2016-06-21(Tue)

低金利財投の積極活用 -- 金利上昇時リスクも

低金利財投の積極活用--金利上昇リスク
NTTリニアをつくる「打ち出の小づち」 /無駄な事業を増やした昔に逆戻り


○低金利を理由に財投の趣旨から外れる融資を増やせば、無駄な事業を増やし昔に逆戻りしかねない

----政府は、今秋に予定する景気対策の柱として、民間事業などに資金を投じる財政投融資財投)を積極活用する方針だ。日銀のマイナス金利政策に伴い、政府が財投用に借りる資金の金利が大幅に低下しているためだ。政府は「規模を拡大しても財政健全化目標に影響しない」と財投で貸し出す金利の引き下げも検討している。だが、市場では、将来の金利上昇リスクなどを懸念する声も出ている。

----財投は貸し出しが長期間にわたるため、その間に政府が財投債(国債の一種)を発行して財投用に借りた資金の金利が上昇し、貸出金利を上回る可能性がある。財務省は財投債の発行期間を調整するなどしているが、対応を誤れば大きな損失につながる恐れがある。
 
また、政府は、低利の財投資金を民間に貸し出し、企業の設備投資などを促したい考え。08年のリーマン・ショック後、政府は財投で中小企業の資金支援などを行ったが、市場では「現在は企業の資金需要が低迷しており、ニーズがあるのか疑問」との指摘もある。
 
財投はかつて郵貯・簡保の資金を原資に拡大し、「第二の予算」と言われた。
だが、無駄な公共事業を生んだため、「官から民へ」の流れの中で01年から改革を進めてきた経緯がある。
当時400兆円以上あった残高は157兆円(15年度末、見込み)に減少。

ニッセイ基礎研究所の石川達哉主任研究員は「低金利を理由に財投の趣旨から外れる融資を増やせば、無駄な事業を増やし昔に逆戻りしかねない」と指摘している。
(毎日新聞)

○NTT、リニアをつくる「打ち出の小づち」

----携帯料金やインターネットの光回線利用料が、夢の超特急建設に一役買うと知ったら驚くだろうか。

----NTTは、立会外取引を活用し、自社株5903万株を取得した。取得総額は2673億円。
NTT株を放出したのは政府。売却で手にした資金は民間だけでは手掛けにくい事業に政府が投融資する「財政投融資」の特別会計に入る。

----(リニア中央新幹線について)JR東海は大阪への延伸時期を現行計画の45年から最大で8年間前倒しする方向。
法改正が必要だが、政府は前倒しするJR東海を、財政投融資を通じて低金利融資で間接的に支援する方針だ。

----NTT株売却で生じた資金が回り回ってリニアの建設資金に充てられる可能性があるというわけだ。
(日本経済新聞)

○財務省、NTTへ政府保有株売却 総額2672億円

----財務省は13日、政府が保有するNTT株式のうち5900万株(発行済み株式総数の2.8%)を同社に売却すると発表した。売却総額は約2672億円を見込んでおり、売却金額は11年ぶりの水準となる。

----NTTが14日に実施する6800万株の自社株買いに応じる。1株当たりの価格は13日の終値の4529円。財務省は売却収入を財政投融資の特別会計に入れ、リスクが高く民間だけでは十分に資金を供給できない事業に充てる見通し。
(日本経済新聞)

○マイナス金利、影響拡大 長期金利は過去最低 (日本経済新聞)




