2016-04-21(Thu)

熊本地震 震災関連死 社説等160421(2) 

過去を教訓に関連死防げ 助かった命を守り抜け 命に関わる車中泊の怖さ
原発--住民の不安は高まっている


<各紙社説・論説>
西日本新聞)熊本地震1週間 九州一丸で立ち向かおう(4/21)
宮崎日日新聞)熊本地震と原発 住民の不安は高まっている(4/21)
南日本新聞)[熊本地震・きょう1週間] 被災者支援に政策を総動員すべきだ(4/21)

東奥日報)過去を教訓に関連死防げ/熊本地震1週間(4/21)
岩手日報)震災関連死の多発 助かった命を守り抜け(4/21)
福島民報)【熊本の震災関連死】政府に迅速な対応望む(4/21)

山陰中央新報): 熊本地震1週間/救える命 失わぬ対応を(4/21)
山陽新聞)熊本地震1週間 命に関わる車中泊の怖さ(4/21)
愛媛新聞)熊本地震 心身ケア 「関連死」防止へ官民連携強化を(4/21)
高知新聞)【熊本地震1週間】避難の長期化も見据えて(4/21)




以下引用



=2016/04/21付 西日本新聞朝刊=
社説:熊本地震1週間 九州一丸で立ち向かおう


2016年04月21日 10時32分
 熊本地震は、きょうで発生から1週間となる。
 揺れは一向に収まらない。それどころか、震源は新たに南西方向へ拡大しているとみられる。避難生活の長期化による「震災関連死」を含め、死者は熊本県内で60人に迫る。極めて深刻な状況と言わざるを得ない。
 中心部が壊滅的な打撃を受けた熊本県益城町では、倒壊寸前の家屋が並ぶ幹線道路を物資輸送車が走るなど危険な状態が続く。避難所では不自由な共同生活を余儀なくされる老若男女が悲痛な声を上げる。九州新幹線の一部運転再開など復旧・復興の動きも出てきたが、震災は今なお現在進行形だ。インフラの復旧だけでなく、被災者の安全と安心を確保するために、仮設住宅の建設など「居住空間」づくりをはじめ、ハード、ソフト両面で官民、そして九州の総力を結集した対応が求められる。
 ▼「まるで地獄絵」
 熊本市東区から益城町へ境界を越えた途端、被害の深刻さは目に見えて増す。役場まで約5キロの間、押しつぶされた民家や商店の屋根の位置は低くなり、次第に地面へ近づいていく。
 全壊した納骨堂の周囲には骨つぼが散乱している。この大地震は死者にまでむちを打つのか。そんな思いがするという男性被災者は「まるで地獄絵です」と嘆いた。
 その光景は、14日夜の最大震度7を皮切りにした一連の地震エネルギーのすさまじさを改めて私たちに突きつける。
 熊本県などによると、避難生活の身体的負担や、車中泊生活による「肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)」を含むとみられる震災関連などの死者が10人に上ることが明らかになった。地震の直接の被害で死亡確認した48人とは別だ。衝撃的な数字である。
 県内640余の避難所は大勢の被災者で混み合う。お互いに身を寄せ合うようにして休み、段ボールをベッドにして寝る。妊婦や赤ちゃん、車いすで小さな体をまるめて眠る女性もいる。心身の疲労は募り、大きないびきも日中から響く。感染症も心配だ。そこは生活の場ではなく、一時的な「退避所」でしかない。
 熊本市内の女性(51)が死亡したように車中泊では、寝返りもままならず肺血栓塞栓症となるリスクが高い。東日本大震災を機に注目されるテント泊を推奨するため、設営が簡単で雨風をしのぐ機能が高い家族用テントや寝袋を配布するのは有効な手段だろう。一部アウトドア専門店が南阿蘇村で始めた無料配布は被災者に歓迎され、「車内よりはるかに伸び伸びできる」と好評だという。
 福岡県の公営住宅無償提供など被災地から離れた住居での避難受け入れ準備も進むが、見知らぬ土地で暮らしていくことへの抵抗感は根強い。
 土地や財源などの問題はあるだろうが、仮設住宅の建設は早急に全力で取り組むべきだろう。
 突然の震災を逃れる緊急避難から、生活再建へ進むためにも住まいの問題解決は喫緊の課題だ。
 ▼動き始めた大動脈
 19日夕には熊本県八代市でマグニチュード(M)5・5の地震が発生した。震源は14日以降に発生したM5以上の地震のうち、最も南西に位置するとみられており、熊本地方を基点に大分側にも延びていた震源はさらに拡大した。
 気象庁はこの地震を受け、「活発な活動が収まる気配は見えない」と大規模な揺れが当面続く見通しを示している。
 21日は熊本、大分で大雨の恐れもある。地震だけでなく土砂崩れや河川の増水への警戒も必要だ。
 天守閣の屋根や石垣が崩壊した熊本城を見上げる熊本市中心地で、路面を走る市電が運転を一部再開した。復旧・復興への希望を映すシーンともいえるだろう。
 全線不通となっていた九州新幹線も20日、一部(新水俣-鹿児島中央)で運転を再開した。熊本空港の一部運航再開とともに、「九州の大動脈」が再び動き始めたのは心強い。
 九州一円、そして全国の津々浦々から救援物資と一緒に被災者を励ます心も届く。この再生への胎動をさらに力強いものにしていきたい。そして、改めて「九州はひとつ」を合言葉に、九州全体で震災からの復興に取り組む決意を新たにしたい。
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宮崎日日新聞 2016年4月21日
社説:熊本地震原発 ◆住民の不安は高まっている◆


