2016-09-18(Sun)

東京・豊洲市場 盛り土問題 信用の失墜は深刻だ

都の独断には唖然とする 欠陥は明白、中止含め再検討を 安全性を最優先すべき

<各紙社説・主張>
朝日新聞)豊洲盛り土 信用の失墜は深刻だ(9/15)
読売新聞)豊洲盛り土問題 安全性と経緯の検証を急げ(9/14)
毎日新聞)豊洲盛り土問題 信頼を大きく損なった(9/14)
日本経済新聞)豊洲の安全性の確認を急げ(9/16)
産経新聞)なかった盛り土 都の独断には唖然とする(9/14) 

しんぶん赤旗)豊洲への市場移転 欠陥は明白、中止含め再検討を(9/15)
北海道新聞)豊洲市場 安全面の検証が最優先だ(9/16)
京都新聞)豊洲市場  安全性を最優先すべき(9/17)
神戸新聞)豊洲市場の空洞/安全性への疑念を残すな(9/18)
中国新聞)豊洲市場問題 消えた「盛り土」解明を(9/15)




以下引用



朝日新聞 2016年9月15日05時00分
(社説)豊洲盛り土 信用失墜は深刻だ


 表ではきれいなことを言いながら、裏ではまったく違う振る舞いをする。もちろん説明は一切ない。東京都が豊洲市場を舞台におこなっていたのは、信じがたい背信行為である。
 築地からの移転工事をめぐって、主な建物の地盤に、土壌汚染対策として専門家から求められていた「盛り土」が施されていなかったことが判明した。
 新市場が稼働し、多くの人の目にふれれば簡単にばれることが、なぜまかり通ったのか。いったいどの部署の誰が、いつ、どのような理由に基づいて判断したのか。それを承認し、状況を把握していたのは誰なのか。おかしいと思い、声をあげる人はいなかったのか。
 いま都庁に突きつけられているのは、1300万人の都民の生活や健康をあずかる巨大組織が、正常に機能していないのではないかという根源的な疑問である。就任したばかりの小池都知事は経緯を検証すると表明した。当然の対応である。
 豊洲市場東京ガスの工場跡地につくられ、土壌や地下水の汚染が懸念されていた。
 都の委嘱を受けた専門家会議は、建物が建つところもふくめ用地全体を地下2メートルまできれいな土壌に入れ替え、さらにその上に2・5メートルの盛り土をするように提言した。
 ところが都は設計段階で、建物の下には土を盛らず、コンクリートで囲んだ空間を設けることを決めた。市場の約3分の1の地下が空洞になった。
 配管などを通すために、そうしたほうが便利だと考えたという。ならば有識者や都民に丁寧に説明し、理解を得るのが筋だろう。専門家会議の最終報告書も、地下利用をいっさい禁じているわけではない。
 だが都は「専門家会議の提言を確実に実現しています」と言い続けてきた。そもそも築地から豊洲への移転には賛否があったが、今回の事態に賛成派からも怒りの声があがっている。
 都は、建物の基盤となるコンクリートには土壌汚染防止の基準を満たすだけの十分な厚さがあり、問題ないと言っている。安全性の確認は喫緊の課題だ。
 深刻なのは、政策を進めるときの前提となる「信用」の失墜である。
 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、都の前には解決すべきたくさんの課題がある。だが多くの都民は、いまの都庁にそれを推し進める能力があるのか、大きな懸念を抱いている。監視機能がないことが露呈した都議会ともども、再生を急がなければならない。
ページのトップへ戻る



