2016-05-13(Fri)

熊本地震 復旧・復興へ 社説等 160510-13

復興へこれからが正念場 非常災害指定  復旧の加速につなげよ
農林水産業の被災 基幹産業の再建へ全力を 避難者の健康支援 見守り強化で孤立防ごう


<各紙社説・主張>
神戸新聞)被災地の子ども/心を癒やすケアを息長く(5/13)
神戸新聞)庁舎の損壊/防災拠点の耐震化を急げ(5/13)
西日本新聞)熊本地震1カ月 復興へこれからが正念場(5/13)
宮崎日日新聞)災害時の事業継続 中小企業も危機管理強化を(5/13)
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産経新聞)熊本に復興法 地元意向ふまえ運用せよ(5/11)
京都新聞)非常災害指定  復旧の加速につなげよ(5/11)
西日本新聞)震災と熱中症 避難生活では特に警戒を(5/11)
熊本日日新聞)農林水産業の被災 基幹産業の再建へ全力を(5/11)
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読売新聞)熊本農林業被害 きめ細かい支援で再建図ろう(5/10)
しんぶん赤旗)熊本地震の長期化 原発の不安に向き合うべきだ(5/10)
西日本新聞)地震の農業被害 国や県は最大限の支援を(5/10)
熊本日日新聞)避難者の健康支援 見守り強化で孤立防ごう(5/10)




以下引用



神戸新聞 2016/05/13
社説:被災地の子ども/心を癒やすケアを息長く


 熊本地震で休校していた熊本県内の公立学校が発生から1カ月を前に全て再開にこぎつけ、教室に子どもたちの笑顔が戻ってきた。
 ただ、相次ぐ揺れや避難生活によるストレスの影響は計り知れない。見かけは元気そうな子どもも、心身の不調をうまく表現できなかったり、親や周囲の大人に気を遣って我慢していたりする場合がある。
 熊本県内の児童相談所には「地震が怖くて家に帰るのを嫌がる」「かんしゃくがひどくなった」などの相談が寄せられる。避難所でも「急に泣いたり怒ったりする」「言葉数が少なくなった」など子どもの変化を心配する声が出ているという。
 小さなSOSを受け止め、子どもたちが心から笑える日常を一日も早く取り戻せるよう、関係機関が連携して手だてを尽くしたい。
 兵庫県こころのケアセンターはホームページで、子どもの心のケアの留意点などを教職員や保護者向けにまとめた冊子を公開している。無理に聞き出そうとしない、話し始めたら遮らずにじっくり聴くなど、子どもが自然に感情をはき出せるような気配りが大切だと指摘する。
 つらい体験によるトラウマ(心的外傷)が深い場合は、長期にわたり心と体の健康を損なうケースもある。周りが早めに気付いて専門の医療機関につなぐなど、正しい知識に基づく適切な対応が欠かせない。
 阪神・淡路大震災では、心のケアを要する児童生徒数が3~5年目に4千人を超え、10年たっても千人近くに上った。年月とともに地震時のトラウマは薄らぐが、住環境や経済状況の変化、家族・友人関係が要因となるケースが増えていく。
 子どもたちが多くの時間を過ごす学校が心のケアに果たす役割は大きい。スクールカウンセラーの増員や教育復興担当教員の加配など、学校を支える体制の強化は急務だ。一時避難などで熊本県外に転校する子どもへの配慮も忘れてはならない。
 被災地では、兵庫県の教職員でつくる震災・学校支援チーム「EARTH(アース)」が発生直後から避難所運営や学校再開に向けて助言してきた。子どものストレスを解消しようと、思い切り遊べるスペースを設置し、遊び相手になる専門家やボランティアの活動も始まっている。
 過去の経験を生かし、被災地の子どもたちを息長く支えていきたい。
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神戸新聞 2016/05/13
社説:庁舎の損壊/防災拠点の耐震化を急げ


