2016-05-09(Mon)

熊本地震 住宅の耐震化 社説等160504-09

基準や助成金の再検討を 教訓生かし備え加速を 南阿蘇鉄道--地域の「宝物」全線復旧を
避難所損壊--被災者の受け入れに全力を 広域避難 弱者最優先で拡充を図れ 


<各紙社説・主張>
読売新聞)熊本避難所損壊 被災者の受け入れに全力を(5/9)
産経新聞)地震と広域避難 弱者最優先で拡充を図れ(5/9)
西日本新聞)住宅の耐震化 基準や助成金の再検討を(5/9)
熊本日日新聞)学校再開 復興へのパワーにしたい(5/9)
南日本新聞) [熊本地震・復旧応援職員] ニーズ見据えて的確に(5/8)

西日本新聞)南阿蘇鉄道 地域の「宝物」全線復旧を(5/7)
熊本日日新聞)震災と子ども 心のケアに万策講じたい(5/5)
南日本新聞) [熊本地震・住宅の耐震化] 教訓生かし備え加速を(5/5)
南日本新聞)[熊本地震・川内原発の世論] 住民の不安浮き彫りに(5/5)
西日本新聞)生活道路の復旧 地域再生には欠かせない(5/4)




以下引用



読売新聞 2016年05月09日 06時05分
社説:熊本避難所損壊 被災者の受け入れに全力を


 被災者がまず身を寄せるべき避難所の多くが、十分に機能を果たせていない。深刻な事態だ。
 熊本地震では、各地で指定避難所が被災し、使用不能となった。
 熊本市では、171か所の指定避難所のうち約30か所で安全性が確保されず、施設の全体または一部が閉鎖された。2度にわたって震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町でも、16か所の避難所のうち4か所で使用を見合わせた。
 一昨年4月に施行された改正災害対策基本法は、市町村長に避難所の指定を義務付けている。避難先を公的に定めることで混乱を防ぐ狙いがある。肝心の指定避難所が住民の受け皿にならなくては、法の趣旨は生かされまい。
 指定避難所には、学校や公民館などが充てられる。倒壊防止のため建物自体の耐震補強に力が注がれてきた。熊本県の公立小中学校の耐震化率は100%近い。
 今回の地震で目立つのは、体育館の壁が剥離したり、照明器具が落下したりするケースだ。約30人が避難中に本震が起き、天井から長さ7メートルの金属製部材が十数本も宙づりになった体育館もある。
 避難所に指定する以上、備え付けの器具や部材の補強にも万全を期さねばならない。
 指定避難所の安全性に対する不安から、車中泊やテント暮らしを続ける住民は少なくない。被災者の居場所の把握が遅れ、救援物資が行き渡らない一因ともなった。重い教訓と言えよう。
 介護の必要な高齢者や障害者らを受け入れる「福祉避難所」も、機能不全に陥った。福祉施設やバリアフリー化された公共施設を市町村が予め指定し、災害時に公費で運営する仕組みだ。
 熊本市では、約1700人の受け入れを想定し、176施設を福祉避難所に指定していた。だが、地震で多くの施設が損壊したうえに、職員の被災による人手不足なども重なり、開設は難航した。
 5月初めの時点で、実際に対象者を受け入れた施設は3割、人数も想定の2割程度にとどまる。
 地域全体が被災すれば、施設の人手不足は避けられない面もある。他の自治体から専門職員を派遣してもらう。被災者を広域的に受け入れてもらう。自治体間のそうした連携が欠かせまい。
 東日本大震災では、避難生活により、高齢者の認知症の症状が悪化した例が報告されている。
 本人はもとより、避難と介護の両立という困難に直面する家族の支援も急務である。
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産経新聞 2016.5.9 05:02
【主張】地震と広域避難 弱者最優先で拡充を図れ


