2016-07-25(Mon)

国の辺野古提訴・高江強行 基地政治の泥沼化 

誰が暴走を止めるのか 民意踏みにじる行為だ 法廷ではなく協議による解決を

<各紙社説・主張>
沖縄タイムス)[基地政治の泥沼化]誰が暴走を止めるのか(7/25)
愛媛新聞)政府と沖縄県の対立 法廷ではなく協議による解決を (7/25)
北海道新聞)国の辺野古提訴 民意踏みにじる行為だ(7/23)
新潟日報)政府と沖縄 対話による解決を目指せ(7/23)

信濃毎日新聞)辺野古再提訴 政府は対話に努めよ(7/23)
京都新聞)辺野古再提訴  裁判よりも話し合いで(7/23)
神戸新聞)国が沖縄県提訴/あまりに強引ではないか(7/23)
中国新聞)政府の沖縄県提訴 和解の精神に立ち戻れ(7/23)

高知新聞)【政府の沖縄提訴】対話なき決着は禍根残す(7/23)
西日本新聞)国の沖縄県提訴 民意尊重こそ最善の道だ(7/23)
熊本日日新聞)辺野古訴訟再び 移設ありきでは進まない(7/23)




以下引用



沖縄タイムス 2016年7月25日 05:00
社説:[基地政治の泥沼化]誰が暴走を止めるのか


 「辺野古・高江」をめぐる安倍政権の強権的な振る舞いは尋常でない。官邸サイドには、国と県の関係を正常な軌道に引き戻す意思がまったく感じられない。キャンプ・シュワブの陸上部分の工事も近く再開する、という。現状はあまりにも異常だ。
 福岡高裁那覇支部や国地方係争処理委員会(総務省の第三者機関)が、それぞれの立場から「話し合い解決」を求め、県も協議の継続を要望したにもかかわらず、政府は22日、県を相手取り違法確認訴訟を起こした。
 同じ日、政府は県外からおよそ500人の機動隊を投入し、住民を強制的に排除してヘリパッド建設に着手した。緑豊かな東村高江周辺では22日以来、人と車の自由な行き来が制限され、戒厳令のような状態が続いている。
 翌23日には、埋め立て予定地に近い久辺3区(辺野古・豊原・久志)と沖縄防衛局の懇談会が開かれ、名護市を通さずに直接、補助金を交付する「再編関連特別地域支援事業」を次年度以降も継続することを確認した。
 威圧、恫喝(どうかつ)、強制排除、分断策。やりたい放題である。 こうした強硬策が何より問題なのは、選挙で示された沖縄の民意を完全に無視しているからだ。参院選では「辺野古・高江」の工事強行に反対する伊波洋一氏が、安倍政権の現職閣僚に大差をつけて当選。県議選でも翁長県政の与党は議席を伸ばした。
 今や沖縄選挙区で当選した自民党の議員は衆議院にも参議院にも1人もいない。これは何を意味するのか。
■    ■
 名護市長選、県知事選を含む一連の選挙結果は「辺野古・高江」に象徴される安倍政権の強引な「基地政治」が県民に受け入れられていないことを示している。
 沖縄では公明党県本部も、党本部とは一線を画し、普天間飛行場の辺野古移設に反対する立場を堅持しているのである。その事実は重い。
 こうした政治状況を一顧だにせず、強引にことを進めようとする姿勢は、沖縄の反発をさらに広げ、混乱に拍車をかけるだけである。
 安倍政権は、国会にも自民党内にも官僚機構にも健全なチェック機能がないため、沖縄に関して、いさめる人のいない「驕慢(きょうまん)症候群」に陥っている。
 「辺野古・高江」が今以上に泥沼化すれば、国と県だけでなく国民の感情的分断も深まり、結果として安全保障の国民的基盤を危うくすることになるだろう。それこそが抑止力を低下させる最大の危機というべきだ。
■    ■
 事態は、危険水位に近づきつつある。悪夢を現実化させてはならない。安倍政権の暴走を誰が止めるのか。
 それを食い止める一義的な責任を負わなければならないのは政治家だが、野党はあまりに非力で、与党は安倍官邸をチェックする機能も意欲も失っている。
 結局のところ、沖縄のこの状況を変えることができるのは、主権者である国民しかいない。状況を変えることができるかどうかが、本土・沖縄の未来の関係を規定する。
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愛媛新聞 2016年07月25日(月)
社説:政府と沖縄県の対立 法廷ではなく協議による解決を


