2016-06-04(Sat)

甘利わいろ疑惑 不起訴 政治不信深めたザル法 限界あらわ

納得できない法の不備  法の改正に着手すべきだ 各紙社説等160601-3

<各紙社説・論説>
新潟日報)甘利氏不起訴 法の改正に着手すべきだ(6/3)
京都新聞)甘利氏不起訴  納得できない法の不備(6/3)
山陰中央新報)甘利氏不起訴/調査報告の約束を果たせ(6/3)
山陽新聞)甘利氏不起訴 説明責任きっちり果たせ(6/3)

愛媛新聞)甘利氏不起訴 政治不信高めた法の改正を急げ(6/3)
熊本日日新聞)甘利氏不起訴 説明責任果たしていない(6/3)
宮崎日日新聞)甘利氏不起訴 癒着の全容語る責任がある(6/3)
南日本新聞) [甘利氏不起訴] 「ザル法」の限界あらわ(6/3)

朝日新聞)甘利氏不起訴 政治不信深めたザル法(6/2)
日本経済新聞)なお残る甘利氏の説明責任 (6/2)
北海道新聞)甘利氏不起訴 説明責任はどうなった(6/2)
神戸新聞)甘利氏不起訴/国民への説明責任は残る(6/1)




以下引用



新潟日報 2016/06/03
社説:甘利不起訴 法の改正に着手すべきだ


 なぜこれが立件されないのか。構成要件が厳しすぎると言わざるを得ない。政治とカネの問題を断ち切るため、適用できるように法律の改正が必要だ。
 甘利明前経済再生担当相の現金授受問題で、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書2人を嫌疑不十分で不起訴とした。
 道路新設工事を巡る千葉県の建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関して、刑事責任を問えるような不正な口利きはなかったと判断したのだ。
 建設会社の元総務担当者の陳情を受け、元秘書はUR職員と面会し、善処を求めた。URが約2億2千万円の補償費を建設会社に支払う契約が成立した。
 その半月後、元総務担当者は元秘書に500万円を提供した。甘利氏本人も二度にわたり50万円ずつ現金を受け取った。
 元総務担当者は、カネの趣旨について、補償交渉を有利に進めるため、口利きしてもらった謝礼や経費だったと説明している。
 甘利氏も1月に会見で現金授受を認め、大臣を辞任したのは、記憶に新しい。
 甘利事務所の関与によって、補償費が4000万円増額したことが分かっている。
 録音テープなどもある。政治家が、口利き、あっせんによって、利得をした典型的な事案とみるのが自然だといえよう。
 しかし、処罰の対象にならないというから驚きだ。
 あっせん利得処罰法の対象は「議員の権限に基づく影響力」を行使した公務員らへの口利きだ。具体的には国会での質問権や国政調査権を示す行為を想定している。
 これまでに立件されたのは入札に特定業者を参入させようとして市議が市職員に「議会で質問するぞ」と迫ったケースだ。
 甘利氏に当てはめると、国会で質問することをちらつかせることになるが、現職閣僚が国会質問をすることは事実上あり得ない。
 国会議員、それも安倍晋三首相と近い有力閣僚という影響力を考えれば、極めて限定的な行為しか処罰の対象にしていない法律だと言うほかない。
 この法律は、中尾栄一元建設相が公共工事の発注を巡り、業者から賄賂を受け取った事件がきっかけになった。
 国会議員の口利きを取り締まる法律を求める声が上がり、与党が議員立法として国会に提出し、2001年に施行された。
 「ザル法」と言われているのは、議員立法であることが大きな要因だろう。
 法律で処罰されない不正行為がまかり通るのは免罪符を与えるのに等しい。国民の常識と懸け離れた法は変えなければならない。
 告発した団体は検察審査会への申し立てを検討する。抜本的な法改正の前に、検察が積極的に起訴して、裁判所の判断を仰ぐというやり方もある。
 甘利氏は大臣辞任後、国会を病欠している。約束した調査や説明もしていない。政治家として、説明責任を果たすべきだ。
ページのトップへ戻る



