2016-04-28(Thu)

熊本地震 被災地生活再建 社説等 160428 

熊本仮設住宅--避難所生活の長期化防ぎたい 災害弱者へのケア重視を
新幹線の脱線--被害を抑える対策が要る 地震対策を再点検せよ 
地震国と原発--常に用心深くありたい  庁舎の被災--機能維持の備えを進めよ


<各紙社説>
読売新聞)熊本仮設住宅 避難所生活の長期化防ぎたい(4/28)
毎日新聞)地震国と原発 常に用心深くありたい(4/28)
京都新聞)新幹線の安全  地震対策を再点検せよ(4/28)
神戸新聞)新幹線の脱線/被害を抑える対策が要る(4/28)
山陽新聞)庁舎の被災 機能維持の備えを進めよ(4/28)

高知新聞)【熊本地震2週間】災害弱者へのケア重視を(4/28)
西日本新聞)震災と子ども 居場所つくり心のケアを(4/28)
熊本日日新聞)被災地生活再建 先を見据えた行政対応を(4/28)
宮崎日日新聞)本県の地震被害 復旧や生活再建に力尽くせ(4/28)
南日本新聞)[熊本地震・長引く避難生活] きめ細かな支援必要だ(4/28)




以下引用



読売新聞 2016年04月28日 03時02分
社説:熊本仮設住宅 避難所生活の長期化防ぎたい


 熊本地震で損壊した住宅は2万棟を超える。被災者の避難所暮らしが長期化せぬよう、仮設住宅の整備を急ぎたい。
 熊本県では、全国から集められた建築士らが、約600人体制で建物の応急危険度判定を進めている。倒壊などの危険があると判定された建物は8000棟超に上り、阪神大震災や新潟県中越地震を既に上回った。
 余震が終息に向かっても、自宅に戻れず、避難生活の継続を余儀なくされる被災者は多い。
 一部の避難所では、感染症が発生している。プライバシーを保てないなどとして、車内で寝泊まりする住民には、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)が相次ぐ。
 被災者の健康維持のために何より求められるのは、独立した居住空間だと言えよう。
 災害救助法上、仮設住宅の提供は都道府県知事の責務だ。熊本県は、本震で震度7が観測された西原村に、まず50戸を建設すると発表した。5月に着工し、6月の完成を目指すという。
 阪神大震災では、発生から半月で仮設住宅への入居が始まった。中越地震や東日本大震災でも、入居開始までに要した期間は、1か月程度だった。
 東日本大震災では、アパートなどの民間賃貸住宅を利用する「みなし仮設」の仕組みも、多くの被災地で導入された。整備費の抑制が見込めるだけに、今回も積極的に活用すべきだ。
 熊本県は当面、みなし仮設を含め、4200戸分の整備費を確保する。市町村と連携し、実際に必要な戸数を出来るだけ早く確定させたい。用地の選定も急務だ。
 住まいの復興をどのように進めていくのか、県と市町村は今後の行程を提示し、住民の不安を和らげる必要がある。
 仮設住宅が用意されるまでの間は、避難所の環境改善にも取り組まねばならない。間仕切りの設置や、仮設トイレの増設といった対応が求められる。梅雨や暑さへの備えも不可欠だ。
 現地の自治体は、住民の救護やライフラインの修復などに手いっぱいだという事情もあろう。
 だが、時間の経過とともに、被災者のニーズは変わる。それに合わせて、人員の配置を柔軟に見直し、被災者の身になった支援を進めてもらいたい。
 宮城県は、東日本大震災で仮設住宅の建設業務にあたった職員を現地に派遣している。応援職員の知識や経験を最大限に生かし、対処能力を高めることも大切だ。
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毎日新聞 2016年4月28日 東京朝刊
社説:地震国と原発 常に用心深くありたい


