2016-08-15(Mon)

伊方原発再稼働 住民の不安置き去りか

リスクの認識甘過ぎる 四国に原発は必要なのか 安全への不安が拭えない 住民を軽視した再稼働

<各紙社説・論説>
北海道新聞)伊方原発再稼働 住民の不安置き去りか(8/13)
新潟日報)原発回帰さらに 福島の現実見えているか(8/14)
信濃毎日新聞)伊方原発 住民を軽視した再稼働(8/13)
京都新聞)伊方原発再稼働  抜本的に対策練り直せ(8/13)
神戸新聞)伊方再稼働/災害に不安を残したまま(8/13)

中国新聞)伊方原発再稼働へ リスクの認識甘過ぎる(8/12)
山陽新聞)伊方原発再稼働 安全への不安が拭えない(8/13)
徳島新聞)伊方原発再稼働 急がず住民の理解求めよ(8/11)
高知新聞)【伊方再稼働】四国に原発は必要なのか(8/12)
西日本新聞)伊方原発再稼働 東九州への影響はどうか(8/13)

佐賀新聞)伊方原発再稼働 住民の不安は置き去りか(8/13)
南日本新聞) [伊方原発再稼働] 複合災害の備え十分か(8/13)




以下引用



北海道新聞 2016/08/13 08:55
社説:伊方原発再稼働 住民の不安置き去りか


 四国電力はきのう、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させた。
 原子力規制委員会の新基準に適合した原発は九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、運転差し止め中の関西電力高浜3、4号機(福井県)に続いて5基目となる。
 伊方原発は日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」に近い。このため、巨大地震の影響を受ける恐れを以前から専門家が指摘してきた。
 しかも、原発が半島の付け根に位置することから、いったん過酷事故が起きれば、半島の住民の避難が困難を極めるのは必至だ。
 再稼働を不安視する声は強い。そうした住民の思いを置き去りにしてまで運転することに、疑問が尽きない。
 そもそも伊方原発は地理上の問題がある。
 原発の北に横たわる中央構造線断層帯は、熊本地震後に活発化しているとの指摘がある。南には南海トラフ巨大地震の震源域が存在する。
 松山、大分、広島の各地裁には住民らが運転差し止めを求めて仮処分を申し立てている。東日本大震災を踏まえれば、心配は当然だろう。
 しかし、四国電力にこうした動きを顧みる姿勢は見られない。地震の揺れを厳しく想定したというが、地震想定は専門家の間で解釈が異なる。
 原発事故時の避難計画も机上の空論と言わざるを得ない。
 伊方原発があるのは、東西に横長に延びる佐田岬半島だ。半島で原発西側に住む約5千人は陸路で避難する場合、いったん付け根の原発に近づくことになる。
 そうかといって、船で対岸の大分県側などに避難するにも、津波や地震で岸壁が壊れたりすれば、接岸すら難しい。
 南海トラフ巨大地震が同時発生すれば、避難計画そのものが意味をなさなくなるのではないか。住民の不安と向き合っているとは到底言えない。
 伊方3号機の燃料の一部にプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使うことも問題だ。
 プルトニウムは毒性が強く、過酷事故時の被害の拡大が懸念される。専門家は、運転時に制御しにくくなる恐れも指摘している。
 それにしても、5年前にあれほど深刻な福島第1原発事故を経験しながら、なぜ、国も電力業界も再稼働に前のめりなのか。住民と向き合い、再考すべきだ。
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新潟日報 2016/08/14
【社説】原発回帰さらに 福島の現実見えているか


