2016-04-18(Mon)

熊本地震 地震続発 社説等(2) 

余震への警戒緩めずに 長期避難と支援に備えを 避難所--物資確保に尽くしたい

<各紙社説・論説>
岩手日報)熊本地震の避難所 物資確保に尽くしたい(4/18)
河北新報)熊本地震被害拡大/震災の経験生かした支援を(4/18)
福島民報)【熊本地震被害拡大】全力で被災者支援を(4/18)
福井新聞)地震被害拡大 想定外を想定し人命守れ(4/18)
京都新聞)熊本の被害拡大  多発する余震に警戒を(4/18)

神戸新聞)被災者支援/助かった命を守るために(4/18)
山陽新聞)やまぬ地震 長期避難と支援に備えを(4/18)
中国新聞)熊本・大分の被災地支援 長引く避難にどう対応(4/18)
西日本新聞)被災者支援 苦難克服へ九州の底力を(4/18)
佐賀新聞)地震続発 余震への警戒緩めずに(4/18)




以下引用



岩手日報(2016.4.18)
社説:熊本地震避難所 物資確保に尽くしたい


 甚大な被害となった熊本地震は17日、熊本、大分両県の避難者が一時、19万人を超えた。多くの人が最初の地震発生から4日目の夜を体育館などで過ごした。
 家が全半壊した人は数千人に上るとみられる。続く余震が怖くて家に戻れない人も多い。激震のショックも癒えぬまま、避難生活は長引くことが心配される。
 震源が広範囲に移動し、被害が拡大する。それとともに避難者が増えていくのが今回の地震の特徴だ。避難所に入れず、車の中や野外で夜を明かす人も見られる。
 避難者の疲労の色は濃い。体調を崩す人が増えることも予想される。行政や関係機関は、心身のケアに万全を期してほしい。
 多くの避難所では、人々に食事や水が十分に行き渡っていない。毛布や下着など生活必需品の不足も目立つ。物資の提供には、東日本大震災で支援を受けた本県もできる限りのことをしたい。
 被害が広範囲に及ぶ今回の地震では、おにぎりを求めて店に行列ができるなど、避難していない人も生活に困っている。政府は食料の確保に全力を挙げてもらいたい。
 体育館や公民館の避難所が被災者であふれるのは、東日本大震災での岩手をはじめ災害で繰り返される光景だ。プライバシーのない空間で十分な睡眠もとれず、疲労とストレスがたまっていく。
 震災の避難所運営には多くの反省点が報告されている。その教訓を熊本に生かしてもらうとともに、本県でも常に点検が必要だろう。
 一つは介護が必要な高齢者、障害者、難病の人らへの対応がある。震災では多くの避難所でスペースに限りがあるため、健常者と同じ所に入らざるを得なかった。
 広島市で一昨年起きた土砂災害では、高齢者らに別室を割り当てるなどした。健康状態を悪化させないためにも配慮は欠かせない。
 もう一つは男女共同参画の点にある。震災では支援の下着や生理用品を男性が配ったり、女性だけが食事準備に当たる例が目立った。解決には避難所の運営員に複数の女性が入ることが望まれる。
 震災の教訓は関係者に共有され、熊本でもそれに沿った避難所運営が行われているとみられる。ただ今回は避難者が日を追って膨れ上がるため、現場の状況は厳しい。
 避難した人は、今後の生活に大きな不安を抱えている。数々の災害の経験を糧に、助け合いながら、少しでも心身が休まる場をつくりたい。
 家を失った人が多い今回の地震では、長期の避難生活が見込まれる。震災の時と同様、生活再建の局面ごとにきめ細かい対策が必要になろう。
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河北新報 2016年04月18日月曜日
社説:熊本地震被害拡大/震災の経験生かした支援を


