2016-06-01(Wed)

甘利わいろ疑惑 不起訴=特捜検察の”屈辱的敗北”

‟口利きビジネス“の横行を許す  ‟わいろ”政治容認への道か

----あっせん収賄罪とは異なり、口利きした公務員が不正行為をしなくても処罰される同法は、政治家や秘書の「口利きビジネス」に歯止めをかけるために制定された。

----元特捜部OBの弁護士は「よほど頭の悪い政治家や秘書でない限り、影響力を使うような口利きはしない」と言い切る。
口利きビジネスの横行を許す余地のある構成要件を見直さない限り、国民の政治不信は深まる一方と言わざるを得ない。
(産経ニュース)


特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件
----東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
特捜検察にとって、“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である。

----秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取ったり、個人で現金をもらったり接待を受けたり、甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取る。そのようなことを平然と行えるのは、まさに、権力の一極集中の下での政権与党の有力閣僚の「驕り高ぶり」そのものである。

----このような捜査の経過と結果は、過去には「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって“屈辱的敗北”以外の何物でもない。

時の政治権力に屈することなく、「厳正公平、不偏不党を貫く」というのが、検察の矜持だった。
その検察を象徴する存在であった「東京地検特捜部」の看板は、地に堕ちたと言わざるを得ない。

----今回のような「絵に描いたようなあっせん利得事件」が不起訴で決着すれば、もはや、この法律は、有力な国会議員による悪質な口利きと対価受領の事案に対して全く使えないことになってしまう。要するに、与党議員ならやりたい放題だということだ。
(郷原信郎氏

<各紙社説・主張>
読売新聞)甘利氏不起訴 灰色の口利き利得を説明せよ(6/1)
産経新聞)甘利氏を不起訴 政治・道義的責任は別だ(6/1)
東京新聞)甘利氏不起訴 釈然としない結末だ(6/1)
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<ブログ>
郷原信郎氏)特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件(6/1)




以下引用



読売新聞 2016年06月01日 06時22分
社説:甘利不起訴 灰色の口利き利得を説明せよ


 あくまで、刑事責任は問えないということだ。疑惑が晴れたわけでは決してない。
 甘利明・前経済再生相を巡る現金授受問題で、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書2人を、いずれも不起訴とした。
 不起訴理由は「嫌疑不十分」であり、灰色の部分は残っている。甘利氏は、不透明な現金授受について、きちんと説明する責任があることを忘れてはならない。
 甘利氏と元秘書が、千葉県の建設会社側からの依頼で都市再生機構(UR)との補償交渉に口利きをし、謝礼として現金計600万円を受け取ったという疑惑だ。
 あっせん利得処罰法違反に問うには、政治家や秘書が権限に基づく影響力を行使して口利きをした見返りに、報酬を得ていたことを立証する必要がある。
 特捜部は、甘利氏本人や元秘書、URの担当者らから事情聴取し、関連書類を押収したが、影響力の行使に関する具体的な証拠を得られなかった。不起訴しか選択肢はなかったということだろう。
 ただし、元秘書らが建設会社側の求めに応じ、UR側と面談を重ねたのは事実だ。建設会社側から再三、接待も受けていた。こうした癒着ぶりを踏まえれば、甘利氏側への現金提供には、やはり不透明さが拭えまい。
 不起訴を受け、甘利氏は「あっせんに該当するようなことは一切していない旨を説明し、受け止めてもらえたと思っている」などとするコメントを発表した。
 甘利氏は1月に経済再生相を辞任した際に記者会見を開いて以降、体調不良を理由に国会にも姿を見せていない。弁護士による調査結果も公表しないままだ。
 甘利氏は調査について、「捜査への配慮から中断していた」と釈明している。弁護士は「検察審査会への申し立ての有無など、状況を見ながら調査を再開したい」との意向を示しているという。
 「政治とカネ」に関し、国民の不信をこれ以上増大させないためにも、甘利氏は一刻も早く公の場で、説明責任を果たすべきだ。
 UR側の対応にも疑問は多い。元秘書との面談後、建設会社に2億2000万円の補償金を支払う契約を結んでいた。URの担当職員は、建設会社側から度重なる飲食接待も受けていた。
 URは国と自治体が出資する独立行政法人だ。多額の支出に、不適切な点はなかったのか。徹底的な検証が必要である。
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産経新聞 2016.6.1 05:03
【主張】甘利氏を不起訴 政治・道義的責任は別だ