以下引用



毎日新聞2016年6月21日 14時18分
秋の景気対策
政府、財投を積極活用…金利上昇リスク


 政府は、今秋に予定する景気対策の柱として、民間事業などに資金を投じる財政投融資財投)を積極活用する方針だ。日銀のマイナス金利政策に伴い、政府が財投用に借りる資金の金利が大幅に低下しているためだ。政府は「規模を拡大しても財政健全化目標に影響しない」と財投で貸し出す金利の引き下げも検討している。だが、市場では、将来の金利上昇リスクなどを懸念する声も出ている。【横山三加子】
 「新たな低利貸付制度によって21世紀型のインフラ整備をする」。安倍晋三首相は、消費税増税の再延期を表明した今月1日の記者会見で低金利財投を景気対策に最大限生かしたい考えを示した。自民党も参院選公約に、財投を活用し、今後5年間で民間資金と合わせて30兆円の事業規模を確保することを盛り込んだ。
 政府が財投の対象として検討しているのは、リニア中央新幹線の大阪延伸時期の前倒し。JR東海は東京−名古屋を2027年に先行開業し、大阪への延伸は45年を目指してきた。ただ、政府はリニアを成長戦略の目玉としたい意向。財投の活用で最大8年程度前倒しする方向だ。
 低利奨学金の拡充にも財投の活用を検討している。奨学金の返済に行き詰まる人が増え、支援策が課題となっているためだ。
 財投活用を後押ししているのは、日銀によるマイナス金利政策。金利が歴史的な低水準となっていることを受け、政府は財投の貸出下限金利を現行の0・1%から下げることを検討している。
 財投は税金を原資とする一般会計予算の枠外のため、社会保障費などの政策経費を税収などでどこまで賄えるかを示す基礎的財政収支には影響しない。安倍政権は消費税増税を19年10月まで2年半延期しても基礎的財政収支を20年度に黒字化する目標を維持しており、財投は使いやすい財源といえる。
 しかし、今月10日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の財投分科会では、委員から「デフレから脱却すればマイナス金利政策も終わる。将来の金利変動に備えるべきだ」などと将来の金利上昇リスクを懸念する意見が出た。財投は貸し出しが長期間にわたるため、その間に政府が財投債(国債の一種)を発行して財投用に借りた資金の金利が上昇し、貸出金利を上回る可能性がある。財務省は財投債の発行期間を調整するなどしているが、対応を誤れば大きな損失につながる恐れがある。
 また、政府は、低利の財投資金を民間に貸し出し、企業の設備投資などを促したい考え。08年のリーマン・ショック後、政府は財投で中小企業の資金支援などを行ったが、市場では「現在は企業の資金需要が低迷しており、ニーズがあるのか疑問」との指摘もある。
 財投はかつて郵貯・簡保の資金を原資に拡大し、「第二の予算」と言われた。だが、無駄な公共事業を生んだため、「官から民へ」の流れの中で01年から改革を進めてきた経緯がある。当時400兆円以上あった残高は157兆円(15年度末、見込み)に減少。ニッセイ基礎研究所の石川達哉主任研究員は「低金利を理由に財投の趣旨から外れる融資を増やせば、無駄な事業を増やし昔に逆戻りしかねない」と指摘している。
財政投融資
 政府が財投債(国債の一種)を発行して市場から借りた資金を原資にして、政府系金融機関などを通じて行う投資や融資。事業が長期間にわたったり、リスクが高かったりして民間だけでは手を出しにくい事業に資金を提供する。
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日本経済新聞 2016/6/17 5:30
記者の目
NTTリニアをつくる「打ち出の小づち」


 あなたが支払う携帯料金やインターネットの光回線利用料が、夢の超特急建設に一役買うと知ったら驚くだろうか。資本市場を介して巡る資金が日本のインフラ整備に充てられる日も遠くないかもしれない。
NTTの自社株買いがゆくゆくはリニア建設の後押しも
 NTTは14日、立会外取引を活用し、自社株5903万株を取得した。取得総額は2673億円。もともと2017年3月期は期初段階で3500億円を上限とする自社株買いを計画していたが、その多くを今回の取得で消化したことになる。NTT株を放出したのは政府。売却で手にした資金は民間だけでは手掛けにくい事業に政府が投融資する「財政投融資」の特別会計に入る。
 東海旅客鉄道(JR東海)が建設を進めるリニア中央新幹線。最高時速500キロの夢の超特急だ。JR東海は大阪への延伸時期を現行計画の45年から最大で8年間前倒しする方向。法改正が必要だが、政府は前倒しするJR東海を、財政投融資を通じて低金利融資で間接的に支援する方針だ。NTT株売却で生じた資金が回り回ってリニアの建設資金に充てられる可能性があるというわけだ。
 政府にとって同社株は、振れば金銀や財宝が出てくる「打ち出の小づち」だった。00年度まで6回にわたり、保有するNTT株を市場で売り出し、計13兆円以上を調達して国庫に入れた。自社株買いの取得が認められた01年以降、NTTは政府保有株の売却と同じタイミングで自社株買いで応じるようにしている。
 NTT法により政府保有の比率は発行済み株式の「3分の1以上」と定められている。財源難に悩む政府とはいえ、保有株を際限なく放出できるわけではない。ただNTTが編み出した資本政策上の工夫により、このハードルを越えた。工夫といっても実はシンプル。NTTが市場から自社株買いで取得した金庫株を消却するというものだ。発行済み株式数が減るため政府保有の比率が高まる。3分の1を超える部分が新たな政府保有株の売却余地というカラクリだ。金庫株を含むベースで計算する1株利益も消却によって高まる。株価はポジティブに反応しやすいので、投資家にとっても悪い話ではない。今回の自社株買いに先立って、NTTは15年11月に金庫株1億7700万株を消却しており、政府の保有比率が35%余りに高まっていた。
 NTTは政府保有株の放出に応じるだけのキャッシュ創出力が着実に高まっている。グループ連結で見たフリーキャッシュフロー(純現金収支)は16年3月期に前の期比8割増の9520億円まで拡大した。通信料収入が伸びるNTTドコモが稼ぎ頭になったほか、東西の地域会社も光回線の販促費用の減少が貢献した。設備投資を抑制するのも手元に残る資金の拡大につながっている。17年3月期はNTTデータが30億5500万ドル(約3200億円)で米デルのITサービス部門を買収するため、純現金収支が減少する可能性があるものの、それでも年数千億円規模の「還元原資」がグループ全体では残る。
 「従来3年に一度程度だった政府の株式放出は今後、サイクルが早まるかもしれない」。SMBC日興証券の菊池悟氏はこうみている。年初からは相場全体の弱さを受けて株価が伸び悩むが、NTTドコモの業績回復などに支えられ、15年初めからの上昇率は4割を超す。自社株買いに必要な金額が膨らむため1回当たりの規模を抑える必要が出てくると読む。自らは事業を手がけない純粋持ち株会社のNTTが自社株買いに機動的に応じていくためには先々、NTTドコモや東西の地域会社からの受取配当などを増やす必要も出てきそうだ。
 リニア中央新幹線は約20年という一大長期プロジェクトだ。完成までにNTT株という打ち出の小づちを振る音が何度か聞かれるかもしれない。
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日本経済新聞 2016/6/13 19:43
財務省、NTTへ政府保有株売却 総額2672億円


 財務省は13日、政府が保有するNTT株式のうち5900万株(発行済み株式総数の2.8%)を同社に売却すると発表した。売却総額は約2672億円を見込んでおり、売却金額は11年ぶりの水準となる。今回の売却で政府のNTT株の保有比率は法律上の保有義務がある3分の1まで下がる見通しだ。
 NTTが14日に実施する6800万株の自社株買いに応じる。1株当たりの価格は13日の終値の4529円。財務省は売却収入を財政投融資の特別会計に入れ、リスクが高く民間だけでは十分に資金を供給できない事業に充てる見通し。
 NTTは2015年11月に金庫株1億7700万株を消却しており、政府保有比率が35%あまりに上昇していた。財務省は保有義務を越えた分の株式を売却する。5424億円の売却収入を得た05年以来の規模となる。
 財政投融資を巡ってはリニア中央新幹線など大型インフラ整備への活用の検討が進んでいる。骨太の方針などに財政投融資の積極的な活用が盛り込まれており、歳出圧力が高まっている。
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日本経済新聞 2016/6/13 18:00
超サクッ!ニュースまとめ
マイナス金利、影響拡大 長期金利は過去最低



 13日の債券市場で長期金利が低下し、過去最低を更新した。指標となる新発10年物国債の利回りは一時マイナス0.165%となり、前週末比でマイナス0.015%低下した。英国の欧州連合(EU)離脱懸念などで投資家のリスク回避姿勢が強まっているためだ。背景には日欧中銀が実施するマイナス金利政策がある。
■世界の国債、半分がマイナス金利
格付け会社フィッチ・レーティングスによれば、世界でのマイナス金利の国債の量は5月末時点で10兆4千億ドル(1100兆円)。1カ月で約5%増え、日欧で増え続けている。世界の国債の残高は20兆ドル程度で半分近くがマイナス金利になっている。
マイナス金利の国債10兆ドル超す 世界全体の半分(6月11日)

英バークレイズ・インデックスの集計では世界の国債の平均利回りは0.73%と史上最低を更新した。日本では国債残高の8割近くがマイナス金利で、ドイツでも10年債は0.0%台前半と過去最低の水準だ。償還までの期間の短い国債ならフランスやイタリアなどの欧州でもマイナス金利が相次ぐ。利上げ局面の米国も年明け以降、下がる傾向にあり、10年債は1.6%台と4カ月ぶりの低さだ。
長期金利、世界で低下 成長期待しぼむ(6月11日)

日欧の中央銀行は物価上昇に向け大量の国債を買い続けている。国債は価格が上昇すれば金利が下がる仕組みで、中銀のように大量に買う人がいれば経済の実勢よりも金利は下がりやすくなる。
ただそれだけでは金利低下は説明できない。経済が将来成長するとの期待が強ければ、企業は積極的にお金を借りて、設備投資や住宅購入にお金を使うはずだからだ。ところが、異例の低金利でもそうした意欲が高まらず、金利低下に歯止めがかからなくなっている。
先進国の企業が抱える現預金は過去最高水準にあるが、設備投資はリーマン危機前を下回る。米アップルのような成長企業ですら、稼いだお金は投資より株主還元に回す。生産性(生産活動の効率)が高まらず、人口も頭打ち。先進国は総じて経済成長のイメージを持ちにくくなっている。
長期金利、世界で低下 成長期待しぼむ(6月11日)

■日銀のマイナス金利政策
マイナス金利政策は銀行が日銀に預ける当座預金の一部金利をマイナス0.1%に下げる措置。お金を預けると0.1%の手数料をとられるようなものだから、当座預金に滞留するお金がマーケットにはき出され、市場金利に下げ圧力がかかる。日銀が想定するそんな金利低下メカニズムは機能したことになる。
マイナス金利3カ月、「誤算の円高・株安」のカラクリ(5月14日)

日銀が4月21日発表した主要銀行貸し出し動向アンケート調査によると、1~3月の個人の資金需要判断指数(DI)はプラス9と、マイナス1だった前回調査から10ポイント上昇した。上昇は3四半期ぶり。DIは消費増税に伴う駆け込みのあった2014年4月以来2年ぶりの高さとなった。マイナス金利政策導入を受けて低金利が進み、住宅ローンの需要が急回復した。
1~3月の個人資金需要、2年ぶり高水準 マイナス金利追い風(4月21日)

日銀の中曽宏副総裁は9日午前の講演で、マイナス金利政策について「様々な影響への目配りが必要」と話した。「金利面での効果はすでに発揮している」と説明しつつ「住宅ローンがなく、金融資産の大半を貯金として保有する年金生活者や高齢者は利息収入の低下だけがデメリットとして意識される」と認めた。
一方で「企業の新たな事業やプロジェクトに対する投資を促し、雇用の増加や賃金の上昇というメリットで家計にも波及する」と強調した。
中曽副総裁、マイナス金利政策「様々な影響への目配りは必要」(6月9日)

日銀のマイナス金利政策で、銀行の貸出金利が大きく低下してきた。日銀が5月24日公表した3月の銀行の新規貸出金利は0.69%と過去最低を更新した。国債金利が大きく下がり、地方銀行でも融資競争が一段と激化。都市部を中心に企業が低利でお金を借りやすくなっている。
ただ、貸出金利の低下の恩恵がどこまで広がるかは不透明だ。4月の銀行融資の伸び率は前年同月比2.2%増で、2%台後半だった昨年秋以降伸び率は鈍化している。現預金を多く抱える企業の資金需要が大きく伸びていないことに加え、金利低下の影響が地方圏にまで行き渡っていないとの指摘もある。
貸出金利低下、地銀にも マイナス金利で競争に拍車(5月24日)

マイナス金利には肯定的な評価もある。南関東の物流会社の経営者は「借り入れに対する負担が軽くなり、動きやすくなる」と指摘。四国の住宅販売店が「住宅需要が増えて家具を買ってもらえる」と予想するなど、金利低下でモノの動きが活発になるのを期待する声も一部ある。
マイナス金利「半年以内に効果」 不発なら追加緩和圧力(5月17日)

日銀が2月にマイナス金利政策を導入して以降、預金の東京一極集中が進んでいる。全国の預金残高に占める東京都分の比率は昨年4月から今年1月まで30%台を推移していたが2月以降急伸し4月には32.8%に達した。影の立役者は地方銀行とみる向きがある。
東京一極集中の理由の一つが地銀の「預金離れ」だ。地方景気の停滞が続く中、地元で融資先を開拓しようにもなかなか見つからない。マイナス金利下で運用もさえない。ある地銀幹部は「今はカネあまり。預金を集める意味がなくなりつつある」と話す。
マイナス金利後に進む預金の東京一極集中 影の立役者は地銀?(6月8日)