 熊本地震では市役所や町役場の庁舎の損壊が相次ぎ、機能が失われる事態に陥った。
 公共施設の中でも庁舎の耐震化は後回しになりがちだ。だが、災害時には対策本部が置かれ、司令塔としての役割を果たさねばならない施設だけに対策を急ぐ必要がある。
 今回、熊本県宇土市や益城町(ましきまち)など5市町の本庁舎が損壊し、使えなくなった。5階建ての宇土市役所本庁舎は、4月14日の「前震」でひびが入り、16日の「本震」で4階部分がつぶれて全体が傾いた。
 1965年の建設で、2003年の耐震診断では震度6強の地震で倒壊の恐れがあることが分かっていた。対策を検討していたが、小学校建て替えを優先し、新庁舎建設は先延ばしされていたという。
 庁舎以外の公共施設の被害も深刻だ。益城町の指定避難所の一つ、町総合体育館は照明が落下するなどし、被災者は武道場や廊下などに身を寄せるしかなかった。体育館や公民館などが損壊し、「頼みの綱」である避難所が閉鎖を余儀なくされるケースが多かった。
 阪神・淡路大震災を教訓に、耐震化は喫緊の課題とされてきたが、防災拠点となる公共施設が危うい状況であることが浮き彫りになった。
 総務省消防庁によると、自治体の公共施設の耐震化率は15年3月末時点で88・3%。年々、上昇してはいるが、耐震基準を満たしていない建物が約2万2千棟ある。
 施設別の耐震化率は、学校の校舎・体育館が94・6%に対し、市役所・町村役場の庁舎が74・8%と遅れが目立つ。
 兵庫県は公共施設全体が88・7%と全国平均とほぼ同じで、庁舎は73・1%とやはり低い。震災を経験した地域としては物足りない現状と言うしかない。
 公共施設は高度経済成長期に建てられた建物が多く、更新期を迎えている。手厚い補助のある公立小中学校の耐震化は進んだが、財政上の理由などで庁舎は足踏みしている。
 さらに今回、庁舎が損壊した自治体で代替庁舎や通信手段の確保などをあらかじめ決める業務継続計画(BCP)が未整備のため、混乱に拍車をかけたケースもあった。
 教訓を踏まえて災害対策を総点検し、何を優先して取り組むかをあらためて議論する必要がある。
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=2016/05/13付 西日本新聞朝刊=
社説:熊本地震1カ月 復興へこれからが正念場


2016年05月13日 10時44分
 「想定外」と何度も形容される熊本地震は、あすで発生から1カ月となる。
 震度7の揺れを2回起こし、震源域は大分県側や熊本県南部にまで拡大した。「当初の本震は前震にすぎなかった」という専門家の判断も狂わせた連続性地震は、熊本県を中心に広域的かつ甚大な被害をもたらしている。
 一時最大で20万人近くに上った避難者数は1万人余に減った。九州新幹線や九州自動車道など大動脈が復旧し、熊本市の繁華街はにぎわいを取り戻しつつある。
 だが、今なお大きな揺れが続いており、終息は見通せない。まさに正念場はこれからだ。
 引き続き警戒は怠れない。被災者は震災関連死のリスクと隣り合わせの過酷な避難生活が続く。仮設住宅の建設など住環境の整備を急ぐとともに、生活再建への確かな展望を切り開いていきたい。
 ●「東日本」を上回る
 被災地の無残な光景は今も変わっていない。
 熊本県で被害が甚大だった益城町は役場から熊本市までの約5キロが倒壊住
宅で覆われ、南阿蘇村は各地で道路が寸断されている。
 避難所の環境は改善されつつある。硬い廊下に寝泊まりしていた人たちは段ボール製の簡易ベッドに横たわっている。とはいえ、梅雨入りを控えて上昇する気温と人いきれでむせるほどだ。体力低下が懸念され、感染症や食中毒に対する警戒も欠かせない。
 地震で全半壊などした熊本県内の建物は7万棟を超えた。同県が西原村と甲佐町で最初の仮設住宅建設に着手したのは地震発生から15日後の4月29日だった。阪神大震災、東日本大震災と比べて1週間以上も遅い。
 震度7の地震に2度見舞われ、被害が一気に拡大したことで対応に追われ、仮設用地としての適否の判断に時間がかかった。
 それ以前に、仮設入居をはじめ義援金の受け取りなど生活再建への切符ともいえる「罹災(りさい)証明書」の発行すらままならなかった。「次の大地震」に備えながらの初動は困難を極めた。
 本震と余震。この概念を巡って、地震情報を発表する気象庁では混乱が生じているという。
 同庁は4月16日に起きたマグニチュード(M)7・3の地震(最大震度7)を「本震」とし、同14日に起きたM6・5の地震(同)を「前震」と位置づけ訂正した。
 最大規模の本震後に余震が続き、終息していく「本震-余震型」という当初予測は崩れた。
 震度7が連続することを現在の地震学は想定していない。
 考えてみれば、気象庁が蓄積しているのは明治以降のおよそ1世紀のデータである。活断層が動く千年、万年単位と比べれば、あまりに限定的な情報というしかない。
 熊本地震の特異性を象徴する数字が、時を経るにつれて明らかになっている。
 熊本県が住民に立ち入り自粛を求める県内の「危険宅地」は2千近くに上り、
東日本大震災の数字を上回った。県内のがれきなど災害廃棄物は最大約130万トンと推定され、新潟県中越地震の規模を超える見通しだ。
 ●前例踏襲を超えて
 こうした「想定外」の地震被害をどう克服していくか。
 熊本県が設置した「くまもと復旧復興有識者会議」(座長・五百旗頭(いおきべ)真熊本県立大理事長)は11日、緊急提言を発表した。単に「元に戻す」のではなく、元以上にする「創造的復興」という理念を掲げている。
 東日本大震災でも提唱された考え方だが、既存の政策・制度にとらわれずに被災者の救済と生活再建、地域の再生に取り組んでいきたい。前代未聞の震災に対応していくためには前例踏襲の発想を抜け出す必要があるからだ。
 熊本地震対策で政府は、復旧事業で国の補助率をかさ上げする激甚災害に指定したのに続き、国が地方の事業を肩代わりできる非常災害に指定した。
 総額7780億円の補正予算案もきょう閣議決定する。財源の許す限り、あらゆる政策手段を総動員してほしい。
 そして「創造的復興」とは被災地だけに限定せず、九州全体のテーマと捉えたい。息の長い取り組みを覚悟して、この未曽有の震災に立ち向かっていきたい。
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宮崎日日新聞 2016年5月13日
社説:災害時の事業継続
◆中小企業も危機管理強化を◆