 震度7という最大級の揺れになった地震が実は「前震」だとは、気象庁の専門家も全く予想外だったろう。
 熊本県で14日夜に起きた地震(マグニチュード=M=6.5)は活発な余震が続いていたが、16日未明にM7.3の地震が起きた。
 M6.5の約28時間後、その十数倍ものエネルギーを放出した「本震」が起きたことになる。さらに震源域が北東の方向へ一気に拡大し、阿蘇山を越えて大分県でも地震が起きた。
 これまでに例がないような特異な「連鎖タイプ」の様相を示しており、今後しばらくは最大限の警戒態勢で臨む必要がある。
 当面は連絡が取れない人たちの安否確認やインフラ復旧に全力を挙げなければならないが、被災者の生活支援も迫られている。
 14日の地震は日奈久(ひなぐ)断層帯で、16日の地震は布田川(ふたがわ)断層帯でそれぞれ横ずれが起きたと推測されているが、二つの断層帯は熊本市の東側で交わっているとみられる。地震はしばらく交差した辺りに集中していた。
 ところが16日にM7.3が起きると、数時間のうちに阿蘇山近辺や大分県でM5を超える地震が起きた。
 M7.3は以前からの「気象庁マグニチュード」で、1995年に起きた阪神大震災と同じ。だが、断層の破壊度合いを元に計算する「モーメントマグニチュード」は7.0になり、6.9の阪神大震災を上回っている。
 震源域に強烈な揺れをもたらしただけでなく、離れた別の断層に影響を与えた可能性も否定できないだろう。
 大分県から熊本県にかけては「別府-島原地溝帯」と呼ばれる地質構造が続いていると指摘されていた。その地溝帯の中で、地震活動が急激に活発化したとも言えるのではないか。
 さらに大局的に眺めれば、大分県から海を渡り、四国北部を通って関西地方にまで延びる長大な断層帯「中央構造線」もある。
 震源域が連鎖的に移動しないかどうかは今後の焦点の一つ。大分県の先だけでなく、逆方向になる熊本県内の海側などについても十分な注意を払わなければならない。
 被災地での地震活動はなお活発で、しばらくは成り行きを注視するしかないが、全国からの被災者支援も緊急課題になっている。
 東日本大震災に見舞われた東北は、5年前の経験を生かして、きめ細かな支援ができるはずだ。救援物資を送ることはもちろんだが、東日本大震災の教訓を生かした人的な支援にも積極的に乗り出す責任がある。
 宮城県はまず職員4人を派遣し、現地で救援物資の調整に当たらせるという。大震災の経験を生かし、効率的な保管や分配に貢献することが期待されているのではないか。
 東北の他の県も物資に限らず、人材を派遣するのが望ましい。可能なら短期間で交代させるのでなく、しばらく常駐させてもいい。
 九州の被災者の生活は日に日に厳しくなる。東北からの支援も待ったなしだ。
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福島民報  2016/04/18 08:52
論説:【熊本地震被害拡大】全力で被災者支援を


 熊本地震は被害が拡大し、これまでに40人以上が死亡した。九州の広い範囲で千人以上が重軽傷を負い、行方不明者も複数いる。不明者の発見、救出に全力を尽くしてほしい。避難している大勢の人たちの支援には国を挙げて取り組まなければならない。
 気象庁によると、熊本県から大分県にかけて活発な地震活動が続き、今後少なくとも1週間は最大震度6弱の地震への警戒が必要という。避難は長期にわたる恐れがある。
 熊本県内を中心に大規模な停電、断水、ガスの供給停止があり、九州全域で鉄道、道路、空港などに被害が出ている。ライフラインが断たれ、昼夜の別なく起きる地震のために避難者はろくに眠れず、疲れ切っている。屋外や車の中で過ごしている人たちも少なくない。食料と水の配給には長い列ができている。
 「これだけ余震が続くと、避難所も含め、もうどこが安全か分からない」「おにぎりをもらうために1時間並んだ」という住民の言葉を聞くと胸が締め付けられる。ライフラインの復旧と、十分な生活物資を迅速に被災地に送り届ける態勢づくりが急務だ。
 お年寄りや病人、妊婦、乳幼児らへの目配りも欠かせない。なかなか大きな声を上げられず、我慢を強いられている弱者の心の叫びに耳を澄ませ、周囲が支援の手を差し伸べることが大切だ。
 避難が長引けば、被災者の心身の状態はますます不安定になる。東日本大震災の地震と津波被害に加え、東京電力福島第一原発事故の追い打ちを受けた本県の県民は「福島が復興から取り残されるのではないか」「忘れ去られてしまうのでは」との不安と心細さにさいなまれた。救ってくれたのは、全国から寄せられた温かい応援だった。
 痛みと、それを和らげる優しさの重みを知るわれわれ県民が、今度は九州の被災者の支えになる時だ。募金に協力する、支援物資を提供する、現地の知人にお見舞いの気持ちを伝える、これから受け入れが始まるであろうボランティアに参加する…。一人一人ができる範囲で実行することが、被災者への力強い連帯のメッセージとなる。
 県内からは福島医大の災害派遣医療チームが医療活動、陸上自衛隊員が人命救助、県職員は現地の避難県民の安否確認などのため熊本に入って活動を展開している。市町村や民間にも支援物資の発送、機材提供、イベント会場での募金呼び掛けなど支援の輪が広がっている。官民が力を合わせ、被災地に福島の思いを届けたい。(佐藤 研一)
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福井新聞 (2016年4月18日午前7時25分)
論説:地震被害拡大 想定外を想定し人命守れ


