2016-05-13(Fri)

三菱自動車燃費不正 社説等(5) 日産傘下で再生するのか

日産傘下で再建  信用の失墜が招いた再編劇  疑惑残した再生あり得ぬ

<各紙社説・主張>
朝日新聞)三菱自と日産 「外部の目」で解明を(5/13)
読売新聞)三菱自燃費不正 信用の失墜が招いた再編劇(5/13)
毎日新聞)三菱自動車 日産傘下で体質改善を(5/13)
日本経済新聞)三菱自動車は日産傘下で再生するのか (5/13)
産経新聞)日産の三菱自支援…疑惑残した再生あり得ぬ(5/13)
東京新聞)日産傘下で再建 三菱自、疑惑も解明を(5/13)




以下引用



朝日新聞 2016年5月13日(金)付
社説:三菱自日産 「外部の目」で解明を


 燃費不正問題に揺れる三菱自動車が、軽自動車分野で提携する日産自動車の傘下に入り、再出発を図ることになった。
 日産は2300億円余を投じて三菱自の筆頭株主となり、取締役会長を含む複数の役員を送り込む。三菱自のブランドや販売網は維持しつつ、資材の購入や生産拠点の共用化、電気自動車を含む次世代車の技術開発、海外市場の共同開拓など、幅広い提携に踏み込む。
 環境対策や自動運転を巡る競争を勝ち抜くには巨額の投資が必要で、経営規模がモノをいう。ルノー・日産グループに三菱自が加われば、トヨタ自動車グループなどと並ぶ世界トップ級の生産台数になる。三菱自から供給を受けている軽自動車は、日産の国内販売台数の4分の1を占めるだけに、中断している生産と販売を早く再開させたい……。
 日産としては、2度にわたるリコール隠しの反省を生かせなかった三菱自について、手をさしのべる損得をてんびんにかけた末の判断だろう。三菱自の従業員や販売店、下請け部品メーカーに加え、先行きを案じていた購入者にとっても、ひと息つける話かもしれない。
 ただ、言うまでもなく、提携の成否は三菱自がウミを出し切り、法令を守る会社に生まれ変われるかどうかにかかる。
 データ偽装や違法な試験を続けていた問題は、三菱自から国土交通省への2度の報告を経ても全容がわからない。軽自動車以外でも、乗用車の人気車種で公式に届けていた燃費と実際に大きな隔たりがあることがわかったが、原因は不明のままだ。
 軽自動車4車種のデータ偽装では、試験を委託した子会社の管理職社員が関与を認めたという。しかし、具体的な不正の経緯は明らかでない。社内の指示系統や責任の所在があいまいだから調査にも手間取っているのでは、との疑問すらわく。
 日産は「不正の解明は三菱自の責任」との姿勢だが、積極的にかかわるべきではないか。今回の三菱自とは状況が異なるが、90年代に経営危機に陥った日産に乗り込んだカルロス・ゴーン氏は、社内の組織や慣行にとらわれず病巣をあぶり出し、対策を練り上げた実績がある。
 三菱商事の出身で、00年代半ばから三菱自の再建を指揮してきた益子修会長は、企業体質が変わらなかった理由について「外部からの目や人材が入りにくい閉鎖的な社会で仕事が行われてきた」と語った。
 今、「外部の目」を務めるべきなのは日産だ。
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読売新聞 2016年05月13日 06時00分
社説:三菱自燃費不正 信用の失墜が招いた再編劇


 軽自動車の燃費偽装で経営の悪化した三菱自動車が、日産自動車から34%の出資を受ける資本業務提携を結び、再建を目指すことになった。
 燃費を実際より良く見せる悪質な不正を受け、三菱自の販売台数は急減した。事実上の救済劇は、信用を失い、消費者に見放された企業が単独で生き残れないことを、端的に示している。
 日産の傘下に入ることで当面の危機を乗り切ったとしても、法令や消費者を軽視する企業体質が温存されれば、本格的な再生はおぼつかない。三菱自は不正を繰り返した原因を徹底して洗い出し、その根を断たねばならない。
 三菱自は国土交通省に対し、社内調査に関する2回目の報告を行った。不正が判明していた軽自動車4車種だけでなく、別の車種でも燃費を実測せずに机上計算したり、違法な測定方法を用いたりしていたことが分かった。
 だが、4車種以外でも燃費の水増しが行われていたかどうかという肝心な点は、依然として定かでない。誰が不正を指示したのかも明らかにされなかった。
 内容が不十分として、国交省が三菱自に、18日を期限に再調査を命じたのは当然だ。
 焦点は、会社ぐるみの不正だったかどうかである。
 三菱自は、測定を委託していた子会社の担当者が不適切なデータ処理をしていたとして、経営陣の関与を否定している。
 経営陣主導で軽自動車の燃費目標が5回も引き上げられたことと、不正は関連があるのか。もっと明確な説明が必要だろう。
 三菱自は、購入者に対する補償を検討している。カタログより悪い燃費によって余計に負担したガソリン代や、問題発覚で中古車価格が下がった分などが対象だ。誠実な対応が求められる。
 日産のカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は記者会見で、「日産は三菱自に経営と企業統治の知見を提供できる」と述べ、意識改革を進める考えを示した。
 大規模なリコール(回収・無償修理)隠しなど過去の教訓を生かせなかった背景には、意思疎通を欠いた縦割りの企業風土がある。三菱グループの支援を受けられるとの甘えを指摘する声も多い。改革は一筋縄では行かない。
 新たに筆頭株主となる日産の責任も重い。役員派遣などを通じて三菱自に外部の風を吹き込み、信頼できる企業への再生をリードしなければ、巨額出資に見合う成果は得られまい。
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毎日新聞2016年5月13日 東京朝刊
社説:三菱自動車 日産傘下で体質改善を


 日産自動車が、軽自動車の燃費不正で経営が悪化している三菱自動車に約2400億円を出資し、傘下に収める。軽の供給を受ける日産は不正の被害者的な立場だ。提携解消の見方もあったが、国内外をにらんで軽の技術を取り込み、規模拡大も図るうえで、関係強化に踏み込む利点は大きいと判断したようだ。
 三菱自については、購入者らに対する巨額の補償費負担や急激な販売の落ち込みが重荷となっているうえ、下請け企業など取引先に経営不安が波及する心配も出ていた。
 完成車の工場がある岡山県や愛知県を中心に、1次下請けは1000社以上、約40万人が働いているという。地元自治体だけでなく、政府も地域の雇用が揺らぐのを懸念せざるを得ない事態だった。
 危機の打開には、外部の支援が不可欠とみられたが、三菱グループは動きづらかった。2000年以降のリコール隠しによる経営危機は、三菱重工業などの増資で支えた。だが、再び不正に走った身内に手を差しのべるのはグループ全体のイメージを傷つける恐れがあったからだ。
 こうした中で日産は、事実上の救済となる巨額出資に踏み切る。
 トヨタ自動車も軽を販売する国内市場で、日産が軽を扱わない選択はあり得ない。将来的に需要が伸びるアジアなど新興国市場でも、軽の技術は戦力だ。また、欧州のラリーなどで培った三菱ブランドの高い知名度と堅実な販売力も魅力である。
 日産と提携先のルノーに三菱自も合わせた世界販売台数は、トヨタやフォルクスワーゲンに迫る年間約950万台だ。日産のゴーン社長は「16年度に1000万台」の目標を公言している。その実現が目前に迫り、「世界一」にも手が届く。
 日産は、旧安田財閥系企業が中心の芙蓉グループの一員だが、三菱自を通じて三菱グループともつながることになる。600社以上・総売上高50兆円超の企業集団と、関係を築く意味は小さくないだろう。
 しかし、三菱自の今後は不透明で日産の足かせになる恐れもある。
 問題発覚後、日産ブランドも含む軽4車種の4月販売は前年同月比60%以上減り、急な回復は望めない。一方で不正の対象車種が広がる心配があり、経営のどのレベルまで不正に関与していたかという核心も未解明だ。
 何よりも企業体質を根本から見直さなくてはいけない。2度の不祥事で経営の瀬戸際に追い込まれながら、なぜ再び不正に手を染め、自らただすこともできなかったか。そうした体質をどう改めていくのか。
 三菱自が信頼を取り戻す出発点は、トップの交代や販売の回復ではなく、その点に尽きるだろう。
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日本経済新聞 2016/5/13付
社説:三菱自動車は日産傘下で再生するのか