 避難所は人であふれ、多くの住民が車中泊を余儀なくされた。過労やストレス、エコノミークラス症候群などによる震災関連死が相次ぎ、感染症も発生した。
 熊本地震の被災地の状況に心を痛めながら「首都直下地震が起きると、どうなるのか」と不安を募らせた人は多いのではないか。
 避難者の数が混乱を拡大させ、リスクを高める要因になる。首都圏に限らず、大都市の防災は深刻な課題を突きつけられた。
 熊本地震の避難者数は、最大時で約20万人だった。首都直下地震では、避難者数は最大で約720万人、帰宅困難者は800万人に達すると想定される。両者のピークは重ならないが、桁違いの人数である。
 避難施設の確保などに最善を尽くしたとしても、膨大な人口に起因する混乱とリスクは避けられないだろう。
 被災地の外へ避難者に移動してもらう広域避難の抜本的な強化と拡充を検討すべきだ。高齢者や乳幼児などの災害弱者の命を守ることを最優先に考えたい。
 熊本地震では、介護を必要とする高齢者や障害者を受け入れる介護避難所、福祉避難所が十分に機能しない事例があった。被災地の病院は地震被害を免れたとしても、日常の医療と負傷者の受け入れで過密状態になる。
 災害弱者は、医療や福祉の低下が命にかかわる人や、日常生活で多くの人とは異なる配慮を必要とする人たちだ。彼らを災害から守る最も確実な方法は、過密による混乱やリスクのない場所に避難してもらうことではないか。
 受け入れ先の確保や、輸送態勢の構築など多くの課題が生じる。遠隔地への避難を望まない人もいるだろう。それでも、広域避難は多くの災害弱者に安全と安心をもたらすに違いない。
 熊本地震でも、自治体の連携などによる広域避難は実施されたが、支援物資の供給などに比べると、立ち上がりが遅かった。
 被災地の要望がなくても必要な物資を送った「プッシュ型」と同じ発想で、広域避難も災害発生と同時に始動させた方が、効果は大きいはずだ。
 大都市圏の人口を考えれば、広域避難は大幅な拡充が必要となる。全国規模で自治体連携のネットワークを築きたい。
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=2016/05/09付 西日本新聞朝刊=
社説:住宅耐震化 基準や助成金の再検討を


2016年05月09日 10時42分
 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県益城町は、震度7の揺れを2回観測した。「震度6~7程度でも倒れない」とされる国の新しい耐震基準(1981年施行)をクリアする住宅も倒壊した。まさに「想定外」というほかない。
 日本には過去に動いたことがある活断層が少なくとも2千あり、どこに住んでも地震と無縁でいることはできまい。経済的負担は避けられないが、命を守るため公的な助成制度も利用して可能な限り耐震化を進めていきたい。
 益城町で被害が集中した地区の住宅約150戸のうち倒壊か大破したのは、新しい耐震基準で建てられた住宅のうち6割を超えた。柱の固定法など基準がさらに強化された2000年以降の住宅でも3割近くに上っている。
 現地に入った専門家の調査結果である。原因として考えられるのは2回の震度7の揺れのほか、地盤や建物の設計の影響という。
 日本の耐震基準は関東大震災を受け翌年の1924年に施行された。81年までの旧基準は「震度5程度に耐えうる」まで引き上げられた。さらに新基準は、建物だけでなく建物内にいる人間の安全確保という観点から強化されてきた。にもかかわらず、今回の事態を招いてしまった。
 地震の多い米カリフォルニア州では70年代から活断層上での新築を禁じ、既存の建物も補強を義務付けた。日本でも直下型地震に備え、徳島県が活断層上の建築を制限する条例を定めている。
 だが全国の活断層のうちマグニチュード(M)7程度の大地震を起こす可能性があるのは100に上るとされ、このうち九州には20近くがある。
 死因の8割が倒壊建物による圧死だった阪神大震災を受け、国民に住宅耐震化を促す耐震改修促進法が施行された。柱の補強や屋根の軽量化が中心だ。改修費用は平均180万円という試算があるが、行政による助成金は上限が数十万円にとどまる場合が多い。
 耐震基準や助成制度は今のままでいいのか、再検討すべきだ。
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熊本日日新聞 2016年05月09日
社説:学校再開 復興へのパワーにしたい