 甘利明前経済再生担当相の現金授受問題で、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反罪などで告発されていた甘利氏や元秘書らを嫌疑不十分で不起訴処分とした。
 同法違反を立件するには「権限に基づく影響力の行使」という要件を満たす必要があり、甘利氏の権限の範囲、影響力に相当する「強い言動」を証明することが困難だったとみられる。
 ただし法律上の黒白と、政治的道義的責任のありようとは別の問題である。不起訴処分を疑惑の幕引きとすることは許されない。
 甘利氏は、この問題での閣僚辞任後も、説明責任を果たしていない。甘利氏の国会招致を拒んできた自民党の責任も大きい。
 建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関連し、甘利氏の元公設秘書は建設会社側から500万円を受領し、300万円を私的に流用していた。甘利氏自身も2度、50万円ずつを受け取っていた。
 元秘書らはUR側と面会を重ね、「少しイロをつけて」「甘利事務所の顔を立てて」などと補償額の増額を要求する発言をしていたことも分かっている。
 甘利氏は今年1月の会見後に明らかになった疑問も含め、国民に対して説明を尽くす責務がある。検察の不起訴は、事務所の潔白を何ら証明するものではない。
 疑惑の構図は典型的で古典的な口利きビジネスとしか映らない。議決権や質問権といった「権限」の有無が起訴の可否を分けるなら、法に不備があるとしか思えない。「あっせん」の事実なしに現金を受領していたなら、それは詐欺行為に等しい。
 あっせん利得処罰法は、政治腐敗の象徴である口利きの見返りに報酬を受ける行為を禁じるため、平成13年に施行された。
 だが、国会議員やその秘書が同法違反で摘発されたケースは一件もない。これが政治家の清廉ぶりを示すものではないことは、今回の疑惑でも明らかである。
 連座制がなく「秘書が」の一点張りで政治家は罪を逃れられ、金額の多寡で使途の追及を受けない政治資金規正法と同様、あっせん利得処罰法も政治家を守るための法律となっていないか。
 政治とカネの問題について、自らを律する法改正に国会議員が消極的であるならば、政治不信は際限なく膨らむことになる。
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東京新聞 2016年6月1日
【社説】甘利氏不起訴 釈然としない結末だ


 「不正な口利きはなかった」-。自民党の甘利明前経済再生担当相を東京地検は不起訴と判断した。現金授受の一切が浮かび出ていただけに釈然としない結末だ。改めて本人から説明を求めたい。
 お金のやりとりは明白だった。まず、二〇一三年八月に千葉県白井市の建設会社の元総務担当者が、甘利氏の当時の公設秘書に現金五百万円を手渡した。
 甘利氏本人にも同年十一月に大臣室で現金五十万円、さらに一四年二月には甘利氏の地元である神奈川県大和市の事務所で五十万円を手渡した。合計すると、六百万円になる。
 建設会社が甘利氏側に大金を渡した理由もはっきりしている。元総務担当者がこう本紙に話している。建設会社は県道工事をめぐって、都市再生機構(UR)と補償問題を抱えていた。元総務担当者はこの問題で甘利氏の元秘書に口利きを依頼した、と。
 実際にその後、URから建設会社に約二億二千万円の補償契約が決まった。現金五百万円の提供はこの直後の出来事である。口利きの見返りだったとすると、実にわかりやすいストーリーだ。
 国会議員ら政治家が、口利きした見返りに報酬を受け取ることは法で禁じられている。あっせん利得処罰法だ。国などが資本金を出すURも対象だ。甘利氏と元秘書は、それに触れるのではないかと告発されていた。
 だが、口利きでこの法律違反に問えるのは、「権限に基づく影響力の行使」があって、公務員に職務上の行為をあっせんしたケースである。その「影響力の行使」を具体的に立証する必要がある。これが壁になった可能性がある。
 甘利氏や元秘書が不正な口利きを否定し、UR側も否定的な説明をすれば、立件のハードルを越すのはほぼ困難になろう。ただ、そうなると、甘利氏側は何もしないで六百万円を受け取ったという構図が生まれる。
 甘利氏の元秘書は一五年以降も、建設会社の元総務担当者から現金の提供や飲食の接待を受けていたことがわかっている。この蜜月は何とも不可解だ。今回の不起訴判断によって、事件は幕引きとなるが、これで疑惑は解明されたといえるだろうか。
 甘利氏は「中断していた調査を再開するよう弁護士に依頼した」という趣旨のコメントを出した。政治とカネの問題だ。甘利氏側が説明責任を果たす機会は、まだまだ残っている。
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BLOGOS - ‎2016年06月01日 10:59
郷原信郎:特捜検察にとって”屈辱的敗北”に終わった甘利事件