 急転直下の展開に驚いた人も多いだろう。燃費不正に揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入り、再建をめざすことになった。日産との提携を機に、閉鎖的で不正を繰り返す体質から三菱自が脱却し、健全な会社に生まれ変わるのか注目したい。
 世界の自動車産業は環境対応や自動運転技術の進化で変革期を迎えている。三菱自クラスの中堅規模のメーカーは、それでなくとも単独での生き残りが難しくなっている。ましてや度重なる不祥事で信用が地に落ちた三菱自は、外部からの支援なしには会社の存続もおぼつかない情勢だった。
 日産は2370億円を投じて三菱自の第三者割当増資を引き受け、34%の株式を握る筆頭株主になる。取締役も複数派遣する。他方で日産のカルロス・ゴーン社長は「三菱ブランドを守り育てる」とも述べ、三菱自の独立性を尊重する考えを示した。
 三菱自は約10年前にもリコール隠しで経営危機に陥り、三菱重工業など三菱グループ各社の支援を仰いで乗り切った。今回はグループ各社からも突き放した声が聞かれ、「外国企業に身売りするぐらいしか存続の道はないのではないか」という見方も出ていた。
 その意味で、軽自動車を通じて提携関係にあり、首脳同士も互いによく知る日産が再建スポンサーに名乗りを上げたことは、三菱自にとって得がたい機会だ。まずは燃費不正の全容解明と消費者などへの補償を急ぎ、再発防止に万全を期さないといけない。
 軽自動車をめぐる燃費不正の背景には、ライバル各社に対する技術面の劣後がある。三菱自の益子修会長は「技術開発でも日産から支援をもらい、意識や風土の改革をはかりたい」と表明した。
 日産にとっては出資に見合う成果が問われる。部品の共同調達、両社がともに力を入れる電気自動車の技術開発の加速、日産が弱い東南アジア地域での協業などが課題だ。三菱自に対し、痛みを伴うリストラを求めざるを得なくなる場面もでてくるだろう。
 自動車産業では、トヨタ自動車によるダイハツ工業の完全子会社化やグーグルとフィアット・クライスラー・オートモービルズの自動運転車両をめぐる協業など、提携が相次いでいる。ライバル会社とも協力関係を築き、そこから収穫を引き出す。そんな手腕が経営者に求められる時代である。
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産経新聞 2016.5.13 05:03
【主張】日産の三菱自支援…疑惑残した再生あり得ぬ


 燃費データ不正問題に揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下に入り、経営再建を目指すことになった。
 三菱自は軽自動車の生産・販売を停止するなど、会社の存続自体が危ぶまれていた。日産の支援で生き残りを図る窮余の判断なのだろう。
 ただし、経営再建の前提は偽装の全容解明と公表、顧客への補償などである。三菱自は「調査中」を繰り返し、実態究明からはほど遠い。いまだ明確な説明を受けていない購入者の不安をどう考えているのか。
 三菱自は、2度にわたるリコール隠しで厳しい社会的な批判を浴び、再生を誓ったが、その間も社内で偽装が行われていた。この企業体質を抜本的に改革し、顧客の信頼を取り戻さなければ、再生への道など開きようがない。
 日産と三菱自の資本・業務提携により、日産は34%を出資して筆頭株主となる。「三菱」ブランドは維持するという。両社はこれまでも軽自動車で提携しており、今後は、アジアなど海外市場の開拓でも連携を図る。
 だが、三菱自に対する不信感が収まるどころか拡大している点を日産側も深刻に受け止めるべきである。
 国土交通省への報告では、偽装が判明した軽4車種に加え、スポーツ用多目的車など9車種でも不正の疑いがあったという。定められた方法で試験すると排ガス性能が低下する車両もあり、早急な対策が急務である。
 日産のカルロス・ゴーン社長と三菱自の益子修会長は会見で、信頼回復に向けて両社で協力していく考えを強調した。だが、三菱自は社員への聞き取りに時間を要し、偽装対象の車両や台数は特定できていないという。危機感が欠如しているというほかない。
 三菱自はようやく軽4車種の購入者に対し、ガソリン代の差額などを補償する通知を始めたが、具体的な金額などは記していないという。これで納得を得られるはずもなかろう。
 不祥事を繰り返しながら一向に企業体質が改まらない三菱自に対しては、三菱グループ内からも突き放す声が上がり、多くの支援は望めないのが実情だった。
 日産は筆頭株主として会長も派遣する以上、三菱自の膿(うみ)を全て出し切るよう経営改革を貫徹させる責務がある。
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東京新聞 2016年5月13日
【社説】日産傘下で再建 三菱自、疑惑も解明を


 燃費偽装で揺れる三菱自動車が日産自動車の傘下で再建を目指すことになった。多くの雇用にも影響しかねない経営危機だけに、ぎりぎりの判断と受けとめたい。ただ、疑惑の全容解明は必要だ。
 軽自動車の燃費データ改ざん問題でブランドイメージが悪化した三菱自の販売は、急速に悪化している。
 リコール隠しによる二〇〇五年の経営危機後、三菱グループの支援で再建を進め、財務体質は安定してきた。ただ今後の補償問題や販売競争を見通すと、単独での再建は厳しい。三菱グループの支援も今回は期待できない状況だけに、軽自動車で提携関係にある日産の傘下入りは、ぎりぎりの決断といえる。
 三菱自は八社がひしめく国内自動車メーカーで下位とはいえ、連結の売上高は二兆円、従業員は三万人を超える大企業だ。部品メーカーなどの下請けも含めれば、雇用や地域経済に与える影響は極めて大きい。日産の傘下入りで合理化を求められる場面も予想されるが、雇用、地域経済への影響を最小限にとどめる努力と責任を果たしてもらいたい。
 三菱自の経営危機、そして業界再編につながることになった今回の燃費偽装について、いくつか指摘しておきたい。
 公表データと実際の燃費が乖離(かいり)している現実のためか、三菱グループの首脳から燃費データそのものを軽視する発言があった。だが、価格も維持費も安い軽自動車の購入者が燃費を重視するのは当然だ。燃費競争の背景には省エネや排ガスなどの環境性能、地球温暖化問題という国際的な課題があることを忘れてはいけない。三菱自はこの課題に応えられず不正に走ったともいえる。
 もうひとつは技術革新がある。株式市場では、既存の自動車メーカーから情報技術(IT)企業がしのぎを削る自動運転車や電気自動車(EV)の関連企業に資金が向かっている。技術革新には巨額の研究開発費や設備投資が必要で、この面でも三菱自は追い詰められていた。
 三菱自の十一日の記者会見では誰の指示、判断で不正が行われたのかという核心部分は明らかになっていない。
 不正会計の東芝と同じく、閉鎖的な企業風土の中で上層部からの暗黙の圧力、指示が原因だとすれば、グローバル化が進む中、日本的経営のあり方に関わる問題となる。全容の解明を求めたい。
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