2016-08-06(Sat)

経済対策 インフラ整備 財政措置6.2兆円 事業規模10.7兆円

リニア延伸前倒し、景気即効性に疑問 工事が増えるのは11年後

インフラ整備 財政措置6.2兆円 
-----政府は2016年8月2日、国と地方の財政支出などで約6兆円、政府系金融機関による融資枠の拡大分を含む事業規模で約11兆円のインフラ整備を盛り込んだ経済対策を閣議決定した。

-----柱の一つであるインフラ整備に投じるのは6兆2000億円程度と、ほかの施策と比べて最も額が大きい。
そのうち、財投債を原資とする財政投融資が4兆4000億円を占める。
 
財政投融資の大部分は、2027年の東京―名古屋間の開業を目指し、既に事業着手しているリニア中央新幹線の整備の加速に充てる。
大阪までの延伸完了を2045年から8年間前倒しすることを目標に掲げた。
(日経コンストラクション)

リニア延伸前倒し、景気即効性に疑問
----政府の経済対策に、リニア中央新幹線の大阪への延伸前倒しが盛り込まれ、関西の政財界から歓迎の声があがった。
ただ、大阪開業の2045年からの前倒しは「最大8年」で、実際に何年早まるかは不透明なまま。
延伸工事が始まるのは早くても今から11年後で、景気対策としての即効性は乏しい。

----政府の財政投融資制度を使った低利融資は3兆円で、金利は年0・4%程度の見通し。
想定していた3%の金利に比べると、返済期間40年の合計で金利負担は3兆円以上軽くなる。

----■早くて11年後
「名古屋までの工事を予定通り終えられるかわからない。大阪開業の時期まで約束できない」。JR東海関係者は、そう話す。
東京―名古屋の工事には、南アルプスを貫くトンネル建設や、名古屋駅周辺の用地買収など難題が山積している。

----足元の景気をてこ入れする効果も乏しい。
建設費は総額9兆円で、全線開業後の経済効果は年8800億円とも試算されるが、大阪への延伸工事が始まるのは最速で27年。
今から11年も後だ。「本来、経済対策に盛り込むのは苦しい」との声は政府内にもある。
(朝日新聞)


----▼財政投融資を活用し、本来は2045年予定の大阪延伸を最大で8年前倒しする効果をねらうという。きのう閣議決定した経済対策の目玉だ。もっともリニアは往年の東海道よりずっと難工事が予想されるし、建設費が膨れあがるかもしれない。融資があったからといって本当に大幅前倒しができるのか、慎重な声も聞く。

▼「未来への投資」。今回の経済対策はこう銘打っているが、かつて世銀が日本にお金を出したように生きた使い道になるだろうか。それにあの時代に比べて、この国の将来不安はひどく色濃いのだ。リニアが開業するころには高齢化と人口減がうんと進んでいよう。新幹線もいいが、そういう根本の問題を、さてどうする。
(日本経済新聞 春秋2016/8/3)

◇インフラ、リニア前倒し即効性欠く
----経済対策にはリニア中央新幹線の開業前倒しなど「21世紀型のインフラ整備」を盛り込んだが、景気押し上げの即効性には疑問符が付く。
リニアは財政投融資を使って、建設費を負担する東海旅客鉄道(JR東海)を支援する。

前倒しするのは2045年とされた名古屋―大阪間の開業。
環境影響評価も終わっておらず、ただちに工事が増えるわけではない。
(日本経済新聞)


【21世紀型インフラ整備10.7兆円(6.2兆円)】
 ◆リニア中央新幹線の開業前倒し
 ◆整備新幹線の建設促進
 ◆大型客船が寄港できる港の整備
 ◆農林水産物輸出のための施設整備




以下引用


未来への投資を実現する経済対策(平成28年8月2日 閣議決定)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/keizaitaisaku_honbun_160802.pdf

