2016-08-01(Mon)

日銀追加緩和 いよいよ手詰まりだ

通貨の番人はどこへ 日銀は政権のしもべか 出口戦略見据え検証を


<各紙社説・主張>
朝日新聞)追加金融緩和 日銀は政権のしもべか(7/30)
読売新聞)日銀追加緩和 政府との協調は効果を生むか(7/30)
毎日新聞)日銀の追加緩和 いよいよ手詰まりだ(7/30)
日本経済新聞)追加緩和を政府も改革で支えよ (7/30)
産経新聞)日銀の追加緩和 逐次投入で効果あるのか(7/30)
東京新聞)日銀追加緩和 通貨の番人はどこへ(7/30)
北海道新聞)日銀追加緩和 出口戦略見据え検証を(7/30)
河北新報)追加金融緩和/禍根残さぬ「総括的検証」を(7/30)
中国新聞)日銀の追加緩和 金融政策の検証今こそ(7/30)




以下引用



朝日新聞 2016年7月30日05時00分
(社説)追加金融緩和 日銀は政権のしもべか


 日本銀行が金融緩和の追加策を決めた。日銀が買い入れる上場投資信託(ETF)の額を年間6兆円に倍増する。
 安倍政権は近く事業規模28兆円の大型経済対策を発表する予定で、日銀に金融緩和で協力するよう求めていた。マイナス金利の拡大や国債買い入れの増額に弊害や限界が指摘されるなかで、政府に歩調を合わせるための苦肉の策と言えよう。
 金融政策の本来の目的は、日本経済を安定させ持続的な発展を確かなものにすることだ。今回の緩和策がそれにかなっているかと言えば、疑わしい。
 日銀は四半期に一度の「展望リポート」で日本の景気の現状を「緩やかな回復を続けている」とし、今後についても「緩やかに拡大していく」と見通した。有効求人倍率が全都道府県で初めて1倍を超えるなど多くの景気指標が改善を示し、景気はそれなりに安定している。
 欧州経済や新興国経済に不透明感があるとはいえ、いま大型の経済対策を打ち出そうという政府の発想そのものがおかしい。日銀はそれに物申すべきだが、追加緩和でむしろ側面支援してしまった。政権の意を受けて追従したと見られても仕方あるまい。
 金融政策を決める審議委員9人のうちETF購入増には2人が反対した。「市場の価格形成に悪影響を及ぼす」などもっともな理由からだが、こうした意見は出にくくなっている。委員の任期が来るたびに、政権がアベノミクス賛成論者に替えてきたからだ。反対の2人は第2次安倍政権の発足前から務める民間エコノミスト出身者である。
 政権の考えに近い委員ばかりになれば、黒田東彦総裁が旗を振る異次元緩和に対するチェック機能は失われてしまう。今後ますます政権にとって都合のよい金融政策に傾きかねない点も気がかりだ。
 ただ、金融機関の経営をますます圧迫しかねないマイナス金利政策の強化や、政府への財政ファイナンスと受け取られかねない国債買い入れの増額に手をつけなかった点は評価したい。市場では「実施しないと円高、株安になる」となかば脅しのように語られていたが、そのこと自体が金融政策と市場とのゆがんだ関係を表している。
 企業や家計にとって、行きすぎた金融緩和は今や有害だ。マイナス金利政策では、金融機関だけでなく運用計画が狂った年金基金も悲鳴をあげている。日銀は正常な金融政策に立ち戻るため、早く異次元緩和からの出口政策を検討し始めるべきだ。
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読売新聞 2016年07月30日 06時08分
社説:日銀追加緩和 政府との協調は効果を生むか


 政府の経済対策と歩調を合わせ、デフレ脱却を目指す姿勢をアピールする狙いなのだろう。
 日本銀行が金融政策決定会合で、追加の金融緩和に踏み切った。上場投資信託(ETF)の買い入れ規模を、現在の年3・3兆円から6兆円に増やすことが柱である。
 金融緩和は、マイナス金利の導入を決めた今年1月以来だ。
 企業の海外展開を支援するため、金融機関に対する米ドル資金の供給枠も倍増させた。
 黒田総裁は記者会見で、「海外経済の不透明感が高まっており、企業や家計の経済活動をサポートする」と強調した。
 英国の欧州連合(EU)離脱決定などで、世界経済の不安要因が増しているのは事実だ。脱デフレを果たすまで、緩和的な金融政策を粘り強く続ける必要がある。
 だが、金融市場の混乱はひとまず沈静化している。日銀は、「国内の物価上昇基調は崩れていない」と説明し、物価上昇率2%の目標の達成時期も従来の「2017年度中」を変更しなかった。
 このタイミングで、本格的な追加緩和に動く必要性を見いだし難かったのではないか。実際、日銀は、年間80兆円規模の市場からの国債購入額と、現行のマイナス金利政策は維持した。
 それでも日銀がETFの購入額を増やしたのは、「政府の経済対策と相乗効果を発揮する」との考えに加え、決定会合前から、市場では追加緩和への期待が過剰に高まっていたためだ。閣僚からも緩和を求める声が相次いでいた。
 こうした状況を踏まえ、日銀として「ゼロ回答」は避けた方が良いと判断したのだろう。
 ただ、決定を受けて、市場では、緩和策が株価を下支えするとの思惑が広がる一方で、金融政策が手詰まりになってきたとの見方から円相場や株価が乱高下した。
 日銀は次回の決定会合までに、金融政策の手法と効果について検証するとしている。
 黒田総裁は従来、「異次元緩和」で市場にサプライズを与える手法で物価上昇を促してきた。
 今後は、過去の金融緩和の検証結果を踏まえ、経済や物価の先行きや、政策の方向性について、より丁寧に市場と対話を重ねていくことが求められよう。
 無論、脱デフレは、日銀の金融政策だけでは実現できない。
 金融緩和と財政政策で景気を下支えしている間に、政府は、経済対策の成長戦略を一段と強化することが肝要である。
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毎日新聞2016年7月30日 東京朝刊
社説:日銀の追加緩和 いよいよ手詰まりだ


 日銀は追加の金融緩和を決めた。英国の欧州連合(EU)離脱問題など海外経済の不透明感の高まりに対応するという。
 黒田東彦総裁は年80兆円ペースで保有残高が増えるよう国債を購入するなど「バズーカ砲」と呼ばれる異次元緩和を進めてきた。今回は株価指数に連動した上場投資信託(ETF)の購入を年3・3兆円から6兆円に増やす。従来より小ぶりだ。
 大規模な緩和を3年以上続けてもデフレ脱却の道筋は見えない。さらに小出しの緩和を加えても効果は乏しいのではないか。異次元緩和の限界をうかがわせるような決定だ。
 日銀はETFの購入拡大を株式市場への資金流入の呼び水とし、景気下支えにつなげたい考えだ。ただ、日銀が買い支える形で株価を押し上げても、景気の実態を反映しない。そうした相場は長続きしない。
 そもそも追加緩和が必要なのか。英国のEU離脱問題で世界的な株安になった市場は落ち着きを取り戻した。米連邦準備制度理事会(FRB)は年内の追加利上げを探っている。日銀の判断は説得力を欠く。
 追加緩和は政府が近くまとめる経済対策と歩調を合わせたものだ。
 安倍晋三首相は「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調している。麻生太郎財務相らは追加緩和への期待を強くにじませてきた。
 黒田総裁も記者会見で「政府の取り組みと相乗的効果を発揮する」と述べた。今回は緩和規模が限られたが、政府の圧力でさらなる緩和を余儀なくされると見られかねない。
 異次元緩和は黒田総裁が就任直後の2013年4月から始めた。「2年程度で物価上昇率2%達成」という目標を掲げ、円安・株高が進んだが、期待したほど物価は上がらず、目標達成時期を先送りした。
 14年に追加緩和、今年2月にはマイナス金利政策に踏み切った。それでも、きのう発表された6月の消費者物価指数は0・5%下落した。異次元緩和前の13年3月以来のマイナス幅で振り出しに戻った形だ。
 銀行の企業向け融資や住宅ローンの金利は既に十分低い。日銀の国債大量購入による金利低下の効果は限られ、企業の設備投資や消費の活性化にはつながっていない。
 むしろ異次元緩和のゆがみが目立つ。マイナス金利で銀行の収益は悪化しつつある。銀行が融資に消極的になると、日銀がいくら資金供給を増やしても世の中に出回らない。
 日銀は次回9月の金融政策決定会合で異次元緩和の総括的検証を行うとも発表した。黒田総裁は「2%目標を早期に実現する観点からの検証」と説明するが、異次元緩和の軌道修正こそ急ぐべきだ。
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日本経済新聞 2016/7/30 3:30
社説:追加緩和を政府も改革で支えよ


 日本銀行が追加の金融緩和を決めた。上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年6兆円に倍増させ金融機関へのドル資金の供給枠を広げて外貨調達を助ける。安倍晋三首相は近く決める経済対策の規模が28兆円を超すと表明した。
 6月の消費者物価指数は前年同月比0.5%下落と大幅なマイナスで、国内景気も低調だ。政府と日銀が経済のテコ入れで連携するのは大切だが、中身をよく吟味すべきだ。金融政策も財政政策も余地は限られる。潜在力を高める構造改革を並行して強力に進めてこそ対策の効果が生きてくる。
金融機関に一定の配慮
 日銀が緩和を決めたのは1月のマイナス金利導入以来だ。長期国債の買い入れ増額やマイナス金利幅の拡大は見送った。限定的な内容に市場は円高・株安で反応したが、株価はやや持ち直した。
 英国の欧州連合(EU)離脱決定などで世界経済や市場の不確実性が高まっているのが緩和の背景だ。企業と家計の心理悪化に備えた予防措置といえる。東証株価と連動するETFの買い入れ増は市場安定に一定の効果があろう。
 信用仲介を担う金融機関への配慮もみえる。邦銀はドルなど外貨の調達に苦労している。米銀がドルを出し渋り、高い上乗せ金利を払わないと運用資金や進出企業の運転資金が取れない。このため、日銀は成長支援の枠組みで外貨供給枠を240億ドルに倍増する。
 マイナス金利の拡大を強行すれば、金融機関の収益悪化の懸念で株価下落を招きかねない。緩和策は現実的な判断といえる。
 黒田東彦総裁は9月に開く次の金融政策決定会合に向け、ここ3年半の異次元緩和や半年間のマイナス金利の効果を検証するよう事務方に指示した。2%の物価上昇をできるだけ早く実現させるため、必要に応じ追加緩和の実施に踏み切る考えも示した。
 政府は来週、経済対策を閣議決定する。日銀には政府と一体で海外経済の悪化に備えるとともに、国内経済の低迷を克服する姿勢が求められている。今後、追加緩和の観測が高まる可能性がある。
 大規模な金融緩和は限界がみえてきた。マイナス金利を一段と拡大すれば、預金金利や年金運用の利回り低下で人々の生活を圧迫する。新発国債をほぼ全額買い入れている量的緩和政策も増額の余地は乏しい。政策の効果と副作用を踏まえ、緩和策をどこまで進められるのか、丹念に検証すべきだ。
 安倍首相は27日の講演で、経済対策の事業規模が「28兆円を上回る」と明言し、このうち国と地方の財政支出と財政投融資が13兆円になると述べた。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で合意した経済安定のための「政策総動員」を示す狙いだ。
 規模は大きく見せているものの今年度の財政支出は数兆円程度だろう。財政事情からみれば、裏付けのない借金を過剰に積み重ねられない現実もある。金融政策にせよ財政政策にせよ、いたずらに量を追うよりも、政策の質に配慮した運営が欠かせない。
 いま問われるのは、0%すれすれに低迷する日本の潜在成長力を着実に引き上げる具体策である。中長期で経済を強くする構造改革と、それを後押しする財政措置の組み合わせが望ましい。
 経済対策は一億総活躍社会の実現や震災対策に加え、英国のEU離脱の決定を理由にした中小企業対策など、玉石混交の感がある。
未来への投資に重点を
 人口減と少子高齢化がすすむ日本では、女性や高齢者、若者がもっと働きやすくなる環境を整えねばならない。働き方改革や一億総活躍の関連政策を柱として打ち出すのは理解できる。
 長時間労働の是正とともに、仕事と子育て・介護が両立しやすくなれば、人手不足を和らげて経済を下支えしやすくなる。雇用情勢の改善を背景に、労使が折半で負担する雇用保険料も引き下げる。
 政府・与党は低所得者に一律1万5千円の現金を払う方針だ。低所得者対策を否定するわけではないが、安易なバラマキに終わる恐れがある。
 経済対策は首相が参院選後に表明した「未来への投資」を真の意味で実現する内容にすべきだ。リニア中央新幹線の開業前倒しなどのインフラ整備も盛り込んだが、「21世紀型」と称して費用対効果に乏しい従来型の公共事業が紛れ込む余地はある。投資の効果をよく見極める必要がある。
 短期的な対策の積み上げでは若者の将来不安は消えない。雇用改革や社会保障改革を通じ、経済の足腰を強める視点が欠かせない。
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産経新聞 2016.7.30 05:03
【主張】日銀の追加緩和 逐次投入で効果あるのか


