2016-05-03(Tue)

熊本地震 新耐震基準の欠陥 「地震地域係数」0・7~0・9 

震度7 2度目は想定されず/低い九州の地域係数 36年間見直しなし 

◇「耐震」係数、九州なぜ低い 36年間見直しなし
----熊本地震で被害を受けた建物は約4万6千棟。木造の一戸建て住宅が目立つが、鉄筋コンクリート(RC)のマンションやビルなども少なくない。こうしたRCなどの建物を設計する際、建築基準法で要求される耐震性は地域ごとに異なり、関東などと比べて九州は1~2割低く設定されている。

九州は歴史的に大地震が少なく、耐震性をそれほど強化する必要がないというのが理由だ。震度6弱を記録した2005年の福岡沖地震、観測史上初めて震度7を2度記録した今回を踏まえ、見直しが必要と専門家は指摘する。
 
----地域ごとの違いは「地震地域係数」と呼ばれ、市町村ごとに指定。国土交通省によると、過去数百年間の地震の規模や頻度、被害を基に設定された。地震の少ない地域は耐震性を低減してもよいとの考えに基づく。係数が低いほど、構造計算で設定する「地震力」は小さく、耐震性も低くなる。
 
関東や太平洋沿岸の東北地方などが1・0なのに対し、九州の大半は0・9~0・8。熊本市の大部分や熊本県益城町、大分市、宮崎県全域は0・9で、福岡、佐賀、長崎3県全域や市役所が損壊した熊本県宇土市などは0・8だ。
(西日本新聞)


熊本地震でなぜ損壊多発 「1981年耐震基準」の落とし穴
----震度7を2回も記録した熊本地震では、耐震補強したばかりの公立小中学校や役所が次々と損傷した。

----1981年に改正された建築基準法に基づく国の耐震基準は、「震度5強の地震でほとんど損傷しない」「震度6強~7の巨大地震でも倒壊や崩壊はしない」ことを目安としている。基準を満たしているはずの建物が続々と半壊、倒壊の被害に遭っているのはなぜなのか――。東京理科大の北村春幸教授(建築構造学)に説明してもらった。

<2度目は想定されず>
新耐震基準は1度目の地震に耐えることを前提としており、何度も大きな地震が続くことは想定していません。ところが、大地震は2度目が来るとボディーブローのように柱や梁にダメージを与え、被害が大きくなります。最初の地震で損傷し強度が落ちることによって、むち打つように大きく揺れたり、壊れやすくなってしまうのです」
 
新基準は「1度目を耐え、その間に補修し2度目の大地震に備えるため」の法改正だったという。05年の耐震偽装事件をきっかけに、建築確認や検査の厳格化を義務づける改正建築基準法も07年に施行されたが、1981年の新基準そのものが厳格化されたわけではない。築浅の物件だったとしても万全とはいえないという。
(日刊ゲンダイ)




以下引用

=2016/05/03付 西日本新聞朝刊=
「耐震」係数、九州なぜ低い 36年間見直しなし [熊本県]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/242899
160503西日本)九州の地震地域係数
 熊本地震で被害を受けた建物は約4万6千棟。木造の一戸建て住宅が目立つが、鉄筋コンクリート(RC)のマンションやビルなども少なくない。こうしたRCなどの建物を設計する際、建築基準法で要求される耐震性は地域ごとに異なり、関東などと比べて九州は1~2割低く設定されている。九州は歴史的に大地震が少なく、耐震性をそれほど強化する必要がないというのが理由だ。震度6弱を記録した2005年の福岡沖地震、観測史上初めて震度7を2度記録した今回を踏まえ、見直しが必要と専門家は指摘する。
 熊本地震では、耐震性との因果関係は不明だが、比較的新しいマンションの外壁が崩落して住民が避難したり、商業ビルに亀裂が入ったりした。
 地域ごとの違いは「地震地域係数」と呼ばれ、市町村ごとに指定。国土交通省によると、過去数百年間の地震の規模や頻度、被害を基に設定された。地震の少ない地域は耐震性を低減してもよいとの考えに基づく。係数が低いほど、構造計算で設定する「地震力」は小さく、耐震性も低くなる。
 関東や太平洋沿岸の東北地方などが1・0なのに対し、九州の大半は0・9~0・8。熊本市の大部分や熊本県益城町、大分市、宮崎県全域は0・9で、福岡、佐賀、長崎3県全域や市役所が損壊した熊本県宇土市などは0・8だ。
 0・8や0・9の地域でも、福岡沖地震のほか00年の鳥取県西部地震(震度6強)、04年の新潟県中越地震(震度7)と、規模の大きな地震は起こっている。専門家は、マグニチュード6クラスの地震は全国どこでも起きる可能性があるとする。だが、係数は1980年の改定以来、一度も改められていない。
 地域係数が低いとどうなるのか。構造設計に詳しい福岡市の1級建築士(57)は「九州では東京と比べ、同じ形状のマンションでも鉄筋の数を少なくできるのはよく知られた話だ」と話す。コスト重視のため「福岡県内で、0・9以上で建てるよう注文する建築主はほとんどいない」という。
 愛媛大の森伸一郎准教授(地震工学)は「福岡沖地震の後、係数見直しの議論になったが見送られた。熊本地震であらためて検証が必要だ」と指摘。九州大の梶田幸秀准教授(構造工学)は「係数を残しても構わないが、定期的な見直しは必要」と提案する。
 国交省建築指導課は「熊本地震で損壊した建物を調査し、その理由を把握したい。耐震基準だけでなく、地盤やほかの理由もあり得る。それを踏まえ、地域係数の見直しが必要かどうか検討したい」としている。
 ◆地震地域係数
 鉄筋コンクリート造りや3階建て以上の木造などを建てる際に義務付けられている構造計算で用いる数値。1952年に導入され、80年に改定された。一般的な2階建て木造住宅は構造計算を義務付けられておらず、地域差はない。


日刊ゲンダイ2016年4月27日
熊本地震でなぜ損壊多発 「1981年耐震基準」の落とし穴
 震度7を2回も記録した熊本地震では、耐震補強したばかりの公立小中学校や役所が次々と損傷した。
 2013年度に外付けフレームで補強したばかりの熊本県益城町役場も、今月16日の「本震」で亀裂が入り、倒壊の恐れで立ち入り禁止となった。
 1981年に改正された建築基準法に基づく国の耐震基準は、「震度5強の地震でほとんど損傷しない」「震度6強~7の巨大地震でも倒壊や崩壊はしない」ことを目安としている。基準を満たしているはずの建物が続々と半壊、倒壊の被害に遭っているのはなぜなのか――。東京理科大の北村春幸教授(建築構造学)に説明してもらった。
■2度目は想定されず
新耐震基準は1度目の地震に耐えることを前提としており、何度も大きな地震が続くことは想定していません。ところが、大地震は2度目が来るとボディーブローのように柱や梁にダメージを与え、被害が大きくなります。最初の地震で損傷し強度が落ちることによって、むち打つように大きく揺れたり、壊れやすくなってしまうのです」
 新基準は「1度目を耐え、その間に補修し2度目の大地震に備えるため」の法改正だったという。05年の耐震偽装事件をきっかけに、建築確認や検査の厳格化を義務づける改正建築基準法も07年に施行されたが、1981年の新基準そのものが厳格化されたわけではない。築浅の物件だったとしても万全とはいえないという。
「1981年の耐震基準はあくまで最低限の基準と考えた方がいいでしょう。これからマンションを購入しようとする人は、なるべく免震や制震の対策をした物件を選んだ方がいいかもしれません」(北村春幸氏)
 全国には新耐震基準を満たしていない住宅が約900万戸あるが、新基準をクリアしていたとしても「すべて安心」とは言い切れないようだ。ネットで検索すると、「免震」や「制震」のリフォームを得意とする建築業者もある。カネはかかるが地震保険と並行して検討してみてもいいかもしれない。


