2016-05-12(Thu)

パナマ文書 租税回避地 税逃れの抜け道ふさげ

富裕層の税逃れ断罪すべきだ 課税逃れの徹底調査を 国際監視の実効性高めよ

<各紙社説・主張>
毎日新聞)パナマ文書 情報開示で国際連携を(5/12)
信濃毎日新聞)租税回避地 国際監視の実効性高めよ(5/12)
神戸新聞)パナマ文書/課税逃れの実態解明急げ(5/12)
南日本新聞) [パナマ文書] 課税逃れの徹底調査を(5/12)

読売新聞)パナマ文書公表 租税回避地の利用実態解明を(5/11)
日本経済新聞)租税回避の監視強化へ国際協調を急げ (5/11)
産経新聞)パナマ文書公開 まず自ら「詳細」の説明を(5/11)
しんぶん赤旗)「パナマ文書」公開 富裕層の税逃れ断罪すべきだ

北海道新聞)パナマ文書 税逃れの抜け道ふさげ(5/11)
京都新聞)パナマ文書公開  税逃れ、多くの目で監視(5/11)
山陽新聞)パナマ文書 多くの目集め真相に迫れ(5/11)




以下引用



毎日新聞2016年5月12日 東京朝刊
社説:パナマ文書 情報開示で国際連携を


 租税回避地の実像を映す膨大な内部情報「パナマ文書」の詳細データを、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)がインターネット上に公開した。租税回避地の利用に関係した個人や法人の情報を誰でも閲覧できるようにしたものだ。これを機に、租税回避地の実態解明が加速し、効果の高い対策の実施につながることを期待する。
 「所得の不平等は、現代社会が直面する最重要課題の一つだ」−−。パナマ文書を匿名でドイツの新聞に漏えいした人物が、暴露の動機などをつづった文章には、貧富の差に対する強い憤りがにじむ。
 格差と税逃れの問題は特に途上国で深刻だ。今週、ロンドンで開かれる英政府主催の腐敗防止サミットを前に世界のエコノミスト300人超が首脳ら宛てに公開書簡を記した。それによると、富裕層による租税回避地利用の結果、貧しい国々が徴収しそびれている税額は年間1700億ドル(約18兆円)にも及ぶという。
 租税回避地に向かった資金が各国内で適切に課税され、医療や保健関連の費用として使われれば、アフリカでは年間400万人の子どもの命が救われるとの試算もある。
 租税回避地に世界から資金が集まるのは、税率の低さに加え、利用者の匿名性が尊重されるためである。パナマ文書があぶり出したのは、国際金融機関と法律事務所の助けにより租税回避地で実体のないペーパー会社が設立され、真の受益者の隠れみのとなって世界各国の不動産や金融商品に投資する構図だった。
 今回、内部文書の漏えいという形で背後にいる受益者の情報が明るみに出たわけだが、こうしたペーパー会社の実質的な所有者情報を各国で一括収集・管理し、他国の税務・司法当局も自在に活用できる多国間のシステムを築くことが急務である。ICIJが指摘するように、全ての人による閲覧を可能にする仕組みも検討してみてはどうか。
 租税回避地は米国や欧州にも存在する。英国の統治領も主要な回避地になっている。先進国が率先し大胆な対策を打ち出すことが肝心だ。
 ICIJが公開した情報には、日本在住者や日本企業などの名前も300件以上含まれる。租税回避地の利用自体が違法行為を意味するものではないが、課税逃れや犯罪がらみのものはないか、他国の当局と連携し、追及を徹底してほしい。
 租税回避地の悪用を完全になくすことは不可能かもしれない。しかし、撲滅を目指し、政府が前進を続けることが、税への信頼性を保つ上でも、貧富の差の縮小のためにも、不可欠だ。月末の主要国首脳会議もその重要な一歩とすべきである。
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信濃毎日新聞(2016年5月12日)
社説:租税回避地 国際監視の実効性高めよ


 法人21万社以上、それに関連する企業と個人約36万―。膨大な数である。
 パナマ文書報道を続ける国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が公表したリストに記載されていた。タックスヘイブン(租税回避地)に設立されていた法人と関係先である。
 日本に関係する法人も少なくとも270社あり、日本人約230人の名前もある。パナマ文書には1150万通に上る書類が含まれる。今回公表されたリストはその一部にすぎない。
 租税回避地は税金がないか、税率が極めて低い国や地域のことを指す。利用することは違法ではない。法人を設立する時の規制が少ないため、活用している企業も多いという。
 問題なのは、租税回避地が法人所有者などに関する情報の大半を明らかにしておらず、実態が見えにくいことだ。企業や富裕層が財産を目立たないように移し、課税逃れや不正蓄財の温床になっているとされる。英国やアイスランドなどでは、政治指導者が利用していたとして問題化した。
 経済協力開発機構(OECD)の推計では、課税逃れによる各国の税収の損失は年間最大2400億ドル(約26兆円)に上る。国家財政がその分悪化し、社会保障などにしわ寄せがいきかねない。
 富裕層と一般納税者の不公平感を高め、貧富の差を広げることにもつながる。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金に利用されている可能性もある。
 今回のリスト公表を契機に、租税回避地の利用実態を明らかにして、国際的な監視体制をつくりあげなければならない。
 これまではOECDが主導して課税逃れ対策を進めてきた。昨年は多国籍企業の組織図や財務諸表、納税状況を共有することが決まっている。4月のG20財務相・中央銀行総裁会議では、租税回避地にある法人の実質的な持ち主を特定し、各国で情報交換することで合意した。それでも各国の取り組みには温度差がある。
 26、27両日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、課税逃れや不正蓄財の防止徹底に向けた行動計画を発表する方針だ。租税回避地に設立される会社所有者の明確化などが柱になる。
 G7各国だけでなく、発展途上国を含めた各国が結束して、実効性のある対策を進めなければならない。今回のサミットの意味は大きい。議長国として日本の指導力が問われている。
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神戸新聞 2016/05/12
社説:パナマ文書/課税逃れの実態解明急げ


 60カ国以上の報道機関が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、タックスヘイブン(租税回避地)に関する「パナマ文書」に記載された約21万4千法人と約36万件の企業、個人名を公表した。
 日本については、24法人と400近い出資者などの名前が判明している。大手IT企業や総合商社などが含まれる。兵庫県内では企業経営者ら延べ20人の名前が確認された。
 パナマ文書は、首脳を含む各国の政治家や親族らの不透明な取引を暴露した。今回の公表で、世界中の企業や富裕層にも同様の取引が浸透している現実が浮き彫りになった。
 租税回避地の利用が直ちに違法となるわけではない。多くの企業が海外への投資や事業展開など節税以外の目的でも利用している。
 しかし、脱税や不正蓄財、マネーロンダリング(資金洗浄)に使われている疑いは拭えない。データの分析には時間と労力を要するが、各国政府は取引実態を解明し、犯罪行為は厳正に処罰すべきだ。
 経済協力開発機構(OECD)の推計によると、国際的な課税逃れによる各国税収の損失は年間最大2400億ドル(約26兆円)に上る。
 企業や富裕層が国ごとの税率の違いや租税回避地を利用して課税逃れに走れば、税の公平性や信頼性が損なわれる。税制による再分配機能を弱め格差を助長する恐れもある。租税回避の防止策を強化しなければならない。
 日本政府は、課税逃れ対策や不正蓄財などの腐敗防止策を徹底するため、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で行動計画を発表する方針だ。回避地に設立される会社所有者の明確化などが柱とされる。各国には温度差もあるが、途上国とも連携して取り組む必要がある。
 パナマ文書報道が、謎に包まれた租税回避地の実態を暴いた意義は大きい。世論の高まりで、租税回避の防止対策が国際社会の緊急課題に浮上した。今回の情報公開でさらに解明が進むことが期待される。あらためて報道機関の果たすべき役割を示したといえる。
 リーマン・ショック後の税収減を機に、米アップルやスターバックスの課税逃れが社会問題化し、英国ではスターバックスの不買運動も起きた。税の公平性の問題に対して、市民も関心を強めたい。
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南日本新聞 (2016/ 5/12 付 )
社説: [パナマ文書] 課税逃れの徹底調査を