 いつ、どこで、大きな地震が起きてもおかしくない。しかも、それを予測することはできない。熊本地震が突きつける地震大国・日本の現実である。
 続けて起きた震度7、拡大する震源域に、鹿児島県で稼働中の九州電力川内原発の安全性に不安を感じた人も多いだろう。大分から海を隔てた四国電力伊方原発についても懸念の声が上がっている。
 しかし、地震のリスクを抱えているのはこの地域だけではない。それにもかかわらず政府は「原発回帰」を進めようとしている。日本は原発と共存できるのか。改めて考えるきっかけとすべきではないだろうか。
予測不能の現実認識を
 今回の地震では14日夜に熊本地方の日奈久断層帯を震源とするマグニチュード(M)6・5の地震で震度7を記録、16日未明にはその北側の布田川断層帯を震源とするM7・3の地震で再び震度7の揺れを観測した。その後、地震活動は阿蘇地方や北東方向に広がり、熊本県から大分県まで広い範囲で大きな揺れが続いてきた。
 今後、活動は収まるのか、さらなる拡大もありうるのか。阿蘇山への影響はないのか。確実なことはわからない。現在の地震学や火山学の限界だ。
 原子力規制委員会は18日に臨時会合を開き川内原発を停止させないと決めている。地震の揺れの原発への影響は加速度(単位はガル)で評価されるが、今回、同原発で観測した最大の加速度は8・6ガル。再稼働の際の審査では最大620ガルにも耐えうると判断されている。布田川・日奈久断層帯で最大M8・1の地震が起きた場合でも150ガルにとどまるというのが審査時の評価だ。
 確かに、これだけを考えれば問題はなさそうに思える。しかし、それはあくまで、地震が想定の範囲に収まった場合だけだ。
 今回、気象庁や専門家は「内陸型でM6・5級の地震の後にさらに大きな地震が起きた前例がない」「離れた3カ所で同時に地震活動が起きたケースは思い浮かばない」といった言葉を繰り返している。政府の地震調査委員会は布田川断層帯の長さが想定より長かったとの見解も示している。
 日本全国にわかっているだけで2000の活断層がある。今回は既知の活断層で地震が起きているが、2000年の鳥取県西部地震や08年の岩手・宮城内陸地震のように未知の活断層でM7を超える地震が起きたケースはある。北陸電力志賀原発など原子炉直下に活断層が存在する可能性が指摘されている原発では、安全側に立った判断が必要だ。内陸型だけではない。プレート境界で起きた5年前の東北地方太平洋沖地震も専門家の予測を大きく超えた。こうしたことを考え合わせれば、すべての地震が電力会社や規制委の想定に収まるとは考えられない。
 地震に限らず、規制委の基準をクリアしたからといって原発の安全が確保されたわけではない。そのこと自体は規制委自身も認めているが、より現実的な可能性として考えておかなくてはならない。そのためには事故を想定した備えが不可欠だが、対応は万全とは思えない。
安全神話に戻らずに
 今回の地震では、橋の落下や土砂崩れ、道路の陥没など、交通網の寸断があちこちで起きた。新幹線の脱線も現実のものとなった。こうした状況を見るにつけ、災害と原発事故が同時に起きた場合に住民避難が計画通りに進められるのか、懸念が拭えない。事故収拾のための支援にも支障が出るだろう。
 余震が続けば事故対応そのものも妨げられる。九電は川内原発で当初予定していた免震重要棟の新設を撤回しているが、地震に対する油断がないか、再考してもらいたい。
 旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故から26日でちょうど30年になった。当時日本は、旧ソ連の特殊事情で起きた事故であり、日本で原発事故は起きないと考え、対策を怠った。それから25年たって起きた福島第1原発の過酷事故は、日本の安全対策の不備を浮き彫りにした。
 その福島の事故から5年。政府は再稼働を進める姿勢を示し、運転40年で廃炉にする新ルールの例外中の例外だったはずの老朽原発の再稼働も事実上認めた。「福島のような事故はもう起きない」という安全神話の再来を懸念する。なしくずしの「原発回帰」は認められない。
 チェルノブイリの事故は30年たっても収束からほど遠い。事故当時、放射性物質を閉じ込めるために建てられたコンクリート製の「石棺」は老朽化が著しく、新シェルターの建設が進められている。福島でも、いまなお古里に戻れず避難先で生活する人々が10万人近くに上る。40年、50年続く廃炉の見通しも立っていない。被ばくの影響への不安も人々を苦しめる。
 たとえ起きる確率は低くても、未来を奪う原発事故は他の事故とは性格が違う。原発テロなど新しいリスクも国際的に注目されている。地震国として、原発の過酷事故を体験した国として、用心深さを忘れてはならない。
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[京都新聞 2016年04月28日掲載]
社説:新幹線の安全  地震対策を再点検せよ