[京都新聞 2016年06月03日掲載]
社説:甘利氏不起訴  納得できない法の不備


 甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題で、東京地検特捜部が、あっせん利得処罰法違反容疑で市民団体から告発された甘利氏と元秘書の男性2人を、嫌疑不十分として不起訴処分にした。政治資金規正法違反(不記載など)容疑も不起訴となった。理解しがたい結論である。
 この問題では、千葉県の建設会社で総務担当だった男性の陳情を受け、道路新設工事を巡る同社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、元秘書が2013年6月にUR職員と面会。8月にURが約2億2千万円の補償費を支払う契約が成立したことが判明している。
 総務担当の男性はその後、元秘書に約500万円、甘利氏には2回に分けて計100万円を渡しており、共同通信の取材に対して、「補償交渉を有利に進めるため、口利きしてもらった謝礼や経費だった」と説明した。このほかにも約800万円を元秘書らに提供したと証言している。
 あっせん利得処罰法は、公務員に対する政治家らの口利き行為を取り締まる法律だ。ところが、これだけの事実が明らかになっていても、地検は、刑事責任を問えるような不正な口利きはなかったと判断したという。
 同法は00年、議員立法として成立したが、処罰対象を「議員の権限に基づく影響力」を行使した公務員らへの口利きと非常に狭く限定している。
 今回の問題でも、URに対しては国会議員として直接の影響力がないため、起訴は困難との見方もあった。以前から指摘されていた法の問題点が露呈した格好だ。早急に法改正を考える必要がある。
 市民団体は検察審査会への申し立てを検討しているという。このままでは国民は納得できまい。
 刑事責任は免れるとしても、再び政治とカネをめぐる不信を招いた責任は重く、甘利氏には説明を尽くす義務がある。
 甘利氏は1月に開いた記者会見で、総務担当男性との具体的な金銭のやりとりを明らかにしたうえで不明朗な会計処理などの責任を取って閣僚を辞任した。さらに調査を続けて、「事務所や秘書の問題は公表の機会をもつ」と約束していたが、その後、病気療養を理由に国会を欠席している。
 不起訴を受けたコメントで、捜査への配慮から調査を中断していたと述べて、弁護士に調査再開を依頼し、適切な時期に説明するとした。国民が厳しい目で見ていることを忘れてはならない。
ページのトップへ戻る



山陰中央新報 ('16/06/03)
論説 : 甘利氏不起訴/調査報告の約束を果たせ


 建設会社から口利きを依頼され、その見返りに現金を受け取ったとして、あっせん利得処罰法違反容疑で告発された甘利明前経済再生担当相と元秘書2人について、東京地検特捜部は「十分な証拠がなかった」と嫌疑不十分で不起訴処分にした。甘利氏と元秘書の1人は政治資金規正法違反容疑でも告発されたが、これも不起訴となった。
 甘利氏は「説明を受け止めてもらえたと思う」とするコメントを出した。だが、まだ終わりではない。都市再生機構(UR)による道路工事を巡る建設会社との補償交渉に元秘書らが介入し、2億円余りの補償費を手にした建設会社側は、お礼に元秘書に500万円を提供。大臣室などで甘利氏本人に現金計100万円を渡したとされる。
 元秘書2人に接待を繰り返していたことも分かっている。検察が立件を見送ったのは、元秘書らが「国会で取り上げるぞ」と国会議員の権限を振りかざしてUR側に強い圧力をかけるような、あっせん利得処罰法違反に当たる口利きを確認できなかったからにすぎない。法の限界が浮き彫りになったともいえるだろう。
 癒着があり、元秘書らがUR側に対する働き掛けに動いたことははっきりしており、多くの疑問が手付かずのまま残されている。閣僚辞任の記者会見から、もう4カ月が過ぎた。甘利氏は「さらなる調査結果の報告」という、あのときの約束を速やかに果たすべきだ。
 甘利氏は1月末の記者会見で建設会社の総務担当者が週刊誌に暴露した金銭授受について認めた上で、口利きは否定。提供された計600万円のうち、自分自身が受領した分も含め300万円は政治資金収支報告書に記載したが、残りの300万円は元秘書が費消したと説明した。また元秘書2人が多数回の飲食接待を受けていたとした。
 口利きを巡ってはURが面談記録を公表。元秘書が「少し色を付けてでも地区外に出て行ってもらう方が良いのでは」などとUR側に働き掛けたことが分かった。ただ、あっせん利得処罰法は「権限に基づく影響力」を行使した公務員らに対する口利きを処罰対象にしており、検察はそれに当たらないと判断した。
 一般的な口利きでは足りず、国会での質問権や国政調査権などを背景にかなり露骨に圧力をかけたことの立証が必要とされ、過去に国会議員やその秘書が立件された例はない。「政治とカネ」の問題が後を絶たない中で、専門家からは、法の積極的な解釈・運用を促したり、法改正を求めたりする声が相次いでいる。
 刑事責任の問題は一応決着したが、甘利氏側と建設会社側の癒着の構図は放置できない。元秘書らの飲食接待について1月の会見で甘利氏は、元特捜検事の弁護士が調査しているとした。
 以来、睡眠障害のための療養を理由に国会に姿を見せなかったが、その間、総務担当者は53回にわたり元秘書に15万~20万円ずつを提供したと共同通信に証言するなどしている。
 甘利氏はまず弁護士の調査を基に癒着の全容を明らかにし、これまで積み上げられてきた疑問に一つ一つ丁寧に答えていかなければならない。
ページのトップへ戻る



