2016-08-21(Sun)

駅ホーム転落事故 利用者の安全優先で対策急げ

利用者本位の対策を急げ 悲劇を防ぐ声かけを 周囲の目で事故防ごう

<各紙社説・主張>
朝日新聞)ホーム転落死 悲劇を防ぐ声かけを(8/20)
読売新聞)ホーム転落事故 視覚障害者の安全を守りたい(8/19)
毎日新聞)ホーム転落死 白いつえへの気配りを(8/18)
産経新聞)ホーム転落事故 利用者本位の対策を急げ(8/19)

しんぶん赤旗)駅ホーム転落事故 利用者の安全優先で対策急げ(8/20)
信濃毎日新聞)視覚障害者 周囲の目で事故防ごう(8/17)
京都新聞)ホーム転落事故  見守り広げて防ぎたい(8/19)
神戸新聞)ホーム転落事故/視覚障害者が安全な駅に(8/19)




以下引用



朝日新聞 2016年8月20日05時00分
(社説)ホーム転落死 悲劇を防ぐ声かけを


 東京メトロ銀座線の青山一丁目駅のホームに立ち、目を閉じる。ラッシュ時。遠くのレール音は雑踏にかき消され、電車は突然、大音響で迫ってくる。
 今週、視覚障害のあった品田直人さんがホームから転落して電車にはねられ、亡くなった。
 「行動範囲を広げたい」と盲導犬と外出し、通勤していた。事故直後、あるじを失った盲導犬ワッフル号が所在なげに現場をみつめていた。
 痛ましい事故の再発を防がねばならない。これは決して、避けられぬ悲劇ではない。
 品田さんは、ホームの点字ブロックより線路側を歩き、足を踏み外してしまった。ホームは幅3メートルほどと狭く、その真ん中を、点字ブロックをさえぎるように柱が連なっている。
 駅入り口からホームまで、どこに階段があり、どこで曲がるか。会社への最寄り駅だったというから、品田さんの頭の中には「地図」があっただろう。
 だが、そうした感覚は、考え事で集中力が緩んだだけで狂ってしまうこともあるという。
 視覚障害者がホームから転落した事故は2014年度に全国で80件あった。日本盲人会連合のアンケートでは、4割がホームから落ちたことがあると答えている。驚くべき数字だ。
 まず有効なのはホームドアの設置だ。国土交通省は、1日当たりの利用客が多い駅などから優先して設けるよう定めているが、設置率はまだ低い。鉄道会社は障害者の意見も反映しながら、整備を急いでほしい。
 ホームドアの設置が構造上難しい駅もある。戦前に全線開業した銀座線では、補強工事が必要なため、設置には18年度までかかる。乗降客が多い渋谷駅や新橋駅は、さらにその後だ。
 何より肝心なのは、障害のある人を見守り、手をさしのべる一人ひとりの行動だろう。危なそうな時には、すすんで声をかける。それは本来、当たり前のことだが、残念なことに、そんな光景はそれほど多くない。
 障害者に限った話ではない。青ざめた顔でホームにかがみこむ通勤途中の会社員、階段を前に途方にくれているベビーカーの親子、手すりにしがみつき一段ずつ降りる高齢者……。
 「大丈夫ですか?」。そのひと言が無関心の空気を変える。
 ワッフル号を育てた北海道盲導犬協会は「犬には声をかけないでとお願いしますが、犬を連れているユーザーには声をかけてほしい」と呼びかけている。
 困っている人がいれば、歩み寄り、助ける。そう誰もが自然にふるまえる社会でありたい。
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読売新聞 2016年08月19日 06時01分
社説:ホーム転落事故 視覚障害者の安全を守りたい


