2016-09-22(Thu)

日銀金融緩和 政策検証 破綻した政策 行き詰まり露呈

枠組み変更は限界の証左だ 持久戦で傷口広げるな 国民の「不安」は拭えない

<各紙社説・主張>
朝日新聞)日銀金融政策 説明なき方針転換だ(9/22)
読売新聞)日銀金融緩和 長期戦に舵を切った黒田路線(9/22)
毎日新聞)黒田日銀の転換 あの約束は何だったか(9/22)
日本経済新聞)量から金利、長期戦への構え万全に (9/22)
産経新聞)日銀の総括検証 脱デフレへの転換点に 政府と一体で改革加速せよ(9/22)

しんぶん赤旗)日銀金融政策検証 破綻した政策 固執し続けるな(9/22)
北海道新聞)日銀総括検証 持久戦で傷口広げるな(9/22)
河北新報)金融政策/枠組み変更は限界の証左だ(9/22)
中国新聞)日銀の政策見直し 行き詰まりが露呈した(9/22)
西日本新聞)日銀の政策検証 国民の「不安」は拭えない(9/22)




以下引用



朝日新聞 2016年9月22日05時00分
(社説)日銀金融政策 説明なき方針転換だ


 きちんとした説明を欠いたままの、事実上の政策転換である。そう言わざるをえない。
 日本銀行がきのう、金融政策の枠組みの変更を決めた。10年ものといった長期の金利の水準を操作の対象に加える。これまではマネーの「量」に主眼を置いていたが、短期・長期を併せた金利をコントロールする方法に切り替える。
 「年率2%の物価上昇」を目標に掲げて3年半。当初は「2年で」と言っていたが、いまだに達成を見通せないなかで、目標を「できるだけ早期に実現」するために、より柔軟で持続的な対応をできるようにするのが目的だという。
 日銀は今年初めにマイナス金利を導入。その後、長期の金利が急に下がり、銀行が利ざやをとれなくなったり、生命保険や年金の運用が難しくなったりした。長期金利を操作対象にするのは、金利を下げつつ、こうした「副作用」を防ぐのが狙いだろう。
 だが、「二兎(にと)を追う」ようなコントロールが可能なのか。長短様々な金利の「適正な水準」をどう決めるのか。日銀の操作の手を広げることの副作用はないのか。疑問は多い。
 そもそも、長期金利は様々な要因で動くため、中央銀行の操作にはなじまないとされてきた。黒田東彦総裁は、過去数年、各国の中央銀行が長期国債の買い入れを通じて長期金利を下げてきたことを挙げ、コントロールは可能だと主張する。
 しかし、たんに全体的な水準を下げるのに比べ、短期から長期にわたる金利それぞれについて適正値を見極め、そこに誘導することの難易度は高い。また、長期金利を具体的な数字まで示して低水準に固定することは、局面次第で過度な国債買い入れを強いられ、財政規律を緩ませかねない恐れがある。
 この日発表した「総括的な検証」で、日銀は原油価格の下落など外的な要因がなければ、従来の緩和策で2%物価上昇という目標を達成できていた、と主張した。これまでの政策そのものには問題がなく、今後も継続が可能だともいう。
 しかしその一方で、緩和の「強化」と称して、枠組みを大きく変えた。
 従来の政策の限界や副作用をはっきり認めないまま、次々と新しいメニューを打ち出してゆく姿勢は、「建て増しを重ねた旅館」のような迷路を生む。政策の浸透が妨げられれば、目標の実現も遠ざかる。
 原点に立ち戻った丁寧な説明を日銀に求める。
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読売新聞 2016年09月22日 06時02分
社説:日銀金融緩和 長期戦に舵を切った黒田路線


