2016-06-05(Sun)

甘利わいろ疑惑 不起訴不当 検察審査会申し立て

検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸癒着した法務省幹部“捜査潰し”?
処罰できぬ法の限界だ 各紙社説等160604-5



<報道等記事>
しんぶん赤旗)“甘利氏不起訴は不当”告発の教授ら 口利き疑惑 検察審に申し立て(6/4)
リテラ ) 甘利明の捜査を潰した法務省幹部の名前
“真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか?
官邸と癒着した法務省幹部の“捜査潰し”全内幕(2016.06.03)


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<各紙社説・論説>
しんぶん赤旗)甘利氏不起訴処分 首相と与党の責任が問われる(6/5)
西日本新聞)甘利氏不起訴 「ザル法」ならば改正せよ(6/5)
徳島新聞)甘利氏不起訴 「ザル法」は変えなければ (6/5)

毎日新聞)甘利氏不起訴 処罰できぬ法の限界だ(6/4)
中国新聞)甘利氏不起訴 黒白つける法改正急げ(6/4)
高知新聞)【甘利氏不起訴】説明責任は残っている(6/4)




以下引用



しんぶん赤旗 2016年6月4日(土)
甘利氏不起訴は不当”告発の教授ら 口利き疑惑 検察審に申し立て


 金銭授受の疑惑で辞任した甘利明前経済再生相と元秘書2人を東京地検が不起訴にしたことは不当だとして3日、市民団体「政治資金オンブズマン」の上脇博之共同代表(神戸学院大教授)らが東京検察審査会に審査を申し立てました。
“立件しないと法が死文化”
 上脇教授らは4月、甘利氏ら3人をあっせん利得処罰法違反や政治資金規正法違反の疑いで、東京地検特捜部に告発。東京地検は5月31日に嫌疑不十分だとして3人を不起訴処分にしました。
 申立書は、事件について「閣僚として政権の中枢にある有力政治家事務所が口利きを依頼されて、建設会社とURとのトラブルに介入。その報酬を受領したという、あっせん利得処罰法が想定した典型的な犯罪」と強調しています。
 同事件では建設会社「薩摩興業」の総務担当者、一色武氏が甘利事務所とのやりとりを克明に記録した多くの証拠がある点も指摘。「多くの論者が指摘しているとおり、この事件を立件できなければ、あっせん利得処罰法の適用例は永遠になく、立法が無意味だったことになる」とのべています。
 さらに申し立てでは、「これを放置すると、政権政党の有力大臣や有力政治家に多額のカネを払い、関係機関に『口利き』を要請する事態が跋扈(ばっこ=はびこる)」するとしています。
 あっせん利得容疑では時効が8月20日に迫っているため、早急な審査を求めています。
 申し立てた上脇教授は「これだけの事実がありながら立件できなければ、あっせん利得処罰法は死文化したことになる。甘利氏の影響力があったから、交渉が進み、補償額が引き上がり、新たな補償を次々と引き出すことができた。これが罪に問われなければ他の自民党議員も『口利きしても大丈夫』と思うだろう」と語っています。
 この事件をめぐっては法律家団体「社会文化法律センター」も東京地検に告発をしています。
 検察審査会 くじで選ばれた市民が検察官の不起訴処分が妥当かを審査するもの。審査会で11人中8人以上が「起訴すべき」と判断すれば「起訴相当」を議決します。「起訴相当」が出ると、検察は再捜査し、起訴するか3カ月以内に判断しなければなりません。再び不起訴となった場合、新たな市民による審査会が行われます。そこで2度目の「起訴相当」が出た時は、容疑者は必ず起訴される「強制起訴」となります。その際、裁判所が選んだ弁護士が検察官役となって公判を進めていくことになります。
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リテラ 2016.06.03
甘利明の捜査を潰した法務省幹部の名前
“真っ黒”な甘利明を検察はなぜ「不起訴」にしたのか? 官邸癒着した法務省幹部の“捜査潰し”全内幕