 余震が続く熊本地震。震源地に限らず、本県を含めた近県住民の不安をさらに高めているのが原発だ。一連の地震を引き起こしたとされる断層帯の南西部の先には、全国で唯一稼働中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)がある。北東部の先には7月下旬に再稼働予定の四国電力伊方原発3号機(愛媛県)がある。
 「想定外」が重なり大惨事となった東京電力福島第1原発(福島県)事故を国民は忘れておらず、不安の根幹にはその記憶があるだろう。熊本地震は“地震大国”が原発を抱えていることのリスクをあらためて浮き彫りにしている。
心配な震源域の拡大
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、川内原発を予防的に停止させる可能性について「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況で問題があるとは判断していない」と否定した。
 川内1、2号機の新規制基準への適合検査では、今回の地震で活動した布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯が全域の長さ92・7キロにわたって動き、地震の規模がマグニチュード8・1になると想定。だが原発まで約90キロと遠く、影響は限定的と判断されている。
 ただ今回の地震は、震源域が拡大。川内原発に近づく南西部の断層帯の活発化が懸念されている。
 市民団体「原発いらない!宮崎連絡会」(青木幸雄代表世話人)は18日、川内原発付近にある断層が大地震を起こす可能性があることなどを指摘し、宮崎市の九州電力宮崎支社や県庁を訪れて即時運転停止を求める申し入れをした。
 こういった動きがある一方で政府は規制委の見解を追認し、「運転を停止する理由はない」(菅義偉官房長官)との姿勢を変えていない。
 国や電力会社は、長引く地震で原発への不安が強まっていることを率直に受け止めるべきだ。
運転停止の検討必要
 大分県側にも震源域が広がったことで、伊方原発への影響も心配されている。全国的にも活断層と原発への関心は高まるだろう。
 想定外の事態にも備え、念には念を入れて安全の道を探らねばならないことは、東日本大震災が残した教訓だ。
 自然の脅威を甘く見るべきではなく、安全を追求する上ではいくら慎重さがあってもいい。
 注意深く推移を監視し、状況に応じて予防的な運転停止も検討していく柔軟な姿勢が必要なのではないか。
 気象庁は活発な活動が続く熊本地震について「レアケースで先が見通せない」との見解を示している。
 原子力規制庁は1日2回、両原発に加え九州電力の玄海原発(佐賀県)、中国電力島根原発(松江市)の異常がないかどうか情報発信することにした。
 各原発周辺の活断層の状況や耐震性などを再点検し、分かりやすい形で情報公開することにも力を入れてほしい。
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南日本新聞 ( 2016/4/21 付 )
社説:[熊本地震・きょう1週間] 被災者支援に政策を総動員すべきだ