Ⅱ.21 世紀型のインフラ整備 (抜粋)
21世紀型のインフラを整備する。具体的には、観光振興のためのインフラ整備、農林水産物の輸出促進や農林水産業の競争力強化に向けたインフラ整備を図る。また、リニア中央新幹線の計画を前倒し、整備新幹線の建設を加速化する。成長への投資となるものは思い切って行い、中長期的に成長していく基盤を構築する。
(1)外国人観光客 4000 万人時代に向けたインフラ整備
我が国には、日本中だけでなく、世界中にも発信できる様々な魅力がある。このポテンシャルを考えれば、観光は、我が国の成長戦略の大きな柱の一つであり、地方創生の切り札である。
①訪日外国人旅行者数の平成 32 年(2020 年)4000 万人、平成 42 年(2030 年)6000 万人の達成に向けてハード面とソフト面のインフラ整備を整合的かつ計画的に進めるため、「観光インフラ整備プログラム」(仮称)を年内を目途に策定する。
・ 大型クルーズ船受入れのための港湾整備、空港駐機場の整備など首都圏空港・地方空港の機能強化、鉄道駅・バスターミナル等のバリアフリー化の推進、観光拠点情報・交流施設の整備・改良等(ハード面)
・ 容積率の緩和による旅館やホテルの建設の促進、Wi-Fi の利便性向上、訪日外国人のカード決済環境整備、鉄道・バスの多言語環境整備、地方誘客のための緊急訪日プロモーションの推進、クールジャパンの推進、CIQ 体制の整備 等(ソフト面)
②平成 32 年(2020 年)東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた取組平成 32 年(2020 年)東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催・成功に向けて、施設の整備や首都圏空港の処理能力を拡大するため機能強化を推進する。等
(3)リニア中央新幹線や整備新幹線等の整備加速 
大都市がハブとなって、地方と地方をつなぐ地方創生回廊をつくり上げることで、全国を一つの経済圏に統合し、成長の果実が全国津々浦々にいきわたる環境の整備を図る。
①低金利状況を活用したインフラ整備現下の低金利状況を 活いかし、財投債を原資とする財政投融資の手法を積極的に活用・工夫することにより、リニア中央新幹線の全線開業を最大8年間前倒し、整備新幹線の建設を加速化する。
②成長の基盤となるインフラ整備
・ 大都市圏環状道路等の物流ネットワークの強化や渋滞対策、開かずの踏切等の対策を推進する。
・ 民間都市開発事業を推進するとともに、船舶の大型化に対応して、国際戦略港湾等の整備を進める。
・ 市街地の拡散等の課題を抱える地域において、拠点地区への機能集約や地域公共交通の再構築等を進め、コンパクト・プラス・ネットワークの形成を図る。等
(4)インフラなどの海外展開支援
①インフラの海外展開支援
「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」7において、今後5年間でインフラ分野に約2000 億ドルの資金を供給することを目標としていることを踏まえ、国際協力銀行(JBIC)、国際協力機構(JICA)、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、日本貿易保険(NEXI)、その他の関係機関等の積極的な活用や財務基盤の強化を通じて、日本企業の海外インフラ展開を支援する。あわせて、対外広報等を強化する。
7)「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」(平成 28 年5月 23 日経協インフラ戦略会議)
②クールジャパン戦略の推進
我が国の魅力的なコンテンツ、伝統文化、日本食・日本産酒類等の輸出や文化の創造、対外発信を通じて、クールジャパンの展開を進める。

