2016-04-23(Sat)

熊本地震 被災地ボランティア 社説等160423(2) 

現地のニーズに沿う支援を  現場に寄り添う活動を 震災関連死--救える命を救いたい 被災者の心のケア 

<各紙社説・論説>
西日本新聞)九州の活断層 教訓踏まえ防災・減災を(4/23)
西日本新聞)国会と震災 与野党休戦では済まない(4/23)
佐賀新聞)熊本地震と経済 傷ついた供給網修復を(4/23)
宮崎日日新聞)被災地ボランティア 現地のニーズに沿う支援を(4/23)
南日本新聞)[熊本地震・ボランティア] 現場に寄り添う活動を(4/23)
琉球新報)震災関連死 救える命を救いたい(4/23)
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岩手日報)被災者の心のケア 長期的視野で支えたい(4/23)
福井新聞)避難所の支え手 問題解決型の「自治」必要(4/23)
徳島新聞)熊本地震と原発 予期せぬ事態に備えよ(4/23)




以下引用



=2016/04/23付 西日本新聞朝刊=
社説:九州の活断層 教訓踏まえ防災・減災を


2016年04月23日 10時39分
 世界で起きる地震の約1割は、日本とその周辺で占められる。
 観測体制が整った明治以降も、甚大な被害をもたらした地震が相次いで発生している。私たちは「地震列島」で生活していることをまず再認識すべきだろう。
 熊本、大分両県を中心に続発する地震は、数百年から数万年の周期で活動する活断層が原因と推定されている。1995年の阪神大震災も活断層による地震だ。
 活断層は過去に活動した跡が残る地層のずれで、再び地殻変動が起きると予想されている。
 国内では分かっているだけで約2千カ所あり、地層のずれが長いほど地震の規模は大きくなる。
 政府の地震調査研究推進本部が2013年に「活断層の長期評価」を公表している。それによると、30年以内に04年の新潟県中越地震と同じマグニチュード(M)6・8以上の大規模な地震が起きる確率は九州北部で7~13%、同中部18~27%、同南部7~18%で、九州全体では30~42%だった。
 中でも、熊本、大分両県の位置する九州中部は多くの活断層が分布している。今回の地震を引き起こしたと推定される熊本県南阿蘇村から宇土半島に至る布田川(ふたがわ)断層帯の一部と、隣接する日奈久断層帯全体が同時に活動すれば、地震規模はM7・8~8・2程度に達するとも指摘していた。
 その警告が、3年後に現実のものとなってしまった。
 今になって振り返ると、確率の高さを踏まえた対策が必要だったということかもしれない。
 鹿児島県薩摩川内市の九州電力川内原発から50キロ圏内には、甑(こしき)断層帯や市来断層帯などもある。評価対象外の小規模な断層や未知の断層も少なくないという。さらなる調査研究が必要だ。
 地震予知の精度が高くなることを期待したいが、発生そのものを止めることはできない。私たちにできるのは、警告や助言に耳を傾けて過去の震災から教訓をくみ取り、災害に備えることだ。地域にある活断層の存在を意識し、平時から防災・減災に努めたい。
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=2016/04/23付 西日本新聞朝刊=
社説:国会と震災 与野党休戦では済まない


2016年04月23日 10時33分
 熊本、大分を中心とする震災への対応を優先させるとして、与野党は事実上の「休戦状態」に入っている。それで国会の役割を果たしているといえるのだろうか。
 後半国会の焦点だった環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案について政府、与党は今国会での成立を断念し、継続審議とする方針を固めた。20日の予定だった党首討論は中止された。
 震災対応を優先させるのは当然である。しかし、それは政府に全てを任せることではない。政府の対応は万全か。対策の優先順位は正しいか。国会で論議すべきことはたくさんあるはずだ。
 今回も、避難態勢と震災関連死の関連はどうか。国と地元自治体の連携はうまくいっているか。震源域が拡大する中で九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転継続の判断は妥当か-といった課題が次々に浮上している。
 そうした難題に知恵を絞ることこそ国会の役割だ。特に民進党は民主党政権時代に東日本大震災を政府、与党として経験している。苦い反省から今回の対策へ生かせる提案もあるのではないか。
 与野党は早急に衆参の予算委員会や災害対策特別委員会を開くべきだ。ただし、単なる揚げ足取りや夏の参院選前のアピール合戦では困る。被災者に寄り添った論議を深めてほしい。
 東日本大震災での民主党政権の対応をめぐり、安倍晋三首相は今も「遅々として進まぬ復興に、私たちは野党としての無念さに震える思いだった」と批判を続ける。
 そんな対決姿勢ばかりでは建設的論議にならない。政府や与党には野党の指摘や提案を謙虚に受け止める姿勢を求めたい。
 政治家の無神経な言動が被災者を傷つけている。おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は「政局の動向に大変タイミングのいい地震だ」と発言した。政府の現地対策本部長だった松本文明内閣府副大臣は震災対応を協議する政府と熊本県のテレビ会議で自分たちへの食事の差し入れを要請したという。国会の役割以前の問題である。
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佐賀新聞 2016年04月23日 05時00分
論説:熊本地震と経済 傷ついた供給網修復を


 熊本地震は九州経済にも深刻な打撃を与えている。自動車関連や半導体産業が集積し、九州は「カー・アイランド」「シリコン・アイランド」とも呼ばれてきた。それだけに影響は九州域内にとどまらず、日本経済全体へと及ぼうとしている。
 トヨタ自動車は、グループの国内工場16のうち、15が生産休止に追い込まれようとしている。原因は、ドアの開閉を制御する部品を製造するメーカーの工場が熊本市内にあり、地震の影響で操業できなくなったからだ。メーカー側は復旧作業を進めつつ、代替品の供給にも入っているようだが、操業再開のめどは立っていない。
 自動車産業は日本経済の屋台骨であり、関連産業の裾野が広い。このまま工場の操業停止や減産の動きが長引けば、需要を満たすために生産拠点を海外へ移転させるなどの対応もありうるだろう。
 そうなれば、この先、復旧・復興へと立ち上がらなければならない被災地にとって、経済的な足がかりを失うことになりかねない。関連企業を含めた地元経済、特に雇用への悪影響が心配だ。
 自動車産業に加えて、半導体関連も大きな痛手を負った。
 半導体の生産には、良質の水、それもふんだんに使えるだけの豊かな水量が欠かせない。このため、条件を満たす九州に半導体関連産業が集まってきた経緯がある。
 今回、被災したエリアには、ソニーや三菱電機、東京エレクトロン、富士フイルムなど、日本を代表するメーカーが生産拠点を構える。ここから生み出される製品には、世界トップシェアも目立つ。品目も、半導体そのものだけでなく、デジタルカメラ向けの画像センサーや、スマートフォン向けの液晶パネルなど幅広い。
 今回の被災で、半導体の生産には欠かせない、ほこりなどを遮断する「クリーンルーム」に支障が出た。生産ラインの心臓部に被害が出たわけで、操業停止に追い込まれる企業も出ている。
 各社とも工場の修復を懸命に進めているが、その妨げになっているのが、いつまでも終息しない余震だ。復旧作業は度々中断し、今後が見通せない。
 政府は21日に発表した4月の月例経済報告で、景気の先行きについて「熊本地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある」と指摘したが、景気判断は引き下げなかった。先行きも「緩やかな回復に向かうことが期待される」と評価した。
 月例報告の予測通り、緩やかな回復が続くのを望むが、熊本地震が与えた傷跡の大きさを考えると難しいのではないか。今後、被害状況の把握が進めば、再び景気判断を引き下げざるを得ないだろう。
 自動車、半導体、いずれも日本の基幹産業であり、国際市場を舞台に激しい競争を闘ってきた。いかに余震が続こうと、世界経済は待ってはくれない。ここは時間との勝負になる。
 傷ついたサプライチェーン(供給・調達網)をつなぎ直し、いかに踏みとどまるか。政府は経済分野に目配りした支援を、ためらうべきではない。地域経済の復旧は、被災地復旧と同じ歩みだ。ここは先手先手で対策を打ってもらいたい。(古賀史生)
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宮崎日日新聞 2016年4月23日
社説:被災地ボランティア ◆現地のニーズに沿う支援を◆


 甚大な地震被害が出た熊本県内でボランティアの受け付けが始まった。本県からも週末を利用して出発する人もいるだろう。隣り合う県として共に地震の恐怖を感じているだけに、被災者の心に寄り添う支援ができるのではないか。
 ただ、余震や建物倒壊、土砂崩れなどには十分気を付けてほしい。危険を感じたら中断する冷静さが必要だ。現地のニーズに耳を澄ませながら、役に立ちたいという思いと行動を、被災地の復旧や住民の生活再建に生かしたい。
自分の安全確保して
 協力が求められている活動内容は、各自治体の災害ボランティアセンターのホームページ(HP)で知ることができる。
 22日現在、益城町では避難所支援、物資の仕分けがメインだ。建物の応急危険度判定の調査中であるため、片付けなど「民家の支援は現在難しい」と記されている。
 熊本市では、高齢者や障害者ら、災害要援護者の家屋の片付けを手伝うボランティアを募集。しかし、状況次第で変更される場合もあることは知っておきたい。
 注意したいのはまず被災地までの道のりだ。道路の段差や亀裂、さらに渋滞があると伝えられる。
 現地は食料や宿泊施設、ガソリンなどが不足。食べ物や水を用意し、寝泊まりのめどを付けるなどボランティアの衣食住は「自己完結型」が望まれ、これに加えて安全への心構えが重要になる。余震が収まらず、被害拡大や雨による二次災害が心配されているからだ。
 現地の担当者の説明を聞き、危険を回避してほしい。ヘルメットなど安全のための装備も整え、ボランティア保険への加入も忘れずに。帽子や軍手などを用意し、作業中のけがや熱中症も防ぎたい。
経験談伝える場大切
 「ボランティア元年」といわれる1995年の阪神大震災以降、日本では、災害が起こるとボランティアが駆け付けるという光景が自然に見られるようになった。
 これまで蓄積されてきたノウハウや培った視点を、生かさないのはもったいない。新たに取り組む人や団体に伝えることで、支援はより充実するのではないか。
 情報伝達がうまくいかなければ現場が混乱することもある。「頑張って」という言葉がかえって被災者の心の負担になることもある。どういった動き方やコミュニケーション、気配りが大切なのか。
 熊本は近いため、初めて活動してみようと考えている人もいるかもしれない。例えば阪神大震災や東日本大震災で支援経験がある人、また既に熊本で汗を流した人が、希望者に向け体験談や注意点を伝える機会があれば、活動はよりスムーズになるかもしれない。
 支援は今だけではなく、長期的に必要になる。現地には行けなくても、県内でできることもあるはずだ。
 互いに意見を交換し視点を共有することで、「民」の力は一層強くたくましくなるだろう。
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南日本新聞 ( 2016/4/23 付 )
社説:[熊本地震・ボランティア] 現場に寄り添う活動を


 熊本地震で大きな被害を受けた熊本、大分両県でボランティア活動が本格化している。
 熊本市や益城町などでボランティアの受付が始まり、各地から大勢の人が駆け付けた。
 避難生活は1週間を超え、被災者の疲れやストレスはピークに達している。物資が届いても、仕分けなどの人手が足りていない避難所もある。
 そんな中で、少しでも手助けしたいという支援の輪が広がっていることは心強い。
 被災者の要望は、地域によっても人によっても異なる。現場の声に耳を傾け、心に寄り添う活動を心がけたい。
 ボランティアには、避難所での援助物資の仕分けや清掃、炊き出しなどが期待されている。
 「大学生活で熊本にお世話になった。恩返しがしたい」という若者や、「居ても立ってもいられなくなった」と東京からやってきた人もいる。避難生活をサポートするために欠かせない力である。
 一方で、余震による二次災害の防止や緊急車両優先のため、ボランティアの受け入れ対象を地元在住者に限定したり、受け入れることができない自治体もある。
 避難所によって支援に格差が生じることが心配だ。こうした地域には全国の自治体などが応援の人材を派遣し、被災者のニーズをくみ取る工夫をしてほしい。
 ボランティアに出掛ける際に、注意すべきこともある。
 まずは、どこでどんな助けが必要とされているか、事前に情報収集することだ。
 熊本県社会福祉協議会のホームページなどで、各地のボランティアセンターの受け付け状況や活動内容を確認することができる。
 食料や装備などは、自前で準備することが基本だ。被災地で余震に遭う可能性もあり、ボランティア活動保険への加入も欠かせない。自身の身の安全や健康管理に、十分気を配ってほしい。
 2011年の東日本大震災では、大型連休に大勢のボランティアが訪れたが、連休明けには一転して激減し、人手不足に悩まされる地域があった。
 熊本地震の被災地では、安全が確保されていないことなどから住宅の後片付けに手を付けることのできない地域も多い。復旧・復興は長期化が想定される。
 時間がたつにつれて、被災者が求める支援は変わってくるだろう。息の長い継続的な活動で被災地を支えたい。
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琉球新報 2016年4月23日 06:02
<社説>震災関連死 救える命を救いたい


 あの大地震をくぐり抜けてきた命だ。それがみすみす失われるのは、いたたまれない。
 熊本地震で、車中泊やストレスが原因とみられる震災関連死が相次いでいる。震源は広がり、地震は今や「群発」の様相すら呈している。避難生活が長引くのは確実で、関連死が続かないか心配だ。
 救えるはずの命だ。何としても救いたい。窮屈な避難所や車中泊はもう限界という方も多いだろう。仮設住宅建設を急ぎ、併せて「みなし仮設」も早急に確保すべきだ。被災県での確保は難しい面もあるはずで、より広域での「みなし仮設」確保を検討していい。
 倒壊家屋は1万を超え、避難所には今も10万人以上が暮らす。それ以外に車中泊が多数いるとみられ、益城町だけで約1万人と推計されている。
 余震どころか震度7がいつまた起きないか分からない中、安心して家にいられないのは当然だ。周りへの気兼ねから避難所での寝泊まりを避ける気持ちも理解できる。
 だが車中泊は血栓が血管をふさぐエコノミークラス症候群が懸念される。人がひしめき合う避難所で、狭い中、窮屈な暮らしを続けることにも同様の懸念があろう。
 冷たくて硬い床に毛布を敷いただけの避難所もある。常に人の気配や物音が絶えない環境は、安眠とは程遠いはずだ。衛生状態も懸念される。そんな暮らしが長引くことのストレスはさぞやと思われる。一刻も早く、安心して眠れる環境をつくってあげたい。
 九州各県は被災者受け入れを表明し、福岡・佐賀・長崎・宮崎・鹿児島の5県で2300戸以上の公営住宅を確保した。
 沖縄県も県内の公営住宅を無償提供することを決め、県営、市営合わせて90戸を確保した。むろん賛成だ。県民挙げて支援したい。
 東日本大震災の際は県と加盟企業で協力会議を設置、「ニライカナイカード」を避難者に配布し、カードを提示すれば加盟企業の各種割引が受けられる仕組みをつくった。同様の支援を考えていいのではないか。
 これ以上の関連死は何としても防ぎたい。慣れ親しんだ地域から離れるのは不安があって当然だ。仕事の都合もあろう。だが、大地震を生き延びた貴重な命を大切にしてほしい。政府も早急に激甚災害に指定し、仮設住宅整備を強く後押しすべきだ。
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岩手日報(2016.4.23)
社説:被災者の心のケア 長期的視野で支えたい


