2016-06-26(Sun)

英国EU離脱へ 各紙社説等(3)

長い不確実時代の入り口 「自由」への切なる反乱

----EU離脱の背景には、人、物、金の移動を自由にするグローバル化への強い拒否感がある。「自由」への切なる反乱と見るべきだろう。
 
グローバル化で競争が激化すると、大都市や一部の人は富を得る。だが取り残される地域や人が必ず現れ、格差が広がる。日本では物の価格が下がり、デフレを生んだ。
 
果たしてグローバル化は人を幸せにするのか。国の主権を狭め、域内の自由度を高めようという環太平洋連携協定(TPP)を進める日本に突き付けられた問いでもある。
(岩手日報)

<各紙社説・論説>
日本経済新聞)英EU離脱(下)大欧州の歩みをもう後退させるな
東京新聞)英国のEU離脱 長い不確実時代の入り口(6/26)
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岩手日報)英EU離脱へ 「自由」への切なる反乱(6/25)
京都新聞)英、EU離脱へ  孤立主義の広がりが心配だ(6/25)
神戸新聞)英国EU離脱/市場混乱の長期化を防げ(6/25)
神戸新聞)英国EU離脱/さらなる分断は避けねば(6/25)




以下引用



日本経済新聞 2016/6/26付
社説:英EU離脱(下)大欧州の歩みをもう後退させるな


 欧州各国は第2次世界大戦後に経済の共通基盤をつくり、戦争のない平和な地域の礎としてきた。
 欧州連合(EU)を舞台に深化と拡大を続けてきた欧州統合の歩みが、英国EU離脱により初めて後退する。欧州の安定は世界と日本にとっての利益だ。欧州の政治指導者は統合をこれ以上逆戻りさせてはならない。
単一市場の強み磨け
 EUの源流である欧州石炭鉄鋼共同体の設立を主導したのは、当時のシューマン仏外相だった。戦火を交えた独仏両国が、石炭資源と鉄鋼業を共同管理することを提案したのだ。
 ウエストファリア体制下の国民国家を超える経済統合を進め、それを通じて欧州の平和と繁栄を実現する壮大な構想を描いた。
 欧州統合はその後、関税同盟、モノ・カネ・サービス・人が域内を自由に行き来する「単一市場」の完成、単一通貨ユーロ導入と欧州中央銀行(ECB)設立、というかたちで発展してきた。
 東西冷戦後には旧共産圏の中東欧諸国を迎え入れ、加盟国数は28まで増えた。人口約5億人の大欧州は米国を上回る経済規模となった。英国EU離脱はこうした歴史の歯車を逆回転させるものだ。
 EUの加盟国は主権の一部をEUに譲った。EUの政策はいまや通商、外交だけでなく、たとえば携帯電話料金にまで影響を与えている。域内の市場を束ね、域外には「1つの共同体」として発言力を高めた。
 経済のグローバル化の波に乗ってEUが一定の成功をしたことで、「自分の国の政策は自分たちで決めたい」と英国民にEU離脱を決断させたのは歴史の皮肉だ。
 たしかにEUの官僚機構が肥大化しているのは問題だ。選挙で選ばれないEU官僚が政策立案を主導し、民意が反映されにくくなっている状況の克服も引き続き課題となる。
 しかし、経済のグローバル化そのものは止まらない。「国境」をかつてのように復活させて市場を分断すれば、成長の機会をみすみす逃してしまう。
 大事なのは、英国を除く27の加盟国が結束し、英国の離脱後のEUのあり方を再定義することだ。経済面では、単一市場の強みをさらに磨く必要がある。
 域内の企業が国境を越えて株式や社債を発行しやすくする「資本市場同盟」、投資基金を使った域内のインフラ整備といった計画がある。これらを通じて潜在成長率を底上げしなくてはならない。
 ユーロ圏はEUの中核であり続ける。預金保険制度の一元化によって「銀行同盟」を早期に完成させ、将来の「ユーロ圏財務省」創設といった統合の道筋を着実に進むべきだ。信用不安の震源地となったギリシャは財政健全化と構造改革を断行するほかない。
 パリやブリュッセルではテロが相次ぎ、大量の難民のEU域内への流入も続く。こうした時こそ、中東・北アフリカ地域を安定させる支援策を含め、EUが結束して対応しなくてはならない。
市民・企業へ新構想を
 懸念されるのは、イタリアやオランダ、デンマークなどで反EUを掲げる政治勢力が伸長していることだ。来年のドイツやフランスの国政選挙で極右政党が台頭すれば、欧州を統合から分断へと導こうとする政治運動が加速するリスクがある。
 日本や米国はEUと経済連携協定(EPA)交渉を始めている。英国が抜けてもEUが巨大な市場であることに変わりはない。まずはEUとの交渉をできるだけ早くまとめる必要がある。
 英国が離脱しても、トルコや、セルビアをはじめとするバルカン諸国などEU加盟を望む国はある。こうした国々に門戸を開け続けるEUでなければならない。
 シューマンと並ぶ「欧州統合の父」とよばれる仏実業家ジャン・モネは「欧州各国が繁栄を勝ち得るには1国ごとでは小さすぎる」と統合の意義を唱えていた。これまで一時的に停滞することがあっても統合が前進してきたのは、国家を超えた共同体の価値を欧州の市民や企業が認めてきたからだ。
 いま、その価値が大きく揺らいでいる。欧州の政治指導者は、市民や企業の支持を再び取り戻すための骨太な大欧州の新構想を示すべきだ。28~29日のEU首脳会議をその一歩とすべきである。
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東京新聞 2016年6月26日
【社説】英国のEU離脱 長い不確実時代の入り口