 沖縄県の東村と国頭村に広がる国内最大規模の米軍専用施設「北部訓練場」の部分返還に向け、政府がヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事を再開した。抗議活動を続けてきた反対派を強制的に排除しての着工は、政府と県の対立の新たな火種になる可能性がある。
 同じ日には、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡って、政府が県を相手に新たな訴訟を起こした。参院選が終わるのを待っていたかのようなタイミング。県民の気持ちを踏みにじる政府の強硬姿勢は到底容認できない。
 北部訓練場は総面積が約7800ヘクタール。日米両政府は1996年、そのうち約4千ヘクタールを返還することで合意した。実現すれば沖縄県内の米軍専用施設の総面積は約17%減る。
 しかし、返還区域にあるヘリパッドを、残る区域に移すという条件に住民が異議を唱えた。ヤンバルクイナなど希少生物の生息域になっているためだ。2006年には、高江集落を囲むようにヘリパッド6カ所の新設が決定。07年に着工したが、軍用機事故などを懸念する住民らの抗議を受け、これまでに完成したのは2カ所だけ。12年に沖縄に配備された新型輸送機オスプレイが飛来し始めると、高江集落周辺の騒音が激化。反対はさらに高まり、残る4カ所の工事は事実上凍結されていた。
 今月10日には、参院選沖縄選挙区で基地負担の軽減を訴えた新人が、島尻安伊子沖縄・北方担当相を大差で破った。その翌朝に政府が工事の準備を始めたことが、県民感情を逆なでしたのは間違いない。翁長雄志知事は賛否を明確にしていなかったが、工事の強行を受けて反対姿勢を打ち出した。県議会も、建設中止を政府に求める意見書を賛成多数で可決した。
 14年の知事選や衆院選でも、基地に反対する民意は明白になった。米軍による事件や事故も相次ぎ、県民の怒りは頂点に達している。これだけの民意を無視していいはずがない。ヘリパッド移設工事は中断し、改めて計画見直しを協議するべきだ。
 辺野古移設でも、政府と県は3月に和解したはず。6月には第三者機関「国地方係争処理委員会」が話し合いによる解決を促した。にもかかわらず、政府は明らかに法廷での決着を急いでいる。菅義偉官房長官の「訴訟と協議を並行して進める」という説明はこれらの勧告を軽視しており、あまりに不誠実だ。
 政府は一貫して「辺野古移設が唯一の解決策」の主張を繰り返す。結局、和解は単なるポーズで、参院選での争点隠しが目的だったと言わざるを得ない。民意をないがしろにし、県との対立の構図が深い傷を残すことを危惧する。
 今後県との協議の場が設けられても、政府が主張を変えない限り、歩み寄りの糸口は見いだせまい。強引な手法は真の解決には決してならないと自覚しなければならない。
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北海道新聞 2016/07/23 08:50
社説:国の辺野古提訴 民意踏みにじる行為だ