 度重なる余震。「本震」のはずが「前震」だったという異常な事態。避難住民は不安で眠れない。誰もが「もう、いいかげんに収まってほしい」と願うが、予測を覆す自然の脅威との闘いは長期戦になってきた。命と生活を守りたい。
 熊本地震は終息するどころか広範囲に広がり、被害も大分県に拡大している。14日夜、熊本県で発生したマグニチュード(M)6・5、最大震度7の地震に続き、16日未明にはM7・3、震度6強の地震が発生した。7・3は1995年の阪神大震災に匹敵する規模だ。気象庁は、これが本震で14日の地震が前震との見解を示した。
 本震が後に来ることは珍しいことではないが、同庁によると、内陸型地震でM6・5級の前震後、さらなる大きな本震に見舞われた前例はないという。
 熊本・阿蘇・大分の3地域は大分県別府湾から長崎県島原湾まで活断層が連なる「別府―島原地溝帯」がまたがり、地溝帯の周辺に位置する断層帯同士が刺激し合う状況。今回の同時多発地震で震源域が拡大、新たな地震発生の可能性を指摘する専門家もいる。
 予測できない規模の地震が足元で起きている恐怖。それも「想定外」の6強、6弱の余震が連続して発生している。地震の回数が増えれば建物の倒壊リスクが増していく。常識的な感覚だと、余震は次第に収まると楽観したくなるものだ。一度は外に避難した住民が「大丈夫だろう」と住み慣れた家に戻り、一瞬の倒壊に巻き込まれてしまう。被災地ではそんな悲劇が起きていたのではないか。
 最初の地震からM3・5以上の発生回数は500回近くに及び、2004年の新潟県中越地震を上回る最多ペース。しかも、これほど震源の分布が広域化するケースは異例だ。
 熊本だけでなく、大分県でも家屋の倒壊や火災などが起き被害が大幅に拡大。死者は当初の9人からわずか3日間で42人まで増えた。避難者も熊本、大分両県で最大20万人近くまで膨れ上がった。なお安否確認が取れない住民が複数いる。余震に警戒しながら一刻も早い救助を願う。
 震源が浅く激しい揺れとなり、各地で家屋の倒壊や道路の陥没、土砂崩れなどが相次ぎ、ライフラインが寸断された。防災の拠点となるべき市役所や病院の中には、耐震対策の遅れで倒壊の恐れが出た例もある。
 政府は被害の全容把握と被災者支援を急ぎ、迅速に激甚災害指定するべきだ。国と自治体、関係機関がよほど連携を密にしなければ、対策が後手に回る可能性もある。全国からの救援は拡充されつつあるが、食料などの生活物資、ガソリン不足が深刻化してきた。
 避難生活は長期化が予想される。安全な避難先の確保は無論のこと、プライバシーを保つのが困難な場所ではストレスや先々の不安感も重なる。狭い空間の生活で「エコノミークラス症候群」にかかることも心配だ。体調管理の支援に万全を期してもらいたい。
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[京都新聞 2016年04月18日掲載]
社説:熊本の被害拡大  多発する余震に警戒を