********************************

ブルームバーグ 2016年8月3日 12:26
政府:「21世紀型インフラ」に10.7兆円、クルーズ船の港整備など
政府がまとめた総額28兆円規模の経済対策の概要が2日、明らかになった。このうち「21世紀型のインフラ整備」は事業規模10.7兆円に上り、2020年の訪日客4000万人を実現するための受け入れ体制を整え、中長期的に成長する基盤を構築する。
 発表資料によると、政府は年内をめどに「観光インフラ整備プログラム」を策定。ハード面では大型クルーズ船用の港湾整備、空港駐機場の整備など首都圏・地方空港の機能強化、鉄道駅・バスターミナルなどのバリアフリー化などに取り組む。ソフト面では宿泊施設の容積率の緩和やWiFiの利便性向上、鉄道・バスの多言語環境の整備などを行うとしている。
 安倍晋三首相は3月に開催した観光ビジョン構想会議で、観光事業を成長の柱の一つとし、観光先進国の実現に向けまい進すると発言。訪日外国人旅行者数の目標を20年に4000万人、30年には6000万人にすると述べた。今回の対策でも観光を「地方創生の切り札」と位置付ける。
◇クルーズでの訪日さらに拡大へ
構想会議では、20年に目標とする訪日客4000万人のうち、クルーズ旅客数500万人の実現を目指すとしている。国土交通省の資料によると、15年にクルーズ船による入国客数は、前年の2.7倍となる過去最多の111万6000人だった。クルーズ船は運賃が一般的に飛行機より割安で、中国からの利用が最も多い。
 全国クルーズ活性化会議(会長:林文子横浜市長)は先月、国交省に要望書を提出。海外からのクルーズ船が、港湾施設の岸壁が短かったり水深が不足していたり、岸壁施設の強度不足から安全に入港できないなどの問題を解決するよう訴えている。
 シティグループ証券の姫野良太アナリストは、訪日客「4000万人目標の達成には、東京、大阪など既存の観光ルートを太くすることでは限界がある」と指摘する。地方の自治体や企業などと連携して、これまでにない柔軟な発想の観光ルートなどを組み合わせて構築する」べきだと述べた。
 旅行関連のコンサルタントを行う観光文化研究所の代表、大坪敬史氏は「号令をかける国と自治体や民間の地方金融機関などの意思統一が不十分な部分があり、本当に設備投資の資金を必要としている地方の観光関連企業に資金が回っていないケースもある」と指摘。きめ細かい対応が必要だと述べた。
リニア新幹線
 経済対策にはリニア中央新幹線の全線開業の前倒しも盛り込まれた。JR東海は、15年12月に本格着工し、27年に東京-名古屋開業、45年に名古屋-大阪を完成させる計画。現在同社は名古屋までの開業後、それに伴う長期債務の削減などで最大8年間かけて経営体力を回復させた後に大阪までの延伸工事を始める計画だが、政府による低金利の財政投融資を活用することでJR東海の財務に負担を掛けることなく直ちに大阪までの工事に入れるようにする。
 JR東海の柘植康英社長は2日、文書でコメントを発表。「財投からの融資による経営リスクの低減」を生かし、大阪までの開通の「最大8年間前倒しに向け全力を挙げてまいります」と述べた。
 今回の経済対策が市場の評価を得るには時間が必要だと指摘する声がある。「このような大規模策はマーケットに即効性のあるものではなく、市場にじわりと効いてくる」と投資情報会社のDZHフィナンシャルリサーチ、野田和宏社長は指摘する。英国の欧州連合離脱に伴う混乱で「傷ついた株式市場の回復や景気の下支えにはなる」と述べた。

読売新聞 2016年08月03日 23時22分
整備新幹線3区間、財投で開業前倒し…国交相
 石井国土交通相は3日夜の閣議後記者会見で、整備新幹線3区間(北海道、北陸、九州)の事業費に、国が調達した資金を長期間、低金利で貸し付ける財政投融資を活用し、開業を前倒しする方針を明らかにした。
 石井国交相は「新たな財源ができる。建設を加速化し、一日も早く前倒しする」と述べた。
 政府は2日に決めた経済対策の財源として約6兆円の財政投融資を確保している。国交省によると、このうち約8000億円を、整備新幹線の建設などを手がける独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に貸し付ける。工事や用地買収などの事業費に充てられる予定だ。将来の金利負担分が2000億~3000億円程度減るとみている。