 3月の和解で見せた対話の姿勢は、やはり参院選前のポーズにすぎなかったようだ。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り政府がきのう、沖縄県を相手に新たな訴訟を起こした。
 辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志(おながたけし)知事が、取り消しの撤回を求めた政府の是正指示に従わないのは違法だとの確認を求めたものだ。
 再び法廷闘争に持ち込み、中断している埋め立て工事の再開を急ぎたいのが本音だろう。
 参院選沖縄選挙区では、辺野古反対の無所属新人が現職の島尻安伊子沖縄北方担当相に10万6千票の大差をつけて当選した。
 直後の提訴はこの民意を真っ向から踏みにじるものだ。国と県の真摯(しんし)な協議を促した国地方係争処理委員会の見解にも背いている。
 政府と県の和解条項は《1》双方が訴訟を取り下げ、政府が是正を指示《2》県が処理委に審査を申し出る《3》審査結果を受け、県は不服があれば政府を提訴する―とした。
 複雑な手続きだが、訴訟合戦となった泥沼の状態を仕切り直し、一から手順を尽くすのが趣旨だ。
 しかし、この流れは処理委が是正指示を適法とするか、違法として政府が従わない事態を想定していたものだった。
 ところが処理委は「国と県が納得できる結果を導き出す努力をすることが最善の道だ」と適否を判断せず、県は提訴しなかった。
 前提事実が崩れたのに政府は一方的に訴訟を起こした。
 菅義偉官房長官は「和解条項に基づいて手続きが進んでいる証しだ」と強調し、協議も並行して行うとしているものの、実りのある話し合いなど望めないだろう。
 沖縄は今回の参院選により衆参全選挙区を辺野古反対派が占め、反対の民意はさらに固くなった。翁長知事が提訴に対し「あるべき民主主義国家の姿からはほど遠い」と批判したのは当然だ。
 政府はあろうことか、県や住民の反対を押し切って米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設工事も再開した。
 6カ所のヘリパッド建設は米側が訓練場の総面積の約半分に当たる4千ヘクタールを返還する条件だが、完成済みの2カ所で新型輸送機オスプレイが夜間も飛び交い、騒音で眠れなくなった子どももいる。
 それを政府は全国から機動隊を導入してまで再開を強行した。返還による基地負担軽減の実績を作りたいのだろうが、沖縄の県民感情を逆なでする暴挙である。
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新潟日報 2016/07/23
社説:政府と沖縄 対話による解決を目指せ


 政府は沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設を巡り、翁長(おなが)雄志(たけし)知事を再び提訴した。
 翁長知事は名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した。政府は知事に撤回を求め、是正指示に従わないのは違法と訴えた。
 菅義偉官房長官は「訴訟と協議の手続きを並行して進め、誠実に対応する」と述べた。
 それならば、政府は沖縄県との話し合いだけに集中するべきではないか。政府の手法は民主主義とは程遠く、県民の理解を得ることはできないだろう。
 政府と県との訴訟は今年3月、いったん和解し、工事を止めて協議を続けてきた。
 総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」は6月、「国と沖縄県が真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導く努力をすること」を求めた。県は話し合い解決を政府に要請していた。
 政府が再提訴に踏み切ったのは、普天間飛行場の早期返還には移設工事再開が不可欠と判断したためとみられる。
 係争委に従わず、工事再開を目指すのならば、何のための和解だったのか。
 6月の県議選と、7月の参院選で自民候補への逆風を避けるためだったとしたら、不誠実極まる態度である。
 県議選では翁長知事支持派が過半数を占めた。参院選では、知事が推す新人が自民の現職閣僚を破り、当選した。
 2014年の知事選、衆院選に続いて、辺野古移設反対の民意が示されたのだ。無視することは許されない。
 また、政府は沖縄県にある国内最大規模の米軍専用施設「北部訓練場」の部分返還に向けて、返還の条件となっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事に着手した。
 ヘリパッドでは新型輸送機オスプレイが運用される計画があるとして、沖縄県は反対している。政府は、周辺住民の不安の声に耳を傾けるべきだ。
 今年4月には女性会社員が殺害され、元米海兵隊員の軍属が起訴される事件があった。
 米軍は綱紀粛正策を打ち出したが、その後も米兵らの飲酒運転による事故が続発した。
 沖縄県は犯罪の温床とされる日米地位協定の抜本改定を求めたが、日米両政府は軍属の対象縮小にとどめた。
 負担軽減に真剣に取り組もうとしない態度が、米軍基地への反発を強めていることは間違いない。
 今回の再提訴のタイミングを巡っては、8月末に沖縄振興予算の概算要求を控えているからだとの見方がある。
 16年度予算では約3350億円が計上されたが、政府は早くも17年度で同額を確保することに難色を示している。
 地域振興と基地問題は別だ。予算と引き換えに辺野古移設で譲歩を引き出そうとするなど、もってのほかである。
 政府が沖縄県民の気持ちに正面から向き合わなければ、溝は深まるばかりだ。
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信濃毎日新聞(2016年7月23日)
社説:辺野古再提訴 政府は対話に努めよ