 熊本県を中心に相次ぐ地震は、16日未明から震度6強の地震が各地で発生し、被害が拡大した。
 気象庁は、14日に震度7を記録したマグニチュード(M)6・5の地震を「前震」、16日に震度6強(M7・3)を記録した地震を「本震」とした。過去100年間に日本の内陸で起きたM6・5前後の地震は、大きな地震の後に小さな地震が続く本震-余震型であり、気象庁は震度6程度の余震への警戒を呼びかけていたものの、これほど大きな地震が続くとは、「想定外」だったという。
 これまでに死者は42人に達し、けが人は千人を超えた。震度7を記録した益城町のほか、西原村では1400棟余りの家屋が全半壊した。南阿蘇村では大規模な土砂崩れが発生して生き埋めになった人もおり、行方不明者の捜索が続いている。17日朝にかけての雨で地盤が緩んでいる可能性もある。二次災害に注意が必要だ。これ以上、人的被害が広がらないよう、倒れかけた建物に不用意に近づかないなど気をつけてほしい。
 一連の地震活動には多数の活断層が関連している。気象庁によると、当初は「日奈久断層帯」に集中していたが、隣接する「布田川断層帯」へ広がり、さらに、大分県では「別府-万年山断層帯」が地震を引き起こしたとみられる。
 震源は熊本から阿蘇、大分へと北東方向にほぼ直線上に並ぶ。関連は不明だが、専門家によると、大きな地震が起きると、地殻変動や地震波により周辺で地震が誘発されることがあるという。
 熊本-大分の延長線上には中央構造線断層帯があり、四国電力伊方原発がある愛媛県の佐田岬半島と並走する。地震の連鎖が続くかは分からないが、鹿児島県の九州電力川内原発とともに原発の安全には万全を期してほしい。
 被害の拡大に伴い、熊本県内で避難した人は一時、約20万人にまで増えた。政府は自衛隊の派遣規模を拡充し、救出活動や物資、医療の提供にあたっている。全国の自治体からも物資の提供、医療関係者の派遣などが続く。近年、各地で相次いだ災害の経験を生かし、的確な支援にあたってほしい。
 被災地では自家用車で寝泊まりする人もいる。新潟県中越地震や広島の土砂災害では、長時間同じ姿勢を強いられて血栓ができ、健康を害する「エコノミークラス症候群」が多発した。避難所の環境整備や健康指導も求められよう。避難は長期化する可能性もある。被災地を全力で支えたい。
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神戸新聞 2016/04/18
社説:被災者支援/助かった命を守るために


 熊本県などでこれまでにない頻度で地震が続いている。現地では一時避難者が20万人に上り、今も多くの人が自宅に戻れないでいる。
 繰り返される揺れによって建物や地盤がもろくなっており、警戒が必要だ。極度の緊張で、被災者の心と体も限界を迎えているに違いない。
 急がれるのは捜索と救出の活動である。もちろん難を逃れた人たちの命を守る支援も欠かせない。
 被災地では、物資が届きにくい状況が続く。政府は70万食の食料を届けることを表明し、被災者の生活支援チームを発足させた。さらに自衛隊などの態勢を3万人規模に拡充して救出活動などに当たっている。
 熊本の地元紙、熊本日日新聞が生活情報の欄を設けている。分断された交通網の情報を伝える「通れた道マップ」、水やおむつ、食料の配布、車いすの避難者を受け入れる施設や外国人向けの緊急避難所などの情報を、幅広く伝える。デマが飛び交う中、しっかりした情報を確実に届けることは大切だ。
 こうした動きを加速させて必要な物と情報を届けることで、被災者に「自分たちは孤立していない」と実感してもらえるよう努めたい。
 活発な地震活動を受け、車の中で寝泊まりする人は多い。思い起こされるのは、やはり余震が続いた新潟県中越地震の被災地だ。揺れを恐れて車で過ごす人が増えた結果、足の血流が滞って血栓ができる肺血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)で亡くなる人が相次いだ。
 震災関連死を出さないためにも、兵庫などから被災地入りした医療や消防、警察などのチームは経験を生かした活動を展開してほしい。
 ボランティア団体の先行隊などによると、高齢者や障害者、入院患者、乳児を抱えた母親たちへの支援のニーズが高まっている。本格的な医療活動が難しいことを受け、国土交通省が透析患者らを民間フェリーで長崎へ搬送することを決めた。こうした取り組みを進めていきたい。
 関西には九州の出身者が多く、結びつきも強い。激しい揺れが今後も続くようなら、被災者を迎え入れることも考えるべきだろう。
 昨日、政府は被災地の激甚災害指定の検討を明らかにした。今回の地震はこれまでと違う様相で、余震などの予測がつきにくい。先手、先手で対策を講じる必要がある。
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山陽新聞 (2016年04月18日 08時00分 更新) 
社説:やまぬ地震 長期避難と支援に備えを


