2016-06-25(Sat)

英国EU離脱へ 各紙社説等(2) 市場の混乱

グローバル化のひずみ顕在化 「国家を超える価値観」

----グローバル化のひずみが顕在化し、世界各国で「自国だけが大事」という内向き志向が強まる中で、地域統合や難民保護、軍縮といった「国家を超える価値観」をどう立て直していけばいいのか。
 英国EU離脱は、国際社会に重い課題を突き付けている。
(西日本新聞)

<各紙社説>
北海道新聞)英国、EU離脱へ 欧州統合の歩み 止めるな(6/25)
河北新報)英、EU離脱へ/危機の回避へ協調し対応を(6/25)
信濃毎日新聞)英国の離脱 反EUの連鎖が心配だ(6/25)
信濃毎日新聞)市場の混乱 各国協調で過剰反応防げ(6/25)
中国新聞)英、EU離脱へ 経済危機を食い止めよ(6/25)
西日本新聞)英EU離脱へ 統合の歩みは止まるのか(6/25)




以下引用



北海道新聞 2016/06/25 08:50
社説:英国EU離脱へ 欧州統合の歩み止めるな


 英国のチャーチル元首相は早くから欧州統合を支持しながら、自国はその中に入れなかった。
 大陸と距離を置くというその理念が現実になる。欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票は接戦の末、離脱派が勝利した。加盟28カ国の中で初めてだ。
 移民急増やEUの権限拡大に対する反発が国民の間にあった。だが正しい判断だったかどうかの疑問は拭えない。
 残留派が訴えるように英経済への打撃は避けられまい。英通貨ポンドは急落、世界同時株安の様相だった。世界経済への影響を最小限に抑えるため、国際社会は協調して対応すべきだ。
 二度にわたる大戦で多大な犠牲を出したことへの反省から、EUは平和と繁栄を目指し、「一つの欧州」への道を進んできた。
 ドイツ、フランスと並ぶ大国である英国の離脱はEUにとって大きな損失だが、欧州統合への歩みを止めてはならない。
混乱を抑えなければ
 キャメロン首相は「新しい指導者が必要だ」と述べ、辞意を表明した。自らの政治的基盤を維持するため国民投票に踏み切り、世界を動揺させた責任は重いと言わざるを得ない。
 今後、EUに離脱手続きを申告し、2年間にわたり協議を行う。
 英国は単一通貨ユーロを使わずポンドを堅持してきた。入国審査なしに人の移動を認める協定にも参加してこなかった。
 こうした姿勢にEU諸国の反応は厳しい。貿易などで新たな協定を結ぶ交渉は難航するだろう。
 英国がEUに加盟しているのは人口5億人の巨大な単一市場を享受できるからだ。
 だが近年は域内のどの国でも自由に働けるという原則の下、東欧から移民が急増、「雇用を奪われた」「福祉の質が低下した」との批判が地方などで強まっていた。
 こうした思いは理解できる。だが離脱で解決できるわけではない。移民もむろん納税し、社会に貢献している。
 経済のグローバル化で生じた格差が英国を内向きにさせ、今回表面化した国内の分断を生んだのではないか。
 離脱で貿易や投資の減少は避けられない。残留派が多数のスコットランドでは再び英国から独立を目指す動きが強まるのは確実だ。
 難題が山積している。混乱を少しでも抑えるため、英国民は冷静に対処してもらいたい。
■加盟国への配慮必要
 英国の離脱の選択はEUに大きな課題を突きつけた。
 欧州各国は独自の言語や文化を持ち、長い歴史の中で幾度となく戦火を交わしてきた。その反省に立つのが欧州統合の理念である。
 だが加盟国は人口や経済力、産業構造などそれぞれ異なる。政治・経済の統合は各国のそうした事情を軽視してきた面は否めない。
 一方で産業や環境など幅広い分野に規制が及び、「細かすぎる」との批判を呼んでいた。
 先のオーストリア大統領選では移民受け入れの厳格化を訴える右派候補が5割近くを得票した。フランスでも極右・国民戦線党首がEU離脱を問う国民投票を公約、大統領選の有力候補に浮上した。
 イタリア・ローマ市長選はEUが課す緊縮財政に反発する新興政党の女性候補が当選した。
 そこに見えるのは自国優先の姿だ。EUが各国事情に配慮していれば、こうした排外主義や大衆迎合主義は抑えられただろう。
 これまでEUは統合のスピードを速めてきた。それが反発の根底にあるとしたら、統一ルールで縛らず、各国の置かれた状況や地域性を重視する。そういう多様性を認めるEU改革をすべきだ。
■国際社会で重い役割
 欧州が戦争の大陸から平和の大陸に変わることに寄与したとしてEUはノーベル平和賞を受けた。
 だが世界に目を転じれば、大国の横暴が目立っている。ロシアはウクライナ危機を起こし、中国は南シナ海で強引な海洋進出を進めている。
 今回の一件でEUが動揺すれば、ロシアや中国に付け入る隙を与えないか、そこが心配だ。
 これまでEUと良好な関係を築いてきた米国では来年1月、オバマ大統領が退陣する。
 次期大統領が民主党のクリントン氏であれ、共和党のトランプ氏であれ、米外交は現在の国際協調主義から転換するだろう。
 中ロに対して国際秩序への復帰を強く促し、米国への忠告もためらわない。そんな重責を担えるのはEU以外にない。
 シリア内戦やテロ対策、気候変動などでも国際社会のEUへの期待は一段と大きくなっている。
 世界の安定にとってEUは欠かせない存在だ。加盟国は結束し、危機を乗り切ってもらいたい。
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河北新報 2016年06月25日土曜日
社説:英、EU離脱へ/危機の回避へ協調し対応を


