2016-04-20(Wed)

熊本地震 届かぬ支援物資 社説等160420(2)

なぜ早く届かないのか 供給網の再構築に全力を 被災者に行き渡る体制を
建物被害--耐震化を急ぐ意識持て 活断層と原発--危険性から目そらすな


<各紙社説・主張>
北海道新聞)地震支援物資 なぜ早く届かないのか(4/20)
岩手日報)活断層と原発 危険性から目そらすな(4/20)
河北新報)熊本地震避難生活/心身守る環境整備とケアを(4/20)

新潟日報)熊本地震と経済 供給網の再構築に全力を(4/20)
信濃毎日新聞)建物の耐震化 取り組みを加速したい(4/20)
福井新聞)地震と被災地支援 もっと現場感覚が必要だ(4/20)

神戸新聞)届かぬ物資/被災者に行き渡る体制を(4/20)
山陽新聞)地震と支援物資 被災地の状況を見極めて(4/20)
中国新聞)熊本の建物被害 耐震化を急ぐ意識持て(4/20)

愛媛新聞)熊本地震被災者支援 物資供給と避難環境改善を急げ(4/20)
徳島新聞)熊本地震1週間 震災関連死を防ぎたい(4/20)




以下引用



北海道新聞 2016/04/20 08:55
社説:地震支援物資 なぜ早く届かないのか


 熊本地震の被災地で、食料や水、生活必需品など支援物資の不足が深刻化している。
 全国から物資は集まっているものの、被災自治体の受け入れ態勢が不十分な上、交通網の寸断で配送が追いつかないためだ。
 物流に精通していない行政だけで賄うには無理がある。プロである民間に管理を委託し、スムーズな発送に努める必要がある。国も輸送態勢を整備してほしい。
 重要なのは、被災した住民一人一人に確実に物資を届けることだ。国や自治体、民間は知恵を出し合い、あらゆる手段で不足の解消に全力を挙げなければならない。
 国は、カップ麺やおにぎりなど大量の物資を被災地へ送った。
 ところが、熊本県庁には物資が山積みになっていた。人手不足で仕分けと発送に手間取り、避難所に届けられたのは一部だった。
 配給を受けるのに長時間並んだり、物資が足りなくなったりする避難所も出ている。
 市町村の要請を受けて県が物資を送る形式のため、被災者の対応に追われる市町村からニーズが伝わらず、届くまで時間がかかっていることも一因とされる。
 ここは、ノウハウを持つ民間企業の出番だ。県はむしろ、要請がなくても必要数を避難所に送る枠組みづくりに力を注ぐべきだ。
 物資を集積場で積み降ろしせず、直接避難所に届ける仕組みも効果的だろう。
 不足のもう一つの要因は道路事情だ。九州道の通行止め部分は一部で緊急車両のみ通れるようになったが、被災地につながる一般道では激しい渋滞も発生している。
 物資の運搬には米軍の新型輸送機オスプレイも投入された。自衛隊のヘリコプターは人命救助に優先して割り振っているという。
 しかし、東日本大震災では自衛隊のヘリの8割が投入された実績がある。自衛隊にはまだ余力があるのではないか。支援態勢を再検討してもらいたい。
 これからは、避難所に暮らす被災者約9万人の健康状態や衛生環境の悪化も懸念される。
 物資の遅延は被災者の命に直結する。国や自治体に求められるのは、迅速で効率的な支援だ。
 東日本大震災以降、各自治体は周辺自治体や企業と災害支援協定を結んできた。だが、今回は支援するはずの自治体も被災し、協定が十分に機能しない例もあった。
 近隣だけでなく、ある程度離れた自治体や企業と協定を結ぶことも大切だろう。
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岩手日報(2016.4.20)
社説:活断層と原発 危険性から目そらすな