■広がる温度差
マイナス金利政策の効果を巡り、日銀と民間で温度差が広がっている。百貨店などの小売業界から今後も効果を期待できないとの声が上がっているほか、メガバンクも効果を疑問視する。日銀は2月の導入から半年以内に効果を発揮するという立場をとっているが、効き目が出ないと、秋前までに追加緩和を迫られる可能性がある。
マイナス金利「半年以内に効果」 不発なら追加緩和圧力(5月17日)

国内の金利は下がったものの、円高が進み株安を招くなど現時点では期待を裏切る結果になっている。新興国経済の減速による市場心理悪化、米利上げに関する不透明感、米当局の「円安けん制」という3方向からの逆風が背景にある。
マイナス金利3カ月、「誤算の円高・株安」のカラクリ(5月14日)

日銀の佐藤健裕審議委員は2日、北海道釧路市内で講演し、マイナス金利政策について「緩和効果をもたらすどころか、むしろ引き締め的である」と指摘した。重ねて「金融システムの安定性に影響を及ぼす可能性がある」とし、マイナス金利政策に否定的な見解を示した。佐藤委員は1月末の金融政策決定会合でマイナス金利の導入に反対していた。
日銀の佐藤審議委員、マイナス金利に否定的見解(6月2日)

「日本人は現金を大事にするため、金利が突然マイナスになった事態を受け入れにくいのかもしれない。将来への不安も根強い」。ある日銀関係者は導入から3カ月が過ぎたマイナス金利の状況について、こんな日欧の差を口にする。
日本は欧州より現金へのこだわりが強いとみられ、マイナス金利導入で「金利がなくなる」との不安が高齢者を中心に増大したもようだ。実際には預金の金利はマイナスになっていないが、消費者マインドを冷やした面は否めない。中には預金金利の引き上げに動いた信用金庫もあるが、消費者の不安払拭にはつながっていない。
現金志向と将来不安 マイナス金利の効果そぐ(6月7日)

■設備投資への効果は
日銀の佐藤健裕審議委員は2日に釧路市で開いた金融経済懇談会で講演し、マイナス金利政策の経済効果について「極度の低金利の継続を前提にようやく採算の見込める(低採算)投資案件が出るとすれば問題だ」と述べた。住宅ローン金利や企業の調達金利が低下する効果を認めつつ、企業の設備投資は長らくキャッシュフローの範囲内にあると指摘。企業の設備投資を刺激する効果について懐疑的な見方を示した。
佐藤日銀委員、低採算案件の発生「問題」 マイナス金利に懐疑的(6月2日)

みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は5月13日の決算会見で「マイナス金利だけで設備投資が目に見える形で増えることはない」と指摘。16年度からの新しい中期経営計画では、3年間はマイナス金利が続く可能性があるという見方を示した。
マイナス金利「半年以内に効果」 不発なら追加緩和圧力(5月17日)

財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は10日の分科会で、歴史的な低水準が続く金利水準について議論した。財政投融資への影響を点検し、委員からは「マイナス金利の影響を財投機関に波及させるべきだ」との指摘があった。一方で「(財政投融資の)低い金利をさらに下げてどこまで意味があるのか」といった意見も出た。
財制審分科会、マイナス金利の影響点検(6月10日)

■金融機関の経営圧迫
三菱東京UFJ銀行の小山田隆頭取は10日、大阪市で記者会見し、国債入札の特別資格(プライマリー・ディーラー)の返上について「様々な観点から検討している」と表明した。特別資格に一定額の落札が義務付けられていることを念頭に、「マイナス金利化が進んでいるなかでプライマリー・ディーラーとして落札業務をすべて履行するのは難しい環境」と理由を話した。
プライマリー・ディーラーは財務省が国債入札の安定を保つために導入した制度で、参加者は応札や落札の義務を負うかわりに、当局と意見交換できるなどのメリットがある。
三菱UFJ銀頭取、国債入札の特別資格返上の検討表明(6月10日)

生命保険協会の筒井義信会長(日本生命保険社長)は定例記者会見で「金融緩和(に踏み込む)なら上場投資信託(ETF)買い入れの増額が選択肢だ」と強調し、マイナス金利や国債購入枠の拡大に警戒感を示した。
生保各社は運用難を受け、保険料を契約時にまとめて納める一時払い終身保険の予定利率を引き下げたり、販売を取りやめたりする動きが拡大。すでに過去2~3年の低金利で一時払い養老保険や一時払い年金保険の販売も相次ぎ停止しており、業界内からは「資産運用を望む顧客に保険商品を提供できなくなっている」と恨み節が漏れる。
マイナス金利に「3つの副作用」 生保協会長が苦言(6月10日)

野村アセットマネジメントは3日、8月31日でMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の運用を終了し、資金を投資家に償還すると発表した。日銀がマイナス金利政策を導入して以降、金融市場で短期国債など組み入れ資産の運用利回りが急低下しているため。
低金利を背景に運用各社はMMFを相次いで償還する見込み。今年に入り既に6社が償還に踏み切った。残高で最大手の大和証券投資信託委託は10月に償還を予定している。年内には全てのMMFが運用を停止する見通しだ。
野村アセット、8月末にMMF償還 マイナス金利で(6月3日)

金融株の下落は、株式市場がマイナス金利の弊害を懸念している様子を映し出す。日銀はマイナス金利政策の導入により企業や家計にお金が行き渡る効果を期待しているが、株式市場は銀行の収益力が低下し、実体経済の停滞を長期化させかねないとみているからだ。
日経平均続落、野村株が映すマイナス金利の功罪(6月10日)

■証券会社にはチャンス?
「多少リスクを取っても投資収益を稼がなければというニーズが増える。我々にとってはビジネスチャンスだ」(柏木茂介・野村ホールディングス執行役財務統括責任者=CFO)
金利がマイナス圏に突入し、個人も機関投資家ももはや安心して資金を預けられる場所がない。半ば安住の地から追い出されるように、少しでも高い利回りを求めてマネーが移動する。そうすれば、株式や投資信託などリスク資産を取り扱う証券業界には追い風になる。そんな読みがある。
野村、マイナス金利は「もろ刃の剣」(2月4日)

マイナス金利政策の影響で、マネーの流れにじわり変化が出てきた。先に動いたのは個人よりも法人だ。長期金利がマイナスとなるケースが増え、国債が運用の主力だった法人は運用難に直面しているからだ。大手証券は「取引のなかった法人に食い込むチャンス」と意気込む。野村証券の金融公共公益法人部には宗教、学校、医療、社団など法人別に支店をサポートする専門部隊があり、全国を飛び回っている。彼らは法人営業で「かつてない手応えを感じている」という。
法人マネーには地方銀行も期待している。個人向けの投信販売が伸び悩む中、「今期は大法人への大口販売が投信の残高を押し上げるカギになる」(北日本の地銀)と話す担当者もいる。北洋銀行は「Jアルファ」を地銀で初めて採用し、法人への提案を準備している。同行は地銀が販売するのは難しいとされる国内株式投信を売れ筋に育てたことで知られている。同行が「Jアルファ」で法人営業の実績を伸ばせば、後に続く地銀も現れそうだ。
医療・社団…法人マネー投信へ マイナス金利に対応(6月10日)

■世界の見方
米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる米投資会社バークシャー・ハザウェイは4月30日、株主総会を開いた。3万人を超える参加者を前に日本や欧州でのマイナス金利政策について「保険会社だけでなく(年金生活の)退職者にも問題だ」などと発言。低金利が続く市場環境に警戒感を示した。
バフェット氏「マイナス金利は問題」(5月8日)

「いつか爆発する超新星だ」。債券王の異名を持つビル・グロス氏は9日、ツイッター上でこうつぶやいた。マイナス金利はお金を借りる側が利息をもらえる異常事態。中銀が人為的にもたらした面も強く、グロス氏は警鐘を鳴らした。
マイナス金利の国債10兆ドル超す 世界全体の半分(6月11日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGF10H18_Q6A610C1MM8000/
「マイナス金利が成功したと胸を張って言える国は(日本や欧州も含めて)どこにもないのではないか。米国では懐疑的な見方も多く、FRBがマイナス金利に踏み込むことはないだろう」(米カーライル・グループ創業者のデイビッド・ルーベンシュタイン氏)
米利上げ「年2回有力」 米カーライル創業者に聞く(6月8日)

欧州委員会のドンブロウスキス副委員長は、10日閉幕したアジア欧州会議(ASEM)財務相会合で、「日本は為替の競争的切り下げは控えるべきだ」との考えを示した。重ねて「金融の追加緩和をやっても効果が薄い」と指摘、日銀のマイナス金利政策を批判した。海外要人が日本の為替政策について名指しで言及するのは異例だ。
欧州委副委員長、日本の為替政策に名指しで言及(6月10日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H4S_Q6A610C1EE8000/
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