 デフレ脱却に向けて、粘り強く金融緩和を進めていくには、政策効果と副作用への十分な目配りが必要である。
 日本銀行が、長期金利を重視する新たな金融緩和の仕組みを打ち出した。
 黒田東彦総裁は2013年春の就任後、「2年で物価を2%上昇させる」との目標を掲げ、「異次元の金融緩和」に踏み切った。
 しかし、3年半が経過した今も目標を実現できていない。国債大量購入の限界や、マイナス金利政策の副作用も指摘されていた。
 そうした局面で日銀が決めた新方針には、当初狙った短期決戦から長期戦へ、金融政策の舵を切る狙いがあろう。妥当な判断だ。
 柱は、長期金利を0%程度に誘導できるように国債を買い入れ、金利を操作する手法である。
 マイナス金利によって下がり過ぎた超長期金利を引き上げる。
 金利低下による金融機関の収益悪化や、年金や保険の運用難に配慮したとみられる。
 年80兆円の国債買い入れは維持しつつ、満期までの期間にこだわらず幅広い国債を買う。購入手法を柔軟化しながら、軸足を量から金利へ移すことで、緩和政策の持続性を増す効果を狙っている。
 期限を切らず、2%の物価上昇が安定して実現するまで、長期にわたって金融緩和を継続する方針も明確化した。
 なぜ物価は上がらないのか。
 最大の理由は、これまでの政策効果を検証した日銀が指摘するように、企業や家計の物価上昇期待が高まらない点にあろう。
 20年に及ぶデフレで「どうせ物価は上がらない」との認識が世の中に広がり、定着してしまった。この状態から、短期間で脱するのは容易ではない。
 新方針の実行に当たって日銀が留意すべきは、市場との対話である。日銀の判断が信用されなければ、市場に混乱が生じる。長期金利をターゲットにする異例の政策の成否は、市場とのコミュニケーションにかかっている。
 長期戦に臨む以上、これまで黒田総裁が多用してきた「サプライズ手法」の転換を図り、金融政策の予見可能性や透明性を高める必要がある。
 もちろん金融政策だけでは、物価上昇は実現しない。
 政府は成長戦略を断行して潜在成長率を高め、企業も内部留保を投資や賃上げに振り向ける努力が要る。官民挙げた取り組みがあってこそ、脱デフレを成し遂げることができる。
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毎日新聞2016年9月22日 東京朝刊
社説:黒田日銀の転換 あの約束は何だったか


 無謀な実験は失敗に終わったということだ。
 日銀が、黒田東彦総裁のもとで進めてきた大規模金融緩和策の「総括的な検証」を行い、併せて「新しい枠組み」を発表した。アベノミクス第一の矢として注目を集めた「量的・質的金融緩和」が始まり約3年半になるが、こうした検証や枠組みの変更が必要になったこと自体、行き詰まりを如実に示している。
 日銀自身は、誤りを認めようとしない。黒田総裁は、政策の限界が枠組みの変更をもたらしたとの見方を、記者会見で強く否定した。
幻の「2年で2%」
 それどころか日銀は、「この間に、わが国の経済・物価は大きく好転し、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなった」と自賛してみせた。
 肝心の年2%の物価上昇目標は達成していないが、日銀の政策に問題があったからではなく、原油価格の大幅下落、消費税の引き上げ、新興国経済の減速、さらに日本人の物価観の特殊性のせいだと分析した。
 時計の針を2013年4月4日に戻してみよう。
 「2%、2年……」−−。記者会見に臨んだ黒田総裁は、大きく記した「2」が並ぶパネルを自ら手にし、決定したての金融緩和策に自信満々だった。
 従来の日銀との違いとして強調したポイントは主に三つだ。2%の目標達成まで「2年程度」と期限を切って結果を約束したこと。口約束でなく、国債の大量購入という異例の行動を伴わせ、人々に物価上昇を信じ込ませようとしたこと。そして従来のような小出しの追加策を重ねたりしないと言い切ったことだ。
 「2年で2%の物価安定目標を達成するために、現時点で必要な措置は全て決定した」と総裁は胸を張った。同じ時期に日銀入りした岩田規久男副総裁は、2年で2%を達成できない場合、辞任するとまで宣言していた。後に「説明責任を果たすことが先決というのが真意だった」と撤回したが、日銀がお金の量を本気で増やしさえすれば、2%の目標は達成できるというのが、当時の約束だった。
 結果はそうならなかった。
 日銀は四半期に1度の物価見通し発表のたびに、2%の達成時期を先送りした。14年10月には、お金の量の増やし方を拡大したが、それでも約2年で2%は遠く及ばなかった。
 日銀は検証の中で、14年の消費税引き上げの影響や海外の景気の鈍化を挙げているが、政策のプロなら、想定外とは言い訳できないだろう。
 確かに原油価格の激しい下落は、予想の域を超えたものだった。これについて日銀の検証は、米国などに比べ、日本人の将来の物価予想が、現実の物価動向に左右されやすいためだとした。長引いたデフレや、春闘という日本特有の賃上げ交渉が、短期的な物価下落の影響を受けやすくしていると説くが、明らかな言い訳、責任転嫁である。
 「2年で達成」をあっさりと葬り新たに導入した枠組みは、異次元緩和を支える、お金の量に主軸を置いた政策から金利重視の政策への大転換だ。しかも、今年2月に導入したばかりのマイナス金利政策も、金融機関の収益を圧迫したり、年金など長期の運用を一段と困難なものにしたりと弊害が多く指摘されたため、修正を余儀なくされた。
市場をゆがめた責任
 従来の枠組みでは、物価上昇率2%の達成時期が先送りされそうになるたびに市場から追加緩和期待が出ていた。自らまいた種ではあるが、日銀の政策があまりにも市場の主要関心事になり過ぎた。それが改善されるメリットはあるだろう。
 しかし、短期金利だけでなく長期金利(10年物国債の利回り)まで日銀が望ましいと思う水準に管理することが可能かという疑念は残る。さらに、長期金利は本来、市場が決めるものだ。例えば無責任な財政支出に対して、警告のシグナルを送る。その機能を縛る政策は過剰な市場介入ではないか。
 当然、問われるべきは、「2年を念頭に達成」との約束で始めた実験の失敗の責任である。
 日銀のもとには、将来値下がりの恐れがある国債や投資信託といった資産が450兆円以上も積み上がった。今後も当分の間、増加を続けるだろう。円という通貨の信用にかかわる問題だ。
 日銀による大量購入に依存し、ゆがみきった国債市場を、将来どうやって正常化するかという難題も待ち受ける。物価の上昇率が持続して2%を超えるようになれば、日銀は段階的に国債の購入額を減らしていかねばならない。
 だが、日銀という巨大な買い手が市場から手を引こうとした途端、価格が急落し、長期金利は急上昇しかねない。それを回避しようとすれば、国債購入をいつまでも止められず、バブルや景気の過熱を招く恐れがある。極めて難易度の高い出口戦略を求められよう。
 将来に重大な問題を残した異次元緩和策の責任は、日銀だけにあるのではない。アベノミクスの第一の矢に頼った政府の責任も問われる。
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日本経済新聞 2016/9/22付
社説:量から金利、長期戦への構え万全に