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、政府と沖縄県が再び法廷闘争に突入する。政府が翁長雄志知事を相手に訴えを起こした。
 民意を無視して強引に進めるのでは対立が深まるばかりだ。政府は話し合いによる解決に向け、努力を重ねるべきである。
 辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した知事が、撤回を求める政府の是正指示に従わないのは違法だとして福岡高裁那覇支部に提訴した。判決は秋の見通しだ。
 どちらかが上告した場合、最高裁判決は年末から来年初めにかけて出るとみられる。
 3件の訴訟で争っていた国と県が和解したのは3月だった。双方がいったん訴訟を取り下げ、法的な争いを一本化する内容だ。
 総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」が是正指示について適否を判断し、それを受けて県が訴訟を起こす段取りが想定されていた。しかし、係争委は適否の判断を示さなかった。
 係争委の決定は「普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向け、真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導く努力をすることが解決への最善の道だ」とした。妥当な考え方と受け止める。提訴を和解条項に基づく手続きだとする政府の主張は独善が過ぎる。
 再提訴に加え、沖縄県にある米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事にも着手した。飛来する新型輸送機オスプレイの騒音や危険性を訴える周辺住民らの抗議活動が強まっている。県議会は建設中止を求める意見書を賛成多数で可決した。
 ヘリパッド建設は、日米両政府が1996年に合意した訓練場の部分返還の条件だ。政府は基地負担軽減の取り組みとしてアピールするものの、沖縄の受け止めとは懸け離れている。
 沖縄の民意は県知事選や衆院選などで繰り返し示されてきた。今月の参院選沖縄選挙区では、3選を目指した島尻安伊子沖縄北方担当相が辺野古移設に反対する新人に大敗した。政府は重く受け止めなくてはならない。
 今度の訴訟で国が勝ったとしても、決着するかは分からない。県側が工事手続き許可などを巡って訴訟を起こし、法廷闘争が続く可能性もある。
 3月の和解は新たな訴訟の判決確定まで「円満解決」に向けて協議するとした。政府が唯一の解決策と繰り返すのでは、溝は埋まらない。「辺野古ありき」の姿勢を改め、対話する必要がある。
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[京都新聞 2016年07月23日掲載]
社説:辺野古再提訴  裁判よりも話し合いで


 政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事に対し、撤回を求める政府の是正指示に従わないのは違法だとの確認を求める訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。
 政府は県と3月にいったん和解したが、改めて法廷闘争での決着を急ぐことで両者の溝がさらに深まるのではないか。
 和解条項は第三者機関「国地方係争処理委員会」が是正指示の適否を判断した上で、県が政府を提訴することを想定していた。しかし、係争委は6月、是正指示の有効性を巡る判断を避け、話し合いによる解決を促した。
 県は協議を重視して提訴の見送りを決めたが、政府は再び訴訟に踏み切った。2013年の日米合意は普天間飛行場の返還時期について「22年度またはその後」としている。政府は協議の手続きも並行して進めるとしているが、司法判断を経て早期に本格的な移設工事を再開させたい考えなのだろう。高裁判決は今秋に出る見通しで、いずれかが上告すれば、年末から来年初めにかけて最高裁判決が出るとみられる。
 政府はきのう、沖縄県にある国内最大規模の米軍専用施設「北部訓練場」の部分返還に向け、施設内での建設が条件となっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事に着手した。翁長知事は新型輸送機オスプレイが運用される計画があるとして工事を容認しない姿勢を示している。
 参院選が終わった直後に、辺野古移設を巡る提訴やヘリパッド着工を進める政府の強硬姿勢は疑問視せざるをえない。
 6月の沖縄県議選では辺野古移設反対派が過半数を維持した。10日投開票された参院選で沖縄選挙区は野党統一候補が現職の沖縄北方担当相を大差で破った。反対派が衆参両院の県内選挙区を独占することになり、移設反対の民意は明らかだ。米軍属が起訴された女性暴行殺害事件を機に反基地感情はさらに高まっている。
 政府は「辺野古移設が唯一の選択肢」というかたくなな姿勢を改めるべきだ。安倍晋三首相は「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」と繰り返してきた。それならば裁判で強行突破を図るのではなく、県側との誠実な話し合いを通して解決策を探らなければならない。たとえ裁判で勝っても、県民の理解が得られなければ円滑な移設は困難だということを認識する必要がある。
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神戸新聞2016/07/23
社説:国が沖縄県提訴/あまりに強引ではないか


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、政府が沖縄県を相手取り新たな訴訟を起こした。政府と県が福岡高裁那覇支部の和解を受け入れて4カ月余りで、対立は再び法廷へと持ち込まれた。
 和解を促した裁判所の勧告には、「この問題をどちらが良い悪いという形にしてはいけない。沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意し、米国に協力を求めるべきだ」とある。しかし、この考え方に沿って協議が深まることはなかった。
 政府は提訴が和解条項に基づいたものだと強調している。だがこの間、問題の解決に向けてどこまで真摯(しんし)な話し合いが重ねられてきたのか、はなはだ疑問だ。特に政府は当初から提訴ありきの姿勢が目立った。
 今後、法廷闘争で亀裂が深まるような事態は避けねばならない。
 今回の提訴は、埋め立て承認の取り消し処分を撤回しない県に対し、国土交通相の是正指示に従わないのは違法との確認を求めるものだ。
 是正指示では、県が第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出た。委員会は判断を示さず、改めて話し合いによる解決を促した。県はこれに従って協議を優先したが、政府は司法判断による早期決着を図る道を選んだ。
 同じ日、政府は沖縄県北部の東村高江で米軍のヘリコプター離着陸帯の建設工事に着手した。この問題では、前日に沖縄県議会が建設中止を求める意見書を可決している。
 さらに政府は、辺野古移設の和解受け入れで中断していた陸上部分の工事を再開する意向を県側に示した。一方で概算要求に向けて沖縄振興予算の減額をほのめかす。
 沖縄では6月の県議選で辺野古移設反対派が6割以上を占め、参院選では現職閣僚が落選、与党の沖縄県の選挙区選出議員がゼロになった。その民意に配慮するどころか、気持ちを逆なでするような政府の姿勢である。あまりに強引ではないか。
 安倍晋三首相は沖縄県民に寄り添う姿勢を打ち出し、6月の沖縄全戦没者追悼式の際は「和解条項に従って誠実に対応していく」と述べた。だが県民が一連の対応を「誠実」と受け止めることはできないだろう。
 「延々と法廷闘争が続けば国が勝ち続ける保証はない」。和解勧告の指摘を踏まえ、いま一度、話し合いで解決策を探るべきだ。
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中国新聞 2016/7/23
社説:政府の沖縄県提訴 和解の精神に立ち戻れ


 最善の解決策に向け、信頼関係を立て直すことが求められていたのではなかったのか。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古への移設計画を巡り、きのう、政府が県を相手取って違法確認訴訟を起こした。互いに訴えた裁判で和解が成立してから4カ月余り。国と県の対立が、再び法廷へ持ち込まれたことは残念でならない。
 今回の訴えは、翁長雄志(おなが・たけし)知事が前知事の辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分について、撤回を求めた国の是正指示に従わないのは違法だと確認を求める内容である。裁判で早期決着を図り、一刻も早く埋め立て工事の再開を目指したい国の姿勢の表れといえよう。
 福岡高裁那覇支部の審理において国と県は3月、県の埋め立て承認取り消しを巡る3件の裁判を互いに取り下げることで合意した。和解条項では司法手続きを一本化する一方、確定までは円満な解決に向けて協議を行う道筋が示されていた。
 国の是正指示の有効性について第三者機関の国地方係争処理委員会の審査を経た上で不服があれば、県があらためて国を提訴する手順となっていた。
 自分たちに有利と踏んでいた政府のシナリオが狂ったのは先月の係争処理委員会の結論だろう。判断を回避し、国と県に問題解決に向けた協議を促した。
 県はこれを受けて国を提訴する手続きを見送る方針を表明、あくまで話し合いによる解決を目指す姿勢を打ち出した。国から見れば決着の引き延ばしを図る戦術と映ったのだろう。和解条項にはなかった違法確認訴訟で応じた。しかし協議せよという係争処理委員会の意向にそぐうものとは思えない。
 菅義偉官房長官はきのうの会見で「和解条項に基づいて訴訟と協議を並行して進める」と強調したが、本音では協議よりも法廷での決着を優先する姿勢は隠しきれまい。
 沖縄県が国の強引な対応に反発したのも無理はない。知事も和解条項は有効だと認めながらも「あるべき民主主義国家の姿から程遠い」と批判した。
 安倍政権は沖縄の民意をどう考えるのだろう。6月の県議選では県議会与党が過半数の議席を占め、今月の参院選でも現職の沖縄北方担当相が大差で敗れた。いずれの選挙も新基地の建設反対が示されたといえる。にもかかわらず強硬路線に戻る姿勢は理解できない。
 その点では提訴と同じ日、沖縄の米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事に着手したのにも首をひねらざるを得ない。
 北部訓練場の部分返還の条件として日米政府が1996年に合意したが、当初計画とは違って垂直離着陸輸送機オスプレイが訓練で使うという。このため知事は「容認できない」とし、おととい県議会も建設中止を求める意見書を可決している。
 高裁支部の和解勧告に「沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意し、米国に協力を求めるべきだ」とあることを思い出したい。仮に国が違法確認訴訟に勝ったとしても、沖縄の理解なしで辺野古移設はうまくいくはずもない。来月5日に第1回口頭弁論があり、秋には判決が出る見通しだ。審理が進む前に国は訴えを取り下げ、県と真摯(しんし)に話し合うべきである。
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高知新聞 2016.07.23 08:20
社説:【政府の沖縄提訴】対話なき決着は禍根残す