http://lite-ra.com/2016/06/post-2301.html
 なんなんだ、この結末は? 1日、あの甘利明前経済再生担当相について、東京地検特捜部が不起訴処分にするというニュースが、一斉に流れた。しかも、甘利本人だけではなく、同じく告発を受けていた公設秘書2人も立件見送りになるという。
 いっておくが、犯罪が軽微だったわけではない。甘利がやったことは、今、マスコミが大騒ぎしている舛添要一都知事の政治資金問題などとは比べ物にならない、政治家としては最も悪質な賄賂事件だった。しかも、特捜部は最近、政界捜査に弱腰になっていたとはいえ、小渕優子元経産相や小沢一郎のケースのように、秘書の立件まではやるのが普通だった。それが、今回は一切なんのおとがめもなし。これはいくらなんでも異常すぎるだろう。
 取材してみると、今回の不起訴決定の裏には、法務省幹部の露骨な捜査潰しの動きがあったことがわかった。しかも、この幹部は明らかに官邸と深いつながりのある人物だった。
 捜査潰しの詳細に踏みこむ前に、まず、事件のおさらいをしよう。甘利の容疑は、2013年5月に千葉県の建設会社・薩摩興業の依頼で、都市再生機構(UR)へ移転補償金の値上げを「口利き」した見返りに、賄賂を受け取っていたというものだ。
 周知のように、薩摩の元総務担当者、一色武氏が「週刊文春」に公設秘書ら2人に現金500万円、さらに甘利本人に100万円を手渡していたことを告発した。実際、甘利事務所が現金を受け取ったことを証明する領収証や、甘利の公設秘書らがUR側に補償金アップの働きかけをして交渉を録音したテープなどの物証もあった。
 しかも、URは甘利事務所からのアプローチ後、薩摩側への補償金額を約1億8千万円から2億円に、さらに2億2千万円にと、2回にわたって増額しているのだ。公共事業の補償額が途中で2回も増額されるなんてことは、通常、ありえない。
 そういう意味では、甘利の口利き、賄賂疑惑はあっせん利得処罰法違反どころか刑法のあっせん収賄罪も成立する可能性のある真っ黒な案件だったのだ。
 当の東京地検特捜部も4月にURを家宅捜索し、甘利氏の元秘書らを事情聴取。明らかに立件を視野に動いていた。当初の計画では、参院選前にまずURの職員だけを摘発し、参院選後に、甘利の公設秘書ら2人を立件。その後、甘利本人にいくかどうかを判断する予定だったという。それが、参院選前に一転して、全員「不起訴」の判断が下ってしまったというわけだ。
 検察の説明によると、現金授受や口利きの事実はあったものの、告発を受けていたあっせん利得処罰法違反の要件である「国会議員としての権限に基づく影響力の行使」が認められなかったため、起訴を見送ることになったという。「議会で追及する」「予算をつけない」「人事を動かす」といった強い脅しがなければ「権限に基づく影響力の行使」とはいえず、甘利たちの口利きはそのレベルになかったと、地検幹部はブリーフィングで説明したらしい。
新聞はこれを受けて、一斉に「法律の限界」「あっせん利得処罰法はもともと立件が難しい」などといったわけ知りの解説記事を垂れ流した。
 まったく冗談もほどほどにしてほしい。たしかに、このあっせん利得処罰法は、中尾栄一元建設相の収賄事件を機に、職務権限のない議員やその秘書が公共事業で不正を働くことを防止するために制定された法律なのだが、現実には刑法のあっせん収賄罪よりも適用が難しいと言われ、これまで国会議員がこの法律で摘発されたことはない。
 しかし、甘利のケースは、要件をすべて満たしており、法律の専門家も「適用は可能」と口をそろえていた。元東京地検特捜部検事の郷原信郎氏は「あっせん利得処罰法のど真ん中のストライクの事案」とまで言っていた。
 検察が要件を満たしてなかったとする「権限に基づく影響力の行使」についても、「議会で追及する」といった強い脅しが必要というのは検察の勝手な後付けの解釈であり、事件発覚当初は「甘利氏は有力閣僚であり、国土交通省を通じ、URの予算や人事について影響力を行使することが可能だから要件は満たしている」(郷原氏)という見方が一般的だった。
 そして何より、特捜部じたいが国会議員秘書初のあっせん利得法違反を立件すると意気込んで捜査を行い、4月の段階では、東京地検内部でも立件することでコンセンサスがとれていたのだ。
 しかも、仮にあっせん利得法違反での立件が難しいという判断なら、刑法のあっせん収賄罪で摘発するという方法もあったはずだ。
 また、それもダメなら、少なくとも、小沢一郎のケースのように秘書を政治資金規正法違反で起訴することはできた。甘利の元公設秘書は13年8月に一色氏から500万円を受領したが、関連団体の政治資金収支報告書には200万円しか記載がなかった。これは明らかに「規正法の虚偽記載」にあたる。
 ところが、これも、甘利事務所が提出した会計帳簿に残りの300万円について「返却予定」「返済」と記していたという理由だけで、不問に付してしまったのである。泣く子も黙る、と恐れられた東京地検特捜部とは思えない大甘な対応ではないか。
 実は、不起訴の方針が決まった後、現場の検事の間ではこんなセリフが飛び交ったという。
「黒川にやられた」
 黒川というのは、法務省のナンバー2官僚である黒川弘務官房長のこと。官房長を5年という異例の長い期間つとめ、次期事務次官が確実といわれている人物だ。そんな人物に「やられた」というのはどういうことか。司法担当記者が解説する。
「東京地検特捜部が政界捜査に着手するときは『三長官報告』をやらなければなりません。これは、法務大臣、検事総長、東京高検検事長の3人の最高幹部に捜査の方針を報告するのですが、その前に必ず、本省(法務省)の官房長、つまり黒川さんに捜査の詳細をあげて根回しをするんです。ところが、今回、地検がURの職員の立件を決めておうかがいをたてたところ、黒川官房長から今、検察が説明しているのと同じ『権限に基づく影響力の行使がない』という理屈で突っ返されてしまった。それで、現場は、『あっせん収賄罪』に切り替えて捜査しようとしたんですが、『あっせん利得法違反で告発されているんだから、勝手に容疑を変えるのは恣意的と映る』などと、これも拒否されてしまったらしい」
 しかも、この後、地検幹部は捜査現場に対して「参院選に影響が出ないように、投票日の1カ月前までには白黒をつけろ」とプレッシャーをかけてきたという。
「当初は、選挙に影響がないよう秘書は参院選後に本格捜査する方針で、地検の検事正や次席検事も了承していた。ところが、突然、参院選の前にすべて決着をつけろ、となって、政治資金規正法違反も立件できなくなってしまったようです。この地検幹部の豹変も、黒川官房長が命じた結果だといわれています。官房長は人事権を全部握っていますから、さからうと出世に響きかねない。今の八木宏幸検事正や落合義和次席検事は特捜部出身ではありますが、主に経済事件担当で、上の顔色をうかがうタイプですから、あっという間に陥落してしまったんですよ」(前出・司法担当記者)
 では、黒川官房長はなぜ、ここまで露骨に捜査潰しの圧力を加えてきたのか。実は、この黒川官房長は、法務省内でも「自民党の代理人」といわれているほど、政界とべったりの法務官僚なのだ。
「官房長という役職自体が、予算や人事の折衝をする役割で、政界とつながりが深いのですが、とくに黒川氏は小泉政権下で法務大臣官房参事官をつとめて以降、官房畑を歩んでおり、自民党、清和会にと非常に太いパイプをもっている。官房長になったのは民主党政権下の2011年なんですが、このときも民主党政権には非協力的で、自民党と通じているといわれていました。そして、第二次安倍政権ができると、露骨に官邸との距離を縮め、一体化といっていいくらいの関係を築くようになった。とくに菅官房長官、自民党の佐藤勉国対委員長とは非常に親しく、頻繁に会っているところを目撃されています」(前出・司法担当記者)
 そして、安倍政権以降、黒川官房長は政界捜査に対して、ことごとく妨害するようになったという。
「小渕優子経産相の事件が秘書の立件だけで終わったのも、日歯連事件がしりすぼみに終わったのも、やはり黒川官房長の段階ではねつけられた結果だったようですね」(前出・司法担当記者)
 さらに、黒川官房長が今回、甘利捜査を潰した背景としてささやかれていることがもうひとつある。それは、先の国会で成立した刑事訴訟法の改正とのからみだ。
 この刑事訴訟法改正は、民主党政権下で進んでいた検察改革や取り調べ可視化などを骨抜きにする一方、司法取引を導入し、盗聴の範囲を拡大する、むしろ冤罪の可能性を高めるもの。明らかに検察・警察を一方的に利する改革なのだが、これを官邸と自民党に熱心に働きかけていたのが、黒川官房長だった。今度は、全国紙政治部記者が語る。
「この改正には批判が強く、昨年の国会では継続審議になっていた。それが、先の国会で一気に進み、成立したわけです。甘利の捜査潰しはこの刑事訴訟法改革の進展とシンクロしている。ようするに、黒川官房長は、刑事訴訟法改革をやってくれた官邸、自民党へのお礼に、甘利捜査を潰したのではないかといわれているんです」
 実際、甘利捜査の捜査潰しの経緯を見ると、裏があるとしか思えない。検察内部では、今、「黒川官房長がいるかぎり、政界捜査はできない」という声が広がっているという。
 自民党の政治家はどんな悪質な事件を起こしても摘発されない。そして安倍政権の政敵は些細な事件でバッシングを浴び、摘発される。そんな独裁国家まがいの体制がすでにできあがっているということらしい。
(田部祥太)
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しんぶん赤旗 2016年6月5日(日)
主張:甘利氏不起訴処分 首相と与党の責任が問われる