読売新聞 2016年09月14日 06時02分
社説:豊洲盛り土問題 安全性と経緯の検証を急げ


 土壌汚染対策に関する東京都の説明の根本が揺らいでいる。
 築地市場の移転先となる豊洲市場の建物下の地盤で、都が当初計画にあった盛り土を行っていなかったことが判明した。
 豊洲市場の敷地では、地下水や土壌から環境基準を大幅に超える有害物質が検出されていた。盛り土は対策の中核だったはずだ。
 その工事を独断で取りやめたことは、重大な問題である。さらに、都の説明が曖昧なことが、都民らの不信感を増幅させている。
 都の専門家会議は2008年7月、敷地全体を2メートル掘り下げて新しい土に入れ替え、その上に2・5メートルの土を盛ることを提言した。汚染物質を遮断するためだ。
 しかし、都は設計段階で、水産卸売場棟など、主要施設の下には盛り土をせず、配管や電気配線のための地下空間を設けることを決めた。対象は敷地全体の3割強に及ぶ。約850億円の汚染対策工事は、14年10月に完了した。
 建物の床部分は厚さ35~45センチのコンクリート製で、土壌汚染対策法上の安全基準は満たしているという。だが、盛り土をしない場合の安全性について、専門家と協議しなかったことに関係者から批判が出ているのはもっともだ。
 なぜこうした計画変更が行われたのか。都は、詳細な経緯を早急に調査し、公表すべきだ。
 都はホームページなどに、盛り土を行ったかのような説明や図表を掲載していた。都議会にも変更を報告していなかった。
 事実と異なる説明を漫然と続けていたことは、市場関係者だけでなく、都民への背信行為と受け取られても仕方あるまい。
 施設の安全性について、徹底した調査を行うことが急務だ。
 小池百合子知事は、専門家会議を再度招集し、市場移転問題のプロジェクトチームでも検証する考えを示した。地下空間では水たまりが確認されている。地下水漏出の有無も調べる必要がある。
 小池氏は、土壌の安全性に疑問を示し、11月に予定された築地市場の豊洲移転を延期していた。水質調査の最終結果が出る来年1月以降に移転時期を判断する。
 盛り土問題の発覚により、移転がさらに遅れる恐れがある。老朽化した築地市場は、衛生管理上の課題が指摘される。
 小池氏は、移転について「予断を持たず色々なケースを考えたい」と述べた。市場関係者らの混乱を抑えるため、見通しを極力早く示すことが求められる。
ページのトップへ戻る



毎日新聞2016年9月14日 東京朝刊
社説:豊洲盛り土問題 信頼を大きく損なった


 東京都の築地市場からの移転先となっている豊洲市場の安全性に疑問が投げかけられている。
 これまでの都の説明と異なり、主要な建物の下に土壌汚染対策のための盛り土がされず空洞になっていることが発覚した。
 なぜ、こうした事態になったのか。都は経緯を検証し明らかにするとともに、市場の安全性についても、改めて丁寧に説明すべきだ。
 2001年の移転決定後、豊洲市場敷地の地下水や土壌から、環境基準を大幅に上回る極めて高濃度のベンゼンなどが検出された。都は土壌汚染対策のため、07年に専門家会議を設置した。専門家会議は08年、建物下を含め、敷地全体で深さ2メートルの土を入れ替え、その上に2・5メートルの盛り土を行うよう求めた。
 敷地全体をきれいな土に入れ替えることが、いわば提言の核だった。
 一方、都は11年、建物の下に地下空間を設ける基本設計を内々で決め、地下が空洞の設計図に基づき、盛り土をせずに建物を建設した。
 一番の疑問は、専門家会議の提言がなぜ実行されなかったかということだ。どの部署の誰の判断だったのか。専門家会議とは別に設けられた汚染対策工事の工法を評価する技術会議に対しても、都は盛り土しないことを説明してこなかったという。さらに都はこれまで、建物の下に盛り土がある説明図をホームページに掲載し続けてきた。
 提言を無断でほごにしただけでなく、その事実を隠そうとした疑いがあると指摘されても仕方ない。市場関係者や都民に対する二重の意味の裏切り行為だ。
 地下空間の天井部分は厚さ35〜45センチのコンクリートで、これは土壌汚染対策法の安全基準を満たし、安全性に問題はないと都は説明する。
 しかし、ベンゼンは発がん性もある危険な化学物質だ。常温でも気化しやすくコンクリートで覆っても割れ目があれば漏出の恐れがある。また、盛り土の有無で拡散の方向や広さが変わるという。現状のままで、鮮魚などに付いたり、市場で働く人や訪れた人が吸い込んだりする危険はないと言い切れるのか。
 一部建物の地下の床に水たまりも確認された。仮に地下水ならば汚染が心配だ。
 市場の安全性への信頼が根底から揺らいでいる。このままでは、858億円をかけた土壌汚染対策が水泡に帰してしまう恐れさえある。
 小池百合子知事は、専門家会議を再開し、特別調査チームと併せ安全性の検証をしていくことを明らかにした。一からの総点検は当然だ。
 都の対応への不信感が強まっている。徹底した情報公開がなければ信頼は取り戻せない。
ページのトップへ戻る