 東京電力福島第1原発事故から6度目のお盆を迎えた。
 ふるさとに思いをはせながら、今年も避難先で過ごさざるを得ない人は多いに違いない。
 ところが、国のエネルギー政策は脱原発どころか、原発回帰の動きが一層強まっている。
 愛媛県にある四国電力伊方原発3号機が再稼働した。15日に発電と送電を始め、9月上旬には営業運転に入る見込みだ。
 福島事故を受け原子力規制委員会が定めた新規制基準の下では九州電力川内1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に続き5基目となる。
 伊方3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電が特徴だ。
 高浜3、4号機は司法判断で運転差し止め中のため、国内唯一のプルサーマル発電となる。
 不安要素は少なくない。
 伊方原発敷地の北6~8キロの瀬戸内海海底には、政府の地震調査委員会がマグニチュード8級の地震が起こり得ると推定する日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」が走っているからだ。
 この断層帯は震度7を2回観測した熊本地震の震源域の延長線上にある。16世紀には九州から四国、近畿へと大地震が続いた記録があり、影響が及ぶのではないかとの不安はくすぶり続けている。
 四国電力は安全性に支障はないと強調している。ただ、専門家の中には地震の想定が不十分との指摘がある。「想定外」はもう許されないと認識するべきだろう。
 半島の付け根にある伊方原発の場合、原発より半島の先に住む住民約5千人の避難も課題だ。
 地震と原発事故の複合災害が起きた場合、孤立の恐れがある。どこまで住民の安全を確保できるのか、現状では甚だ疑問と言わざるを得ない。
 伊方原発再稼働を前にした今月初め、原子力規制委は、運転開始から40年の法定寿命が近づく関西電力美浜3号機(福井県)について事実上の審査合格を出した。
 運転の延長が認められた老朽原発は高浜1、2号機に続いて2例目となる。
 運転延長は「例外中の例外」とし、原発の運転期間を「原則40年」と定めたルールは、早くも形骸化してきたと言っていい。
 原発の新増設の議論が活発化する可能性も出てきた。
 中国電力上関原発建設に必要な海の埋め立て免許の延長申請を、山口県が許可した。
 上関原発は2009年4月に準備着工が始まったが、福島事故で中断し、県も許可判断を見送ってきた経緯がある。安倍政権の原発活用路線が、方針転換の背景にあるとみられている。
 原発をめぐるこれらの動きを見ると、福島の過酷事故を忘れたのではないかとの懸念が拭えない。
 南相馬市の一部に出ていた避難指示が解除されて1カ月になる。だが、戻って来たのは約1万人のうち約400人にすぎない。事故の収束と廃炉への確かな道筋が描けない中、当然だろう。
 福島の現実は見えているのか。
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信濃毎日新聞 (2016年8月13日)
社説:伊方原発 住民を軽視した再稼働


 住民の安全を軽視した再稼働と言わざるを得ない。
 四国電力がきのう、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させた。国内で稼働する原発は3基となった。
 伊方原発は東西約40キロの佐田岬半島の付け根に位置する。放射性物質が放出される事故が起きれば、半島に住む約5千人の住民が孤立する恐れがある。
 県の避難計画によると、地震との複合災害で国道などが通行できなくなれば、住民は半島先端の港から船などで大分、山口県に避難することになっている。
 周辺集落から港までの道は狭く、災害発生時に住民がたどり着けるのか。計画通り船を手配できるかも不透明だ。周辺では通常でも高波でフェリーが欠航することが少なくない。港で住民が身動きが取れなくなる可能性もある。
 国や県の対応は後手に回っている。安倍晋三首相が議長を務める国の原子力防災会議は昨年10月、県の避難計画を「実効的」として了承。県は同月に再稼働に同意している。
 計画を検証する国の防災訓練が実施されたのは、その後だ。訓練では多くの課題が見つかり、計画の一部は修正された。
 それでも山本公一原子力防災担当相は8日の記者会見で、避難計画について「訓練で問題が浮上した点もある」とした上で、「一挙に解決できないが早期に手を付ける」と述べている。県は10〜11月に大分県と連携した避難訓練を実施し、計画を充実させるという。
 順番が逆である。最も重視するべきものは住民の安全だ。事故はいつ発生するか分からない。避難計画に問題があるのなら、再稼働は許されない。
 想定されている地震の規模にも不安が残る。
 原発の北6〜8キロには、日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」が走っている。熊本地震の震源域の延長線上だ。熊本では震度7の直下型地震が連続して起きる想定外の事態で被害が拡大した。
 専門家からは、影響が波及するという指摘も出ている。想定地震の再検証が不可欠だ。
 住民の不安は根強い。愛媛県だけでなく、広島、大分両県でも、運転差し止めを求める仮処分が申し立てられている。
 国や県、四国電力は住民の不安に真正面から向き合う姿勢に欠けている。原子力規制委員会の新規制基準に適合したことだけを根拠に再稼働を進める方針は、改めなければならない。
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[京都新聞 2016年08月13日掲載]
社説:伊方原発再稼働  抜本的に対策練り直せ


 四国電力が伊方原発3号機(愛媛県)を再稼働させた。新規制基準に合格したのは九州電力川内原発(鹿児島県)、関西電力高浜原発(福井県)に続き3カ所目だ。高浜が運転差し止め中のため、プルサーマル発電を行う国内唯一の原発になる。
 しかし、事故時の避難計画の実効性に疑問が残ったままで、巨大地震に関する新たな知見を避難計画や原発の安全性の検討に取り入れたとは言い難い。四国電力は、原発の安全対策を抜本的に練り直すべきだ。
 伊方原発は「日本一細長い」とされる佐田岬半島の付け根に位置する。事故が発生した場合、住民の避難は難しく、場合によっては豊後水道を挟んだ対岸の大分県へ船で移動しなければならない。
 避難計画は昨年10月、政府の原子力防災会議が了承したが、その後の訓練で、船での避難手順などに課題が見つかり、今年7月に一部を見直している。山本公一原子力防災担当相は「完璧な計画はない。積極的に訂正していく姿勢が重要だ」と述べたが、それで住民の不安は拭えまい。
 さらに疑問なのは、南海トラフ巨大地震による被害が十分に検討されていないことだ。
 同地震では、県内の緊急輸送道路200カ所以上で陥没などの被害が起き、家屋など約40万棟が全半壊するとされる。仮に、同時に原発事故が発生すれば、住民が逃げ場を失う可能性がある。
 原子炉などの耐震性は十分で、同地震で原発事故は起きないとの想定だが、複合的な要素で起こったのが福島第1原発事故だ。それを忘れてはならない。
 4月に発生した熊本地震の影響にも注意する必要がある。
 震度7を2回記録した熊本地震は、断層帯に沿って熊本から大分へと震源が広がった。その延長線上に伊方原発近くを走る日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」があり、連動への懸念が残る。現在の地震想定が不十分ではないかと指摘する専門家もいる。
 再稼働を急ぐ背景には、原発を前提にしたエネルギー基本計画を進める政府の思惑があろう。
 だが、安全性に疑問を持つ住民は松山、広島、大分各地裁に運転差し止めを求める仮処分を申し立てている。大津地裁では運転中の原発を初めて司法判断で止めた。鹿児島県の三反園訓知事は熊本地震を受けて川内原発の一時停止を申し入れる方針を表明している。不安を抱えたままの再稼働は決して許されない。
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神戸新聞 2016/08/13
社説:伊方再稼働/災害に不安を残したまま


 四国電力はきのう愛媛県の伊方原発3号機を再稼働させた。定期点検による停止から5年4カ月ぶりで、近く発電と送電を始め、9月上旬に営業運転を再開する見込みだ。
 福島の原発事故を踏まえて策定された新規制基準に基づく再稼働は5基目となる。ただ、関西電力高浜3、4号機(福井県)はいったん再稼働したが、大津地裁の仮処分決定で運転が差し止められている。
 国内の商業用原発42基のうち、稼働していたのは鹿児島県の九州電力川内1、2号機だけだった。
 安倍政権は原発の再稼働に積極姿勢を見せる。伊方再稼働で他の原発の運転再開に弾みがつくことを期待しているのではないか。
 だが、最重視すべきは安全性の確保である。事故による被害を招かないよう対策を講じるのが先だ。
 伊方原発の近くには日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」が走り、熊本地震を機に活発化が心配される。住民の避難計画は不十分で、「見切り発車」というしかない。
 伊方3号機は昨年7月に審査に合格した。ただ、最大級の地震の揺れの想定値を規制委の要請で引き上げたため、事故時の拠点となる免震施設の強度不足が判明した。敷地も手狭で、原子炉の冷却機能を維持する電源車の設置場所も足らない。
 四国電は追加工事で対応しているが、1次冷却水循環ポンプのトラブルで再稼働の予定が遅れるなど、運転の安全性が懸念される状況だ。
 最も不安視されるのは中央構造線が引き起こす地震の影響である。南海トラフ巨大地震との連動でマグニチュード(M)8級の地震が発生する可能性を専門家は指摘する。
 伊方原発は佐田岬の付け根に位置する。住民の一部はフェリーなどで対岸の大分県に避難する計画だが、交通網が寸断される大災害時に輸送が可能か疑問視する声は根強い。
 国も愛媛県も避難計画に課題があることは認めている。今後、改めて避難訓練を実施して計画の充実を図るというが、順序が逆である。
 大地震と原発事故が同時に起きれば、影響は広範囲に及ぶ。それが福島の事故の教訓だ。松山、大分、広島地裁で運転差し止めの仮処分が申し立てられ、厳しい司法判断が示される可能性もある。「安全確保が最優先」というのなら、本来、運転の前に安全対策を徹底すべきだ。
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中国新聞 2016/8/12
社説:伊方原発再稼働へ リスクの認識甘過ぎる


 きょう、瀬戸内海に面した佐田岬半島の愛媛県伊方町で、四国電力の伊方原発3号機が再稼働する。
 東京電力福島第1原発の事故を受けて全国各地の原発が運転停止を迫られる中、再稼働がスタートしたのはちょうど1年前だ。九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)に始まり、今回の伊方3号機は5基目となる。このままなし崩しに進んでいいのだろうか。
 さまざまな不安材料が積み重なっているからだ。最も大きいのは、地震への備えだろう。
 ことし4月に震度7を2回観測した熊本地震は、活断層が原因とみられる。その震源域の延長線上の瀬戸内海の海底に走るのが、国内最大規模の活断層「中央構造線断層帯」。伊方原発はそのすぐ近くにある。
 住民が不安に思うのも無理はない。あらためて活断層と耐震設計について点検し、説明を尽くすべきではないだろうか。
 ひとたび地震が発生すると、原発事故に加え、土砂災害も重なる懸念がある。伊方原発の敷地は山や斜面が多く、その近くで住民が避難する施設も土砂災害警戒区域に入っている所があるという。半島の住民約5千人が避難できずに孤立する懸念も解消されていない。対策のほころびを放置したままでは済まされない。
 鹿児島の川内原発は、熊本地震を受けて先行きが混沌(こんとん)としてきた。7月の鹿児島県知事選で再稼働容認の現職を8万票以上の大差で破り知事に就任した三反園(みたぞの)訓(さとし)氏は、九電に川内原発の一時停止を要請する方針を示している。熊本地震の影響を、県民が心配していると考えるためだ。
 九電は「安全を確認した」と説明しているが、知事の要請があれば真摯(しんし)に受け止めるべきだろう。いずれにしても川内1号機は10月、2号機は12月に定期検査に入る。三反園知事が検査後の再稼働に同意しなかった場合、それを無視して運転を再開するのは難しそうだ。
 再稼働に対する民意をどうくみ取っていくのか。現行では知事に再稼働をやめさせる法的権限はなく、地元同意にしても立地自治体と道県に限られる。しかし、同意の対象を影響の大きい30キロ圏の自治体に広げるなど、民意を反映させる仕組みを整える必要がある。
 この1年、再稼働に向けた手続きは進む一方、世論や司法によるブレーキが顕在化してきたことを重く受け止めたい。
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)は、司法判断で運転差し止めとなっている。川内1、2号機が停止すれば、国内で動く原発は伊方3号機だけとなる。
 それなのに、老朽原発の運転延長の動きが加速しているのは理解しがたい。原発事故の教訓から「40年ルール」を課したはずだが、原子力規制委員会は関電の高浜原発1、2号機の延長を認め、美浜原発3号機(福井県美浜町)も延命させようとしている。ルールの逸脱は「例外中の例外」ではなかったのか。
 政府や電力会社の原発のリスクの認識は甘過ぎると、国民から非難されても仕方ない。政府は電源構成に占める原発比率を2030年までに20~22%に高める方針だが、このままでは無理があると自覚すべきだ。
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山陽新聞(2016年08月13日 08時51分 更新)
社説:伊方原発再稼働 安全への不安が拭えない


四国電力は12日、伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を約5年ぶりに再稼働させた。近く発電と送電を開始し、9月上旬にも営業運転を始める見通しとされるが、安全の確保へ残された課題は多く、不安が拭えないままだ。
 3号機は出力89万キロワットの加圧水型軽水炉。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電が行われる。昨年夏、原子力規制委員会の新規制基準に基づく審査に合格し、地元の伊方町長と県知事が再稼働に同意した。新規制基準に適合した原発では5基目(稼働中は3基)である。今年7月下旬に再稼働の予定だったが、1次冷却水を循環させるポンプのトラブルで遅れていた。
 2011年の東京電力福島第1原発事故が、それまでの「安全神話」を根底から覆した。原発の再稼働に当たっては、その教訓を十分踏まえて考える必要がある。
 伊方原発が抱える問題の一つは、瀬戸内海に面していることである。原発の約8キロ北側を四国から近畿地方へと国内最大級の「中央構造線断層帯」が走る。今年4月に震度7を2回記録した熊本地震の震源域の延長線上だけに、住民の不安は募ろう。
 ひとたび重大事故が起きれば、放射性物質による海域への影響が懸念される。東京大大学院の升本順夫教授=海洋物理学=らの研究によると、瀬戸内海は潮流が速く、場所によっては放射性物質を広げる役割を果たす。一概には言えないが、岡山、香川県沖まで来る可能性も考えられるという。
 陸に囲まれている瀬戸内海は閉鎖性が高く、海域の水は外洋に出にくい。長い間とどまって蓄積することが危惧される。事故が起きれば、海の環境や漁業などへの影響は計り知れない。
 四国の西側に細長く延びる佐田岬半島の付け根に位置する地理的要因から、住民の避難にも問題が横たわっている。政府や関係自治体は先月、原発から30キロ圏内の住民を対象にした避難計画を一部見直した。
 伊方原発以西の住民約5千人は原発方面ではなく、半島の先端に避難する可能性が高い。そこから船で、対岸の大分県へ向かうことを想定していた。だが、大きな被害に見舞われて受け入れられない場合には、原発から離れた愛媛県内の港を使用するとした。放射性物質の流入を防げる屋内退避施設の増設なども盛り込んだ。
 それでもなお、計画は南海トラフ巨大地震による避難用道路の損壊など甚大な被害想定を反映したものになっていないとの指摘もある。避難に必要となる船やバスの確保などとともに、計画の実効性が問われよう。
 地元では再稼働に反対する動きもある。住民の不安解消や、十分な安全確保策を尽くすことが、再稼働の大前提であるべきだ。
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徳島新聞 2016年8月11日付
社説:伊方原発再稼働 急がず住民の理解求めよ


 四国電力があす、愛媛県伊方町の伊方原発3号機を再稼働させる。当初は7月下旬の再稼働を目指していたが、1次冷却水ポンプにトラブルが発生し、約半月遅れていた。
 再稼働後、出力を上げて調整運転を行い、9月上旬に原子力規制委員会の最終的な検査を受けて営業運転に入る。
 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、原発の安全面を危惧する市民団体は、再稼働の中止を求めている。ポンプのトラブルは、住民らに不安と不信感をもたらした。
 四電は再稼働を急ぐのではなく、いま一度、安全対策について広く住民の理解を得る努力を重ねるべきだ。
 福島原発事故を受けた原発の新規制基準の施行後、再稼働するのは九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)、関西電力高浜原発3、4号機(福井県)に続いて、伊方3号機が5基目だ。
 高浜原発は、大津地裁の運転差し止めの仮処分決定を受けて、運転を停止している。
 伊方3号機が再稼働すれば、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ってプルサーマル発電を行う唯一の稼働原発となる。
 四電は、トラブルがあった1次冷却水ポンプの部品交換作業を完了し、正常に動くことを確認したとしている。
 もう、他にトラブルが起きる恐れはないのだろうか。
 伊方原発の近くを通る中央構造線断層帯への懸念も強まっている。4月の熊本地震では中央構造線の延長線上にある断層が動き、震度7の揺れを2回引き起こした。
 四電は、中央構造線と別府-万年山の両断層帯が連動して揺れた場合を想定。伊方3号機に650ガルの揺れに耐える安全対策を施しており、原子炉容器など重要施設は千ガルの揺れにも対応できるとしている。
 それでも、原発の安全性に関する国民の目は厳しい。
 現在、唯一稼働している川内原発についても、先月初当選した三反園訓(みたぞのさとし)鹿児島県知事が「熊本地震を受けて原発に不安がある」として、九電に一時停止を要請する考えだ。
 今後の成り行き次第では、伊方原発が唯一の稼働原発になる可能性もある。
 2012年1月に伊方原発が定期検査で発電を停止した後、夏のピーク時でも電力不足は起きなかった。火力発電などで賄ったからだ。
 再稼働には、電力自由化の時代を迎え、四国外への売電を増やすなどして収益力を高める狙いもうかがえる。
 昨年10月、再稼働に同意した愛媛県の中村時広知事はきのう、避難計画の充実を図る考えを示した。防災訓練で新たな課題が見つかり、今年7月に避難計画の一部を見直したばかりだ。本来、再稼働よりも十分な避難計画づくりが優先されるべきである。
 伊方原発を巡っては、再稼働の差し止めを求める仮処分の申請などが相次いでいる。 司法の判断にも注目しなければならない。
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高知新聞 2016.08.12 08:05
社説:【伊方再稼働】四国に原発は必要なのか


 四国電力がきょう、伊方原発3号機の運転を再開する。9月上旬には営業運転に入る見通しで、福島第1原発事故後の2012年1月から続いた四国の「原発ゼロ」は終わりを告げる。
 原発はいったん暴走すれば、広域に甚大な被害をもたらす。その脅威は5年余りを経ても、多くの国民が鮮明に覚えていよう。
 伊方原発の近くには、国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」が横たわり、巨大地震の恐れを否定し切れない。顧客でもある住民の不安を押し切ってまで、自社の利益を優先する企業姿勢は到底、理解を得られるものではあるまい。
 伊方3号機は昨年7月、原子力規制委員会の審査で新規制基準に合格した。だが、住民の安全が担保されたと果たしていえるのか。
 新基準は以前より強化されたものの、事故の原因が特定されないままつくられ、教訓を反映したとは言い難い。過去には原発の耐震設計の目安を超える地震が何度もあり、これからも「想定」を超える事態はあり得る。田中委員長も「絶対安全とは言わない」との立場だ。
 「万が一」にしても安全を約束できないのに、過酷事故を経験した日本で原発が必要なのか。「原発回帰」の波がわたしたちの住む四国に押し寄せた今もなお、根本的な疑問を解消できない。
 政府はエネルギー基本計画で、原発維持の理由に安定供給や地球温暖化対策、コストの安さを挙げた。しかし、四国では16年度の供給予備率が原発なしで約13%あり、安定供給の目安8%を大きく上回る。
 地球温暖化対策で効果はあるとしても、事故時の影響の大きさは福島の現状をみれば明らかだ。環境面の視点からも、効果とリスクが見合うとはいえないだろう。
 コストに関しては、政府試算で辛うじて石炭火力を下回る。ただ廃炉や社会的な費用などを踏まえると、優位性は揺らいでくる。
 四電は、再稼働で年250億円程度の収支改善を見込む。株主総会で同社は、再稼働反対の声に「これからは競争の時代、稼ぐ時代」と述べたという。その一方で原発30キロ圏内の自治体は避難計画を義務付けられているわけで、負担を強いる当事者として見識が問われよう。
 さらに万一の場合、四電は損害賠償を含めた事故対応の責任を全うできるのかどうか。業界最大手の東京電力でさえ対応できず、結局は国民が電気代や税金としてそのツケを払い続けている。
 事故対応だけではない。原発から出る高レベル放射性廃棄物の課題も残る。最終処分地も決まらないままの再稼働は、将来世代に対してあまりに無責任だろう。
 公共性があるとはいえ、利益のためにこれだけのリスクを抱える原発事業は、民間企業の在り方を超えるのではないか。伊方をはじめ、全国で原発を巡る訴訟が続く。国民も改めて議論を深める必要がある。
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=2016/08/13付 西日本新聞朝刊=
社説:伊方原発再稼働 東九州への影響はどうか


 四国電力がきのう、伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)を再稼働させた。原子力規制委員会の新規制基準の下では九州電力川内1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)などに続き5基目となる。
 このうち、関西電力高浜3、4号機(福井県高浜町)が司法判断で運転差し止め中のため、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電としては国内唯一となる。
 伊方原発は日本一細長いといわれる佐田岬半島の付け根に位置している。豊後水道を挟んで大分県とは目と鼻の先である。30キロ圏内に大分県の市町村は含まれないが、大分市までの直線距離は松山市と比べても十数キロ長い程度だ。
 もし重大事故が起きれば、被害は四国だけにとどまらない。東九州や瀬戸内海の沿岸にまで及ぶ恐れがある。九州に住む私たちも、決して無関心ではいられない。
 気に掛かるのは、伊方原発の北6~8キロの海底に日本最大規模といわれる活断層「中央構造線断層帯」が走っていることだ。
 その長さは近畿地方から四国の北部を通って愛媛県沖の伊予灘まで約360キロに及ぶ。政府の地震調査委員会は、中央構造線が動くとマグニチュード(M)8級の地震が起きると推定する。
 中央構造線が熊本地震の震源域の延長線上にあり、関連性を不安視する声も根強い。周辺地域では南海トラフ巨大地震による広域的な被害も予想され、運転差し止めを求める訴訟は大分県や広島県など愛媛県以外にも広がっている。
 四国電力は中央構造線と大分県側の別府-万年山断層帯が連動すると想定し、震度6強から7に襲われても施設は揺れに耐えて原子炉の緊急停止にも支障はないとする。とはいえ、状況に応じて随時対策を講じることが重要である。
 事故時の避難でも、半島の住民約5千人が陸路の遮断で愛媛県側に避難できない場合、海路で大分県へ向かうことになる。広域的な避難の準備は大丈夫か。大分県側の理解と協力が不可欠であることは言うまでもあるまい。
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佐賀新聞 2016年08月13日 05時12分
論説:伊方原発再稼働 住民の不安は置き去りか


 愛媛県の四国電力伊方原発3号機が再稼働した。鹿児島県の九州電力川内原発などに続いて5基目であり、玄海原発(東松浦郡玄海町)と同じプルサーマルでは唯一の再稼働となった。
 伊方原発は、九州に向かって延びる佐田岬半島の付け根に位置する。最大の懸案は大規模な活断層「中央構造線断層帯」が、近くに走っているという事実である。
 熊本地震は震度7クラスが連発し、これまでの地震学の常識をひっくり返した。熊本地震の影響を受けて中央構造線断層帯が活性化しないか、ふたたび、同じ規模の地震が起きないかが気がかりだ。
 断層帯を九州へ延長した先には、稼働中の川内原発がある。こちらは新たに就任した三反園訓知事が「川内原発を停止させて点検、調査させる。県民の代表だから言う権利がある」と、九電に一時停止を迫る構えを見せている。
 法的な裏付けを持たないにもかかわらず、三反園知事が強気なのは、巨大地震を受けて「安全性は大丈夫なのか」「避難計画は本当に機能するのか」という住民の不安の声が根強いからだ。
 伊方原発の場合も、その立地する地形を考えれば、避難計画の実効性が課題のひとつに挙げられる。岬の西側の住民は海上ルートで大分県側に逃れるなどとしているが、東京電力福島第1原発クラスの事故が起きたときに、果たして船舶の確保などは間に合うのか。命を守るための計画が、絵に描いた餅では困る。
 原発関連施設にしても、重大事故時の拠点となる対策所が心もとないという指摘が出ている。最大100人近い作業員を収容するには手狭だからだ。しかも敷地内は高低差が大きく移動が負担で、訓練では作業員が熱中症で倒れてもいる。
 福島第1原発の事故以前、原子力行政をめぐっては、規制当局が電力会社からコントロールを受ける「規制の虜(とりこ)」に陥る構図が浮き彫りになった。いかに規制当局の独立性を保つかが議論され、その結果、現在の原子力規制委員会が発足した経緯がある。
 「世界で最も厳しい」と田中俊一委員長が胸を張る新たな規制基準が定められ、それをクリアした原発だけに再稼働を認めるという方針が掲げられた。老朽原発の運転期間を制限する「40年ルール」や、最新の科学的知見を反映させていく「バックフィット」という考え方も盛り込まれた。
 だが、現状は当初の理念に沿っているだろうか。
 40年ルールはもはや形骸化しつつある。原子力規制委員会は既に40年を超えた関西電力高浜原発の稼働延長を認めた。田中委員長は「(老朽原発も)費用をかければ技術的な点は克服できる」と寛容で、そこには例外中の例外として認めるという緊迫感はなかった。
 バックフィットにしても、十分に機能しているだろうか。今年6月、規制委で副委員長を務めた島崎邦彦・東京大名誉教授が、原発の耐震設計の目安となる揺れ「基準地震動」の計算式に問題があり、過小評価していると指摘した。だが、規制委は正面から受け止めようとはしなかった。
 なぜ、不安の声に耳を傾けようとはしないのか。なし崩し的に原発回帰に向かっているのではないかと強く危惧する。(古賀史生)
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南日本新聞 (2016/ 8/13 付 )
社説: [伊方原発再稼働] 複合災害の備え十分か


 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)が再稼働した。
 東京電力福島第1原発事故を踏まえた原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発では、九州電力川内1、2号機(薩摩川内市)、関西電力高浜3、4号機(福井県)に次ぐ5基目だ。
 高浜が司法判断で運転差し止め中のため、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料によるプルサーマル発電を行う国内唯一の原発となる。
 安倍政権の原発回帰路線はいよいよ鮮明だ。一方で、強い地震に繰り返し襲われた熊本地震を受けて、万一の事故や避難計画の実効性に対する住民の不安は増している。
 福島第1原発事故の反省と熊本地震の教訓は生かされたのか。疑問を抱かざるを得ない。
 伊方原発は細長い佐田岬半島の付け根にある。ひとたび事故が起きれば半島の住民約5000人が孤立する恐れがある。
 福島のように大地震や大津波と原発事故が同時に起こる複合災害に見舞われた場合、避難対策が不十分との指摘もある。
 周辺地域では、南海トラフ巨大地震による大きな被害が予想されている。近くには日本最大規模の活断層「中央構造線断層帯」があり、熊本地震の影響が波及するのでは、との懸念もくすぶる。
 愛媛県は南海トラフ地震が起きた場合、避難に使う県内の緊急輸送道路200カ所以上で陥没や浸水が発生し、家屋など約40万棟が全半壊すると想定している。
 同時に原発事故が起きれば、バスなどによる避難や屋内退避は難しくなる。熊本地震でも避難所が損壊したり、家屋の被害で屋外避難を余儀なくされたりした。
 ところが、国や愛媛県がまとめた住民避難計画には、南海トラフ地震の被害が反映されていない。原子炉など重要機器の耐震性が十分で、地震で事故が起きると考えていないためだ。
 福島の経験や熊本地震の被害の現状をみれば、複合災害を前提にした避難計画が求められるのは明らかである。早急に、抜本的な見直しが必要だ。
 安全性に疑問を持つ声は、立地自治体以外にも広がる。
 中央構造線断層帯の活発化を危ぶむ住民らは松山のほか、大分、広島の各地裁に運転差し止めを求める仮処分を申し立てた。
 高浜3、4号機のように、立地県以外の地裁でも差し止め決定を出す可能性はある。
 政府と電力会社は、周辺自治体と住民の疑念にも真摯(しんし)に向き合うべきである。
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