熊本地震によって住宅6万棟以上が損壊し、自宅に戻れず避難を続ける人は今も1万3千人を超えている。避難生活の長期化が避けられないが、避難所になっていた県内の公立学校は9日以降、全面的な再開に向かう。
 県内の公立校643校(特別支援学校、幼稚園含む)のうち7割を超す457校は6日までに授業を再開している。熊本市は全147校のうち106校で休校が続いていたが、9、10の両日で全ての学校を再開させることを決めた。他の自治体も続き、11日には西原村の3校も再開予定で、そうなれば開校率は100%となる。
 10日に再開予定の熊本市の東野中では、教室が使えないため、体育館や武道場などを間仕切りして使用するという。阪神大震災での例を参考にしたもので、試行錯誤を重ねながらの再開となる。
 子どもたちにとって、規律ある学校生活に戻ることは日常を取り戻す一歩だ。被災自治体は、国などの支援を得ながら、子どもたちが安心して学習できる環境の整備に力を注いでほしい。
 ただ、学校施設も損傷を受けている。熊本市内の全学校施設の「応急危険度判定」によれば、校舎や体育館など134棟が「危険」判定を受けている。授業の遅れを早く取り戻したいところだが、余震も続いており、安全対策には万全を期してもらいたい。
 県内の児童相談所には「地震が怖くて家に帰るのを嫌がる」「かんしゃくがひどくなった」などの電話相談が相次いでいる。余震や避難生活によるストレスで精神的に不安定になっている子どももいるだろう。変化がないか注意深く見守る必要がある。
 熊本市では、児童生徒約6万人を対象に実態を把握するための調査を予定している。心や体の状態を把握し、カウンセリングなどを通して今後のケアに役立てたい。阪神大震災の時は数年後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が現れた子どももいた。継続的な観察が必要だろう。
 学校再開にあたり、熊本市は約180カ所に及ぶ避難所を学校施設ではない「拠点避難所」21カ所へ集約を進めている。ただ、「避難者を追い出すことはしない」と大西一史市長も語っているように、多くの学校で今後も一定程度の被災者の受け入れを続けることになりそうだ。
 授業を再開した熊本市の城南小では、避難者がいる体育館に続く中庭などへの児童の立ち入りを禁じている。同じく再開した同市の日吉中に身を寄せる主婦は「娘が通う学校の再開はうれしい。ただ、ここにいられなくなったらどうすればいいのだろう」と不安を口にする。避難所との共存をどう図っていくか。住民も知恵を出し、力を合わせたい。
 子どもたちにとっては、全てが元通りとはいかないだろう。だが、子どもの世話で仕事を休んでいた親の負担を減らすことにもつながる。学校再開を復興へのパワーにしていきたい。
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南日本新聞 ( 2016/5/8 付 )
社説: [熊本地震・復旧応援職員] ニーズ見据えて的確に


 全国の自治体職員による熊本地震の復旧支援が本格化している。
 避難所の運営や食事配布、高齢者への見回り、罹災(りさい)証明書発行の受け付けなど、被災自治体の業務量が膨らんでいるからだ。
 必要な人材は復旧の途上で変化する。ニーズを的確に把握して対応することが求められる。
 総務省によると、おとといは全国の自治体職員1300人超が熊本県で活動した。災害に備えて、事前に結んでいた相互応援協定などが機能しているといえよう。
 活動人数が多いのは、被害が大きかった熊本市、益城町、南阿蘇村などだ。鹿児島県からは県と16市の計55人が現地入りしている。隣県の窮状に寄り添い、できる限りの支援を続けたい。
 鹿児島など九州、山口、沖縄の9県は、阪神大震災で広域応援が遅れたのを教訓に1995年、応援協定を締結した。
 注目したいのは、熊本地震では宇城市が鹿児島県、南阿蘇村は大分県といったように、それぞれの自治体で担当を割り振る「カウンターパート方式」を採用していることである。
 この方式だと、地理的に近い方が応援に駆けつけやすく、迅速な職員派遣や物資の提供などができるという。重要なのは役割を明確にすることだ。
 宇城市への支援では、鹿児島県庁に今春新設された地域防災監が現地入りして、鹿児島から派遣される自治体職員の連絡・調整役などを担当した。
 地域防災監は、県内の自治体で甚大な災害が起きた際、対応が後手に回らないよう情報収集し、被災自治体とのパイプ役を果たす。熊本地震での経験は、他の被災地支援にも生きるはずだ。
 被災自治体は遠慮する必要はない。ニーズを具体的に申し出ることで、支援に駆けつけた自治体も動きやすくなるに違いない。
 応援組の職員には、阪神大震災や東日本大震災を経験した人もいる。単なる手伝いにとどまらず、過去の教訓を生かそうとしているのは心強い。
 九州地方知事会と関西広域連合は2011年、相互応援協定を結んだ。兵庫県は今回、東日本大震災の際に宮城県などで活動した職員らも派遣した。
 担当者の一人は「震災の経験から何が必要か予想できる。先手を打って町にアドバイスした」という。相互の助け合いが被災地再建の大きな力になる。広域連携を一層強化することが必要だ。
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=2016/05/07付 西日本新聞朝刊=
社説:南阿蘇鉄道 地域の「宝物」全線復旧を