 熊本地震では、自動車、家電メーカーなどの部品の調達・供給網が混乱し、全国各地の生産活動に大きな影響が出た。日本経済全体への打撃も懸念されている。
 災害など緊急事態への備えは十分か、各企業は改めて供給網の在り方を点検する必要に迫られている。大企業では緊急時の業務再開手順を定めた事業継続計画(BCP)の策定が進んできているが、対策の遅れている中小企業でもBCP策定を第一歩として危機管理体制の整備に努めたい。
生産拠点の分散化も
 トヨタ自動車は、熊本地震でドアやエンジンなどの部品を手掛けるグループのアイシン精機の子会社2社が被災。全国の車両組立工場のほとんどで生産を段階的に停止した。その後、アイシンが別の工場での代替生産を進めたことなどにより、国内組立工場を全面稼働させることができたが、トヨタによると、今回の車両組み立てライン停止に伴う減産規模は約8万台となった。
 九州には自動車部品や半導体などの生産拠点が集積しているため、影響は全国に広がり、自動車のほか家電製品やカメラなどの生産にも支障が出ている。製造業の生産活動全体の低迷につながれば、足踏みが続く国内景気に相当大きい影響を与える恐れがある。
 自動車の場合は1台当たり2万~3万個の部品が使われ、多数の部品メーカーから自動車メーカーの組立工場に供給されている。東日本大震災では、自動車などの部品供給網が長期間、機能不全に陥り、国内だけでなく北米や東南アジアでも完成車の生産が停止するなど、予想を超える影響が出た。
 これ以降、自動車などの各メーカーは部品調達先の多様化や生産拠点の分散化、設備の耐震化などを進めてきた。熊本地震で対策は生かされたのか検証し、欠けている点があれば改善する必要がある。既にアイシンなど各社は危機対応策の点検、検討を始めており、各社の取り組みを注視したい。
重要なインフラ担う
 供給網を維持するための基本とされるのがBCPだ。特に、災害に強い供給網を構築するためには、下請けを含む中小企業の役割が重要だ。しかし経済産業省がまとめた2016年版「中小企業白書」によると、中小企業でBCPを作っているのは15%にとどまる。
 どんな業種でも、緊急事態に遭遇したときに事業継続や早期復旧を可能とするためには、平常時から方法や手段を決めておくことが不可欠だ。ただ中小企業が独力でできることには限界もある。政府も後押しの手だてを考えるべきだ。
 県内でもBCPに基づく社屋の移転や、関連する事業所間で物的・人的な支援を行う相互援助協定の締結といった動きがみられ、一層進むことを期待したい。
 企業は生活用品の流通網など重要なインフラも担っている。産業界全体で、社会的責任の観点から災害対策に取り組む姿勢も大切だ。
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産経新聞 2016.5.11 05:02
【主張】熊本に復興法 地元意向ふまえ運用せよ