山陽新聞(2016年06月03日 07時14分 更新)
社説:甘利氏不起訴 説明責任きっちり果たせ


 多くの国民にとっては、いまだ釈然としない思いや疑念が残っているはずだ。
 甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題で、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書の男性2人について、東京地検特捜部は嫌疑不十分として不起訴処分にした。道路新設工事を巡る建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、刑事責任を問えるような不正な口利きはなかった、と判断した。
 ただ、刑事責任は問えないとはいえ、政治とカネを巡る疑惑は拭えておらず、甘利氏の政治的、道義的責任がなくなるわけではない。建設会社側による元秘書らに対する多額の飲食接待なども含め、不透明な金銭のやりとりについて、甘利氏はきちんと説明を尽くさねばならない。
 これまでの甘利氏の説明などによると、千葉県の建設会社の元総務担当者からの陳情を受け、元秘書がUR職員と度々面談。URが道路工事を巡る補償費として約2億2千万円を建設会社に支払う契約が成立した。元秘書は建設会社側から500万円、甘利氏も計100万円を受け取っている。現金授受について元総務担当者は「URとの補償交渉を有利に進めるため、口利きしてもらった謝礼や経費だった」と説明している。
 あっせん利得処罰法は、政治家らが公務員に口利きし、見返りとして報酬を受け取ることを禁じている。だが、立件するには、議員の権限に基づいて影響力を行使したことを具体的に立証する必要がある。東京地検特捜部は甘利氏や元秘書、UR職員らを事情聴取したものの、甘利氏の影響力の行使についての具体的な証拠は得られず、立件を見送ったとみられる。
 甘利氏は、閣僚辞任を表明した1月の記者会見以降、病気療養を理由に国会を欠席し続けている。不起訴処分となったことを受け「あっせんに該当するようなことは一切していないとの説明を受け止めてもらえた。元秘書の不起訴にも安堵(あんど)した」などとするコメントを出した。
 ただ、1月の会見では、弁護士による調査に関し「秘書の問題は引き続き調査し、しかるべきタイミングで公表する機会を持たせていただく」と話していた。会見後の2月には、建設会社の元総務担当者が共同通信の取材に対し、甘利氏が受領を認めた600万円の他にも、800万円以上を当時の秘書らに提供したと証言するなど、金銭授受を巡る疑惑はいまだ払拭(ふっしょく)されていない。甘利氏は早急に説明責任を果たすべきだ。
 今回の問題では、あっせん利得処罰法の限界が改めて浮き彫りになったといえよう。同法は、議員の権限に基づく影響力の行使など構成要件が厳しく、2001年の施行当初から適用の難しさが指摘されてきた。構成要件を見直すなど法律の実効性を高めることが強く求められる。
ページのトップへ戻る