2016年05月07日 10時47分
 熊本県の第三セクター、南阿蘇鉄道が熊本地震で甚大な被害を受け運休している。全線復旧には概算で30億~50億円も必要という。それでも何とかしたい。九州全体で知恵を絞り、力を尽くそう。
 全線再開した九州新幹線のような大動脈ではない。しかし、高校生や高齢者など地域を支える重要な足だ。近年は観光路線として外国人客も増えていた。熊本や九州にとって必要不可欠な鉄道だ。
 旧国鉄赤字ローカル線を引き継いだ三セク鉄道の経営はそもそも厳しい。関係5町村の出資比率が99・95%の南阿蘇鉄道も例外ではない。新駅設置、観光トロッコ列車の運行など経営努力を重ねてきた。それでも、2014年度経常損益が345万円の赤字となるなど、ぎりぎりの経営を続けてきた。そうした中での被災である。
 似たような経営状況にある秋田、茨城、千葉、鳥取の三セク鉄道4社が支援に立ち上がり、復興祈念切符を発売した。南阿蘇鉄道も義援金の募集を始めた。
 九州には苦い経験がある。宮崎県にあった三セクの高千穂鉄道が05年の台風で鉄橋の流失など被害を受け、廃線に追い込まれた。あの無念を繰り返したくない。
 地域をレールで結ぶ鉄道には被災地を勇気づける力がある。東日本大震災で地震と津波に襲われた岩手県の三セク、三陸鉄道は5日後に一部区間で運行を再開した。
 列車の走る姿は被災者に再起の気力を与えたという。同鉄道は復興の象徴になり、国や県の支援を受けて3年で全線復旧した。
 震災ではないが、原爆で壊滅した広島市では被爆の3日後に市街電車が走り始め、市民に生きる希望を芽生えさせたといわれる。
 南阿蘇鉄道には日本に誇る鉄橋が二つある。国内最初の鋼製鉄橋で水面からの高さが64・5メートルと日本一の第一白川橋梁(きょうりょう)と、あん馬形の脚に橋桁を載せたトレッスル橋としては国内最長の136・8メートルという立野橋梁だ。
 そんな「宝物」を持つ南阿蘇鉄道にも地域を元気にする力があると信じて全線復旧を応援したい。
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熊本日日新聞 2016年05月05日
社説:震災と子ども 心のケアに万策講じたい