日本経済新聞 2016/9/16付
社説:豊洲の安全性の確認を急げ


 一体どうなっているのか。東京の豊洲市場を巡る問題だ。
 土壌汚染に関する専門家が敷地全体に盛り土をするように求めたのに、都の担当部署はそれを無視して主要施設の地下に配管などを通す空間を設けていた。にもかかわらず、それ以降もしっかりと盛り土をしているかのような説明を都議会や都民に続けていた。
 これでは都は嘘をついていたことになる。豊洲市場はかつて有害物質が高濃度で検出された場所だ。都の対応はあまりにもずさんと言わざるを得ない。
 まず、誰が、なぜ、どういう経緯で主要施設の設計を現在の形に変えたのか、明らかにすべきだ。事実と異なった情報を出し続けてきた理由も知りたい。
 都庁は巨大な官僚組織である。その風通しの悪さが今回の問題を引き起こした一因ではないのか。都庁内の情報共有のあり方やチェック体制から再検討すべきだ。
 盛り土がなされていなかったことによる環境面の影響も早急に調査する必要がある。地下水に関するこれまでの7回の調査は安全基準を満たしているが、市場関係者や都民が抱く不安は大きい。
 施設の地下に現在たまっている水は有害物質を含んでいないのか。現在の構造でも、地下水をくみ上げて処理した後に排水するシステムを稼働させれば、安全性は確保できるのか。専門家の意見を聞きながら、多角的かつ冷静に調べるべきだろう。
 小池百合子知事は、かつて土壌汚染対策を提言した専門家会議を再度立ち上げると同時に、それとは別に豊洲市場の調査チームを設けて事業費の問題も含めて検証する方針だ。調査結果をもとに、今後どういう対策が必要なのか、できるだけ早く示してほしい。
 大切なのは一連の問題の原因を包み隠さず公表し、説明責任を果たすことだ。今回、失ったのは豊洲市場の安全性に対する信頼だけではない。都政そのものに対する信頼が著しく低下したことを関係者は肝に銘じるべきだ。
ページのトップへ戻る



産経新聞 2016.9.14 05:02
【主張】なかった盛り土 都の独断には唖然とする

 
 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)には、土壌汚染問題がある。
 対策としてとられたのが、敷地全体の盛り土だったのに、水産物や青果などを扱う主要施設の地盤には、部分的にしか施されていなかった。
 代わりにコンクリートでふさぎ、空洞ができているという。提言した専門家会議にもかけず、東京都が独自に判断して工法を変え、盛り土は予定通り実施したとの説明を続けた。
 行政機関として、あきれるばかりの独断専行である。その間、歴代知事や都議会はどうして見過ごしてきたのかとの疑問もわく。
 都側は法的基準や安全性は満たしているなどと説明しているが、「食の安全」や行政手続きをないがしろにしながら、何を言っても信頼性に欠ける。
 変更の理由、経緯をめぐる徹底検証を急がねばならない。
 都の説明の誤りは、小池百合子知事が10日に公表した。8月末に移転開業の延期を正式表明した際、「安全性への懸念、巨額で不透明な事業予算、情報公開の不足」の3つの疑問を挙げた。
 安全対策の肝となる盛り土をめぐる、隠蔽(いんぺい)工作と受け取られかねない事態である。知事が抱いた疑問は直ちに現実の問題になった。専門家会議を立ち上げ、安全性を確認するというのは当然だ。
 それに加え、独断による工法の変更について解明し、責任の所在を明確にする必要がある。
 延期表明から10日余りで盛り土問題が発覚した。空洞部分には地下水がしみ出し、床部分のコンクリートがなかった施設があることなどもわかった。
 盛り土問題が招いた課題は安全性への疑問にとどまらない。
 そもそも、盛り土をする予定だった土はどこへいってしまったのか。土壌汚染対策費は当初の586億円から858億円にふくらんでいるのに、どういう計算になっているのか、まったく不透明だと言わざるを得ない。
 移転を了承した都議会が、こうした都の動きについて何らチェックできなかったのだとすれば、巨大都市の議会として統治能力を失っているのではないか。
 最大会派の自民党は、移転推進の中心的存在で、重大な責任を負っている。「知らなかった」では済まされまい。自ら調査に乗り出すべきだろう。
ページのトップへ戻る