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、政府が再び沖縄県を提訴した。
 「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返す安倍政権の想定された手段ではあるが、沖縄では先の参院選でも辺野古反対派が勝利している。それでもなお民意を軽んじ、法廷闘争を望む政府の姿勢は到底理解できるものではない。
 政府の対応は基地問題の真の解決には程遠く、民主主義や地方自治をも脅かしかねないものだ。県側と対話を尽くすよう改めて求める。
 訴訟は福岡高裁那覇支部に起こした。辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長知事が是正指示に従わないのは違法だとの確認を政府が求めた。
 政府と沖縄県は3月、辺野古移設を巡る司法対決でいったん和解し、埋め立て工事の中止と解決に向けた協議再開を受け入れた。和解条項では、第三者機関の「国地方係争処理委員会」が是正指示の適否を判断した上で、県が不服として政府を提訴する流れを想定していた。
 ところが係争委は適否を示さず、双方が「真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導く努力をすることが解決への最善の道だ」との見解を示した。想定外の判断ではあるが、論議が不十分であるのは確かであり、国と地方の深刻な対立に対し、係争委が促した内容は正論であろう。
 これを受け、県は協議を重視するとして提訴を見送り、逆に政府側が訴訟に踏み切った。菅官房長官は、「和解条項に基づいて手続きが進んでいる証しだ」とするが、司法で早期決着を図りたいとの意図がありありとしている。
 何より重視されなければならないのは住民の意思だ。これは最近の沖縄県内の地方選挙や国政選挙ではっきり示されている。先の参院選で、沖縄振興を担当する島尻沖縄北方担当相が落選したことは民意を象徴していよう。
 菅官房長官は提訴に関し、「訴訟と協議の手続きを並行して進めるなど、誠実に対応していきたい」と述べている。誠実さの尺度が随分と違うように思えてならない。
 政府の対沖縄の強権ぶりは、これだけではない。
 22日、米軍の北部訓練場(東村、国頭村)の部分返還の条件となっているヘリコプター離着陸帯の工事に着手した。新型輸送機オスプレイが運用される計画があるとして、県側は建設に反対姿勢を示している。
 8月末の概算要求で沖縄振興予算の減額をちらつかせる政府関係者もいる。参院選を終え、沖縄への圧力を強めているようにさえ映る。
 高裁支部判決は秋にも出る見通しだ。いずれかが上告した場合は、年末から来年初めにかけて最高裁判決が出るとみられる。
 対話が不十分なまま司法決着させれば、政府と民意の分断は修復が不可能になる。日米安保の将来にも、国と地方の在り方にも、深刻な禍根を残すことになりかねない。
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=2016/07/23付 西日本新聞朝刊=
社説:国の沖縄県提訴 民意尊重こそ最善の道だ