この揺れはいつまで続くのか、見当がつかない。熊本県を中心にした地震活動が依然続いている。気象庁によると、地震発生回数は2004年の新潟県中越地震を上回り、内陸や沿岸部で起きた地震で最多ペースになっている。
 時間がたつにつれ、明らかになる被害は増えている。行方不明者の捜索を急ぎ、一人でも多くの人が救出されるよう祈らずにはいられない。
 自衛隊や警察、消防は懸命の作業を続けている。にもかかわらず、余震がやまない。土砂崩れなどの二次災害に巻き込まれる恐れが、被害状況の把握や捜索、救出作業を妨げていることが恨めしい。
 避難した人は熊本、大分両県で最大19万人を超えた。避難所のスペースや食料など救援物資の不足も深刻化している。支援ニーズの把握や配給態勢の整備が急がれる。同時に、慣れない避難生活が長期化することも覚悟しなければならないだろう。
 中越地震では、死者68人のうち52人が避難中に亡くなった震災関連死とされる。狭い車中泊を続けるなどして血管が詰まるエコノミークラス症候群や、不自由な避難所暮らしで体調を崩した高齢者が多かった。
 いつ再び大きな揺れに襲われるかもしれず、避難者は気が休まる間もないだろう。けがの手当てだけでなく、心理ケアも含めた全身の体調管理が大切だ。
 避難者は自分の置かれた状況を理解することで、不安を減らすことができる。きちんとした情報を提供することも重要である。
 気象庁は、地震の活動範囲が北東に移動していると指摘していた。だが、地震を引き起こしたとされる断層の南西部でも余震が活発化しているとして警戒を強めている。
 避難はこれまで、自治体ごとに行ってきたが、地震の活動範囲が広がり、避難も長引く中、市町村内では難しいケースもあろう。自治体が連携し、居住地を離れる広域避難も検討してはどうか。
 今回の地震で驚いたのは、役所や医療機関が損壊し、機能を十分果たせなくなっている地域が出たことだ。
 熊本県宇土市役所は築50年以上の市役所が半壊し、駐車場に張ったテントで災害対策本部が仕事をしている。熊本市民病院(熊本市)では天井が損傷し、入院患者150人を転院させた。岡山、広島県などは災害対応の拠点となる施設の耐震化が遅れている。備えをいま一度確認することが求められる。
 岡山県内からも、災害派遣医療チーム(DMAT)や緊急消防援助隊員、県警の緊急災害警備隊員らが次々と現地入りし、捜索活動や避難者の支援に当たっている。
 被災者の心に寄り添った活動を期待したい。一方で、支援の長期化にも備えねばなるまい。交代の要員や救援物資を整えるなど、後方支援も欠かせない。
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中国新聞 2016/4/18
社説:熊本・大分の被災地支援 長引く避難にどう対応