 熊本県を中心とする地震はこれまでにあまり経験のない続発の仕方を見せ、地震には未知の部分が多いことを知らしめた。大分県までの広い範囲の活断層で地震が活発化、被害がさらに拡大する可能性がある。心配が膨らむのは周囲に原発があることだ。
 熊本県側の断層の先では九州電力川内原発(鹿児島県)が国内で唯一稼働中。大分県側の先では四国電力伊方原発(愛媛県)が今夏の再稼働を予定する。これらに影響は出ないのだろうか。
 原子力規制委員会は川内原発について「今の状況で問題があるとは判断していない」とし、予防的に停止させる可能性を否定した。
 確かに新規制基準への適合性審査でも、今回活動した断層帯に関して、距離が遠いため大地震が起きても影響は限定的としていた。
 とはいえ、拡大する震源域の延長線上に同原発があり、住民に不安が広がる。当面の間は停止し、地震の推移を見る判断はありえないのか。
 伊方原発に向かっても震源域が広がる。近くには中央構造線断層帯という巨大な活断層が走る。
 同原発は細長い半島の付け根に立地し、避難の難しさが指摘されている。再稼働の是非をあらためて検討する必要があるのではないか。南海トラフ巨大地震の想定震源域にもなっていることを考えるとなおさらだ。
 東京電力福島第1原発事故を受けて施行された新規制基準は、活断層の真上に原発の重要施設を設置することを禁じている。
 敷地内の断層をめぐって検討の対象となった数カ所の原発のうち、北陸電力志賀原発1号機(石川県)は直下に活断層があると規制委有識者調査団に判断され、廃炉の可能性が強まっている。
 日本原子力発電敦賀2号機(福井県)も原子炉建屋直下の活断層を認定され、再稼働の是非だけでなく存廃が問われている。東北電力東通原発(青森県)は敷地内の断層が活断層とされた。
 現在は見つかっていなくても、岩手・宮城内陸地震のように未知の断層が活動する可能性も否定できない。また、直下でなくてもダメージを受ける。柏崎刈羽原発が被災した新潟県中越沖地震では、沖合の海底断層を東電が過小評価していた。
 津波も含め、地震列島の日本は他国に比べて原発被災の可能性が高い。東日本大震災以降、地震活動が活発になっているという報告もある。
 天災は防げないが「減災」はできる。活断層周辺にある原発の危険性を直視して稼働について判断すべきだ。将来の原発ゼロを目指すのは言うまでもない。
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河北新報 2016年04月20日水曜日
社説:熊本地震避難生活/心身守る環境整備とケアを


 地震の直接的な難から逃れられたのに、避難生活の中で命を落とす。危惧されたそうした「災害死」が熊本県でも起きてしまった。
 阿蘇市の避難所で死亡した77歳の女性は、避難によるストレスや過労が原因の震災関連死とみられる。熊本市内では、車中での避難生活が原因と思われるエコノミークラス症候群の犠牲者が出た。
 いずれも、防ぎ得た死である。しかも、避難所は命を守るとりでであるはずだ。
 同じ不幸を招かぬよう、避難所の環境を早急に整え、被災者の心身のケアに万全を期すべきだ。避難生活の中で命と健康を守るために必要な情報を、被災者に向けて発信することも重要だ。
 中でも、エコノミークラス症候群の患者が続発しているという。この病気は同じ姿勢で長時間座るなどして脚の静脈に血の塊ができ、突然死を招く。自動車の中で避難生活をする「車中泊」による危険性が指摘されてきた。
 熊本では活発な地震活動が続く。すぐ逃げられるようにと自家用車の中へ避難する人たちが目立ち、大規模イベント施設の2千台収容の駐車場が満杯状態にあるという。
 自宅敷地で車中泊する被災者らを含め、避難所でも、十分に水分を取る、適度に体を動かすといった予防法について周知徹底を図りたい。
 そうした被災者らが車中避難するのは、避難所の環境とも無縁ではあるまい。
 大勢が寝泊まりし、足の踏み場もない。体育館の硬い床での寝起き、トイレも足りず、プライバシーも保てない。健常者でもストレスがたまる。持病を抱えた高齢者や障害者、乳幼児を抱えた母親ら、いわば災害弱者であれば、なおのことだ。
 東日本大震災でも震災関連死は多く岩手、宮城、福島3県を中心に約3400人にも上る。注目すべきは、9割近くが66歳以上とのデータだ。
 相次ぐ余震と、窮屈で混乱する避難生活で身体、精神両面のストレスが高じ、健康悪化を引き起こす。その危険性が高い高齢者らの心身のケアには十分な目配りが必要だ。
 そのためには、災害弱者や女性ら多様な視点から避難所の環境をチェックし、ストレスの少ない居住環境づくりに努めたい。同時に、全国から派遣されている医療関係者らを円滑に運用し、24時間態勢で診療・相談に当たるシステムをつくる必要がある。
 被災の範囲は東日本大震災ほど広くはない。被災地以外の広域避難も視野に、安全で安心な住環境を確保するのも一つの手だてではないか。
 熊本、大分両県の避難者は11万人を超え、地震が終息する見通しも立たない。避難生活の長期化も予想される。
 東日本大震災の被災地でも避難所は当初混乱し、さまざまな課題があった。各方面からの多様な支援、住民たちの共助で、長期にわたり少しでも快適で暮らしやすい避難所づくりに取り組んできた。
 そうした避難所運営・環境整備の経験をインターネットなどを活用して発信する。そうしたことも、大震災被災地からの「恩返し」につながるのかもしれない。
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新潟日報 2016/04/20
社説:熊本地震と経済 供給網の再構築に全力を