 欧州連合(EU)の発足以来初となる英国離脱はグローバル化した世界経済を瞬時に揺るがした。海図なき航海は国際社会が結束して支える必要がある。
 「マーケット・メルトダウン」-。米ABCテレビは衝撃的な見出しを付け、世界に連鎖した株価暴落を伝えた。直前の楽観的な見方の反動も加わり、金融市場は狼狽(ろうばい)しパニックに陥った。取引時間中だった東京市場を皮切りに底割れしたような株価下落はアジア、欧州、米国へと伝播(でんぱ)した。東京では一時一ドル=九九円台まで円高が進み、株価下落幅も一二〇〇円超とリーマン・ショック時を上回り、十六年ぶりの大きさだった。
◆未知の領域に踏み出す
 英国のEU離脱という事態がどうして世界経済を揺るがすのか。なぜ計り知れないほどの影響があるというのか。
 それは「EUなき英国」と「英国なきEU」という、未知なる不確実な存在が生まれるからだ。
 英国経済は世界の中枢、金融街シティーを有し、特例的に自前の通貨、英ポンドを維持したまま世界からマネーを集め、金融立国として成り立ってきた。
 日本をはじめとする各国企業は質の高い金融街がある英国に進出し、そこからEU加盟国という、非関税で輸出できる大きな単一市場を相手にできた。英国の繁栄はEUに加盟していてこその側面が強いのである。
 EUにとっての英国は、ドイツに次ぐ第二の経済力があり、かつての覇権国家として英連邦などにさまざまな影響力をもつ。またEUの財政運営や移民・難民政策などに対し、いつも異論を突き付ける厄介な存在だったが、それがEUの多様性や政策の幅広さにつながったのも確かである。
◆いばらの道の始まり
 英国がEUから離脱し、非関税などのメリットを失うとなれば、英国に進出していた各国の企業はフランクフルトやパリなどへ、せきを切ったように拠点を移すだろう。離脱した場合の英国経済の急激な落ち込みは想像に難くないが、英国を失うEUの痛手も小さくない。
 しかし、EUと英国との離脱に関する交渉は長く厳しいものになるだろう。最低で二年、長ければ十年以上になるとの見方もある。
 「史上最も複雑な離婚協議」とも称されるゆえんである。なにしろ、関税など経済協定、EU法の適否、EU予算への拠出などさまざまな合意が必要となる。
 「別れても友達として-」とノルウェーやスイスのようにEUの外にいて仲良くやっていく方法もある。EUとの経済協定なしに世界貿易機関(WTO)のルールに基づいて貿易するといったドライな関係まで選択肢は広い。
 英国にとって最大の輸出相手国・地域は、言うまでもなくEUだ。40%を超えている。これまでの域内関税ゼロは死守したいだろうが、EU側からすれば安易な妥協はできない。
 ドミノ倒しのように第二、第三の英国が出るような事態を避けるため、むしろ制裁的な対応をとるべきだとの考えからだ。新たな貿易協定を結ぶのに多大な時間がかかれば、貿易量が減り、ひいては雇用の減少などの悪影響もでるだろう。英国にとっては、まさにいばらの道が待っている。
 とはいえ今、何よりも優先すべきなのは市場の安定である。キャメロン英首相はEUとの交渉を後任に委ねる考えを示したが、緊急を要する為替や株式市場の対応に全力を挙げるべきだ。
 英国経済の先行きへの不透明感から英ポンドが売られ、EUの弱体化が懸念されてユーロも大きく値下がりする。一方で安全な通貨とみなされる円は買われ、さらに世界経済の不安定化から米国の利上げが遠のくことで一層円高は進みやすい。
 円高は日本株安を加速させるし、投資家がリスク回避の姿勢を強めれば世界的な株安が止まらなくなるおそれがある。
 これは先進七カ国(G7)の通貨当局や、欧州中央銀行、イングランド銀行、日銀など中央銀行が緊密に連携し、市場介入なども含めて対応しなければならない。欧州にくすぶる金融システム不安や通貨危機には十分な目配りが必要である。
◆試されている英知
 「英国のEU離脱を地球上で最も喜んでいるのは誰か。それはプーチン・ロ大統領だ」-フランス国営放送に出演した元EU議会議員は断言した。ロシアに経済制裁を科しているEUの弱体化を歓迎しているだろうという意味だ。
 英国離脱は「ギリシャ危機」や「難民危機」に次ぐ危機だが、拡大と深化を続けてきたEUにとって最大の試練であることは間違いない。半世紀以上にわたり積み上げてきた英知が試されている。