 政府は大規模災害復興法に基づき、熊本地震を「非常災害」に指定する政令を閣議決定した。
 これにより熊本県などが管理する道路や橋、トンネルなどのインフラ復旧を国が代行できる。
 地元自治体には避難所の運営や仮設住宅の建設といった避難住民の日常生活を支援する重要な仕事がある。国が前面に出て迅速に対処すれば、地元自治体の負担は減る。その意義は大きい。
 だが、復興の主体はあくまで被災した住民と地元自治体であることを忘れてはならない。地元の要請を十分に踏まえて取り組むことが大切であり、安倍晋三首相が「政府として全面的にバックアップする」と述べたのは当然だ。
 住民や自治体も国任せにせず、インフラ整備の優先順位などを主体的に考え、国の支援に反映させなくてはなるまい。
 今のところ、被害が比較的大きく、いまだ約600人の避難住民が暮らす南阿蘇村を中心とした県道トンネルや村道の橋などが国代行の対象とみられている。これらのインフラが整備されれば、人の移動や物流がスムーズとなり、支援も一段と進むだろう。
 東日本大震災では、国の対応の遅れが指摘され議論を呼んだ。復興法はその教訓を生かし、政府が早急に復旧・復興体制を整えられるよう平成25年に施行され、今回初めて適用された。
 同法の趣旨は「円滑かつ迅速な復興」に向けた骨格づくりを、国が全面支援することにある。その骨組みに肉付けし、血を通わせることまで見据え、地元の意向がきちんと反映される仕組みを構築してもらいたい。
 政府はすでに、熊本地震を激甚災害に指定し、地元自治体が取り組むインフラ復旧などで国の補助率を引き上げる財政支援策を講じている。「非常災害」に指定されても、この支援は受けられる。
 初適用であるだけに、行政側の事務作業を含めて円滑な運用を心がけてほしい。
 財源となる28年度補正予算案は17日に成立する運びだ。与野党は政局とは切り離し、最優先で取り組む必要がある。
 地震発生後、県外自治体の職員は1万2千人以上が被災地入りした。自治体間の連携が被災地支援で効果を上げている。国の対応と併せ、行政は総力を尽くし、支援を加速させてもらいたい。
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[京都新聞 2016年05月11日掲載]
社説:非常災害指定  復旧の加速につなげよ


 政府は、熊本地震を大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定することを決めた。
 東日本大震災後の2013年に法施行されて初の適用で、被災自治体が管理する道路などの復旧事業を国が代行できるようになる。
 熊本地震では多くのインフラや住宅が損壊し、なお1万1千人以上が避難生活を続けている。余震は1300回を超え、近づく梅雨入りで二次災害も懸念されている。
 庁舎の被災や職員の人手不足に悩む自治体もあり、地震発生から1カ月を前に政府が前面に立って復旧を進める態勢をとった形で、必要な措置だろう。自治体と連携しながら支援策を総動員し、復旧・復興の加速につなげてほしい。
 大規模災害復興法の適用は、大規模な復旧工事や技術的に難しい事業を国が肩代わりして被災自治体の負担を軽くする狙いだ。津波被害で市町村が行政機能を失い、復旧に時間がかかった東日本大震災を教訓に立法化された。
 被災自治体はインフラ復旧以外にも、避難所の運営や仮設住宅の建設など多くの仕事を抱えている。より被災者の支援に力を注ぐことができる意義は大きい。
 非常災害指定によって国は自治体の求めに応じて事業代行する。熊本県が要望している南阿蘇村と隣の村を結ぶ県道トンネル、熊本市などの海岸保全施設が対象となる見込みだ。崩落した阿蘇大橋は国道のため国直轄で復旧される。
 インフラ復旧では、一帯が崩れた阿蘇大橋のように原状回復が困難で、ルート変更など地域の利便性に影響するケースも考えられる。政府は再発防止に加え、地元の復興方針や要望を十分に踏まえて事業を進める必要があろう。
 また、大規模災害復興法に自治体への財政支援の規定がないのも地元側の不安材料だ。政府は、別に「激甚災害」に指定したことで復旧事業への国庫補助率が1~2割かさ上げされるとしている。
 だが財政規模の小さい自治体では、低い割合でも大規模工事の費用分担は重い。被災庁舎の建設・補修費なども対象外で、熊本県の蒲島郁夫知事は地元負担を実質ゼロにするよう東日本大震災と同様に特別法の制定を要望している。
 政府は、がれき処理や生活再建への支援拡充策を盛った補正予算を17日にも成立させる方針だ。今後、復旧の進行状況をみながら事業代行の運用や効果を検証するとともに、財源や人材の確保、ノウハウ活用の面でも自治体支援を強めていくことが求められよう。
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=2016/05/11付 西日本新聞朝刊=
社説:震災と熱中症 避難生活では特に警戒を


2016年05月11日 10時42分
 5月に入って、1日の最高気温が25度以上の夏日が多くなった。
 この時季になると、警戒する必要があるのが熱中症である。
 総務省消防庁によると、2~8日の1週間に熱中症で救急搬送された患者は全国で388人(速報値)だった。このうち熊本県が14人、大分県は6人となっている。
 熊本地震では、まだ多くの人が避難所などでの生活を余儀なくされている。避難生活に疲れて体力が落ちている人も少なくないだろう。十分に警戒してほしい。
 高温多湿や無風状態で水分補給を怠ると、体内の水分や塩分のバランスが崩れて体温調節機能が働かなくなる。これが熱中症だ。
 体内に熱がこもって体温が急に上がり、頭痛やけいれん、意識障害などの症状が出てくる。
 重症化すれば死に至ることもある。小まめな水分補給に努め、外出時には涼しい服装と日よけ対策を心掛けるなど予防に努めたい。
 人の多い避難所では特に風通しを良くすることが重要だ。
 地震のストレスで神経が疲弊すると、汗をかいている感覚も鈍くなる。知らない間に体の水分が奪われていることも少なくない。
 就寝時にエアコンを切ると温度が上昇し、気がつかないうちに脱水症状が進んで危険な状態に陥ることがある。お年寄りや子どもには周囲の人が気を配りたい。
 熊本地震は今も活動が活発なため、車の中で寝泊まりしている人もいる。車中でも対策は変わらない。近くにトイレがないと水分の摂取を控えてしまいがちだが、熱中症には注意したい。
 様子がおかしいと感じたら、まずは涼しい場所に移動して水分や塩分を取る。意識がなかったり歩くことができなかったりしたら、直ちに救急車を呼んでほしい。
 環境省はホームページで「暑さ指数(WBGT)」の予測値を公表している。気温、湿度、放射熱の3要素を取り入れた指数で、「度」の単位で表される。28度以上になると、料理などの軽い活動でも危険性が高まるという。予防情報として活用したい。
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熊本日日新聞 2016年05月11日
社説:農林水産業の被災 基幹産業の再建へ全力を


 熊本地震は県内の農林水産業に甚大な被害をもたらした。言うまでもなく、農林水産業は熊本を支える基幹産業だ。その再建は震災からの復旧・復興のポイントと言えよう。県は国、市町村、関係団体などと連携を強め、全力を傾けてもらいたい。
 県が1日現在でまとめた農林水産関係の被害額は、推計分も含めて1022億円。内訳は農業が767億円で75%を占め、林業235億円、水産業19億円。地域的には上益城や阿蘇などの被害が目立つ。県内の災害被害は、1999年の台風18号が800億4300万円で過去最大だったが、それを上回る規模だ。
 しかも全体像はまだ判明しておらず、被害額は膨らむ見通しだ。さらに、田畑・農作物への塩害・風害が目立った台風18号より、被害の内容が多岐にわたっている点も懸念される。
 収穫期のナスなど丹精込めた作物や搾った生乳を廃棄せざるを得なかったり、肉牛や豚などの家畜を失ったりといった被害にとどまらない。ため池・用排水路、田畑、ハウスや選果場、畜舎などの損傷が多発した。
 これら生産基盤の被害が、農林水産業の将来に影響を及ぼすのは必至だ。用水路が土砂崩れで埋まり、既に田植えを断念した地域もある。林道や山地の崩壊、防波堤など漁港施設の破損も、復旧は簡単ではなかろう。
 こうした生産者の窮状を考えれば、何よりスピード感を持った対応が必要だ。県は復旧・復興に関する国への要望の中で、被災した農林水産業者の経営再建、施設関係の早期復旧などに向け、新たな支援の創設や既存制度の拡充を盛り込んだ。それらの着実な具体化を求めたい。
 再建に向けた事業は、田植えができない地域での畑作転換の支援といった緊急的な内容と、基盤整備関係の中・長期的な事業に分かれるとみられる。どちらも、地域や生産者の実情に応じたきめ細かさが欠かせない。県をはじめとした事業主体は、現場の声を丁寧に吸い上げてもらいたい。
 熊本は全国有数の農業県だ。2014年の農業産出額は全国6位の3283億円に上る。温暖な気候や多くの河川、豊富な地下水という自然の恵みを生かして、コメ、野菜、果樹、畜産など多様な農産物が生産され、熊本の地域経済を支えてきた。また、生産者は消防団やPTA役員などを務める地域の担い手でもある。地震からの復旧・復興の成否は、地域社会の将来像をも左右しかねない。
 農林水産業関係者にとって、当面の関心事は環太平洋連携協定(TPP)の影響だったろうが、そこに地震が襲った。その痛手は計り知れない。蒲島郁夫知事は熊本地震からの復興について、「被災者の痛みの最小化」「創造的な復興」「熊本のさらなる発展につなげる」の3原則を掲げた。生産者の不安を払拭[ふっしょく]できるよう、農林水産業の具体的な将来像を早急に描くべきだ。
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読売新聞 2016年05月10日 06時16分
社説:熊本農林業被害 きめ細かい支援で再建図ろう


 熊本地震で被災した農林水産業の早急な立て直しへ、国や自治体が連携を強めねばならない。
 熊本県の蒲島郁夫知事が、安倍首相や森山農相と面会し、熊本地震の復旧・復興に関する要望書を提出した。農林水産分野では農林漁業者の経営再建や、農地・農業用施設の早期復旧など5項目が柱だ。
 首相は「採りうる限りの支援策を講じる」と強調した。大規模災害復興法に基づく非常災害に指定し、一部の事業を国が代行する方針も示した。
 熊本は、2013年の農業産出額が全国5位という有数の農業県である。名産のトマトやスイカは全国トップを誇る。
 農林水産省によると、農林水産業の被害額は1085億円に上る。熊本復興には、その基幹産業の再生が欠かせない。
 地元では連休明けから田植えのシーズンに入るが、ため池の損壊や水路の分断によって実施できないケースが相次いでいる。今年は稲作を断念し、転作を余儀なくされる農家も少なくない。
 不慣れな作物に農家が悪戦苦闘することも予想される。農協などが営農指導にきめ細かく対応することが大事である。
 選果場や畜舎など、被災した農業施設の再建も喫緊の課題だ。林業では、山腹の崩壊により各所で林道が寸断されている。
 対応が遅れれば、離職者が増える恐れがある。政府は、国庫補助の対象拡大や補助率のかさ上げを検討すべきだろう。
 阿蘇の恵みである豊富な地下水が熊本の農業発展を支えてきた。この貴重な水源が地震後、枯れてしまった地域もあるという。こうした点にも目配りして、対策を講じる必要があろう。
 熊本地震対策のための16年度補正予算案は、復旧費の多くが使途を特定しない予備費として計上される方向だ。
 優先度の高い事業の執行につなげるには、自治体などが被害状況を的確に把握し、地元のニーズを国に伝えることが大切となる。
 農業・漁業の被害を補償する共済制度について、農水省が共済団体に、迅速な損害評価と共済金の早期支払いを通知した。着実に実施してもらいたい。
 蒲島知事は農相と面会後、「復旧させるだけではなく、創造的な復興が必要だ」と語った。
 生産から流通・販売までを一貫して手がける6次産業化などを促進し、「稼ぐ農林水産業」への道筋を描く視点も求められる。
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しんぶん赤旗 2016年5月10日(火)
主張:熊本地震の長期化 原発の不安に向き合うべきだ