 熊本、大分両県を中心とする地震で、自動車部品や半導体などの工場で操業停止が相次いでいる。
 中でも、裾野の広い自動車産業が製造業に与える影響は大きい。
 車1台に必要な部品は2万~3万個とされ、関連企業が多いからだ。東日本大震災の際も、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の寸断は大きな問題になった。
 生産停止が長引けば、日本経済全体への打撃はまぬがれない。
 企業は別な工場からの代替品調達や輸送手段の確保など、サプライチェーンの再構築に知恵を絞ってほしい。政府の支援も重要だ。
 経済への悪影響を少しでも軽減するよう、官民で協力したい。
 熊本、大分両県には、トヨタ自動車や三菱自動車、ソニーなど大手企業に部品を供給する工場が立地している。
 液晶パネル向け部材生産で、世界的に大きなシェアを占める富士フイルムの子会社もある。
 精密機器の製造に欠かせない水や工場用地が豊富なため、部品産業の集積地が出来上がった。そこを大規模地震が直撃した。
 自動車や食品メーカーなどの工場で一部、生産を再開する動きが出てきたが、熊本県内では再開のめどが立たないところも多い。
 とりわけ、大きなダメージを受けているのがトヨタ自動車だ。
 トヨタは、国内の工場で段階的に車両生産を取りやめる。
 グループのアイシン精機の工場が被災し、シェアの高いドア部分などで、部品の供給が滞ったことが影響している。
 トヨタが余分な在庫を持たない独自の生産方式を取っていたことも響いた。5万台程度の減産になる可能性があるという。
 4月の全メーカー生産の約7%に相当し、鉱工業生産全体を1ポイント程度押し下げるとの試算もある。
 三菱自動車もエンジン部品が不足し、岡山県の製作所で軽自動車の生産ラインを20日まで止める。
 東日本大震災の時には、日本からの自動車部品の輸出が滞ったため、北米や東南アジアなどで完成車の生産が一時停止した。
 現代のサプライチェーンが国境を超えて大規模化、多様化していることを示すものだ。
 震災での苦い経験を生かし、在庫の積み増しや分散発注、部品製造の時間短縮などを行い、リスク低減に努めている企業もある。
 「想定外」の熊本地震は、日本が地震列島であることを私たちの目前にあらためて突き付けた。
 熊本地震を踏まえての供給網の強化と見直しは、企業にとって大きな課題となろう。
 中越沖地震では柏崎市の自動車部品メーカー、リケンが操業停止したが、自動車メーカーなどから応援を得て、復旧が早まった。
 本県にはほかにも中越、中越沖地震で被災した企業がある。自治体も経験を積んでいる。
 従業員のケアや災害後の作業などについて、ノウハウなどを提供できるのではないか。
 被災地では余震が続き、予断を許さない状況だ。従業員の安全と安心を確保するのが大前提となるのは、言うまでもない。
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信濃毎日新聞(2016年4月20日)
社説:建物の耐震化 取り組みを加速したい