 熊本県を中心に甚大な被害をもたらした熊本地震から、きょうで1週間になる。
 10万人以上の住民が不自由な避難生活を強いられている。支援に全力を挙げるとともに、復旧・復興に向けた取り組みを息長く後押ししたい。
 14日夜に震度7を記録したマグニチュード(M)6.5の地震の後、揺れが減る傾向が続いていたが、16日未明の震度7(M7.3)の本震を境に予測のつかない動きを見せている。収束が見えない余震にも最大限の警戒が必要だ。一連の激しい揺れで多数の家屋やビルが倒壊し、土砂崩れや橋の崩落などが相次いだ。死者はきのうまでに48人となり、行方不明者の捜索も続いている。
 九州自動車道の損壊や九州新幹線の脱線の影響などで、物流や人の往来に重大な支障を来している。復旧を急ぎたい。
 全国で唯一稼働している九州電力川内原発(薩摩川内市)についても、地震を心配する声が上がっている。国や九電は住民の不安に向き合うべきだ。
■避難生活は長期化も
 一連の地震で損壊した建物は、熊本県を中心に九州5県で9000棟を超えた。新たな被害への不安やプライバシーを確保するため車中泊する人が増えている。
 これに伴い、エコノミークラス症候群で亡くなる住民が出るなど「震災関連死」をはじめ、被災者の健康被害は深刻だ。行政は駐車場などで寝泊まりする人を避難者として数えておらず、避難所での対応を優先している。
 大勢の住民が身を寄せる避難所での対応は当然としても、車中泊する住民へのケアなど、早急な取り組みが求められる。
 政府は、お年寄りや障害者といった避難に配慮が必要な人の受け入れ先として、熊本県や九州各県でホテルや旅館約1500人分、公営住宅約2200戸などを確保したという。被災者の不自由な生活の解消に向け、住環境の整備に万全を尽くしてほしい。
 避難生活が長引けば、仮設住宅の建設も必要になる。住民の意向に寄り添いながら、きめ細かな対応が重要だ。
 水や食料など生活物資も十分行き届いていない。自治体に救援物資が到着しても仕分けが追いついていないからだ。ニーズを把握して避難所へ直接送るなど、輸送の円滑化を図るべきである。
 九州新幹線は鹿児島中央-新水俣が6日ぶりに再開した。だが、熊本駅南側で脱線した車両の撤去作業や、熊本県内の高架橋などに多数の損傷が見つかり、全面開通の見通しは立っていない。
 九州自動車道は道路の陥没や陸橋の崩落などで、熊本県内の一部区間で通行止めが続く。大型連休への影響も懸念されている。災害時の代替ルートなどを確保しておきたい。
 政府は、地震の復旧事業への国の補助率を引き上げる激甚災害の早期指定を目指すが、あらゆる政策を総動員すべきだ。
■高まる原発への不安
 地震活動の拡大につれ、川内原発の運転に反対する地元市民団体が原発への影響を懸念し、運転停止を九電に申し入れた。不安は理解できる。
 九電は、14日以降の観測値は最大でも数ガルで、自動停止の設定値までには余裕があるため運転を継続していると説明している。
 地震を受けて開かれた原子力規制委員会の田中俊一委員長も「今の状況で安全上、問題があるとの判断はしていない」と、川内原発の予防的な運転停止の必要性を否定した。
 しかし、これで不安が解消されたわけではない。むしろ高まっていると言うべきだろう。
 地震は、「日奈久(ひなぐ)断層帯」から隣接する「布田川(ふたがわ)断層帯」へ広がり、さらに離れた阿蘇地方や大分県域へ拡大した。日奈久は鹿児島県内に影響が大きい活断層の一つである。震源が南下し、南端の「八代海区間」で起きれば、長島町で最大震度7を観測すると予測されている。
 鹿児島と熊本の県境付近には日奈久以外にも、川内原発に影響が大きいとされる市来断層帯や甑断層帯、さらに出水断層帯などがある。専門家は活断層の位置を正確にはつかめておらず、最大震度7程度の地震はどこで起きてもおかしくないと警鐘を鳴らしている。
 これらを踏まえれば、地震の収束が予測できない現段階での原発の停止も選択肢の一つである。
 地震の影響は四国にも広がった。愛媛県松山市の市民団体が、7月下旬にも見込まれる四国電力伊方原発3号機(伊方町)の再稼働について、「危険極まりない」と訴え、再稼働を断念するよう愛媛県と四国電に申し入れた。
 大分県の対岸にある伊方原発の近くには、中央構造線断層帯がある。田中委員長は「審査で十分検討した」と説明しているが、住民の不安は拭えない。
 国は規制委や電力会社任せにせず、責任ある判断と説明をするべきだ。
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東奥日報 2016年4月21日(木)
社説:過去を教訓に関連死防げ/熊本地震1週間


