2016-05-13(Fri)

三菱自動車燃費不正 社説等(6) 体質変えねば再生せぬ

不正拡大 日産傘下入り 体質の改革が問われる 日産の下で解明なるか 体質の改革が問われる

<各紙社説・主張>
北海道新聞)三菱自動車 不正体質の一掃を図れ(5/13) 
信濃毎日新聞)三菱・日産提携 体質の改革が問われる(5/13)
福井新聞)三菱自動車 燃費不正 「現場主義」の希薄さ露呈(5/13)
京都新聞)三菱の不正拡大  体質変えねば再生せぬ(5/13)
中国新聞)三菱自、日産傘下入り 燃費不正、解明を果たせ(5/13)

山陽新聞)三菱自と日産 雇用の維持が欠かせない(5/13)
徳島新聞)三菱自が日産傘下 今度こそ本気で再生図れ(5/13)
熊本日日新聞)三菱自、日産と提携 信頼回復まだ見通せない(5/13)
南日本新聞)[三菱自燃費不正] 日産の下で解明なるか(5/13)




以下引用



北海道新聞 2016/05/13 08:50
社説:三菱自動車 不正体質の一掃を図れ

 
 燃費データの改ざんで販売が落ち込む三菱自動車が、軽自動車の供給先の日産自動車傘下に入って再建を目指すことで、両社がきのう基本合意した。
 日産三菱自動車の34%の株を10月に取得して筆頭株主になったうえで、三菱自動車に会長を含む4人の取締役を派遣する。三菱のブランドは維持される。
 不正行為による信用失墜で三菱自動車の自力再建が難しくなる一方、日産は提携による販売力強化に期待している。
 これを機に、三菱自動車は不正体質を一掃せねばならない。
 燃費データは車の性能にかかわる重要な数字だ。不正行為の全容と、経営陣の関与の有無を含む背景を徹底解明することが急務だ。
 三菱自動車が国土交通省に行った2回目の報告では、公表済みの軽自動車4車種以外でも、不正があったことを明らかにした。
 スポーツタイプ多目的車の「RVR」など複数車種で、必要な走行試験をせずに机上計算だけでデータを取った疑いがある。
 問題の軽自動車のカタログに記した燃費は、最大で15%も良く見せかけていたこともわかった。調査の公表のたびにごまかしの範囲は広がる。法令順守の意識が欠如していると言わざるを得ない。
 不正行為について、益子修会長は組織ぐるみとの見方を否定した。しかし、管理職や役員から燃費向上の要請があり、現場は必ず達成させるべき目標と受け止めていたとされる。
 改ざんを現場だけの責任にすべきではない。不正を許す風土をつくってきた経営陣の責任は重い。
 軽自動車を主に造る岡山県の水島製作所では生産ラインが止まり、部品を納める中小企業は経営不安を抱いている。全国の販売店も売り上げ減少に苦しんでいる。
 地域経済や雇用への影響を極力抑えるよう、対応してほしい。
 三菱自動車の日産傘下入りで国内業界はトヨタ自動車、ホンダを含む3グループへの集約が進む。
 日産は、三菱自動車が強みとする東南アジアの市場開拓を図る姿勢だ。両社はエンジンや電気自動車の開発で協力する。
 経営上の思惑が一致したとはいえ、問題は三菱自動車が何度も消費者を裏切ってきたことだ。
 2000年と04年にリコール(無料の回収・修理)隠しが発覚し、グループの主要企業の支援を受けたものの、不正行為は続いた。
 信用回復には長い年月がかかることを肝に銘じるべきだ。
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信濃毎日新聞 (2016年5月13日)
社説:三菱・日産提携 体質の改革が問われる