 大地震に備え、住宅をはじめ建物の安全性をどう高めるか。
 熊本地震は重い課題を改めて浮き彫りにした。犠牲者を悼むとともに、耐震化の必要性を再確認したい。
 熊本で全半壊の建物は少なくとも2300棟に上る。亡くなった人は圧死や、体を圧迫されたことなどによる窒息死が目立つ。倒壊した住宅や倒れた家具などの下敷きになったとみられる。
 激しい揺れに繰り返し見舞われる不運があった。前震の後で家に戻り、本震で犠牲になった人たちがいる。マグニチュード(M)6・5に続くM7・3は、多くの人にとって想定外だ。家族にすればやりきれない思いだろう。
 西日本に特有の事情が影響した可能性もある。台風に備えるため屋根を作る際に土を載せて重くする工法がかつては一般的だったという。屋根が重い分、地震には弱い。そうした古い建物が倒壊したことも考えられる。
 1995年の阪神大震災では81年以前の古い耐震基準で建てられた住宅に被害が集中した。これを受け、国や自治体は改修費用の補助制度を設けるなどして住宅の耐震化を促してきた。阪神から20年が過ぎてなお、痛ましい被害が繰り返された。
 住宅の耐震化率は2013年時点で約82%と推計されている。長野県内は77・5%だ。国は、20年に95%まで引き上げる目標を掲げる。倒壊した家が道をふさぎ、緊急車両が通れないといった事態も起こり得る。それぞれに取り組みを強める必要がある。
 補助があるとはいえ、改修には少なからず費用がかかる。高齢者の世帯などは、ちゅうちょしても無理のない面がある。家全体の耐震化が難しいなら、寝室だけでも補強するなど方法を考えたい。
 耐震化が必要なのは、住宅だけではない。災害への対応で要となる公共施設も同様だ。
 今回、熊本県内では宇土市役所の庁舎が損壊した。築50年以上で市が建て替えを検討していたという。避難所に指定されている体育館や公民館などで天井や壁が損傷し、使えなくなった所もある。熊本市民病院は天井が損傷し、入院患者が転院した。
 万一のときに避難所になる公立小中学校は、95・6%と比較的進んでいる。一方で、診療施設は約85%、市役所や役場の庁舎は約75%にとどまる。
 地震はいつ、どこで発生してもおかしくない。その前提に立って対策を急ぎたい。
(4月20日)
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福井新聞 (2016年4月20日午前7時05分)
論説:地震と被災地支援 もっと現場感覚が必要だ