 熊本地震が起きて1週間となった。14日に震度7の「前震」があり、続いて16日に阪神大震災に匹敵するマグニチュード(M)7.3を記録した「本震」を含め一連の地震が頻発。熊本と大分の両県を中心に被害が広がり、多数の犠牲者が出た。さらに10万人前後が、余震におびえながら先の見えない避難所生活を強いられている。
 ライフラインの寸断や人手不足もあって、食料や水、毛布といった支援物資が十分行き渡らないこともある。避難所では床の上に段ボールなどを敷いて、多くの住民たちが身を寄せ合う。プライバシーは確保されていない。余震が怖いと屋外の車やテントで過ごす人もかなりの数いる。
 そんな中、避難所で77歳女性が急性心不全のために死亡。車中泊をしていた女性らが、窮屈な姿勢で長時間いることによって引き起こされる「エコノミークラス症候群」で病院に運ばれ、亡くなったり重体になったりした。またノロウイルスの検出も報告されるなど混乱と不安の中で、住民たちの疲労はピークに達している。
 まず物資提供や衛生・医療の体制を早急に整える必要がある。特に高齢者や障害者ら「災害弱者」については、民間住宅の手配も急ぎたい。
 77歳女性が急死したのは熊本県阿蘇市の避難所で、避難によるストレスが原因の震災関連死とみられる。エコノミークラス症候群では、熊本市内の自宅の敷地で車に寝泊まりしながら家の片付けをしていた51歳女性が亡くなった。狭い車内に居続けることで足に血栓ができ、それが肺に至って血管をふさぐという。
 大きな被害を受けた熊本県益城町では車中泊が1万人と推計され、被災地全体では相当数に上るとみられる。巡回の強化が必要だろう。
 避難所は断水の影響でトイレの水を十分に流せなかったり、手洗いやうがいができなかったりと、専門家から衛生面の問題が指摘される。感染症などが懸念され、震災関連死にもつながりかねない。
 関連死は1995年の阪神大震災で919人、2004年の新潟県中越地震で52人、11年の東日本大震災では3410人(発生5年時点)を数えた。いずれも大半は高齢者で、熊本地震では既に10人以上に上るとみられる。過去の震災で得た教訓を踏まえ、救える命を失わないために着実に手を打たなければならない。
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岩手日報(2016.4.21)
社説:震災関連死の多発 助かった命を守り抜け