 千葉県内の建設会社と都市再生機構(UR)との道路建設などをめぐる補償交渉を口利きし、報酬を受け取ったとして、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利明・前経済再生担当相と元秘書2人が不当にも不起訴となりました。甘利氏に政治家として自ら疑惑にこたえる責任があるのは明らかです。同時に、見過ごせないのは甘利氏を閣僚に起用し続けてきた、盟友・安倍晋三首相と、与党の自民・公明両党の責任です。甘利氏が不起訴になった後も、だんまりというのは許されません。安倍首相と与党の姿勢が問われるのは避けられません。
絵にかいたような疑惑
 安倍政権では、小渕優子元経済産業相や島尻安伊子沖縄北方担当相など、閣僚の「政治とカネ」の疑惑が後を絶たず、安倍首相や政権与党は、疑惑解明と責任明確化に動こうとしていません。安倍政権と自民・公明両党が推した東京都の舛添要一知事も、政治資金問題などで追及されており、首相や与党の責任は重大です。
 今年初めの週刊誌の報道などで発覚し、市民団体からも告発を受けていた甘利氏の疑惑は、甘利氏自身や甘利事務所の秘書が建設会社から相談を受け、URとの交渉にも立ち会って補償を取り付け、現金を受け取ったり飲食の接待をされたりしたという、絵にかいたようなあっせん利得の疑惑です。
 あっせん利得処罰法は国会議員やその秘書が、国などの契約や処分に関して請託を受け、権限を行使して働きかけ、その見返りに報酬を受け取ることを禁止しており、違反すれば議員は懲役3年以下、秘書は同2年以下などの重罰です。甘利事務所が関与したことで補償額が引き上げられた可能性までが明らかになっており、疑惑は動かしようがありません。
 にもかかわらず、告発を受けた東京地検は、経済再生相の甘利氏には「職務権限」がなかったなどの理由で、嫌疑不十分・不起訴としたのです。あっせん利得処罰法はもともと、国会議員などがあっせん収賄罪などの追及を免れるのを封じ込めるねらいでした。ところが「職務権限」などを厳しく解釈するため、国会議員や秘書は1人も立件されたことがありません。典型的な疑惑の甘利氏らの不起訴は、せっかくの法律の趣旨をいちじるしく損なうことになります。
 甘利氏らを告発していた市民団体は、不起訴処分を不当として、検察審査会に申し立てました。甘利氏のような疑惑まで処罰されないとなれば、有力政治家の「口利き」が大手を振ってまかり通ることになります。検察審査会が公正に審査し、司法としての責任を果たすのは当然のことです。
閣僚の任命権者の責任
 甘利氏は安倍首相の盟友として、安倍政権で3年余り有力閣僚を務めた政治家です。甘利氏の疑惑発覚後、任命権者である安倍首相はもっぱら甘利氏任せで、積極的に疑惑解明に動きませんでした。甘利氏が1月末に閣僚を辞任し、国会にも出てこない中で、甘利氏に説明責任を果たさせる首相の責任はいよいよ重大です。
 検察の不起訴処分で甘利氏の疑惑にほおかぶりするのは許されません。甘利氏に政治家としての疑惑解明の責任を果たさせないなら、政権を担当する首相も国民の代表としての資格が疑われます。
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=2016/06/05付 西日本新聞朝刊=
社説:甘利氏不起訴 「ザル法」ならば改正せよ