 地震との戦いはいつ終わるのか。先が見えない不安と恐怖が避難住民を苦しめ、心身とも限界に近い。熊本、大分両県を中心にした連続地震は収まらず、19日も震度5強が発生。14日夜の震度7以来、1以上の地震は計600回を超えている。政府、自治体はもっと連携を強め、避難者の支援や二次災害防止に総力を挙げるべきだ。
 政府は来週中にも閣議で激甚災害指定を決定する方向で調整している。既に地震発生翌日には熊本県内全45市町村に災害救助法の適用を決定した。しかし、同県からは早期の激甚災害指定の要望が出ている。与党側からも同様の声が上がり、野党からも「東日本大震災の時と比べてかなり差がある」と政府対応の遅さを批判する意見がある。
 安倍晋三首相は「政府一体となって災害応急対策に全力で取り組む」と言明しているが動きは鈍い。被災地を視察した上で「決断」の形を取る予定だろうか。
 首相は16日に視察を予定していた。だが、未明に起きた「本震」を受け中止した。地震の連鎖がますます活発化する可能性もある中で、果たして今後の日程が立つのか不明だ。
 熊本県だけでも開設避難所は700カ所近く、約9万人が避難。水や食料が十分でなく、指定外施設にも被災者が続々身を寄せる状況だ。物資が補給されても早い者勝ちだったり、時間が知らされず、食べ物が当たらないケースも出ている。避難所に入りきれない人たちは車中避難を強いられ、脚の静脈に血栓ができる「エコノミークラス症候群」で死亡するケースが出てしまった。
 こうした避難所格差と情報格差は東日本大震災でも経験したことだ。その教訓が生かされていない。
 政府は16日、避難者9万人の3食3日分として計90万食を届けることを決めた。18日には180万食に倍増させることを決定。しかし、現地の拠点までは着いても、道路の寸断などで避難所への直送が追いつかないのが現状だ。
 いずれ補給態勢は改善されるだろうが、国と県、市町村の情報連携が円滑にいかないのでは現場が混乱するばかりだ。マンパワー不足、経験不足を補う民間企業やOB、地域を熟知したボランティアなどの支え手が早急に必要ではないか。
 18日には米軍の新型輸送機MV22オスプレイが物資輸送を始めた。日本での災害使用は初めてだ。同機は沖縄の米軍普天間飛行場に配備されているが、事故懸念や騒音被害が起きている。自衛隊が佐賀空港に17機を配備する計画も地元が強く反対し、進まない。
 自衛隊には大型輸送ヘリが約70機ある。安倍首相は当初、米軍の「申し出」を否定していたが、態度を一変させた。自衛隊内にも必要性に疑問の声がある。日米による災害派遣での「実績づくり」は明らかだ。
 災害現場に今必要なのは大型輸送手段ではない。首相は被災地を訪れ、何を求めているのか被災者の肉声に耳を傾けるべきである。
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神戸新聞 2016/04/20
社説:届かぬ物資/被災者に行き渡る体制を


 熊本、大分両県を中心とする地震の被害が広がっている。死者は50人に迫り、倒壊した家屋や土砂崩れの現場で不明者の捜索が続く。
 余震は600回を超え、いつ収まるのか見通せない。避難者は両県で依然、約10万人に上る。
 屋外の車で寝泊まりしていた女性が18日、エコノミークラス症候群で亡くなった。同じ症状が疑われる患者は既に20人を超えるという。劣悪な環境による健康悪化が心配だ。
 避難生活のストレスに追い打ちをかけるのが、食料や水、衛生用品など生活必需品の不足である。
 全国から支援物資は集まり始めているのに、被災者の手元に十分に行き渡らない。炊き出しに長い列ができ、体力のない高齢者らには並ぶのをあきらめてしまう人もいる。
 幹線道路の通行止めなど交通網の寸断に加え、被災自治体の受け入れ態勢が機能していない。熊本県庁のロビーには支援物資が山積みになっているが、仕分けする職員が足りず、市町村や避難所への配布が追いつかない。
 支援物資の滞留は阪神・淡路大震災などでもみられた。被害が大きい自治体ほど救助や状況の把握に精いっぱいで、物資の分配にまで手が回らない。そうした事情は分かるが、早急に解決する必要がある。
 兵庫県をはじめ経験のある自治体が率先し、職員を派遣して手助けすべきだ。必要な物資と配布先の見極め、被災者への情報発信、ボランティアの受け入れと総合調整などノウハウを生かせる場面は多い。
 東日本大震災では、物資の仕分けを物流の専門業者に任せることで避難所への配送がスムーズになった。政府は今回、民間業者を活用し、近隣県の集荷拠点から避難所に直接送る方針だ。避難所では、被災者個々のニーズに寄り添うNPOやボランティアの力が必要になる。それぞれが得意分野を生かし、被災自治体の負担を少しでも軽くしたい。
 19日には、熊本空港が到着便の運航を再開し、九州自動車道の一部で緊急車両が通行できるようになった。交通網の回復とともに、滞っていた物資の流れは加速するだろう。
 ただ、被災者のニーズは刻一刻と変化する。国と自治体、民間が連携し、経験と教訓を生かして必要な支援を確実に届ける仕組みを整えねばならない。
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山陽新聞(2016年04月20日 07時14分 更新)
社説:地震と支援物資 被災地の状況を見極めて


 熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震で、被災者に支援物資が届きにくい状態が続いている。被災地以外に暮らす私たちは「何か支援をしたい」と思うが、まずは被災地の状況を正確に知る必要がある。
 「電話での問い合わせを極力ご遠慮頂けると大変助かります」。きのう、熊本市の大西一史市長がツイッターで発信した。全国から物資を送りたいなどの電話が相次ぎ、職員がその対応で全く動きが取れないと窮状を訴えた。
 被災地では何が起きているのだろうか。
 各避難所では物資が行き渡らず、その状況がメディアなどを通じて報じられている。現地で足りない物資を送りたいと考える人は多く、そうした善意は尊い。ただ、電話応対で被災地の自治体職員が忙殺され、本来の業務が滞っているなら本末転倒となろう。
 大手の宅配業者が熊本向けの配送を一時停止していることもあり、個人が物資を送るのは難しいのが現状だ。被災地ではない自治体が中継地として物資を受け入れる場合もあり、岡山県内では総社市が、水や紙おむつなど支援物資の種類を指定し、市役所に持ち込んだ場合に限って受け入れている。
 熊本市は個人による物資の配送は見合わせてほしいと呼び掛けており、代わりに義援金の受け付けを始めている。義援金での支援も私たちができることの一つだろう。
 実は政府や企業などからの支援物資は、熊本県内の集積拠点までは届いているようだ。自治体の人手不足で仕分けなどができず、そこから先の輸送が滞っている。道路が寸断され、通行可能なルートが渋滞して輸送に時間がかかるなどの問題もあるという。
 政府は18日から、福岡など近隣県に拠点を設けて仕分けをし、民間の配送業者によって熊本県内の避難所に直接輸送する運用を始めた。被災地の外に拠点を置くのは過去の震災でも成果が上がった手法という。物資不足をできるだけ早く解消してほしい。
 必要な物資が避難所まで届かない問題は、阪神大震災や東日本大震災などでも繰り返されてきた。岡山県で震災が起きたら対応できるだろうか。熊本県と岡山県は人口規模も似ている。震災は進行中だが、学び取れる教訓は直ちに生かしたい。
 岡山県によれば、大規模な震災が発生した場合の県内の物資集積拠点は昨年3月、国が指定して岡山ドーム(岡山市)とコンベックス岡山(同)の2カ所に決まった。だが、その先の輸送体制はまだ詰められていない。人員の確保なども含め、綿密なシミュレーションが急がれる。
 熊本県のケースでは県内2カ所の集積拠点のうち1カ所が被災して使えず、代わりに県庁1階ロビーに物資が山積みされた。集積拠点が被災した場合の対応や県外に集積拠点を置く場合も想定し、備えを進めるべきだろう。
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中国新聞 2016/4/20
社説:熊本の建物被害 耐震化を急ぐ意識持て