 恐れていたことが現実になった。熊本県で、避難生活中に健康を損ねて死亡する震災関連死とみられる犠牲者が10人に上ったことが分かった。
 あの地震でせっかく助かった命がなぜ失われなければならないのか。新潟県中越地震や東日本大震災の教訓がなぜ生かされないのか。この現実に怒りと悲しみを覚える。
 震度7の大地震発生から1週間を迎えて、避難する人たちの健康が深刻な状態に陥っていることを示している。避難生活は長期化する恐れが大きく、犠牲者はさらに増える危険がある。官民の総力を挙げてほしい。
 熊本県の発表によると、震災関連死とみられるのは、熊本市で7人、益城町、阿蘇市、御船町で各1人。
 詳しい死因は専門家の検証を待たなければならないが、自動車の中で長時間過ごすことで、静脈にできた血栓(血の塊)が肺の血管を詰まらせるエコノミークラス症候群や持病の悪化が考えられる。
 今回の地震の避難者は10万人という規模に上る。「車中泊」をする人は、避難所に入れなかったり、プライバシーの確保という理由もある。
 このほか、幼い子やペットがいるために他人への迷惑を考えて車で寝泊まりする人も少なくない。被害が大きかった益城町では1万人に上るとみられている。
 自宅が全壊した人はもちろん、相次ぐ地震で自宅が倒壊する不安におびえて屋外で過ごさざるを得ない。トイレをがまんして水分を控えると、エコノミークラス症候群の危険が増す。困難な生活が続いて急激に体調を崩すお年寄りも増えている。
 行政は実態を把握し、条件が許せば地震の不安のない地域に避難してもらうことを急ぐべきだ。
 後片付けや空き巣を警戒して自宅周辺から離れられない人も多い。医療、保健スタッフによる予防の注意喚起も行われているが限界に近い。家族や周囲の人たちが気をつけてあげたい。
 同じ時期にエコノミークラス症候群が深刻化し始めた中越地震では、車のラジオを通じて注意を呼びかけた。
 中越では国も動いた。手足を伸ばして休んでもらうために自衛隊が4~6人用のテントを張った。家族単位で入ればプライバシーを守れ、他人への気兼ねもない。
 陸前高田市の会社経営者はテント38張りを送った。大震災を経験したからこその思いやりだ。過去の災害の教訓を生かさなければ、この困難は乗り切れない。
 危険が指摘されていながら起きた悲劇。こんなことがあっていいわけがない。人命を全力で守る。国、自治体の危機管理の基本のはずだ。
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福島民報 2016/04/21 09:00
論説:【熊本の震災関連死】政府に迅速な対応望む


 熊本、大分両県で相次ぐ地震で、熊本県は身体的な負担による病気で死亡したとみられる人が10人に上ったと発表した。熊本市では18日、自動車内に泊まっていた避難女性がエコノミークラス症候群で死亡した。被害が大きかった熊本県益城[ましき]町では車中泊が1万人と推計されており、震災関連死の拡大が懸念される。政府や熊本県は、車中泊の避難者を県内外の旅館・ホテルに振り分けるなど大胆な対策を早急に講じるべきだ。
 同県内では余震が止まらず、震度1以上の揺れが700回を超えている。震度4以上は20日午後10時現在で、90回を数えた。東日本大震災を経験した福島県民でさえ、想像することができない揺れの多さだ。建物は壊れていなくても、おちおち室内にいることができない。家の中では寝られず、車中泊を選ばざるを得ない状況を何とかしなければならない。
 政府は被災者のうち、お年寄りや障害者といった生活への配慮が必要な人の受け入れ先として、ホテルや旅館約1500人分、公営住宅約2200戸、民間の賃貸住宅約1500戸を確保したと発表したが、数が足りないのではないか。スピードも遅過ぎるのではないか。
 経験したことのない余震で、体育館や集会所の中にいても恐怖を感じているはずだ。眠ることもままならない。車中泊を選べばエコノミークラス症候群の危険が高まる。
 福岡や佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の各県の旅館・ホテルに一時避難させることはできないのだろうか。原子力災害と違って、生活していた地域に何年もの間帰れないわけではない。災害弱者の命を守るために、希望する人全員を地震の影響のない施設に、すぐにでも移すべきだろう。
 補正予算編成の時期についても疑問を感じる。政府は熊本地震の復旧・復興事業を進めるために、補正予算案を編成する方向で検討に入った。それ自体は評価するが、予算案提出の時期は夏の参院選後に開く臨時国会になるらしい。遅過ぎるのではないか。
 東日本大震災では発生から2カ月弱の平成23年5月初めに、約4兆円の補正予算を成立させている。参院選後の成立では発災から3カ月以上も遅れることになる。
 成立までの間、緊急的に必要な支援の経費は今年度当初予算を振り替えたり、3500億円の予備費を活用したりするとしているが、どうしても釈然としない。政府には東日本大震災の教訓、経験を生かして、極めて迅速な対応を望みたい。(芳見 弘一)
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山陰中央新報 ('16/04/21)
論説 : 熊本地震1週間/救える命 失わぬ対応を


