候補地を提示する方式に変更したが、積極的に受け入れを表明する自治体はない。政府は腰を据えて取り組む必要がある。問題を先送りにする余裕はない。
 再生可能エネルギーの推進や電力市場の自由化などの電力改革は徐々にではあるが進んできた。後戻りは許されない。政府にエネルギー政策の再考を強く求めたい。
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[京都新聞 2016年03月11日掲載]
社説:大震災5年  「人の復興」を正面に据えよ


 東日本大震災の発生から丸5年を迎えた。死亡と行方不明は1万8千人以上に上り、いまも続く震災関連死を合わせた犠牲者は2万1千人を超えて増えている。
 被災地の復興はまだら模様だ。政府は、5年間で総事業費26兆円の「集中復興期間」を3月で終え、2016年度から被災地の自立に力点を置く「復興・創生期間」に移る。
 だが、どれだけの被災者が5年を前向きに節目と実感できただろう。交通などインフラ復旧や新たなまちづくりも進むが、被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県では、いまだ県内外で避難生活を送る人が約17万4千人に上る。将来のめどが立たないまま、長期化に伴う健康不安や地元帰還への諦めが広がり、復興が困難さを増している面もある。
 自立を無理強いし、行政支援を後退させる状況にはない。これまでハード主体に進めてきた事業の在り方を見直し、被災者の生活再建を正面に据えた「人の復興」を加速せねばなるまい。
 仮設に5万7千人
 生活の基盤である住宅整備の遅れが目立つ。家を失った人々のために応急的に建てられた仮設住宅に現在も3県で約5万7千人が暮らし、発生から5年で入居者がゼロになった阪神大震災との違いが際立っている。
 転居先となる災害公営住宅は建設予定の半分、高台移転は3割しか完成していない。津波被害が大きい沿岸部は用地買収やかさ上げなど大規模工事に時間を要し、東京五輪の需要増に伴う人手不足や資材高騰も影を落としている。
 仮設が残る46市町村のうち16年度中の解消予定は5市町村で、岩手県大槌町は震災10年の21年春の見通しだ。大幅な遅れから自宅の再建を断念する人もおり、実情に即した規模縮小など事業を柔軟に見直し、スピードアップを図るべきだろう。
 長い避難生活で体調を崩すなどして震災関連死と認定された人は3300人を超え、仮設内の孤独死は年々増え昨年は49人に上った。空き室が増えた仮設に単身のお年寄りが取り残されたり、転居先で交友関係が途切れたりし、孤立化するケースが少なくない。
 高齢者の見守り、心のケアとともに新たなコミュニティー作りがますます重要になる。継続的に支援するNPOや若者らの活動もあり、市民の力も借りたい。不便で老朽化した仮設の補修、更新など住環境改善も欠かせない。
 担い手流出が足かせ
 復興の重い足かせとなっているのが人口の流出だ。震災前の10年と15年の国勢調査を比べた人口減少率は宮城を除く東北5県が1~5位となった。津波被害を受けた沿岸部は20、30%台の大幅減が目立ち、住民の減少が商業や町の再生を阻み、さらなる流出に拍車を掛けている。
 共同通信社が1月に岩手、宮城、福島3県の沿岸部42市町村長に行ったアンケートでも、6年目以降の課題や不安は「人口減少」と「予算・財源の確保」が最多だった。東北各県は以前から過疎・高齢化が進んでいた上、震災後に住宅再建だけでなく病院や学校、商店などの生活環境が整わないことが避難者の帰還を妨げている。
 中でも小中学生が震災前から12%減っているのは深刻で、復興の次世代の担い手確保が危ぶまれかねない。子育てを支える保育所などの不足も要因で、生計のため働く母親が増える一方、保育士不足から受け皿が追い付かない状況がある。
 病院や介護施設なども同様だ。全国的に入所待ち解消へ受け入れ拡充策が進められる中、有資格の職員を奪い合っている背景があり、より好条件の大都市へ人材が流れている。被災者の生活再建を支えるには、保育・介護職員らの待遇改善や人材確保策に国の特別な支援が必要だろう。
 風化させず継続的に
 巨費を投じてきた防潮堤や高台造成など建設事業は、今後ピークを過ぎて被災地の働き口や関連需要が細ることも懸念される。住民が帰還、定住し、町の再生を進めるには安定した生計が不可欠だ。生活関連の事業再開や地場の農林水産業、観光の新展開の支援などソフト事業の強化が重要だろう。 気がかりなのは復興進行の格差がさらに広がることだ。政府はこれまで全額国費だった復興事業費を16年度以降、地元に一部負担させる。5年間で3県の自治体負担は220億円が見込まれ、財政力の弱い自治体で事業が遅れることのないよう配慮すべきだ。
 復興事業を担う自治体職員の不足も心配だ。全国の自治体の派遣を含め応援職員が大きな役割を果たしているが、3県で必要数の1割が欠員状態の上、派遣元の自治体が5年で打ち切る動きも相次いでいる。震災の風化に被災地が危機感を高める中、他の自治体をはじめ民間、市民も継続的な関わり方を考えたい。
 京都府と滋賀県への避難者は2月末で880人以上おり、帰還のめどが立たず、永住を考える避難者も増えているという。生活支援とともに定住を見据えた住宅、雇用の確保策も求められよう。
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