2016-08-31(Wed)

エレベーター事故 シンドラー事故で報告書公表 消費者事故調

09年の国土交通省事故対策委員会の調査結果をほぼ追認
 
消費者安全調査委員会(消費者事故調)は30日、東京都港区のマンションで2006年に男子高校生がシンドラーエレベータ製のエレベーターに挟まれ、死亡した事故の調査報告書公表した。

扉が開いたまま上昇した事故原因について、ブレーキ部品の摩耗や設計上の問題を挙げた09年の国土交通省事故対策委員会の調査結果をほぼ追認した上で「保守管理が不十分だった」と指摘した。
 
国交省は当時、新しく着工するエレベーターのブレーキを二重にするよう義務付けたが、報告書は「今も大半で二重ブレーキ設置が進んでいない」と指摘した。
(共同通信)

報告書 平成28年8月30日
概要 [PDF:1.4MB] 
http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/4_houkoku_gaiyou.pdf




以下引用

消費者庁ホーム > 政策 > 審議会・研究会 > 消費者安全調査委員会 >
報告書/経過報告書/評価書
http://www.caa.go.jp/csic/action/index5.html - m04
平成18年6月3日に東京都内で発生したエレベーター事故
報告書
平成28年8月30日
概要 [PDF:1.4MB]
http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/4_houkoku_gaiyou.pdf
平成28年8月30日
本文[PDF:8.5MB]
http://www.caa.go.jp/csic/action/pdf/4_houkoku_honbun.pdf

********************************

日本経済新聞 2016/8/31 1:33
シンドラー事故「保守管理、全て不十分」 消費者事故調報告書
 東京都港区で2006年、男子高校生(当時16)がシンドラーエレベータ製のエレベーターに挟まれ死亡した事故で、消費者安全調査委員会(消費者事故調)は30日、「情報伝達など保守管理に重要な点全てが不十分だった」と指摘する調査報告書公表した。扉が開いたまま上昇した原因は、ブレーキ部品の摩耗などを挙げた09年の国土交通省事故対策委員会の調査結果をほぼ追認した。
 事故は消費者事故調の設置につながり、徹底調査を望む遺族からの申し立てを受け、発足した12年に調査を決めた。
 報告書は事故を起こしたエレベーターについて、部品の位置を数ミリ単位で目視で確認する必要があるなど「保守点検員(人)に頼りすぎた機械」だったと指摘。保守管理の担当がシンドラー社から他の保守管理会社に代わる際に詳細なマニュアルが提供されない「情報伝達」の問題もあったとした。
 事故原因を巡っては、国交省の委員会がブレーキ部品の摩耗などが原因と指摘する報告書を公表消費者事故調もブレーキ内の摩擦材が十分に離れない状態で昇降し続けたため摩耗し、ブレーキが利かなくなったとの見解を示した。
 09年の改正建築基準法施行で新設のエレベーターには二重ブレーキの設置が義務付けられたが、報告書は「今も既設エレベーターの大半で設置が進んでいない」と強調。対策として所有者らに設置を促すよう国交省に求めたほか、製造業者が管理業者に保守管理マニュアルを確実に提供するよう要請した。
 事故は06年6月3日に東京都港区のマンションで発生。エレベーターが扉が開いたまま急上昇し、降りようとした都立高2年の市川大輔さんが挟まれ、死亡した。
 母親の正子さん(64)は30日に記者会見し、「事故の背景には様々な問題があった。息子の命を無駄にせず、安全に生かしてほしい」と話した。


朝日新聞 2016年8月30日23時57分
エレベーター事故「繰り返す危険性」 シンドラー事故調
 東京都で2006年に高校生が死亡したシンドラー社製エレベーター事故で、消費者安全調査委員会(事故調)は30日、調査報告書を公表した。全ての新設エレベーターに二重のブレーキ設置が義務づけられた09年以前に設置されたエレベーターでは、同様の事故が繰り返される危険性があるなどと指摘。国土交通省などに対策強化を求めた。
 事故は06年6月、港区の公共住宅で起きた。12階でシンドラー社製エレベーターのブレーキが利かなくなって突然動きだし、市川大輔(ひろすけ)さん(当時16)がエレベーターの床と乗降口の上部の間に挟まれ亡くなった。
 事故調は、ブレーキに異常摩耗が起き、保守管理業者が異常を見つけられず事故が起きたと指摘。メーカーが保守管理マニュアルを業者らに提供せず、業者の点検員が必要な資格を得ていなかったなどの問題点を挙げ、メーカーや保守管理業者、エレベーター所有者・管理者に適切な保守管理を促すよう国交省に求めた。事故調は12年10月に発足し、翌11月から調査してきた。
 事故調の持丸正明委員長代理は「実効性のある対策がとられるかどうか今後も注視する。必要なら、さらに調査や指摘を続ける」。記者会見した大輔さんの母市川正子さん(64)は「報告書が出たことは、全てのエレベーターが安全になる第一歩にすぎない。行政や関係業者らは安全確保に真剣に取り組んで欲しい」と話した。
■重い費用負担 改修進まず
 事故の教訓から09年9月に施行された改正建築基準法施行令は、新設エレベーターに、ブレーキの一部に不具合が起きても停止できるよう二重のブレーキの設置を義務づけた。国交省は補助金などの制度を作り、それ以前の既存機のブレーキ二重化も進めるよう所有者らに促す。
 だが国交省によると、一般的な既存機1台の改修で150万~500万円はかかる費用の問題や、工事中の住民の不便さなどから改修は進んでいない。国内の約73万台の既存機のうち、改修されたのは約2割の15万台程度だという。
 独立行政法人・都市再生機構が所有・管理する高島平団地(東京都板橋区)では、機構が5月から計84基のエレベーターの改修を進めている。二重ブレーキや地震時の管制装置の設置、耐震補強を行う。改修には最低で1基1週間かかり、その間は使えなくなる。費用負担も重い。ブレーキの後付けだけなら1基200万円程度だが、「本体ごと換えないと取り付けられない機種が多い」(大手エレベーター会社)ため、1千万円を超えることも。
 同団地では1棟に複数のエレベーターがあるが、低層用と高層用に分かれているため、1基でも止めると階段を使わざるを得ない住民が出る。体が不自由な人のために階段昇降ができる電動車いすを用意し、2人の係員が付き添う。
 機構は13年から全国で改修を始めたが、対象は6900基あるエレベーターのうち6千基に上る。「対応可能なのは年600台。完了まではまだまだ時間がかかる」(電気設備チームの浅原俊治主幹)
 国交省の補助に上乗せして改修を促す自治体も出てきた。東京都港区は今年度から二重ブレーキの設置費を、300万円を上限に全額補助をしている。計上した1億8千万円のうち、既に金額ベースで7割の申請があった。港区は「区民の8割以上がマンション住まい。工事を進めることが安全、安心につながる」(建築課)としている。(四倉幹木、重政紀元)


毎日新聞2016年8月31日 13時10分
シンドラー事故
戸開走行の防止不十分 消費者事故調
シンドラーエレベータ社製エレベーター事故の報告書公表で会見する持丸正明・消費者安全調査委員会委員長代理=東京都千代田区で2016年8月30日午後5時25分、内藤絵美撮影
 東京都港区で2006年6月、都立小山台高2年の市川大輔(ひろすけ)さん(当時16歳)がシンドラーエレベータ社製エレベーターに挟まれ死亡した事故について、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は30日、最終報告書をまとめた。事故後に国土交通省が打ち出した安全対策のうち、ドアが開いたまま昇降するのを防ぐ「戸開走行保護装置」の設置促進を不十分と認定。エレベーターの所有者と管理者が点検マニュアルを共有する仕組みも整備されていないことを指摘し、国交省に改善を求めた。
 消費者事故調は、コイルのショートでブレーキに不具合が生じたままエレベーターが動き続けたため、ブレーキが摩耗して十分にかからなかったことを主な原因と判断した。また、ブレーキ部品の稼働を目視でしか確認できない点を「適切な調整ができない可能性があり、保守点検員に頼り過ぎた」と批判した。
 エレベーターは事故が起きるまでシンドラー社を含めた3社が保守管理にあたったが、その際に必要な点検マニュアルは共有されなかった。過去に発生した不具合の情報が詳細に引き継がれなかった理由については、3社が「競争関係にあったため」と分析した。
 国交省は09年の建築基準法改正後に新設・改修されたエレベーターについて、戸開走行保護装置の設置や、点検マニュアルの提供を義務づけた。今年2月に示したガイドラインでは、製造業者が作成した保守点検に関する文書を所有者が保存し、必要に応じて業者が閲覧できるようにすることを掲げた。
 しかし事故調は、既設のエレベーター約70万台について、戸開走行保護装置の後付けがほとんど進んでいない▽点検マニュアルの共有が担保されていない−−と指摘。現状を把握、分析して対策を講じるよう要求した。
 シンドラー社のエレベーター事故は12年11月、消費者事故調による最初の調査対象として選定された。国交省の調査や警視庁の捜査が先行し、事故機が分解されていたこともあって調査は難航。事故原因の調査結果は、09年9月に国交省が出した事故報告書と同様の内容となった。【鳴海崇、西田真季子】
「安全にどう生かすか重要」市川さん母会見
 「一歩も二歩も踏み出してくれた」。エレベーター事故で亡くなった市川大輔さんの母正子さん(64)は30日の記者会見で、消費者事故調の最終報告書を高く評価した。一方で「報告書をどう安全に生かすかが重要」と話し、国土交通省やエレベーター業界の今後の対応を注視する考えを示した。
 大輔さんが亡くなってから10年。正子さんは事故原因の究明や再発防止を訴え続けてきた。「報告書にはエレベーターの安全にかかる大きな問題と背景が、さまざまな形で書かれてあった」。望んできたことが実を結んだ。
 それでも、大輔さんにはまだ報告できないという。「報告書が出て終わりではない」。全エレベーターに対する戸開走行保護装置の設置義務化など、正子さんが目標にしている安全対策の充実は道半ばだ。消費者庁は1年後をめどに、国交省や業界の取り組み状況を評価する。正子さんは「本当に安全につなげていけるか見ていきたい」と話した。
 調査開始から最終報告書公表まで3年10カ月かかったことについて、消費者事故調は「エレベーターの設計上の問題や、国交省が見つけられなかった課題がないか確認するのに時間がかかった」と説明した。正子さんは「再発防止を考えると長くかかるのは良いことではない」と苦言を呈し、同席した代理人弁護士も「人手や能力がなかったことを認め、予算や人員の確保に動いてほしい」と批判した。【鳴海崇】
◇シンドラー社エレベーター事故の経過◇
2006年6月3日 事故発生。
  08年12月 遺族がシンドラー社などに2億5000万円の賠償を求めて東京地裁に提訴
  09年2月 国土交通省が昇降機等事故対策委員会を新設
     3月 警視庁がシンドラー社幹部ら計6人を業務上過失致死容疑で書類送検
     7月 東京地検がシンドラー社幹部ら5人を業務上過失致死罪で在宅起訴
     9月 国土交通省が事故調査報告書を公表
  12年10月 消費者事故調が発足
  13年8月 消費者事故調が中間報告を公表
     10月 被告の元シンドラー社東京支社保守部長が病死。東京地裁が公訴を棄却
  15年9月 東京地裁がシンドラー社課長に無罪、保守管理会社の3人に有罪の判決(いずれも東京高裁に控訴、係争中)
  16年4月 シンドラー社が日本からの事業撤退を発表
     8月 消費者事故調が最終報告書を公表


NHK 8月31日 7時52分
エレベーター 安全装置など新たな対策進まず
平成18年に東京・港区で高校生が死亡した、シンドラーエレベータの事故について、消費者安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は、30日にまとめた報告書の中で、エレベーターが扉が開いたまま動き出したときに作動する安全装置は必要不可欠だと指摘しましたが、対策は進んでいないのが現状で、今後も設置が進まない場合は、新たな行動を起こしたいとしています。
今から10年前の平成18年、東京・港区のマンションで、扉が開いたまま突然エレベーターが上昇し、降りようとしていた高校2年の男子生徒が挟まれて死亡する事故が起きました。
 この事故のあと、エレベーターの新たな安全対策として、ブレーキを二重にしたうえで、扉が開いたまま動き出したときに自動的に停止する装置を設けることが義務づけられましたが、これより前に設置されたエレベーターは対象外となっています。
 このため対策は進んでいないのが現状で、国土交通省によりますと、対策が義務づけられた新しいエレベータ-も含め、全国のおよそ73万台のうち、現在の基準を満たす安全対策がとられているのは、およそ2割に当たる15万台にとどまっているということです。
 これについて消費者事故調は、30日にまとめた報告書の中で、今も同様の事故が起こる危険性が残されているとして、安全装置は必要不可欠であり、義務化の対象外のエレベーターも含めて対策を進めるよう、国土交通省に求めました。
 消費者事故調の持丸正明委員長代理は「実際に安全装置の設置がどれくらい進んでいくのか、フォローアップをしていき、促進策が実施されても十分な結果が出ない場合は、新たなアクションを起こしていきたい」と話しています。
問題は「費用」と「運転停止」 工事進める動きも
エレベーターの安全対策が進んでいない理由について、国土交通省などは、改修には1台当たり少なくとも数百万円の費用がかかることや、最低1週間程度は運転を止めなければならないことなどを挙げています。
 こうしたなか、全国で賃貸住宅を管理・運営しているUR都市機構は、平成25年から年間600台ほどのペースで対策工事を進めています。対象は改修が必要なすべてのエレベーターで、全国でおよそ6000台に上るということです。
 UR都市機構の浅原俊治さんは「エレベーターはライフラインであり、工事の間は高層階の人や身体の不自由な人をはじめ、生活に与える影響は大きいが、安全、安心のために、住民の理解と協力を得ながら進めていきたい」と話しています。


NHK 8月30日 19時18分
エレベーター死亡事故で消費者事故調が報告書
平成18年に東京・港区で高校生が死亡した「シンドラーエレベータ」の事故について、原因や再発防止策を独自に検討してきた、消費者安全調査委員会=いわゆる消費者事故調は、保守管理が不十分だったとする報告書をまとめました。再発防止策として、保守管理がしやすい設計などを求めるとともに、建物の所有者などが安全対策に主体的に関わる必要があると指摘しています。
今から10年前の平成18年、東京・港区のマンションで、扉が開いたまま突然エレベーターが上昇し、降りようとしていた高校2年の男子生徒が挟まれて死亡する事故が起きました。
 平成24年に発足した消費者事故調は、すでに報告書が出されていた国土交通省の調査とは別に独自に調査を行い、30日、報告書をまとめました。
この中で、事故の直接の原因については、国交省の調査結果と同様に、エレベーターのブレーキ部分がすり減って効かなくなったことだとしています。
 そのうえで、点検などの保守管理について、シンドラーエレベータ社から点検業務を引き継いだ業者への「情報伝達」や、作業に当たる人の「質の確保」などが不十分だったと指摘しています。
 そして、再発防止策として、保守管理のしやすさを考慮した設計をメーカーに徹底させることや、点検マニュアルを業者に提供するようメーカーに促すことなどを、国土交通省に求めています。
 さらに、エレベーターの保守管理は建物の所有者や管理者の義務だと指摘し、マンションの管理組合などが主体的に関わる必要があるとして、適切な業者の選定や、ブレーキを二重化するなどの安全対策を責任を持って進めるよう、取り組みを促すことを求めています。
母親「報告書をどう生かすのかが重要」
事故で亡くなった市川大輔さんの母親の正子さんは、「事故から10年という時間がかかりましたが、心は感謝の思いです。報告書が出ても、それをどう生かすのかが重要だと思っている。息子の命をむだにせず、事故の教訓をエレベーターの安全に生かしてもらいたい。私もずっと意見を伝えながら一緒に歩いていきたいと思います」と話していました。
国土交通省「内容精査し対応を検討」
消費者事故調の報告書について、国土交通省は「報告書を見ていないので、内容を精査したうえで今後の対応を検討していきたい」としています。
専門家「抜本的な提案なし」
今回の報告書について、エレベーターの事故に詳しい明治大学の向殿政男名誉教授は「事故の物理的な原因だけではなく、保守管理の在り方や所有者・管理者の責任など、幅広い観点を盛り込み、よくまとまっている」としながらも、「エレベーターの安全対策が進んでいない現状を解決するための抜本的な提案がなく、残念だ。消費者事故調としては、もっと抜本的に新たな体制を考えるとか、国が金を出してもいいからちゃんとやるようにするべきだとか、そうしたインパクトのある提案があってもよかったのではないか」と指摘しています。
 さらに、エレベーターの所有者が安全について責任を持つことになる今の制度では限界があるとして、「所有者がメーカーとリース契約を結ぶなど、最後の最後までメーカーに責任を持たせるような新たな仕組みを考えていくべきではないか」と話しています。
エレベーター事故 これまでの経緯
平成18年に東京・港区のマンションで起きたエレベーター事故では、高校2年生だった市川大輔さん(当時16)が、扉が開いたまま突然上昇したエレベーターに挟まれて亡くなりました。
 この事故について、国土交通省は平成21年9月、エレベーターのブレーキ部分がすり減って効かなくなったことが原因だとする報告書をまとめました。
 それから3年後の平成24年10月に、身近な製品事故の原因究明や再発防止を目指して消費者事故調が発足すると、亡くなった大輔さんの母親の市川正子さんは、事故の原因を明らかにして再発防止策を検討するよう求めていました。
 これを受けて消費者事故調は、利用者の安全という観点から独自に調査することを決め、メーカーからの聞き取りや事故を起こした機械の調査を行って事故原因を検証するとともに、保守管理の実態を調べるために18の業者から聞き取り調査を行うなどしてきました。
 今回の調査は消費者事故調にとって最初の案件でしたが、独自調査の開始から報告書の作成までおよそ3年かかり、「時間がかかりすぎている」という指摘も出されています。
 これについて、消費者事故調の持丸正明委員長代理は「時間がかかったことは申し訳なく思っているが、保守管理も含め業界全体を幅広く調査する必要があったことや、裁判が係争中で関係者からのヒアリングに時間を要した」として、必要なプロセスだったと説明しています。
 一方、この事故では、「シンドラーエレベータ」の点検責任者や保守会社の会長らが安全管理を怠ったとして業務上過失致死の罪に問われました。東京地方裁判所は去年9月、点検責任者の社員を無罪とする一方で、保守会社の会長ら3人には執行猶予の付いた有罪判決を言い渡し、検察や被告側が控訴しています。

東京新聞 2016年8月31日 朝刊
シンドラーエレベーター死亡 消費者事故調「保守管理が不十分」
◆報告書を公表
 消費者安全調査委員会(消費者事故調)は三十日、東京都港区のマンションで二〇〇六年に男子高校生がシンドラーエレベータ社製のエレベーターに挟まれ、死亡した事故の調査報告書を公表した。扉が開いたまま上昇した事故原因について、ブレーキ部品の摩耗や設計上の問題を挙げた〇九年の国土交通省事故対策委員会の調査結果をほぼ追認した上で「保守管理が不十分だった」と指摘した。
 国交省は当時、新しく着工するエレベーターのブレーキを二重にするよう義務付けたが、報告書は「今も大半で二重ブレーキ設置が進んでいない」と指摘した。国交省などによると、国内で稼働する約七十二万台の八割程度は未設置となっている。
 事故は消費者事故調の設置につながり、一二年の発足後初めて調査対象に選定した一つだった。報告書公表までに約三年十カ月、事故からも十年超が経過しており、調査の遅さが批判されそうだ。
 報告書によると、ブレーキ内の電磁コイルがショートし、摩擦材が十分に離れない状態で昇降し続けたため摩耗し、ブレーキが利かなくなった。冷却装置がなく、機器の過熱が影響した可能性も挙げた。
 保守管理については(1)点検に必要な技術が書かれたマニュアルの提供が不十分(2)点検業者による過去の不具合や点検内容の記録が不適切(3)所有者や管理者も積極的に引き継ぎや共有をしていない-と指摘した。
 対策として、国には二重ブレーキの重要性を所有者らに認識させ、設置の検討など主体的な関与を促すよう求めた。
 メーカーには最新のマニュアルを確実に提供するよう要請。異常を見つけやすい設計にし、点検が必要な部分を分かりやすく示すよう求めた。
 点検業者には不具合や点検内容を作業報告書に詳しく記録し、これを所有者らが適切に保存して引き継ぐ重要性も強調した。緊急時の連絡・救助態勢の確保も呼び掛けた。
◆事故から10年超「遅過ぎる」 専門家「体制見直すべき」
 シンドラーエレベータ社製のエレベーター事故で、遺族は速やかな再発防止策を繰り返し国に求めたが、消費者事故調が三十日に最終報告をまとめ、その声に応えるまでに十年超を要した。専門家は「遅過ぎる」と批判し、体制見直しの必要性を指摘する。
 消費者事故調は消費者事故専門の調査機関として、二〇一二年成立の改正消費者安全法に基づき設立。〇六年に起きた今回の事故は一二年十一月に対象に選定された。
 それから報告までに三年半以上かかった理由を、事故調関係者は「選定時点で六年以上経過し、関係者の記憶が曖昧になっていた。意見の聴取が難航した」と釈明。別の関係者は「調査手法などのノウハウが乏しい。走りながら能力を高めている」と話す。
 だが、国土交通省によると、昨年末までの約十年間にエレベーターの扉が開いた状態で昇降した同種の事例は少なくとも八件あった。うち一二年十月には金沢市のホテルで、女性清掃員がシンドラー社製機に挟まれ、死亡した。
 速やかに再発防止策を打ち出すには、調査の質を維持しながらスピードも求められる。事故調の持丸正明委員長代理は三十日、報告書を公表した際の記者会見で「調査を効率化し、スムーズに(対策を盛り込んだ報告書を)出していきたい」と語った。
 消費者事故に詳しい中村雅人弁護士は「暮らしの中で起こり得る重大事故が幅広く対象になるため役割は極めて重要。本来一年以内に調査結果を報告する制度になっていたはずだ」と指摘。「時間がかかった原因を分析し、体制を見直すべき時期に来ている」とした。

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