 熊本や大分を中心にした九州地方の大地震の発生から間もなく1カ月―。長期にわたって絶え間なく続く地震のなかで被災者の避難生活は続き、住まいを取り戻すどころか、がれきの処理さえままならないのが実態です。そうしたなか被災者の念頭から消えないのは、全国で唯一運転している九州電力川内原発への不安です。安倍晋三政権や原子力規制委員会、九州電力などは原発に影響はないとしていますが、地震が連動し長期にわたる事態さえ十分想定されていませんでした。「地震大国」で原発の運転を続ける不安に、政府や電力会社は向き合うべきです。
「想定外」続いた熊本地震
 4月14日の「前震」といわれる震度7の地震発生以来、翌々日の「本震」を挟んで繰り返されてきた熊本や大分の地震は、震度1以上を記録しただけで千数百回に上ります。なかには震度4や5クラスの地震もあります。地震が長期化するなかでも1、2号機が運転を続ける川内原発周辺の住民が不安を募らせ、いまからでも運転を停止すべきではないかとの声を高めているのは当然です。
 地震発生直後は川内原発への地震の影響をまともに発表していなかった原子力規制委や九州電力も、住民の声に押され、不安を打ち消すのに躍起です。原子力規制庁が連休前に発表した資料も、(1)今回の地震で観測された地震の揺れは数ガルから十数ガル(揺れの単位)で、原子炉を停止する設定値に比べ小さい(2)川内原発は今回地震を起こした布田川断層、日奈久断層が同時に動いても耐えられる設計になっている(3)未知の断層が動いたとしても最大620ガルの基準地震動に耐えられる―などとあらためて説明したものでした。
 原発の危険性を指摘する声に対し、一部メディアで「不安あおる」などの記事も出ていますが、原子力規制委などの説明はあくまでもこれまでの地震についてで、今後も想定の範囲ならということに尽きます。かつてない異常な連続地震に襲われている住民の不安に応えるものではありません。熊本地震のように、大規模な「前震」と「本震」が続き、一つの断層で起きた地震が周辺の断層に影響して長期間にわたり地震が繰り返されることもめったにありません。今回の地震ではあまり動いてない日奈久断層の南側の川内原発に近い部分が動く可能性や、これまで知られていない断層に震源が広がり、もっと大きな地震に発展する可能性も検討する必要があります。
 いままで大丈夫だったから、今後もたぶん大丈夫というだけでは無責任の極みです。阿蘇など火山活動活発化の危険や、事故が起きた場合の避難計画への不安もあります。政府や九電は川内原発の運転継続は一切変えないというかたくなな姿勢を改めるべきです。
「地震大国」に原発いらぬ
 熊本だけでなく、阪神・淡路大震災や東日本大震災など日本列島と周辺での地震活動が活発になっているなか、世界有数の「地震大国」に原発が林立する危険性は明らかです。日本のようなプレート(岩板)の境界で地震が起きる国で原発が林立する例は、アメリカにもヨーロッパにもありません。
 川内原発は「予防的」にでも直ちに停止し、全国の原発は停止したまま廃止に向かうことこそ「地震大国」日本が取るべき道です。
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=2016/05/10付 西日本新聞朝刊=
社説:地震の農業被害 国や県は最大限の支援を