 熊本地震の被害で分断されていた九州新幹線がきのう、全線で営業運転を再開した。
 最初に最大震度7を記録した14日夜の地震で回送列車が脱線したほか、高架橋のひび割れや防音壁の落下など多数の損傷を負った。
 地震による新幹線の脱線は半世紀余りの歴史で3例目だ。被災から13日後の全線復旧は、2004年の新潟県中越地震の66日、11年の東日本大震災の49日に比べ相当に早い。余震が続く中、JR九州は「ゴールデンウイークまでに」と作業を急いで全通にこぎつけた。
 当初は被害区間を徐行するなど通常より本数を減らした運行となるが、九州を南北に貫く大動脈の復旧は、被災者の生活再建や復興への後押しになろう。
 ただ、高速・大量輸送を担う新幹線がまたも脱線した事態は重く受け止めねばならない。「地震列島」でいかに安全運行を確保するか、JR各社には地震対策のさらなる強化が求められよう。
 今回の現場は熊本駅の南方のカーブで、時速80キロで走行中だった全6両が脱線する初の事態となった。新幹線は地震の初期微動を検知して自動停車させるシステムを備える。今回も作動したが、本格的な揺れがほぼ同時に来る直下型地震では効果が薄いとの指摘が改めて実証された形だ。
 回送中で乗客がおらず、運転士も無事だったのは幸いだった。高速で営業運転中なら多大な人的被害が出た可能性は否定できない。
 避けがたい急激な揺れでも脱線を防ぐため、JR各社は中越地震を教訓にレールに平行して敷設する「脱線防止ガード」設置を進めてきたが、今回の現場は未設置だった。JR九州の設置計画は上下線計513キロのうち55キロ(完了48キロ)で、震源となった日奈久、布田川両断層帯は対象外だった。
 ガード設置には1キロ当たり1億円前後かかり、工事も深夜に限られるため優先順位をつけるのはある程度やむを得ない。ただJR東海の6割近い設置計画に比べてJR九州は約1割と危機感が薄かったのは否めない。
 JR九州は、ガード設置範囲の拡大を検討する方針だ。活断層や今回の現場のようなカーブへの対策を含め、他の各社も運輸安全委員会の調査や専門家の意見も踏まえて地震対策を再点検し、教訓を生かしてほしい。
 想定を超える災害が前例のない新幹線の大惨事を招く危険性を自覚し、事業者や行政、専門家が最新の技術と知見を集めて不断の安全性向上に努めねばならない。
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神戸新聞 2016/04/28
社説:新幹線の脱線/被害を抑える対策が要る


 熊本地震で回送列車が脱線するなどした九州新幹線がきのう、全線で営業運転を再開した。
 九州を縦断する交通の大動脈が13日ぶりに復活した。地震活動は今も活発で、被災地は厳しい状況にあるが、地域の活力を取り戻すきっかけになってほしい。
 一方、高速で多くの乗客を運ぶ新幹線の地震対策について課題も浮かび上がった。安全確保策をあらためて点検する必要がある。
 大惨事につながりかねない脱線だった。最大震度7の地震が起きた14日夜、回送列車が熊本駅から約1・3キロ南を時速約80キロで走っていた。揺れを感じた運転士が非常ブレーキをかけたが、全6両が左右ばらばらにレールからずり落ちる形で脱線した。高速で走り、乗客も乗っていたなら、どうなっていたか。
 地震による脱線は、2004年の新潟県中越地震、11年の東日本大震災に続いて3例目で、全車両脱線は初めてだ。
 JR各社は中越地震を契機に新幹線の脱線対策を進めてきた。
 その一つは、地震の初期微動(P波)を検知し、主要動(S波)が到来する前に緊急停車させるシステムだ。今回は内陸の直下型地震だったため、P波とその後のS波との時間差が短く、システムは作動したが、間に合わなかったとみられる。
 JR九州はもう一つの対策としてレールの内側に平行して「脱線防止ガード」の設置を行っていた。揺れで片側の車輪が浮き上がると、もう一方の車輪がガードに引っ掛かり、傾きが戻る仕組みだ。
 上下線合わせた全長約513キロのうち約48キロが導入済みだったが、脱線した現場にはなく、設置計画もなかった。熊本地震が起きた布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯は対象外で、別の断層帯と重なる区間でガードの設置を進めていた。転覆を防ぐために取り付ける「逸脱防止ストッパ」も今回の車両にはなかった。
 JR各社も脱線防止のガード設置などを進めるが、一部にとどまる。費用が高額で、全区間に設置するのは難しい面もあるだろう。
 だが、「想定外」が重なって今回の脱線は起きた。地震はどこでも起こり得るとの前提で安全策を講じるしかない。脱線してもレールから大きく外れないなど、被害を最小限にとどめる対策を急ぐ必要がある。
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山陽新聞(2016年04月28日 08時00分 更新)
社説:庁舎の被災 機能維持の備えを進めよ