 日本銀行が3年半続けた金融緩和の枠組みを改めた。金融政策を動かす目安を長期国債などの「金利」に切り替え、2%の物価上昇が安定的に続くまで長めに緩和を続けるようにする。マイナス金利の幅は年0.1%を維持した。
 黒田東彦総裁のもとで導入した大胆な金融緩和策はさまざまな面で限界を迎えていた。マイナス金利も金融機関の経営を圧迫するなど副作用に懸念が集まっていた。日銀が緩和手法を現状に合わせて修正するのは妥当な判断だ。
物価低迷で戦術を転換
 見直しの柱は2%の物価上昇を目指す金融政策の主な目安を「量」から「金利」に変えた点だ。
 資金供給量(マネタリーベース)の数字を目安にする今までのやり方に代わり、短期金利と長期金利を金融市場での操作目標とする。長期金利については10年物国債金利を現状並みのゼロ%程度に保つこととした。
 具体的には2年、10年、30年など期間の違う国債をバランス良く買い、短い期間から長い期間までの金利を示す「利回り曲線」が適切な状態になるよう工夫する。全体の金利水準を低くして経済を刺激する一方で、短期と長期の差が縮まりすぎて金融機関の利ざやが悪化しないよう配慮する。
 第2の柱は、2%の物価目標を達成してもすぐに緩和を止めず、2%台が定着するまで強力な緩和を続けると約束した点だ。物価低迷が長引いた日本で、消費者や企業に物価が着実に上がる感覚を根付かせる狙いがある。
 2つの措置は日銀は3年半の緩和策を分析した「総括的な検証」を踏まえて決めた。日銀は年50兆円、のちに80兆円の国債を買い入れる「量的・質的金融緩和」で資金供給量を大幅に増やしてきた。当初は円安と株高が進み2014年には1.5%の物価上昇が実現したが、その後は原油安や新興国不安などの逆風で鈍化している。
 いわば短期戦の大胆な緩和を続けたが、目標は遠い。そこで日銀が長期戦を覚悟して戦術を転換したともいえる。
 従来の政策は様々なひずみを生んでいる。いまや日銀は発行残高の3分の1を超す国債を持ち、今後は買い取りの余地も限られるとの指摘が多い。国債の購入増額は今回は年80兆円を維持する方針だが、将来は金利や経済の環境も見ながら柔軟に減らしていける余地ができた。
 今年2月に導入したマイナス金利も批判が強い。金融機関が日銀に置く当座預金の一部に「手数料」を課し、資金を市中に流して融資を促す政策だが、金融界からは収益の悪化を招くと反発が起きている。長短の利回りを適切に維持する措置は弊害を和らげ、マイナス幅の拡大にも余地を残す。
 長期金利がうまく操作できるかどうかという問題はあるが、全体としては経済や金融活動の実態に合わせて金融政策を運営できるようになる。マイナス金利が金融機関にもたらす悪影響も直視して政策の枠組みを直したことで、金融市場や金融機関との対話が向上することも期待したい。
 日銀は物価上昇の力を押し上げるため、マイナス金利の引き下げ、長期金利の操作目標の引き下げ、資産の買い入れの拡大、さらに資金供給量の拡大ペースの加速といった追加緩和の手段があると指摘した。マイナス金利の幅の拡大が追加緩和の有力な候補になるとみてよいだろう。
政府も成長策で協調を
 だが、マイナス金利にしても国債買い入れにしても、その副作用に十分注意し、闇雲に拡大を続けるのは戒めるべきだ。金融市場の環境が大きく変わったり、景気の勢いが急速に衰えたりしたときの非常手段として追加緩和の余地を残すのが賢明ではないか。
 8月に米国で開いた世界の主要中央銀行の会合では、先進国で共通する潜在成長力の低下を金融政策だけで補うのは難しいという意見が大勢だった。日銀だけが大規模な緩和をいくら強化しても、経済活動や物価見通しが大きく改善するわけではない。
 政府も企業も経済の潜在力を高める改革に一段と深く踏み込み、日銀の緩和策との相乗効果を高めていくことが急がれる。安倍政権は働き方改革や税制、規制改革などの検討作業を次々と立ち上げた。社会保障制度や財政の長期的な安定にも目配りし、日本経済の潜在力を高める包括的な改革を進めなければならない。
 民間企業も日銀の緩和が生んでいる現在の低金利の環境を活用し、積極的な成長に向けた投資を進めていくべきだ。
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産経新聞 2016.9.22 05:02
【主張】日銀の総括検証 脱デフレへの転換点に 政府と一体で改革加速せよ