2016年05月10日 10時39分
 熊本地震は、熊本県内の農業にも深刻な打撃を与えている。
 熊本県は農林水産業関係の被害額について、1日現在で推計約1022億円に達したと発表した。
 阿蘇市や南阿蘇村、西原村など被害が甚大だった自治体は実地調査をできない状態で、被災現場の航空写真や過去の類似災害の復旧費などに基づいて推計している。それでも同県では1999年の台風18号がもたらした約800億円を上回る過去最大となった。
 その内訳は、田畑ののり面崩壊などによる農地が約480億9100万円、ビニールハウスや畜舎の損傷による農業施設が約275億5700万円、野菜類の落果などによる農畜産物が約10億8100万円-などである。
 田畑の亀裂が予想以上に広がるなどしており、実態が明らかになるにつれて、さらに増大する恐れもあるという。
 熊本県は豊富な地下水など自然環境に恵まれて、コメや野菜、果樹、畜産など多様な農畜産物が生産されている。農業産出額でも全国の上位を占めており、地域経済に及ぼす影響は大きい。
 復旧事業の国補助率がかさ上げされる激甚災害の指定などを活用し、一日も早く立ち直ることを願いたい。
 中でも心配なのは阿蘇市だ。阿蘇地域は2013年、国連食糧農業機関(FAO)から世界農業遺産に認定されている。
 野焼きや放牧などで草原の保全と結び付いた農業や畜産業の歴史と伝統が高く評価された。
 12年の九州北部豪雨では土砂崩落が相次ぎ、草原がかきむしられたような傷痕を残している。
 草地が戻らずむき出しになったままの土面に、今度は地震による新たな崩落が重なった。牧道はひび割れし、水を引く溝も寸断された。牧野の治山ダムは九州北部豪雨で埋まったままだ。田植えに向け苗作りの最中に地震が起きたため、水田の被害も甚大という。
 農家は高齢者も多く、再建への不安を抱く人も少なくない。国や県は最大限の支援をしてほしい。
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熊本日日新聞 2016年05月10日
社説:避難者の健康支援 見守り強化で孤立防ごう


 熊本地震発生からやがて4週間を迎える。今も1万2千人近くが避難を続けており、1300回を超える余震は、収まる気配がない。避難生活の長期化は避けられず、蓄積した疲労やストレスで「限界」と感じる人もいるだろう。震災関連死をこれ以上増やさないためにも、今後は健康や命を守る支援がより重要になる。
 気温が上がるこの時期、とりわけ注意が必要なのが食中毒だ。熊本市中央区の城東小でも、避難者らがおう吐や下痢の症状を訴え救急搬送された。市保健所は9日、昼食で配られたおにぎりが原因の食中毒と断定。全員回復に向かっているものの、症状を訴えた人は34人に上るという。
 避難所での食中毒予防については、厚生労働省が策定した運営者に向けたガイドラインがある。「食事の前やトイレの後は、流水で必ずよく手洗いする」「配った食品は早めに食べてもらう」「加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱する」など。支援に携わるボランティアも、注意を怠らないようにしたい。
 地震発生直後から問題となっているエコノミークラス症候群の入院患者も増えている。現在の患者数は49人で、県は「避難生活が長期化しており、今後も患者数が増える可能性が高い」と警戒している。患者の年代別では65歳以上が31人と、高齢者の発症が目立つ。小まめな水分補給が重要で、今後増えそうな熱中症予防にも有効だ。
 震災後はストレスや睡眠不足が加わり、血圧も上がりやすい。東日本大震災など過去の震災でも急性心筋梗塞や心不全、脳梗塞などの増加が報告されている。減塩に努めた食事や適度な運動などに注意を払わなければならないが、意外に見落しがちなのが睡眠の重要性だ。
 日本循環器学会など3学会は、「6時間以上の良質な睡眠の確保」を勧め、避難所でも夜間は消灯し、アイマスクや耳栓、マットレスなどで睡眠環境を改善するよう求めている。余震で起こされることも多く、睡眠の質は低下しがちだ。自分でできる工夫を心掛けたい。
 1995年の阪神大震災では、900人以上が震災関連死で亡くなり、持病の悪化で亡くなる高齢者が目立ったという。熊本地震で関連死の疑いがあるのは18人。これ以上増やさないためには、避難者一人一人の見守りを強化し、孤立化を防ぐことが重要だ。
 医師や保健師ら医療関係者による定期的な巡回相談や見守り体制の確立が急務となる。特に今回の地震では、指定の避難所ではなく車中泊を続けるケースが問題視されている。こうした人たちに支援の情報を適切に届け、健康不安にも丁寧に耳を傾ける相談体制の構築が求められる。
 学校の再開で避難所を移り、新しい環境に身を置く避難者は少なくない。一人一人が声を掛け合うことで、救える命はもっと増えるはずだ。
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