 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が「パナマ文書」の一部を公表した。
 タックスヘイブン(租税回避地)に設立された21万社以上の法人と、関連する約36万の企業や個人の名前や住所のリストである。
 うち日本に関係する法人が少なくとも270社あり、関連する32都道府県の日本人約230人、外国人約80人、企業約20社の名前も記載されていた。
 企業や個人が租税回避地を利用していても、ただちに違法になるわけではない。
 だが、租税回避地を悪用した税逃れは国際的に大きな問題になっている。脱税などの違法行為がないのか、実態解明に向けて徹底した調査が必要だ。
 パナマ文書は、租税回避地での法人設立を請け負うパナマの法律事務所が、英領バージン諸島や香港など21の回避地でつくった法人に関する資料だ。
 法人を通じて巨額投資を行っていたアイスランドの首相や、法人設立に関与していたスペインの産業・エネルギー・観光相が辞任に追い込まれるなど、影響は広がっている。
 ロシアのプーチン大統領や、中国の習近平国家主席ら各国首脳の親族や周辺の名前も明らかになっており、耳目を引いている。
 経済協力開発機構(OECD)の推計によると、租税回避による各国の税収減は年間最大2400億ドル(約26兆円)に上っており、損失は大きい。
 税逃れの資金は不正蓄財やマネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金などになっている可能性も指摘されている。問題の根は深いと言わざるを得ない。
 日本政府は、今月末に開かれる主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で課税逃れ対策や不正蓄財などの腐敗防止策を盛り込んだ行動計画を発表する意向だ。
 政府には、パナマ文書に端を発した富裕層や政治家の課税逃れが世論の反発を増幅しかねないという危機感がある。世界経済が減速傾向にある中で、各国で格差拡大への不満が高まっていることも背景にあろう。
 安倍晋三首相は先の訪欧で、フランスのオランド大統領や英国のキャメロン首相と会談し、課税逃れ対策もサミットで議論することを確認した。発展途上国を含めた国際的な監視体制強化に向け、具体的な対処方針を示せるのか首相の手腕が問われる。
 税逃れは納税者間の公平性をゆがめる。ICIJは取材体制を強化し、租税回避問題を追及する。息の長い調査を期待したい。
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読売新聞 2016年05月11日 06時00分
社説:パナマ文書公表 租税回避地の利用実態解明を


 ベールに包まれているタックスヘイブン(租税回避地)の実態を解明する手がかりとなろう。
 国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、各地のタックスヘイブンに設立された21万余の法人と関連の個人名を公表した。パナマの法律事務所から流出した電子データを国別に整理したものだ。
 ICIJは先月、各国首脳や、その親族がタックスヘイブンに関わっていた実態を「パナマ文書」として明らかにした。今回、企業や富裕層などが幅広く利用していたことも裏付けられた。
 リストの公表を、課税逃れに対する国際的な包囲網の強化につなげることが肝要だ。
 日本関連では、総合商社や通信事業会社など約20社や、大手企業の創業者ら約230人の名前が含まれている。タックスヘイブンに設立した法人の株主や役員として記載されたケースが目立つ。
 複数の企業は、「租税回避の目的はない」と説明する。名前が公表されたことについて、「社会的信用が落ちる恐れがあり、心外だ」と反発するところもある。
 確かに、タックスヘイブンを使うこと自体は、違法ではない。
 だが、税率が著しく低く、匿名性が高いという特徴を利用して、節税を図る企業や個人が後を絶たないのも事実だ。
 たとえ合法でも、大企業や富裕層にとって使いやすい抜け穴があれば、税の公平性に対する国民の信頼は揺らぐ。パナマ文書により、タックスヘイブンに注がれる視線は厳しさを増している。
 ペーパーカンパニーの口座に資金を移し、意図的に所得を隠した場合には、脱税に問われる。麻生財務相が「問題がある取引があれば、税務調査を行う」と述べたのは当然である。
 国税当局は、利用実態を徹底的に解明すべきだ。犯罪収益の隠匿や資金洗浄についても、目を光らせねばならない。
 国境を越えた税逃れに一国で対処するのは難しい。
 日本は100近い国や地域と、口座情報を交換する条約や協定を結んでいる。有効に機能させ、不正を洗い出すことが大切だ。
 主要20か国・地域(G20)と経済協力開発機構(OECD)は昨年、実態とかけ離れた取引を名目にした課税逃れを防ぐ国際課税ルールを策定した。
 今月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも、課税対策は重要な議題になる。国際的な連携を強化する場としたい。
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日本経済新聞 2016/5/11付
社説:租税回避の監視強化へ国際協調を急げ


 各国メディアで構成する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、世界のタックスヘイブン(租税回避地)に設立された約21万社のペーパーカンパニーの情報を公表した。株主や役員には、日本を含む世界中の個人や企業が顔を出している。
 租税回避地の利用そのものは、決して違法ではない。投資ファンドの組成などでは広く使われている。しかし、行き過ぎれば税収に悪影響が及ぶ。一般の納税者との間の不公平感が強まり、税制への信頼は損なわれる。資金洗浄など不正の温床にもなりかねない。
 今回の情報公開を、租税回避地への国際監視体制を早期に築く契機とすべきだ。
 公開されたペーパーカンパニーに関する情報は南ドイツ新聞がパナマの法律事務所から入手した文書を、ICIJがデータベース化したものだ。
 データベースが公表される前から、一部政治家の関与は表面化していた。夫妻で資産隠しを指摘されたアイスランドの首相は辞任に追い込まれた。英国ではキャメロン首相が亡父の設立したファンドに出資していたことが分かり、説明も不十分だったため、抗議デモに発展した。
 国民に納税を促す立場の政治家が違法と疑われかねない行為と一線を画し、厳しい説明責任を果たすのは当然のことだ。
 そのうえで、不透明な課税逃れを封じるための国際協調を政治主導で加速させるべきだ。
 100前後の国・地域が非居住者の銀行口座の情報を自動的に交換する取り組みが、2017年から始まる。今回の問題の震源地だったパナマが、国際的な批判の高まりを受け、最近になって情報交換に参加する方針に転じたことはひとまず前進だ。
 今後の焦点としては、ペーパーカンパニーの透明度を高める施策が挙げられる。米政府は企業を対象に、ペーパーカンパニーの実質所有者の報告を義務づける法改正案を打ち出した。独仏英など欧州5カ国も実質所有者の情報を共有するルールを提案している。
 各国の個別対応ではおのずと限界がある。日本は自らも国内対策を急ぐとともに、主要7カ国(G7)の議長国として国際協調を主導すべきだ。中国をはじめとする新興国も巻き込み、租税回避地のあり方に関する枠組みの議論も始めるときだ。
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産経新聞 2016.5.11 05:03
【主張】パナマ文書公開 まず自ら「詳細」の説明を


 「パナマ文書」報道を続ける国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、租税回避地(タックスヘイブン)に設立された21万社以上の法人と、これに関連する約36万の企業や個人の名前などを公表した。
 文書には日本人や日本企業など約600の名もあった。タックスヘイブンは、脱税や資金洗浄など不正の温床とも指摘されている。関与を指摘された個人や企業は、その違法性の有無にかかわらず、自ら経緯を詳(つまび)らかにすべきである。
 租税回避が最も許されないのは、各国の政治指導者だろう。税制を司(つかさど)る側が自らの税を逃れるような行為は、国家や納税者に対する背信行為に等しい。
 友人の関与が指摘されたロシアのプーチン大統領は声高に陰謀説を唱えて反発し、リストに習近平国家主席の親族の名がある中国では徹底的に報道管制が敷かれている。アイスランドのグンロイグソン首相やスペインの閣僚は、関与の発覚から国民の反発を招き、すでに辞任した。
 まっとうな民主主義国では、明確な説明を抜きに地位に居座ることはできないと知るべきだ。日本でも公表された個人などに親族や関係者の名がある政治家は進んで説明責任を果たす必要がある。
社会的責任を負う大企業や経営者も同様である。法的に問題がないとしても、株主や顧客に説明ができない商行為は許されない。
 麻生太郎財務相はリストの公表を受けて「問題のある取引が認められれば、税務調査する」と述べた。税務調査の対象は違法行為だが、合法であっても説明責任は免れない。後ろ暗いところがないのであれば、堂々と趣旨と経緯を述べればいい。
 国際社会は、タックスヘイブンなどを使った課税逃れ対策の強化で、おおむね一致している。各国で銀行口座の税務情報を交換するなどの枠組みにはすでに約100カ国・地域が参加を表明し、国際的監視網を狭めている。
 パナマ文書については26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)や、20、21日に仙台市で開かれる先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも主要な議題となることが予想される。
 議長国を務める日本としては、自国内に向けられた疑惑に対する説明を尽くした上で、重要会議に臨みたい。
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しんぶん赤旗 2016年5月11日(水)
主張:「パナマ文書」公開 富裕層の税逃れ断罪すべきだ


 多国籍企業や富裕層が課税を免れるため利用しているタックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴露した「パナマ文書」について、分析してきた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が文書に盛り込まれた約21万4000社の情報を公開しました。日本からもソフトバンクのグループ会社や伊藤忠商事、丸紅などの法人や大企業経営者などの名前が含まれています。「パナマ文書」は氷山の一角とはいえ、タックスヘイブンが大企業や富裕層の税逃れに広く使われていることを浮き彫りにしており、貧困と格差拡大の是正のためにも厳しい追及が不可欠です。
“不公平”に高まる批判
 タックスヘイブンは法人税などがかからないか国際的にみても極めて負担が少ない国や地域で、中米のパナマはその一つです。多国籍企業や個人がタックスヘイブンに名前だけの会社(ペーパーカンパニー)を作って税金を低くおさえ、複数のペーパーカンパニーに資金を転がして犯罪にかかわる資金の出所を分かりにくくするマネーロンダリング(資金洗浄)などが大きな問題になってきました。重税であえぐ一般国民を無視した不公平さは明らかです。タックスヘイブンでの企業設立には国際的な金融機関が絡んでいることが多く、多くの金融取引が秘密にされていることが背景にあります。
 「パナマ文書」はパナマでペーパーカンパニーの設立にかかわってきた法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したもので、文書を持ち込まれたドイツの新聞社が国際的なジャーナリスト団体ICIJに依頼して分析にあたってきました。文書は全体で1150万件といわれるほど膨大で、21万社以上の法人が設立され、世界的な大企業や富裕層、政治家などがかかわっていたといわれます。4月に文書の存在が初めて報道されて以降、国際的に大問題になり、アイスランドの首相らが辞任しました。文書の公開は初めてです。
 タックスヘイブンに企業を設立すること自体は違法でなくても、大企業や富裕層が通常の課税を免れるために国際的な金融機関や法律事務所と結託してペーパーカンパニーを規制されずに設立し、利益をため込み、課税を免れることは、経済をゆがめることになります。脱税自体が目的だったり、犯罪などに絡む違法な資金の「洗浄」のためだったりすれば明らかに犯罪行為です。
 今回公表された21万社余りの企業が設立されたのはパナマのほか、イギリス領バージン諸島やバハマ、セーシェル島など、いずれも世界的に有名なタックスヘイブンです。日本関係で名前があがった大企業などは「適切に納税している」と説明しますが、それで済むのか。不公正な行為にかかわった疑惑に真剣に向き合うべきです。
政府責任で解明と追及を
 税金はそれぞれの企業や個人が所得や資産に応じて納めるべきもので、大企業や富裕層だからといって海外などに資産や所得を持ち出し、まともに税金を納めなければ、財政は成り立ちません。租税回避や脱税の一掃は国際会議でもたびたび取り上げられているのに、タックスヘイブンの弊害があとを絶たないのは重大です。
 日本政府も自ら「パナマ文書」などを分析し、大企業や富裕層への税務調査を行うなど、不正を許さない取り組みを強めるべきです。
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北海道新聞 2016/05/11 08:50
社説:パナマ文書 税逃れの抜け道ふさげ


 タックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴いた「パナマ文書」の報道を続ける国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は、租税回避地に設立された法人などの情報を公表した。
 21万社以上の法人と関連する約36万の企業や個人の名前、住所で、400近い日本関連のものも含まれる。ICIJは市民に情報提供を呼びかけ、膨大な資料の分析に役立てるという。
 パナマ文書の報道を受け、先に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、国際的な課税逃れの阻止に向けた連携強化で合意した。
 租税回避地を利用した蓄財に対する一般納税者の怒りが、こうした流れを加速させたと言える。
 各国政府は実効性ある規制の枠組みづくりに協力しなければならない。これを後押しするためにも、市民が税に関心を持ち、監視を強める必要がある。
 確かに、日本を含む多くの国で、税負担が極端に軽い租税回避地に法人を設立したり、口座を開設したりすること自体は合法だ。
 しかし、海外で得た収益を本国の税務当局に正確に申告し、納税しているのが前提で、そうでなければ、脱税に問われる。
 しかも、複数の租税回避地や親族名義の口座に資金を分散させるなど、不透明な手法も多い。
 情報開示に消極的な租税回避地の特徴を考えれば、本人が正直に申告しない限り、課税は困難だ。
 資産運用や事業活動を行う際に、なぜ、ここまで複雑な手続きを踏む必要があるのか、疑問に思われても仕方あるまい。
 企業が租税回避地に送金して節税し、利益の最大化を図るのは当然との意見もあるだろう。
 だが、税金で整備されたインフラや本国で育成された人材を活用して利益を得たのではないのか。
 租税回避地は、誰でも利用できるわけではない。税制や法律に精通した専門家に高額の報酬を支払って助言を仰ぐ富裕層や大企業に限られる。あまりに不公平だ。
 G20は、口座情報を税務当局間で交換する仕組みに非協力的な国には、制裁も検討する方針だ。
 米国の一部の州は、法人税率が低く、ペーパー企業を設立しやすいと批判されてきた。このため、米政府は企業の実質的所有者の報告を義務付ける法案を作成した。
 抜け道を一つ一つふさぐしかない。オバマ大統領が言う通り、税逃れに関する多くの行為が合法であること自体が問題なのだ。
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[京都新聞 2016年05月11日掲載]
社説:パナマ文書公開  税逃れ、多くの目で監視