 会社の体質をどう改めるのか。険しい道のりになる。
 燃費データの不正で経営問題に直面する三菱自動車が、日産自動車の傘下で再建を図る方向となった。日産が三菱自動車の株式を34%取得して、筆頭株主になる。
 不正問題の発表から3週間余である。迅速に判断したのは、影響が甚大だからだろう。
 4月の軽自動車の新車販売台数はほぼ半減した。当初発表した4車種以外にも燃費データを偽装した疑いがあることも分かった。
 2000年のリコール(無料の回収・修理)隠しの発覚後も不正が繰り返され、揚げ句に今回の不正問題である。消費者の信頼を単独で取り戻すのは難しい事態に追い込まれていた。
 日産は会長を含めて4取締役を派遣し、再建を支援する。三菱自動車の株価はきのう、ストップ高となった。問題が解決に向かうという期待の大きさがうかがえる。
 それでも再建は簡単ではないだろう。立て直す必要があるのは、資金で解決できる財務の問題ではないからだ。
 三菱自動車はリコール隠しで経営の屋台骨が揺らいだ。消費者に真摯(しんし)に向き合わないと市場に見放されることは、身に染みて理解していたはずだ。それなのに教訓を全く生かせなかった。
 変わらない体質が問題の背景にあるのは明らかだ。
 不正があった車種では、燃費目標が約2年間で5回にわたって引き上げられている。上層部が現実的に達成が難しい目標を現場に押し付け、現場は「必達目標」と感じ不正に走る。最も大切なコンプライアンス(法令順守)の精神は抜け落ちていた。
 歴代上層部の責任は大きい。それなのに、最高経営責任者(CEO)の益子修会長が公の場に姿を見せて謝罪したのは、問題発覚から3週間後に当たる11日だった。
 同席した相川哲郎社長は不正に関与したのは走行試験の担当部署や、走行試験の実務を担った子会社の担当者と説明し、組織ぐるみの関与を否定した。2人は辞任の意向を示したものの、問題の根本を見誤っているのではないか。
 きのうの会見でも益子会長は「提携で開発部門の風土、意識改革を図る」と述べている。それだけでは三菱自動車の信頼は回復しないだろう。不正の実態を早急に明らかにして、原因を直視することから始めなくてはならない。問われているのは経営者と会社全体の意識である。
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福井新聞 (2016年5月13日午前7時30分)
論説:三菱自動車 燃費不正 「現場主義」の希薄さ露呈


 【論説】三菱自動車の燃費偽装をめぐる疑惑は広がるばかりだ。窮地に立つ同社は日産自動車傘下で経営再建を目指すことを決めたが、まず徹底的に原因を究明し、経営責任を含めて企業体質を改め、意識改革しなければ信頼回復は得られまい。
 経営陣は会見のたびに詳細は「調査中」、補償は「検討中」と繰り返している。全容解明が程遠い中で、浮き彫りになるのは「顧客満足」の欠如である。
 グローバル自動車業界は国内はもとより世界で競争が激化している。生き残りをかけて新型車開発や高性能化にしのぎを削り、現場は絶えず結果を出さなければならない重圧がかかる。
 特に燃費に関してユーザーは敏感だ。「必達目標」の圧力は強まり、一度不正に手を染めると「ブレーキ」が利かなくなるのだろう。ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制逃れも構図は同じだ。
 三菱自はこの無限競争に打ち勝つため、「企業の社会的責任」や「企業統治」「法令順守」といった企業価値を高める精神をどう追求してきたのか。モノづくりに不可欠な「現場主義」の徹底が発揮されてきたのか、疑問が残る。
 これまでの発表によると2013年以降、国土交通省に報告する燃費試験のデータに手を加えて5〜10%程度良く見せかけていた。対象は軽自動車4車種の計62万5千台。不正発覚で生産・販売停止を余儀なくされた。11日の発表では、一部で実際の燃費がカタログ値より最大15%悪化することも判明した。
 さらにスポーツタイプ多目的車「RVR」でも燃費試験データを机上で計算していた可能性が浮上。91年以降25年間にわたり「ミラージュ」など3車種を除く全車種で違法な方法による走行抵抗値の測定が行われていたことも判明し、法令違反の常態化が露呈した。
 三菱自は「安全性に問題はない」「燃費値に大きな違いはない」として販売を続けるというが、ユーザーの信頼を裏切った経営責任は厳しく問われよう。
 軽4車種の燃費偽装に関しては子会社が行ったとする。だが、本社の性能試験部が長期間にわたって全く関知せず、状況確認もしなかったとは考えられない。経営陣自らが指摘するように、閉鎖的な企業体質が抱える「問題の根は深い」。
 三菱自の不正行為が明らかになったのはこの十数年で3回目だ。00年にリコールにつながるクレーム情報隠しが発覚、04年にも過去に同様の不正をしていたことが判明した。これら不正でタイヤ脱落による死傷事故が発生。販売台数激減で危機に陥り、三菱グループの支援を得て再建した。
 今回の不正でブランドイメージは再び大きく傷つき業績に大きな打撃を受けるのは避けられない。一方、監督官庁の国交省も不正を見逃し続けた。他のメーカーにも同様の不正がないか報告するよう指示したが、試験の在り方を根本的に見直すべきではないか。これ以上「ジャパンブランド」を劣化させてはならない。
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[京都新聞 2016年05月13日掲載]
社説:三菱の不正拡大  体質変えねば再生せぬ


 新たな後ろ盾を得ようが、根深い不正の体質を改めない限りメーカーとして存続する資格はない。
 三菱自動車による燃費不正問題が広がりを見せている。データを改ざんしていた軽自動車4車種以外の一般車に偽装の疑いが及び、違法なデータ測定はほぼ全車種で常態化していた。
 生産・販売が急減する中、三菱自は日産自動車から出資を受けて傘下入りする方向で、自動車業界の大型再編に発展しそうだ。しかし、不正問題の調査状況は「全容にはほど遠い」と国土交通省が再報告を指示し、むしろ疑惑は拡大している。再生への道筋は見通せない。
 三菱自が新たに不正の可能性を公表したのは、スポーツタイプ多目的車「RVR」を含む販売中の9車種などで、必要な走行試験を行わずに机上計算だけでデータを得た疑いがある。軽自動車は改ざんで燃費を5~10%良く見せかけたと説明していたが、再測定で最大15%の水増しだったとした。
 だが、広がる不正の具体的な内容や経緯は不透明なままだ。経営陣は会見で、走行試験の実務を担う子会社の担当者が関わったとしたが、本社の関与などは「調査中」と繰り返した。
 データが改ざんされた軽自動車の主力車種では、社長らが出席する商品会議などで燃費目標が約2年で5回も引き上げられた。競合他社に追い付くための過大な目標達成の圧力があったのは明らかだ。どう目標をクリアしたのか経営陣が確認していなかったとの説明は不自然さを拭えない。
 さらに走行試験のデータ測定も25年前から3車種を除く全車種で法令と異なる方法で行っていた。2000年と04年のリコール(無料の回収・修理)隠し問題の間も不正を続けており、順法意識の欠如に開いた口がふさがらない。
 ところが、偽装を疑う9車種を含め法令通り測定してもほぼ同じだったとして販売を続け、海外向けは現地法令に沿って問題はないと説明する。国内の消費者の軽視も甚だしい。
 日産の傘下入りは失墜した信頼の回復と開発力強化が狙いだが、ブランド再生は限りなく厳しい。これまで三菱グループの支援が甘えを招いていた面もあり、繰り返しになりかねない。
 不正が誰の指示でいかに行われ、経営陣を含む組織がどう関わり、なぜ防げなかったか。日産はじめ外部の目を交え徹底的にウミを出し切ることが不可欠だ。見逃してきた国は全容解明と再発防止に毅然(きぜん)と取り組まねばならない。
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中国新聞 2016/5/13
社説:三菱自、日産傘下入り 燃費不正、解明を果たせ


 燃費データ不正問題に揺れる三菱自動車が、資本業務提携を通じて日産自動車の傘下に入る見通しとなった。三菱自は2000年のリコール隠し問題の発覚後も不正が繰り返され、消費者の信頼は地に落ちて企業として存続の危機に立っている。
 三菱重工など三菱グループによる支援は難しく、既に軽自動車を共同開発している日産の軍門に下るのはやむ得ない選択だろう。しかし顧客などへの補償や地域の雇用維持はもちろん、燃費データ不正の真相解明をおざなりにしてもらっては困る。
 三菱自のおとといの記者会見では益子修会長が自らの経営責任を認め、顧客らに謝罪した。だが、かえって疑惑は広がり疑問が多々残る結果ともなった。いったいこの「闇」はどこまで深いのか、空恐ろしくなる。
 燃費不正は軽自動車4車種以外のスポーツタイプ多目的車(SUV)でも行われていたことが新たに分かった。必要な走行実験をせず、机上で計算するといった不正である。にもかかわらず、あらためて計測した燃費との差は小さいため、SUVの生産・販売は続けるとしている。事態をあまりに軽視した受け答えと言わざるを得ない。
 また、既に不正が見つかった軽自動車4車種には、実際の燃費が最大15%悪くなるデータがあったことも分かった。これまでは5~10%と説明していたから、当初の見通しがいかに甘かったかという証拠であろう。
 こうして疑惑が広がったこと自体が由々しき問題であり、企業体質が一層問われてくる。
 経営陣は不正が組織ぐるみではないとし、走行試験に関わる担当部署や子会社の現場で行われた、としている。しかし燃費データに不正があった車種の一つは、発売までに社長らが出席する会議などで燃費目標がほぼ2年間で5回も変更された。
 国土交通省への報告書によると、当時の目標は競合車を強く意識したもので、現実的には達成困難だった。現場はこれを「必達目標」と受け止めたようで、経営陣の圧力が不正の背景にあった疑いは増す一方だ。
 にもかかわらず、きのうの提携の基本合意の共同記者会見は深刻さがうかがえなかった。
 益子会長は「提携は信頼の回復や経営の安定を目指す上で重要な道筋だ」、日産のカルロス・ゴーン社長は「(三菱自の)失われた信頼回復に力を注ぐ」と述べるなど不正に言及した。しかし益子会長が「自然な流れで今日を迎えた」などと日産を持ち上げ、未来志向を演出したことに違和感を禁じ得ない。
 企業再建のため提携交渉に突き進む前に、まず不正を生んだ構造を明らかにすべきだろう。三菱自の相川哲郎社長は違法な試験は「知り得なかった」と釈明しているが、経営者として無責任のそしりを免れまい。
 国交省も「全容解明には程遠い」との見方である。車の生産に必要な国の認証を取り消すことも検討する一方、燃費性能の検査方法を見直すという。
 日産も人ごとではない。燃費不正に該当する軽自動車の開発は、日産との折半出資会社を通じて手掛けていた。三菱自が燃費不正の問題を包み隠さず明らかにするよう促し、経営陣の責任を厳しく問う姿勢が求められよう。「信頼回復」の道筋は、それをおいてほかにない。
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山陽新聞(2016年05月13日 08時00分 更新)
社説:三菱自と日産 雇用の維持が欠かせない


 燃費データ改ざん問題で経営悪化が避けられない三菱自動車が事実上、日産自動車の傘下に入り、経営再建を目指すことになった。地域の雇用をしっかり維持し安定させていくことが強く求められる。
 三菱自と日産は2011年に軽自動車の企画、開発を手掛ける共同出資会社を設立、三菱自の主力工場・水島製作所(倉敷市)で日産向けの軽自動車を生産しているが、資本関係はなかった。今後は提携関係をさらに拡大し、電気自動車などの分野でも連携を強化する方針という。
 きのうの記者会見で、三菱自の益子修会長は、水島製作所で引き続き軽自動車を生産していく考えを示した。地元では、同製作所の閉鎖という最悪のケースを挙げる声も出ていた。軽自動車の生産拠点を持たない日産への傘下入りで、同製作所の位置付けが安定するよう期待したい。
 岡山県によると、水島製作所と構内の協力会社、近隣の1次協力部品メーカーの従業員は計約1万4千人に上る。三菱自はかつて組織的なリコール(無料の回収・修理)隠しが発覚し経営危機に見舞われたが、三菱グループの支援などで再建を進めてきた。今回の不正は消費者だけでなく、再建に向け、ものづくりに真摯(しんし)に取り組んできた同製作所や協力会社の従業員らを裏切る格好となった。
 これらの人々が雇用を失うとすれば、あまりに理不尽と言わざるを得ない。今回の合意をもとに、生産や取引の維持につなげてほしい。
 水島製作所では15年度に30万9500台を生産。このうち主力の「eKワゴン」や、日産向けの「デイズ」など燃費不正が明らかになった軽自動車4車種が6割を占める。
 不正の発覚を受けて対象の車種は生産停止となり、軽自動車の生産に携わっていた約1300人は自宅待機が続いている。部品メーカーでも、減産や一部の従業員が自宅待機を余儀なくされるなどの状況になった。生産停止が長期化すれば、影響の拡大は避けられないだけに、雇用の維持に向け、早急な生産開始が求められる。
 岡山県は、県内の商工団体や金融機関などによる対策会議を設け、取引先企業の支援に乗りだした。11日に国土交通省などを訪れた伊原木隆太知事は「異常事態で、ひどい目に遭っているのは不正に関わっていない地元の人たちだ」として、生産や販売再開に向けた手続きの迅速化などを要望した。
 協力会社の間には、日産傘下に入ることで、取引に影響が出ることを懸念する声もあり、影響の見極めも必要だ。
 不正問題の全容解明も急がれる。三菱自が11日に国交省への再報告後に開いた記者会見では、組織ぐるみの関与を否定したものの、事実関係の詳細な説明はなされなかった。早急に説明責任を果たすとともに、再発防止策を打ち出すのは当然のことだろう。
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徳島新聞 2016年5月13日付
社説:三菱自が日産傘下 今度こそ本気で再生図れ


 燃費データの不正問題に揺れる三菱自動車が、事実上、日産自動車の傘下に入ることになった。
 消費者からの信頼が地に落ち、単独での生き残りが難しいと判断した結果である。
 何度も不正を繰り返し、その都度、出直しを図るとしてきた三菱自動車に、自浄能力がないのははっきりしている。傘下入りは賢明な選択といえるだろう。
 崖っぷちに立つ同社には、もう後がない。日本のものづくりへの信用を回復させ、従業員の雇用を守るためにも、今度こそ全社を挙げて、本気で再生に取り組まなければならない。
 傘下入りは資本業務提携する形で行い、日産が2千億円超を出資して、三菱自動車株の34%を取得する。これにより、日産は三菱重工業を抜いて筆頭株主となり、株主総会で重要案件の決定を拒否できるようになる。
 三菱自動車はこれまで、三菱グループの支えを頼みとしてきたが、今回の問題ではグループ各社が支援に消極的だった。不祥事が後を絶たず、見放されたのは自業自得といえよう。
 日産にとっては、東南アジアで強みを持つ三菱自動車を傘下に入れることで、事業力を強化できる利点がある。
 自前の軽自動車の生産拠点を持たず、三菱自動車に生産を委託していることから、同社が行き詰まると、戦略の転換を迫られるとの事情もあったようだ。
三菱自動車は、日産の傘下に入ることでブランド力の復活を目指すという。だが、失われた信頼を取り戻すのは容易ではあるまい。
 大切なのは、規模の拡大に走るのではなく、一人一人の消費者にしっかりと目を向け、顧客を第一に考える姿勢である。今、何よりも求められるのは、企業の体質を改善することだ。
 燃費データ不正を巡り、三菱自動車は先日、軽自動車4車種以外でも偽装が行われていた疑いがあると発表した。社長は組織ぐるみを否定しているが、25年間も不正な走行試験を続け、車種も広がるなど、疑念は高まっている。
 現場の人間が上役の顔色をうかがう傾向が強いことが、不正の一因になっているとの指摘もある。まずは足元を見つめ直し、社内の風土を改めることから始めるべきだ。
 三菱自動車の傘下入りで、国内の自動車業界はトヨタ自動車、ホンダ、日産の3グループに集約される。
 日産とフランスのルノー連合は、世界販売台数で3位の米ゼネラル・モーターズに迫ることになる。日本の国際競争力が高まるという意味で、業界の大型再編を前向きに捉えたい。
 日産と三菱自動車は、自動運転車や電気自動車などの技術開発でも連携していくという。互いの強みを生かし、相乗効果を発揮することができるかどうか。その行方に消費者の目が注がれている。
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熊本日日新聞 2016年05月13日
社説:三菱自、日産と提携 信頼回復まだ見通せない


 燃費データ不正問題で販売台数が急減している三菱自動車は、日産自動車と資本業務提携し、事実上同社の傘下に入って経営再建を目指す方向になった。
 資本業務提携について、三菱自の益子修会長は記者会見で「信頼の回復と経営の安定化を目指す上で重要な道筋だ」と話し、日産のカルロス・ゴーン社長は「双方にとって、ウィンウィン(相互利益)の内容だ」と説明した。
 しかし三菱自がリコール隠し発覚後も不正を繰り返していたことへの消費者の不信感は強い。両社の提携が実現しても、失墜した信頼を取り戻せるかは見通せない。
 三菱自は4月の軽自動車の新車販売台数が前年同月と比べほぼ半減。軽自動車の生産再開の見通しが立たない上、不正は軽以外にも拡大しつつある。ユーザーへの補償も膨らむ見込みだ。経営の打撃は長期化しそうで、単独での生き残りは難しいとの判断があったようだ。一方の日産も三菱自に軽自動車の生産を委託しており、同社の経営が行き詰まれば大きな戦略転換が避けられない事情があった。
 三菱自が2013年6月から生産した軽自動車4車種の計62万5千台で、燃費データの改ざんがあったと発表したのは4月20日。約25年にわたって、違法な走行試験を繰り返して燃費データを計測していたことも明らかになった。
 また、問題の軽自動車では、最も燃費が良いタイプだけ走行試験を実施し、その上でデータを改ざんしていた。ほかの車種では改ざんしたデータを参考に、走行試験なしで机上計算も行っていた。
 11日になって同社は、軽4車種以外の複数車種でも、燃費データを適正に算出していなかった疑いがあることを明らかにした。会見で同社は、走行試験を担当する部署や開発を委託した子会社の担当者が改ざんに関わったとしながら、事実関係の詳細は「調査中」とするだけだった。三菱自が出直すためには、なぜ不正が続いていたかや幹部の関与はあったのかなど、その全容を急ぎ明らかにする必要がある。
 世界的な温室効果ガス削減への取り組みや国内景気の低迷を受けて各社はエコカー開発競争を加速させ、その結果、日本車は環境性能で世界のトップクラスを守ってきた。不正が長期間にわたって続いた背景には、エコカー開発競争で遅れまいとする経営陣の焦りがあったのだろう。
 達成困難な目標を課されても現場が従うしかないという、三菱自の上意下達の企業体質も指摘されている。抜本的な組織の見直しは避けられまい。
 三菱自のデータをうのみにして正確性をチェックしてこなかった国土交通省の責任も問われよう。自動車購入時の判断を左右する燃費の不正は、「日本ブランド」を大きく傷つけることになった。
 「性善説」を前提としていて不正を見抜けない制度にも欠陥がある。国は抜本的な再発防止のシステムづくりを急ぐべきだ。
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南日本新聞 (2016/ 5/13 付 )
社説:[三菱自燃費不正] 日産の下で解明なるか


 燃費データ改ざんで揺れる三菱自動車は、日産の実質傘下で再建を目指すことになった。
 両社はきのう、それぞれ取締役会を開いて資本業務提携の交渉入りを決めた。日産が2000億円超で三菱自の株の34%程度を得て、筆頭株主となる見込みだ。
 三菱自は、日産の力を借りて財務体質の強化やブランドの再生を期す。日産は東南アジアで強い三菱自を傘下に入れ、グループの事業力を高めていく。
 ただ、三菱自の不正解明は道半ばである。それどころか当初の軽自動車4車種以外の9車種などにも不正の疑いが出てきた。
 過去にリコール隠しを重ね、タイヤ脱落による死傷事故の刑事責任まで問われた裏で、データ不正を繰り返していた会社である。日産の下で全容解明して再生できるのか。今度こそ正念場だ。
 三菱自の不正は、複数かつ長期間にわたった。
 メーカーは国の燃費試験を受ける前に屋外で車を走らせ、タイヤなどの抵抗値を測る。国はこの値を使い、屋内で試験する。
 抵抗の測り方は1991年に法律で定められたが、三菱自はより簡単な方法で実施した。2001年には規定と異なることを認識していたとみられる。
 そればかりか、軽の4車種で実際に走行試験したのは、2車種の最も燃費の良いグレードだけだった。車種やグレードごとに試験して、国に報告する必要があるにもかかわらずである。
 残りは、走行した車の改ざんデータに独自の計算式を加えて抵抗値を出した。そのため、一部の軽の燃費はカタログ値より最大15%悪くなることが分かった。
 こうした偽装が、スポーツタイプ多目的車でも行われた疑いがある。10年超の資料は処分できる社内規定があり、詳しい経緯の解明が難しい恐れも出てきた。
 ここまでくると、悪質と言わざるを得ない。経営陣も含め組織ぐるみでは、との疑念も湧く。
 だが、相川哲郎社長は「(組織ぐるみとは)考えていない」と強調した。本社で走行試験を行う部署や、実務を担う子会社の担当者が関与したのだという。
 では、現場は何のために不正をはたらき、どんな利益を得たのか。三菱自は説明すべきだ。
 経営責任も見過ごせない。
 益子修会長は「責任は逃れることができない」と述べた。不正の実態が解明された段階で相川社長とともに辞任の方向だ。
 日産との資本業務提携の交渉入りを機に、早急に経営陣を刷新して出直すべきではないか。
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