 歴史と伝統のある民主国家の国民が、民主主義的な手続きを経て示した意思は尊重されなければならない。だが、そうだとしても、この選択は世界にとって衝撃であり、残念というほかはない。
 欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国の国民投票で、離脱派が勝利した。
 拡大し続けてきたEUから初めて、しかも極めて主要な加盟国が抜けることになる。
 残留派の旗頭でありながら政治的敗北を喫したキャメロン首相は辞任を表明し英国の政治の混乱は必至だ。EUにとっては、2度の大戦の反省に基づく「欧州統合」の理念を踏みにじる結果であり、発足以来最大の岐路に立たされたといえる。国際政治に及ぼす影響は計り知れない。
 同時に、世界経済にとっては、懸念されていた最大のリスクが現実のものとなった。
 ヒト・モノ・カネの移動が自由で、その恩恵を受けてきたEU単一市場からの、この世界第5位の経済大国による「決別宣言」だ。当事国の英国はむろんのこと、EUへの打撃も避けられず、その衝撃は当然、世界をも巻き込む。
 国際金融市場は大荒れとなった。東京市場では円高株安が急激に進み、円相場は2年7カ月ぶりに一時1ドル=99円をつけ、株価の終値は1万5000円を割り16年2カ月ぶりの下げ幅だった。
 こうした金融市場の著しい混乱が長引けば、投資や消費の減退などから実体経済が変調を来し、日本を含め各国の景気を落ち込ませかねない。
 リーマン・ショックのような危機の再来回避に向け、国際社会、特に英国を含む日米欧の主要国(G7)が協調して対応しなければならない。
 離脱派の勝利は、EU加盟国拡大を背景に東欧などから流入し「職や社会福祉を奪う」(離脱派)移民を抑制する「主権」の回復を、多数の国民が求めた結果であろう。
 その背景には、大英帝国時代から英国と独仏を含む大陸欧州とは違うといった自負があり、法律や規制で自由を縛るEUに対する懐疑論とが相まって、反EUの潮流を大きくしたともいえる。
 だが、今はヒトもモノもカネも自由に国境を越える時代であり、テロや難民問題といった地球規模の課題に協調して取り組むべき時に、英国民の選択は内向きに過ぎたのではないか。その結果が及ぼす影響をも十分に考慮したのか。疑問は拭えない。
 日本に限っても、英国へは1100の企業が進出している。英国がEU単一市場の拠点だからだ。そのメリットがなくなれば企業は経営戦略を見直さざるを得ず、結果として英国民は多くの雇用を失うことにもなりかねない。
 欧州では、中東からの難民の流入、EUの受け入れ対応を巡り、極右政党をはじめ反EU勢力が伸びている。英国の離脱決定で、そうした勢力が勢いづくのは必至だ。離脱の動きがほかの加盟国にも波及すれば、「欧州統合」の理想が危機に直面しかねない。
 自ら決断した英国民、英国はさておき、EUと国際社会が払わされる「代償」は、あまりにも大きいと言わざるを得ないのではないか。
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信濃毎日新聞(2016年6月25日)
社説:英国の離脱 反EUの連鎖が心配だ