 続く余震、風雨に休まらぬ心。建物倒壊の恐怖から、窮屈な車中泊を余儀なくされる日々。熊本地震の被災者は、経験のないストレスにさらされていることだろう。
 心のケアのため、全国の災害派遣精神医療チーム(DPAT)や保健師チームなどが被災地入りし活動を始めている。阪神大震災を機に本格化した日本の災害時メンタルヘルス支援は、新潟県中越地震や東日本大震災の経験を経て着実に進化している。
 一方で、連日の地震報道に接し、5年前の恐怖がぶり返した東日本の被災者もいる。それだけ、心の回復には長い時間がかかるということだ。東日本で取り組まれている心のケア活動をモデルに、熊本・大分でも長期的な視野で被災者に寄り添ってほしい。
 阪神以来、心のケアの必要性について社会の認知が高まった半面、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を過度に不安視する風潮も生まれた。
 国内外の経験、知見の蓄積から言えるのは、個人にもコミュニティーにも「回復する力(レジリエンス)」があるということ。今、混乱と不安の渦中にある被災者は、自らの内なる力を信じてほしい。
 東日本大震災後、眠れない、津波の光景が頭に浮かぶなど苦しみを訴える被災者は多かった。だが、こうしたストレス反応の多くは病気ではない。安心して眠れる、温かい食事が取れるなど日常性の回復に伴い、多くの人は少しずつ自然回復していく。
 今回の地震で心配なのは、膨大な車中泊の避難者だ。東日本の被災地では、体育館などに避難した住民たちが掃除や物資の仕分けなど役割分担して取り組んでいた。避難所生活で生まれた一体感は、喪失の悲しみを抱えつつ生きていく支えにもなった。
 だが、避難者個々が車の中で孤立している状況は、共助の関係性も生まれにくい。避難環境の改善が急がれる。
 心のケア活動では、災害以前から精神科医療機関を利用していた人が、通院先の被災などで医療中断にならないようフォローも重要。中長期的には、深い喪失感を抱えるなど回復が困難な人が孤立しないよう、スムーズに専門家につなぎ、継続的に支えるシステムを立ち上げていく。
 地元支援者は、自ら被災しつつ、住民のケアに追われている。外部支援者は大きな力だが、阪神でも東日本でも、高揚感と使命感に満ちて被災地入りした支援者が、思い描いていた活動をできずに地元支援者と摩擦を生じ、混乱を招いたこともあった。
 心の回復に長く寄り添う主体はあくまで地元支援者。外部支援者は地元の意向や文化を尊重し、ニーズに即した側面支援に徹してほしい。
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福井新聞 (2016年4月23日午前7時10分)
論説:避難所の支え手 問題解決型の「自治」必要