 東京の地下鉄駅で、視覚障害者の男性が線路に転落し、電車にひかれて死亡した。痛ましい事故である。再発を防がねばならない。
 現場となった東京メトロ銀座線の青山一丁目駅ホームは、幅が3メートルしかなく、複数の太い円柱も立っている。盲導犬を連れて歩いていた男性は、柱の手前でホームの端に近付き、足を踏み外したという。
 盲導犬には線路側を歩かせることが多いが、事故時は逆側にいた。危険を察知した駅員が線路から離れるよう放送で注意喚起したものの、事故を防げなかった。
 視覚障害者のホームからの転落事故は年70件以上、発生している。視覚障害者の4割近くが転落を経験しているとの調査結果もある。対策に猶予はないことを、全鉄道事業者は認識せねばなるまい。
 転落防止に最も有効なのはホームドアだが、今回の現場には設置されていなかった。
 国土交通省は、1日の利用客が10万人以上の駅には優先的に整備するよう、5年前から鉄道事業者に求めてきた。しかし、該当する全国251駅のうち、設置済みの駅は3割に過ぎない。
 整備が遅れている理由として、事業者は多額のコストを挙げる。JR東日本が進める山手線の全29駅への設置には、550億円を要するという。容易に賄える額ではないのも事実だ。
 ホームによっては、強度や広さといった構造上の問題もある。複数の事業者が相互に乗り入れる路線では、車両の扉の位置が一定しないという事情も指摘される。
 一方で、様々な工夫も講じられている。一般的なスライド式ホームドアではなく、バーやロープで遮る方式を導入した駅がある。費用や重量を大幅に減らせるのがメリットだ。車両に応じて開閉位置が変わるドアの開発も進む。
 4月には、東京メトロの別の駅で、ベビーカーを扉に挟んだまま電車が発車する事故があった。これもホームドアが設置されていれば防げていた可能性が強い。
 官民でさらに知恵を絞り、整備を加速させてほしい。
 設置がどうしても困難な駅では、駅員の支援がより重要だ。東京メトロは障害者への積極的な声掛けを各駅に通知した。
 利用者にも、目の不自由な人が近くにいたら、注意を促す心配りが求められよう。危険なのは「歩きスマホ」だ。視覚障害者に衝突し、思わぬ事故を招きかねない。厳に慎みたい。
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毎日新聞2016年8月18日 東京朝刊
社説:ホーム転落死 白いつえへの気配りを


 地下鉄の駅で、目の不自由な男性がホームから転落し、電車にはねられて死亡した。多くの人がいる場所で、なぜ悲惨な事故が繰り返されるのか。社会全体で受けとめたい。
 事故があったのは、東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームで、男性は盲導犬と歩いていた。同駅にはホームドアが設置されておらず、男性は、線路側に近づくように歩き、足を踏み外すように転落したという。
 駅のホームでは、こうした事故が近年相次ぐ。2011年、つえをついた全盲男性が東京のJR山手線目白駅のホームから転落して電車にはねられ亡くなった。12年に埼玉県、昨年も大阪府で視覚障害者のホームからの転落死事故が起きた。
 日本盲人会連合が目白駅の転落事故後に全国252人を対象に実施したアンケートによると、3人に1人以上の92人にホームからの転落経験があった。見過ごせない数字だ。
 こうした悲劇を防ぐ安全対策の切り札がホームドアである。国土交通省が鉄道事業者に設置を促し、全国665駅(今年3月時点)で設置されている。首都圏の地下鉄の約半数、山手線で8割を超える。視覚障害者団体の要望はなお強いが、設置数の増加は近年、鈍っている。
 整備コストのほか、ホームの強度が弱いなど構造上の理由があるという。銀座線も開業が古くホームの強度が弱かった。それでも18年度中には2駅を除き設置する予定だった。
 視覚障害者は、駅のホームを欄干のない橋に例える。鉄道事業者は、ホームドア設置の優先度を上げるよう検討してほしい。
 ただし、施設の整備を待つだけでは事故は防げないだろう。
 駅やホームは人が集まる場所である。目の不自由な人は白いつえを持ったり、盲導犬と一緒に歩いたりしている。見かけたならば見守り、危険が迫っていたら即座に声をかけ手をさしのべる。公共の場での気配りを大切にしたい。
 先の日本盲人会連合のアンケートで、転落しそうになった151人に「なぜ転落せずにすみましたか」と聞いたところ、「体や腕をつかまれたりして止められた」「周りから声をかけられた」との回答が計120人に上った。そうした配慮を社会全体に広げたい。
 一方で、電車内のみならずホームを歩きながらスマートフォンを操作する人は後を絶たない。ある視覚障害者は「人とぶつかって方向が分からなくなってしまった」とホームからの転落理由を挙げた。画面ばかり見つめていれば周囲は見えなくなる。「歩きスマホ」は、命にかかわるような重大事故につながる危険な行為だと認識する必要がある。
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産経新聞 2016.8.19 05:02
【主張】ホーム転落事故 利用者本位の対策を急げ