東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
特捜検察にとって、“屈辱的敗北”であり、まさに「検察の落日」である。
週刊文春で報道された今回の事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない。秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取ったり、個人で現金をもらったり接待を受けたり、甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取る。そのようなことを平然と行えるのは、まさに、権力の一極集中の下での政権与党の有力閣僚の「驕り高ぶり」そのものである。そのような事案に対して、捜査の着手も大幅に遅れ、ようやくURへの強制捜査着手で、若干の期待をもたせたかと思えば、あっさり全員不起訴で決着。このような捜査の経過と結果は、過去には「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって“屈辱的敗北”以外の何物でもない。
時の政治権力に屈することなく、「厳正公平、不偏不党を貫く」というのが、検察の矜持だった。その検察を象徴する存在であった「東京地検特捜部」の看板は、地に堕ちたと言わざるを得ない。
検察が世の中の期待に応えられない場合の常套手段として、処分に先立って「前打ち報道」が行われ、そこで検察の内部情報に基づく「不起訴の理由」が説明される。
今回の場合、その典型が、不起訴の当日の毎日新聞朝刊の記事【「影響力行使」難しい証明 あっせん利得処罰法】だ。
そして、不起訴処分の公表の際には、検察当局は不起訴理由について何も説明しないという方法を採る。今回も、「構成要件に該当することの証拠は得られなかった」という決まり文句だけだった。
不起訴の「地ならし」に使われた毎日新聞の記事には、
URは甘利氏側と初めて面会した同6月以前に薩摩側に移転先の建物の設計図を示すなど交渉を本格化させていた。事業は国から2分の1、県から3分の1の補助金が支給される「特定公共施設工事」として1978年に始まったが、制度の見直しで14年度以降は負担額が変わる可能性があった。UR関係者は「13年度中に契約を結ぶために交渉を急いでいた」と話し、甘利氏や元秘書が交渉に与えた影響を否定した。
などと書かれている。
「検察の裏スポークスマン」が、検察が最も強調したい「不起訴の正当化理由」をマスコミに説明したのであろう。
しかし、どう見ても、余りに「見え透いた言い訳」に過ぎず、一般的には、検察内部でも通用するはずのない理由だ。
少なくとも、「薩摩興業側」にとっては、なかなか交渉が進展せず補償が払われないから、甘利事務所に「口利き」を頼んだことは明らかだ。それが2013年6月、そして、「当初UR側から薩摩興業側に約1億8千万円の補償金額が提示され、その後、補償額は2千万円ずつ2段階で増額。最終的には約2億2千万円で合意に達した。(産経)」という経過で、2回の増額の末、約2億2千万円の補償が支払われたのが、同年8月20日。そして、その日に、謝礼として秘書に500万円が渡された。「14年度以降負担額が変わる可能性があった」としても、7か月以上も先のことであり、この補償額の決定とほとんど無関係であることは明らかであろう。
【甘利問題、検察捜査のポイントと見通し①(あっせん利得処罰法違反)】でも述べたように、甘利氏の政治家としての経歴に照らせば、「権限に基づく影響力」を認定する余地は十分にあるが、その「行使」があったか否かは微妙ではある。しかし、その点について証拠収集を徹底するために、敢えて、URへの捜索という強制捜査に踏み切ったのではなかったのか。少なくとも、秘書については、「権限に基づく影響力」についても徹底した捜査で最大限の証拠を収集して起訴し、後は裁判所の判断に委ねるというのが、検察がとるべき姿勢ではないのか。
それまで、収賄罪であれば、国会議員の職務権限、つまり、議会での質問や国政調査権の行使等に関連して対価を受け取る事案に限られ、事実上、野党議員が主たる摘発対象となっていた。それを、同僚議員等にも影響力を持つ「与党の有力議員」で「口利き」で対価を受け取る悪質な行為も処罰できるようにするために制定されたのが、あっせん利得処罰法である。
今回のような「絵に描いたようなあっせん利得事件」が不起訴で決着すれば、もはや、この法律は、有力な国会議員による悪質な口利きと対価受領の事案に対して全く使えないことになってしまう。要するに、与党議員ならやりたい放題だということだ。
今回の不起訴の直前の 5月24日に、法務省にとって最大の懸案だった「日本版司法取引」「盗聴の拡大」等を内容とする刑訴法改正案が成立したことと、今回の甘利事件の不起訴処分との関係にも疑いの目を向けざるを得ない。
私が得ていた情報では、昨年夏の通常国会で成立せず、継続審議となっていた刑訴法改正案は、少なくとも、甘利問題が表面化した1月末の時点では、夏の参院選を控え、審議で揉めそうな法案は審議に入りたくないという与党側の意向があり、今国会での成立は極めて難しいと見られていた。
ところが、予算審議の間、私が【甘利問題、検察が捜査着手を躊躇する理由はない】と述べていたのに、検察は甘利氏問題について捜査の動きを全くみせず、無事予算が成立するや、「刑訴法改正案の審議入り、今国会での成立の見込み」が報じられ、そして、その直後に、遅ればせながら、特捜部がURに強制捜査に入り、刑訴法改正案が成立した直後に、甘利氏のみならず秘書までも不起訴になったのである。
大阪地検の証拠改ざん問題や、陸山会事件での虚偽捜査報告書作成事件等で、社会の信頼を失った検察は、今回の不起訴で、微かな「社会の期待」も失った。
ロッキード事件で活躍した堀田力弁護士が、1月30日放映のTBS報道特集で、