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岩手日報(2016.6.25)
論説:英EU離脱へ 「自由」への切なる反乱


 欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で、英国は大陸との決別を選んだ。域内第2の経済大国の離脱によりEUへの信頼は揺らぎ、世界に衝撃を与えた。
 英国の通貨ポンドが急落し、株安が連鎖するなど世界経済の減速が懸念される。1ドル=100円を一時突破して円高が一気に進み、日本経済への影響も大きい。
 日米欧の中央銀行は離脱を想定し、ドル資金供給などの対策を練ってきた。金融市場の混乱を最小限にするために結束しなければならない。
 注視すべきは他国の反EU勢力が活気づいて「一つの欧州」の理念が崩れることだ。キャメロン英首相が辞意を表明し、英国とEUの政治的な不安定化は国際秩序に影を落とす可能性もある。
 政治・経済が深刻な打撃を受けるにもかかわらず、なぜ英国民は離脱を望んだのか。日本と世界は、その理由を深く考える必要があろう。
 EU離脱か残留かで英国が二分されたのは、キャメロン首相が3年前、国民投票を行うと表明したことに始まる。与党保守党の分裂を防ぎ、総選挙で野党に票を奪われないための計算があった。
 英国では大陸のルールに従うことへの反発が強い。離脱カードをちらつかせることで、EUとの交渉を有利に進める狙いもあった。
 政治的な思惑を超えて離脱、残留の運動は過熱していく。最近の世論調査では離脱支持がリードし、残留派女性議員の殺害事件も潮目を変えるには至らなかった。
 双方の支持動向は地域や年代により、くっきりと分かれる。裕福な高齢者や若者がいる首都ロンドンなど都市部は残留派が多いが、地方は離脱が多数を占めた。
 EUの一律規制により、地方の港町では廃業に追い込まれる漁業者が急増した。さらに人の移動がしやすくなって東欧諸国から移民が押し寄せ、仕事を奪われたと考える労働者が少なくない。
 英国は、国境検査なしでEU域内を移動できる協定に参加していない。それでも所得の高い仕事を求めて域内から移民が殺到した。
 EU離脱の背景には、人、物、金の移動を自由にするグローバル化への強い拒否感がある。「自由」への切なる反乱と見るべきだろう。
 グローバル化で競争が激化すると、大都市や一部の人は富を得る。だが取り残される地域や人が必ず現れ、格差が広がる。日本では物の価格が下がり、デフレを生んだ。
 果たしてグローバル化は人を幸せにするのか。国の主権を狭め、域内の自由度を高めようという環太平洋連携協定(TPP)を進める日本に突き付けられた問いでもある。
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[京都新聞 2016年06月25日掲載]
社説:英、EU離脱へ  孤立主義の広がりが心配だ