 揺れが断続的に襲ってくる。どんなに不安だろう。熊本と大分県を中心に相次いでいる地震のため、またも多くの人が避難所で長い夜を過ごした。
 地震の発生回数は1995年以降に内陸や沿岸で起きた地震として最多のペースというから驚く。しかもM6・5の地震の後にM7・3の本震が起きるという経験のない事態であり、先も見えない。熊本などでは「震度6弱の余震が、1週間程度は考えられる」ともいわれる。避難生活は長引きそうだ。
 不安と混乱の中にある被災者をサポートしようと、政府はきのう生活支援チームを発足させた。被災市町村に政府職員を派遣するという。まずは現地のニーズの把握を急いでほしい。
 水や電気などのライフラインがダメージを受けたままだ。物流が滞り、スーパーやコンビニでも品薄の状態が続いている。そうした情報を受けて、全国各地から救援物資が熊本市などに送られている。しかし、どこで何を必要としているのかを把握しきれず、物資を運ぶ態勢も整っていないようだ。
 各地の避難所でさえ、水や食料が足りない所が少なくないという。特に震度7を観測した熊本県益城町(ましきまち)の体育館にはきのうの時点で千人の避難者が集中し、支援物資が追い付かず困っていると伝えられた。赤ちゃんのミルクやおむつ、下着やカイロなども足りないという。
 政府は被災地の店頭に70万食を届けるというが、住民の手元に必要なものが行き渡るまで、目配りしてもらいたい。
 さらに大切なのは健康への配慮である。中でも気になるのは、車の中で夜を明かす避難者が多いことだ。建物の倒壊を恐れてのことかもしれないが、狭い場所で同じ姿勢を続けると、静脈血栓塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)となるリスクがある。静脈に血栓ができて死亡にも至る怖い病気であり、東日本大震災などでも被害が出ている。
 そうした病気を含め、避難生活のストレスや持病の悪化などで体調を崩して亡くなる「震災関連死」は何としても防がなくてはならない。新潟県中越地震では死者68人のうち関連死が52人と極めて多かったことを忘れてはなるまい。被災者が健康を保てるよう病を防ぐための知識をしっかり発信し、避難所などの環境を整えるべきである。
 必要な公的支援は多岐にわたる。国だけでなく自治体にできることもたくさんあるだろう。中国地方からも消防や給水などの任務で多くの自治体職員が被災地に入っている。広島市民病院や福山市民病院などからも災害派遣医療チーム(DMAT)が派遣されている。被災した自治体との連携を深め、小回りを利かせた動きに期待したい。
 民間でも、ボランティアで駆け付けたいと思う人は少なくないだろう。ただ、受け入れの拠点となる熊本県社会福祉協議会などの呼び掛けに、冷静に耳を傾けたい。きのうの時点では、余震や二次災害の恐れなどがあるため、ボランティアとして個人で現地に向かうのはまだ控えるよう促していたからだ。
 余震が収まってくれば、がれきの片付けといった復旧作業などが必要とされる場はたくさん出てくるだろう。現地で何を求められるのかを見極め、動く心構えをしておきたい。
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=2016/04/18付 西日本新聞朝刊=
社説:被災者支援 苦難克服へ九州の底力を


2016年04月18日 10時35分
 熊本地震の発生からきょう5日目を迎える。避難者は熊本、大分両県で一時、最大20万人近くに及んだ。九州では空前の規模と言っていいだろう。被災現場では懸命の救命・救助活動が続く。
 気象庁によると、大きな余震は少なくとも今週中まで続くとみられる。依然、厳重な警戒が必要であることは言うまでもない。
 被災者の避難生活は長引くことが予想される。まずは食料や生活用品などの物資不足を一刻も早く解消したい。
 応急対策として政府は17日、民間企業と協力し、同日中に70万食が現地に届くよう手配した。救援物資だけでなく、続発する余震で心的外傷後ストレス障害(PTSD)の予兆はないかなど心のケアも欠かせない。被災者のニーズを具体的に把握し、きめ細かな支援を急ぐべきだ。
 ▼ストレスはピークに
 倒壊家屋に取り残された人はいないか。被災地では17日も、大掛かりな捜索が行われた。
 14日夜に最大震度7の揺れが襲った熊本県益城町では17日夜、災害で救助を待つ人の生存率が急激に低下するとされる「72時間」が経過した。
 もちろん、72時間を超えても生存者が救出された例は数多い。救出を待っている人がいないか、絶対にあきらめてはいけない。
 これまでの死者42人の大半が震源の活断層帯に沿う倒壊家屋の下などで発見されている。救命活動に全力を挙げたい。
 各地の避難所では食料や水の配給に多くの人が列をつくり、何時間も順番を待った。医薬品、洗面用具、生理用品、紙おむつなど必需品は、現地のスーパーやコンビニエンスストアでは品薄が続いているという。
 救援物資を満載して全国から現地に向かうトラックは道路網の寸断で到着が滞りがちだ。「命をつなぐ」と言っても過言ではない幹線道路の復旧を急ぎたい。
 避難所では老若男女が仕切り板のない場所で共同生活しており、ストレスはピークを迎えつつある。特にお年寄りや乳幼児など、いわゆる災害弱者のケアに最優先で取り組みたい。
 ▼避難長期化も見据えて
 一連の熊本地震では発生の14日夜から震度1以上の地震が17日午後の時点で450回を超えた。
 まさに昼夜を問わず、大小の揺れに見舞われる被災者の心労はいかばかりか。
 足元の大地が頻繁に揺れ動く恐怖に、「いつになったら終息するのか」と先行きが確かに見通せない不安が重なる。
 阪神大震災では被災者の1割が1年後も睡眠障害などの不調を訴えた。東日本大震災では同じ1年後に「何もやる気が起きない」とアンケートに答える人もいた。
 後になって恐怖体験が繰り返しよみがえるPTSD対策とともに心のケアが大切なのは言うまでもない。
 車に寝泊まりしている人は水分不足で車中泊を続けるなどして血管が詰まる肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)に注意が必要だ。
 既に専門知識を持つ災害派遣医療チーム(DMAT)や隣県の医師、看護師が現地に入り、活動しているのは心強い。
 職場の休業などで雇用や収入に不安を抱いている被災者は多いはずだ。行政の的確な情報提供を通じて、住まいを失った人への支援金給付のほか、教育から医療まで多様な被災者支援制度の十分な活用を促したい。
 長期化する避難生活を想定すれば、余震が続く避難所から地震のない遠方に被災者を移す「広域避難」も検討課題ではないか。
 住み慣れた地元から離れ難い気持ちは十分理解できるが、恐怖心の中で過ごすよりはよい-と専門家は指摘している。
 観光庁は熊本県内のホテルや旅館に対し、被災者の受け入れを要請している。可能な限り実現を目指してほしい。
 義援金の募金活動や救援物資の呼び掛けなど、被災者支援の取り組みが九州各地で始まった。ボランティアの現地受け入れと活動も本格化するだろう。
 筆舌に尽くし難い苦難に直面する被災者への物心両面の支援、そして被災地の復旧と復興に向け九州全体が連帯して、その底力を発揮していきたい。
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佐賀新聞 2016年04月18日 08時51分
論説:地震続発 余震への警戒緩めずに