 すさまじい揺れと建物被害。熊本、大分を中心にした一連の地震は、活断層が引き起こす内陸直下型地震の恐ろしさを示した。震源の範囲の推移もかつてない動きを見せ、余震が収束する気配もない。
 今回の被害の特徴から見えてきたものは何か。一つは古い家屋に被害が集中していることだろう。何より最大の人的被害が出ている熊本県益城町(ましきまち)では、町内の半分に当たる約5400戸が損壊し、家屋などに押しつぶされての圧死や窒息が住民の死者の大半を占める。
 しかも14日夜に起きた震度7の地震の被害を免れたものの、家に戻ったために「本震」の被害に遭った人も目立つ。強い地震が続く中で建物のリスクを十分に把握していれば被害が軽減できたのでは、と悔やまれる。
 もう一つ見過ごせないのは、公共施設の損壊が相次いでいることだ。例えば最大で震度6強の揺れとなった宇土市の本庁舎は一部が押しつぶされて崩壊寸前になって使用を中止した。約50年前に建てられ、この震度に耐えられないと判断されていたが、財政上の理由で建て替えが先延ばしされてきたという。
 同じことは、熊本市の防災拠点施設に指定されていた市民病院でも起きた。天井の一部崩落などで使用不能となったのだ。こちらも耐震性に問題があるとして免震病棟を新設する予定だったが、資材高騰で延期となっていたようだ。
 結果論かもしれないが、非常時の拠点となるべき施設に関して地震への備えと危機感が欠けていたと言われても仕方あるまい。地震の巣である活断層は日本列島のあちこちに存在する。今回の被災地以外でも、住宅や公共施設の耐震化を急ぐ契機としなければならない。
 そのために、あらためて思い起こしたいのは1995年の阪神大震災の教訓である。
 古い木造の民家などに被害が集中したため、81年以前の建物には耐震診断を義務付ける耐震改修促進法が施行された。建物の耐震基準も強化された。しかし現状はどうか。熊本の被害をみても、現在の耐震基準を満たさない建物が目立つ。
 国全体では2020年までに住宅全体の耐震化率を95%とする目標が掲げられている。だが直近の耐震化率は全国で82%と推計され、阪神大震災などに続いて5年前に東日本大震災が起きたというのに、さほど改善されているとは思えない。
 原因の一つは費用だろう。柱や屋根などの改修には数百万円がかかる。古い家屋を耐震化するか悩む高齢者も多いようだ。
 だが家全体ではなく、寝室や居間だけを部分改修する工法もある。より安価に被害を防ぐ方法を国や自治体は周知してもらいたい。後押しするため、助成制度を手厚くできないかにも知恵を絞ってほしい。
 中国地方も意識を高めるべきだ。防災拠点となる公共施設などの耐震化率は広島県が全国最下位であり、他の4県もワースト10に入る。広島県は子どもの安全を守り、災害時に避難所などになる公立小中学校校舎などの耐震化率も最も低い。湯崎英彦知事が「耐震化を進めていけるよう国と連携したい」と述べたのは当然だ。大規模地震はどこで起きても不思議ではない。早急に行動へ移してほしい。
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愛媛新聞 2016年04月20日(水)
社説:熊本地震被災者支援 物資供給と避難環境改善を急げ


 熊本、大分両県を中心に相次ぐ地震の影響で、多くの住民が避難を余儀なくされている。20万人近くに達したピーク時からは減少したものの、昨日時点でも10万人以上に上った。余震は依然続いており、不安解消にはほど遠いのが現状だ。避難の長期化が避けられない中、必要な支援を確実に届けたい。
 まずは、実態把握を急がなければならない。今回の特徴は避難が分散している点にある。地域の集会所や学校など、自治体が避難所に指定していない施設への避難も相次いだ。一方、建物内を避けて自宅敷地内や公共施設の駐車場などで、自家用車の中で生活する住民も多い。支援が届かず被害が拡大する事態を招かぬよう、行政は民間とも連携して全力を尽くすべきだ。
 避難生活の環境改善にも努めたい。震災関連死の懸念はすでに現実となった。避難所で体調を崩した女性が急性心不全で死亡したほか、車中泊が原因とみられるエコノミークラス症候群での死者も確認された。2004年の新潟県中越地震では、死者68人のうち52人が避難中に亡くなった関連死とされる。対策に一刻の猶予もない。
 指定外の避難場所の中には、被災者が退去を迫られているところもある。とはいえ指定施設に移るのは容易ではない。余震による損壊の恐れなどから、建物が一部しか使えない避難所もあり、収容力には限りがある。
 安全に避難できる施設の確保が急務だ。地元だけでは足りないなら、隣県などにも協力を求める必要がある。国や自治体は公営住宅の提供や民間住宅の借り上げ、仮設住宅建設など手段を総動員しなければなるまい。同時に、トイレなどの衛生面やプライバシーの問題といった避難所が直面する課題や、水道など生活インフラの復旧にも最大限の取り組みを求めたい。
 震度7を観測した最初の地震から1週間近くがたっても、物資が十分行き渡らないのがもどかしい。熊本県によれば、水や食料、毛布、簡易トイレなどは全国から集まっている。ところが仕分けをする県側も、被災者のニーズをくみ取る市町村側も人手が足りず、作業が追いつかないという。大規模災害のたびに指摘されてきた行政組織の混乱が、繰り返された格好だ。
 被災地には、過去に震災を経験した兵庫県や新潟県、東北各県などから自治体職員やボランティア団体の関係者らが集まっている。物資の配給や避難所運営、被災者への情報発信などのノウハウを共有し、住民支援に生かしてもらいたい。
 庁舎損壊やコンピューターシステムの故障など、行政の機能不全が支援加速を妨げた事情は理解できる。交通網寸断の影響も大きかろう。しかし、多様な被害を想定して備えることこそが、東日本大震災などの教訓だったはずだ。南海トラフ地震の脅威に直面する愛媛をはじめ、全国の自治体は「命を守る」対策の拡充に努めねばなるまい。
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徳島新聞 2016年4月20日付
社説:熊本地震1週間 震災関連死を防ぎたい


