2016-07-03(Sun)

年金運用損失 5兆円超 株式割合拡大が影響

英EU離脱 年金運用損 膨らむ可能性 株式投資是非 参院選争点に

----公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度に5兆数千億円の運用損失を出し、10年度以来5年ぶりに赤字となることが1日、明らかになった。14年秋から運用割合を増やした株式の価格下落の影響が大きく出た。ただちに年金支給額が変動することはないが、15年度末に比べ株価はさらに下落しており、厳しい運用状況が続きそうだ。

GPIFは、国民年金と厚生年金の保険料収入からの積立金約140兆円を運用。平均で年金給付額の9%を賄っている。株価の押し上げ効果を狙う首相官邸の意向などを受け、14年10月に資産の構成割合を変更。24%だった株式比率を50%にまで引き上げ、国債などの比率を下げた。この結果、株価の影響を受けやすくなり、12〜14年度は計約37兆円の収益を上げていたが、15年度は5兆円規模の損失を出した。
 
今後も運用には厳しい局面が予想される。今年3月末(15年度末)に1万6758円だった日経平均株価は、英国の欧州連合離脱問題などの影響で6月末には1万5575円に下落。今年度の運用損失は一層膨らむ可能性があるが、塩崎恭久厚生労働相は「短期的な変動に伴う評価損はありうるが、長い目で見て必要な年金額を確保するという観点で運用している」と説明する。
(毎日新聞)

<年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)> 国民年金や厚生年金の保険料収入の余剰分を積み立てた「年金積立金」を、国内外の株式や債券に投資して管理・運用する。厚生労働省の所管で、2006年に設立。14年10月に国内外の株式比率を計50%まで引き上げることを決めた。政府は理事長に権限が集中する組織体制を見直し、重要事項は外部有識者らでつくる経営委員会による合議制で決めることなどを盛り込んだ年金関連法案を先の通常国会に提出したが、継続審議となった。GPIFはGovernment Pension Investment Fundの略。
(東京新聞)




以下引用

(東京新聞)2016年7月2日 07時06分
15年度 年金運用損5兆円超 株比率倍増直後に赤字 投資是非争点に
 国民が支払う国民年金などの積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、二〇一五年度決算で五兆円超の損失を出すことが、厚生労働省への財務諸表の提出で正式に明らかになった。GPIFが資産運用の際の基準として株式の比率を増やした結果、損失がふくらみ、五年ぶりの赤字となった。株式比率を上げたことの是非が、参院選で争点に浮上している。
 GPIFは国民が納めた保険料で年金給付に回さなかった分を積み立て、国債や株式で運用している。現在の総資産は約百四十兆円。より高い利回りを得るため一四年十月に運用基準を変更、国内外の株式は保有目安を24%から50%に倍増させ、逆に国債は60%から35%に引き下げている。
 一五年度の損失は海外市場の動揺により、株価が下落したことが主因。一六年度に入ってからも英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、六月二十四日の日経平均株価(225種)は終値が前日比一二八六円安となり、下落幅は約十六年ぶりの大きさを記録。一六年度もさらに損失が出る可能性が高まる。
 GPIF運用損失は与野党幹部が参加した二十六日のテレビ番組でも討論に。「株への投資を減らし安全な運用に切り替える」と主張する民進党の山尾志桜里政調会長が「安倍政権が株式投資を倍増し、損失が五兆円となった。英国の離脱で、損失が二兆円を超えるという試算がある」と指摘すると、自民党の稲田朋美政調会長は「一時的な損失よりも、安倍政権になって四十兆円の利益が出たことをみて」と反論した。
 GPIFは三カ月ごとに運用実績を公表しており、最新は一五年十~十二月。安倍政権の誕生は一二年十二月二十六日なので、一三年一~三月分からの合計実績をみると収益は約三十三兆円。稲田氏は一二年十~十二月の分も加えた約三十八兆円の収益を念頭にして発言したとみられる。
 一方、基準変更後の初めての年間実績になる一五年度は、株式の保有が増えたために損益の振れ幅が大きくなったことを多くの専門家が指摘している。一五年七~九月は三カ月で七兆九千億円のマイナス、同十~十二月は四兆七千億円のプラスとなった。公表前の一六年一~三月も大きなマイナスの見通しだ。
 野党側は例年七月上旬までに公表していた年間の運用実績が、今年は参院選後の七月二十九日にずれ込んだことを指摘し、「損失隠しだ」と情報公開に消極的な姿勢も追及している。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)> 国民年金や厚生年金の保険料収入の余剰分を積み立てた「年金積立金」を、国内外の株式や債券に投資して管理・運用する。厚生労働省の所管で、2006年に設立。14年10月に国内外の株式比率を計50%まで引き上げることを決めた。政府は理事長に権限が集中する組織体制を見直し、重要事項は外部有識者らでつくる経営委員会による合議制で決めることなどを盛り込んだ年金関連法案を先の通常国会に提出したが、継続審議となった。GPIFはGovernment Pension Investment Fundの略。