 熊本地震は発生から1週間すぎても激しい揺れが頻発し、地震活動の終息が見通せない。「過去に例のない状況」「大きな地震がまた起きるだろう」とする気象庁や学者らの見解は一層避難住民に重くのしかかる。地殻だけでなく、心のひずみが拡大していく。「緊急避難」から「避難生活」に入っている住民一人一人に寄り添いながらサポートし、心のケアを厚くする献身的努力が不可欠だ。
 死者48人、震災関連死疑い11人を出し、避難者はなお8万人に達する。大雨による土砂崩れなどの二次災害が懸念され、熊本県内では一時29万人以上に避難指示・勧告などが出された。
 危険回避へ別の避難所に移る「多重避難」も続出。現場の混乱はようやく受け入れが始まったボランティアの本格活動をも困難にしている。「ボランティアではなく被災者のペースで」と望む支援団体代表の肉声は重く響く。現場コミュニケーションをしっかり取らないと、支援のミスマッチが起きてしまう。長期化する避難は支援の側にも忍従を強いることになる。
 数百人が避難生活する公共施設では、狭い廊下に身を寄せる高齢者らもいる。人の目が気になって着替え一つにも不自由するケースが出ている。それが車中避難となり、「エコノミークラス症候群」など体調を悪化させてしまう。
 快適な避難生活などあるはずもない。大事になってくるのは避難所の「自治」ではないか。手が回らない行政職員に代わってリーダーとなるべき人材が被災者の中にも必要なのだ。特に「女性の視点」を生かすことが不可欠となる。
 国は阪神大震災を機に、防災・復旧・復興へ向けて女性の視点を最大限重視する体制を強化。さらに東日本大震災の教訓も踏まえ、災害時のマニュアルにこうした観点からのニーズ把握と支援の必要性を加えた。
 防災部局における女性職員の増強、管理職に女性登用を推進するなど体制の見直しを図ってきたはずだ。だが、今回の地震でそれがどこまで生かされ、地元自治体と情報、対策の共有がなされているかである。
 避難時に必要なプライバシーの確保、またトイレや着替え、化粧の場所確保など男性では気づかない日常の気配りが大切になる。家族での避難だと家庭的責任が求められる。一番働き、疲れるのは女性だ。
 阪神大震災や東日本大震災時には、避難所コミュニティーを重ねる中で女性のまとめ役が生まれ、被災者の悩みや小さな声を吸い上げながら、行政機関と調整を図る仕組みができた。
 自助、共助、公助は非常事態における生命線。とりわけ共助の心が通い合う自然発生的な「自治組織」が欠かせない。問題解決型の取り組みが命と笑顔を支え合う。こんな時こそ「男女共同参画」の精神を発揮していきたい。
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徳島新聞 2016年4月23日付
社説:熊本地震と原発 予期せぬ事態に備えよ


 熊本・大分両県を中心に地震が相次ぐ状況で、気になるのは原発への影響だ。
 余震がやまず、地震の被害が広がる中、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が全国で唯一、稼働を続けていることに、違和感を覚える。
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況で問題があるとは判断していない」との見解を示している。
 丸川珠代環境相兼原子力防災担当相は「規制委が止める必要はないと判断しており、専門家の判断を尊重したい」との立場だ。災害時に主体的な判断を避けるような政府の姿勢が、被災者らの目にどう映るだろうか。
 気象庁は「大きな地震が2回起こり、震源が広域に広がる過去に例がない形で、今後の予測は難しい」と言う。
 それほど特異な地震なら、万が一の事態に備えて川内原発の運転を停止するのが常識的な判断ではないか。
 もちろん、原発は一定以上の揺れの強さが測定されれば自動停止する仕組みになっている。川内原発の設定値は水平方向の加速度が160ガル(ガルは加速度の単位)で、垂直方向が80ガルだが、一連の地震で最大8・6ガルだった。
 だからといって、安心はできない。2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の教訓の一つは、大地震では「想定外」の事態がいつ起きるか分からないということだ。
 海峡を挟んで大分県の対岸にある四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)は7月の再稼働に向け、最終手続きの使用前検査が行われている。伊方原発の近くには中央構造線断層帯がある。
 松山市の市民団体「伊方原発をとめる会」は地震が相次ぐ中、伊方3号機の再稼働は「危険極まりない」として、愛媛県に再稼働への同意撤回を、四電には再稼働の断念をそれぞれ申し入れた。
 脱原発弁護団全国連絡会も地震活動が終息するまで、川内原発の運転を停止し、伊方原発の再稼働を認めないよう規制委に申し入れた。
 政府や電力会社は、市民らの声を重く受け止めるべきである。
 住民の不安を少しでも軽減するためには、原発に関する十分な情報開示も必要だ。
 原子力規制庁は、川内、伊方など九州、中四国地方の4原発の状況を毎日2回、定時に情報発信することにした。
 規制庁が今回の地震で原発に異常がないことを一般向けにホームページなどで発信したのは、発生翌日の15日午前だった。川内原発がある川内市の震度が4で、内部の取り決めより小さかったためだ。
 情報発信の在り方を改善したのはよいが、対応が後手に回ったことを反省すべきだ。
 何よりも、余震が頻発する状況で原発を稼働させていれば、住民の不信と反発を招くのは自明だ。住民目線の判断を求める。
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