2016年06月05日 10時35分
 これでおとがめなしとは、ふに落ちない-首をかしげた国民は多いのではないか。あっせん利得処罰法違反容疑などで告発されていた甘利明前経済再生担当相と元秘書について、東京地検特捜部は嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 千葉県内の道路工事に関する建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉を巡る問題だ。金の流れは今年1月の甘利氏の記者会見などで明確になっている。
 建設会社の陳情を受け、元秘書が2013年6月にUR職員と面会した。最初はゼロ回答だったURは同年8月、約2億2千万円の補償契約を結んだ。建設会社側は元秘書に500万円、甘利氏に各50万円を2回にわたって渡した。元秘書は500万円のうち300万円を私的に使った-。
 ここまで明らかなのに、東京地検は「十分な証拠がない」とした。閣僚だった甘利氏には国会で質問する機会などはない。あっせん利得処罰法の構成要件である「議員の権限に基づく影響力」が立証不可能と判断したとみられる。
 同法は議員や首長、秘書に横行する口利きビジネスに歯止めをかけようと01年に施行された。しかし立件例は少なく、とりわけ国会議員への適用例は1件もない。
 今回のように構図が明確なのに立件できないなら、やはり抜け穴だらけの「ザル法」としか言いようがない。口利きで政策が不当にゆがめられるのを防ぐために、国会は一刻も早く法改正すべきだ。
 東京地検には、検察OBなどから「構成要件を不当に狭く解釈した」との批判が出ている。議員や秘書の影響力を幅広く解釈すべきだとの指摘だ。起訴して裁判所の判断を仰ぐ方法もあった。これでは検察不信も招きかねない。
 体調不良を理由に国会を欠席した甘利氏は、不起訴に際し「体調も徐々に回復しており、政務に復帰する時期を考えたい」とのコメントを出した。「嫌疑なし」ではない。潔白と勘違いしてもらっては困る。深刻な政治不信を招いた責任は重い。国会での証人喚問などにも自ら進んで応じるべきだ。
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徳島新聞 2016年6月5日付
社説:甘利氏不起訴 「ザル法」は変えなければ