 「壁に亀裂が入った。外に出て」。今月15日午前0時過ぎ、熊本県八代市役所に置かれた災害対策本部に緊張が走った。その時の様子を地元の熊本日日新聞が報じていた。前夜の地震発生を受け、対策本部で情報収集を進めているさなかだったが、市役所が崩壊する恐れがあり、職員は退避を余儀なくされた。
 災害が起きた時、対策の陣頭指揮を執るのが自治体の庁舎に置かれる対策本部だ。しかし、その庁舎が被災して使えなくなった時、自治体職員はどれほど混乱するか。今回の熊本地震で、まざまざと見せつけられたといえよう。
 熊本県内では八代市のほか、宇土市や益城町(ましきまち)などでも庁舎が損壊し、立ち入り禁止となった。宇土市では一時的に駐車場にテントを張り、災害対策本部にしていた。庁舎内には重要品が残されたままだが、取りに入れないという。益城町では、ほかの公共施設に対策本部を移そうとしたが、既に住民の避難所となっており、代替施設の確保に苦労した。どの自治体も対策本部の業務は、一時的に中断を余儀なくされた。
 被災した庁舎は国の耐震基準を満たしておらず、震度6強以上の揺れで倒壊する恐れがあると指摘されていた。しかし、耐震化のための建て替えや改修は財政上の理由で先送りされていたという。
 庁舎の被災は、ほかの地域でも起こり得る。消防庁の調査によると、災害対策の拠点が置かれる自治体の庁舎の耐震化率は、2015年3月末時点で全国で74・8%。都道府県別にみると熊本県は83・4%で、むしろ耐震化は進んでいる方だった。岡山県は58・0%、広島県60・1%、香川県73・5%にとどまる。
 岡山県によれば、県内27市町村のうち、災害対策本部を置く庁舎が国の耐震基準を満たしていないのは、津山、玉野、笠岡、総社、高梁、備前、赤磐、美作市、久米南町、新庄村、西粟倉村の11市町村に上る。このうち高梁市は15年4月に新庁舎が完成。ほかに岡山市も本庁舎は耐震基準を満たしていないが、あらかじめ隣接の市保健福祉会館に対策本部を置くことにしている。
 熊本地震に学べば、庁舎の耐震化を着実に進めると同時に、庁舎が使えない場合の代替施設を決めておく必要がある。11市町村のうち9市町村は昨年度までに耐震基準を満たした代替施設を決めるなどしている。笠岡市は本年度中に、代替施設となる中央公民館の耐震化を行う。西粟倉村は代替施設を決めていないが、18年度以降に庁舎の建て替えを予定しているという。県庁は、本庁舎向かいの県立図書館を代替施設とする予定だ。
 代替施設を決めるだけでは十分ではない。国が今年2月に修正した防災基本計画は自治体に対し、代替施設のほか職員確保の体制、電気や通信手段の確保、行政データのバックアップなど業務継続のための事前準備を求めている。各自治体で備えを急ぎたい。
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高知新聞 2016.04.28 07:50
社説:【熊本地震2週間】災害弱者へのケア重視を


 行方不明者の捜索が続いており、依然4万人に上る人が避難を余儀なくされている。地震活動も終息の見通しが立たないままだ。
 熊本地震は、最初の震度7の大地震発生から2週間がたったが、被災地は避難生活の長期化が避けられない状況になっている。
 生活物資の供給や交通網の復旧などは進んできたものの、多くの民家に倒壊の恐れがあり、土砂災害の危険性も解消されていない。帰宅は難しい。
 被災者の疲労は濃く、長期化に伴い、心身の健康被害を訴える避難者が増えている。いわゆる震災関連死も相次いでおり、厳しさは増しているといっていい。
 共同通信の避難者アンケートによると、避難理由を複数回答で聞いたところ、「余震が怖い」が最多となり、「自宅が壊れた」を上回った。心身に不調があると答えた人は過半数に上る。
 激震が相次ぎ、被災者の揺れへの恐怖は相当なものであろう。それが約3割という「車中泊」の多さにも見て取れる。
 しかし、長時間体を動かせない場合に発症しやすい「エコノミークラス症候群」の患者やその疑いのある人が相当数に上っている。既に死者も出た。
 地震の直接被害から逃れることができたのに、避難生活で命を落とす悲劇は防がなければならない。仮設住宅建設が急がれるが、完成は当分先になる見込みだ。医療関係者らが予防活動を強化している。他にも取り得る手だてはないか。
 衛生状態の悪化も懸念される。入浴に不自由している人は多く、ノロウイルスの集団感染が発生した避難所もある。日増しに気温が上がっており、対策は急務だ。
 誰しも苦しい状況といえるが、特に体力のない小さな子どもや妊産婦、高齢者、障害者ら災害弱者へのケアは優先して取り組みたい。体の不自由な人に、ごろ寝は厳しい。子どもや高齢者は感染症にもかかりやすく、震災関連死につながる危険性が高い。
 熊本地震では、障害者や介助が必要な高齢者を受け入れる「福祉避難所」が十分機能していない。福祉施設や自治体の職員が混乱し、対応に手が回らない状況だ。
 本人や家族の意思もあろうが、全国の施設などで一時的にでも受け入れを強化するなど、犠牲者を拡大させない手を打ちたい。
 長期化を見据えれば、乗り越えていかなければならない課題は多い。避難所運営では、プライバシーの確保や生活基盤の維持なども重要になろう。学校の早期再開もある。
 地震列島の日本には過去の被災で得た多くの教訓やノウハウがある。各地の官民が協力し、知恵を出し合っていきたい。
 政府が5月中の提出、成立を目指す復旧のための補正予算案には野党も協力姿勢を示している。国政の対応力も一層問われる。
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=2016/04/28付 西日本新聞朝刊=
社説:震災と子ども 居場所つくり心のケアを


2016年04月28日 10時42分
 熊本地震で被災した多くの学校で休校が続く。熊本、大分両県から県外に移った児童・生徒は450人を超す。今なお頻発する揺れや長期化する避難生活が、子どもたちに及ぼす影響が心配だ。
 東日本大震災の約1年後に文部科学省が実施した被災地調査がある。それによると「イライラするようになった」「災害を思い出し、突然おびえる」など心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる子ども(幼稚園児から高校生まで)は福島県で約23%に上った。4人に1人に近い割合だ。
 多くの専門家が指摘するのは、早期のケアの重要性である。表情や行動の変化に、大人が早めに気づくことがまず大切だ。
 主なストレス反応には、寝付きが悪くなる▽暗がりを避ける▽イライラして怒りやすくなる▽甘える▽無口になり表情が硬い-などがある。
 地震発生当時を再現するような遊び「地震ごっこ」も、東日本大震災の後ではよく確認された。
 いずれも災害後の一般的反応で、しかるのは逆効果という。大人が見守り、声を掛けて安心感を与えたい。過剰に心配する必要はないが、気になる場合は保健師や医師に相談することが肝要だ。
 子どもがくつろいで友達と遊べる「居場所」が必要である。だが、損壊が激しい学校や、避難所となっている学校も多い。休校も長引くことが予想される。
 子どもの支援に取り組む公益社団法人「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京)は、熊本県益城町の小学校などに、スタッフと一緒に楽しく遊べる「こどもひろば」を開設した。
 絵本の読み聞かせなどのボランティア活動も、子どものストレス解消に効果的だろう。
 スクールカウンセラーの配置を拡充して心のケアに努めることや、特に来春の受験を控える生徒への学習支援も検討したい。
 子どもには、苦難を乗り越える柔軟な心の力がある。周囲にいる大人はその力を信じ、親身に寄り添いながら子どもを支えたい。
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熊本日日新聞 2016年04月28日
社説:被災地生活再建 先を見据えた行政対応を