 統合を進めてきた欧州連合(EU)は求心力を失わないか。国際政治を混乱させる要因にならないか。
 こうした懸念をよそに、英国民が国民投票でEU離脱を選択した。
 離脱派はEU域内の東欧などからの移民が雇用を奪い、福祉を圧迫しているなどと不満を強めていた。EUが英国の主権を奪っているとも訴えていた。
 残留派の主張は目先の経済の影響に傾き、EUの意義を国民に浸透させられなかった。
 英国はEUでドイツ、フランスと並ぶ大国だ。存在感を示してきただけに、1993年に発足したEUにとって初めてといえる大きな挫折となった。
 今年から来年にかけフランス、ドイツなど多くの加盟国で、国会議員選や大統領選など重要な政治日程が続く。英国の影響を受け、反EUを訴える勢力の動きが活発化していくかもしれない。
 場合によっては欧州の分断を深め、EUは存在意義すら失いかねない。危機感を持って、結束を図ってもらいたい。ドイツとフランスの手腕に期待がかかる。
 欧州統合の歩みを考える上で忘れてはならないのは、ナチス・ドイツの暴走を許した反省を踏まえていることだ。
 欧州を二度と戦場にはしないとの考えの下、第2次大戦後、経済を軸に統合を進めた。国家主権の一部移譲などで政治的統合をさらに目指したのがEUである。
 英国がEUの前身の欧州共同体(EC)に加盟したのは73年のこと。その後、残留の是非を問う国民投票を実施するなど、欧州大陸との距離感はかねて英国の政治問題となってきた。
 今回、国民投票を実施したのはキャメロン首相の保守党が昨年の総選挙で公約に掲げたからだ。首相は残留を訴えた。が、EUが国内政治に対する不満のはけ口にされた面も否めない。
 EU離脱は、英国1国だけの問題にとどまらず、国際社会に深刻な影響を与える。その判断を国民投票に委ねたのは政治の責任放棄になるのではないか。
 「国民投票には常にポピュリズム(大衆迎合)の素地がある」。こう指摘する識者もいる。キャメロン氏は辞意を表明したが、国民の間に亀裂を残した投票の是非も厳しく問わねばなるまい。
 EU加盟国が今、立ち返るべきは統合の原点である。自国最優先の論理が政治で幅を利かせるようなことになれば、欧州はますます不穏になっていく。
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信濃毎日新聞(2016年6月25日)
社説:市場の混乱 各国協調で過剰反応防げ


 英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことは、世界経済の大きな不安定要因となる。各国の政府と中央銀行は協調し、必要な措置を迅速に取らなければならない。
 英国の国内総生産(GDP)は世界5位で、EU加盟国全体の約18%を占める。加盟国ではドイツに次ぎ、フランスを上回る。離脱は単一市場EUの存在感の低下につながる。
 英国にも厳しい道が待ち受ける。英国経済はEU域内の無関税貿易が支えてきた。離脱で関税が生じると、マイナス成長を招く可能性は否定できない。
 市場は過敏に反応した。東京株式市場の日経平均株価は終値として約16年ぶりの下げ幅となった。上海などアジア株も下げて、欧州株は軒並み大幅下落。安全性が高いとされる円は高騰し、約2年7カ月ぶりに一時1ドル=100円を突破した。
 市場の不安は、今後の世界経済の動向が見えないことにある。このままでは不安が不安を呼び、投資家が市場から資金を逃避させて、世界経済が収縮しかねない。
 先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁は緊急の電話会議を開き、「市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、適切に協力する」との声明を発表した。資金供給だけでなく、協調介入もためらってはならない。
 日本経済への影響も大きい。
 英国には約1100社の日本企業が進出している。日本の対英投資額は年間1兆円を超え、対米国に次いで2位の規模だ。各社は英国を人口5億人のEUの玄関口と位置付けていた。離脱に伴い、工場や人員をEU域内に移すなどの対応を迫られる可能性がある。
 最大の懸念は円高の進行だ。
 多くの上場企業は1ドル=110円程度と想定し、今期の業績を予想している。1円円高が進むと経常利益が0・5%程度押し下げられるという試算もある。業績低下は賃金低下や雇用の不安定化を招く。円高は物価に下押し圧力をかけ、デフレも進行しかねない。
 大規模金融緩和に限界がきている中、政府や日銀の対策は限られている。景気停滞が長期化する恐れがある。
 英国がEUから離脱するのは早くても2年先である。まずは市場の過剰な反応を抑えることに尽力するべきだ。英国とEUは、双方の影響が最も少ない離脱条件を早急にまとめる必要がある。それが世界経済の安定につながることを忘れてはならない。
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中国新聞 2016/6/25
社説:英、EU離脱へ 経済危機を食い止めよ