 政治家を立件するためのハードルは、高く設定されているようだ。およそ国民は納得しないだろう。
 安倍内閣を揺さぶった甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題である。
 東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と元公設秘書、元政策秘書の3人を嫌疑不十分で不起訴処分にした。
 道路新設工事を巡る建設会社と都市再生機構(UR)との補償交渉に関し、刑事責任を問えるような不正な口利きはなかったと判断した。
 業者側から提供された現金の一部を、政治資金収支報告書に記載しなかった政治資金規正法違反容疑も不起訴となった。特捜部は二つの容疑について「必要な捜査はしたが、十分な証拠がなかった」としている。
 しかし、これで幕を引くことは許されない。
 まず、政治家としての道義的責任が問われよう。甘利氏は1月の釈明会見後、病気療養を理由に会期末まで国会を欠席した。甘利氏は国会の場などで、説明責任を果たさなければならない。
 甘利氏側は、URと千葉県の建設会社との補償交渉に絡んで、口利きの見返りに現金を受け取った疑いが持たれていた。
 甘利氏は会見で、建設会社の総務担当者から2013年11月と14年2月に各50万円を受け取ったことを認めた。
 元公設秘書についても、総務担当者から13年8月に500万円を受け取り、UR職員と補償交渉に関して話し合ったことを認めたが「金額交渉などに介入したことはない」と口利きを否定していた。
 あっせん利得処罰法は、国会議員や秘書が権限に基づく影響力を使って口利きをし、報酬を受け取ることを禁じている。
 今回は、国会質問で取り上げるなどの「影響力の行使」が想定されたが、大臣だった甘利氏にそうした事実はなかった。元秘書らが補償交渉で介入したとされたURも国土交通相の所管で、甘利氏の担当外だった。
 元秘書が私的に流用した300万円は、「収支報告書に記載すべき政治資金には当たらない」と結論付けた。
 問題は、同法では処罰対象となる権限に基づく影響力の行使の範囲があいまいなことだ。「ザル法」との批判もある。法の網の目が粗くて金銭授受を取り締まれないのなら、法改正を検討すべきだ。
 立法府は自浄能力を発揮してもらいたい。
 もう一つ懸念されるのは、立件を断念したことが、秘書らの口利きに「抜け道」を示す結果になることだ。
 甘利氏らを告発した市民団体「政治資金オンブズマン」の共同代表らは、不起訴処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てた。
 このところ、議員のモラル低下が目立つ。各党は、国民の前に議員が襟を正す取り組みを進めるべきだ。
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毎日新聞2016年6月4日 東京朝刊
社説:甘利氏不起訴 処罰できぬ法の限界だ