難しいような話が流されている感じもしないでもないですが、これって典型的な斡旋であり、絶対にお金をもらってはいけない行為でお金をもらっているわけだから、これがやれないならば、何の為にあっせん利得罪を作ったのだろう。
やっぱり、あれで失った国民の信頼をこんなに取り戻せないのか。じゃあ、それまで果たしてきた役割をどこかが果たしてくれるのかと言うと、それはまだない。やっぱり検察はここで頑張らなきゃいけないと私は思います。
と述べている(【1月30日放映TBS「報道特集」東京地検特捜部元検事、堀田力弁護士インタビュー】)
「特捜検察」に格別の思い入れを持ってきたOB諸兄にとって、このような特捜部の「みじめな姿」は耐え難いものであろう。
しかし、検察の捜査は“屈辱的敗北”で決着しても、この事件は、決して、これで終わりではない。
この事件については、弁護士らが告発を行っており、不起訴処分に対して、当然、検察審査会の申立てが行われるだろう。少なくとも、秘書について、「権限に基づく影響力の行使の要件を充たさない」という検察側の説明が、裁判所の判断に委ねることなく事件を決着させることの理由として、一般市民に納得できるものではないことは自明である。
また、【甘利問題、「あっせん利得罪」より、むしろ「あっせん収賄罪」に注目 ~検察捜査のポイントと見通し②】でも述べたように、実は、今回のような事件については、1990年代前半のゼネコン汚職事件での「検察の暴走」の副産物として出された中村喜四郎議員のあっせん収賄事件の最高裁判決からすれば、甘利氏本人についてもあっせん収賄罪が適用できる可能性は十分にある。
しかも、甘利氏への現金供与の目的とその際のやり取りなどは、既に週刊文春で報じられている薩摩興業側の総務担当者の話からも相当程度明らかであり、検察の手に寄らなければ犯罪の成否が判断できないというわけではない。
検察の屈辱的敗北が、「検察の落日」だけではなく、公正さを亡くした「日本社会の落日」とならないよう、今後の展開を期待したい。
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毎日新聞2016年6月1日 東京朝刊
甘利・前経済再生担当相
現金授受問題 不起訴 「捜査尽くしたのか」 告発者ら、検察審申し立て検討
 甘利明前経済再生担当相(66)を巡る現金授受問題で、東京地検特捜部は議員側への強制捜査に乗り出さないまま、甘利氏と元秘書2人の刑事責任は問えないと結論付けた。甘利氏は辞任を表明した1月の会見以降、体調不良を理由に国会に姿を現さず、約束していた事実関係などの説明も果たしていない。関係者からは「捜査は尽くされたのか」「本人が説明責任を果たすべきだ」との声が上がっている。【平塚雄太、小林洋子】
 建設会社「薩摩興業」の元総務担当者、一色武氏(62)は、甘利氏側への「口利き」の依頼を詳細に証言し、現金授受の証拠なども公表した。
 甘利氏らをあっせん利得処罰法違反容疑などで刑事告発したグループの一人、神戸学院大の上脇博之教授は「これだけ事実関係が明らかな事件はなく、不起訴は承服できない。今回の問題が立件されなければ、あっせん利得処罰法は死文化しかねず、同様の問題が続く」と懸念する。
 特捜部が一色氏の自宅や都市再生機構(UR)を家宅捜索する一方で、刑事告発された甘利氏側への強制捜査は見送った点についても「政治家には甘いと見られても仕方ない。徹底的に捜査してほしかった」と強調。今後検察審査会へ審査を申し立てることを検討するという。
 辞任会見以降、沈黙を続ける甘利氏の対応にも疑問の声が上がる。政治アナリストの伊藤惇夫氏は「不起訴になったからといって疑惑が全て晴れたわけではない。睡眠障害という理由は、問題をうやむやにするための方便ではないかとも思える。しっかり公の場に姿を出して説明すべきだ」と指摘した。
 不起訴処分を受け、甘利氏は31日、「『あっせん』に該当するようなことは一切したことがない旨を説明してきた。不起訴と判断されたことで説明を受け止めてもらえたのかなと思う」とのコメントを発表。元秘書の問題については「不起訴の一報を聞き安堵(あんど)した。捜査への配慮などから中断していた調査を再開していただくよう弁護士にお願いした。適切な時期にお約束通り説明させていただく」としている。
 ■解説
法適用、高いハードル
 甘利氏を巡る現金授受疑惑の捜査は、不起訴処分で終わった。建設業者との癒着や官への働き掛けが顕在化しても、議員側の刑事責任を問えない結果となり、法律の限界が浮き彫りになった。
 あっせん利得処罰法は、政治家や秘書の「口利き」を防ぐために議員立法で制定され、2001年に施行された。国の行政処分や契約などに関して請託を受け「権限に基づく影響力を行使」して報酬を受け取ることを禁じる内容だ。だが、この影響力の行使については、議会で行政に不利な質問をするとちらつかせることなどが想定されており、国会議員やその秘書が立件された例は一度もない。
 薩摩興業側から頼まれた元秘書は、15〜16年にUR側と計11回の面会を繰り返し「少しイロをつけてでも地区外に出て行ってもらった方がいい」「事務所の顔を立ててもらえないか」と求めていたことが判明した。元秘書は計1000万円以上の接待も受けたとされるが、交渉は進まなかった。
 検察幹部は「仮に補償を得られていたとしても、『こうしなければ国会質問をする』というような強い文言がなければ影響力を行使したとは言えない」と指摘。適用のハードルが高く「政治家の、政治家による、政治家のための法律になっている」と説明する。
 参院議員として法制定の審議に関わった大脇雅子弁護士は「特定の個人や団体の利益のための口利きは、あるべき政治活動とはいえず、政治不信をうむ。法律の内容や運用に問題がないか議論を深める必要がある」と話した。【石山絵歩、小林洋子】