 視覚障害のある男性がホームから転落し、電車にはねられ死亡する事故が起きた。
 目の不自由な人にとってホームは「欄干のない橋」にたとえられ、痛ましい事故が繰り返されている。なんとしても止めたい。
 そのため、障害者や高齢者ら利用者の視点に立って再点検し、さらなる安全対策を急ぐべきだ。
 事故は今月15日夕、東京メトロ銀座線青山一丁目駅で起きた。防犯カメラの映像などによると、男性は盲導犬を連れ、点字ブロック上を歩いていたが、次第にホーム端に寄り転落した。点字ブロックを遮る形で柱があり、避けようとした可能性があるという。
 再発防止のためにも、専門家や視覚障害者の団体などの協力を得て事故原因を詳しく調査してもらいたい。
 5年前、JR目白駅で全盲の男性が転落し電車にはねられ死亡する事故があった。視覚障害者がホームから転落する事故は全国で平成26年度は80件に上る。視覚障害者の約4割が「転落の経験がある」という調査もある。
 転落事故防止のため、可動式ホームドア設置は有効だ。鉄道各社は設置を進めているが、国土交通省によると1日10万人以上が利用する全国約250駅のうち、設置駅はなお約3割にとどまる。
 複数の会社路線が乗り入れている場合、車両のドアの位置が異なるほか、駅によってはホームの基礎工事からやり直す必要があるなど簡単ではない。だが、命を守るため、できる対策は着実に行いたい。事故を教訓とし、さらに設置を加速すべきだ。
 施設改善のハード面の対策とともに、障害者や高齢者らをサポートする周囲の見守りも欠かせない。お手伝いしましょうか、とためらわずひと声をかけたい。
 ホームの点字ブロックの上に、あたりまえのように並んで電車を待っていないか。歩きスマホは、自身にも他の人にとっても大変危険である。
 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、バリアフリー化など施設整備が進められているが、根本的な安全対策をいま一度再点検してほしい。
 その際、施設管理者の都合でなく、障害者など実際に使う人たちの声を聞いて行うことを忘れないでもらいたい。
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しんぶん赤旗 2016年8月20日(土)
主張:駅ホーム転落事故 利用者安全優先で対策急げ


 盲導犬を連れた目の不自由な男性が、東京都内の地下鉄の駅ホームから転落し電車にはねられて死亡した事故が、視覚障害者や関係者に不安と衝撃を広げています。視覚障害者にとって駅ホームは「欄干のない橋」に例えられるほど危険な場所だというのに、防止策の遅れによって痛ましい事故が繰り返される事態は深刻です。再発防止策の整備は待ったなしです。
視覚障害者に「命の危険」
 事故を検証するため、現場の東京メトロ銀座線青山一丁目駅を東京視覚障害者協会(東視協)の人たちが調査を行いました。「点字ブロックに沿って歩くと柱にぶつかる。これまで転落事故がなかったのが不思議だ」と参加者の1人は語ります。事故の本格的な原因解明はこれからですが、ひっきりなしに電車が入る騒音もひどく、視覚障害者にとって危険なホームの実態が浮き彫りになりました。
 ホームでの転落事故は後をたちません。東視協の調べでは1994年12月~2015年4月で視覚障害者がホームから転落し重傷もしくは死亡した事故は54件にのぼります。日本盲人会連合のアンケート調査(11年、有効回答252人)では、約4割の視覚障害者がホームからの転落経験があり、約6割が転落しそうになったとの結果が出ています。
 転落防止策として有効なのは、ホームドアやホーム柵の設置です。日本盲人会連合の調査でも多くが「ホーム柵の設置」を求めています。国土交通省の検討会も「視覚障害者の転落を防止するための設備として非常に効果が高く」と整備促進の重要性を説く報告書(11年)をまとめています。東京メトロ丸の内線では、全駅にホームドアを設置してから転落事故はゼロになったといいます。
 しかし、全国に約9500ある駅のうちホームドア設置駅はわずか665駅です。国交省が20年を目標に優先設置を求めている10万人以上が利用する約250駅では、3割程度の77駅にとどまります(16年3月現在)。これにたいして、一般の人も含めたホーム転落件数は09年の2442件が14年に3673件へと増加しています。危険な事故をこれ以上広げないためにもホームドアの設置の遅れを解決することが急がれます。
 ホームドアの設置が遅れているのは、費用負担の大きさなどがネックになっているとされています。今回事故があった駅もホームドア整備は2年先にされ、ホームの危険を知らせる点字ブロックが敷設されていました。しかし、多くの視覚障害者は「このブロックだけでは安全は担保できない」と指摘しています。国や自治体は事業者まかせにするのでなく、ホームドア整備が加速するよう必要な手だてをとることが求められます。
人員配置の拡充不可欠
 駅のバリアフリー化が進む一方で、駅の無人化や職員の配置数縮小などが行われていることは重大です。適切な人員配置は、バリアフリーの一つの基礎的土台です。事故防止の点でも、ハードとソフト両面の拡充が不可欠です。新たにバリアをつくることになる駅無人化の推進は許されません。
 障害の有無にかかわらず、誰もが命の危険にさらされることなく安心して利用できるよう、公共交通機関の整備を最優先にしていくことが政治の大きな責任です。
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信濃毎日新聞 (2016年8月17日)
社説:視覚障害者 周囲の目で事故防ごう


 駅のホームは「欄干のない橋」に例えられる。見えていても怖いのに、目の不自由な人はなおさらだろう。
 その危険なホームを歩いていた視覚障害者がまた転落して亡くなった。なぜ防げなかったのか。やり切れない思いだ。
 ハード面の対策を進めるだけでなく、周囲の人が障害者の目になれるようにしたい。
 一昨日の夕方、東京の地下鉄、銀座線青山一丁目駅のホームで盲導犬を連れていた男性が足を踏み外し、線路に転落。直後に入ってきた電車にひかれた。
 盲導犬はホームに残っていた。詳しい状況はまだ分からない。盲導犬の利用者らでつくる長野県ハーネスの会会長、前野弘美さんによると、犬は常に左側にいるためホームでは左側を歩く。乗車待ちの列や荷物があると、それをよけるため、犬が左の線路側に近づいたり、右側に回って人が線路側になってしまう場合がある。
 日本盲人会連合が2011年に行った視覚障害者へのアンケート調査では、驚くことに4割近くが駅のホームから転落したことがあると答えた。転落防止対策の遅れで視覚障害者の移動が命懸けになっていることを物語る。
 防止策は点字ブロックと、ホームの線路側に設置し乗降の時だけ扉が開くホームドアがある。
 点字ブロックは普及しているが、従来のタイプではどちらがホームの内側か外側かが分からない。ホームの内と外が判別できる「内方線付き点字ブロック」の設置を広げる必要がある。
 ホームドアは11年1月、東京のJR山手線目白駅で全盲の男性が線路に落ちて亡くなった事故を契機に設置が進んだ。といっても昨年3月末時点で設置は615駅で、全国の駅の6%ほど。青山一丁目駅にもなかった。長野県内のJR長野支社管内では高速で列車が通過する北陸新幹線佐久平、上田、飯山の3駅だけだ。
 1駅3億〜十数億円とされる費用がネックになっている。よりコストが低いワイヤやバー式も導入が始まった。国の支援を手厚くするとともに障害者の声を聞いて開発、普及を進めてもらいたい。
 駅で最も頼りになるのは周囲の人の声がけだと前野さんは言う。盲人会連合の調査でも、転落を回避できたのは周りの人に危険を教えてもらったから―との答えが多かった。
 人の目と声が「欄干」になる。「ご案内しましょうか」のひと言を誰もが言える社会でありたい。
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[京都新聞 2016年08月19日掲載]
社説:ホーム転落事故  見守り広げて防ぎたい


 東京の地下鉄で視覚障害者がホームから転落し、電車にひかれて死亡した。
 駅のホームは「欄干のない橋」にも例えられ、ほとんどの人が危険を感じた経験があるのではないか。目の不自由な人が歩く怖さはなおさらだろう。
 なぜ、痛ましい事故が後を絶たないのか。鉄道の施設面や人員態勢などの対策とともに、利用者ら周囲の見守りも広げて防ぎたい。
 事故は東京メトロの青山一丁目駅で起きた。盲導犬を連れてホームを歩いていた会社員男性が線路に落ち、直後に入ってきた電車にはねられた。まだ原因ははっきりしていないが、男性は徐々に線路側に寄り、足を踏み外すように落ちたという。前方に柱があって通れる幅が狭くなっており、転落防止用のホームドアはなかった。
 同様の事故は、2011年に全盲の男性が転落死した東京・JR目白駅など各地で相次いでいる。日本盲人会連合が同年に行ったアンケートで、視覚障害者の4割近くがホームから転落したことがあると答え、極めて危険という。
 転落防止の切り札とされるのが停車時のみ開くホームドアだ。国土交通省は目白駅の事故後、利用者が1日10万人以上と多い駅に設置を求めたが、大きく遅れている。全体でも今年3月末の設置数は665駅で数%にすぎない。
 京都市営地下鉄も東西線は1997年の開業時から全駅設置だが、それ以前の烏丸線は過去2年で3駅の設置にとどまっている。
 異なる乗降位置やホーム形状への対応に加え、費用負担がネックになっている。事故が激減する効果は実証済みであり、ロープやバーが昇降する方式など設置しやすく低コストの設備の実用化も進め、導入を加速させるべきだ。
 国は東京五輪を見据え、鉄道のバリアフリー化を掲げている。すでに訪日客増加で混雑も目立っており、目指す「観光立国」には安全対策への支援拡充が必要だ。
 一斉に整備できないため人の力が重要で、ホーム係員の増員を含め安全確認の強化が課題となる。利用者も点字ブロックをふさいだり、スマートフォンばかり見て歩くことが視覚障害者らの危険を高めかねないことを忘れてはならない。
 ホームの安全向上は、障害者だけでなく高齢者や子ども、酔った客らの事故防止や快適な利用につながる。周りに危険はないか、困っている人がいないか。「大丈夫ですか」と声を掛け、手を差し伸べる気配りを大切にしたい。
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神戸新聞 2016/08/19
社説:ホーム転落事故/視覚障害者が安全な駅に


 東京の地下鉄の駅で目の不自由な男性がホームから転落し、電車にひかれて死亡する事故が起きた。男性は盲導犬を連れていたが、誤って線路に転落した。
 転落事故はこれまでも繰り返されてきた。日本盲人会連合が2011年に視覚障害者を対象に実施したアンケートでは、36%が「転落した経験がある」と回答している。
 この春、障害者差別解消法が施行された。障害のある人の社会参加を阻む「壁」を取り除くことを目的とする。鉄道事業者は、ホームの危険性が目の不自由な人の移動を阻んでいる現実をこれまで以上に重く受け止め、対策を講じる必要がある。
 設備面の対策として取り組まれているのが、ホームの端を確認しやすい特殊な点字ブロックと転落防止用のホームドアの設置である。中でも効果的とされるのがホームドアだ。国土交通省も、1日に10万人以上が利用する駅で優先して整備するよう求めており、今年3月末までに全国665駅で設置されている。
 天井近くまですっぽり覆うタイプや高さが腰高以下の柵、バーやロープを使ったものなどいろいろな形があり、企業の開発の動きも広がる。
 ネックは数億円から十数億円かかるコストの高さだ。国と地方自治体が3分の2を補助する制度があるものの、設置数は伸び悩んでいる。
 今月、政府が「未来への投資」として発表した経済対策にホームドア設置の推進が盛り込まれた。悲劇を繰り返さないため、取り組みを急ぐべきだ。駅の利用者を対象にした国交省のアンケートで、運賃での設置費用の負担に約6割が賛同していることにも注目したい。
 ただ、それだけでは事故をなくせない。8年前、全盲の落語家、笑福亭伯鶴さんが大阪の駅でホームから転落、重体に陥る事故があった。自身も視覚障害者のライター、川田隆一さんは本紙にこう寄せた。
 「社会全体で私たち視覚障害者の安全を見守ってもらえないだろうか。『大丈夫ですか』と声を掛けてほしい。恥ずかしければ、そっと見ていてくれるだけでいい。設備だけで事故はなくせない。どうしても、人の手助けが必要なのだ」
 駅員、乗客。駅やホームに居合わせた一人一人の見守りや声掛けが命を救うことにつながる。障害者の安全に心を配りたい。
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