 甘利明前経済再生担当相をめぐる口利きと現金授受問題で、東京地検特捜部が甘利氏と元秘書2人について立件を見送った。
 あっせん利得処罰法違反と政治資金規正法違反の容疑で告発されていたが、容疑不十分で不起訴とした。納得し難い結論だ。
 都市再生機構(UR)との補償交渉に絡み、甘利事務所は千葉県内の建設会社側から口利きの依頼を受け、元秘書はUR側に「甘利事務所の顔を立ててほしい」と公然と求め、10回以上面談を繰り返した。
 最終的に補償は上積みされ、約2億2000万円が支払われた。
 一方、甘利氏と元秘書は計600万円の現金を受け取った。元秘書は1000万円以上の接待も受けた。
 有力政治家の威光を背景にした典型的な口利きの構図だ。
 あっせん利得処罰法を適用する場合、「権限に基づく影響力の行使」が要件になる。具体的には、甘利氏側が国会質問で取り上げることをほのめかしてUR側に圧力を加えることなどが求められるという。検察はそうした証拠はなかったとした。
 だが、検察の見解に対し、あっせん利得処罰法の適用を限定的に解釈しすぎているとの意見が専門家から出ている。高額の接待が不問に付されたことを含め、刑事処分の内容を疑問に思う人は少なくないだろう。
 不起訴処分に対して、告発していた市民団体代表らが、検察審査会へ審査を申し立てた。市民の目から処分の妥当性を点検してほしい。
 あっせん利得処罰法は2001年に施行された。元建設相の受託収賄事件をきっかけに、政治家が口利きによって報酬を得ることに国民の批判が強まったからだ。刑法のあっせん収賄罪は、公務員に不正行為をさせたり、正当な行為をさせなかったりすることを要件とするが、あっせん利得処罰法は正当な行為をさせても処罰対象になる。また、その対象は政治家や秘書だ。まさに今回のような口利きを罰するための法律だ。
 だが、立法当初から、「権限に基づく影響力の行使」のハードルは高すぎるといわれた。これまで国会議員や秘書が適用された例はない。通常の政治活動を萎縮させないための要件とはいえ、見直しが必要だ。
 甘利氏の元秘書らは、有力政治家の権限をかさに着た。こうしたことを罰する実効的な条文に国会は改めてほしい。このままでは政治不信は深まるばかりだ。
 刑事責任とは別に、甘利氏には重い道義的責任と国民への説明責任が残る。だが、約束した疑惑の調査を公表するめどは立っていない。真摯(しんし)な調査と丁寧な説明こそ政務復帰より先に取り組むべきことだ。
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中国新聞 2016/6/4
社説:甘利氏不起訴 黒白つける法改正急げ


 甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題で東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反の疑いで告発されていた甘利氏と元秘書2人をいずれも嫌疑不十分として不起訴処分にした。
 独立行政法人の都市再生機構(UR)による道路工事を巡る千葉県の建設会社との補償交渉で、その刑事責任を問うまでの不正な口利きはなかったとする判断である。
 果たして、どれほどの国民がこれで納得できただろう。口利きや「政業」の癒着が、はた目にも浮き彫りになったのが今回の事件ではなかったか。
 建設会社の総務担当者からの陳情を受け、甘利事務所の元秘書らがURと接触。2カ月後、URから約2億2千万円を支払う補償契約が整う。
 建設会社から公設秘書に500万円の現金が渡ったのは、その直後である。甘利氏本人も大臣室などで計100万円を受け取った。元秘書らはまた、飲食接待や現金の提供などの計らいも繰り返し受けている。
 建設会社側は、口利きの謝礼などと認めていた。URが公にした面談記録にも、元秘書が「少し色を付けてでも地区外に出て行ってもらう方が良いのでは」などと働き掛けたやりとりが残されていた。
 これでも不起訴処分にとどまるのはなぜか。かねて指摘され続けてきた、あっせん利得処罰法の限界にほかならない。
 この法律は、政治家や秘書らが口利きの見返りに報酬を受けることを禁じている。ただ、立件には「権限に基づく影響力」を行使した場合という高いハードルが課せられている。「言うことをきかなければ、議会の質問で取り上げるぞ」といった言動で露骨に圧力をかけたことの立証が必要とされる。
 当時閣僚だった甘利氏は、国会質問を受ける立場であり、大臣としての所管からもURは外れている。こうしたことから検察内部では当初から、立件は困難との見方もあったという。
 法の施行から15年たつものの、立件にこぎ着けた例は限られ、国会議員やその秘書に対する適用例は一件もない。
 これでは、言い回しさえ間違わなければ罪に問われる心配はないと、逆のメッセージにも受け取られかねない。放置するわけにはいかない。きっちり黒白をつけることができるよう、法改正を急ぐべきだ。
 今回の不起訴処分は「嫌疑なし」でなく、あくまで「嫌疑不十分」にすぎない。黒とは言い切れないというだけである。
 甘利氏たちを告発した市民団体は不起訴処分を不服として、東京検察審査会にきのう審査申立書を郵送した。甘利氏も、捜査のために中断を余儀なくされていた、弁護士による調査を再開させたという。
 「事務所や秘書の問題は、しかるべきタイミングで公表する」と甘利氏が約束した、引責辞任の記者会見から既に4カ月が過ぎている。説明を求める野党の再三の要望にも睡眠障害を理由に応じず、国会に姿を現さずじまいだった。無責任と言わざるを得ない。
 「政治とカネ」の問題は、議会制民主主義の土台である有権者の信頼を損なう。甘利氏本人が約束した通り、説明の場を、それも参院選前に設けるよう促す責任が政権与党にはある。
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高知新聞 2016.06.04 08:20
社説:【甘利氏不起訴】説明責任は残っている


 当事者はよもや、これで幕引きになるとは考えていないだろうが、あえて強調しておく。疑惑は解明されたわけではない。
 甘利前経済再生担当相の金銭授受問題で東京地検特捜部は、あっせん利得処罰法違反容疑で告発されていた甘利氏と2人の元秘書を嫌疑不十分で不起訴処分にした。「十分な証拠がなかった」という。
 金銭を渡した側は、取材に対して「口利きしてもらった謝礼や経費」と認めており、釈然としない結果である。
 しかも、甘利氏は1月の引責辞任時、改めて調査結果を公表すると国民に約束したが、なしのつぶてである。病気療養を理由に国会も欠席し続け、結局、通常国会は十分に追及することなく閉会した。
 国民の多くは納得できないままだ。不起訴になったとしても説明責任は残されており、甘利氏はそれを早急に果たすべきである。
 この疑惑は、甘利氏と元秘書が、都市再生機構(UR)との補償交渉を抱えていた千葉県の建設会社側から計600万円を受け取った問題だ。建設会社はその後、URから約2億2千万円の補償費を獲得した。
 状況的には疑問を抱かざるを得ない金銭授受である。市民団体が3人を告発し、受領金の一部について政治資金規正法違反(不記載など)の疑いでも2人を告発したが、いずれも不起訴になった。
 あっせん利得処罰法は、議員や秘書が公務員などに口利きする報酬として金品を受け取る行為の処罰を定めている。
 相次ぐ「政治とカネ」の問題を受けて2000年に制定されたが、抜け道が多く、当時からザル法と批判されてきた。特に「(議員らの)権限に基づく影響力を行使」することが成立要件となっており、認定は難しいとされる。
 成立要件が狭ければ、法の存在意義が問われよう。今回の件を踏まえても再論議の必要がある。
 甘利氏は疑惑を巡り、秘書の行為などについて弁護士に調査を依頼しているという。しかし、既に4カ月以上が過ぎた。
 不起訴を受けて出したコメントでは、調査は「捜査への配慮から中断していた」と釈明している。調査を再開し、「最終的な報告があれば、適切な時期に説明させていただきたい」としているが、あまりに不誠実ではないか。
 7月の参院選に影響しないよう、公表を先延ばししていると勘ぐられても仕方あるまい。「体調も徐々に回復」しているというなら、最終報告を待たずとも、現状で判明しているものから公表すべきだ。
 市民団体は不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てた。告発の容疑の一部は8月にも時効を迎えることから、審査会の対応が注目される。
 これらの進み具合も踏まえ、「政治とカネ」の問題は参院選でも問われることになるだろう。
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テーマ : 政治・時事問題
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