日本経済新聞 2016/6/1 1:51
甘利氏と2元秘書を不起訴 「あっせん利得」証拠なく、東京地検
 甘利明前経済財政・再生相(66)を巡る金銭授受問題で、東京地検特捜部は31日、あっせん利得処罰法違反容疑などで刑事告発が出ていた甘利氏と元公設第1秘書(39)、元政策秘書(35)の3人を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。道路工事をめぐる建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉で、刑事責任を問える不正はないと判断した。
 特捜部は政治資金規正法違反(不記載など)容疑での告発についても甘利氏と元公設第1秘書らを不起訴とした。
 甘利氏の説明などによると、建設会社「薩摩興業」(千葉県白井市)の元総務担当者は2013年5月、甘利事務所に交渉について相談した。元秘書らは13年6月~16年1月、UR職員と12回にわたり面談。
 13年8月、URが約2億2千万円を建設会社に支払うことで合意した。同月、元公設第1秘書は元総務担当者から500万円を受領。甘利氏本人も同年11月と14年2月に計100万円を受け取り、収支報告書に記載した。
 特捜部の捜査では、元秘書らが甘利氏の権限を背景にして、UR側に圧力をかけた明確な証拠は見つからず、交渉への関与と金銭の授受があってもあっせん利得処罰法違反罪には問えないと判断した。
 UR職員2人が建設会社の元総務担当者から約100万円の飲食接待を受けていたことも判明しているが、特捜部は収賄罪などでの立件を見送るとみられる。
 甘利氏は不起訴を受け、「『あっせん』に該当するようなことは一切したことがないとの説明を受け止めてもらえた」とのコメントを発表。元秘書らの金銭授受や多額の接待に関しては「今回のようなことが二度と起こらないように事実関係を把握したい」としている。