SAFETY JAPAN 2016年 4月18日
細野透 「危ない建築」と「安全な建築」の境目を分けるもの
【熊本地震】東海大の学生アパートを倒壊させた「地域係数Zの悲劇」
建築&住宅ジャーナリスト 細野透
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/sj/15/150245/041800042/
大地震の度に指摘されてきた建築基準法の欠陥
 「熊本地震」では多数の被害者が出ているが、特に心が痛んだのは、東海大学阿蘇キャンパス近くの学生向けアパート5棟が倒壊して、何名かの学生が死傷したことだった。私は、悲劇を招いた一因は、建築基準法が定める「地震地域係数Z」に欠陥があったためと推測している。
 この欠陥は、震度7クラスの大地震、すなわち1995年の阪神・淡路大震災、2007年の新潟県中越地震、2011年の東日本大震災などの度に繰り返し指摘されてきた。しかし、建築基準法を管轄する国土交通省住宅局建築指導課は、長期間にわたってこの欠陥を放置し続けてきた。
 そして、4月14日に発生した震度7の前震(M6.5)、16日に発生した震度6強の本震(M7.3)に襲われた地域は、「地域係数Z」の欠陥によって、不運にも建物被害が増大したと推測される。
 まず産業技術研究所「活断層データベース」のデータを引用して、地震の概要を押さえておこう。
 1枚目は九州各地を走る活断層の図である。今回の地震では、熊本市の東部から南部にかけて走る、「布田川断層帯」および「日奈久断層帯」が主な震源になっている。
 2枚目は前震、本震、余震の主な震源地である。このうち前震は、図では速報値のM6.4となっているが、その後M6.5と修正された。また本震は、図では速報値のM7.1となっているが、その後M7.3と修正された (18日7時にダウンロード)。

熊本県の地震地域係数Zは震度7での倒壊を「容認」
 さて、「地震地域係数Z」とは何か。建物を新築する場合、建築基準法が定める「新耐震基準」に従って耐震設計を行う。そのとき、地震によって建物に作用する「地震力」を、次の式で計算する。
「地震力」=「地震地域係数Z」×「標準地震力」
 ここで、「標準地震力」とは、「震度6強から弱い震度7程度の地震力」を意味する。また「地域地震係数Z」には次のような意味がある。
(1) 地域係数Zが「1.0」であれば、作用する地震力は、「震度6強~弱い震度7の地震力」になる
(2) 地域係数Zが「1.2」であれば、作用する地震力は、「一般的な震度7の地震力」になる
(3) 地域係数Zが「0.8」であれば、作用する地震力は、「弱い震度6強の地震力」になる
 このように、地域係数Z「1.0」を境目にして、「1.0未満」の場合には建物は弱い地震にしか耐えないし、「1.0以上」の場合には建物は強い地震にも耐えるという設計方法になっている。
 さらに詳しく分析する。
【ケース1──地域係数Zが0.9または0.8の熊本県】
 地域係数Zが「0.8」であれば、建物は弱い震度6強の地震にしか耐えないし、地域係数Zが「0.9」であれば、建物は震度6強の地震にしか耐えない。
 すなわち、震度7での倒壊を「容認」しているのに等しい。また、震度6強の地震であっても、余震が繰り返して発生すると、建物は倒壊する恐れがある。
 建築専門家以外は知らないと思われるが、熊本地震に襲われている熊本県や大分県は、実は地域係数Zが0.9または0.8なのである。
【ケース2──地域係数Zが1.0以上の場合】
 建築基準法とは別に住宅品確法という法律がある。この品確法では地域係数Zの数値は1.0、1.25、1.5の3種類に分かれている。
 (1) 「耐震等級1(建築基準法と同程度の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.0とする
 (2) 「耐震等級2(建築基準法の1.25倍の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.25とする
 (3) 「耐震等級3(建築基準法の1.5倍の強度)」を目標にする場合、係数Zを1.5とする
 ひと口に震度7といっても、弱い震度7、普通の震度7、強い震度7などに分かれている。強い「震度7」に確実に耐えようとする場合、すなわち震度7の本震に耐え、さらに震度6強や震度6弱などの余震群に耐えようと思うなら、地域係数Zは1.0以上が必要なのである。
 実際問題として、東海地震の発生が予想されている静岡県は、建築基準法の規定では不十分として、「静岡県内に建設される建物に関しては、地震地域係数Zを1.2とする」独自の規準を導入している。
【ケース3──地域係数Zが0.7の沖縄県】
 地域係数Zが「0.7」であれば、建物は震度6弱の地震でも耐えられないと思われる。換言すれば、建築基準法は、沖縄県の建物は震度6弱で倒壊してもいいと「容認」しているのである。
 建築基準法は第1条で次のように述べている。「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」。
 しかし地域係数Zが「0.7」なら、震度6弱に耐えられないかもしれないので、「最低の基準」以下ということになる。これでは沖縄県を差別しているのに等しいのでないか。

