2016-05-20(Fri)

1~3月期GDP 景気の足踏み

「好循環」には依然遠い アベノミクスの「限界」示す 安倍失政の責任は動かし難い

<各紙社説・主張>
読売新聞)GDPプラス 企業と家計の不安払拭を急げ(5/19)
毎日新聞)GDPプラス 「好循環」には依然遠い(5/19)
日本経済新聞)将来不安を拭わずに景気は上向かない (5/20)
産経新聞)1~3月期GDP 萎縮せず成長基盤を築け(5/19)
しんぶん赤旗)1~3月期GDP 安倍失政の責任は動かし難い(5/19)

北海道新聞)景気の足踏み 政策の欠陥まず認めよ(5/19)
河北新報)景気停滞/アベノミクスの「限界」示す(5/19)
神戸新聞)GDPと消費税/再増税の議論を回避せず(5/20)
中国新聞)GDP速報値 増税判断の材料明示を(5/19)




以下引用



読売新聞 2016年05月19日 06時07分
社説:GDPプラス 企業と家計の不安払拭を急げ


 プラス成長を回復したものの、景気足踏み状態は続いていることが、改めて確認された。
 内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・4%増、年率換算で1・7%増だった。
 2四半期ぶりのプラス成長だが、今回はうるう年で2月が1日多い「かさ上げ効果」もある。これを除けば、年率で0%台の低い伸びにとどまる計算だ。
 主因は、内需の2本柱である設備投資と個人消費が、依然として活気付かないことである。
 設備投資は、前期比1・4%減と3四半期ぶりにマイナスになった。企業業績は過去最高の水準だが、新興国経済の減速や円高・株安に身構え、投資を先送りする企業が増えているようだ。
 日本企業は300兆円を超える巨額の内部留保を持つ。元手が足りないわけではない。
 投資を活性化するには、経営者に二の足を踏ませている不安心理を、和らげることが重要だ。
 先進7か国(G7)が世界経済を牽引し、成長を持続させる。そうした力強いメッセージを、来週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で発信する必要がある。
 カギとなるのは、機動的な財政出動を含む明確な政策協調を打ち出せるかどうかだ。
 財政規律を重視する独英両国は、財政出動に慎重だ。安倍首相は議長として調整力を発揮し、世界経済の成長に資する協調策をまとめてもらいたい。
 日本が円高阻止の市場介入を辞さない構えなのに対し、米国は否定的だ。為替政策を巡る不協和音が強まり、市場を不安定化させる事態は避けねばならない。
 個人消費は0・5%増で、特殊要因を除けば横ばい圏だった。石原経済再生相は「力強さを欠いている」と懸念を示した。
 給与や報酬が伸びているのに消費はさえない。収入増が今後も続くかどうか自信を持てず、貯蓄に回す人が多いようだ。
 消費の底上げには、賃上げの継続や非正規労働者の処遇改善が有効だ。前向きに取り組む企業を、政策で後押ししたい。
 年金など社会保障制度の将来に対する不安も、家計が節約志向を強めている要因ではないか。
 来年4月に予定される消費税率10%への引き上げが再延期されるかどうかが注目されている。増税を延期するのなら、財政再建への目配りと社会保障財源の確保策が欠かせまい。
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毎日新聞2016年5月19日 東京朝刊
社説:GDPプラス 「好循環」には依然遠い


 1〜3月期の実質国内総生産(GDP)は前期比伸び率が年換算で1・7%増だった。2四半期ぶりのプラスだが、2月が例年より1日多いうるう年のために1%程度かさ上げされた分を除くと、0%台の低成長にとどまったとの見方が大半だ。
 第2次安倍晋三政権が発足して3年以上経過したが、景気は停滞から抜け出せていない。アベノミクスが目指す「経済の好循環」には遠い。
 GDP押し上げに寄与したのは年換算で1・9%増だった個人消費だ。ただ、うるう年効果を引けば消費は横ばいと試算するエコノミストが多い。「賃金の伸びが鈍く、家計の節約志向が強い」と指摘される。
 首相はきのうの党首討論で「110万人の雇用をつくった」とアベノミクスの成果を強調した。だが、非正規雇用が全体に占める比率は4割に上る。低賃金の非正規が増えても、消費は力強さを欠く。
 アベノミクスの狙いは、日銀の大規模な金融緩和に伴う円安を通じて企業業績を改善し、賃金上昇で消費を活発にすることだった。こうした好循環は見えないまま、政府が頼みにしていた円安も円高に転じた。
 1〜3月期のGDPは、設備投資が年換算で5・3%減と低迷した。円高などを背景に企業が投資に慎重な姿勢を強めているためだ。
 今回のGDPの結果も踏まえて、首相は来年4月の消費増税の延期に踏み切るかどうかを判断するとみられる。首相は党首討論で「(2014年4月に)消費税を上げて以来、消費が我々の予想より弱いのは事実だ。そこに我々も注目している」と延期を示唆するような発言をした。
 延期の条件として、首相は「リーマン・ショックや大震災級の事態」と説明してきた。しかし、今の景気情勢が理由になるだろうか。
 リーマン直後の08年10〜12月期と09年1〜3月期のGDPは2桁のマイナス成長が続いた。東日本大震災が発生した11年1〜3月期もマイナス幅は7%台と大きく悪化した。
 日経平均株価もリーマン後は7000円台、大震災後は8000円台に落ち込んだ。現在は1万6000円台とほぼ倍の水準だ。景気が停滞しているとはいえ、主要指標は延期の条件に当てはまらないはずだ。
 党首討論では、民進党の岡田克也代表がアベノミクスの失敗を指摘し、増税延期を求めた。増税は12年に自民、公明、民主(現民進)の3党で合意したものだ。参院選をにらんで、増税が与野党の政治的駆け引きの材料となっている。
 消費を回復軌道に乗せられない政府の責任は重い。金融緩和頼みを脱し、消費を底上げする改革を進め、増税可能な環境を整えるべきだ。
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日本経済新聞 2016/5/20付
社説:将来不安を拭わずに景気は上向かない


 2四半期ぶりのプラス成長だが実力を映す数字とはいえない。
 2016年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は前期に比べて年率換算で実質1.7%増だった。今年はうるう年で2月が1日多い。そのかさ上げを除けばゼロ%台半ばの低成長にとどまると多くの民間機関が指摘する。
 最近のGDP統計は後に出てくる改定値が大きく振れることが多い。速報値が景気の現状を必ずしも正確にとらえない例もある。そのことにも留意したうえでGDPの内訳をみると、民間の設備投資が1.4%減と3期ぶりにマイナスになったのが目立つ。
 今年初めから世界の金融市場が混乱し、円高や株安が進んだ。中国や新興国の減速など世界経済には不透明感が強い。3月の機械受注統計も4~6月期の見通しがマイナスだ。底堅かった設備投資の変調は企業の景気に対する心理の悪化を映しており、心配だ。
 個人消費は0.5%増と2期ぶりのプラスになったが、うるう年効果を除くと横ばい程度だろう。期間中の雇用者報酬が1.3%増えた割には低迷している。輸出は訪日外国人の消費を含めて増え、輸入は減った。外需がGDPを押し上げた面もある。
 15年度のGDPは物価の変動も含めた名目値で2.2%増と政府経済見通しの2.7%を下回った。21年度までに名目GDPを600兆円に増やす政府目標への道は出足から険しさが増した。
 民間部門の活動が振るわない原因には、将来への不安が企業や家計に広がっている問題もある。
 1つは社会保障の持続性への不安だ。企業と働き手が払う健康保険料などの社会保険料がなし崩しで上がり、家計を圧迫する。来春予定の消費税率引き上げに再延期論が強まっているが、単なる先延ばしでは不安は解消しない。
 2つ目は成長力への疑問だ。日本経済の実力といえる潜在成長率は0.2%程度と推定される。地力がゼロ近辺ではGDPが四半期ごとにプラスとマイナスを行ったり来たりするのは当然だ。
 政府は成長力の強化につながる労働や農業の規制改革などを迅速に実行に移す必要がある。付け焼き刃の需要追加策では心理は改善しない。日銀の金融緩和、成長につながる財政支出、そして構造改革による経済の体質改善を組み合わせてこそ、企業や家計の投資や消費への意欲を引き出せる。
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産経新聞 2016.5.19 05:03
【主張】1~3月期GDP 萎縮せず成長基盤を築け


 見かけの数字が悪くなくても、内実を伴っていない。年率換算で1・7%増となった1~3月期の実質国内総生産(GDP)をみると、そう受け止めざるを得ない。
 うるう年による日数増の影響を除けば消費に力強さはみられず、企業の設備投資も落ち込んだ。マイナス成長だった前期からの戻りは弱く、むしろ停滞感がはっきりしたといえよう。
 4月以降は、折からの円高や新興国経済の減速に加えて、熊本地震の影響も懸念される。景況感が一段と悪化する事態にも備えておかなければならない。
 低迷を打開すべく政府が新たな骨太方針や成長戦略を強力に進めるべきは当然として、同時に期待したいのが民間の活力である。経済環境の変調に企業が萎縮するばかりでは展望は開けまい。
 増加に転じた個人消費も0・5%増にとどまる。春闘の賃上げは期待ほどの伸びをみせなかった。景気下ぶれを警戒した企業判断はあろうが、所得が力不足では消費喚起につながらない。設備投資が1・4%減だったのも企業心理の急速な冷え込みを反映したものだろう。
 東証1部上場企業の平成28年3月期決算は過去最高の営業利益を記録した。円安の恩恵を受けた輸出企業を中心に稼ぎを増やし、内需関連でも訪日外国人の急増で小売業などが業績を伸ばした。
 だが、29年3月期は一転して減益決算を見込む企業が多い。足元の為替相場が前期より10円前後の円高水準で推移し、円安の利益押し上げ効果が剥落する懸念が強まったことなどが背景にある。
 企業にとっては踏ん張りどころであり、成長への姿勢が問われる局面だろう。為替や海外経済などに過敏に反応するあまり、前向きな投資をためらうようでは民間主導の景気回復は果たせまい。
 これまでの好業績により上場企業の手元資金は100兆円を上回る。こうした資金を投資や研究開発に振り向け、将来への成長基盤とできないか。攻めの姿勢を失えばデフレ時代に逆戻りである。
 1~3月期のGDPは、安倍晋三首相が来年の消費税増税を再延期するかどうかの判断材料の一つである。民進党の岡田克也代表は党首討論で、先送りせざるを得ないとの見方を示した。首相は明確な答弁を避けたが、説得力のある判断を示してもらいたい。
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しんぶん赤旗 2016年5月19日(木)
主張:1~3月期GDP 安倍失政の責任は動かし難い


 来年4月からの消費税増税との関連で注目された今年1~3月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表になり、物価変動を差し引いた実質で前期比0・4%増だったことが明らかになりました。マイナスだった昨年10~12月期の反動や今年がうるう年だった影響があります。2015年度の成長率は0・8%にとどまり、個人消費は2年連続の減少です。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の破綻は明らかです。党首討論で日本共産党の志位和夫委員長が厳しく批判したように、安倍首相の失政の責任は動かし難く、消費税増税はきっぱり中止すべきです。
消費は低迷、投資も減少
 1~3月期のGDPの伸びは個人消費や輸出によるものですが、前期比0・5%の伸びとなった個人消費も名目ではマイナスになるなど、低迷は明らかです。一方、住宅投資や設備投資は落ち込んでいます。円安や減税で大企業のもうけを増やせば回りまわって消費も投資も増えるという「アベノミクス」の「トリクルダウン」(したたり落ち)の筋書きは、完全に破たんしています。
 とりわけ志位委員長が党首討論でも指摘したように、一昨年4月に消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の冷え込みは深刻です。14年度マイナス2・9%、15年度マイナス0・3%と個人消費が2年連続マイナスになったのは初めてです。個人消費は増税前の駆け込み需要が明白になる前の13年10~12月期に比べ8兆円も減っています。総務省の家計調査でも家計支出は2年連続マイナスです。直近の3月分でも勤労者世帯の消費支出は前年同月比で実質5・3%の大幅減少です。消費の低迷は否定のしようがありません。
 安倍首相も、消費税増税後消費が予想以上に落ち込み、予想以上に長引いていることを認めています。しかし、なぜ「予想以上」になったのかという志位委員長の追及に、首相はデフレマインド(心理)が残り消費に慎重になっている、所得が改善しているので持ち直しが期待できるなどとごまかしています。「想定外」についてのまともな総括も反省もありません。
 個人消費は「心理」だけで落ち込んでいるのではありません。消費税増税が国民の購買力を押し下げ、消費を冷やしているからこそ、消費の低迷が続いているのです。消費税増税の悪影響は明白です。安倍首相は所得が改善してきたように言いますが、実質賃金は消費税が増税される前から4年連続減少が続いており、10年を100とした指数で15年は94・6です。こんな状態で改善などとはとても言えません。
増税はきっぱり中止こそ
 もともと一昨年の消費税増税は、労働者の賃金が減り続けるなかで増税を強行すれば、景気悪化の悪循環の引き金を引くことになるとの“警告”を無視して安倍政権が強行したものです。安倍首相の失政の責任は重大です。
 志位委員長は、消費低迷の総括や反省がないだけでなく「景気判断条項」まで削除して来年4月から10%への再増税を狙うのは国民に対して全く無責任だと力を込めて批判しました。安倍首相は中止するとは口にしません。
 増税そのものをきっぱり中止に追い込み、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革がいよいよ重要です。
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北海道新聞 2016/05/19 08:55
社説:景気の足踏み 政策の欠陥まず認めよ


 内閣府が発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0・4%増、年率換算では1・7%増だった。
 2四半期ぶりにプラスに転じたとはいえ、今回はうるう年の特殊要因が働いた。2月が1日増えたことで個人消費がかさ上げされ、この効果を除けば、プラスは小幅にとどまるとの見方が多い。
 設備投資も減少し、輸出も力強さを欠く。内、外需を通じてけん引役が見当たらない。
 景気は足踏み状態で、3年以上経過しても好循環を実現できないアベノミクスの限界を示している。政府は政策の欠陥を検証し、直ちに軌道修正を図るべきだ。
 4~6月期は熊本地震の影響もあり、再びマイナスに落ち込む恐れもある。最大の懸念材料は、アベノミクスの中でほとんど唯一の成果を上げてきた金融緩和が息切れしつつあることだ。
 日銀による大規模な金融緩和は円安をもたらし、輸出企業を中心に上場企業は2016年3月期まで空前の利益を享受してきた。
 ところが、年明け以降の為替相場は円高に向かい、昨年末までの円安基調は変化した。円高傾向などを理由に、上場企業は軒並み17年3月期の減益を見込む。
 実質賃金は昨年まで4年連続で減少しているのに、今春闘では、ベースアップで前年実績を割り込む大企業が続出した。
 これでは、円安の恩恵は働き手や中小企業、地方には行き渡らず、大企業に為替差益をもたらしただけではないか。物価目標にこだわり、日銀が大量の国債を買い続けることの副作用も問題だ。
 金融緩和頼みの政策から早期に脱却する必要がある。
 GDPがプラス、マイナスを交互に繰り返す不安定な状況では、来年4月に消費税率を予定通り引き上げるのは困難だろう。
 安倍晋三首相はGDPの数値や国際情勢も参考に、消費税増税の可否を判断するという。
 しかし、2年前、増税延期を争点に仕立てて総選挙に勝った首相は、リーマン・ショック級の危機にならない限り、再度の延期はないと断言した。
 経済情勢次第で増税を停止できる「景気条項」も関連法から削って退路を断ったはずだ。
 増税先送りの根拠に景気を持ち出すのであれば、アベノミクスの失敗と、増税可能な経済環境を整える公約を達成できなかったことを、まず認めるべきだ。
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河北新報 2016年05月19日木曜日
社説:景気停滞/アベノミクスの「限界」示す


 景気が停滞局面から依然として脱却できていないことを物語る数字である。
 内閣府がきのう発表した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値だ。実質で前期比0.4%の増、年率に換算し1.7%のプラスとなった。
 だが、この数字には「ただし書き」が付く。うるう年の日数増に伴うかさ上げ効果が含まれるからだ。そのかさ上げ分を差し引けば、実勢は若干のプラスか、ほぼ横ばいとみられる。
 そうであれば、2015年度1年間の四半期ごとのGDPは一進一退。小幅のマイナスとプラスを繰り返しており、景気は足踏み状態にある。
 この1~3月期も家計、企業いずれの部門も力強さを欠き、けん引役は見当たらない。景気回復、デフレ脱却の道筋は見通せないままだ。そうした視界不良の中で唯一、明らかなことは、経済の好循環を目指すアベノミクスが十分な効果を上げ得ていないことだ。そう言わざるを得ない。
 来年4月に予定される消費税増税の延期は、既定事実化しつつある。このGDP値も参考に、首相は主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での議論や世論の動向も勘案して決断するとみられる。
 だが、増税見送りを決めるにしても、その前に必要なのはアベノミクスの点検、検証である。足踏みする景気を上向かせられない経済政策を継続して、果たしてデフレ脱却の道筋が見えてくるのかどうか、甚だ疑問だからだ。
 内需を中心に今回のGDP速報値を見ていきたい。その約6割を占める個人消費は前期比0.5%増となった。しかし、0.8%減だった前期の落ち込みを取り戻すほどの力強さ、回復力はない。
 むしろ家計は節約志向を強めている。一言で言えば一向に所得が増えないからだ。大企業や富裕層を潤し、その恩恵を中小や地方に及ぼそうというアベノミクスの狙いが奏功していない証左といえる。
 石原伸晃経済再生担当相は「消費税率引き上げ(8%)以降の回復がずっと力強さを欠いている」とし、要因をよく分析する必要があるとの認識を示したという。なぜ消費が盛り上がらないのか、徹底分析し政策を検証すべきだ。
 内需のもう一つの柱である設備投資は1.4%の減である。新興国の経済減速や円高を背景に、企業が慎重姿勢を強めているためだ。
 外的要因とはいえ、特に円高は大企業の業績を悪化させかねない。経済好循環の起点を企業業績に置くアベノミクスにとっては、その原動力が弱まる恐れさえあるのだ。
 成長起点の勢いが衰えかねない上に、その起点からの効果の波及もままならないとあっては、アベノミクスの手詰まり感は否定しようもない。
 首相らは「経済の好循環が始まった」「デフレ脱却は目の前だ」と強弁してきた。だが、GDPという数値が示すのは、停滞したままの日本経済の姿である。
 増税見送り、景気下支えのための大規模な財政出動を考える前に、アベノミクスの「限界」を見据えて、個人消費の力強い回復に向け路線の転換を図るべきではないか。
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神戸新聞 2016/05/20
社説:GDPと消費税/再増税の議論を回避せず


 来年4月に予定される消費税増税再延期の判断材料とされた1~3月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で1・7%増となった。プラス成長は2四半期ぶりだ。
 うるう年効果によるかさ上げや、個人消費が年率1・9%増だったことが全体を押し上げた。
 ただ、例年より1日多い分を除けば成長率はほぼ横ばいで、個人消費の回復も力強さに欠ける。さらに企業の設備投資が大幅に落ち込むなど景気は足踏み状態にある。
 大胆な金融緩和による円安・株高で企業業績は改善したが、個人消費や設備投資は伸び悩んでいる。年初来の株安や円高の進行で、企業業績の悪化が予想されるなど先行き不透明感も強い。
 日銀のマイナス金利政策も導入から3カ月がたつが、実体経済への波及効果はまだ見えない。2%上昇の物価目標の達成時期も先送りを繰り返し、デフレ脱却には程遠い。
 政府は規制緩和など構造改革に政策の軸足を移すべきではないか。
 GDPについて、党首討論で安倍晋三首相は「経済政策が功を奏した」と強調した。個人消費が伸び悩む原因とされる実質賃金についても直近はプラスになったとした。
 一方で「消費税を引き上げて以来、消費が予想より弱いのは事実だ」とも述べ、増税の再延期に含みを持たせた。
 景気は停滞しているとはいえ、首相が再延期の条件として挙げるリーマン・ショック並みとは言い難い。熊本地震も東日本大震災級とまでは言えない。いずれも再延期の理由にはならないだろう。
 民進、共産、社民、生活の野党4党首は再増税反対で一致し、夏の参院選でアベノミクスの失敗を追及することで足並みをそろえた。選挙をにらみ対立軸を鮮明にした形だ。
 消費税増税を先送りすれば、国の借金が1千兆円を超える財政状況はますます悪化し、次世代にツケを回す恐れがある。年金や介護、子育て支援など社会保障制度の財源不足にもなりかねない。消費税増税は、先送りしてもしなくても大きな問題を抱えることになる。
 安倍首相は再増税の是非の判断を参院選後に先送りする方針と伝えられる。選挙対策で国民の生活に関わる重大な課題を回避せず、判断を示してしっかり説明すべきだ。
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中国新聞 2016/5/19
社説:GDP速報値 増税判断の材料明示を


 ことし1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値が前期比で0・4%増となった。年率換算では1・7%増と2四半期ぶりのプラス成長であるにもかかわらず、市場関係者の間では厳しい評価も目立つ。
 うるう年で日数が多いことによる「かさ上げ」効果を除くと、日本経済の実勢は強さを取り戻していないとの見立てらしい。確かに、企業の設備投資は3期ぶりのマイナスに転じ、個人消費も伸び悩んでいる。依然として、景気は踊り場にあるとみて差し支えあるまい。
 とりわけ0・5%増にとどまった個人消費については、与党の間でも見方が分かれる。石原伸晃経済再生担当相が「(8%への)消費税率引き上げ以降の回復力が総じて力強さを欠いている」と慎重な言い回しだった。これに対し、公明党の山口那津男代表は「個人消費がプラスであることは大事」と景気の先行きを前向きにとらえる。
 その評価が、消費税率を公約通り来年4月から10%に上げるかどうかの判断に結び付くのを意識してのことだろう。夏の参院選の成り行きとも無縁でないことは言うまでもない。
 各種世論調査では総じて「増税延期」を望む声が目立つ。まして安倍晋三首相は衆参同日選まで見据えているとの見方が、今もくすぶり続けている。自民党の側からすれば、民意の風向きを無視するわけにいかないのだろう。
 公明にすれば、苦労して軽減税率の導入にこぎ着けたのに、消費増税が再延期にでもなれば、せっかく稼いだポイントが目立たなくなってしまうとの懸念があるのかもしれない。
 きのうの党首討論ではこの問題が尻切れとんぼで、もどかしさが募るやりとりだった。質問に立った野党3党が消費増税の反対や延期を唱え、これまで立場を明確にしてこなかった民進党の岡田克也代表も、軽減税率撤回や行財政改革などの条件付きながら「先送りせざるを得ない状況だ」との認識を示した。
 「再延期はないと断言したはず」とアベノミクスの失敗を強く批判する半面、「再延期もやむなし」と助け舟を出したように映る攻め方に違和感を覚えた人もいただろう。それだけ捨て身の覚悟で首相の姿勢をただしたかったに違いない。
 にもかかわらず意表を突かれたのか、安倍首相は「提言として承る」と取り合わなかった。岡田代表も追い込まず、そのまま流して次の論点に話を移してしまった。消費税は国民に関心の高いテーマであり、真正面からもっと深く意見を戦わせるべきではなかったか。
 消費の低迷は、なお足踏み状態にある。総務省の家計調査では、2人以上の世帯でことし3月分の実質消費支出が、前年同月比で5・3%減と落ち込んだ。半面、2015年の平均貯蓄は過去最高だった。不安に備える家計の姿が浮かぶ。
 公約を再び先送りし、経済成長がもたらす「果実」を当てにするのか。それとも、消費増税による財源の確保で将来への不安を解消し、消費向上につなげていくのか。
 「適時適切に判断する」と繰り返す、首相の時間稼ぎもそろそろ潮時だろう。判断の根拠をもっと明確に、国民の前に示すべきである。
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