 英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で、離脱派が勝利した。
 残留派を率いたキャメロン首相は辞意を表明した。英国のみならず、国際社会や世界経済に混乱がさらに広がる恐れがある。
 英国にはかつての「大英帝国」の栄光を背景に、国の独立と主権を守ろうという意識があり、保守党を中心に欧州に国家のような強い権限を持つ組織ができることに警戒感があった。欧州の単一通貨ユーロに参加していないのもこうした事情によるとされる。
 国民投票で保守党のジョンソン前ロンドン市長を中心とする離脱派は「主権を取り戻す」と訴えることで、英国民の反EU感情を大きなうねりにした。
 離脱派は具体的には、EUの「域内移動の自由」原則を利用して東欧やイスラム圏から英国へ流入する移民が雇用や福祉を圧迫していると主張した。多額の拠出金を無駄と指摘し、EUの官僚機構による細かい規制が英経済の成長力をそいでいると強調した。
 これに対し、同じ保守党のキャメロン氏をはじめとする残留派は、離脱すれば人口5億人の市場から閉め出され、貿易や投資が打撃を受けると訴えた。英政府は2年間で国内総生産(GDP)が最大6%減ると試算し、国際通貨基金(IMF)や中央銀行のイングランド銀行なども離脱の経済リスクを指摘した。
 英国離脱によるEUの弱体化を懸念するドイツのメルケル首相をはじめ、オバマ米大統領や安倍晋三首相も残留支持を表明した。
 深刻な国民の「分断」
 残留派の女性下院議員コックス氏が殺害される事件が発生し、残留派の勢いが一時回復したが、離脱論の高まりを抑え込むことはできなかった。
 英政府は今後、EUとの手続きに入るが、条件など交渉に時間がかかり、実際の離脱は数年後になる見通しだ。
 離脱派と残留派が国民を二分して激しく争ったことで、内政の混乱は必至だ。政権を担う保守党は賛否で真っ二つに割れた。まず国民の分断を修復し、政治の混乱を収めることが必要だ。
 国民投票で離脱派優位が伝わると、比較的安全な通貨とされる日本円が急騰した。24日の東京円は一時1ドル=100円を突破。円高による企業業績悪化などの懸念から日経平均株価は一時1300円超も急落した。
 市場の連鎖的な混乱が続けば、世界経済全体を圧迫しかねない。日本政府や日銀は欧米の金融当局と連携して事態の沈静化に努めるべきだ。
 日本と英国の経済的な結びつきは強い。日本からの2014年の投資額は約1兆円に達している。英国に進出している日本企業は約1100社で、現地で14万人超を雇用している。
 進出日本企業に影響
 日本の主力産業の自動車メーカーでは、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダが英国に車両やエンジンの工場を持ち、EU市場などへの輸出拠点としている。離脱によって関税の仕組みが変われば影響は大きい。
 ロンドンの金融街「シティー」周辺には日本の主要な金融機関の拠点があるが、取引の利便性が低下するかもしれない。在英の日本企業の撤退や事業見直しが進む可能性がある。
 EUにとっての打撃はさらに大きい。
 英国は米国、中国、日本、ドイツに次ぐ世界第5位の経済大国で、EU28カ国の域内総生産の約2割を占めている。EU内ではフランスとともに国連安全保障理事会の常任理事国であり、離脱すればEUの経済力だけでなく、政治力の低下も避けられない。
 1993年の正式発足以来、拡大の一途だったEUから加盟国が離脱するのは初めてとなる。各国で反EUを訴える極右などの勢力拡大につながる恐れがある。
 ドミノ回避できるか
 フランスの極右政党、国民戦線は2014年の欧州議会選で躍進し、国内でも勢いを増している。マリーヌ・ルペン党首は英国のEU離脱を支持し、17年のフランス大統領選で自身が当選すれば、英国と同様の国民投票を行うとしている。
 欧州議会で国民戦線と会派を組むオランダの極右、自由党も支持率を伸ばしている。ドイツでは3月の州議会選で、難民らの受け入れに反対する右派政党「ドイツのための選択肢」が躍進した。
 2度の世界大戦の反省から、欧州で戦争の惨禍を繰り返さないために統合を進めてきたEUにとって、英国に続く「離脱ドミノ」を食い止められるかが正念場と言える。加盟国の事情に配慮しつつ、難民流入やテロ対策、経済格差の是正などで成果を上げて求心力を高めることが重要だ。
 米大統領選では「米国が第一」を掲げて排外的な発言を繰り返す実業家トランプ氏の共和党候補指名が確定した。自国の都合を最優先する孤立主義がさらに拡大すれば、世界の不安定化は不可避だ。危うい世界の潮流に日本も無関係ではいられない。
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神戸新聞 2016/06/25
社説:英国EU離脱/市場混乱の長期化を防げ


 英国のEU離脱決定を受け、世界の金融市場が大きく揺れた。
 東京市場では平均株価が約16年ぶりとなる大幅な下げ幅を記録し、1万5000円を割り込んだ。円相場は急騰し一時、約2年7カ月ぶりに1ドル=100円を突破した。
 上海などアジア市場や欧州市場でも株価が急落した。「英国ショック」とでもいうべき深刻な事態だ。
 世界経済は中国など新興国経済の減速に加え、ヨーロッパ経済の先行き不安という新たな下振れリスクを抱えた。世界市場の混乱を長期化させてはならない。国際社会が協調を強めて下支えする必要がある。
 円高、株安が進めば、日本経済は輸出企業を中心に業績が悪化し、景気停滞が長期化する恐れがある。政府、日銀は市場動向を注視し、適切に対応すべきだ。
 英国は2015年の国内総生産(GDP)が2兆5689億ユーロ(約305兆円)に上る。域内ではドイツに次ぐ2番目の規模で、加盟国全体の18%に当たる。EU各国との貿易は英経済を支えており、15年に輸入したモノとサービスの約53%、輸出の約44%をEUが占める。
 離脱によって、英国経済へのマイナスの影響は避けられそうにない。キャメロン首相や大企業経営者、著名経済学者らがリスクを強調したが、離脱派には届かなかった。
 今後、モノやサービスに関税がかかったり人の移動が自由にできなくなったりすれば、英国から企業が流出するなど実体経済を押し下げる懸念がある。
 日本への影響も深刻だ。14年の日本から英国への投資額は約1兆円で、対英投資額は米国に次ぐ2位と大きなウエートを占める。
 英国への進出企業は約1100社あり、現地の雇用者数は14万人を超える。首都ロンドンには主要な金融機関が拠点を構える。日本経済のけん引役の自動車メーカーは、EU市場への輸出拠点としている。こうした企業が戦略の見直しを迫られる可能性がある。
 民間シンクタンクの試算では、英国の景気悪化による輸出減などで、日本の国内総生産(GDP)に0・1~0・8%の下押し圧力がかかるという。政府、日銀は実体経済への影響を最小限にとどめるため、中小企業への資金繰り支援など、柔軟で迅速な対策を検討すべきだ。
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神戸新聞 2016/06/25
社説:英国EU離脱/さらなる分断は避けねば


 「きょうが英国の独立記念日だ」の言葉に群衆が沸き立った。一方で「この結果に困惑している」と失望や落胆の声が広がった。
 欧州連合(EU)離脱を選択した英国の国民投票は、新たな国の針路を示す一方で、国内の亀裂の深さを浮き彫りにしたといえる。
 過去4カ月、離脱派と残留派は激しい論戦を繰り広げた。政権与党の保守党も党内の意見が分かれ、社会を二分する様相となった。僅差の投票結果がそれを物語る。
 EUとの離脱交渉は今後2年かけて行われるが、投票結果がしこりを残すようではさらなる国民の分断を招く恐れがある。
 残留を訴えてきたキャメロン首相は辞意を表明した。次の政権にとって亀裂の修復が課題となる。立場の違いを超えて合意を目指す努力が、これまで以上に求められる。
 島国の英国は伝統的に欧州と一線を画してきた。大戦後、フランスやドイツなどはいち早く統合に動いたが、英国がEUの前身である欧州共同体(EC)に加盟したのは1973年のことだ。
 その際も国内に異論があり、時の政権がその2年後に英国史上初の国民投票に踏み切った経緯がある。結果は「残留」が7割近くを占め、欧州の一員として歩みを固めた。
 今回、国民は逆の道を選択した。当時の期待が40年余りの時を経て失望や不満に変わった事実は、冷静に受け止める必要がある。
 EUに加盟した東欧諸国から移民が殺到し、「職を奪われる」と危機感を抱く労働者層の反発を招いた。近年は中東難民の受け入れへの反対が強まり、「英国が第一」とする過激な主張が次第に力を得た。残留派の訴えも労働者層や大英帝国時代の栄光にこだわる高齢者層などの離脱志向を変えるには至らなかった。
 難民支援に尽力した女性下院議員の殺害事件は、過激主義の影響を受けた可能性が指摘される。
 懸念されるのは、英国の離脱が他の欧州諸国でもEU懐疑派を勢いづかせることだ。統合の理念が揺らげば、国境を超えた相互不信や不寛容の波はさらに広がる恐れがある。
 離脱は決まったが、若い世代の多くが欧州との自由な行き来を受け入れているのも確かだ。離脱後も欧州の一員として一定の協調路線を維持するのが、現実的な道である。
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