 熊本地震が起きて1週間になる。14日に震度7の「前震」があり、16日には震度6強で阪神大震災に匹敵するマグニチュード(M)7・3を記録した「本震」を含め一連の地震が頻発。熊本と大分の両県を中心に被害が広がり、多数の犠牲者が出た。さらに10万人余りが余震におびえながら、先の見えない避難生活を強いられている。
 ライフラインの寸断や人手不足もあって、食料や水、毛布といった支援物資は十分行き渡っていない。避難所では床の上に段ボールなどを敷いて、多くの住民たちが身を寄せ合い、パンやおにぎりをもらうために長い列をつくる。プライバシーはない。余震が怖いと屋外の車やテントで過ごす人もかなりの数いる。
 そんな中、避難所で77歳女性が急性心不全のために死亡。車中泊をしていた50~60代の女性が、窮屈な姿勢で長時間いることによって引き起こされる「エコノミークラス症候群」で次々に病院に運ばれた。またノロウイルスの検出も報告されるなど混乱と不安の中で、住民たちの疲労はピークに達している。
 まず物資提供や衛生・医療の体制を早急に整える必要がある。特に高齢者や障害者ら「災害弱者」については、民間住宅の手配を急ぎたい。中長期的には法的支援の拡充も求められる。過去の震災で得た教訓を踏まえ、救える命を失わないために着実に手を打っていかなければならない。
 77歳女性が急死したのは熊本県阿蘇市の避難所で、避難によるストレスが原因の震災関連死とみられる。エコノミークラス症候群では、熊本市内の自宅の敷地で車に寝泊まりしながら家の片付けをしていた51歳女性が亡くなった。狭い車内に居続けることで足に血栓ができ、それが肺に至って血管をふさぐという。
 2004年の新潟県中越地震で多発し注目された。長い時間、同じ姿勢でいることを避け、水分補給や体を動かすことを心掛けることで防止できる。大きな被害を受けた熊本県益城町では車中泊が1万人と推計され、被災地全体では相当数に上るとみられるが、全容は把握できておらず、巡回の強化が必要だ。
 そして避難所。熊本県によると、19日午前の段階で11万7千人が身を寄せていた。その日の午後に10万人をわずかに割り込んだが、また少し増えた。ただ断水の影響でトイレの水を十分に流せなかったり、手洗いやうがいができなかったりと、専門家から衛生面の問題が指摘されている。
 感染症などが懸念され、震災関連死にもつながりかねない。関連死は1995年の阪神大震災で919人、新潟県中越地震で52人、11年の東日本大震災では3410人(発生5年時点)を数えた。大半は高齢者で、熊本地震では既に11人に上るとみられる。
 仮設住宅建設は時間を要する。福祉サービスを提供する避難所でも介護福祉士らが被災し人手不足などの問題を抱えている今、政府は一刻も早く高齢者らを民間住宅に移し健康管理に万全を期すことを考えてほしい。
 また被災地では、さまざまな法律上のトラブルが起きる。大規模災害の被災者に無料法律相談を実施する法案が今月初めに衆院を通過しており、熊本地震に適用できるよう成立を急ぐべきだ。
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山陽新聞 (2016年04月21日 07時34分 更新) 
社説:熊本地震1週間 命に関わる車中泊の怖さ


熊本地震は震度7を観測した最初の地震からきょうで1週間。この間、熊本県を中心に強い地震が相次ぎ発生し、震度1以上の揺れを観測したのは約700回に上る。余震が続く中、自宅の倒壊などで避難所生活を送る人も10万人前後に及ぶ。
 車の中で寝泊まりする「車中泊」の人も多く、18日には自宅の敷地で車中泊をしていた熊本市内の女性(51)がエコノミークラス症候群で死亡した。同症候群の疑いがあり、熊本県内の病院に搬送された患者もこれまでに20人以上に上っている。深刻な状況であり、予防の呼び掛けを徹底するなど対応を急がなければならない。
 エコノミークラス症候群は脚の静脈に血の塊(血栓)ができ、最悪の場合には肺に届いて血管を詰まらせ、突然死を招く恐れがある病気だ。2004年の新潟県中越地震では、車中泊をしていた人を中心に多数発症した。生活空間が狭く体を動かしにくくなることで、血栓ができやすい。車中泊に限らず、避難所の生活でも注意が必要だ。
 被害の大きい熊本県益城町(ましきまち)は、車中泊を約1万人と推計する。車で寝泊まりする人が多いのは、避難所の収容能力が足りていないのをはじめ、プライバシーの確保が難しいことや、建物の倒壊を恐れる人もいることなどが挙げられる。幼い子ども連れやペットを飼う人が、周囲に気兼ねして車中泊をする場合も少なくないとみられる。
 エコノミークラス症候群を防ぐには、十分に水分を取ることや、適度に体を動かすことが欠かせない。被災地では、薬剤師らが避難者に、水分補給などを呼び掛ける取り組みも行われている。避難者の健康管理には、行政や医療機関からの積極的な情報提供が重要となる。
 高齢者や乳幼児らが劣悪な環境で避難生活を続ければ、生死に関わる事態にもなりかねない。避難の長期化が懸念される中、被災者が県境を超えて居住地を離れる広域避難にも十分に対応したい。
 岡山県は岡山、倉敷、備前市内の県営住宅計10戸の無償貸し出しを始めた。罹災(りさい)証明書の交付を受けた人が対象で、家賃は6カ月間免除する。生活用具のガスこんろ、照明器具、カーテンなどは県が準備する。
 この他、岡山市や美咲町、広島県、福山、広島市、福岡県、神戸市なども被災者向けに公営住宅を提供する。家賃を一定の期間、無償とする自治体が多い。
 民間団体でも、福岡県久留米市の市民グループがアパートの空き部屋数戸を一定期間、無料で提供するなどの取り組みが始まっている。
 広域避難する被災者にとっては、見知らぬ不慣れな土地で生活する不安もあろう。被災者が抱える不安を解消し広域避難を促すため、行政や民間のきめ細かなフォローも求められる。
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愛媛新聞  2016年04月21日(木)
社説:熊本地震 心身ケア 「関連死」防止へ官民連携強化を


 熊本地震から1週間。強く断続的な余震に見舞われ、先の見えない避難生活の中で被災者は精神的に追い詰められ、体調を崩している。体と心のケアは急を要する。医療体制を強化するとともに、寝る、食べるといった生きるための基本を一刻も早く取り戻せるよう国や自治体、民間の力を結集したい。
 震災関連死は10人に上った。避難所からの緊急搬送も相次いでいる。一度は天災から守り抜いた命が、支援・救援体制の不備という「二次被害」によって奪われてはならない。
 今回の地震では、余震への不安、幼い子どもやペット連れの気兼ねなどから、車の中で寝泊まりする住民が多い。被害が大きい熊本県益城町はその数を約1万人とするが、全容はつかめていない。行政はこうした事態をこれまで想定すらしておらず対応は後手に回っている。
 その状況下、車中泊をしていた女性がエコノミークラス症候群で死亡する深刻な事態が起きた。車中の狭い空間で脚を伸ばせないと、血流が悪化。静脈に血栓ができて死にも至る。新潟県中越地震の倍以上のペースで患者が出ているとの医師の指摘は、極めて重い。
 全国から医療チームが派遣されているが、避難所だけで約10万人とされる被災者を前に、到底、手が足りない。医療コーディネーターを軸に、支援と情報のネットワークをきめ細かく広げ、保健師や住民らも連携して確実な予防と救命につながなければならない。
 車中泊の解消が急がれるが、そもそも避難所のスペースが不足している。周辺の自治体や医療機関には、被災者の迅速な受け入れを求めたい。被災者が故郷を離れることには不安もあろうが、命と健康を守るため、今は安心して横になれる環境の確保が最優先だ。
 体力や免疫力の低下に伴い、避難所ではインフルエンザや胃腸炎など感染症の発生も現実になりつつある。断水でトイレの水を十分流せず、手洗いやうがいもままならない。ごみも処理できず積まれている。衛生的な環境づくりが急務だ。マスクやウエットティッシュなど必要物資の配布も急がねばならない。
 体が不自由な高齢者らも苦境に立たされている。介護や生活支援を提供する「福祉避難所」の指定を受けていても、スペースや人材の不足により、本来の機能を発揮できていない。一般の避難者も殺到し、優先すべき弱者の受け入れさえ困難。介護食が得られず、車いすに座ったまま眠るなど、看過できない状況にある。早急な改善が不可欠だ。そのためには、当事者も介護従事者も決して我慢することなく窮状を訴えてほしい。
 まず国が金銭、人員面で現場の活動を強力にバックアップしなければならない。一般ボランティアの受け付けも始まった。少しでも安心でき、希望を持って生き抜けるよう、官民の力を合わせ、万全を期したい。
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高知新聞 2016.04.21 08:00
社説:【熊本地震1週間】避難の長期化も見据えて


 熊本県の内陸部を震源とする震度7の地震が発生して、きょうで1週間になる。
 死者は約50人に上り、多数のけが人がいる。余震もまだ続いており、家を失ったり不安で戻れなかったりする避難者は10万人規模になる。
 最初の地震は14日夜、起きた。震度は7と最大級だったが、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・5と、想定されていた最大地震に比べやや小さかった。
 だが16日未明に起きた震度6強の地震は、M7・3を記録。この地震で家屋の倒壊などの被害は一気に拡大し、阿蘇地方や大分県などにも広がった。
 気象庁はM7・3の地震を本震と発表し、きのう震度を7に改めた。
 余震の回数が多いことも熊本地震の特徴として挙げられる。
 気象庁によると、この1週間で観測した震度1以上は700回を超えた。余震回数は同規模の地震と比べ、過去最多ペースで推移している。
 同庁はきのう「地震活動は依然活発で、収まる兆候は見えない」と発表した。なお警戒が怠れない。
 頻繁な余震が続くと、不明者の捜索や復旧活動の妨げになる。避難所で不自由な暮らしを強いられている被災者を、一層苦しめる。
 再三の余震に襲われる恐怖は想像を絶する。不眠症や血圧の上昇など健康被害が心配されるが、医療態勢は十分ではない。ストレスも相当にたまっているだろう。
 避難生活などで健康が悪化して死亡する震災関連死とみられるケースも出始めた。救えたはずの命を救えなかった関連死は、何としてでも防ぎたい。高齢者や乳幼児ら弱者のケアに十分な配慮が必要だ。
 さまざまな理由から車中で寝泊まりする被災者も大勢いる。窮屈な車内に長くいると、エコノミークラス症候群や熱中症のリスクが高まる。適度な運動を心掛けてほしい。
 土砂崩れや陥没などで道路が寸断され、数日は水や食料、生活必需品などの物資が避難所に行き届かなかった。物資不足に陥っているところは現在もあろう。
 東日本大震災など過去の例では、政府などが用意した支援物資が被災者が求めるものと一致しない「ミスマッチ」も見られた。被災者ニーズを的確に把握し、迅速に届ける指揮系統が必要だ。
 その点で、政府と県、市町村などの連携は十分取れていただろうか。
 地震対応では、現場をよく知る自治体が陣頭指揮を執ることが常識だ。政府は自治体に十分な裁量権を与え、人員や資金の面で全面的にバックアップすることだ。
 地震活動の終息が見通せない以上、避難の長期化も覚悟しなければなるまい。多数の住宅が損壊した自治体では、仮設住宅の建設の検討を始めたところもあるが、完成までには時間がかかる。
 それまでに被災者に十分な生活物資を届け、劣悪な避難所の環境を改善するなど支援に万全を期したい。
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