朝日新聞 2016年7月2日05時00分
年金問題、与野党応酬 GPIF運用、5兆円超損失批判・長期のプラス強調 参院選
過去の参院選と年金問題
 10日投開票の参院選の論点に、年金問題が浮上している。昨年度の運用成績が5兆円超の損失となった公的年金積立金をめぐり、与野党が激しく応酬。株式比率を高めて運用益を上げた「実績」を強調する与党に対し、野党は巨額の損失や公表時期を参院選後にした点に攻撃の的を絞っている。
 「みなさんの年金は、世界全体の大きなリスクにさらされ続けている。それをみなさん(国民)に何の相談、報告もなく行っているのが安倍政治なのです」
 民進党の前原誠司元外相は1日、JR名古屋駅前での街頭演説で、公的年金積立金の運用損5兆円超にのぼるとの朝日新聞報道を引き合いに、政権批判を展開。野党幹部らはこの日、政権が年金運用で株式比率を高めた末、損失を広げたことを一斉に批判した。
 運用基準は2014年10月に見直された。株式比率を従来の2倍の50%に引き上げ、国債など国内債券を60%から35%に下げた。その際の記者会見で、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)幹部は「(従来の)国内債券中心の運用では必要な利回りが明らかに足りなくなる」と説明した。
 安倍晋三首相は同年1月、スイスで開かれたダボス会議での演説で「GPIFは成長への投資に貢献する」と運用基準の見直しを宣言。アベノミクスの「第三の矢」として閣議決定した成長戦略でも、年金運用改革を柱の一つに据えた。
 GPIFによる見直しは当初、アベノミクスを推進させる役割を担った。国民年金と厚生年金の積立金約140兆円のうち半分が株式市場に流れ込み、日経平均株価が安倍2次政権発足時の1万円台から昨夏には一時、2万円を突破する株高を後押しした。
 昨年度の「損失」を追及する野党に対し、与党はこれまでの「プラス」を強調し、有権者の不安を抑えようとしている。公明党の太田昭宏前国土交通相は「安倍政権になって38兆円の運用益が出ている。5兆円減ったというが、減っても30兆円以上の運用益がある。これは全部長期(で運用するもの)だから、今日どうなったかではない」と訴えた。
 ■公表時期「選挙後」も焦点
 政権が年金運用成績の公表を例年の7月上旬から参院選後の7月29日とした点も焦点となっている。
 野党は「情報隠し」と攻勢を強める。民進の野田佳彦前首相は1日、高知市での演説で「よらしむべし、知らしむべからず。国民は何も知らなくていいと。都合の悪いことは後回しにして隠す」と批判した。
 有権者の関心が高い年金問題は過去の参院選でも結果に影響を与えてきた。
 小泉政権時の04年には、負担増・給付減を定めた年金改革法の成立後、政府は年金推計の前提になる出生率が過去最低(当時)の1・29だったと公表。野党は「重要な情報を後出しした」と追及し、躍進に結びつけた。07年の安倍1次政権では、「消えた年金」などの年金記録問題で与党に批判が集中。同年の参院選で大敗し、安倍首相が退陣するきっかけになった。
 民進の山井和則衆院議員は1日、党の会議で「第二の『消えた年金』だ」と発言。共産党の小池晃書記局長も同日、千葉県船橋市での演説で「『消えた年金』ではない。首相による『消した年金』になりつつある」と主張した。
 政権側は火消しに必死だ。萩生田光一官房副長官は1日の会見で「運用実績は引き続き精査中だ。(公表時期が)恣意(しい)的に動くというような誤解があってはならないので、今年から日にちまで明確にした。参院選は関係ない」と述べた。