朝日新聞 2016年6月1日05時00分
甘利前大臣、不起訴 違法口利き「証拠なし」 東京地検特捜部
現金授受問題の構図
 千葉県内の道路用地の補償交渉をめぐり、甘利明・前経済再生相(66)や元秘書が働きかけをした見返りに現金を受け取ったなどとして、あっせん利得処罰法違反などの疑いで告発された問題で、東京地検特捜部は31日、甘利氏と元秘書2人を不起訴処分(嫌疑不十分)にしたと発表した。特捜部は「必要と思われる捜査は十分行った」と説明している。
 千葉県白井市の建設会社「薩摩興業」の総務担当だった一色武氏など関係者への取材によると、都市再生機構(UR)と補償交渉中だった同社側が、甘利氏の事務所に口利きを依頼したのは2013年5月以降。甘利氏側がURを訪ねるなどした後の同年8月上旬には、URが同社に対し、建物の移転補償費として約2億2千万円を支払う契約を結んだ。その2週間後の同月20日に一色氏らは元秘書に現金500万円、13年11月と14年2月に甘利氏に50万円ずつを渡していたという。
 甘利氏は今年1月の会見で現金授受を認めたうえで、不正な口利きなどを否定。計600万円のうち300万円は政治資金収支報告書に記し、「寄付としてもらった」としたが、未記載だった残りは「秘書が費消した」と説明した。
 あっせん利得処罰法違反で立件するには、甘利氏の国会議員としての「権限に基づく影響力の行使」があったことを立証する必要がある。特捜部は4月、URや同社などを家宅捜索。元秘書らから任意で聴取を続け、5月末には甘利氏からも聴取したが、甘利氏や元秘書が権限をちらつかせたり、UR側との交渉に影響を与えたりした証拠は見つからなかったという。
 未記載分が政治資金規正法違反(虚偽記載)にあたるかについても、事務所の帳簿には「返却済み」との記載があり、元秘書が返却しようとしたものの、一色氏が受け取らずに元秘書が私的に使っていたことから、立件できないと判断したとみられる。
 告発していた大学教授らは処分が不当として検察審査会に申し立てる意向。現金授受の一部は、あっせん利得処罰法違反について8月に時効を迎える。
 補償交渉をめぐっては、URの担当者が同社側から接待を受けたことが明らかになっているが、特捜部はこの経緯も含め、現時点で刑事立件できるものはないと判断しているとみられる。
 ■元秘書らの接待、調査再開を依頼 甘利氏談話
 不起訴処分を受け、甘利氏はコメントを発表した。今回の問題について「寝耳に水の事件。『あっせん』に該当するようなことは一切したことがない」と説明。元秘書らが不適切な接待を受けたことなどについては、「捜査への配慮などから中断していた」という調査を再開するよう元検事の弁護士に依頼したという。また、国会を欠席し続けていることを謝罪。「体調も快復してきている。政務に復帰する時期を考えたい」とした。
 〈+d〉デジタル版に全文
 ■<解説>「影響力の行使」定義が壁に
 捜査の壁となったのは、あっせん利得処罰法違反の要件である「権限に基づく影響力の行使」を立証することだ。「違法と想定する口利きは『言うことをきかないと国会で取り上げる』などという強い圧力。政治家や秘書の一般的な口利きまでを違法としていない」と検察幹部は言う。
 具体的には、国会での議案発議権や委員会での質問権などのことを指すという。この解釈に立てば、経済再生相だった甘利氏は、国会で質問するなどして議員の権限を行使する可能性はそもそも低い。URは大臣として所管外でもある。元秘書についても、甘利氏の国会議員の権限をかさに、口利きを約束したりURに影響を与えたりすることが必要だが、捜査の結果、そのようなやりとりは見つからなかったとされる。UR側も、元秘書の介入が補償交渉に影響を与えたことは否定したとみられる。
 一方、ロッキード事件の捜査に携わった元検事の堀田力弁護士は、秘書が業者から口利きの依頼を受け、現金を受け取っていたという「典型的な癒着の構図」を重視する。「検察は『権限に基づく影響力を行使した』と積極的に解釈すべきだ。限定的に解釈するのは国民の常識にかなわず、政治不信、検察不信を招く。起訴して裁判所の解釈をあおぐべきだった」と指摘した。
 法務省によると、同法が成立した2000年以降、同法違反による一審判決は9件。国会議員やその秘書が立件された例はない。(伊藤和行)


しんぶん赤旗 2016年6月1日(水)
甘利氏ら不起訴 東京地検特捜部 口利き解明なく
 甘利明前経済再生担当相の金銭授受疑惑で、東京地検特捜部は31日、あっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反で刑事告発されていた同氏と元公設秘書、元政策秘書の3人を不起訴処分(嫌疑不十分)としました。金銭を送った側が口利きを明確に認めている事件を不起訴としたことに疑問と批判が強まらざるを得ません。
 甘利氏側は、都市再生機構(UR)と千葉県白井市の建設会社「薩摩興業」との補償交渉に絡み、口利きの見返りに現金を受け取った疑いが持たれています。
 薩摩興業の総務担当だった一色武氏(62)は『週刊文春』などの取材に、甘利氏が口利きを明確に認識していたと証言しました。
 甘利氏は1月の記者会見で、一色氏から2013年11月と14年2月に各50万円を受け取ったことを認めました。元秘書についても、一色氏から13年8月に500万円を受領し、UR職員と補償交渉に関して話し合ったことを認めました。
 しかし、口利きについては否定。政治資金として処理するよう秘書に指示したと釈明していました。
 特捜部は今年4月、市民団体「政治資金オンブズマン」などの告発を受け、UR本社や薩摩興業などを家宅捜索。5月末には甘利氏本人も任意で事情聴取しています。
解説
不正明白 国民は納得せず
あっせん利得処罰法は、国会議員や秘書が権限にもとづく影響力を使って口利きをし、見返りに報酬を受け取ることを禁じ、違反すれば罰する法律です。
 薩摩興業とURの補償交渉は、利害や目的が明確な契約に関するものです。重要閣僚を歴任し、URに影響力を駆使できる立場にいた甘利氏が、それに関与して金銭を受けとったわけです。まさに絵に描いたような同法に抵触する不正を問題なしとしたことは、国民の納得を得ることができないでしょう。
 薩摩興業の総務担当だった一色武氏は、口利きをしてもらうために金銭を甘利氏側に渡したことを明確に証言しています。それも録音にもとづいた確たるものです。甘利氏も金銭授受を認めざるを得なかったように、言い逃れのできる疑惑ではないはずです。
 甘利氏は1月末に経済再生担当相を辞任後、体調不良を理由に国会を欠席し国民への説明責任をまったく果たしていません。甘利氏を閣僚に起用した安倍首相もまるでひとごとのような態度です。
 検察が大甘の判断をしたからといって、政治家としての説明責任は決して免れません。真相が解明されるまで徹底した追及が引き続き必要です。
(森近茂樹)


東京新聞 2016年6月1日
【核心】甘利氏不起訴 「あっせん利得」立件に壁 「権限」「影響力」証明難しく
 甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題をめぐる検察の判断は、あっせん利得処罰法違反には当たらないとする「立件見送り」だった。同法は政治家や秘書の口利きを制限するため二〇〇一年に施行されたが、政治家が影響力を行使した「口利き」の証明が難しく、逮捕・起訴した例は少ない。今回も適用の難しさが浮き彫りとなった。 (岡本太、清水祐樹)

東京新聞 2016年6月1日 朝刊
甘利氏と元秘書を不起訴 口利き、嫌疑不十分 東京地検
 甘利明・前経済再生担当相(66)の現金授受問題で東京地検特捜部は三十一日、あっせん利得処罰法違反容疑で告発された甘利氏と元公設第一秘書(39)、元政策秘書(35)の三人を嫌疑不十分で不起訴とした。建設会社側から提供された現金の一部を政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反容疑も三人を不起訴(嫌疑不十分)とした。
 特捜部は不起訴の理由を「構成要件に該当する十分な証拠がなかった」とした。一連の問題をめぐる捜査は事実上、終結した。
 甘利氏と元公設秘書は二〇一三~一四年、千葉県の県道工事を巡って都市再生機構(UR)との補償交渉でトラブルになった建設会社「薩摩興業」(千葉県白井市)の元総務担当・一色武氏(62)から現金計六百万円の提供を受けた。受領した現金はURに口利きした見返りの疑いがあると、弁護士グループが告発していた。
 口利き行為であっせん利得処罰法違反罪が成立するのは、政治家や秘書が「権限に基づく影響力」を行使し、公務員に職務上の行為をあっせんした場合。特捜部は、秘書とUR職員との面談内容は通常の政治活動の範囲にとどまると判断したとみられる。元公設秘書の現金授受が八月二十日で公訴時効を迎えるため、不起訴を不服として告発人らが検察審査会に審査を申し立てることも視野に入れ、甘利氏らの処分を決めた。
 甘利氏は「事実関係の最終報告については弁護士と相談し、適切な時期に説明したい」とのコメントを出した。


産経ニュース 2016.5.31 22:00
【甘利氏現金授受問題】あっせん利得処罰法 厳しい要件“口利きビジネス”許す 
 道路新設工事の補償交渉をめぐる甘利明前経済再生担当相の現金授受問題は31日、政治家や秘書が公務員らへの口利きの見返りに報酬を得ることを禁じた、あっせん利得処罰法違反に当たらないとして、甘利氏と元秘書2人が不起訴処分とされた。口利きを制限するために作られた同法だが、かねて指摘されてきた構成要件の厳しさが今回の捜査でも立ちはだかった。
 「公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない」。あっせん利得処罰法は、最後の条文でこう規定している。民主主義の根幹である自由な政治活動を保障するためだ。
 同法は口利き全てを規制するのではなく、「権限に基づく影響力」を使った口利きを構成要件としている。具体的には「言うことを聞かなかったら地方に異動させるぞ」「議会で質問するぞ」といった政治家の影響力を使った口利きが必要になる。東京地検特捜部を経験したある弁護士は「現役時代にこの法律を使おうとしたことがあったが、この構成要件で全部引っかかり、立件できなかった」と振り返る。
 法務・検察関係者は異口同音に「使いにくい法律だ」と指摘する。例えば、議員秘書が公務員に「こんな陳情がうちに寄せられた」と語り、公務員が重く受け止め、陳情に応えたとしても立件はできない。
 あっせん収賄罪とは異なり、口利きした公務員が不正行為をしなくても処罰される同法は、政治家や秘書の「口利きビジネス」に歯止めをかけるために制定された。だが「有権者の要望をくみ取り、資金援助を受けて政治活動するのが政治家」(検察幹部)だ。
 「通常の御用聞きしかしていない」。今回、補償交渉をめぐり、建設会社側から依頼を受け、都市再生機構(UR)側と接触した甘利氏の秘書の一人はこう強調した。元特捜部OBの弁護士は「よほど頭の悪い政治家や秘書でない限り、影響力を使うような口利きはしない」と言い切る。
 口利きビジネスの横行を許す余地のある構成要件を見直さない限り、国民の政治不信は深まる一方と言わざるを得ない。(大竹直樹、今仲信博)

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