 隠された税逃れの実態を白日の下にさらし、多くの目でチェックする。富める者と貧しい人々の格差が世界中で広がるなか、大きな意味をもつはずだ。
 租税回避地(タックスヘイブン)に設立された21万以上の法人と、関連する約36万の企業や個人の名前、住所のリストがインターネットに公開された。
 中米パナマの法律事務所から流出した「パナマ文書」である。公開した国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は「社会全体に公開されるべき法人情報を注意深く公表する」として、市民や専門家からの情報を期待する。
 パナマの事務所は、税率の低い租税回避地での法人設立を請け負っており、流出文書には英領バージン諸島や香港、米ネバダ州など21の租税回避地が出てくる。
 租税回避地にペーパーカンパニーをつくりお金を移せば、自国で税金を納めずに済む。秘密は守られ、形の上では合法とされる。
 しかし、合法だから問題ないと言えるだろうか。英国の市民組織・税公正ネットワークは、租税回避地に隠された資産を2千兆~3千兆円と推計しており、米国と日本の国内総生産(GDP)の合計を超える。
 本来、企業でも個人でも稼いだ所得は、自国に申告し納税しなければいけない。税金は公共事業や社会保険、福祉など社会基盤を形作るものだ。
 こうした国の土台を租税回避が揺るがしている。グローバル化の進行で人やマネーが国境を軽々と越え、多国籍企業や大資産家がマネーを租税回避地に移して富を増やす流れができているという。
 フランスのトマ・ピケティ氏ら世界の経済学者が、「格差の拡大を助長している」と租税回避地の根絶を求める書簡を発表した。事態の深刻さを示していよう。
 パナマ文書には日本人約230人、企業約20の名前が含まれる。これとは別に、租税回避地のケイマン諸島に日本企業が保有する投資残高は約65兆円に上るという。
 麻生太郎財務相がパナマ文書公開を受けて「問題のある取引が認められれば税務調査する」と述べるにとどめたのは物足りない。公開文書をチェックして実態を調べる、積極的な姿勢を見せてほしい。
 公開されたことで、世界中の税や法律の専門家やNGO、ジャーナリストたちが目を凝らし、足をつかって隠された事実を掘り起こすに違いない。とにかくマネーの行方を白日にさらすことだ。
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山陽新聞(2016年05月11日 07時20分 更新)
社説:パナマ文書 多くの目集め真相に迫れ


 霧の中の様子が次第に浮かび上がってきた。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した不透明な資金取引の実態を示す「パナマ文書」に記載された法人名などが、分析を進めている国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)によって公表された。
 パナマ文書は、回避地での法人設立を代行するパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部書類で、約1150万通にも及ぶ。ICIJが南ドイツ新聞を通じて入手し、先には各国指導者らが絡む隠れた資産運用の実態が明かされ、世界に衝撃が広がった。
 回避地とは無税か、税率が極めて低い国や地域を指す。公表されたのは、英領バージン諸島など21の回避地に設立された21万社以上の法人と関連する約36万の企業や個人の名前、住所などのリストである。ICIJのホームページ上で閲覧できる。
 日本在住者や日本企業が、株主や役員として記載されている法人は少なくとも270に上る。大都市圏を中心に、多くの都道府県の約400(重複を含む)の個人・企業が株主などになっている。
 中にはインターネット通販大手のトップや大手警備会社の創業者、大手商社などの名前が挙がっているが、いずれも「租税回避が目的ではない」と合法性を強調する。法人設立の理由として「設立しやすく、維持経費が安い」「外国人から投資を持ちかけられた」などを挙げている。
 回避地に法人をつくること自体が直ちに違法であるとはいえない。事業が目的の場合などもあるからだ。しかし、実態のない法人を設けるなどして資産を移し、課税逃れの温床にしているとしたら許し難い行為である。自国の得るべき税収に穴をあけ、そのしわ寄せは一般納税者に及ぶ。公平性を欠き、税制への信頼を揺るがしかねない。
 これまで回避地法人の情報はベールに覆われていた。パナマ文書の公開により風穴をあけたことは画期的だ。実態の解明と課税逃れ防止へ取り組む起爆剤にと願う。名前が挙がった企業や個人の説明とともに、その真偽の見極めが欠かせない。
 ICIJは、今後、取材に参加する各国の報道機関を増やすなどして体制を強化し、租税回避問題を追及する構えだ。期待するのが市民の情報提供という。多くの目でチェックし、真相に迫りたい。
 パナマ文書は国際社会の危機感も強めた。先月開催された20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は資金の流れの監視を強め、新たな基準で非協力国を特定し、制裁も検討するとした。
 しかし、ロシアや中国、英国などの首脳周辺の関与も取り沙汰されている中で、どう行動に移せるか。今月、日本で開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)も含め、実効性ある国際包囲網への各国の真剣度が問われる。
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