 沖縄の民意を何度突き付けられようと、政府は考えを変えようとしない。「ぶれない」と評するより「固執」と呼ぶべきだろう。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、政府はきのう、翁長雄志沖縄県知事が埋め立て承認取り消しを撤回しないのは違法だとの確認を求め、福岡高裁那覇支部に提訴した。
 この問題については、同飛行場の名護市辺野古への移設を進める政府と、それに反対する県がお互いを相手取って訴訟を起こしていた。同支部の和解案を受け、3月に双方がいったん訴訟を取り下げたが、今回の国の提訴により両者は再び法廷闘争に入った。
 政府がこの時期に再提訴に踏み切ったのは、司法決着を得て辺野古沿岸部での埋め立て工事の再開を急ぐためだ。これほど前のめりになる背景には、来年1月の米新政権発足までに「辺野古移設に一定の道筋を付けた」とアピールしたい思惑があるとみられる。
 しかし、こうした政府の強引な手法は、和解案や第三者機関決定の趣旨にそぐわない。
 この問題の手続きを審査した第三者機関「国地方係争処理委員会」は6月に出した決定文の中で、双方にこう呼び掛けている。
 「国と沖縄県が普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて真摯(しんし)に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をすることが、問題の解決に向けての最善の道である」。話し合いで解決せよ、ということだ。
 今回の参院選沖縄選挙区では安倍晋三政権が推す現職閣僚が敗れ、辺野古移設反対派の新人が当選したばかりだ。このところ沖縄の衆院選小選挙区、知事選、県議選などで反対派が勝ち続けている。沖縄県民の意思は明白である。
 政府がやるべきなのは、工事再開を遮二無二急ぐことではなく、沖縄の民意をきちんと受け止め、辺野古移設の是非を根っこから再検討することではないのか。
 政府が自ら沖縄との信頼関係を壊しているようでは、「最善の道」は見つかるはずもない。
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熊本日日新聞2016年07月23日
社説:辺野古訴訟再び 移設ありきでは進まない


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡る国と沖縄県の対立は、再び法廷の場に持ち込まれることになった。政府は22日、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した翁長雄志[おながたけし]知事に対し、撤回を求める政府の是正指示に従わないのは違法だとの確認を求める訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。
 安倍政権の司法判断による早期決着を求める姿勢が鮮明になった格好だ。一方の知事側も「民意」を背景に徹底抗戦する構えで、国と県の溝がさらに深まる恐れがある。話し合いに水を差す形になりはしないか。
 翁長知事が昨年10月、前知事の埋め立て承認を取り消したのを契機に、政府と県は3件の訴訟で争ってきたが、今年3月にいったん和解が成立。その内容は両者が問題解決への手続きを丁寧に進める一方で、法的な争いは新たな訴訟に一本化するというものだった。
 和解条項では、総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会が是正指示の違法性の適否を判断し、その結果を踏まえて県側が訴えを起こすことが想定されていた。しかし、係争委が適否を判断せず、両者に協議を促したことからシナリオが変化。話し合いを重視したいとして県が提訴を見送り、逆に国が訴える展開となった。
 県の判断の裏には、政府との協議に時間をかけた方が工事再開を遅らせることができるとの思いもあろう。一方、政府には法廷闘争で勝って司法のお墨付きを得た上で、早期に工事再開にこぎつけたいとの意向がうかがえる。
 菅義偉官房長官は「訴訟と協議の手続きを並行して進める」と述べ、今後も県との話し合いを継続する構えだ。和解条項で、訴訟確定まで円満解決に向けた協議を行うとしていることを踏まえてのことだろうが、政府の強硬な姿勢が反発を招き、議論できる環境が保たれるか心配だ。
 沖縄では22日、米軍北部訓練場(東村、国頭村)の部分返還を実現するため、米側との間で条件になっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事が始まった。基地負担軽減に取り組む姿勢をアピールする思惑があるとみられているが、早速、県民から反発の声が上がっている。
 今月10日に投開票された参院選の沖縄選挙区では、辺野古移設反対を掲げ、翁長知事らが支援した無所属の新人候補が自民党公認の現職閣僚を破った。得票差で10万票余。得票率は58%対41%の大差だった。2014年の知事選、衆院選などでも移設反対を唱える候補が勝っていることを考えると、「負担軽減につながらない」と移設に反対する声に耳を傾ける必然性があるのは明らかだ。
 政府は「辺野古移設が唯一の選択肢」と繰り返すばかりだ。しかし、そうした一辺倒の姿勢では、この問題はもはや解決できないところにきている。政府は、自治体との法廷闘争が異常な事態であることを認識し、沖縄県民の「民意」に正面から向き合うべきだ。
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