愛媛新聞 2016年06月03日(金)
社説:甘利氏不起訴 政治不信高めた法の改正を急げ


 甘利明前経済再生担当相の現金授受問題で、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反の容疑などで告発されていた甘利氏と元秘書2人をいずれも不起訴処分にした。不起訴の理由は「嫌疑不十分」で、決して疑惑が晴れたわけではないと、くぎを刺しておきたい。
 特捜部は甘利氏や元秘書を任意で事情聴取し、関連書類を押収したが、起訴できる証拠は見つからなかったという。同法は政治家やその秘書が公務員に口利きをした見返りに報酬を受け取ることを禁じている。甘利氏や元秘書が不明朗な多額の現金を受け取っても、何ら罪に問われないのは釈然としない。
 背景には法の不備がある。立件するには「権限に基づく影響力の行使」という要件を満たす必要があるが、立証は難しく、これまで国会議員や秘書へ適用した例はない。かねて「抜け道が多い」と指摘されている。法改正を急ぐべきだ。
 起訴は免れたとはいえ、甘利氏の政治的、道義的責任は残っている。このまま幕引きにすることは到底許されない。
 不起訴を受け、甘利氏は「あっせんに該当するようなことを一切していないとの説明を受け止めてもらえた」とのコメントを出した。だが1月の閣僚辞任会見では「調査を進め、しかるべきタイミングで公表する」と言い切っている。その後は病気療養を理由に国会を欠席し、約束は果たしておらず、不誠実と言わざるを得ない。
 甘利氏は、千葉の建設会社から100万円の提供を受けたと認めたが、政治資金として適正に処理したと強調。一方で、建設会社の元総務担当者は道路工事の問題で、都市再生機構(UR)との補償交渉を有利に進めるため、URに口利きをしてもらった謝礼や経費だったと説明しており、言い分は大きく食い違っている。
 元秘書がUR側と面談を重ねたのは事実だ。「少し色を付けてでも」と補償額の増額を求める発言もしている。実際、面談後に補償額は上積みされ、2億2千万円で成立した。元秘書の1人は建設会社側から500万円を受け取った。補償成立後も現金や接待を受けている。
 甘利氏は、捜査のため中断していた調査を再開するよう弁護士に依頼したという。説明責任を第三者に丸投げするような形は、時間稼ぎにしか映らない。調査が途中であっても一刻も早く公の場で、丁寧な説明を尽くすのが筋だ。安倍晋三首相も甘利氏をかばうのでなく、国民への説明を促すことで任命責任を果たさねばなるまい。
 甘利氏らの一連の行為と不起訴によって、政治不信はさらに高まっている。「政治とカネ」の問題の撲滅には一刻の猶予もない。今度こそ政治家自らが襟を正さなければ、信頼回復はおぼつかない。企業・団体献金の禁止など、政治資金制度の抜本改革に国会全体が本腰を入れて取り組む必要がある。
ページのトップへ戻る