 熊本地震の発生から、あすで1週間となる。
 被災地では余震が絶えず、避難者の健康が悪化するなど、さまざまな問題が浮かび上がっている。
 気象庁は、熊本、大分両県で活発な地震活動が続き、「いつまた大きな地震があるか分からない」としており、長期化する恐れがある。
 政府や自治体、関係機関は、引き続き行方不明者の捜索に全力を挙げるとともに、被災した人たちへの支援に一層力を注いでもらいたい。
 一時、約20万人に達した両県の避難者は、その後も10万人規模に上っている。死者・行方不明者は50人を超えた。
 懸念されるのは、震災関連死が増えることだ。17日には、熊本県阿蘇市の避難所にいた77歳の女性が急性心不全で亡くなった。初の関連死とみられている。
 避難所では不自由な生活を強いられている。硬い床に毛布を敷いただけでは、ゆっくりと体を休めることもできない。余震が頻発する中では、なおさらだろう。
 特に高齢者や幼児、障害・持病がある人にとっては、過酷に違いない。東日本大震災では、たくさんの高齢者らが環境の悪い避難所で体調を崩し、亡くなっている。
 医療や心のケアはもちろん、食事やトイレの用意、適度な運動など、災害弱者一人一人への目配りを欠かさず、悲劇を繰り返さないようにしなければならない。
 避難所では生活物資の不足が深刻化している。物資は熊本県庁や市町村に届いているが、仕分けが追い付かず、輸送が滞っているためだ。
 そこで政府は民間業者と連携し、近隣県の拠点で仕分けして直接輸送する運用を始めた。取り組みが奏功するよう期待したい。
 関連死では、エコノミークラス症候群の発症も心配だ。車中で寝泊まりする人が増え続けている中で、熊本市の51歳の女性が死亡した。病院に運ばれた人も多く、十分な注意が求められる。
 政府は避難所の代わりとして、熊本県内の民間賃貸住宅の借り上げやホテル・旅館での無料宿泊、公営住宅やフェリーの活用などを検討している。数は限られるが、早急に実施してほしい。
 被災者の受け入れに自治体も動きだした。徳島県が新制度の創設を打ち出したのをはじめ、兵庫県も検討している。余震の不安がない地域への遠隔避難は、とりわけ災害弱者には重要となる。こうした措置をさらに広げたい。
 今回、あらためて思い知らされたのは、住宅倒壊の恐ろしさだ。
 近い将来に高い確率で発生するとみられている南海トラフ巨大地震では、徳島県も全域が震度6強から7の激しい揺れに見舞われると予想されている。
 熊本地震は決して人ごとではない。住宅の耐震化など、必要な備えを着実に進めなければならない。
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