 政府は熊本、大分両県を中心に相次いだ地震による被害を激甚災害に指定した。地元の要望に沿った早期指定により、被災地の復旧事業に対する国の補助率がかさ上げされる。
 とはいえ、支援の対象は公共事業が中心だ。被災自治体には、避難所の衛生環境の改善や、家を失った被災者への住まいの提供、災害ごみの処理など、支援対象とならない課題が山積している。熊本県の蒲島郁夫知事も、早期の指定に謝意を示した上で「小規模な市町村は復興需要の予算が足りない」と指摘し、県や市町村の財政負担が実質的にゼロになるような特例制度の創設を求めている。
 政府は既に普通交付税の繰り上げ配分を実施しており、今後も被災自治体の要望を踏まえて追加の財政支援を検討する構えだ。安倍晋三首相は27日、被災者の権利や利益を保全するための「特定非常災害」指定を関係閣僚に指示。与野党も補正予算の早期執行によって復興に全力を注ぐとしている。
 だが、被災自治体が求めているのは財政支援だけではない。できる限りの人手と物資、車両を全国からかき集め、被災者の生活再建につながる取り組みを迅速かつ戦略的に進めてもらいたい。
 被災自治体の中には、職員が避難所の運営に追われ、庁舎も損壊するなどして、被災した家屋などの調査や罹災[りさい]証明書の発行業務すら難航しているところもある。
 罹災証明は被災者にとって生活再建の出発点であり、一刻も早い対応が求められる。その一方で、建物調査の結果に不公平や不公正が生じれば被災者の不満は募り、行政の業務が混乱・長期化することも懸念される。こうした初動が肝心な部分にこそ、業務に通じた有為な人材の大量投入と適正配置が必要だろう。
 県は特別チームを編成して自治体の業務を支援するというが、それだけで十分だろうか。他県の自治体にも応援を募り、陣容を確保すべきだ。県はそうした応援部隊を統括する司令塔の役割も果たし、作業効率を高めてほしい。
 大規模災害からの復興を効率的に進めるには、「社会基盤の復旧」「地域の再建と経済の立て直し」「被災者の生活再建」という三つのプロジェクトを同時進行でスタートさせる必要がある。中でも被災者の生活再建が重要であることは言うまでもないが、それを成し遂げるためにも、インフラ復旧や都市計画の見直し、住宅の再建、経済活性化、中小企業対策といった諸課題の解決に向けた取り組みを常に先手先手で進めなければならない。
 地震発生から2週間。いまだに余震は収まらず、多くの人が避難所や車内で寝泊まりしている。この時期に被災自治体に先を見据えた取り組みを求めるのは酷かもしれないが、「目の前のことで精いっぱい」という対応が繰り返されることだけは避けなければならない。国や県との連携をより強め、他県からの応援も受けながら、復興の歩みを着実に進めてほしい。
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宮崎日日新聞 2016年4月28日
社説:本県の地震被害 ◆復旧や生活再建に力尽くせ◆