熊本日日新聞2016年06月03日
社説:甘利氏不起訴 説明責任果たしていない


 これで一件落着では、納得できない人も多かろう。あくまで刑事事件捜査の結論であり、国民の不信は消えていない。
 甘利明前経済再生担当相の現金授受問題について、東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書の男性2人を、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
 道路新設工事を巡る建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、甘利氏と元秘書が、建設会社の依頼で口利きをした見返りに計600万円の現金を受け取った疑いがあるとして、市民団体や弁護士団体が告発していた。特捜部は、政治家らの権限を根拠とした口利きとして刑事責任を問うのは難しいと判断した。
 あっせん利得処罰法は、政治家や秘書の口利きを禁じるために議員立法で2001年に施行されたが、当初から「抜け道が多い」と批判されていた。これまでに国会議員と秘書への適用例はない。
 特に懸念されたのは、たとえ政治家らが口利きの見返りに現金を手にしたとしても、質問権や国政調査権などの「権限に基づく影響力」を行使しなければ摘発されない点だった。
 特捜部は、建設会社やUR本社を家宅捜索。甘利氏や元秘書、UR職員らから事情聴取したが、「影響力の行使」の具体的な証拠を得ることができなかった。
 だが、元秘書たちが建設会社側の求めに応え、UR側と何度も面会していたのは事実だ。建設会社側から再三、接待を受けていたことも分かっている。こうした状況に加えての現金授受。「不信の核心」はまさにこの点にあろう。
 法律の問題点をそのままにしてきた国会にも責任があるだろう。今回の問題を検証し、見直しに動くべきだ。
 問題が発覚した1月に記者会見した甘利氏は、元秘書が500万円、甘利氏自身も現金計100万円を受け取ったことを認め、経済再生担当相を辞任した。自身は口利きに関与しておらず、受け取った現金は政治資金として適正に処理したとして違法性を否定した。一方で、300万円を私的に使い込んだという元秘書については「弁護士による調査を進め、報告する」と約束していた。
 ところが、甘利氏は以後、睡眠障害で療養が必要として国会を欠席し続け、公の場に姿を見せていない。野党が要求した参考人招致にも応じず、到底、説明責任を果たしているとは言えまい。
 不起訴処分を受けて甘利氏は「あっせんに該当するようなことは一切していないとの説明を受け止めてもらえた」とのコメントを出した。元秘書の調査については「捜査への配慮から中断していた調査を再開するよう弁護士にお願いした」などとした。
 「政治とカネ」について、国民の不信を払拭[ふっしょく]するためにも、甘利氏は国会の場で説明し、自ら疑惑を晴らすべきだ。甘利氏を重用してきた安倍晋三首相も全容解明に努める責任があろう。
ページのトップへ戻る



宮崎日日新聞 2016年6月3日
社説:甘利氏不起訴
◆癒着の全容語る責任がある◆


 建設会社から口利きを依頼され、その見返りに現金を受け取ったとして、あっせん利得処罰法違反容疑で告発された甘利明前経済再生担当相と元秘書2人について、東京地検特捜部は「十分な証拠がなかった」と嫌疑不十分で不起訴処分にした。甘利氏と元秘書の1人は政治資金規正法違反容疑でも告発されたが、不起訴となった。
 刑事責任の問題は一応決着したものの、甘利氏側と建設会社側の癒着の構図は放置できない。疑惑は晴れておらず、国民への説明責任を果たすべきだ。
法の限界浮き彫りに
 都市再生機構(UR)による道路工事を巡る建設会社との補償交渉に元秘書らが介入し、2億円余りの補償費を手にした建設会社側は、お礼に元秘書に500万円を提供。大臣室などで甘利氏本人に現金計100万円を渡したとされる。
 甘利氏は、1月末の記者会見で建設会社の総務担当者が週刊誌に暴露した金銭授受について認めた上で、口利きは否定。
 提供された計600万円のうち、自分自身が受領した分も含め300万円は政治資金収支報告書に記載したが、残りの300万円は元秘書が費消したと説明した。また元秘書2人が多数回の飲食接待を受けていたとした。
 口利きを巡ってはURが面談記録を公表。元秘書が「少し色を付けてでも地区外に出て行ってもらう方が良いのでは」などとUR側に働き掛けたことが分かった。
 ただ、あっせん利得処罰法は「権限に基づく影響力」を行使した公務員らに対する口利きを処罰対象にしており、検察はそれに当たらないと判断した。
 国会での質問権や国政調査権などを背景にかなり露骨に圧力をかけたことの立証が必要とされ、過去に国会議員やその秘書が立件された例はない。「政治とカネ」の問題が後を絶たない中で、専門家から、法の積極的な解釈・運用を促したり、法改正を求めたりする声が相次いでいるのは当然だ。
TPPは説明されず
 捜査は終結したとはいえ、国民の政治不信を招いた責任は重い。
 甘利氏は1月末の記者会見で弁護士に依頼しているという「調査結果の報告」を約束した。しかしそれ以降、睡眠障害の療養を理由に国会に姿を見せず、国民への報告をしていない。
 安倍晋三首相は自らの「任命責任」を認めている。そうであれば甘利氏に対し、弁護士の調査を基に癒着の全容を明らかにし、疑問に一つ一つ丁寧に答えていくよう促すべきだ。
 また甘利氏は昨秋、大筋合意した環太平洋連携協定(TPP)で交渉の先頭に立ってきた人物である。本県の農業関係者らは、国会の場で交渉経緯や今後の展望が説明されるのを聞きたかったはずだが、甘利氏は自らの問題によりその役目を果たせなかった。その責任も大きいと言わざるを得ない。
ページのトップへ戻る



南日本新聞 ( 2016/6/3 付 )
社説: [甘利氏不起訴] 「ザル法」の限界あらわ


 法と証拠に基づく捜査の結果とはいえ、ふに落ちない国民も多いのではないか。
 甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題に絡み東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書2人を、嫌疑不十分として不起訴処分にした。
 特捜部は容疑について「必要な捜査はしたが、十分な証拠がなかった」としている。
 だが、告発した市民団体からは「甘利氏への捜査が不十分」「検察審査会への申し立ても検討したい」との声が上がっている。国民感情からすれば当然だろう。
 一方、法曹関係者の間には法の限界を指摘する意見もある。
 「社会通念上非難されるべき行為だったとしても、(あっせん利得処罰法の)犯罪の成立要件として捉えられないことはある」という見方だ。
 あっせん利得処罰法は、政治家や秘書の不正な口利きをやめるための法律だ。しかし、構成要件が厳しく、これまで国会議員とその秘書が立件された例はない。
 要件は「議員の権限に基づく影響力」を行使した、公務員らへの口利きとその見返りだ。具体的には、「議会で質問するぞ」といった質問権や国政調査権などを基にした働き掛けなどを指す。
 逆に言えば、こうした言葉を発しない交渉などは罪に問うことが難しくなる。
 これでは口利きの抑止力がないに等しく、「ザル法」と言われるゆえんである。今回もそれがあらわになったことは明らかだ。
 甘利氏の問題を機に、与党は自らの議員立法で法が制定された原点に返ってもらいたい。
 与党が当初考えた「口利きのために金をもらったらアウト」という、分かりやすい法律への改正を目指すべきではないか。
 甘利氏の問題は道路新設工事に関わる補償交渉だった。
 建設会社から陳情を受けた元秘書が、補償当事者の独立行政法人側と面会した後、約2億2000万円の補償費の支払い契約がまとまった。その後、甘利氏らは計600万円を受け取った。
 現金の趣旨を、会社の元総務担当者は「補償交渉を有利に進めるため、口利きしてもらった謝礼や経費だった」とした。甘利氏側は現金受領を認めたものの、口利きは否定した。
 不起訴になったからといって、甘利氏は説明責任を免れない。そもそも甘利氏は1月の辞任表明の会見で、「しかるべきタイミングで説明する」と語っていた。国民との約束を実行する時である。
ページのトップへ戻る



