2016-04-24(Sun)

「組織罰を実現する会」発足 重大事故遺族ら 160423


JR尼崎脱線事故から11年/組織罰の設置で、「組織の構造的な問題を告発できるようになる」

----乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故の遺族らが23日、重大事故を起こした企業や国などを処罰する法律の創設を目指す「組織罰を実現する会」を発足した。署名活動や講演活動などを展開していく。
 
兵庫県伊丹市内で同日に開かれたシンポジウムには福知山線事故被害者のほか、中央道笹子トンネル事故遺族、東日本大震災福島第1原発告訴団、七十七銀女川支店被災者家族会などの関係者ら95人が集まった。
 
会の代表で福知山線事故で長女を亡くした神戸市の大森重美さん(67)は、「本当に安全な社会を実現するためには組織罰が必要だ」とあいさつ。

顧問に就任したノンフィクション作家の柳田邦男氏は講演で、「日本の刑法は個人に寄っている。組織罰の設置で、組織の構造的な問題を告発できるようになる」と話した。
(時事通信)

----素案では会社の業務として従業員が死亡事故を起こした場合、会社の規模に応じた罰金刑を科す。会社は事故防止義務を尽くしたことを立証すれば免責される。
刑事罰の抑止効果で会社を挙げて事故対策に取り組むはずだと遺族は期待する。
 
一方で、組織罰導入に関しては、組織を守るため関係者が証拠を隠したり証言を拒んだりして事故調査が進まず、真相究明を妨げる恐れがあるという慎重論も根強い。業務改善命令など行政による処分で事故防止を図るべきだという考えもあり、これまで議論は深まらなかった。
 
英国では遺族らが組織の刑事責任を問える法改正を求め、2007年に新法が成立した。死亡事故を起こした法人の安全対策が不十分と認められれば上限なく罰金刑を科すことができる。処罰感情への配慮だけでなく、刑事罰の抑止効果で事故が減れば社会的コストが抑えられるという国民的な理解が得られたためだ。
 
高度化、複雑化した巨大組織の安全システムは事故が起きた場合、責任の所在を明らかにしにくい。事故の責任を問うにはどのような制度が望ましいか、組織罰の是非を含めて議論を深めたい。
(毎日新聞・社説)

毎日新聞)社説:尼崎脱線事故 遺族が求める組織責任(4/24)




以下引用



毎日新聞2016年4月24日 東京朝刊
社説:尼崎脱線事故 遺族が求める組織責任


 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故の遺族らが、重大事故を起こした企業に刑事罰を科す「組織罰」の制度化を求める団体を設立した。
 乗客106人が犠牲になった惨事にもかかわらず、一人も刑事責任を負っていない。11年たっても消えない遺族の処罰感情が出発点だが、個人責任である刑事罰を組織に負わせるには課題も多い。導入の是非を幅広く議論する必要がある。
 脱線事故では、JR西日本の社長経験者4人が業務上過失致死傷罪で起訴されたが、1人は無罪が確定し、残る3人も地裁、高裁で無罪判決を受けている。多数の人命を預かる公共交通機関のトップといえども、刑事罰を科すのは難しい。役職が現場から遠くなるほど、具体的な事故を予測し、回避できたはずだと立証するのは困難になるからだ。
 同罪では個人の責任しか問えないため、このままではJR西日本は全く刑事責任を負わないことになる。
 一方、脱線事故の背景には、私鉄との競争に勝つため余裕のないダイヤを組んだことや、ミスに対する懲罰的な指導が乗務員に重圧を与えたことなどがあったとされる。しかし、個人が対象の裁判では、そうした企業倫理の問題の解明に踏み込み切れなかった。
 遺族が、やりきれなさを感じるのも無理はないだろう。遺族団体は、業務上過失致死罪の対象に会社などの組織を加える特別法制定を国などに働きかける。素案では会社の業務として従業員が死亡事故を起こした場合、会社の規模に応じた罰金刑を科す。会社は事故防止義務を尽くしたことを立証すれば免責される。
 刑事罰の抑止効果で会社を挙げて事故対策に取り組むはずだと遺族は期待する。
 一方で、組織罰導入に関しては、組織を守るため関係者が証拠を隠したり証言を拒んだりして事故調査が進まず、真相究明を妨げる恐れがあるという慎重論も根強い。業務改善命令など行政による処分で事故防止を図るべきだという考えもあり、これまで議論は深まらなかった。
 英国では遺族らが組織の刑事責任を問える法改正を求め、2007年に新法が成立した。死亡事故を起こした法人の安全対策が不十分と認められれば上限なく罰金刑を科すことができる。処罰感情への配慮だけでなく、刑事罰の抑止効果で事故が減れば社会的コストが抑えられるという国民的な理解が得られたためだ。
 高度化、複雑化した巨大組織の安全システムは事故が起きた場合、責任の所在を明らかにしにくい。事故の責任を問うにはどのような制度が望ましいか、組織罰の是非を含めて議論を深めたい。
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読売新聞 2016年04月24日
JR脱線事故遺族ら「組織罰を実現する会」設立
 事故を起こした企業などを処罰する特別法の整備を求め、JR福知山線脱線事故の遺族らが23日、「組織罰を実現する会」を設立した。署名活動や国会議員への働きかけを通じ、社会に必要性を訴えていく。
 遺族らは2014年から約2年間、専門家らを招いた勉強会を開き、刑事司法の問題点などを学んできた。この日は、兵庫県伊丹市で設立総会があり、事故で長女を亡くした大森重美さん(67)を代表に決めた。


日本経済新聞 2016/4/24 1:06
組織罰」実現へ団体発足 尼崎脱線事故の遺族らがシンポ
 事故などで法人の刑事責任を問えるよう、新たな特別法制定を求める「組織罰を実現する会」が23日、正式に発足し、尼崎JR脱線事故の遺族や弁護士らが兵庫県伊丹市で記念の公開シンポジウムを開いた。事故は25日で11年となる。
 メンバー約20人の代表に就任した遺族の大森重美さん(67)は「さまざまな要因が絡み、多くの社員が関わる大企業の事故で、誰も責任を取らない現状はおかしい。本当に安全な社会のシステムを確立するために組織罰が必要だ」とあいさつ。シンポでは約100人が意見交換をした。
 個人の行為を対象とした日本の刑法の業務上過失致死傷罪では法人を処罰できないことから、会は新たな特別法「業務上過失致死罪の法人処罰に関する法律」の制定を求めて活動する。素案は企業に罰金を科す仕組みを想定している。〔共同〕

時事通信(2016/04/23-18:03)
組織罰制定へ「実現する会」=重大事故遺族ら発足-兵庫
 乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故の遺族らが23日、重大事故を起こした企業や国などを処罰する法律の創設を目指す「組織罰を実現する会」を発足した。署名活動や講演活動などを展開していく。
 兵庫県伊丹市内で同日に開かれたシンポジウムには福知山線事故被害者のほか、中央道笹子トンネル事故遺族、東日本大震災福島第1原発告訴団、七十七銀女川支店被災者家族会などの関係者ら95人が集まった。
 会の代表で福知山線事故で長女を亡くした神戸市の大森重美さん(67)は、「本当に安全な社会を実現するためには組織罰が必要だ」とあいさつ。顧問に就任したノンフィクション作家の柳田邦男氏は講演で、「日本の刑法は個人に寄っている。組織罰の設置で、組織の構造的な問題を告発できるようになる」と話した。

毎日新聞2016年4月24日 大阪朝刊
JR福知山線脱線
組織罰「実現の会」発足 遺族、立法働きかけ
 JR福知山線脱線事故の遺族らが23日、重大事故を起こした企業などに刑事罰を科す法制度の実現を求める「組織罰を実現する会」を発足させた。この日、兵庫県伊丹市で開いたシンポジウムで、大森重美代表(67)は「安全な社会を作るためのスタートが切れた」と語った。
 遺族らは2年前から勉強会を重ね、組織罰の必要性や課題などを検討してきた。今月、刑法の業務上過失致死罪に、法人への罰金刑を加える特別法の素案をまとめた。今後、国などに制定を働きかけていく。
 シンポには、航空機などの重大事故に関する著作があるノンフィクション作家、柳田邦男さんも参加。「日本社会は問題の原因を深く分析せずに、失敗を繰り返してきた」と事故調査の重要性を強調。組織罰の導入について、罰を恐れて関係者が口を閉ざし、事故調査を妨げるとの指摘があるとして「処罰と安全を確立させることが互いに支障にならないよう、いい形になってほしい」と述べた。【田辺佑介】

神戸新聞NEXT 4月23日(土)18時9分配信
組織罰を実現する会」発足 JR脱線事故遺族ら


組織罰の実現可能性や課題、意義などについて有識者が講演したシンポジウム=伊丹市昆陽池2
 企業の刑事責任を問う法制度の創設を目指す尼崎JR脱線事故の遺族らが23日、「組織罰を実現する会」の発足に合わせたシンポジウムを、兵庫県伊丹市のスワンホールで開いた。ノンフィクション作家柳田邦男さんらが講演し、実現に向けた課題や意義などを話し合った。
 遺族や負傷者らは、2014年から勉強会を重ねてきた。25日の事故11年を前に、死亡事故を起こした企業に罰金刑を科す法案制定に向け署名活動などに取り組むと発表。実現する会を23日に立ち上げ、報告を兼ねてシンポを企画した。
 冒頭で、会の代表に就いた遺族の大森重美さん(67)=神戸市北区=が経緯を説明。「組織にプレッシャーを与えることで安全な社会システムを確立できる」と組織罰の意義を強調した。
 脱線事故の取材を続ける柳田さんは、企業が組織防衛を強め、原因究明に影響が出ることを懸念。一方、事故原因を構造的な問題として告発できる可能性に触れ、「処罰の論理と安全の構築がバッティングしないよう両立させることが重要だ」と指摘した。
 遺族らが制定を目指す法案の基礎を示した郷原信郎弁護士も講演。法制化が実現すれば、今年1月に起きた長野県軽井沢町のスキーバス転落事故でも、死亡した運転手の過失を基にバス会社の刑事責任を問えるとした。
 シンポには、東日本大震災の津波で七十七銀行女川支店(宮城県女川町)に勤める長男を失った田村孝行さん(55)も出席した。銀行側の避難指示を民事訴訟でただした経験を踏まえ「企業の安全対策の重要性を訴え続けていきたい」と話した。(小川 晶)


神戸新聞 NEXT 2016/4/23 11:00
組織罰は是か非か 尼崎JR脱線事故 識者に聞く
尼崎JR脱線事故の遺族らが23日、「組織罰を実現する会」を立ち上げる。目指す方向性は、処罰対象を個人に限定する刑法の根幹を見直し、業務上過失致死罪を企業などの法人にも適用できるようにする特別法の制定だ。その意義や実現への道のりについて、2人の刑法学者に聞いた。(小川 晶)
■大塚裕史・神戸大名誉教授「刑法の対象基本は個人」

 おおつか・ひろし 1950年生まれ。早稲田大法学部卒業後、神戸大大学院法学研究科教授などを経て2015年から明治大法科大学院教授。専門は刑事過失論。明石歩道橋事故をテーマにした論文などを著している。
 企業の営業活動の一環として誰かに損害を与えたのであれば、その行為に対して企業が責任を負うべきという考え方はもっともだ。ただ、刑法の刑罰の対象は基本的に個人であり、企業のような法人にはなじみにくい。
 飲酒運転による事故の遺族らが声を上げ、社会の共感を得て新設された危険運転致死傷罪の例もあるが、これはあくまで個人の刑罰を重くするという発想。組織罰の制定とはハードルの高さが違う。
 実効性にも問題がある。業務上過失致死罪で企業の刑事責任を問う場合、前提はあくまでも個人への刑罰で、組織罰はそのプラスアルファになる。個人の過失がなければ企業の過失を立証できないし、その部分を緩やかにすると、具体的な過失がないのに罰せられることになりかねないジレンマに陥る。
 組織罰の先進事例では、英国が2008年に導入した「法人故殺罪」があるが、適用されるのは組織の上級管理者に重大な注意義務違反があった場合に限られる。仮に、法人故殺罪を脱線事故に当てはめたとしても、JR西日本が罪に問われる可能性は極めて低いだろう。
 刑罰には「予防」と「応報」の二つの意義がある。
 組織罰制定の動きでみれば、刑罰ができることで、企業が安全性により気を付けるようになり、再発防止につながる-というのが予防の考え方。ただ、企業が組織防衛に走り、肝心の原因究明に影響が出る懸念がある。組織罰がない現状でも、高額な民事賠償の責任は発生するわけで、そういう意味では既に有効な抑止策があるという見方もできる。
 一方で、被害者側の処罰感情を満たす応報の観点はどうか。脱線事故では、多くの命が奪われたにもかかわらず、運転士は亡くなり、経営陣にも無罪判決が出て、現時点では誰も刑事責任を問われていない。
 このことを「おかしい」と感じ、自分たちが抱くやりきれない思いを二度と味わわせたくないという遺族らの意識は極めてまっとうだ。立法に向けて活動する心情も理解できるし、社会に対して問題提起する意義はある。
■川崎友巳・同志社大教授「企業の犯罪裁く時代に」

 かわさき・ともみ 1969年生まれ。同志社大法学部を卒業後、同大助手などを経て2008年から同大教授。専門は経済刑法。脱線事故の遺族らによる「組織罰を考える勉強会」にも、講師として2回招かれた。
 刑法では、企業には罪を犯す能力がないという考え方が貫かれている。刑法ができた明治時代、企業に処罰されなければならないほどの存在感がなかったためだが、今では組織が巨大化し、社会的な活動主体になっている。
 企業の中の個人としてではなく、企業として意思決定することもあり得るようになり、企業にも犯罪能力があると考えるのが自然になった。実際に処罰する必要性が出てきたからこそ、罰則規定がある法令の半数以上に企業を対象とした両罰規定がある。刑法だけを例外とする考え方は説明がつかない。
 脱線事故は、その問題点を浮き彫りにした。薬害や食品など社会問題になった事件は、特別法などで何らかの刑事罰が科されてきたが、脱線事故は運転士が死亡し、現時点で誰も処罰されていない“エアポケット”のような特異事例だ。これまでの法律家が掲げてきた「処罰されているんだから法律は役目を果たしている」との論理は通用しない。
 ただ、組織罰の制定は容易ではない。法律の仕組みを変える難しさに加え、被害者が多いという脱線事故特有の事情があるからだ。
 危険運転致死傷罪が成立したときは、被害者側の意見がおおむね一致していた。「違法と分かっていて飲酒運転し、人を殺したのに問われる罪が業務上過失致死。『過失』というのはあまりにも不条理だ」と。
 脱線事故では、組織罰よりも原因究明を優先すべきという立場だったり、経営者との対話で企業体質の改善を図ることを重視したり、さまざまな意見がある。被害者が多いからこそ、組織罰を求める声が、全体ではなく、個別の一つの意見と捉えられ、立法の促進力を弱める結果につながる恐れがある。
 だからこそ、どうやって社会の賛同を得るかが大事になってくる。「組織罰が必要だ」という意義を強調する。タイミングを逃さず、いかに機運を高めていくかに知恵を絞る。
 詳細な法律の論理などは、実際に法制化がみえた段階で専門家が考えるべきもので、細部にこだわってマルかバツかの議論をするのは得策ではない。


産経ニュース 2016.4.23 22:26
【JR脱線事故11年】
組織罰を実現する会が正式発足 「本当に安全な社会を」 兵庫・伊丹で公開シンポ
 乗客106人が死亡した平成17年のJR福知山線脱線事故の遺族らが23日、兵庫県伊丹市で公開シンポジウムを開き、法改正で事故を起こした企業を罰する組織罰の創設を目指す「組織罰を実現する会」を正式に発足させた。シンポでは、組織罰の必要性を改めて訴えた。
 脱線事故の遺族のほか、山梨県の中央自動車道笹子トンネルで起きた天井板崩落事故の遺族ら約100人が参加。同会の顧問で、ノンフィクション作家の柳田邦男さんと、組織のコンプライアンス(法令順守)に詳しい元検事の郷原信郎弁護士が講演した。
 柳田さんは「組織事故と責任追及」と題して講演。「日本では明治から続く刑法が、今でも事故責任の追及の根本となっている」と説明。複雑化する現代の事故に法律が対応できていないとした上で、「組織罰に関する法律が設置されれば、責任は組織の上層部まで及ぶ。事故の原因を組織の構造的な問題としてとらえられる」と指摘した。
 また、「組織上層部の責任を問うことで、事故の被害者や遺族が泣き寝入りせざるを得ない現在のあり方を変えなければいけない」と訴えた。
 郷原弁護士は、同会が目指す法律の素案を発表。従業員が事故で人を死亡させた場合、企業に罰金刑を科すことを求めており、「安全対策を講じていたかどうか企業に立証責任を負わせることで、刑事裁判が事故の真相解明の場になるのでは」と期待を示した。
 脱線事故で長女=当時(23)=を亡くした同会代表の大森重美さん(67)=神戸市北区=は「組織罰ができれば、事故の再発を防ぐことができ、本当に安全な社会を実現することができる」と強調した。

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