 歴史に残る選択といえよう。欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国の国民投票は、離脱支持票が過半数を上回った。
 残留派と離脱派で英国世論は二分されてきたが、最新の世論調査では残留派がやや優勢と伝えられていた。それだけに世界中に衝撃が駆け巡った。
 キャメロン英首相も辞意を表明するなど、波紋は広がるばかりである。きのうは東京の外国為替市場でも円高が加速し、日経平均株価は大きく下落した。まずは欧州にとどまらず国際社会全体として市場の不安とどう向き合うか迫られよう。
 ▽雇用悪化の不満
 注目すべきは、離脱を求める声が広がった背景である。
 第一の要因は難民・移民問題だろう。EUは域内の移動の自由を認めている。東欧諸国が加盟した2000年代以降、英国では安い給料でも働く移民が急増し、「雇用が奪われている」との意識が低所得者層を中心に広がった。移民への社会保障費の増大も不満に結びついた。
 もう一つが自国の主権回復を求める声である。EUは経済や人権などで共通政策を拡大している。例えば英国には北海という優良漁場がありながら漁獲量割当制で自由に漁ができない。労働時間や税の規制を巡っても成長を阻んでいるとの見方が強い。「離脱で英国の権利を取り戻そう」との声が湧き上がったのも、そのためだろう。
 さらにいえば、既存政治への不信感も見逃せない。経済が低迷する中、労働者や高齢者層を中心に社会への不満が蓄積された。それが欧州で相次いだテロ事件などを契機に、一部では排外主義と結びつき、反EUの動きが広がったと考えられる。
 しかしEU離脱後の前途は明るいとは限らない。キャメロン政権は離脱で貿易や投資の減少は避けられないとして今後2年で国内総生産(GDP)が最大6%減少すると試算していた。
 むろん離脱自体はしばらく先のことだ。英国とEUとの貿易交渉など、新たな関係を築くには「少なくとも7年かかる」との声がEUにある。さらにEUが各国と締結してきた貿易協定の枠組みからも外れるため、世界中の国々と交渉をし直すには膨大な時間を要する。
 ▽統合の歩み後退
 ただ、少なくとも地域統合という歴史上例のない取り組みを続けてきたEUにも試練を突き付けたのは間違いない。
 EUは民主主義や人権、法の支配という価値観を共有し、国際社会をけん引してきた。しかし近年、ギリシャ財政危機や難民問題を機に、その基盤は急速に揺らぎつつある。
 加盟国内の反EUの動きは英国だけにとどまらない。単一通貨ユーロに懐疑的なローマ市長が誕生した。フランスやオーストリアでも「反移民」を掲げる政党が勢力を拡大している。このままでは「離脱ドミノ」になるとの悲観論すらある。そうなれば、統合の歩みが後退するだけでなく、世界の安定にも甚大な影響が及ぶ。
 ドイツやフランスなどEU創設に関わった6カ国は25日、ベルリンで緊急会合を開く。英国離脱の影響を最小限に食い止める努力を求めたい。例えば域内で富の再配分をしながら、加盟国の多様性や規制の自由度をもっと柔軟に認める視点も要る。
 同時に世界経済に与える影響への対応策が国際社会に求められる。実際に離脱する前であっても英国の政治経済の混乱によって世界経済の収縮という最悪のシナリオも想定される。
 ▽軟着陸を目指せ
 日本も当然、「対岸の火事」どころではない。英国に進出する日本企業は中国地方を含めて千社を超え、英国と欧州経済の行方は日本経済の行方にも直結する。金融市場の動向と併せてアベノミクスのシナリオが狂うこともあり得よう。
 安倍晋三首相は「市場の安定化に万全を期す必要がある」と述べた。既にブレーキがかかる世界経済をさらに冷やし、危機を招いてはならない。英国の選択の影響を冷静に見極め、先進7カ国(G7)の枠組みなどを通じて軟着陸を目指したい。
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=2016/06/25付 西日本新聞朝刊=
社説:英EU離脱へ 統合の歩みは止まるのか