日経コンストラクション2016/8/4 6:00
インフラ整備に6兆円の経済対策
 政府は2016年8月2日、国と地方の財政支出などで約6兆円、政府系金融機関による融資枠の拡大分を含む事業規模で約11兆円のインフラ整備を盛り込んだ経済対策を閣議決定した。
 子育て支援や英国の欧州連合(EU)離脱を受けた中小企業への資金繰り支援などを含めた経済対策全体の事業規模は、平成以降3番目に大きい28兆1000億円となる。
 経済対策の内訳。金融情勢に応じて、金融機能強化法などの延長に伴う政府保証枠32兆円の予備的措置を別途、講じる(資料:内閣府)
 「未来への投資を実現する経済対策」と名付け、インフラ整備や熊本地震の復興など、大別して四つ施策を推進する。これらの予算措置で、1.3%程度の実質GDP(国内総生産)の押し上げを見込む。
 国や地方の実質的な支出は、7兆5000億円程度。秋の臨時国会で提出予定の2016年度の第2次補正予算や17年度予算などに盛り込む。
 柱の一つであるインフラ整備に投じるのは6兆2000億円程度と、ほかの施策と比べて最も額が大きい。そのうち、財投債を原資とする財政投融資が4兆4000億円を占める。
 財政投融資の大部分は、2027年の東京―名古屋間の開業を目指し、既に事業着手しているリニア中央新幹線の整備の加速に充てる。大阪までの延伸完了を2045年から8年間前倒しすることを目標に掲げた。
2016年6月3日に開催した山梨リニア実験線の報道機関向けの走行試験の様子(写真:日経アーキテクチュア)
■インフラ海外展開を強化
 安倍政権が力を入れるインフラ海外展開へのさらなる支援も進める。
 今年5月に伊勢志摩サミットで公表した「質の高いインフラ輸出拡大イニシアティブ」では、今後5年間で日本企業の海外事業の受注・参入を後押しするため、インフラ分野に約2000億ドルの資金を供給することを目標としていた。それに基づき、国際協力銀行(JBIC)や国際協力機構(JICA)などの財務基盤の強化を通じて、海外インフラ展開を支援する。
 財政支出では、観光振興のためのインフラ整備を打ち出した。現状の年間訪日外国人旅行者数約2000万人を、東京五輪を開く2020年に4000万人、2030年に3倍の6000万人まで増やすために、2016年内をめどに「観光インフラ整備プログラム」を作成。具体的には、大型客船の受け入れのための港湾整備や空港の機能強化、公共交通施設のバリアフリー化などを進める。
 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の発効を見据えて、農林水産業の競争力強化に向けたインフラ整備の促進も盛り込んだ。農地の大区画化や森林整備、漁港整備を推進する。
(日経コンストラクション 真鍋政彦)
[日経コンストラクションWeb版 2016年8月3日掲載]

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朝日新聞 2016年8月3日05時00分
リニア延伸前倒し、景気即効性に疑問
 政府の経済対策に、リニア中央新幹線の大阪への延伸前倒しが盛り込まれ、関西の政財界から歓迎の声があがった。ただ、大阪開業の2045年からの前倒しは「最大8年」で、実際に何年早まるかは不透明なまま。延伸工事が始まるのは早くても今から11年後で、景気対策としての即効性は乏しい。
 「歓迎する。一日も早く大阪まで開業することを期待している」。関西経済連合会の森詳介会長は2日、そうコメントした。東京と名古屋で一大経済圏が先にできれば、「関西が置き去りになる」(財界幹部)との危機感が高まっていた。
 当初計画では、JR東海は東京―名古屋を27年に開業。その後の8年間は借金返済に専念した後、工事を再開し、大阪開業は45年の予定だった。2日のコメントでは「低利融資による経営リスクの低減を活(い)かし、名古屋開業後連続して、大阪への工事に速やかに着手する」。8年間の工事中断をなくす考えを示した。
 政府の財政投融資制度を使った低利融資は3兆円で、金利は年0・4%程度の見通し。想定していた3%の金利に比べると、返済期間40年の合計で金利負担は3兆円以上軽くなる。
 JR東海が、前倒しに積極的になったのは5月の伊勢志摩サミット前後だ。関係者によると、安倍晋三首相が、名古屋で出迎えたJR東海首脳に対し「リニアの前倒しを経済対策の目玉にしたい」と打診し、検討が加速したという。
 ■早くて11年後
 ただ、実際、どれだけ前倒しできるかは示せなかった。政府とJR東海は水面下で協議したが、経済対策の表現は「最大8年」だ。
 「名古屋までの工事を予定通り終えられるかわからない。大阪開業の時期まで約束できない」。JR東海関係者は、そう話す。東京―名古屋の工事には、南アルプスを貫くトンネル建設や、名古屋駅周辺の用地買収など難題が山積している。
 これらをクリアして8年前倒しできても、大阪開業は名古屋開業から10年後の37年。関西の政財界が熱望してきた「名古屋と大阪の同時開業」は遠い。
 関西財界からは「(最大ではなく)最低8年前倒しだ」(大阪商工会議所の小嶋淳司副会頭)と、さらなる前倒しを期待する声も出始めた。
 足元の景気をてこ入れする効果も乏しい。建設費は総額9兆円で、全線開業後の経済効果は年8800億円とも試算されるが、大阪への延伸工事が始まるのは最速で27年。今から11年も後だ。「本来、経済対策に盛り込むのは苦しい」との声は政府内にもある。
 (細見るい、岩沢志気)