しんぶん赤旗 2016年9月15日(木)
主張:豊洲への市場移転 欠陥は明白、中止含め再検討を


 東京都の築地市場(中央区)の移転先とされる豊洲新市場(江東区)で、土壌汚染対策として必要とされた4・5メートルの「盛り土」が主要な建物の下で行われていないことが発覚し大問題となっています。日本共産党都議団の現地調査により判明したもので、「食の安全・安心」の根幹にかかわる重大問題として都民の怒りを広げています。先に築地の豊洲移転の延期を表明した小池百合子知事は、新たな事態を受け、豊洲の安全性の確認や経過の調査を指示しました。次々と問題が噴出している築地の移転計画は、中止を含め抜本的に再検討することがいよいよ必要です。
虚偽説明で都民あざむく
 東京ガスの工場跡地で、発がん性物質ベンゼンなどで高濃度に汚染された豊洲の土壌対策として行うとしていた、土の入れ替えや盛り土が、水産棟、青果棟など主な建物の下では実際に行われず、最下部は薄いコンクリートや砕石を入れただけの地下空間だった―。
 今回発覚した東京都の豊洲新市場整備をめぐる新たな問題は、大きな衝撃を広げています。都はこれまで「きれいな土と入れ替え、きれいな土を盛るから安全」などと繰り返してきましたが、事実は異なっていたのです。豊洲移転に反対してきた人たちだけでなく、移転を推進してきた市場関係者からも強い憤りの声が上がっています。都民、国民をあざむき続けた都の責任は極めて重大です。
 汚染対策を検討した専門家会議が2008年7月に盛り土などの対策を提言しました。この提言自体、第三者の専門家から「絵に描いた餅」と酷評されたものですが、その後の08年11月の別の会議(技術会議)で、なぜ地下空間案を検討したのか。なぜ都は、専門家会議の提言から逸脱して盛り土をしなかったのか。都はなぜその事実を都民や都議会に隠し続けたのか―。徹底的な究明が急がれます。
 豊洲移転は、石原慎太郎知事時代の01年に高濃度の汚染があるのを知りながら強引に決定されました。しかも、用地買収後の検査で環境基準の4万3000倍のベンゼン、猛毒のシアン化合物、ヒ素などが検出されたのに、移転を見直しませんでした。都民の不安や批判をかわすため、盛り土などをするから安全だとして858億円を投じ「対策」を実施してきました。しかし、都が今春実施した検査では建物内の空気中からWHO(世界保健機関)基準を超えるベンゼンが検出されるなど問題が顕在化していました。
 盛り土が行われなかった建物下の地下空間の底には、水たまりができたところや、砕石がむき出したようなところもありました。豊洲新市場の土壌汚染対策は、食の安全と同時に、市場で働く人の健康にかかわる大問題です。地下空間や地下の水にとどまらず全面的な調査と点検が求められます。
都民利益第一の解決こそ
 豊洲新市場整備では土壌汚染対策だけでなく、移転用地選定の不明瞭な経過、談合疑惑を含めた巨額な税金の使い方、業者にとって使い勝手の悪さなど問題が山積しています。小池知事が11月移転を先延ばししたのも、新市場の矛盾が噴出した結果です。日本共産党都議団は新市場建設の経過の徹底検証を求めています。移転中止を含め都民の利益にかなう最善の解決方法をとることが重要です。
ページのトップへ戻る



北海道新聞 2016/09/16 08:50
社説:豊洲市場 安全面の検証が最優先だ


 東京・築地市場(中央区)から新しい豊洲市場(江東区)への移転に暗雲が垂れ込めている。
 新市場の土壌汚染対策として実施されるはずだった盛り土が、主要な建物の下で行われていなかったことが発覚した。
 敷地からは、環境基準を大幅に超える有害物質が検出されていた。その対策の中核である盛り土が省略されたとなれば、食の安全性を根底から揺るがしかねない。
 築地は水産物と青果の年間販売額が5千億円に達する国内最大の中央卸売市場だ。北海道の産地にとっても重要な販売拠点である。
 新市場で食の安全・安心が担保されるのか。東京都には徹底した検証を最優先で求めたい。
 豊洲市場はすでに完成し、当初11月7日の開場を予定していた。小池百合子都知事は先月、地下水の調査が終わっていないことなどを理由に延期を決めたばかりだ。
 今回の問題で、新市場は生鮮食品を扱う施設としての信用を失った。なぜこうなったのか。都は経緯を調査し、説明責任を果たさなくてはならない。
 築地市場は開場から約80年たち、手狭で老朽化も著しい。都が約2キロ離れた豊洲への移転を決めたのは2001年のことだ。
 移転先はガス会社の工場跡地で、土壌や地下水の汚染が確認された。都が委嘱した専門家会議は、敷地全体を2メートル掘り下げて新しい土に入れ替え、その上に2・5メートルの盛り土をするよう提言した。
 ところが都は設計段階で、市場の約3分の1に当たる建物の地下に土を盛らず、コンクリートで囲んだ空間を設けた。
 配管を通すのに便利で、床の厚さも十分なことから安全性も確保されていると都は説明する。
 問題は、これらを専門家と協議せずに独断で行い、対外的には計画通り盛り土を行ったかのような説明を続けていたことだ。
 最も大事な食の安全・安心を軽視した都に対する産地の不信感は頂点に達している。
 北海道の水産業界も、築地を通して年間約3万トン、金額にして約480億円もの魚介類を販売している。新市場を経由した商品の安全性に消費者が疑念を抱くようなことがあれば、大打撃である。
 東京五輪を控え、移転後の築地市場跡地では競技会場と選手村を結ぶ道路建設が計画されている。
 工事の遅れを心配する声もあるが、豊洲市場の安全性が十分確認されない段階で移転を急ぐようなことがあってはならない。
ページのトップへ戻る