毎日新聞2016年7月1日 21時39分(最終更新 7月2日 00時03分)
GPIF:株式割合拡大が影響 年金運用損5兆円
 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度に5兆数千億円の運用損失を出し、10年度以来5年ぶりに赤字となることが1日、明らかになった。14年秋から運用割合を増やした株式の価格下落の影響が大きく出た。ただちに年金支給額が変動することはないが、15年度末に比べ株価はさらに下落しており、厳しい運用状況が続きそうだ。
 GPIFは、国民年金と厚生年金の保険料収入からの積立金約140兆円を運用。平均で年金給付額の9%を賄っている。株価の押し上げ効果を狙う首相官邸の意向などを受け、14年10月に資産の構成割合を変更。24%だった株式比率を50%にまで引き上げ、国債などの比率を下げた。この結果、株価の影響を受けやすくなり、12〜14年度は計約37兆円の収益を上げていたが、15年度は5兆円規模の損失を出した。
 今後も運用には厳しい局面が予想される。今年3月末(15年度末)に1万6758円だった日経平均株価は、英国の欧州連合離脱問題などの影響で6月末には1万5575円に下落。今年度の運用損失は一層膨らむ可能性があるが、塩崎恭久厚生労働相は「短期的な変動に伴う評価損はありうるが、長い目で見て必要な年金額を確保するという観点で運用している」と説明する。
 野党は株式比率を元に戻すように主張しているが、政府は見直しに慎重な姿勢だ。GPIFの関係者は「マイナス金利の影響で、株式と債券の比率を元に戻せば目標とする利回りを確保できない恐れがある」と話す。今後の年金支給額については「10年以上にわたり大幅な損失が続くといった状況がない限り影響はない」という。
 一方、GPIF決算に対し、野党は批判を強めている。民進党は運用実績の公表時期を参院選後の29日に設定したことを問題視しており、枝野幸男幹事長は横浜市の街頭演説で「毎年6月30日までに厚労相に報告されたら、7月の頭に公表することになっているが、なぜか今年だけ先送りしている。参院選が終わってから、大損していることは国民に伝えよう、というのが安倍政権の姿勢だ」と批判。「政府の情報隠し」と位置付け、参院選の争点の一つにする姿勢だ。
 これに対し萩生田光一官房副長官は記者会見で「現在精査中で(損失額は)確定はしていない」とし、公表日について「7月中ということは慣例的にずっと続いていて、恣意(しい)的に(公表日が)動くという誤解があってはならない。参院選には関係ない」と反論した。
 安倍政権下で株式での運用割合が増加したことも論点。民進党の岡田克也代表は1日の記者会見で「リスクの高い運用だと我々が心配した通りの状況になりつつある。将来の年金減額につながりかねない深刻な問題だ」と懸念を示した。【阿部亮介、松本晃】


しんぶん赤旗 2016年7月2日(土)
年金運用損失5兆円超 安倍政権が株式運用を倍増 15年度
 公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度の決算で5兆数千億円にのぼる巨額の運用損失を出したことが1日分かりました。GPIFが同日までに厚生労働省に財務諸表を提出しました。
 赤字となったのは、10年度以来5年ぶり。安倍政権が、株価つり上げをねらって株式運用比率を倍増させ、巨額損失を招いた責任が問われます。
 GPIFは例年7月上旬までに前年度の運用結果を公表していますが、今年は参院選後の29日に発表する予定。例年より約3週間も遅いことに対して、野党は「損失隠し」だと批判しています。
 安倍政権は14年秋から、12%(+-6%)だった国内株式の比率を25%(+-9%)に引き上げ、外国株式と合わせて株式運用を50%に倍増させました。
 その結果、15年7―9月期に、四半期ベースで過去最大となる7兆8899億円の損失を計上。16年1―3月期も大幅損失を出したとみられていました。
 16年度に入っても株価は下がり気味で、6月24日には英国のEU(欧州連合)離脱決定で株価が急落。さらに損失が膨らんでいるとみられています。
 日本共産党は、国民には年金支給削減や保険料引き上げを押し付けながら、その積立金を金融業界や大企業のために投入することは本末転倒だと批判。株式運用の拡大に反対し、高リスクの投機的運用の中止を求めています。
「ギャンブル」に暴走する内閣
積立金が株価つり上げの道具に
 公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人が、2015年度決算で5兆数千億円にのぼる巨額損失を出しました。「アベノミクス」による「株高」を演出するため、危険な株式運用を倍増させ、巨額損失を生み出した安倍首相の責任は重大です。
 安倍首相はロンドンの金融街で14年5月、資産残高約130兆円で世界最大の機関投資家である年金積立金を株価つり上げに使うことを宣言。積立金の株式運用枠を一気に20兆円分も拡大しました。
 年金積立金は国民が払った保険料です。老後の年金保障が目的であり、安定運用が大原則です。高リスク運用で損失が出れば、年金削減や保険料引き上げを招きます。
 しかも公的資金による株価つり上げは、市場をゆがめ、投機筋や銀行・証券が巨額の利益を手にする一方、一般投資家や企業の労働者は苦しめられます。そのため、金融大国の米国ですら公的年金の積立金で株を買うことはしていません。
 この間、日本共産党の小池晃書記局長の追及で、株価の下落局面で年金積立金が「買い支え」をしていることが分かりました。積立金が「株価つり上げの道具」とされていることを示しています。
 国民には「年金財政が苦しい」といって年金支給削減や保険料引き上げを押しつけながら、「アベノミクス」維持のために国民の財産と日本経済を危機にさらすなど許されません。
 参院選後に安倍内閣は、年金を物価上昇以下に抑える「マクロ経済スライド」を改悪し、さらなる年金削減を押し付けようとしています。際限のない年金削減と積立金を使った「ギャンブル」に暴走する安倍内閣に、参院選で厳しい審判を下すことが必要です。
 (深山直人)


朝日新聞 2016年7月1日05時00分
年金、運用損5兆円超 公表は参院選後 昨年度GPIF
 2015年度の公的年金積立金の運用成績は、5兆円を超える損失となることが確定した。株安が影響したもので、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が30日の運用委員会で厚生労働省に報告した。だが、GPIFが公表するのは参院選後の7月29日で、野党は「損失隠しだ」と批判を強めている。
 GPIFは国民年金と厚生年金の積立金約140兆円を運用している。30日の運用委員会は非公開で開かれ、GPIFが15年度の財務諸表を報告。関係者によると、運用損は総額で5兆数千億円に上ったという。
 中国が人民元を切り下げて世界的な株安となった昨年8月の「チャイナ・ショック」が影響し、昨年11月に公表された7~9月期の損失は7・8兆円だった。
 GPIFは将来の年金支給に必要な利益を確保するとして14年10月に運用基準を見直した。国内債券の比率を60%から35%に下げ、代わりに株式比率を50%に倍増。安倍政権は成長戦略にも位置づけたが、株価の影響は受けやすくなった。
 15年度の運用成績の公表日について、GPIFは3月末に7月29日と決めた。例年は7月上旬に公表しているが、今年はGPIF発足10年に合わせて保有株の銘柄なども新たに公表する予定で、その開示方法などを検討するのに時間がかかるためだと説明している。
 これに対し、民進党は「損失隠し」と追及を続けており、岡田克也代表は30日の街頭演説でも「選挙に不利なことは隠す。安倍政権のやること、こんなことが多い」と反発。運用委員会の外部有識者からも「7月の末というのは遅いと受け止められるのは当然」といった指摘が出ている。
 GPIFの運用基準をめぐる議論も再燃しそうだ。
 岡田氏は「(年金は)安定が必要なのに株に過度に依存している」という批判も強める。一方、安倍晋三首相は27日、自身のフェイスブックで「安倍政権の3年間で37・8兆円の運用収益が生まれました」と強調した。
 単年度の運用損がすぐに年金の支給に影響する状況にはない。リーマン・ショックのあった08年度は9兆円超の赤字だったが、14年度は15兆円を上回る黒字で、収益額は01年度の自主運用開始から昨年末までの間に50・2兆円まで積み上がっている。
 ただ、長期にわたって損失が続くようだと、将来の年金財政が苦しくなる。
 年金制度に詳しい日本総研の西沢和彦主席研究員は「与党はGPIFの運用基準を変える時、積立金のオーナーである国民に十分な事前説明をしなかった。野党も運用損で揚げ足をとって不安をあおるのは良くない」と指摘。そのうえで「積立金は国民のもの。財務諸表で年度の運用成績が分かるなら、速報値として開示すべきだ」と求めた。(久永隆一、河合達郎)


(東京新聞)2016年7月1日 13時57分
年金運用損5兆円超 株安、5年ぶり赤字 公表は参院選後
 国民が拠出する国民年金などの積立金を運用する「GPIF」(年金積立金管理運用独立行政法人)が、二〇一五年度に五兆数千億円の運用損失を出すことが一日、正式に明らかになった。一四年秋以降に運用資産のうち株式に投資する比率を増やしたが、株式の下落で、一〇年度以来五年ぶりの赤字となった。GPIFが同日までに、一五年度の決算で損失を計上することを示した財務諸表を厚生労働省に提出した。
 GPIFは例年七月上旬までに前年度の運用結果を公表しているが、今年は三週間ほど遅い参院選後の二十九日に発表する。五兆円程度の損失が出たとの試算をまとめた民進党は「選挙への影響を配慮した日程だ」と批判を強めていた。厚労省は「初めて保有銘柄を発表することにしており、時間がかかる」と説明している。金融市場は、年明けからは円高株安の傾向にある。英国の欧州連合(EU)離脱問題直後は株価が急落するなど市場の先行きは不透明だ。
 GPIFは一四年十月に投資する資産の割合を変更。従来は12%ずつだった国内株式と外国株式を計50%に引き上げた。一五年七~九月期の運用結果は七・九兆円のマイナス、十~十二月期は四・七兆円のプラスになるなど、短期間では株価に連動して評価損益の変動幅が大きくなっている。野党の批判に対して安倍晋三首相は「政権交代後の三年間で約三十八兆円の運用益が出ている。運用は長期的な視点で行い、短期的な評価はすべきでない」と反論している。
 <年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)> 国民年金や厚生年金の保険料収入の余剰分を積み立てた「年金積立金」を、国内外の株式や債券に投資して管理・運用する。厚生労働省の所管で、2006年に設立された。14年10月に資産構成割合を変更し、国内外の株式比率を計50%まで引き上げることを決めた。政府は理事長に権限が集中する組織体制を見直し、資産構成割合などの重要事項は外部有識者らでつくる経営委員会による合議制で決めることなどを盛り込んだ年金関連法案を先の通常国会に提出したが、継続審議となった。

産経新聞 7月1日(金)21時52分配信
GPIFが参院選の新たな争点に? 損失5兆円超、野党は批判強め、政府は反論
 国民年金や厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が平成27年度の決算で5兆数千億円の運用損失を計上することが1日、分かった。26年秋から運用割合を増やした株式の価格が下落し、22年度以来5年ぶりの赤字となった。
 金融市場は年明けからは円高株安の傾向にある。英国の欧州連合(EU)離脱問題直後は株価が急落するなど市場の先行きは不透明だ。厳しい運用環境が続いており、野党は「将来の年金の減額につながりかねない」(民進党の岡田克也代表)と批判。GPIFが参院選の新たな争点に浮上する可能性がある。
 また、野党は運用実績の公表時期を参院選(10日投開票)後の29日に設定していることを問題視しており、民進党の山井和則国対委員長代理は1日、国会内で開いた会合で、「速やかに5兆円の損失が出たことを説明すべきだ」と求めた。
 これに対し、萩生田光一官房副長官は1日の記者会見で「デフレから脱却しつつある中、適切な運用を行っている」と反論。公表時期についても「7月中が慣例的に続いていた。恣意(しい)的に動くという誤解があってはならないので、日にちまで明確にした。参院選は関係ない」と野党側の見方を打ち消した。
 GPIFは26年10月、年金給付の原資を増やすのを目的に国内債の比率を下げ、高利回りが期待できる国内・海外株式の運用比率を高める方針を打ち出した。ただ、株式市場の変動を受けやすいため、短期間では評価損益の変動幅が大きくなっている。
 安倍晋三首相は野党の批判に対して「政権交代後の3年間で約38兆円の運用益が出ている。運用は長期的な視点で行い、短期的な評価はすべきではない」と反論している。


読売新聞 2016年07月01日 17時01分
年金運用損5兆円超、株安など影響…15年度
 「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)が運用する2015年度の公的年金積立金の運用収益が、5兆数千億円の赤字になることがわかった。
 政府関係者が1日、明らかにした。
 運用収益が赤字となるのは、10年度以来、5年ぶり。GPIFは29日に15年度の運用結果を公表する。
 公的年金の積立金はGPIFが株式や債券で運用している。中国の景気減速への懸念や原油安などから、15年4月1日に1万9034円84銭だった日経平均株価が16年3月31日には1万6758円67銭に下落したことなどが影響した。
 ただ、本格的に市場で運用を始めた01年度以降の収益の累積は約45兆円の黒字となっており、厚生労働省は「短期的に見ると運用結果が赤字になることもあるが、長期的には黒字になっている」としている。

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