2016-04-24(Sun)

熊本地震 災害弱者支援 社説等 160424

福祉避難所の充実を急げ 障害者への支援確保を 「想定外」前提の柔軟な支援急げ 

<各紙社説・論説・主張>
朝日新聞)震災避難 障害者への支援確保を(4/24)
読売新聞)熊本交通網寸断 露呈した弱点を克服したい(4/24)
しんぶん赤旗)阪神、東北、九州 震災はどこでも、経験生かせ(4/24)

熊本日日新聞)災害弱者支援 福祉避難所の充実を急げ(4/24)
西日本新聞)SNSと震災 賢く利用し被災者支援を(4/24)
西日本新聞)東九州自動車道 災害に備える「命の道」に(4/24)
南日本新聞) [熊本地震・観光への影響] 少しでも食い止めたい(4/24)

岩手日報)震災と解散風 国会の足元がぐらつく(4/24)
福島民友新聞)熊本地震から10日/震災経験を支援に生かそう(4/24)
愛媛新聞)政府の地震対応 「想定外」前提の柔軟な支援急げ (4/24)




以下引用



朝日新聞2016年4月24日(日)付
社説:震災避難 障害者への支援確保を


 「ホールに段差があり、車いすの人は入れないと断られた」
 「どこからも情報が来ず、1週間、車中泊を続けた」
 熊本県を中心に続く震災で、命をつなぐはずの避難所に入れない障害者が続出している。
 一般の避難所では生活が難しい障害者や高齢者には、「福祉避難所」が用意されるはずだった。災害に備えて、あらかじめ市区町村と協定を結んだ学校や福祉施設などである。
 だが、震災の現実の前には、うまく機能しなかった。
 熊本市では、避難の際に手助けが要る「要支援者」の名簿に登録された人は約3万5千人いる。これに対し、福祉避難所の協定をもつ施設は176あったが、実際に受け入れる施設はなかなか増えなかった。
 ケアする人が被災して人手不足だったり、建物が壊れて水道も止まったりと、施設の環境が整わなかった事情がある。
 ボランティアを募り、22日までにやっと33カ所が開設した。だが入所者は80人超どまり。介助の余裕がなく場所の提供しかできない、と嘆く施設もある。
 福祉避難所に入れない障害者らにとって、長引く震災は深刻な生活苦をもたらす。安否確認も思うように進まなかった。
 こうした中、熊本市の熊本学園大の活動が注目されている。最大60人ほどの障害者や高齢者を受け入れ、存在感を示す。
 もともとはグラウンドが広域避難場所に指定されていただけだったが、相次ぐ強震で住民が集まり始めたため、4教室を住民に開放した。さらに校舎内の大ホールを要支援者専用にし、大学関係の介護福祉士や学生ボランティアらが24時間、避難者を見守る態勢をつくった。
 今月施行された障害者差別解消法は、「合理的配慮の提供」を公的機関の義務と定めている。障害者から社会的な障壁を取り除く要請があれば、無理ない範囲で対応する。その精神を実現する先駆的な試みだ。
 避難所づくりに携わった同大の教授2人は障害者・支援者団体と協力して「被災地障害者センター」も設けた。一つの避難所に集約するのではなく、各地の障害者に適切な情報を提供する拠点となり、元の生活に戻るまで必要な支援を続ける。
 避難者は今も8万人近い。その中で障害者らは、健常者と同じように暮らすのは難しい。要支援者名簿をもとに安否を確認する仕組みや、広域で福祉施設同士が職員を派遣し合う枠組みなどを平時から準備したい。日本中どこで起きるかわからない「次の災害」に備えて。
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読売新聞 2016年04月24日 03時05分
社説:熊本交通網寸断 露呈した弱点を克服したい


 熊本地震は交通網を寸断した。露呈した弱点を克服し、強靱な輸送ネットワークの再構築につなげることが肝要だ。
 九州の鉄道と高速道路などの主要道は、熊本、大分両県を中心に多くの箇所が不通になった。救援物資の運搬が滞る要因となり、災害時の輸送網確保の重要性を再認識させた。
 回送列車の脱線などで、一時は全線で運休を余儀なくされた九州新幹線は、新水俣―鹿児島中央間に続き、博多―熊本間でも運転が再開された。在来線や高速道路でも不通区間の解消が進む。
 人や物の円滑な移動が早期復興につながる。復旧の範囲をさらに広げつつ、課題を見極めたい。
 新幹線の回送列車は、熊本駅から車庫に向かって時速約80キロで走行中、最大震度7を記録した前震で脱線した。乗員は無事だったが、仮に営業運転中だったら、重大な被害が出ていた可能性がある。
 地震による新幹線の脱線事故は、2004年の新潟県中越地震が初めてだった。緊急停止システムの作動が間に合わず、走行したまま、直下型地震の激しい横揺れを受けたのが原因だ。
 この事故を契機に、JR各社が脱線や転覆を防ぐ装置の導入に乗り出した。JR九州も、レールの内側で車体の揺れを抑え込む「脱線防止ガード」を設置してきた。上下線の約1割の55キロが対象で、48キロ分の工事が完了している。
 だが、今回の脱線現場は、防止ガード設置の計画区間に含まれていなかった。
 施工時間や予算上の厳しい制約から、「活断層と交差している箇所など、危険度の高い場所を優先して整備せざるをえない」と、JR九州は説明する。
 全線での設置が現実的でないとしても、計画外の箇所で脱線した事実は重い。同様に優先順位をつけて対策を進めるJR他社にとっても、他人事ではあるまい。
 強い直下型地震は、日本中のどこでも起き得る。それが今回の地震の教訓である。現行の計画のままでいいのか、各社とも真剣に再検討すべきだろう。
 道路では、崩落した大量の土砂に埋まるケースが目立った。熊本市と阿蘇市、南阿蘇村などとを結ぶ国道は、その典型だ。幹線道路の寸断は、地域の孤立を招いた。復旧のメドは立たない。
 こうした事態を防ぐには、巨額の費用を要する砂防ダム建設や地盤の補強が必要になろう。全国の緊急輸送道路を点検し、まずは危険箇所を洗い出したい。
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しんぶん赤旗 2016年4月24日(日)
主張:阪神、東北、九州 震災はどこでも、経験生かせ


 熊本県や大分県を中心とした九州地方の地震災害の発生から1週間余りたちました。現地はいまだに強い地震が続く異常な状態で、10万人近くの避難が続き、地震や雨による土砂崩れの危険のため、被災した住宅の後片付けも、道路などの復旧もままならない状態です。日本列島はこの20年余り、阪神・淡路大震災、東日本大震災など、数々の地震被害に見舞われてきました。専門家からは地震の活動期に入ったと指摘されています。これまでの経験を生かし、英知を結集して、今回の震災にも立ち向かっていくことが求められます。
「忘れたころに」ではない
 いまから21年前の1995年1月に発生した阪神・淡路大震災で、街全体が崩れ落ちた神戸や阪神間の都市の姿や、学校の体育館などの避難所に毛布や段ボールを敷いただけで身を寄せ合っていた被災者の姿をつい昨日のように思い出します。その後2011年3月の東日本大震災でも、今回の九州地方の地震でも、同じような光景が繰り返されているのは、胸が締め付けられる思いです。
 地球表面のプレート(岩板)がぶつかり合い、陸にも海にも断層が多い日本列島は、世界有数の地震大国です。しかも最近、地震は増えており、震度7クラスの大地震だけでも阪神・淡路や東日本に加え、04年10月の中越地震や今回の九州など、ほぼ数年に1回起きています。いまや震災は「忘れたころ」にではなく、いつでもどこでも起きる災害です。
 阪神・淡路大震災の場合は地震直後の大火が、東日本大震災の場合はその後の津波と東京電力福島原発事故が被害を広げました。今回の九州地方の地震も、震源域が連鎖的に拡大して被害を広げています。被害の現れ方にはそれぞれ特徴がありますが、大きな地震がきっかけになった点では共通です。経験は生かすべきです。
 たとえば最も基本となる住宅や公共施設の耐震化や耐火です。阪神大震災でも九州でも、耐震基準が強化される前の住宅などが大きな被害を受けています。九州では、避難所となるべき学校や対策のセンターとなる自治体の庁舎まで大きな被害を受けました。公共施設の耐震化率(14年度末)は全国で最も高い東京都の97・9%に対し、熊本県は88・5%で10ポイント近く低く、庁舎は83・4%にすぎません。遅れを検証することは今後の各地の被害防止にも重要です。
 被災した住民がまず助けを求める避難所も、冷たい食事ばかり出る、ゆっくり足が伸ばせないなどの問題がこれまでも繰り返し指摘されてきました。抜本的に改善されていません。高齢者や障害者のための福祉避難所も圧倒的に不足しています。段ボールで間仕切りを作ったり、ホテルや旅館を利用するなど、各地に知恵が蓄積されています。英知を生かすべきです。
人間らしい暮らし優先で
 食事や水が足りなかった避難所も、時間がたてば着替えや健康などが問題になります。人間らしい暮らしが維持できるよう、多面的な要望への対応が必要です。仮設住宅の確保や住宅の再建も、地域コミュニティーの維持が求められた過去の経験を尊重すべきです。
 何より欠かせないのは、住民が生活と生業(なりわい)を取り戻すまで、国や自治体が手厚い支援を続け、被災者を励まし続けることです。
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熊本日日新聞 2016年04月24日
社説:災害弱者支援 福祉避難所の充実を急げ


 活発な地震活動が続き、今なお多くの人が避難所などで暮らす県内。体の不自由な障害者や高齢者らも苦境に立たされている。
 災害時に介護や生活支援が必要な人を支える施設として福祉避難所がある。しかし、今回の地震でその設置にこぎつけたのは今のところ熊本市だけ。施設数も33(22日現在)と少なく、利用も70人ほどと低迷している。
 一般の避難所で困難な生活を余儀なくされている人、危険な自宅にとどまっている人は相当数に上るとみられ、孤立や余震による被害の拡大を懸念する声も高まっている。災害弱者が一刻も早く安心して生活を送れるよう支援を急ぐ必要がある。
 手すりやスロープ、障害者用トイレなどが整備されていない避難所は障害者には暮らしにくく、いったん入っても退所するケースが多い。「周りの人に迷惑をかけたくない」と避難所生活をためらう人もいる。認知症、自閉症などでは、避難所の環境が症状の悪化を招くことさえある。
 こうした人たちに安全な場所を提供するのが福祉避難所だ。介護や生活支援に当たる職員が配置される。阪神大震災を契機に制度化され、災害救助法に基づき国が費用の一部を負担する。国は自治体に対し、平常時に利用可能な施設を把握し、協定を結んで指定しておくよう求めている。
 熊本市は災害時に支援が必要な「要支援者」を約3万4千人と見込み、災害時の受け入れを最大1700人と想定。民間の高齢者福祉施設など176施設と協定を結んでいたが、設置や利用は計画を大きく下回っている。
 益城町も120人を受け入れる計画があったが、一般避難者が殺到して開設を断念。南阿蘇村でも開設されていない。
 設置が遅れている背景には、想定外の地震が相次いで食料、水などの物資や介護人材が不足したこともあろう。
 過去の大規模災害を見ても自治体や介護施設の職員が被災し、予想を覆すような出来事も頻発している。過去の災害を教訓に、いざという時に人員をどう確保するかなど入念な設置計画が不足していた面は否めまい。
 自治体は福祉避難所の設置協定を結んで終わりとせず、日ごろから連携して訓練を積み重ね、災害時に具体的に動けるシステムを整備しておく必要がある。まだ認知度が低い福祉避難所についても障害者や高齢者に積極的にPRし、利用を促していくべきだ。
 阪神大震災、東日本大震災、そして熊本地震。大きな災害を経験するごとに一般避難所の運営は徐々に改善が進み、毛布や食事の提供、簡易トイレの設置なども迅速に行われるようになってきた。そんな中、一向に進まないのが弱者支援ともされる。
 画一的援助だけでは健康や命を脅かされる人たちが多くいる…。そのことに気付き、一人一人に合った多様な支援体制をどう構築していくかが課題だ。
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=2016/04/24付 西日本新聞朝刊=
社説:SNSと震災 賢く利用し被災者支援を


2016年04月24日 10時58分
 熊本地震の被災地で、フェイスブックなどの交流サイト(SNS)を舞台とした支援活動が広がっている。
 安否確認や避難所の物資不足、道路通行の可否など多種多様な情報が飛び交い、実際に被災者の生活に役立っている。
 一方で、発信者が分からない匿名性や容易な転送・拡散に起因する問題も表面化してきた。
 まず気をつけたいのは「ライオンが逃げた」「川内原発で火事」といった悪質なデマである。「北部九州で大地震が起きる」など不安をあおる流言も出回っている。どれも落ち着いて調べれば、根拠がないことはすぐに分かる。
 「避難所で食料が不足している」といった大切な情報も、繰り返し転送され、拡散する間に支援のタイミングがずれることがあるだろう。結果的に、特定の避難所に物資が集中するミスマッチを招く原因にもなりかねない。
 本当に重要な情報を埋もれさせないためにも、利用者には確度や転送の必要性を判断するリテラシー(読解力)が求められる。
 2013年に東京都・伊豆大島で起きた大規模な土砂災害では、IT技術者らがボランティアグループをつくり、SNSに交錯する情報を集約・整理して、復旧対策に活用した。参考にしたい。
 熊本地震でもフェイスブックで若者らがグループを立ち上げ、スーパーやガソリンスタンドの営業状況、給水所の場所といった情報を集約する活動を始めた。
 こうしたグループの活動と行政の連携を強め、具体的な支援策に反映させたい。
 忘れてはならないのは、普段の生活でもインターネットやパソコンを使っていない高齢の被災者なども少なくないことだ。
 「情報格差」が不利益とならないように配慮したい。避難所などでSNSを使う人は積極的に周囲のお年寄りや子どもの声も吸い上げ、情報を発信してほしい。
 きめ細かな支援を被災地の隅々にまで行き渡らせたい。賢く使えば、SNSは有効な道具になる。
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=2016/04/24付 西日本新聞朝刊=
社説:東九州自動車道 災害に備える「命の道」に


2016年04月24日 10時51分
 東九州自動車道の椎田南-豊前間(福岡県)7・2キロが、きょう開通する。これにより北九州市から大分市を経て宮崎市に至る約320キロが高速道路で結ばれる。
 北九州市と鹿児島市を結ぶ東九州道は総延長436キロに及ぶ。
 1990年に延岡南-門川間が開通したのを皮切りに、各区間が順次開通してきた。
 未開通区間の宮崎市以南では、今も工事が進んでいる。
 今回の開通による時間短縮効果は約10分で北九州市-大分市間の所要時間は1時間45分、北九州市-宮崎市間は4時間20分となる。 西九州に比べて東九州の高速道整備は遅れていた。沿線の地域にとっては待望の開通といえるだろう。九州全体にとっても、東九州軸が大動脈の高速道路で直結した意義は大きい。
 沿線には多くの重要港湾や空港があり、生産拠点都市も位置している。東九州の縦軸が一つに結ばれたことで、九州道、大分道、長崎道など既存のルートと広域ネットワークが形成できる。
 高速道には、重要な役割が三つある。まず時間短縮で日常生活が便利になる。企業活動や観光振興など経済波及効果も期待できる。
 そして防災機能だ。救急救命活動や緊急支援物資の輸送には欠かせない。東日本大震災では津波を避けて住民が避難する場所にもなった。「命の道」でもある。
 九州東部沿岸は、南海トラフの巨大地震で最大10メートル超の津波が想定されている。災害時の人命救助や救援活動にも大きな役割を果たすことは間違いない。
 熊本地震で大分道では通行止め区間が出ているが、目的地によっては東九州道を補完ルートとして活用することもできる。災害対策としての有効な活用策も平時から沿線地域で考えておきたい。
 課題も少なくない。人やモノの流れが都市部へ加速され、「ストロー現象」が進む恐れもある。
 東九州の高速交通体系を地域活性化にどう生かしていくか。沿線自治体や地域で知恵を絞り、効果を最大限に引き出してほしい。
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南日本新聞 ( 2016/4/24 付 )
社説: [熊本地震・観光への影響] 少しでも食い止めたい


 熊本地震は、地震が続く熊本、大分両県を中心に九州の観光にも影を落とし始めている。
 被災地の復旧を急ぐとともに、総合産業といわれる観光への影響を少しでも食い止めたい。
 地震の発生以降、鹿児島県内の痛手も大きい。南日本新聞社などがまとめた主要なホテル・旅館の宿泊予約キャンセルは、大型連休を含めて延べ約6万人(22日現在)に上ることが分かった。
 鹿児島市は約2万5000人、霧島市は約1万8000人、指宿市は約1万5000人、屋久島町は約2200人となっている。修学旅行生や旅行客にとどまらず、韓国、中国など外国人観光客のキャンセルも響いているようだ。
 集計は一部のホテル・旅館に限られており、実際の取り消し数はさらに増える恐れがある。
 大半の取り消し理由が、「交通手段がない」「余震が怖い」というのは、今回の地震の特徴を物語っているといえよう。
 交通の面では、九州の南北を貫く大動脈の九州新幹線が脱線したり、九州自動車道が損壊したりして寸断されたのが痛い。
 駅の土産物店などの売り上げも落ち込み、一時閉店を余儀なくされた店舗もある。JR鹿児島中央駅では、通勤・通学客がほとんどで売り場は閑散としている。
 ただ、復旧に向けた動きが加速しているのは朗報だ。九州新幹線は鹿児島中央-新水俣に続いてきのう、熊本-博多で営業運転が9日ぶりに再開された。
 残る不通区間の新水俣-熊本の再開に全力を挙げ、一日も早く全線開通にこぎつけてほしい。
 九州自動車道は、熊本県の八代インターチェンジ-植木の56キロが通行止めとなっている。着実に復旧工事は進んでおり、全面開通を急ぎたい。
 地震の影響が長引けば、休業を余儀なくされるホテルなどの宿泊施設や観光関連企業なども出てくるかもしれない。
 厚生労働省は、企業に休業手当の一部を助成する「雇用調整助成金」の支給要件を緩和する方針だ。関係機関はさまざまな手だてを講じて支援してほしい。
 霧島市のホテル関係者は「九州は一つ。被災地を支援し、復旧につなげることが九州浮揚になる」と語る。県民が積極的に宿泊施設を利用することも大事だ。
 余震は続いており、予断を許さない。地震の影響は当分続くだろうが、互いに協力しながら困難を乗り切りたい。
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岩手日報(2016.4.24)
社説:震災と解散風 国会の足元がぐらつく


 おおさか維新の会の片山虎之助共同代表が、熊本地震を政局に絡め「大変タイミングのいい地震」と口を滑らせた。即座に撤回したが、一定の影響力がある立場の発言は、永田町でうごめくさまざまな思惑の存在をうかがわせる。
 24日は衆院北海道5区と京都3区両補選の投開票。夏に参院選を控え、安倍晋三首相は結果に応じて衆院との同日選の可否を判断するとみられたが、震災発生で政府、与党内では見送り論が高まっているという。当然だ。
 被災地では、選挙事務を担う自治体にも庁舎が損壊して一部機能が停止するなどの被害がある。同日選となれば、自治体の負担は参院の単独選挙より確実に重い。この緊急時に、あえて被災地の困難に輪を掛けてまで衆院を解散しなければならない大義名分を見いだすのは難しい。
 とはいえ解散権は、人事権や公認権などと並ぶ首相の権力の源だ。真意はギリギリまでひた隠しにするだろうが、かねて描いてきた政権戦略の見直しは不可避だろう。
 「自民1強」「安倍1強」の政治情勢を背景に、在任中の憲法改正に意欲を隠さない安倍首相にとって、同日選は衆参両院で改憲発議に必要な3分の2議席を確保するチャンス。与党対オール野党の構図となった北海道5区補選を前哨戦とみて、その結果を重視してきたゆえんだ。
 その場合の解散の名目は、2017年4月に予定する消費税率10%の再延期だろう。14年末の解散、総選挙は、当初15年10月に予定した引き上げを先送りする判断の是非を国民に問うとして実施され、自民党が大勝した。
 しかし当時、解散の大義に疑問の声は国会の内外に根強くあった。選挙後は原発再稼働、集団的自衛権行使容認に向けた安保法制整備など、世論の反発を引きずる懸案が待ち構える状況だっただけに、政権を安定させるのが真の狙いとも評されたものだ。
 今回も、くすぶり続ける衆院解散、同日選論には同じ構図が見て取れる。名目は消費税引き上げの再延期、本音は宿願である改憲に向けた環境整備-という図式だ。
 平時なら、それも「政治」かもしれないが、熊本を中心とする災害は依然として地震がやまず、避難の長期化が必至の情勢にある。思惑優先の政権運営は許されまい。
 安倍首相は、被災地の状況を見極めつつ「5月までに最終判断するとみられる」と本紙は伝える。うかつに解散権を手放すのは、政権の求心力を保つ上で得策ではないとの判断に違いない。
 衆院解散の可能性に国会の足元が落ち着かないのでは、被災地の不安は増幅する。早期の「最終判断」を望む。
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福島民友新聞 2016年04月24日 09時10分
社説:熊本地震から10日/震災経験を支援に生かそう


 熊本、大分両県で甚大な被害が出ている熊本地震は、「前震」の発生から10日を迎えた。
 大規模な土砂災害の発生現場では安否不明者の捜索活動が続く。被災各地で倒壊した建物の片付けが進まず、避難所に身を寄せたり、車中泊を続けている住民の疲労の度合いが増している。
 救援活動の本格化が急務だ。
 一方で、九州新幹線がきのう博多―熊本の営業運転を再開した。本州と熊本県をつなぐ動脈の復活だ。人の動きを活発化させ、被災地支援が加速するよう望みたい。
 被災自治体では、人手不足が深刻だ。東日本大震災の教訓を生かした具体的な災害対応を取る人的支援を届けることが、震災を経験した本県の役割でもあろう。
 県は被災した建物の危険度判定の資格を持つ職員の派遣など、実際の災害対応支援を始めている。
 先遣の職員からは、被災自治体では、被災状況の把握もままならない様子など、自治体の混乱ぶりが報告されている。
 避難所の運営や、全国から寄せられる支援物資を仕分けして避難住民に送る作業なども要員の確保が必要な状況という。
 庁舎が被害を受けて使えず、職員の多くも被災している厳しい状況下での災害対応だ。似たような状況だった県内自治体の経験を踏まえた助言や、震災後に県が作成した避難所運営マニュアルなども活用の道があるだろう。
 熊本県内では今後、仮設住宅の建設が始まる。本県と岩手、宮城の震災の被災3県から、仮設建設支援のための職員が派遣される予定だ。家を失った住民の住まいの確保を急がなくてはならない。
 避難所での不自由な生活や、車中泊を続けている住民の健康や精神的な疲労が心配だ。エコノミークラス症候群で亡くなる人も出ている。医療や介護の支援の手も充実させなければならない。
 本県から救急治療を行う災害派遣医療チーム(DMAT)に続き、心のケアに当たる災害派遣精神医療チーム(DPAT)が現地入りした。被災者のストレスや不安に寄り添うケアを求めたい。
 民間の団体や企業からも応援の派遣や支援物資が送られている。被災自治体ではボランティアの受け付けも始まり、市民レベルの支援活動も活発化する。
 ただ、激しい余震や土砂災害に十分に注意を払うことが重要だ。
 被災地では日々刻々と状況が変化していく。被災者にどのような支援が必要なのかをしっかりと把握し、本県からの支援活動の輪を広げたい。
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愛媛新聞 2016年04月24日(日)
社説:政府の地震対応 「想定外」前提の柔軟な支援急げ


 甚大な被害が出た熊本・大分の地震は、なお余震が多発し、長期化の様相を呈してきた。
 混乱の収束は見えないが、安全確保を第一に中長期的な災害支援を加速させたい。併せて、初動の緊急対応のあり方を検証し、避難計画や想定自体を練り直す作業も怠ってはなるまい。
 大災害は「毎回が想定外」。震度7の揺れが2夜連続起きるとは想像し得ず、気象庁も「想定外」を繰り返す。避難計画も当然、予定通りに進むはずはなく、避難所や支援拠点となるべき庁舎、公民館が倒壊の危険で使えない自治体が続出した。結果、避難先は細かく分散し、実態把握はより困難になり、避難所の閉鎖で移動しても満杯で入れない「多重避難」を強いられる人々が増えている。
 それでも自助、共助は過去の経験を踏まえ格段に進んだ。懸念されるのは硬直的な「公助」―殊に政府の災害対応である。
 現場のニーズは日々変わる。遠く離れた政府の指示はどうしても後手に回る。生きた情報を早く集約し、指示を出す司令塔は現場に委ね、政府は後方支援に徹すべきであろう。肝心なのは「想定外」を前提とした臨機応変、柔軟な対応。現場が動きやすいよう、財源確保や法制度の弾力的運用、人材投入などにまず力を注いでもらいたい。
 その点で、今回の政府対応はちぐはぐな感が否めない。
 14日の最初の震度7を受け、安倍晋三首相は15日中の屋内避難を指示した。だが熊本県の蒲島郁夫知事は「余震が怖く部屋の中にいられないから出た。現場の気持ちが分かっていない」と不快感を示したという。実際16日に本震が起き、結果的に屋外の方が安全だった。現場判断を尊重すべき一例だろう。
 看過できないのは、政府の現地対策本部長として熊本に派遣されていた松本文明内閣府副大臣の、たった6日での交代劇。テレビ会議で食事の差し入れを要請していたという。食事は必要だが、応援に行く側が準備を怠り、公式協議の場で要求し、現地に負担をかけるなど、配慮に欠けた振る舞いは到底許されない。政府も「更迭ではない」と沈静化を図るが、任命責任は当然にあり、猛省を促したい。
 激甚災害の指定も急ぎたい。政府はあす指定の方針というが東日本大震災時は発生翌日に閣議決定された。現場の裁量と財源を確保する災害救助法の弾力運用通知などもまだで、支援の環境整備の遅れが目立つ。
 一方で、菅義偉官房長官は早くも15日、憲法の新設項目として非常時に首相、内閣に権限を集中させる「緊急事態条項」を「極めて重く、大切な課題」と強調、検討する意欲を示した。災害時には、より現場近くに権限を分散させることの重要性が今回、実証されつつある中、どさくさ紛れの改憲と権限肥大を今、もくろむ政権を強く危惧する。政府が第一に考えるべきことは何か。その原点、本質を忘れては、復興は遠い。
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