 熊本地震からきょうで3週間。いまだに避難所暮らしや車中泊を余儀なくされたままの被災者は多い。とりわけ長い間、非日常の環境に置かれた子どもの心労は大きいだろう。大人でさえトラウマ(心的外傷)になるような揺れに襲われ、余震の恐怖は今なお続く。子どもたちの心のケアにあらゆる手だてを尽くしたい。
 阪神大震災時には、避難先の近くをダンプカーが通り、揺れただけで動けなくなってしまう子どももいたという。子どもたちは心身の不調を言葉でうまく表せない傾向があり、受けた衝撃も一人一人異なる。つらい思いを我慢して心の中にため込まないようにすることが肝要だ。周囲の大人は、子どもの声にじっくりと耳を傾ける姿勢を心掛けたい。
 専門家は子どものトラウマ反応に気をつけるよう呼び掛ける。怖い経験をした後は、親から離れなくなったり、赤ちゃん返りしたり、イライラするなど興奮状態が続いたりすることがあるという。そんなときは異常な行動ではないことを理解した上で、叱らずに安心感を与えることが大事、と指摘する。
 国内外で子どもの支援をしている国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」は専門家以外でも行える「心理的応急処置」を勧める。原則は「見る」「聴く」「つなぐ」。緊急の対応が必要そうな子どもや家族を見つけたら、相手が自分から話せる形で困ったことなどを聞き取り、必要な情報や支援者の紹介をして問題解決につなげるものだ。
 この団体は、益城町内に子どもたちがスタッフと遊べるスペースもいち早く確保した。普段の生活のペースを保てる遊び場は、子どもたちのストレス軽減に欠かせないという。被災後、心の中にたまった“おり”を発散させる機会を作ることも重要だ。
 そういう点では、子どもにとって学校が何よりの薬となろう。地震後、多くが臨時休校となった県内の公立小中高校は少しずつ再開され、大型連休明けには8割の休校が解消される見込みだ。
 学校現場でも心のケア対策が強く求められるが、そのためにはスクールカウンセラーなどの確保が欠かせない。県や熊本市はカウンセラー配置に向けた予算措置を講じたり、国に応援を要請したりしている。過去の震災では心的外傷後ストレス障害(PTSD)の疑いがある子どもが多くみられた。数年後に症状が出るケースもあるという。息長く目配りできる体制を構築するべきだ。
 授業の遅れを心配する声も少なくない。被災自治体は国などと連携しながら、学習支援に力を注ぐ必要もあろう。
 避難所では、物資配給の手伝いといったボランティアに奔走する子どもの姿も見られる。その笑顔に元気をもらったという被災者も少なくなかろう。きょうはこどもの日。復旧に多忙な中でも、明日の熊本を担う大切な宝に、いつも以上のまなざしを注ぐ一日にしたい。
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南日本新聞 ( 2016/5/5 付 )
社説: [熊本地震・住宅の耐震化] 教訓生かし備え加速を


 国土交通省は、熊本地震で被災した熊本県内の建物の応急危険度判定で、倒壊の恐れがある「危険」と判定された建物が1万2013棟になることを明らかにした。被災自治体の報告を先月末時点で集計した結果である。
 「危険」判定は、阪神大震災の6476棟、東日本大震災の1万1699棟を上回った。
 津波で流された住宅が多かった東日本大震災や、火災による焼失が相次いだ阪神大震災と単純に比較はできない。だが、史上初めて震度7を2度観測した熊本地震の被害の大きさを物語る。
 住み慣れた家を失った人たちの避難生活は続いている。行政は仮設住宅の建設などを急ぎ、一日も早く日常生活を取り戻せるように努めなければならない。
 熊本地震の影響で、鹿児島県内でも住宅の耐震化に関心を持つ人が増えている。鹿児島市建築指導課によると、1日に1件程度だった耐震の問い合わせが、1日20件ほどと一気に増えたという。
 1981年の建築基準法改定に基づく現行の耐震基準を満たす住宅は、全国で82%だ。政府は住生活基本計画で、2020年度までに95%とする目標を立てている。
 鹿児島県は全国平均を下回る75%にとどまっており、関心が高まるのは歓迎できる。この機に耐震化率の向上を加速させたい。
 耐震化が進まないのは工事費用の負担が大きいからだ。一戸建ての平均的な耐震改修費は200万円弱と安くはない。
 鹿児島市は旧耐震基準で建てた住宅を対象に、耐震診断費用の3分の2、耐震改修費の2分の1を補助している。こうした助成制度を上手に利用したい。
 15年4月時点で耐震化診断と改修費用の助成制度があるのは、県内43市町村のうち、14市町だった。未整備の自治体は早急に検討するべきだ。制度のある自治体は積極的に広報してほしい。
 寝室に強固なフレームを設置して壊れにくくする「耐震シェルター」や、寝床の上をフレームで覆う「防災ベッド」もある。
 耐震シェルターは1室50万円以下で済む場合が多い。だれもが無防備になる就寝中の備えになるはずだ。高齢者など弱者を守るためにも積極的に検討したい。
 耐震基準については、今回のように震度7クラスに連続して襲われた場合でも、現行のままで大丈夫かという指摘も出ている。
 国は丁寧に現場を検証して、安全策を示す必要がある。
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南日本新聞 ( 2016/5/5 付 )
社説:[熊本地震・川内原発の世論] 住民の不安浮き彫りに