 熊本地震の最初の揺れがあった14日から2週間がたつ。本県でもけがや建物損壊など被害があり、余震を恐れて自主避難する人も多かった。今も揺れが続き、平穏な状態が戻ったとはいえず、身近に無理をしている人がいないか目配りしたい。
 観光面への影響も心配だ。宿泊施設のキャンセルや大型イベントの中止が相次ぎ、ゴールデンウイーク(GW)を前に関係者には不安が広がっている。
継続したい心のケア
 14日、本県では最大で震度5弱を、16日の「本震」では震度5強を観測した。
 一連の地震で計8人が重軽傷を負い、住宅被害もあった。
 本震で自宅が半壊した日之影町の男性は「すごい揺れで家の中は足の踏み場もないほど散乱した。家中のサッシがゆがみ、開かなかった」と振り返った。恐怖はいかばかりだったか。
 揺れが激しかった地域では、状況をのみ込めない子どもへの心理的影響も懸念される。
 県教委は、子どもが不安に陥ったり夜眠れなかったりするような状態が生じたら、臨床心理士を派遣することにしており、既に派遣の相談が1件あった。臨床心理士の派遣は、口蹄疫や新燃岳噴火の際にも実績がある。引き続き丁寧なケアを願いたい。
 大きな揺れから日数がたち、自主避難する人は減ったものの、高千穂町の自然休養村管理センターでは26日夜も自主避難者を受け入れた。自宅に戻っても不安が解消されない人もいるだろう。余震への警戒は今も呼び掛けられており、相談体制の継続は重要だ。
 暮らしへの影響も続いており、断水や水の濁り、さらには落石などによる道路の通行止めなど不便な生活を強いられている地域もある。早く改善するのを願うと同時に、復旧に当たる人たちも無理をせぬよう気を付けてほしい。
観光への打撃大きく
 本県が多方面で打撃を受けていることも明らかになってきた。
 宿泊客の減少がみられ、県外客が見込まれる催しの中止も相次ぎ、関係者からは「口蹄疫に匹敵するダメージ」と声が上がる。
 特に阿蘇方面から周遊客が多く訪れていた県北では、長期的な視点で対策を講じる必要が出てくるだろう。熊本と共に歩む姿勢で知恵を出し合い、難局を乗り切りたい。
 道路の被害額は26カ所で計約5億8千万円。落石、のり面や路肩の損壊などが確認された。農地・農業用施設などの被害も県北を中心に広がっている。復旧に向け行政の迅速な動きが望まれる。
 隣県熊本が受けたすさまじい被害を前に、仕事や生活に関する心配があっても言い出せない人もいるかもしれない。しかし困った時こそ周囲の人に相談し、エネルギーを取り戻してから熊本への支援に動きだしても遅くない。焦らずに一歩ずつ。支え合いが肝心だ。
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南日本新聞 ( 2016/4/28 付 )
社説:[熊本地震・長引く避難生活] きめ細かな支援必要だ


 熊本、大分両県に甚大な被害をもたらした熊本地震から、きょうで2週間となる。
 避難者は最大だった19万人超から減少してはいるが、依然として3万9000人を超えている。地震による死者は49人、安否不明者が1人、震災関連死の疑いがある人は16人に上る。
 終わりの見えない避難生活と、度重なる余震が、被災者の心身の健康状態を悪化させていることが心配だ。
 被災者のニーズは人や地域によって異なり、日がたつにつれ変化していく。一日も早く日常生活を取り戻せるよう、要望をきめ細かく受け止めた支援を続けたい。
 熊本地震は、14日夜に震度7の前震が起きたあと、16日未明に再び震度7の本震に見舞われた。
 前例のない2回の大きな揺れで住宅の損壊などが相次ぎ、被害が拡大した。
 共同通信社が避難所に身を寄せている100人を対象に行ったアンケートでは、避難の理由として「余震が怖い」を挙げた人が最も多く47人で、「自宅が壊れた」の38人を上回った。
 眠れないことなどから、体や心の不調を訴える人が半数を超え、余震への恐怖が浮き彫りになった。物的な支援だけでなく、心のケアが欠かせない。
 すでに、保健師や精神医療チームが現地に入り、被災者の話を聞くなどの取り組みを始めている。不安を和らげるための対策を進めてほしい。
 エコノミークラス症候群で入院が必要な重症と診断された人は、熊本県で計40人となった。ノロウイルス感染が発生した避難所もある。高齢者が体をあまり動かさないことで体力が衰える「生活不活発病」も懸念されている。
 衛生環境の改善と体調管理、中でも高齢者など弱者への目配りが求められる。
 政府は熊本地震を、復旧事業に対する国の補助率がかさ上げされる激甚災害に指定した。復旧・復興のための補正予算案を5月13日に閣議決定し、国会に提出する。
 住宅確保や生活再建のため、与野党が連携して予算成立を急ぐ必要がある。
 一方で、避難所を運営する行政の職員や、高齢者らが避難する福祉施設の介護職員らの人手不足は深刻だ。職員も被災者であり、疲労が蓄積していることだろう。
 国は介護現場や行政の現状を把握し、全国からの応援受け入れを後押しするべきだ。
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