 これは、日銀が自ら否定してきた「逐次投入」ではないのか。だとすれば、デフレからの脱却に強い期待を抱くわけにはいかない。日銀の追加金融緩和をみた印象だ。
 黒田東彦総裁は、上場投資信託(ETF)の購入額を年6兆円に増やすことなどを通じて、「前向きな経済活動をサポートする」と説明した。
 消費や物価が伸び悩み、2%の物価上昇目標も揺らいでいる。日銀が、経済対策を講じる政府との協調を強める必要はあろう。
 政策の相乗効果と、脱デフレへの決意を示そうとした狙いは分かるが、追加緩和ありきで判断を急いだ面はなかったか。
 決定内容は従来政策の一部強化にすぎないとして、市場では評価と同時に不十分だとする失望も広がり、株式相場は乱高下した。
 株価指数に連動するETF購入は相場の下支えが期待される。半面、決定会合では市場における価格形成をゆがめかねないなどとする反対論もあった。
 首をかしげるのは、今になって黒田総裁が、9月の次回会合に向けて経済や物価の動向、従来の金融政策の効果を総括的に検証する準備をするよう日銀執行部に指示したことである。
 ならば、その結果を踏まえて本格的に政策強化すべきか否かを判断する選択肢もあったはずだ。これでは、後先が逆である。そうしなかったのは、真に必要な政策を吟味したというより、政府や市場の緩和圧力に応じざるを得なかったためだとみるほかない。
 2月以降のマイナス金利政策は金融機関の収益を圧迫する副作用などへの批判がなお強く、その効果の見極めには時間を要する。
 それゆえ「バズーカ」と評されるような本格的な政策を9月の次回会合以降に温存したい思惑もあったのだろう。日銀は丁寧に説明を尽くすべきである。
 先の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、金融と財政、構造改革の政策を総動員して世界経済の減速に対処する方針が確認された。
 だが、同時に金融政策のみでは均衡ある成長につながらないという認識も共有している。英国の欧州連合(EU)からの離脱問題というリスクに対し、英国や欧州でも直近の金融政策は据え置いている。安易に日銀頼みを続けるわけにはいかない。
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東京新聞 2016年7月30日
【社説】日銀追加緩和 通貨の番人はどこへ


 日銀は上場投資信託(ETF)の購入額拡大という小粒な追加緩和を決めた。政府の期待には応えたが、金融政策の手詰まり感を露呈し、中央銀行としての信認も一段と失うことにはならないか。
 政府がまとめた経済対策に合わせるよう、あからさまな緩和圧力が強まり、市場からは緩和しなければ失望売りを浴びせる「催促相場」の圧力。かといって緩和手段は限界論も出るほど乏しい-。
 追い込まれた日銀が「ギリギリ最低限の緩和」を決めたのは、こんな事情だろう。しかし、今回の決定は重い問題をはらんでいる。
 政府は参院選を受け「アベノミクスのエンジンを最大限ふかす」と宣言し、二十八兆円規模の経済対策を近く発表する。だが経済界には追加の金融緩和も含め、一時的な景気浮揚のための対策が今、必要なのか疑問視する声が強い。
 英国の欧州連合(EU)離脱の影響が大きな理由とされるが、震源の英国のイングランド銀行や欧州中央銀行(ECB)は金融政策を現状維持とし、米国も同様だ。動いたのは日銀だけなのである。
 国債を年間八十兆円と大量に買い入れる緩和策は事実上、政府へ直接資金を供与する財政ファイナンスとの批判が根強い。この「政府への従属化」は、黒田東彦総裁以下、政策決定会合の出席者が政府の意向に沿った人事で固められていることからも顕著であり、中央銀行の使命である「通貨の番人」として最も重要な政府からの独立性は無きに等しい。
 今回決めた株価指数に連動する上場投資信託の買い入れ額を年間六兆円に倍増する緩和策については、日銀がリスク資産を一段と買い進めることの是非に加え、市場の価格形成を左右する恐れもある。中央銀行の健全性を損ないかねない手段を取らざるを得なかったのは、裏を返せば金融緩和策の限界論を証明するのである。
 この日発表された六月の消費者物価指数は、前年同月比で0・5%下落と、「黒田緩和」が始まる前の二〇一三年三月以来のマイナス幅になった。つまり、この三年間強、異次元緩和を続けても物価目標が達成できないどころか達成時期も見通せないままだ。やるべきは「ふかす」ことではなく、異次元緩和がなぜ効かなかったのかを分析し、見直すことだ。
 黒田総裁も九月の次回会合で物価動向や政策効果の総括的な検証を行うとしたが、大事なのはアベノミクスと決別することである。
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北海道新聞 2016/07/30 08:55
社説:日銀追加緩和 出口戦略見据え検証を


 日銀はきのうの金融政策決定会合で、追加の金融緩和を決めた。就任3年余りの黒田東彦(はるひこ)総裁が繰り出す3度目の追加緩和策だ。
 日経平均株価などに連動する上場投資信託(ETF)の購入額を、年6兆円にほぼ倍増させることが柱だ。
 市場関係者からは、より大規模な緩和策を求める声が出ていた。きのうの株価の終値は前日比92円高にとどまり、市場の評価は分かれた。
 「異次元」とされる金融緩和の効果は失われ、もはや日銀に打つ手がなくなっていると見なさざるを得ない。
 ETFの購入額を倍増するのは、市場に出回るお金を増やすのが狙いだ。お金の量が増えると、お金の価値が下がり、物価は上昇するとされる。
 きのう発表された6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・5%下落し、4カ月連続のマイナスだった。
 日銀は「2017年度中の2%の物価上昇」を目標に掲げているが、実現はおぼつかない。市場では、今回の緩和策の効果も限定的だと冷めた声が聞かれる。
 政府からは財政出動との連動を求められてきたが、日銀の打ち出せる政策は限られている。
 今年2月に導入したマイナス金利をさらに引き下げることには、業績の悪化が懸念される金融機関からの反発が強い。
 年80兆円ペースの国債購入量の拡大も選択肢とされたが、既に日銀の保有残高は全体の3割を超えた。これ以上、買い入れれば、市場に出回る国債が減り、民間の取引に影響が出るとの懸念がある。
 追加緩和といっても、ETFの購入増が精いっぱいだったのではないか。
 アベノミクスは円安、株高に支えられており、市場の動きを無視できない。
 副作用も多い。円安、株高は輸出型の大企業を潤しても、中小企業や一般の家庭では、輸入物価の上昇となってはね返る。
 市場には、政府が発行する国債を日銀が直接引き受け、世の中のお金を一気に増やす「ヘリコプターマネー」という手法を期待する声が根強くある。
 急激なインフレを招く恐れもあり「禁じ手」だ。
 黒田総裁は9月の次回会合で、これまでの政策を総括的に検証するという。追加緩和ばかりでなく、副作用も見つめ、真剣に「出口戦略」も検討すべきだ。
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河北新報 2016年07月30日土曜日
社説:追加金融緩和/禍根残さぬ「総括的検証」を


 政府の経済対策と歩調を合わせ打ち出すことによって、デフレ脱却に向けた相乗効果を狙ったのではあろう。
 きのう、日銀が決めた追加の金融緩和策である。上場投資信託(ETF)の購入額を現行の年3.3兆円から6兆円に増やす。その増額分の資金がさらに市場に出回る。
 世界経済の先行き不透明感から、金融市場では円高株安傾向が続く。アベノミクスにとっては強い逆風であり、政府から追加緩和を求める圧力が強まっていた。
 円高株安に歯止めを掛けるためで、株価と連動するETFの購入増額はその期待に応えた形といえる。だが金融市場では失望感が広がったという。景気下支えに向けた政府・日銀の最低限の協調姿勢は確認できたものの、緩和の内容が小規模だったためだ。
 市場に及ぼす影響は限定的で、景気押し上げ効果についても懐疑的な見方が強い。
 日銀は2月に導入したマイナス金利の拡大、年間80兆円に上る国債の一層の買い増しといった緩和策は見送った。世界経済や金融市場の急変動に備え、温存したとされる。
 このことと併せて、金融政策の在り方を巡り見逃せないのは、次回9月の金融政策決定会合で経済・物価動向や政策効果について、総括的な検証を行うための準備をするよう、黒田東彦総裁が日銀執行部に指示したことだ。
 黒田日銀はデフレ脱却に向け、2%の物価安定目標を実現するまで、緩和を続ける構えを崩していない。であるなら「総括的検証」の後に、温存された緩和策、あるいは新手の緩和策に踏み込む可能性がないとはいえない。
 必要なのは、さらなる緩和なのだろうか。むしろ、多くの専門家が指摘する金融政策の限界について、際限のない緩和がもたらす「負」の効果に関して、検証することが必要なのではないか。
 現行の緩和策でも市場には資金があふれ、金利も極めて低い水準に下がっている。だが、狙い通りに企業の設備投資や個人の住宅取得は伸びず「経済の好循環」による物価の上昇はままならない。なぜ、資金は借りやすいのに投資が伸びないのか。そのことこそ、広範に検証すべきだ。
 マイナス金利にしても、収益が悪化する銀行や預金者の反発が強い。国債の流通利回りの大半はマイナスに沈み、借金すれば国がもうかる異常事態を生み、財政規律が緩みかねない。今回の経済対策で政府が4年ぶりに年度途中で建設国債を増発するのは、そのことと無縁ではあるまい。
 日銀は償還時の損失を容認しつつ大量に国債を購入しており、保有額は国債の発行残高の3分の1を占めている。既に「財政政策、金融政策双方の信頼性を損ねている」とし、国債購入規模の縮小を求める日銀審議委員もいる。
 さらに買い進めれば、日銀による財政ファイナンスと受け止められ、日本の財政に対する国際的信認が失墜し、国債価格の暴落、金利の高騰を招く恐れがある。
 そうした事態をも避けるための「総括的検証」でなければならない。将来に禍根を残してはならない。
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中国新聞 2016/7/30
社説:日銀の追加緩和 金融政策の検証今こそ


 日銀がきのう追加の金融緩和を決めた。1月のマイナス金利政策決定から半年ぶりだ。
 黒田東彦(はるひこ)総裁のもとでは4回目の金融緩和となる。大胆に政府の財源を供給する「ヘリコプターマネー」導入の観測すらあり、大規模緩和を望む市場関係者からは具体的な中身がどうなるか強い関心を呼んでいた。
 ふたを開けてみれば「サプライズ」はなく、ごく小規模なものにとどまったといえよう。上場投資信託(ETF)の買い入れ額を現在の年3兆3千億円から6兆円に増やすほか、ドル資金の供給量を240億ドルに倍増する。一方で国債買い入れの増額も、銀行の収益を圧迫するとして批判もあるマイナス金利幅の引き下げも見送られた。
 ある意味では今回は自重し、「次の手」を温存したとの見方もできなくはない。それでも金融政策決定会合において反対意見が出た意味は重い。
 規模はともかく追加緩和そのものを疑問視する声が内部にある中で、あえて踏み切ったのはなぜか。海外経済の不透明感が高まる中、前向きな経済活動をサポートする。それが表向きの理由だ。ただ事業規模で28兆円を超す経済対策を打ち出す安倍政権からの求めに応じたのが実情ではないか。麻生太郎財務相からも日銀の金融政策に期待する露骨な発言が出ていた。
 黒田総裁自身も記者会見で、「この時点での大規模な経済対策は時宜を得ている」とし、金融緩和によって相乗効果が期待できると強調した。政府との蜜月を意識するのは明らかだ。
 ただ市場の反応はまた別だろう。失望感から日経平均株価は乱高下し、為替相場は輸出に不利な円高に振れた。
 日銀にも手詰まり感があるはずだ。もはや金融政策は限界にきていることをもっと直視すべきである。
 2%の物価目標を2年程度で達成するとして金融緩和を繰り返してきたが、物価は思うように上昇しない。総務省がきのう公表した6月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・5%の下落で4カ月連続のマイナスである。物価目標からは懸け離れるばかりか再びのデフレの兆しとはいえまいか。
 金融・財政政策を巡る海外の動向も注視すべきだ。英国が欧州連合(EU)離脱を決めたことで、世界経済の不透明感が強まり、企業や家計にも悪影響が及びかねないリスクがあるのは確かだろう。ところが一時動揺した世界の市場は落ち着きを取り戻しつつある。欧米諸国は新たな景気対策や金融緩和を見送っている。日本とは逆だ。
 今回の政策決定会合では、9月の次回までにマイナス金利政策を含む今の金融緩和策の効果を総括的に検証することも決めた。ただ「量的緩和の拡大やマイナス金利に限界がきたとは思わない」と黒田総裁は強弁し、むしろ次のカードを切るタイミングと考えている節がある。
 これまでの政策効果をしっかり検証するよう日銀には求めたい。そして追加緩和の必要性を一から考え直し、軌道修正も選択肢とすべきだ。本来の日銀の独立性からすれば安倍政権と距離を置くことも考えたい。
 時の政権の言いなりとなるばかりでは、遠からず国の財政をゆがめる。通貨の番人としての役割を忘れてはならない。
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