2016年06月25日 10時35分
 「さらば欧州連合(EU)」-英国民のこの選択が、世界を大きく揺るがしている。
 英国でEUからの離脱の賛否を問う国民投票が実施された。離脱派が小差で残留派を上回り、英国のEU離脱が決まった。
 英国がEUを離脱すれば、統合に向けて歩んできた欧州の戦後史は大きな分岐点を迎える。当面は世界的な金融・経済の混乱が予想され、中長期的には国際秩序の安定にも影響を与えかねない。
 日本を含む関係国は、英国民が歴史的な選択に至った背景を分析し、来るべき世界経済や国際秩序の動揺に備える必要がある。
 ▼移民問題が決定的に
 国民投票の重要な争点は「移民」と「経済」だった。
 EU加盟国の国民は、域内ならどこでも自由に移動し、職を求めることができる。このため、経済が堅調な英国には東欧諸国などからの移民が集まり、このところ移民人口が急増していた。EU離脱派は、こうした移民たちが英国民の働き口を奪い、社会福祉政策の重荷になっていると主張した。
 さらに離脱派は、EUが決めるさまざまな規制で英国の主権が制限されている-として「主権回復」を唱えた。これが英国民のナショナリズムを刺激したようだ。
 一方、残留派は離脱すれば英国とEU域内との物品の移動に関税がかかり、国内産業の競争力が失われるなど「経済の離脱リスク」を訴えたが、EUへの不満を叫ぶ離脱派の声にかき消された。
 論戦を外から見れば、総じて離脱派の論理は粗く、残留派の主張に理があるように思えた。本来、安定した国家が民主的な手続きに沿って決めたことは尊重するしかないが、今回の英国民の決定が本当に理性的な選択だったのか。率直に言って疑問を禁じ得ない。
 ▼日本経済にも影響
 英国の離脱決定を受けて、これから何が起こるのか。
 経済の専門家は、英国経済の先行き不安から、ポンドが大幅に下落するとみる。世界的な株安を招くとの観測もある。
 日本経済への影響も大きい。多くの日本企業が英国に製造拠点を置いているが、英国とEUの「関税ゼロ」を前提にした欧州戦略が大きく狂う。拠点移転の検討を迫られる企業も出てきそうだ。
 離脱が決まった24日、世界の金融市場は大荒れとなった。ポンドは記録的
な安値となり、一方で円が急騰、東京円は一時1ドル=100円を突破した。日経平均株価も大幅に下落、1万5千円を割り込んだ。混乱は既に始まっている。
 円高や株安傾向が続けば、安倍晋三政権の成長戦略にとって重大な誤算となる。日本など主要国が連携して迅速に対策を打ち、衝撃を和らげることが急務である。
 残留を指導したキャメロン英首相は投票結果を受けて辞意を表明した。政治の混迷も続きそうだ。
 ▼内向き強める世界
 EUの加盟国が離脱するのは初めてのことだ。英国に触発され、オランダ、フランスなど欧州各国でドミノ倒しのようにEU離脱の動きが広がる可能性がある。
 そうなれば、2度の世界大戦で大きな傷を負った経験を教訓にして、統合を目指してきた欧州の歩みが後戻りしかねない。
 欧州統合は、域内の人や資本の往来を自由にし、政策を共通化して「国境なき欧州」を実現することで、恒久的な平和を確立しようという壮大な試みである。その実験が道半ばにして頓挫すれば、世界にとって大きな損失だ。
 英国の選択は、移民や難民の流入、金融危機の世界的波及などグローバル化による社会の変化に、一般の市民が不安を抱く現状を浮き彫りにした。こうした課題の根本的な解決を図るより、市民の不安に乗じるポピュリズム(大衆迎合主義)が支持を集めている。米国の「トランプ現象」も同根だ。
 投票1週間前にはEU残留を訴えていた国会議員が殺害される事件が起きた。過熱するナショナリズムを懸念する声もある。
 グローバル化のひずみが顕在化し、世界各国で「自国だけが大事」という内向き志向が強まる中で、地域統合や難民保護、軍縮といった「国家を超える価値観」をどう立て直していけばいいのか。
 英国のEU離脱は、国際社会に重い課題を突き付けている。
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