2016-09-18(Sun)

沖縄・辺野古 高裁不当判決 社説等(1) 県民の怒りと結束さらに強く

地方分権に逆行 対等の精神ないがしろ 異常な恫喝と決めつけ

<各紙社説・主張>
朝日新聞)辺野古判決 それでも対話しかない(9/17)
毎日新聞)辺野古で国勝訴 解決には対話しかない(9/17)
日本経済新聞)「北風」で普天間移設できるか (9/17)
しんぶん赤旗)沖縄・高裁不当判決 県民の怒りと結束さらに強く(9/18)
琉球新報)辺野古訴訟県敗訴 地方分権に逆行 知事は阻止策を尽くせ(9/17)
沖縄タイムス)[辺野古訴訟 県敗訴]異常な恫喝と決めつけ(9/17)
沖縄タイムス)[辺野古判決と自治権]対等の精神ないがしろ(9/18)




以下引用



朝日新聞 2016年9月17日05時00分
(社説)辺野古判決 それでも対話しかない


 国の主張が全面的に認められた判決だ。だからといって、政府が沖縄の不信を解く努力を怠れば、問題解決には決してつながらない。
 米軍普天間飛行場辺野古移設をめぐり、国と県が争った裁判で、福岡高裁那覇支部は国側勝訴の判決を言い渡した。
 「普天間の被害を除去するには辺野古に基地を建設する以外にない」と言い切ったことに、大きな疑問を感じる。
 長い議論の歴史があり、国内外の専門家の間でも見解が分かれる、微妙で複雑な問題だ。だが、この訴訟で裁判所が直接話を聞いたのは翁長雄志知事ひとりだけ。それ以外の証人申請をことごとく退け、法廷を2回開いただけで打ち切った。
 そんな審理で、なぜここまで踏みこんだ判断ができるのか。しなければならないのか。結論の当否はともかく、裁判のあり方は議論を呼ぶだろう。
 国と県はこの春以降、話しあいの期間をもった。だが実質的な中身に入らないまま、参院選が終わるやいなや、国はこの裁判を起こした。
 判決は「互譲の精神」の大切さを説き、「国と県は本来、対等・協力の関係」と指摘しながらも、結果として国の強硬姿勢を支持したことになる。
 辺野古移設にNOという沖縄の民意は、たび重なる選挙結果で示されている。
 翁長知事は判決後の会見で、最高裁の確定判決が出れば従う姿勢を明確にする一方、「私自身は辺野古新基地を絶対に造らせないという思いをもってこれからも頑張りたい」と語った。
 国が埋め立て計画の変更申請を出した際など、様々な知事権限を使って抵抗する考えだ。
 一日も早く普天間の危険をなくしたい。その願いは政府も県も同じはずだ。対立ではなく、対話のなかで合意点を見いだす努力を重ねることこそ、問題解決の近道である。
 だが参院選後、政府による沖縄への一連の強腰の姿勢に、県民の不信は募っている。
 大量の機動隊員に守らせて東村高江の米軍ヘリパッド移設工事に着手し、工事車両を運ぶため自衛隊ヘリを投入した。来年度予算案の概算要求では、菅官房長官らが基地問題と沖縄振興のリンク論を持ち出した。
 政府が直視すべきは、県民の理解がなければ辺野古移設は困難だし、基地の安定的な運用は望み得ないという現実だ。
 県民の思いと真摯(しんし)に向き合う努力を欠いたまま、かたくなな姿勢を続けるようなら、打開の道はますます遠のく。
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毎日新聞2016年9月17日 東京朝刊
社説:辺野古で国勝訴 解決には対話しかない


 沖縄県・米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる国と県の対立は、最終的に裁判で決着させるのは難しく、話し合いで解決するしかない。
 翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古の埋め立て承認を取り消した処分を撤回しないのは違法だとして、国が知事を訴えた違法確認訴訟で、福岡高裁那覇支部は、国の主張を全面的に認める判決を言い渡した。
 判決は「普天間の被害を除去するには辺野古以外にない」と断定した。「県外移設はできない」という国の判断について「戦後70年の経過や現在の世界、地域情勢から合理性があり尊重すべきだ」とした。
 沖縄県は上告する方針だ。翁長氏は判決について「地方自治制度を軽視し、県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断」と批判し、あらゆる手段を使って辺野古移設を阻止する考えを示した。
 この先、最高裁がどういう判断をするかは見通せない。ただ、最高裁で国の勝訴が確定したとしても、知事の権限は大きく、翁長氏にはいくつかの対抗手段がある。
 例えば、埋め立て承認の「取り消し」ではなく、改めて承認を「撤回」する可能性が指摘されている。
 取り消しが、承認時の手続き上の瑕疵(かし)を理由にした処分なのに対し、撤回は承認後の状況の変化を理由にした処分だ。
 また、移設計画の変更が必要になった場合、国は改めて知事の承認を得る必要がある。知事が承認しなければ計画は進まなくなる。
 福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、以前の国と県との代執行訴訟でも裁判長を務めた。その時の和解勧告は、国が勝っても「延々と法廷闘争が続く可能性がある」として、国と県が話し合って最善の解決策を見いだすのが本来あるべき姿だと指摘していた。
 今回の判決文でも、国と県の対立について「互譲の精神により解決策を合意することが対等・協力の関係という地方自治法の精神から望ましい」としている。そのうえで「その糸口すら見いだせない」と話し合い解決の可能性に否定的な見方を示し、判決を出したのだと説明した。
 自民党の二階俊博幹事長は先日、翁長氏と会談した際、戦後日本の安全保障を支えた沖縄の歴史に触れたという。翁長氏は「そういう言葉から始まることが首相官邸ではなかった。大きな壁をつくりながら話をするのか、耳を傾けて話をするのか全然違う」と、沖縄に冷淡な官邸の姿勢を批判した。
 政府は沖縄と形だけの協議はしても、真剣に議論しようという態度に欠けていたのではないか。対話による解決にもっと努力すべきだ。
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日本経済新聞 2016/9/17付
社説:「北風」で普天間移設できるか


 米軍普天間基地の沖縄県名護市辺野古への移設をめぐる国と県の争いに初の司法判断が下った。ただ、敗訴した県は最高裁に上告する方針で、決着にはなお時間がかかる。国は最高裁でも勝つに決まっているとたかをくくらず、県との歩み寄りに努めるべきだ。
 辺野古移設に必要な公有水面の埋め立ては知事に諾否を決める権限がある。仲井真弘多前知事は承認したが、翁長雄志現知事は取り消した。福岡高裁那覇支部は知事の取り消しを取り消せという国の主張は妥当だと判断した。
 判決は、国防・外交上の事項は「国の本来的任務」であり、「尊重されるべきだ」と指摘した。同時に普天間基地の県内移設によって「基地負担が軽減される」として「承認を取り消すべき公益上の必要が優越しているとはいえない」と強調した。
 国の言い分をそのまま認めた形であり、最高裁もこれを踏襲する可能性が高い。問題は、司法判断が確定したとしても、それで移設がすんなり進むとは言い切れないところにある。
 沖縄ではこのところ国政選で移設反対の候補が勝ち続けている。この民意を追い風に翁長知事はあらゆる権限を駆使して移設工事を妨げる考えだ。
 他方、安倍政権は2017年度予算案の概算要求で沖縄関連予算を減らした。「毎年使い切れていない」と説明するが、減額すれば兵糧攻めと受け取られることはわかっているはずだ。
 双方の対立は移設の是非はどこへやら、もはや感情論の域に達している。本土は沖縄のことをないがしろにしている。県民がそう考え続ける限り、打開の糸口は見いだせない。
 政治的困難を解決するには北風を吹かせるだけでなく、太陽も必要だ。自民党の二階俊博幹事長が訪沖し、翁長知事に「難しいことはたくさんあるが乗り越えたい」と伝えたそうだ。こうした信頼関係づくりは重要だ。政府がどう動くのかに注目したい。
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しんぶん赤旗 2016年9月18日(日)
主張:沖縄・高裁不当判決 県民の怒りと結束さらに強く


 沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる名護市辺野古の新基地建設問題で、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの撤回に従わないのは違法だとして国が訴えた「違法確認訴訟」で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は、国側の主張を全面的に追認する極めて不当な判決を下しました。判決自身が裁判所は中立・公平であるべきだとしながら「政府の追認機関」に成り下がり、「沖縄県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断」(翁長氏)を行い、司法の責務を自ら否定したものとして到底許すことはできません。
安倍政権の主張そのまま
 今回の不当判決の最大の特徴は、「埋め立ての必要性の中で軍事的な面について踏み込んだ判断を行い、他方では自然環境面については一切考慮しない」(翁長氏)内容だということです。
 判決は、普天間基地の被害は基地の閉鎖という方法で改善される必要があるとしつつ、▽在沖縄海兵隊全てを県外に移転することができないという国の判断は尊重すべきだ▽そうすると県内に普天間基地の代替基地が必要▽辺野古の他に県内の移転先は見当たらない▽よって普天間基地の被害を除去するには辺野古新基地を建設する以外にない―としています。
 沖縄県側の反論で既に破綻済みの「沖縄の地理的優位性」や「海兵隊の一体的運用」論に固執して「辺野古が唯一の解決策」とする安倍政権の主張そのままです。
 県側が「地理的優位性」を否定する根拠に中国のミサイルの射程内にある沖縄への米軍基地集中はリスク(危険)が高いとの専門家の指摘を挙げると、判決は北朝鮮の「ノドン」ミサイルは射程外だという全く反論にならない主張までするありさまです。安倍政権への擁護ぶりが際立っています。
 しかも、判決は、辺野古新基地の建設を中止するには普天間基地の被害を継続するしかないとまで述べています。安倍政権が沖縄県民に新基地を受け入れさせるために使ってきたどう喝まで同じという異常さです。翁長氏が「あ然としている」「驚きを禁じ得ない」と述べたのはあまりにも当然です。
 辺野古新基地は、海兵隊の海外侵攻のため、垂直離着陸機オスプレイが配備され、強襲揚陸艦が接岸できる港湾機能なども新たに備えた巨大出撃拠点として計画されています。老朽化して使い勝手の悪い普天間基地の単なる「移設」という生易しい代物ではありません。オスプレイ・パッド(着陸帯)の建設が強行されている北部訓練場(東村、国頭村)などとも一体的に運用され、訓練の激化など被害も拡大しかねません。判決が「県全体としては基地負担が軽減される」などと主張することは、沖縄の基地の現実を全く分かっていないと言わざるを得ません。
自然環境の破壊考慮せず
 判決が、埋め立てに10トントラック約340万台分の土砂を使い、希少生物が多様に生息する貴重な自然環境を破壊することを何ら考慮していないことも重大です。
 翁長知事は、今回の判決によって沖縄県民の反発と結束はより強くなると述べ、「辺野古新基地は絶対に造らせない」と強調しました。辺野古新基地ノー、普天間基地閉鎖・撤去を求める世論と運動をさらに大きく広げる時です。
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琉球新報 2016年9月17日 06:01
<社説>辺野古訴訟県敗訴 地方分権に逆行 知事は阻止策を尽くせ


 前知事の名護市辺野古海域の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分を違法とする判決が、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で下された。辺野古新基地に反対する県民世論を踏みにじり、新基地建設で損なわれる県益を守る地方自治の知事権限を否定する判決であり、承服できない。
 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る初の司法判断である。しかし国の主張をそのままなぞったような内容で、三権分立の原則を逸脱した判決と言わざるを得ない。翁長知事は上告審での反論とともに、知事権限を駆使して新基地建設への反対を貫いてもらいたい。
◇環境保全策を軽視
 判決には大きな疑問点が二つある。まず公有水面埋め立ての環境保全措置を極めて緩やかに判断している点だ。
 判決は「現在の環境技術水準に照らし不合理な点があるか」という観点で、「審査基準に適合するとした前知事の判断に不合理はない」と軽々しく片づけている。
 果たしてそうだろうか。専門家は公有水面埋立法について「環境保全が十分配慮されない事業には免許を与えてはならない」と指摘している。埋め立てを承認した前知事ですら、環境影響評価書について県内部の検討を踏まえ、「生活環境、自然環境の保全は不可能」と明言していた。
 大量の土砂投入は海域の自然を決定的に破壊する。保全不能な保全策は、保全の名に値しない。
 辺野古周辺海域はジュゴンやアオサンゴなど絶滅が危惧される多様な生物種が生息する。県の環境保全指針で「自然環境の厳正なる保護を図る区域」に指定され、世界自然遺産に値する海域として国際自然保護連合(IUCN)が、日本政府に対し4度にわたり環境保全を勧告している。
 判決は公有水面埋立法の理念に反し、海域の保全を求める国際世論にも背を向けるものと断じざるを得ない。
 判決はまた、「普天間飛行場の被害をなくすには同飛行場を閉鎖する必要がある」、だが「海兵隊を海外に移転することは困難とする国の判断を尊重する必要がある」「県内ほかの移転先が見当たらない以上、本件新施設を建設するしかない」という論法で辺野古新基地建設を合理的とする判断を示した。
 普天間飛行場の移設先を「沖縄の地理的優位性」を根拠に「辺野古が唯一」とする国の主張通りの判断であり、米国、米軍関係者の中にも「地理的優位性」を否定する見解があるとする翁長知事の主張は一顧だにされなかった。
◇県益より国益優先
 判決は国の主張をほぼ全面的に採用する内容だ。裁判で翁長知事は辺野古新基地により「将来にわたって米軍基地が固定化される」と指摘した。その上で「県知事としての公益性判断を尊重してほしい」と訴えたが、判決は県民の公益性よりも辺野古新基地建設による国益を優先する判断に偏った。
 「国と地方の関係は対等」と位置付けた1999年の地方自治法改正の流れにも逆行する判決と言わざるを得ない。
 上告審での訴訟継続とともに、翁長知事にはなお、「埋め立て承認撤回」や「埋め立て工事の変更申請の判断」「岩礁破砕許可の更新判断」などの法的権限が留保されている。
 IUCNの環境保全の勧告、米退役軍人が年次総会で辺野古新基地建設の中止を求める決議を行うなど、支援は海外にも広がっている。さらに国際世論を喚起することも今後の重要な方策だろう。
 翁長知事は今回の違法確認訴訟の陳述で「辺野古の問題は沖縄県だけでなく地方自治の根幹、民主主義の根幹にかかわる問題。全てが国の意思で決まるようになれば、地方自治は死に、日本の未来に禍根を残す」と訴えていた。
 上告審の最高裁が県益を代表する知事の主張に正当な判断を下すか、司法の責任が問われる。
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沖縄タイムス 2016年9月17日 07:00
社説[辺野古訴訟 県敗訴]異常な恫喝と決めつけ


 県は敗れた。県側の主張はことごとく否定された。まるで国側の主張をそっくりそのまま引き写し、県に突きつけたかのような判決だ。
 戦後70年以上も続く過重な基地負担、基地維持を優先した復帰後も変わらぬ国策、地位協定の壁に阻まれ今なお自治権が大きな制約を受けている現実-こうした点が問題の核心部分であるにもかかわらず、判決はそのことに驚くほど冷淡だ。
 冷淡なだけではない。自身の信条に基づいて沖縄の状況を一方的に裁断し、沖縄の民意を勝手に解釈し、一方的に評価する。県敗訴は当初から予想されてはいたが、これほどバランスを欠いた独断的な判決が出るとは驚きだ。
 司法の独立がほんとうに維持されているのかという根源的な疑いさえ抱かせる判決である。とうてい承服できるものではない。
■    ■
 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国が翁長雄志知事を訴えた「不作為の違法確認訴訟」の判決が16日、福岡高裁那覇支部で言い渡された。
 多見谷寿郎裁判長は、前知事が行った埋め立て承認に裁量権の逸脱・乱用による違法性はなく、翁長知事の承認取り消しは違法との判断を示した。
 公有水面埋立法に基づく県知事の埋め立て承認は「法定受託事務」と位置づけられている。判決は、法定受託事務に関する国の是正指示がなされた場合、「地方公共団体はそれに従う法的義務を負い」「それをしない不作為は違法となる」と指摘。埋め立て承認取り消し処分の取り消しを求める石井啓一国土交通相の是正の指示に知事が従わないのは違法、だと断じている。
 代執行訴訟で国と県の和解を勧告したのは多見谷裁判長である。政府は和解に応じた。だが、それは協議を重視したからではなく、高裁から国敗訴の可能性を指摘されたからである。安倍晋三首相がオバマ米大統領に「急がば回れ」と語ったのは、こうした背景があるからだ。
 3月4日に和解が成立すると、土、日を挟んで7日、直ちに翁長知事に対し、是正の指示を行った。政府自ら信頼関係を壊してしまったのだ。
 県は是正指示を不服として国地方係争処理委員会(第三者機関)に審査を申し出た。係争委は適否の判断をせず、「真摯(しんし)に協議することが最善の道」だと異例の結論をまとめた。ところが、判決は、国に話し合いを促すのではなく、早期の司法決着をめざす国の主張を全面的に取り入れたのである。
■    ■
 和解を勧告した当の裁判所が、ここに来て「互譲の精神による解決策の合意は無理」だと見切りをつけるのだから、なにをかいわんやだ。
 一連の過程を振り返ると、国と司法が「あうんの呼吸」でことを進めてきたのではないか、という疑いを禁じ得ない。
 沖縄の地理的優位性や海兵隊の一体的運用などについても、判決は、ことごとく国側の考えを採用している。
 判決は、普天間飛行場の被害を除去するためには辺野古に新施設を建設するしかない。辺野古の新施設建設を止めれば普天間の被害を継続するしかない-とまで言ってのける。
 これはもはや裁判の判決と言うよりも一方的な決めつけによる恫喝(どうかつ)というしかない。そのようなもの言いを前知事が「政治の堕落」だと批判していたことを裁判官は知っているのだろうか。
■    ■
 これほど、得るところのない判決は、めずらしい。裁判官の知的誠実さも伝わってこない。
 北朝鮮の「ノドンの射程外となるのは我が国では沖縄などごく一部」だと指摘し、沖縄の地理的優位性を強調している判決文を読むと、ただただあきれるばかりである。
 県は最高裁に上告する考えを明らかにしている。高裁判決を丁寧に冷静に分析し、判決の問題点を明らかにしてほしい。
 モンスターと対峙(たいじ)しているために自分がモンスターにならないよう、常に「まっとうさ」を堅持し、あらゆる媒体を利用して現状の理不尽さをアピールしてもらいたい。
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沖縄タイムス 2016年9月18日 09:54
社説[辺野古判決と自治権]対等の精神ないがしろ


 名護市辺野古の新基地建設を巡り、国が翁長雄志知事を訴えた「不作為の違法確認訴訟」で福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)が言い渡した判決は、改正地方自治法の精神を生かさず、むしろ後退させたというほかない。
 判決では「国が説明する国防・外交の必要性について、具体的に不合理な点がない限り、県は尊重すべきだ」と言い切っている。国が辺野古に新基地を建設するといえば、県はその考えに従え、と言っているのに等しい。
 国防・外交は国の専管事項という考えだ。だが、地方公共団体には住民の生命や人権、生活を守る責務がある。地域の意思を無視して米軍基地が建設されれば、地方自治や民主主義の破壊である。
 1999年に地方自治法が改正され、国と地方公共団体は「上下・主従」から「対等・協力」の関係に転換した。他ならぬ多見谷裁判長が今年1月に双方に提示した和解勧告文で言及したことである。政府と県との間で互いに訴訟が相次ぎ、沖縄対日本政府の対立という構図は、改正地方自治法の精神にも反すると指摘していた。
 多見谷裁判長は「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国にも協力を求めるべきである」と本来あるべき姿にも言及していたが、判決は地方自治の精神をないがしろにするものだ。同じ裁判長とは思えぬ豹(ひょう)変(へん)ぶりである。
 判決は国地方係争処理委員会の存在意義を否定している。地方自治の観点から、国と地方の紛争を解決する第三者機関としての在り方を問い返す必要がある。
■    ■
 民意についても判決は奇妙な論理を展開している。
 普天間飛行場の移設は基地負担の軽減につながるとした上で、辺野古新基地は「建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとはいえない」との見方を示している。何が言いたいのだろうか。
 前提が間違っている。新基地が普天間の半分以下だから負担軽減とするが、新基地には強襲揚陸艦が接岸する岸壁やオスプレイなどに弾薬を積み込む「弾薬搭載エリア」が設置される。周辺基地と一体化した軍事要塞(ようさい)化である。
 前知事が辺野古埋め立てを承認して以来、名護市長選、知事選、衆院選の全4沖縄選挙区、参院選沖縄選挙区のすべてにおいて辺野古新基地反対の候補が勝利している。
 判決は選挙という民主的方法で示される民意を軽んじているとしかいいようがない。
■    ■
 納得できないのは、埋め立てで米軍基地ができる可能性のある「40都道府県」の全知事が住民の総意として埋め立て承認を拒否した場合、地方公共団体が国の判断に優越することになりかねないと強調している点だ。
 地方自治の否定であり、なぜ沖縄なら許されるのか。判決も「構造的沖縄差別」を追認しているのである。
 20年前の代理署名訴訟と違い、改正地方自治法の精神を酌んだ判決が出るのでは、と期待する向きもあったが、一顧だにしなかった。
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