 南日本新聞社が実施した九州電力川内原発(薩摩川内市)についての電話世論調査で、原発の安全対策で最も大切なものとして「地震・津波対策」と答えた人が最多の51.5%に上った。
 調査日は偶然、熊本地震の発生直後という時機だったが、甚大な被害をもたらした隣県の地震が影響したのは間違いなかろう。
 建物倒壊や山崩れ、新幹線や高速道など大動脈の寸断という大規模な被害に加え、地震が南西地域に波及する可能性を指摘する専門家の声もあることから、住民の不安が浮き彫りになった形だ。
 一連の地震では、熊本県益城町で震度7を2度観測した。震度1以上の揺れは1000回を超えており、今も収まる気配はない。
 原子力規制委員会は先月の臨時会合で、川内原発の揺れは最大8.6ガルと、原発が自動停止する設定値(最大加速度160ガル)を大幅に下回ったとして「安全上の問題は起きない」と結論づけた。
 政府も、規制委の見解を踏襲して「運転を停止する理由はない」との立場を堅持している。
 だが、住民の不安は消えていない。自動停止の設定値を下回ったものの、地震が終息せず、活断層の動きも見通せない中で、原発の安全性を心配するのは当然だ。
 規制委の判断は「絶対安全」を約束するものではない。田中俊一委員長が昨年8月の会見で「絶対安全とは申し上げないし、事故ゼロとも申し上げられない」と語ったことからも明らかだ。
 政府や電力会社は「原発を一度止めて安全確認をしてほしい」という声を、真摯に受け止める姿勢が必要ではないか。
 安全対策で次に多かったのが、「実効性のある避難体制の確立」である。
 川内原発で重大事故が起きた場合、まず5キロ圏、続いて5~30キロ圏内の住民を避難させる段階的な方法を取ることになっている。
 しかし、熊本地震で交通網に重大な被害が及んでいることを見れば、複合災害時に防災や避難の計画がうまくいく保証はない。早急な検証と練り直しが必要だ。
 再稼働についても、過半数の52.3%が否定的だったことも注目される。「雇用、経済活動、地域の活性化維持に不可欠」など賛成の声に対し、「安全性に疑問がある」「福島の事故原因が究明されていない」などが主な理由だ。
 日本は地震大国である。熊本地震は今後も原発に頼ることの危うさも問いかけている。
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=2016/05/04付 西日本新聞朝刊=
社説:生活道路の復旧 地域再生には欠かせない


2016年05月04日 10時31分
 熊本地震では、熊本、大分両県を中心に各地で道路網が寸断された。道路には人の往来や物資輸送など重要な役割がある。地域再生のためにも復旧を急ぎたい。
 先月29日には九州自動車道の植木インターチェンジ(IC)-嘉島ジャンクション(JCT)で通行止めが解除され、全線で再開した。九州の南北を結ぶ高速道路の大動脈が回復したことになる。
 先月27日に全線で運行を再開した九州新幹線とともに、被災地の生活と経済の再建へ向けた足掛かりが整った。被災地の支援や復興が加速されることを期待したい。
 九州道は先月14日の「前震」から続く地震の影響で、路肩の土砂崩れや跨道橋(こどうきょう)の落下のほか、多数の路面亀裂、段差が熊本県北部を中心に確認された。このため、同県の南関ICから宮崎県のえびのICまでが通行止めになった。
 修復工事を終えた区間から順次通行を再開し、植木IC-嘉島JCTだけが不通になっていた。同区間の一部では工事が続くため、当面は片側1車線の対面通行で速度も規制されている。
 気になるのは、住民が日々の暮らしで使う市町村道の復旧が遅れて不便を強いられていることだ。
 熊本県内では、阿蘇大橋(南阿蘇村)が崩落するなど、地震による被害や余震の警戒で少なくとも約300カ所が通行止めという。
 「村道の被害はほとんど把握できていない」(南阿蘇村)「パトロールするたび新たな損傷が見つかる」(宇城市)という状況で、通れない道路はさらに多いとみられる。余震に十分注意しながら、まず全容把握に努めてほしい。
 政府は熊本地震を激甚災害に指定して被災自治体が進める道路などの復旧事業に対し、国の補助率を引き上げることを決めた。補助率は通常の7~8割程度から8~9割程度にかさ上げされる。
 復旧には時間がかかることが予想される。身近な道路網の回復は住民たちの生活再建に欠かせない。可能な限り早く工事に取り掛かり、被災者が「日常」を取り戻せるようにしてもらいたい。
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