日本経済新聞 2016/8/3付
春秋
 東海道新幹線の建設を縁の下で支えたのは世界銀行である。東京オリンピックに向けて突貫工事を進めていた1960年代初め、国鉄は資金不足に悩んでいた。そこへ、世銀はポンと8000万ドルを出したのだ。このお金なしに五輪直前の開業はなかったかもしれない。
▼世銀が高度成長期の日本に貸し付けたお金は8億6000万ドルにのぼる。新幹線のほか発電所、製鉄所、高速道路……。計31ものプロジェクトに融資したのは、伸び盛りの国を見込んでのことだったろう。時は流れて半世紀。その伝にならってか、政府はリニア中央新幹線のためにJR東海に3兆円くらい工面するそうだ。
▼財政投融資を活用し、本来は2045年予定の大阪延伸を最大で8年前倒しする効果をねらうという。きのう閣議決定した経済対策の目玉だ。もっともリニアは往年の東海道よりずっと難工事が予想されるし、建設費が膨れあがるかもしれない。融資があったからといって本当に大幅前倒しができるのか、慎重な声も聞く。
▼「未来への投資」。今回の経済対策はこう銘打っているが、かつて世銀が日本にお金を出したように生きた使い道になるだろうか。それにあの時代に比べて、この国の将来不安はひどく色濃いのだ。リニアが開業するころには高齢化と人口減がうんと進んでいよう。新幹線もいいが、そういう根本の問題を、さてどうする。


日本経済新聞 朝刊2016/8/3 3:30
インフラ、リニア前倒し即効性欠く
 経済対策にはリニア中央新幹線の開業前倒しなど「21世紀型のインフラ整備」を盛り込んだが、景気押し上げの即効性には疑問符が付く。リニアは財政投融資を使って、建設費を負担する東海旅客鉄道(JR東海)を支援する。前倒しするのは2045年とされた名古屋―大阪間の開業。環境影響評価も終わっておらず、ただちに工事が増えるわけではない。
 訪日客を4000万人に増やす目標達成に向けて、大型クルーズ船向けの港湾整備や羽田空港の強化を盛り込んだが、調整が難航する民泊の解禁には触れなかった。一方で「条件不利地域の振興」など従来型の公共事業も潜り込ませた。
 農業は環太平洋経済連携協定(TPP)対策の一環で農産物輸出の拡大に力点を置いた。輸出基地の整備を柱に据えたが、放射性物質規制の緩和など現場の要望が強い対策には言及がない。企業の農業参入を後押しする政策も盛り込まれなかった。このままではハコモノ優先の対策になりかねない。


中日新聞 2016年8月3日 朝刊
リニア延伸8年前倒し 政府、経済対策を正式決定
 政府は二日の臨時閣議で、事業規模を二十八兆一千億円とする経済対策を正式に決めた。保育士や介護福祉士の待遇を改善して必要な人員の確保を目指すほか、施設も増やして受け皿を拡充する。返還不要の給付型奨学金を二〇一八年度以降につくる方針も明記、リニア中央新幹線の全線開業は最大八年前倒しする。複数年にわたって実施し、一部の事業費を一六年度の第二次補正予算案に組み込んで秋の臨時国会に諮る。
 保育や介護の環境整備は安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」の一環で、実現のために三兆五千億円を充てる。保育士や介護福祉士らの収入を引き上げるための処遇改善策を一七年度から実施。受け皿施設を増やすため、一六年度の補正予算から整備費を計上する。
 また、家庭の経済格差が教育の格差に結び付くのを防ぐため、一七年度に返還不要の給付型奨学金について検討し、一八年度以降に導入する方針を明記。具体的な制度の内容は予算編成の過程で詰める。低所得者を対象に一万五千円の現金給付を行うなど消費喚起にも取り組む。
 リニア全線開業の前倒しをはじめとした公共事業費は十兆七千億円を計上。このほか英国の欧州連合(EU)離脱を受けた中小企業の動揺を収めるため、低利での融資制度を拡充するなど十兆九千億円の支援枠を用意する。熊本地震や東日本大震災の復興支援費三兆円も盛り込んだ。
 ただ、国と地方の支出は七兆五千億円にとどまる。残りは政府が借り入れて低利で民間企業に転貸する「財政投融資」で公共事業費などを積み増し。政府系金融機関の融資や、国の補助金を受けた企業が事業を実施する際に自社で支出する部分も合わせ、事業規模を膨らませた側面もある。
◆JR東海社長も前倒し正式表明
 政府の閣議決定を受け、JR東海は二日、リニア中央新幹線の大阪延伸を前倒しする方針を正式に表明した。柘植康英社長は「融資による経営リスクの低減を生かし、名古屋開業後連続して大阪への工事に速やかに着手し、最大八年間前倒しに向け全力を挙げる」とのコメントを発表した。


産経ニュース 2016.8.3 07:12
リニア「同時開業」要求も、資金提供は難色…関西財界の真の狙いは 8年前倒し論浮上で議論活発化
 政府の経済対策が2日に閣議決定され、リニア中央新幹線の大阪延伸を最大8年前倒しする財政支援も盛り込まれた。関西財界は東京-大阪間の同時開業を求める一方、資金支援には難色を示す。今後は大阪府などとともに、さらなる前倒しに向けた具体的支援のあり方を、事業主体のJR東海や政府との協議で探っていくことになる。(牛島要平)
「寄付」は難しい、具体的に何の支援をするのか…
 JR東海は総額約9兆円をかけ、2027(平成39)年に東京-名古屋間、45年に名古屋-大阪間を開業する計画。政府は民間より低金利の財政投融資で3兆円規模をJR東海に貸し出し、大阪延伸は最大8年前倒しされる方向だ。
 「投資収益が期待できる枠組みがあれば可能だが、寄付は難しい」
 7月13日、関西経済連合会の森詳介会長(関西電力相談役)は定例会見で、リニア延伸への資金支援の可能性を問われてそう語った。角和夫副会長(阪急阪神ホールディングス社長)も「直接的に金を入れるのは株主に説明できない」と歩調を合わせた。
 大阪府の松井一郎知事は6月の会見で「同時開業の旗は降ろしていない。さらなる前倒しに向けて経済界と(資金支援について)協議を重ねたい」と呼びかけたが、財界の慎重姿勢が浮き彫りになっている。
 関西経済同友会の蔭山秀一代表幹事(三井住友銀行副会長)は「JR東海の事業に何の支援をするのか、イメージがわかない」、大阪商工会議所の尾崎裕会頭(大阪ガス会長)も「JR東海主導は変わらず、具体的に支援はいえない状況」と、いずれも懐疑的な見方を示す。
首相「未来への投資」
 ただ、関西財界は政府の動きを、同時開業に向けて資金支援だけではない幅広い議論を進めるチャンスととらえている。
 官民一体で同時開業を求める関西の声に政府の姿勢は鈍かったが、参院選を前に6月上旬、急転直下で支援が決まった。安倍晋三首相が今回の経済対策でリニア延伸前倒しなどを「未来への投資」と位置づけたのは大きな変化といえる。
 大阪府・市と関西経済3団体などでつくる「リニア中央新幹線全線同時開業推進協議会」は年内にも政府やJR東海と協議し、同時開業に向けた課題や支援策を明確にしたい考えだ。
 同友会の蔭山代表幹事は7月28日の定例会見で、「これまでは(JR東海や政府が)大阪と話し合う機会さえなかったことを考えれば、大きな進歩」と述べ、協議に期待を示した。

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