[京都新聞 2016年09月17日掲載]
社説:豊洲市場  安全性を最優先すべき


 築地市場(東京都中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)の土壌汚染対策で、東京都が専門家から求められた主要建物の地盤の「盛り土」をしていなかったことが明らかになった。
 小池百合子知事は盛り土が行われなかった経緯を詳細に調べて責任の所在を明らかにするとともに、早急に安全対策を講じなければならない。
 豊洲市場がつくられたのは東京ガスの工場跡地で、土壌から高濃度のベンゼンなどの有害物質が検出されたため、都は2011年から約858億円をかけて対策工事を実施した。
 大学教授ら4人の専門家会議は08年7月、豊洲の敷地全体で地下2メートルまでの土壌を入れ替え、その上に2・5メートルの盛り土をするよう提言した。
 ところが、都は提言に反して建物地下に盛り土をせず、コンクリートで空洞をつくった。配管や配線の必要があったためという。
 さらに問題なのは、都のホームページで「4・5メートルのきれいな土で覆った」と表記していた点だ。都民に虚偽の説明をしていたことになる。市場関係者から怒りの声が上がるのも当然だ。
 ほかにも、青果棟や水産仲卸売場棟など3件の工事で、大手ゼネコンでつくる三つの共同企業体(JV)による落札率が99・7~99・9%に上っていたことが判明している。
 小池知事は盛り土を提言した専門家会議を改めて開くとともに、詳しい経緯を調べるための「市場問題プロジェクトチーム」を近く設置する。都の担当部署にとどまらず、ゼネコン関係者など幅広く調査する必要がある。
 都議会の責任も重い。これだけ大規模な事業でありながら、チェック機能を十分に果たしていなかったと言わざるを得ない。
 11月7日に予定されていた豊洲への移転は、小池知事の判断で延期が決まっている。大幅に遅れれば、20年の東京五輪で重要な役割を果たす環状2号線の整備計画に影響する可能性があるという。
 豊洲の地下の空洞には水がたまり、有害物質による汚染が懸念されている。国内各地から多くの生鮮食品が集まる市場として、最優先しなければならないのは安全性の確保だ。対策を行うならば、いつまでにどれだけの費用が必要かをすみやかに明示すべきだ。市場関係者や都民の不安を取り除かなければ、移転そのものが困難になりかねない。
ページのトップへ戻る



神戸新聞 2016/09/18
社説:豊洲市場の空洞/安全性への疑念を残すな


 老朽化した東京・築地市場の移転先となる豊洲市場(東京都江東区)の建物下で土壌汚染対策の盛り土が行われず、コンクリートで囲まれた空洞になっていたことが発覚した。
 豊洲は東京ガスの工場跡地だ。有識者による専門家会議は土壌から有害物質を含むガスが出る危険性を指摘し、敷地全体の土を入れ替えた上に盛り土をするよう提言していた。
 都は「主要施設の効率的なメンテナンスのため」などとして、独断で別の工法に変更したようだ。ところが専門家会議への報告はなく、都のホームページや都議会などでは、敷地全てで盛り土をした、と実態と異なる説明を繰り返していた。
 空洞問題は、市場の移転延期を打ち出している小池百合子知事が発表した。その後、地下の床が水浸しになっている様子も確認された。都は「安全性は保たれている」と強調するが、いまとなっては誰がそのまま信用するだろうか。
 豊洲市場の建物はすでに完成し、市場関係者は当初予定された11月の移転に向けて準備を進めてきた。小池知事の延期表明には「政治的パフォーマンス」との批判もあったが、問題は「食の安全」に関わる。小池知事が専門家会議を再招集し、安全性や経緯を検証する意向を表明したのは当然の対応といえる。
 どの部署が、いつ、どんな理由で変更を決めたのか。空洞の土壌汚染対策に不備はないのか。都は徹底的に調査した上で結果を速やかに公表し、必要な対策を講じるべきだ。
 失われた信頼を回復するのは容易ではない。浮かび上がるのは、都庁という巨大組織の意思決定の不透明さだ。表向きは外部の提言に従いながら、見えないところで自分たちの都合のいいやり方に変えてしまう。当時の知事は自身の責任に口を濁し、都議会のチェック機能が働いていたかも大いに疑問だ。
 豊洲市場の建設工事を巡っては、落札率が99%を超えるなど談合の疑いまで浮上している。
 一方、新市場の改修が必要になれば移転時期がさらに遅れる可能性もある。小池知事にしても、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた環状2号線の整備計画に響く事態は避けたいところだろう。
 施策を停滞させずに、都政の「ブラックボックス」を透明化できるか。新知事の手腕が問われる。
ページのトップへ戻る



中国新聞 2016/9/15
社説:豊洲市場問題 消えた「盛り土」解明を


 全国各地の食材がこぞって集まることから「日本の台所」とも呼ばれる。東京都の築地市場が豊洲市場に移転する問題が、混迷を深めている。
 豊洲の土壌汚染対策の工法を巡り、都が事実と異なる説明をホームページなどで続けていたことが露呈したからだ。
 新市場は東京ガスの工場跡にある。かつてベンゼンやシアン化合物など有害物質が土壌や地下水から検出され、汚染対策が最大の課題だった。食材を扱う施設なのに大丈夫かという声が依然として残る中、11月に迫っていた開場に待ったをかけたのが小池百合子新知事である。
 「立ち止まって考える」とした知事選での言葉通り、8月末になって移転延期を表明した。地下水検査の最終結論が出る1月までは当面、可否判断を待つスタンスだ。「政治的パフォーマンスにすぎない。移転の流れは変わらない」と冷ややかな見方もあったが、この新たな事態を受けて安全性という重要な論点に立ち戻ったといえよう。
 豊洲の主要な建物の地下で、土を入れ替えて築くはずだった「盛り土」の部分がなぜ空洞になっているのか。なぜ今まで伏せられ、「虚偽」ともいえる説明がされたのか。事の本質はこうした疑問に尽きよう。土壌対策で850億円余り、全体では5800億円を超す巨費が要る事業である。主導する都の姿勢の透明性は欠かせないはずだ。
 都側は「安全対策の基準は満たしている」などと弁明している。ただ土壌対策の切り札として専門家会議が提言した盛り土の工法をあっさり覆した説明になっていないし、反省があるようにも見えない。工期や事業費との兼ね合いなどの理屈があったのかもしれないが、事業の進め方と、それに伴う情報公開という点では心得違いだろう。
 都政の在り方が問い直される話だ。知事が表明しているように詳細に経緯を調査するとともに、水や空気などあらゆるポイントから地下部分の安全性の点検を進めてほしい。空洞は水がたまり、コンクリートに覆われていない箇所もあったらしい。有害物質の影響が、将来にわたって本当にないのか。今のままにするとしても必要なら追加工事をためらうべきではない。
 同時に、事業全体を洗い直す視点も欠かせまい。建設費全体が想定よりはるかに膨らんだ上に、主要3施設の工事では入札不調の末に、落札率が99%以上と異常に高かった。通常なら、談合が疑われるケースである。このままでは、どこまで都民の理解が得られるだろう。
 そもそも都が当初、地下水検査の結論すら待たずに豊洲市場の開場を急いだのは4年後の東京五輪が理由なのは明らかだ。現在の築地市場の跡地を通る道路が大会の運営には欠かせないとして、工期を逆算してできるだけ早く豊洲に移したい。それが本音でもあったようだ。
 東京五輪のホスト役は、ほかならぬ都知事である。とはいえ大会だけのために、消費者の不安を置き去りにしていいのか。都政不信の連鎖を食い止めるためにも、豊洲移転に関する一連の問題の解明と安全性の確認が何より優先されていい。
 それで道路整備が五輪本番には間に合わないとしても、別のアクセス対策を考えていく余地はまだあるはずである。
ページのトップへ戻る

/////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 東京 豊洲 市場 盛り土 信用 失墜 築地市場

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン