2016-09-19(Mon)

沖縄・辺野古 高裁不当判決 社説等(2)沖縄の怒りは増すばかり

沖縄の声は変わるまい  対話路線へ転換すべきだ  誠実さ欠く政府の姿勢 

<各紙社説・論説>
北海道新聞)「辺野古」国勝訴 沖縄の声は変わるまい(9/17)
東奥日報)誠意ある協議が打開策だ/辺野古訴訟 国勝訴(9/18)
岩手日報)辺野古移設訴訟 国は拳を下ろさないか(9/17)
新潟日報)辺野古移設判決 対話路線へ転換すべきだ(9/17)

信濃毎日新聞)辺野古判決 誠実さ欠く政府の姿勢(9/17)
福井新聞)辺野古訴訟判決 もっと沖縄直視すべきだ(9/17)
京都新聞)辺野古訴訟判決  司法で決着する問題か(9/17)
神戸新聞)辺野古判決/沖縄の怒りは増すばかり(9/17)




以下引用



北海道新聞 2016/09/17 08:55
社説:「辺野古」国勝訴 沖縄の声は変わるまい


 沖縄が戦後負ってきた重い基地負担への配慮を欠く判決だ。
 米軍普天間飛行場辺野古移設を巡る訴訟で福岡高裁那覇支部はきのう、埋め立て承認を取り消した翁長雄志(おながたけし)知事の対応を違法とする国側勝訴の判決を言い渡した。
 知事は上告する方針を示した。知事は「確定判決には従う」としているものの、他のあらゆる手段を尽くして辺野古移設を阻止する姿勢は揺らいでいない。
 政府は勝訴が確定すれば埋め立て工事を再開するとみられるが、それでは混迷は深まるばかりだ。判決を盾に強硬姿勢を取っても問題の解決に資することはない。県と誠実に協議するべきだ。
 判決は「普天間の危険を除去するには辺野古以外にない」と断定、国の主張を全面的に認めた。
 知事は「沖縄県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断だ」と批判し、「(裁判所が)政府の追認機関であることが明らかになり、大変失望している」と強い不満を表明した。
 当然ではないか。そもそも国と県が3月に受け入れた同じ福岡高裁那覇支部の和解勧告には、国と地方を「対等・協力の関係」とした1999年の地方自治法改正に触れた上で、こう書いてある。
 「本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである」
 沖縄に寄り添い、辺野古に代わる選択肢に全力を挙げて知恵を絞れとも読める。それがなぜ、国の言い分だけに軍配を上げたのか。
 判決は「国防・外交は自治体の所管ではなく、不合理と認められない限り尊重すべきだ」とした。そこに、地方自治の精神を尊重する姿勢は感じられない。
 菅義偉官房長官は判決を受け「訴訟と同時に話し合いも並行して進める和解の趣旨に沿って誠実に対応していく」と述べた。
 和解は確かに、双方の訴訟を一本化する手続きも定めていた。
 だが、その前提だった国地方係争処理委員会の結論は、国と県の「真摯(しんし)な協議」を求めた。それを無視して提訴した国の対応が問われないのも納得しかねる。
 司法判断は本来尊重されるべきだが、国の政策にお墨付きを与えるだけの判決に従えと言われても沖縄の怒りは増幅するだけだ。
 年度内にも出される見通しの最高裁判決には、沖縄の基地問題の歴史と背景、国の安全保障と地方自治のあり方について深い考察を加えることを望みたい。
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東奥日報 2016年9月18日(日)
社説:誠意ある協議が打開策だ/辺野古訴訟 国勝訴


 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、翁長雄志知事が埋め立て承認の取り消し撤回に応じないのは違法だと国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部は知事の対応を「違法」と判断し、国側全面勝訴の判決を言い渡した。
 1996年の返還合意から20年がたつ普天間問題で初めて司法判断が示されたが、解決への道筋は一向に見えてこない。国と県による誠意ある協議にしか事態打開の策を見いだせない状況だ。
 「普天間の危険を除去するには辺野古への移設以外ない」などと断じた判決に、翁長知事は「県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも偏った判断だ」と反発、上告する方針を表明した。
 「確定判決に従う」とした知事は、最高裁で同様の結果が出れば、取り消し処分を撤回せざるを得ないだろう。しかし、移設工事を阻止するためにあらゆる権限を行使する構えで、辺野古の埋め立て承認取り消しに代わる対抗策の検討を進めている。
 そうなれば、工事を巡る知事の処分それぞれについて、国は今回と類似した訴訟を提起して対決することになりそうだ。最高裁の判断が示された後も、県の対応によっては法廷闘争が繰り返される可能性が残っている。
 政府内には国側勝訴に、中断中の埋め立て工事の再開を見据え「一歩前進」(外務省筋)との受け止め方がある。ただ、翁長氏が知事に当選した2014年以降の国の対応には問題もあったのではないか。知事選での翁長氏の公約が「辺野古移設反対」であり、同氏のこれまでの行動はすべてこの公約の延長上にあるということを国があえて無視してきたように映る。
 翁長氏に対して国が「辺野古が唯一の解決策」と迫るのは「公約の破棄」を求めるに等しい。民主主義の基盤である選挙そのものを軽視するような行為と言っても過言ではない。外交や防衛が国の所管事項だとしても、首長もまた住民の生命を守る責任を負っているのだ。
 翁長知事は国との協議そのものには前向きな姿勢を示しており、稲田朋美防衛相も判決後、協議継続の考えを述べた。ただし、国がこれまで通りの硬直的な姿勢を取る限り溝が埋まることはない。埋め立て計画をいったん凍結するほどの柔軟さが求められているのではないだろうか。
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岩手日報(2016.9.17)
社説:辺野古移設訴訟 国は拳を下ろさないか


 沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場移設計画をめぐり、国が県を訴えた訴訟で国が勝ったのは、県側にとって決して想定外とは言えまい。
 県側は名護市辺野古移設阻止に向け、既に続く最高裁で敗訴が確定した場合を想定。行使できる新たな知事権限の洗い出しに努めている。一連の裁判の流れに、県側に厳しい判断の兆しを見て取ったからに違いない。
 仲井真弘多前知事が行った辺野古沿岸部の埋め立て承認を、翁長雄志知事が取り消した処分に対し、国は撤回するよう是正指示。翁長氏は従わず、訴訟はこの対応を違法として7月に提訴された。
 福岡高裁那覇支部は、第1回口頭弁論の8月5日に判決までの日程を決定。県が求めた8人の証人は却下され、弁論2回で結審した。
 その過程では、裁判長が繰り返し「県は判決に従うか」と確認するなど、県側が「訴訟指揮が国寄り」と不満を漏らす要素はあった。
 今回の裁判は、国が地方自治体を相手に初めて起こす不作為の違法確認訴訟だ。安全保障政策に絡む問題だけに特殊な事案ととらえがちだが、国策と民意が対立する事態はどこでも起こり得る。
 先の参院選を経て、沖縄は衆院4小選挙区と参院沖縄選挙区の6議席を、辺野古移設に反対する「オール沖縄」系が独占。沖縄県民の総意が明白に示される中で行われた裁判は、国と地方の関係を問い直す上で重い意味を持つ。
 判決が双方の主張に十分に耳を傾け、審理を尽くした結果か、市民目線で厳しく評価する必要があるだろう。
 翁長氏が埋め立て承認を取り消したのは昨年10月。国と県は三つの訴訟で争う事態となったが、今年3月に高裁支部の和解勧告を受け入れ、いったんは全て取り下げた。
 しかし国は話し合いをはしょって翁長氏に承認取り消しの撤回を指示。県は国地方係争処理委員会に審査を申し出た。係争委は双方に真摯(しんし)な協議を求めたが、参院選を経て国は提訴に踏み切った。
 3月の和解は、裁判になった場合は判決に従う-との異例の内容を含む。とはいえ最高裁判決で、仮に県側敗訴が確定すれば翁長氏は取り消し撤回を迫られるが、県側は他の知事権限行使に効力は及ばないとの解釈に立つ。
 国は今後、現場で工法などに変更があれば県に届け出る義務もある。その度に訴訟になって「国が勝ち続ける保証はない」とは、高裁が和解勧告を示した際の見解だ。
 泥沼の訴訟合戦に陥って、普天間が固定化されることにでもなれば元も子もない。今からでも遅くない。国は拳を下ろし、話し合い決着に人事を尽くすべきではないか。
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新潟日報 2016/09/17
【社説】辺野古移設判決 対話路線へ転換すべきだ


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、福岡高裁那覇支部は16日、翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分を「違法」とする判決を言い渡した。
 県側の敗訴である。県は上告し、本年度内にも最高裁で判決が確定する見通しだ。双方とも確定判決に従うことは確認している。
 国は司法判断のお墨付きを得て、埋め立て工事を再開する方針だ。だが、翁長知事は「あらゆる方策で辺野古移設を阻止する」と述べ、別の対抗策を講じる構えだ。
 裁判を続けても、国と県の対立が深まるだけで、普天間問題は解決しない。対話によって妥協点を見いだすよう求めたい。
 訴訟では、国が「普天間飛行場の危険性を除くため、辺野古埋め立ての必要性は高い。日米の信頼関係を維持できる」と主張した。
 一方、県は「辺野古移設は、沖縄の基地負担の固定化につながる。自然環境にも悪影響を与える」と反論してきた。
 判決は「仲井真弘多(なかいまひろかず)・前知事の埋め立て承認に裁量権の逸脱はなく、適法だ」とし、翁長知事の取り消しを違法と判断した。
 辺野古埋め立ては、仲井真前知事が2013年12月に承認したが、後任の翁長知事が15年10月に取り消した。
 国は今年3月、翁長知事に処分を撤回するよう是正指示をしたが、翁長知事は従わなかったため、7月に提訴していた。
 忘れてならないのは、第三者機関の国地方係争処理委員会が6月、「国と県が真摯(しんし)に協議し、納得できる結果を導く」よう求めたことである。
 県が話し合いを要請したにもかかわらず、国は提訴に踏み切った。国は係争委の提言を改めて重く受け止めるべきだ。
 日米両政府が1996年4月に普天間返還に合意してから20年が経過した。
 今なお返還が実現しない理由は、両政府が沖縄県の民意を無視して辺野古移設にこだわっているからにほかならない。
 県民の多くが辺野古移設に反対しているのは、知事選や衆参両院の選挙、県議選で反対派が勝利したことから明らかである。
 普天間の危険性を早期に除去したいならば、辺野古移設以外の選択肢を模索するしかない。
 沖縄県の米軍専用施設「北部訓練場」では7月、国がヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設に着手した。
 現場周辺では、反対派の住民と警察の機動隊が連日のように衝突し、けが人や逮捕者が出ている。
 地元紙の記者が取材中に強制的に排除されたり、拘束されたりする事態も起きた。
 地元住民の反対を押し切ってヘリパッド建設を強行しようとする国の姿勢は、辺野古移設と二重写しになる。
 民主主義と地方自治が、危機にひんしていると言っても言い過ぎではない。
 米軍基地問題は沖縄県だけではなく、国民全体の問題となっていることを強調したい。
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信濃毎日新聞 (2016年9月17日)
社説:辺野古判決 誠実さ欠く政府の姿勢


 政府は司法判断をてこに、米軍普天間飛行場の辺野古移設を加速させるのではないか。懸念が募る。
 福岡高裁那覇支部が辺野古埋め立て承認を取り消した沖縄県の翁長雄志知事の対応は違法とした国の主張を認め、県側敗訴の判決を出した。
 辺野古での新基地建設を巡る初めての司法判断である。翁長氏は上告する方針を表明。法廷闘争は最高裁に舞台を移す。
 安倍晋三政権は沖縄県民に寄り添うと言いながら、「辺野古移設が唯一の解決策」との姿勢を崩さない。沖縄から見れば二枚舌を使っていると映るだろう。
 不誠実な姿勢こそが、問題を根深くしている。安倍政権は言葉通り、普天間問題も含め、基地負担の軽減を求める沖縄の声に正面から向き合わねばならない。
 訴訟で国側は市街地にある普天間の危険性を除くため、移設は必要と強調。取り消し処分によって「日米間で築いた信頼関係が崩れ、外交、防衛上の著しい不利益が生じる」と主張した。
 県側は辺野古移設は基地負担の固定化になると訴えた。「埋め立てを承認した前知事の判断は自然環境への悪影響を十分検証していない」とも反論している。
 判決は普天間の危険性や国際情勢などに言及した上で、「県外移転はできない」とする国の判断は尊重するべきだとした。
 なぜ、このような展開になったのか。辺野古移設を巡っては訴訟合戦に発展していた。3月に双方がいったん訴訟を取り下げ、訴訟を一本化し、解決に向けて協議することなどで和解している。
 総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会も、真摯(しんし)な協議をして納得できる結果を導く努力をすることを求めた。
 しかし、腰を落ち着けた協議は実現しなかった。逆に和解条項を都合よく解釈し、政府は一方的に今回の訴訟を起こしている。沖縄との話し合いを軽んじ、移設工事の再開を急ぐ意図があることがはっきり見えた。
 今回の裁判は、地方自治のあり方を問うものでもあった。1999年成立の地方分権一括法で国と地方の関係は「上下・主従」から「対等・協力」に転換。なのに、現行の移設計画は地元の理解を得ないまま進められている。
 翁長氏は一連の訴訟で、憲法が定める地方自治の精神に反していることを訴えてきた。沖縄だけの問題ではないのだ。そんな問題意識を持って、今後の展開を注視する必要がある。
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福井新聞(2016年9月17日午前7時30分)
【論説】辺野古訴訟判決 もっと沖縄直視すべきだ


米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題で、前知事が埋め立てを承認したことに対し、承認を取り消した翁長雄志(おながたけし)知事の処分は違法かどうか。国が訴えた処分の違法性を巡る不作為の違法確認訴訟で、福岡高裁那覇支部は「普天間の危険を除去するには辺野古以外にない」として、国側全面勝訴の判決を言い渡した。
 国と県による泥沼の争いは訴訟合戦になっている。いわば国家権力と地方自治の在り方を巡る問題だが、司法判断が示されたのは初めてである。「埋め立て承認時の環境保全の審査も十分」として、知事の対応を「違法」と判断した。
 知事は上告する方針を表明。早ければ年度内にも最高裁で決着する見通しだ。
 「辺野古移設が唯一の解決策」との立場を堅持する政府に対し、県側は「沖縄への基地負担の固定化を招く」と主張。県外移設を公約に掲げる知事は、判決が確定しても「あらゆる方策で移設を阻止する」としており、別の対抗手段を講じ徹底抗戦の構えだ。
 その背景にあるのは先の大戦末期、沖縄が日米決戦による惨劇の場となり、その後も米軍が「占領」し続ける不条理である。国内の在日米軍専用施設全体の約74%が集中する。県民にとって「世界一危険」とされる普天間飛行場の早期返還も、辺野古移設反対も当然の論理なのであろう。
 基地の沖縄は米兵らによる事件や事故が絶えない。日本側から不均衡な日米地位協定の抜本改定を求める動きは全くない。民意を無視する傲慢(ごうまん)とも思える国の姿勢と合わせ、「沖縄は日米安保体制のスケープゴート」と断じる識者もいる。
 知事は意見陳述の際「すべてが国の意向で決められるようになれば地方自治は死ぬ」と訴えた。対する政府主張は辺野古埋め立ての必要性を強調した上で「(取消処分により)1996年の普天間返還合意以来、日米間で築いた信頼関係が崩れ外交、防衛上の不利益が生じる」というものだ。
 県民目線に立てば、日米同盟は沖縄を「踏み台」にして成り立ち、日本の「捨て石」ということになる。
 多見谷寿郎裁判長は、米海兵隊の運用面や世界情勢から「県外移転はできない」とする国の判断は尊重すべきとした。外交や防衛は基本的に国の所管事項と明示したが、あまりにも県民実態や感情を理解しない国追従の判断ではないか。裁判長は訴訟と並行して進める予定の「協議」で打開策が見つかる可能性まで否定した。知事が「三権分立という意味で禍根を残す」と言い放ったのは当然だ。
 2000年4月施行の地方分権一括法による地方自治法改正で、国と自治体は「上下・主従関係」から「対等・協力関係」になったはずだ。協調の精神で問題解決に向けて努力するなら、埋め立てをいったん凍結し、普天間の運用を見直すべきだ。海外分散を加速させる手だてもある。返還合意から20年。本当に在沖海兵隊は「抑止力」なのか。冷静に見つめ直す時だ。
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[京都新聞 2016年09月17日掲載]
社説:辺野古訴訟判決  司法で決着する問題か


 国の強硬な姿勢がさらに強まらないか、大いに危惧する。
 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐる裁判の判決で、福岡高裁那覇支部は、翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消し、国の是正指示に従わないのは違法とした。
 国の勝訴だが、県は最高裁に上告する方針を表明した。対立は深まるばかりだ。
 6月に国地方紛争処理委員会が両者に示した見解を思い出してほしい。「普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて真摯(しんし)に協議し、双方がそれぞれ納得できる結果を導き出す努力をすることが、問題解決に向けての最善の道である」
 困難であっても、あらためて協議を粘り強く重ねてもらいたい。安倍政権は近ごろ力で押し通す姿勢が目立つ。改めるべきだ。
 裁判では、国権と地方自治の関係が問われたと言える。国が普天間返還合意の日米の信頼関係を崩さないために埋め立ては必要としたのに対し、県は自然環境や県民生活を守るために埋め立て承認を取り消すのは、知事に認められた権限とした。
 判決は、普天間の危険を除去するには埋め立てしかなく、埋め立てに伴う不利益や民意を考慮しても承認は間違っていないとして、国の主張をそのまま認めた。
 ただ、裁判は7月の提訴から2カ月、2回の弁論で結審した。県が要望した8人の証人は却下された。国と県が対立する辺野古移設問題で初めての司法判断だが、審理が尽くされたのか疑問が残る。
 国は司法のお墨付きを得たら、移設を加速させるだろうが、そもそも裁判で決着をつける問題ではあるまい。
 法廷で問われた翁長知事は「確定判決に従う」と述べたが、徹底抗戦の構えは変えていない。選挙で示された民意を背景に「あらゆる方策」を検討しているという。
 安倍政権は県北部の米軍訓練場ヘリコプター離着陸帯の建設工事を強行、さらに沖縄県振興予算を辺野古移設に結びつけ露骨に揺さぶりをかけている。
 沖縄以外では関心が高まらないことが、安倍政権を強気にさせているのかもしれない。
 翁長知事は意見陳述で、国の主張は地方自治をないがしろにしており、「沖縄県だけにとどまらない問題」と訴えた。日米安保を享受しながら、沖縄に基地を押しつけている現状に目を向けなければならない。
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神戸新聞 2016/09/17
社説:辺野古判決/沖縄の怒りは増すばかり


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設問題で初めての司法判断が示された。
 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消した処分を撤回しないのは違法だとして国が知事を訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部は知事の対応を「違法」とする判決を言い渡した。
 さらに「普天間の危険除去には辺野古しかない」として、「自然環境に悪影響を与え、沖縄の基地負担の固定化につながる」との沖縄側の主張を真っ向から否定した。
 国の言い分を全面的に認めた判決である。だが、「辺野古ノー」と示してきた沖縄県民の意思は固く、反発は強まるばかりだ。
 翁長知事は「県民の気持ちを踏みにじる、あまりに国に偏った判断だ」として最高裁に上告する方針を表明した。その場合、来年春にも判決が言い渡される。政府も県も「司法判断には従う」と明言している。しかし、最高裁で問題が決着するとは考えにくい状況だ。
 翁長知事は「あらゆる手段で辺野古移設を阻止する」と語る。こうした知事の姿勢を沖縄の民意が強く後押ししている。
 埋め立て着工後も、工法や設計の変更には知事の許可が必要となる。岩礁破砕やサンゴの移植などもそうだ。そうした手続きの一つ一つで沖縄県側の抵抗が予想される。すでに県側は敗訴確定をにらみ、新たな対抗策の検討を進めている。
 政府が対話よりも争う姿勢で臨む限り、対立が続くに違いない。沖縄の民意は繰り返し示されてきた。夏の参院選では現職閣僚が落選し、選挙区選出の自民党国会議員が1人もいない。司法判断を理由に埋め立てに突き進むのでは、問題の解決は遠い。結局、最高裁の判決にかかわらず、政府は辺野古への移設計画を見直し、沖縄県と対話を進めるしかないのではないか。
 参院選後、政府の沖縄への強硬な姿勢が目立つ。来年度予算の概算要求では、官房長官が基地問題と沖縄振興の予算額を絡める「リンク論」を容認した。1972年の本土復帰後、沖縄の自立に向けられた振興策の精神を否定するもので、筋違いというしかない。
 今回の判決で政府の高圧的な姿勢が強まれば、ますます県民の反発を招くだけである。
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