朝日新聞 2016年6月2日05時00分
(社説)甘利氏不起訴 政治不信深めたザル法


 あんなにおかしなことをしても罪にならないのか――。多くの人が釈然としない思いを抱いたのではないか。
 甘利明・前経済再生相をめぐる金銭疑惑を調べていた東京地検は、同氏と元秘書2人を不起訴処分にしたと発表した。
 甘利氏らは都市再生機構(UR)と土地の補償交渉をしていた業者から計600万円を受けとるなどした。その前後に元秘書は業者側にたってURに働きかけをしており、あっせん利得処罰法違反の疑いがもたれた。だが、起訴できるだけの証拠がそろわなかったという。
 16年前にこの法律が議員立法でつくられたときから、ザル法との批判がついてまわった。
 とりわけ問題とされたのは、国会議員らが口利きの見返りに金を手にしても、「権限に基づく影響力」を行使しなければ摘発されないことだった。
 当時の野党はこの要件に反対した。国会に参考人として招かれた学者らも「法律上の権限はないが顔のきく大物議員が働きかけたときには適用できない」「抜け道が多い」と繰り返し指摘した。だが自民、公明などは「処罰範囲が広くなると自由な政治活動が萎縮する」との理由から削除に応じなかった。
 そして今回、当時の懸念が現実のものとなった。
 政治家やその秘書が人々の要望を聞き、役所などに伝えるのがいけないと言うのではない。口を利いて金をもらうことはしない。違反した者は罰する。必要なのは、当時も今も、この単純で当たり前の考えにたち、それを実効たらしめる法律だ。
 あっせん利得処罰法は、政治家らの清廉さをたもち、国民の信頼を得ることを目的としている。だが甘利氏らの一連の行いと不起訴という結末によって、政治不信はむしろ深まった。
 批判の目は甘利氏にとどまらず、お手盛りで法律をさだめ、そのままにしてきた国会にも向けられている。与野党とも問題がどこにあるかを検証し、見直しにむけて動くべきだ。
 起訴はまぬがれたが、甘利氏の刑事責任と道義的・政治的責任は別である。大臣を辞任したことし1月末以降、体調不良を理由に国会を休みつづけ、秘書の行動について「調査を進め、公表する」との約束は、いまだ果たされていない。
 甘利氏は、捜査への配慮から中断していた独自の調査を再開するとの談話を出す一方で、検察審査会の動きに触れ、発表が遅れる可能性も示唆した。
 何をかいわんや。先延ばしは、もう許されない。
ページのトップへ戻る



日本経済新聞 2016/6/2付
社説:なお残る甘利氏の説明責任


 建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉をめぐり、あっせん利得処罰法違反の容疑で告発されていた甘利明前経済財政・再生相と2人の元秘書について、東京地検が不起訴処分とした。
 有力な政治家の秘書が陳情を受けて民間の交渉ごとに関与し、多額の金銭を受け取ったとしても何ら罪には問われない。この結果に釈然としない思いを持つ人は多いのではないだろうか。
 今回の不起訴は「嫌疑なし」ではなく「嫌疑不十分」である。あくまで刑事責任を問えるだけの証拠はない、という意味だ。起訴されなかったからといって、甘利氏の政治的・道義的責任まで消えてなくなるわけではない。
 甘利氏は今年1月、閣僚を辞任した際の会見で現金授受など経緯の一部を説明したが、その後は健康問題を理由に国会を欠席し続けている。会見で約束した弁護士らによる調査結果などを、政治倫理審査会などの場で積極的に明らかにしていくべきだ。
 甘利氏の説明などによると、2013年、千葉県内の建設会社の元総務担当者が、道路工事をめぐるURとの交渉について甘利事務所に相談した。元秘書らはUR職員と面談を重ね、UR側が約2億2千万円を建設会社に支払うことで決着した。元秘書は元総務担当者から500万円、甘利氏本人も計100万円を受け取っている。
 あっせん利得処罰法は政治家や秘書が公務員に口利きをした見返りに報酬を受け取ることを禁じている。だが立件するには、「議員の権限にもとづく影響力の行使」があったことを具体的に証明しなければならない。国会議員やその秘書に適用されたことはなく、かねてザル法との指摘があった。
 今回のようなケースが不問に付されるなら、交渉に介入して謝礼をもらうことはおよそ通常の政治活動ということになる。果たしてそれでいいのか。国民の信頼を取り戻そうという気持ちがあるのであれば、国会は法律の見直しに向けた議論を始めるべきだ。
ページのトップへ戻る



北海道新聞 2016/06/02 08:50
社説:甘利氏不起訴 説明責任はどうなった


 甘利明・前経済再生担当相の現金授受問題で東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元秘書の男性2人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 道路工事を巡る千葉県の建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、甘利氏側に刑事責任を問えるような不正な口利きはなかったと判断した。
 割り切れなさが残る。政治家と業者の不明朗な関係に切り込めない法律であれば、改正が必要だ。
 甘利氏は国民に重大な疑念を招いたにもかかわらず、きのう閉幕した国会では「睡眠障害」を理由に野党の招致要求に応じなかった。不誠実と言わざるを得ない。
 あっせん利得処罰法は公正な行政を損ねる口利きの見返りに報酬を受ける行為を禁じたが、国会議員やその秘書の立件例はない。議員の「権限に基づく影響力の行使」の立証が難しいとされる。
 だが、甘利氏側と建設会社の関係は不透明さが拭えない。
 建設会社の総務担当者がトラブルの処理を甘利事務所に陳情し、2013年6月に事務所側がUR職員と接触した。同8月に建設会社とURの間で約2億2千万円の補償契約が成立した。
 建設会社側から元公設第1秘書と甘利氏本人に計600万円が提供されたのは、この後だ。総務担当者はURへの口利きの謝礼だったと説明していた。
 甘利氏は2回にわたり計100万円を現金で受領した。元秘書への現金提供はこれ以外にもあり、接待も受けたという。
 URという独立行政法人と民間業者の補償交渉に国会議員の事務所が深く関わること自体、行政の公正性をゆがめかねない行為だ。
 ましてや甘利氏は安倍晋三首相の盟友で、政権の経済政策の司令塔を務めた実力者である。補償交渉に影響を与えなかったと言い切れるのだろうか。
 個別の案件に議員の立場・肩書をもって関与し、そこに金銭の授受が絡んだような場合は立件できる法改正を検討すべきだろう。
 口利き根絶の抜本策としては企業・団体献金の禁止が不可欠だ。
 今回の問題は告発した団体が検察審査会に審査を申し立てる可能性もあるが、まずは甘利氏が説明責任を果たす必要がある。
 「政治とカネ」の問題で有権者の不信を募らせた責任は重い。首相と自民党は参院選前に積極的な対応を取るよう、甘利氏に促さなければならない。
ページのトップへ戻る



神戸新聞 2016/06/01
社説:甘利氏不起訴/国民への説明責任は残る


 都市再生機構(UR)との補償交渉を巡り建設会社側から多額の金銭を受け取っていた問題で、甘利明氏が経済再生担当相を辞任して約4カ月。東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反などの容疑で告発されていた甘利氏と元秘書2人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 政治家や秘書が公務員に口利きをした見返りに報酬を得るのを禁じた同法は立件のハードルが高く、国会議員とその秘書への適用例はない。特捜部は甘利氏本人にも任意で事情を聴いたが、議員の権限を根拠とした口利きと確認できず、刑事責任を問うのは難しいと判断した。
 捜査は終結したとはいえ、不自然な資金への疑念は消えていない。甘利氏は国会の場で説明し、自ら疑惑を晴らす責任がある。
 週刊文春の報道を受けて1月に記者会見した甘利氏は、元公設秘書が500万円、甘利氏本人も現金計100万円を受け取ったと認め、閣僚を即日辞任した。自身は口利きに関与しておらず、受け取った現金は政治資金として適正に処理したとして違法性は否定した。一方で、300万円を私的に使い込んだという元秘書については、弁護士による調査結果の報告を約束していた。
 だが、直後から睡眠障害の療養を理由に国会を欠席し続け、野党が要求した参考人招致などに応じようとしなかった。国会はきょう会期末を迎える。時間切れを狙ったと疑われても仕方のない無責任な対応だ。
 その後も、URが公開した面談記録や野党が入手した音声データなどから、元秘書が補償交渉に深く関わったことを示す生々しいやりとりが明らかになっている。建設会社の元総務担当者は取材に、資金提供は甘利氏が認めた分も含め計1400万円を超えるとし「口利きの謝礼だった」と証言した。
 一連の疑惑が法的には不問に付されたとしても、国民には「政治とカネ」の闇の深さが焼き付いたに違いない。甘利氏の責任は重い。
 自らの言葉で潔白を証明し、有権者の信頼を取り戻す。それこそ甘利氏の言う「政治家の矜持(きょうじ)」だろう。政治家として国民にしっかりと説明しなければならない。
 甘利氏を重用してきた安倍晋三首相も「任命責任」を認めている。口先だけでなく、あらためて調査結果を報告するよう強く求めるべきだ。
ページのトップへ戻る

/////////////////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 甘利 わいろ 疑惑 不起訴 政治不信 ザル法

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン