2016-07-27(Wed)

民泊の新制度 地域住民の理解を大前提に

トラブルも絶えない 地域に受け入れられるか 地域の自主性を生かせ
 
----マンションの一室や空き家を宿泊施設として提供する「民泊」について、厚生労働省などの有識者会議が先月、新たなルール作りを求める最終報告書をまとめた。

民泊を「住宅を活用した宿泊サービス」とし、既存の旅館業法とは別の新法で規制するよう提言している。
 
民泊を巡っては、ホテル・旅館を対象にした旅館業法の「簡易宿所」に位置づけ、許可制とする政令が4月に施行された。
だが、許可を得て営業している民泊はごく一部に限られ、京都市などでは騒音や不適切なゴミ処理を巡り住民とのトラブルも絶えない。
 
報告書によれば、行政の許認可がなくても、家主や管理者が地元自治体に届け出や登録をすれば営業できるよう緩和する。

厚労省は与党との調整を経て法案を作成、本年度中の国会提出を目指しているが、手続きが簡易化されるため、民泊が急拡大していく可能性がある。新たな混乱につながることはないか。法案作成に向けては慎重に検討を進めてもらいたい。
(京都新聞)

<各紙社説>
信濃毎日新聞)民泊の新制度 地域に受け入れられるか(7/25)
京都新聞)民泊新ルール  地域の自主性を生かせ(7/17)
朝日新聞)民泊解禁へ 新たな価値を育むには(6/29)
読売新聞)民泊新制度案 地域住民の理解が大前提だ(6/26)




以下引用



信濃毎日新聞 (2016年7月25日)
社説:民泊の新制度 地域に受け入れられるか


 戸建て住宅やマンションなどの空き部屋を有料で旅行者に提供する「民泊」のルールを厚生労働省などの有識者会議がまとめた。
 現在の民泊旅館業法の「簡易宿所」とみなされ、営業には自治体の許可が必要だ。会議の報告書では新法をつくって規制を緩和し、ニーズに応えるとした。新法は本年度中に国会に提出される見通しだ。
 訪日外国人の急増で大都市圏を中心にホテルが不足している。県内は比較的余裕があるが、週末に部屋が取りにくい場合がある。
 ただ、報告書のままでは地域住民とのトラブルやホテル・旅館の営業の圧迫などの不安は解消されない。法整備にはさらに慎重な検討が必要だ。
 民泊をめぐっては違法な営業が相次いでいる現状がある。
 今月も東京のマンションで無許可営業したとして運営会社と親会社、両社の役員ら6人が旅館業法違反の疑いで書類送検された。米国発の大手仲介サイトで客を募り、1泊4千円で約1300人の外国人に部屋を提供した。
 京都府警が昨年12月に同様の容疑で摘発した事例では、宿泊した外国人が夜に大声で騒いでいた。このほか「ごみ出しの方法を守らない」などの苦情も出ている。
 民泊を推進すると同時に営業のルールを作って悪質業者を排除する新制度の趣旨は理解できる。問題はその実効性だ。
 部屋の提供は許可制から届け出制に緩和。旅館・ホテルは原則禁止されている住居専用地域での営業も認める。提供者には利用者名簿の作成や衛生管理、苦情への対応を義務化する。家主同居の「ホームステイ型」でない場合は、提供者が委託する施設管理者を登録し、同じ義務を請け負わせる。
 だが、マンションなどの管理者は非常駐になる場合が多い。十分な対応ができるのか疑問が残る。近隣住民が苦情を誰に言えばいいのか分からない心配もある。
 営業日数も課題だ。報告書は「180日以下」とした。影響を懸念するホテル関係者には「30日以下」を求める意見もある。
 家主同居型なら海外からの旅行者が日本の日常生活に触れ、理解と交流が進む意義もある。そうでない場合の文化的意味は薄い。利用の拡大で賃貸物件が不足し、家賃が高騰する恐れもある。
 両タイプの性質の違いは大きい。それぞれに応じたきめ細かなルールが必要だ。既存業界とすみ分け、地域にも受け入れられる制度にしなければならない。
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[京都新聞 2016年07月17日掲載]
社説:民泊新ルール  地域の自主性を生かせ


 マンションの一室や空き家を宿泊施設として提供する「民泊」について、厚生労働省などの有識者会議が先月、新たなルール作りを求める最終報告書をまとめた。民泊を「住宅を活用した宿泊サービス」とし、既存の旅館業法とは別の新法で規制するよう提言している。
 民泊を巡っては、ホテル・旅館を対象にした旅館業法の「簡易宿所」に位置づけ、許可制とする政令が4月に施行された。だが、許可を得て営業している民泊はごく一部に限られ、京都市などでは騒音や不適切なゴミ処理を巡り住民とのトラブルも絶えない。
 報告書によれば、行政の許認可がなくても、家主や管理者が地元自治体に届け出や登録をすれば営業できるよう緩和する。厚労省は与党との調整を経て法案を作成、本年度中の国会提出を目指しているが、手続きが簡易化されるため、民泊が急拡大していく可能性がある。新たな混乱につながることはないか。法案作成に向けては慎重に検討を進めてもらいたい。
 報告書では、民泊を家主居住型と家主不在型に分け、住宅提供者、施設管理者、インターネットなどの仲介事業者のそれぞれに適切な規制をすることで、行政が民泊を把握する仕組みを構築するとした。
 住宅提供者や施設管理者には、利用者名簿の作成、最低限の衛生管理、苦情への対応などを義務化。ネットなどの仲介業者も登録制とし、料金など取引条件の説明義務を負わせる。だがヤミ民泊が横行する中で、こうしたルールがトラブル防止にどこまで有効に機能するかは不透明だ。
 年間営業日数も「180日以下」としただけで結論を明確に示さなかった。ホテル関係者らは営業が脅かされるとして「30日以下」を主張しており、溝をどう埋めるか、課題は積み残されたままだ。
 加えて、規制に関し、自治体の裁量をどこまで認めるかという課題もある。民泊と近隣とのトラブルが多発している京都市は新法に関し、地域の実情に応じた運用を幅広く認めるよう観光庁などに要望している。民泊と直接向き合う自治体としては当然の要望だろう。
 報告書は、自治体が条例で独自に規制できる部分も認めているが、罰則規定や調査立ち入りの権限も含め、地域の自主的な取り組みが最大限生かされるよう国に配慮を求めたい。
 政府は東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に外国人旅行者数を15年の約2倍の4千万人、30年には6千万人に増やす観光戦略を決めた。訪問客を大都市以外に分散させ、人口減が進む地方の活性化にもつなげる方針だ。
 外国人を地方に呼び込み、民泊を通して、郷土食や文化、自然に触れてもらえれば、日本の日常を知る草の根交流にもなる。だが、拡大一辺倒で良好な滞在環境を用意できなければ、よき「もてなし」とはなるまい。
 ホテル不足を理由にした粗製乱造にならぬよう、地域と調和した安心安全な民泊を育てたい。
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朝日新聞 2016年6月29日(水)付
社説:民泊解禁へ 新たな価値を育むには


 自宅やマンションなどの空き部屋を宿泊用に提供する「民泊」について、政府の専門家会議が報告書をまとめた。
 旅館業法に基づく許可が必要なホテルや旅館とは区別し、新たな法律を作って解禁する。部屋を提供する家主や、家主から管理を委託された不動産業者、貸し手と借り手をインターネットで仲介する専門業者に、届け出や登録制度を通じて一定の義務を課す。そんな内容である。
 民泊は、近年注目されるシェアエコノミー(共有型経済)の代表例だ。個人が所有する住宅を開放し、旅行者との出会いや交流を楽しむことに価値を感じる。そんな変化を受けた新しい概念である。
 ただ、法制度が整わないまま現実が先行している。民泊を巡っても、宿泊者が残したゴミの処理や騒音を巡る近隣住民とのトラブルが急増し、見知らぬ人が頻繁に出入りすることへの不安も高まっている。
 紛争を防ぎつつ、新しい価値をどう育んでいくか。積み残した課題は多く、法案作成に向けて検討を尽くさねばならない。
 家主や不動産業者には、宿泊者名簿の作成▽民泊施設としての表示▽マンションの契約や規約に反していないことの確認などを義務づける。ネットによる仲介業者には利用料金など取引条件の説明義務を課す。これが制度の骨格だ。
 ただ、いまも現行法を無視した「ヤミ民泊」が横行していることを考えると、どこまで実効性を保てるのか、不安が残る。京都市は、自治体が規制を柔軟に決められる仕組みを求めている。民泊と直接向き合うのは自治体だ。一考に値しよう。
 物件ごとの提供日数も課題だ。報告書は「年間180日以下」としただけで結論を持ち越した。旅館・ホテル業界は「宿泊施設には特別の設備が要求されるのに、民泊はいらない。不公平だ」と主張している。
 政府が民泊解禁に踏み切るのは、訪日外国人の急増で大都市圏を中心にホテルが不足している事情が大きい。2020年の東京五輪もにらみ、既存の資産を活用するのは有効な方法だろう。ただ、海外では民泊の拡大で賃貸物件が不足し、家賃が高騰する弊害も指摘されている。
 「共有」を通じて交流が増えること自体は好ましい。海外からの旅行者に日本の日常に触れてもらう機会となり、草の根での文化理解につながるだろう。
 遊休資産を使った金もうけにとどめず、新たな価値につなげる。そんな意識で民泊の健全な発展を目指したい。
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読売新聞 2016年06月26日 06時02分
社説:民泊新制度案 地域住民の理解が大前提だ


 「民泊」のルール作りに際しては、近隣住民との摩擦が生じぬよう十分な配慮が求められる。
 厚生労働省観光庁の有識者検討会が、民泊に関する新たな制度の整備を求める報告書をまとめた。
 自宅やマンションの空き室を旅行者に有償で提供する民泊の健全な普及を図り、訪日客の急増に伴うホテル不足を解消する。そうした新制度の趣旨は理解できる。
 民泊で使う住宅は現在、旅館業法上の「簡易宿所」とみなされている。これに対し、報告書は、営業日数などで一定の要件を満たした民泊施設については、旅館業法の対象外として、新法で規制することを提案している。
 自治体の許可が必要な現行制度を改め、家主がインターネットを通じて届け出るだけで、営業できるようにする。建築基準法が原則禁じている住居専用地域での営業も、可能にすることにした。
 今年に入り、東京都大田区と大阪府で国家戦略特区を活用した民泊条例が施行されたが、立地や営業条件などの規制が厳しく、認定された件数はわずかだ。
 新制度案は特区のケースと比べ緩やかな規制内容と言える。
 ただし、報告書は家主に対し、宿泊者名簿の作成や衛生管理、近隣住民からの苦情への対応などを求めている。事業の管理者として、当然の責務である。
 民泊を巡っては、騒音やずさんなゴミ出しなど、周辺住民とのトラブルが報告されている。テロリストの潜伏先として悪用されないかといった懸念もある。
 新制度が実現しても、こうした問題がすべて解消されるわけではないだろう。
 特に、マンションの空き室などを利用した家主不在型の民泊に不安が残る。委託を受けた管理者が、家主に代わってトラブルなどに対処するが、管理者は非常駐であることが想定されている。これで十分な対処が可能だろうか。
 年間営業日数の設定も大きな課題だ。民泊をビジネスチャンスととらえる不動産業界は上限設定に反対している。ホテル・旅館業界は、営業が圧迫されるとして、厳しい日数制限を主張する。
 報告書は、「半年未満」の範囲内で適切な日数を設定するとの記述にとどまっている。家主不在型と家主居住型で、それぞれ営業日数を設定するのも一案だろう。
 政府は今年度中に法案を国会に提出する方針だ。問題点を踏まえ、民泊が地域に受け入れられる新制度にする必要がある。
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日本経済新聞 2016/6/25 23:44
民泊新法の提出前倒し検討 政府、秋の臨時国会に
 政府は住宅の空き部屋などに旅行者を有料で泊める民泊をほぼ全面解禁する新法の前倒し提出を検討する。来年の通常国会に提出する方針だったが、官邸側が関係省庁に今秋の臨時国会への前倒しを指示した。秋に成立すれば年内にも規制が緩和される。政府は2020年までに訪日観光客数を年4000万人に増やす目標を掲げており受け入れ態勢の整備を急ぐ。
 民泊の新法を巡っては、観光庁厚生労働省の検討会が今月、運用上のルール案をまとめた。民泊を旅館やホテルとは別のサービスと位置づけ、簡単な届け出や登録で住宅を提供できるようにする内容だ。
 ただルール案では民泊の年間の営業日数を「180日以下の範囲内で設定」とするなど、旅館業界などとの利害対立が強い部分を先送りしている。調整が難航すれば、法案の策定作業が秋に間に合わない可能性もある。

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