地域係数Zのお手本は「河角マップ」
 地域係数Zは、1952年(昭和27年)7月25日の「建設省告示第1074号」で、初めて定義された。その根拠になったのは、河角廣博士が日本建築学会の機関誌『建築雑誌』(1951年4月20日号)に発表した、論文「わが國における地震危險度の分布」に添付したいわゆる「河角マップ」だった。
 河角博士はまず「日本古来の大地震分布図」を作成した。地震の震源とそのエネルギー(マグニチュード)を、日本地図に書き込んだのである。
 次に、今後も過去と同様のペースで地震活動が生じると仮定して、各地域ごとにA「75年間」、B「100年間」、C「200年間」に発生する予想地震の加速度 (単位はガル)を計算。その結果を50ガルごとに等高線で表示した。
 この河角マップをお手本にして、1952年版の「地震地域係数Z」が決まった。
 図では、地域係数Zが「1.0」の地域は、おおむね3大都市圏の周辺に限られる。これは、当時の地震学で震度に関する詳しい情報を把握できたのは、一部の地域に限られたための措置だったとされる。
 その「悪しき象徴」になったのが九州で、地域係数Zは一律に「0.8」となっている。すなわち震度6強の地震が発生する可能性は皆無に等しいのだから、建物の耐震強度は震度6弱に耐える程度でいいと判断されたことを意味している。
 ここに建築基準法、あるいは同法を管轄する国交省住宅局の失敗が、如実に現れている。詳しい情報が分からないのであれば、安全を期する意味で地域係数Zには「1.0」を確保するのが、リスクコントロールの原則である。しかし、当時の国交省住宅局はその原則を無視して地域係数Zを「0.8」に引き下げ、耐震性が弱い建物ができるように仕向けたのである。

3種類の地域係数Zと国交省住宅局の恥ずべき怠慢行為
 地震地域係数Zは大きく1952年(昭和27年 )版、1980年(昭和55年)版、2007年(平成19年)版の3種類がある。
 2回目の1980年版では、九州の地域係数Zは「0.8」から引き上げられて、「0.8」の地域と「0.9」の地域に2分された。そして熊本県と大分県は、一律に「0.9」になったため、耐震性が少し向上した。
 しかし、1972年(昭和47年)に本土に復帰した沖縄県は、地震に関する情報が少ないとして、地域係数Zは全国で最低の「0.7」とされてしまった。長い間、米軍の占領下で苦労した沖縄県への配慮は、皆無に等しいのである。
 次に、「国土交通省告示第597号」(平成19年5月18日)によって改定された、3回目の2007年(平成19年)版の「地震地域係数Z」を示す。
 当時は、2005年11月に発生した、姉歯元建築士による耐震偽装事件の後始末に追われていた時代で、その一環として2007年6月に改正建築基準法が施行されたのだが、「地震地域係数Z」に関しては微調整が行われた程度だった。
 しかし、これは「国交省住宅局の恥ずべき怠慢行為」として、強く非難されなければならない。それは、「地震地域係数Z」のお手本になった河角マップはその後、劇的な進歩を遂げていたからである。
 熊本県の地域係数Zは「0.9」と「0.8」の地域に分かれている。そして「熊本地震」の余震の震源は4月17日(日)になって、「0.8」地域の八代市の方向に移動し始めたのである。

河角マップの劇的な到達点「全国地震動予測地図」
 河角マップの劇的な到達点とは何か。政府の地震調査研究推進本部が作成した「全国地震動予測地図」である。そこには、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を計算した、「確率論的震動予測地図」が掲載されている。
 そのうち最新の2014年版の全国地図と、九州の拡大地図を引用する。
 全国地図は5色に塗り分けられ、黄色、薄いオレンジ、濃いオレンジ、赤色、濃い赤色と変化するにつれて、「震度6弱以上」の揺れに見舞われる確率は高まっていく。
 九州の拡大地図を見ると、熊本市およびその東部と南部には確率が26~100%の「濃い赤色エリア」があり、その周辺を確率が6~26%の「赤色エリア」が取り巻いている。
 これは今後30年間に「震度6強以上」の揺れに見舞われる確率である。熊本市およびその東部と南部には確率が6~26%の「赤色エリア」が取り巻いている。
 この予測地図を産業技術研究所「活断層データベース」の前震・本震・余震マップと重ね合わせると、ほぼ重なり合っているのが分かる(再掲)。
 すなわち、国交省は河角マップを引き継いだ「全国地震動予測地図」をお手本にして、地震地域係数Zを全面的に改定すべきだったのである。

シンクタンク「東京財団」の建築基準法批判
 国交省が2007年版「地震地域係数Z」を制定した翌々年、すなわち2009年2月には、シンクタンク「東京財団」の研究会が、「建築基準法の耐震基準には本質的な欠陥があるので、これを改正すべきである」という趣旨の注目すべき提言(http://www.tkfd.or.jp/files/doc/2008-10.pdfリンク先はPDFファイル)を行っている。
 研究会のメンバーは岩井克人東京大学教授、村松幹二駒澤大学准教授、神林龍一橋大学准教授、清水剛東京大学准教授、佐藤孝弘東京財団政策研究部研究員の5人。提言は3項目から構成されている。1は「悪名高い建築基準法第1条の改正」、2は「最低基準の標準規準への転換」、3は「耐震等級の表示義務」。
 そのうち提言2ではこう述べている。
 「現行法の最低基準が要求しているのは、『震度6強の地震が来ても倒壊しない(建物の中にいる人は死なない)』ことである。しかし、これでは余りにも、耐震強度が弱すぎる。もっとゆとりを持たせて、『弱い震度7の地震で倒壊しない』あるいは『強い震度7の地震でも倒壊しない』程度の耐震基準に改めるべきである。
 これを地震地域係数Zで表現すると、熊本県では少なくても「1.2」に引き上げなければならない、という意味になる。
 それでは、係数Zを「0.8」から「1.2」に引き上げるためには、建築費はどの程度アップするのだろう。強さが1.5倍になるのだから、コストも150%にアップするのだろうか?
 いや、そんなことはない。提言書15ページでは、研究論文を引用して、「コストの増加率はせいぜい3~5%程度に過ぎない」と説明している。
 既に述べたように、東海地震の発生が予想されている静岡県は、建築基準法の規定では不十分として、「静岡県内に建設される建物に関しては、地震地域係数Zを1.2とする独自規準を導入」している。その際に、「建築費がアップしたことにクレームを唱えた人はいない」とされる。つまり静岡県民は、東海地震の震度7に耐えるために、必要な投資であることを理解していたのである。
 結論を述べる。
 国交省住宅局は地震地域係数Zに欠陥があることを知りながら、政府の地震調査研究推進本部が作成した「全国地震動予測地図」を無視し、またシンクタンク「東京財団」の研究会が作成した提言も無視して、地域係数Zの欠陥を放置。その挙げ句に東海大学の学生向けアパート5棟の倒壊に象徴される悲劇を招いた。
 国交省住宅局に欠陥を改善する能力がないのだから、各都道府県が防災先進県とされる静岡県を見習って、独自に地震地域係数Zを改善していくべきではないか。

<参考>2008-10東京財団提言 建築基準法の本質的欠陥と改正提言
http://www.tkfd.or.jp/files/doc/2008-10.pdf


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