 連日の緊急地震速報に、不安が募る。いつになったら終息するのか。熊本県益城町で震度7を記録した14日夜の地震から断続的に強い揺れが続き、16日未明には震度6強、マグニチュード7・3の地震が発生した。余震の範囲も広域になった。
 九州で震度7を記録したのは観測史上初めて。佐賀県内では14日夜に震度4、16日未明に震度5強を記録した。気象庁は14日の地震が「前震」、16日が「本震」との見解を示している。今後も大きな揺れが続く可能性があり、警戒を緩めず、冷静な対応に努めたい。
 熊本県では、一連の地震で多くの死傷者が出ている。15日に益城町に入った本社記者は、倒壊した家屋、波打つ道路、途方に暮れる被災者の姿を目の当たりにした。益城町は被害が集中しており、局地的に激しい揺れを引き起こす内陸直下型地震の怖さを感じたという。
 余震による揺れは、九州全域から中国、四国まで広がった。人命を最優先にしながら、被災者の支援、水道や電気などのライフライン復旧に全力を挙げたい。
 熊本県では、一時18万人以上が避難した。先の見えない避難生活に、体力的にも精神的にも消耗しているだろう。過去の大規模災害の教訓を生かし、メンタルケアなどを含めたきめ細かな支援が必要だ。佐賀善意銀行と佐賀新聞社は義援金の受け付けを始めたが、支援の輪も広げていきたい。
 佐賀県内は今のところ熊本県ほど大きな被害はないが、転倒して骨折するなど、けが人も出ている。神社の鳥居が倒れたり、家屋の壁がはがれ落ちたりする被害もあり、今後は地盤が緩んだ箇所の土砂災害も懸念される。
 「佐賀は地震が少ない」。そんな安心感があった。過去のデータをみても、1923~2015年に発生した震度1以上の有感地震回数は、佐賀県が459回で全国最少。東京2万8900回、大阪1106回、福岡1058回など主要都市と比べても格段に少ない。過去10年をみても100回未満は佐賀県だけ。これまで地震が少なかったのは確かで、それだけに今回の驚きと不安は大きい。
 佐賀県内にも、大規模地震を引き起こす恐れがある活断層が走っている。県地域防災計画によると、県内と周辺地域には14の活断層があり、このうち五つの断層が佐賀県に大きな影響を及ぼす可能性があるとされている。想定する最大震度は7。発生した場合は多くの死傷者、建物被害が想定されており、「これまで大丈夫だったから」と油断はできない。
 一連の地震が収まるまでは警戒を緩めず、備えを続けたい。そして、地震列島に暮らしているということを、あらためて胸に刻んでおきたい。(大隈知彦)
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