 日銀が3年半に及ぶ大規模な金融緩和を総括的に検証し、政策を強化するための新たな枠組みを決めた。最大の特徴は、長期金利と短期金利を誘導目標とし、従来の「量」から「金利」へ重点を移すことにあるといえよう。
 異次元と呼ばれた緩和は、思い通りの効果を上げないまま長期化し、緩和余地の縮小や副作用が取り沙汰されていた。懸念を拭い、政策の信頼を保つ上で、今回、検証を行った意味はけっして小さくないだろう。
 問われるのは、これを踏まえて金利重視の下での政策効果をいかに高めていくかである。
 ≪副作用に目配り怠るな≫
 黒田東彦総裁は会見で、新たな枠組みにより「政策の持続性が高まる」と述べた。景気回復に裏付けられた物価の上昇により、脱デフレを確実に果たす。その政策を継続しつつ、実効性を高める転換点としなければならない。
 同時に認識しておくべきことは日銀頼みの限界である。むろん金融政策はアベノミクスの重要な柱ではあるが、それだけでは経済の好循環を果たせない。
 政府の構造改革や成長戦略、財政政策などもこの際、併せて検証すべきではないか。それでこそ、政府・日銀一体での取り組みも加速できよう。
 日銀は、物価上昇率が安定的に2%を超えるまで緩和を続けると宣言した。ここで緩和姿勢が揺らげば、20年の長期デフレに舞い戻りかねない。断固たる姿勢を示し、物価上昇への期待感を高めようとする姿勢は妥当だ。
 マイナス金利政策を維持し、必要に応じてこれを深掘りする考えも示した。国債を買い入れて資金供給量を増やす政策は限界に近づくとの指摘もあったが、マイナス金利政策を緩和手段の主軸としつつ長期戦に臨む判断を示した。
 問題は、マイナス金利政策にどれだけの効果が期待できるかだ。総括検証は2月の政策導入後、長短金利を大きく押し下げる効果があったと指摘した。
 だが、一段の金利低下が進む中でも、企業の資金需要は乏しく融資増は限定的だ。投資や消費を活性化する効果が期待ほど高まらない一方で、金融機関の収益圧迫や年金、保険の運用難などの副作用が指摘されてきた。利回り低下が企業の退職給付会計を圧迫する実害も出ている。
 副作用は、日銀も検証で認めている。長期金利を政策目標に据えたのも、これがマイナスになるなど、行き過ぎた動きに歯止めをかける意味合いだろう。
 無論、金融機関による貸し出しへの地道な経営努力が十分行われたかとの視点も必要だ。
 マイナス金利政策の結果、地方銀行などの経営が悪化すれば融資ペースは鈍化する。そうした事態を招かぬよう警戒を怠るわけにはいかないが、地域経済の活性化への金融機関の積極的な取り組みも求めたい。
 ≪潜在成長力の向上図れ≫
 21日の債券市場では10年物国債の利回りが一時、半年ぶりのプラスに転じた。まずはその動きを見極めなければならない。
 政策の透明性を高める丁寧な説明も、日銀には求めたい。
 新たな政策を打ち出す際にサプライズの演出に固執し、「黒田バズーカ」とも称されてきた。唐突な政策決定を繰り返せば、金融政策決定会合のたびに市場が追加緩和を催促する関係を招く。
 マイナス金利政策の決定時、直前まで黒田総裁は否定的だった。金融機関がその後、日銀不信を強めた点と無縁ではあるまい。
 アベノミクスの下で、日銀の緩和策は物価目標を明確にすることと相まって、人々が将来の物価上昇を見込んで消費や投資を活発化するよう促す狙いがあった。だが十分に機能してこなかった。
 その背景として、総括検証は原油安や税率8%への消費税増税、新興国経済の減速を列挙した。長年にわたりデフレ心理が染みついてきたことも大きい。
 言うまでもなく、これらをいかに乗り越えるかは、安倍晋三政権が腰を据えて取り組むべき重要な経済政策そのものである。
 財政政策の風呂敷を広げて「エンジンをふかす」という姿勢が、従来とは異なる生きた予算につながる保証はまだない。
 潜在成長力や生産性を高めることに結び付く、改革と戦略への取り組みが急務である。
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しんぶん赤旗 2016年9月22日(木)
主張:日銀金融政策検証 破綻した政策 固執し続けるな


 異常な金融緩和や「マイナス金利」の導入で「デフレ」からの脱却を図るとしてきた日本銀行が、効果が見えないため、金融政策を検証する会合を開きました。しかし結論は、若干の手直しだけで金融緩和を続けることです。異常な政策が破綻しているのは明らかです。日銀が政策を転換しないのは、金融緩和が安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の柱になっていて動きが取れないからです。政権発足から3年9カ月たっても「道半ば」を繰り返すしかない「アベノミクス」の破綻も明らかです。破綻した政策に固執するのはそれこそ国民にとって有害です。
もともと実現困難な目標
 日本銀行が2012年12月の安倍政権の発足後、13年3月に黒田東彦(はるひこ)氏を総裁に据えて始めた「異次元」の金融緩和は、日銀が銀行などに貸し出す金利を低く抑えるとともに、銀行が持っている国債などを大量に買い上げ、市中に出回るお金の量を増やすという、量・質両面からの緩和策です。出回る通貨の量を増やせば、物価が上がり、消費や投資も活発になるという筋書きで、年間の消費者物価上昇率を2年間で2%にするという目標を掲げました。
 しかし、経済活動が活発でないときに、いくら通貨の量を増やしても、お金はため込みや投機に回るだけです。実際、日銀の金融緩和後も、為替市場や株式市場での投機が進み、一部の大企業と大資産家がもうけをため込んだだけで、消費や投資は活発になりません。達成期限を繰り返し延期しても、2%を目標にした消費者物価の上昇は見られず、国際的な石油価格下落などで下がり続けています。
 日銀は金融緩和の効果が出てこないというので、日銀が買い上げる国債などの対象を広げたり、市中の銀行が日銀に預けている当座預金に利子を払うどころか逆に利子を取って銀行に預金を減らすよう仕向ける「マイナス金利」を採用したりして、何とか効果を上げようとしてきました。しかし、破綻した政策にどんなに異常な政策を積み重ねても効果は出ず、金融機関の経営に悪影響を及ぼすなど弊害が目立つありさまです。
 そこで慌てて行ったのが金融政策の「総括的な検証」ですが、結論は金融緩和の抜本的な見直しには程遠く、消費者物価の2%上昇を実現する期限を事実上放棄したぐらいです。金融緩和の強化と称した長期金利重視の対策も、日銀が買い上げる国債の年限基準を撤廃したなどで、「マイナス金利」の「深掘り」と称した「マイナス」の利幅拡大は見送りました。政策を転換するどころか部分的な追加対策だけで効果が期待できるはずはなく、日銀が発表した途端、国債や円・株が激しい値動きとなりました。
「アベノミクス」の転換を
 今求められるのは、日銀の異常な金融政策だけでなく、安倍政権の「アベノミクス」そのものを中止し、根本的に転換することです。日銀が国債を大量に買い上げているため、安倍政権が発行する大量の国債が事実上日銀で賄われています。異常な金融緩和と「アベノミクス」の継続は金融と経済、財政のゆがみを拡大するだけです。
 安倍政権に経済をかじ取りする能力がないのは明白です。異常な金融緩和と「アベノミクス」を中止し、暮らしを応援して経済を立て直す政策に転換すべきです。
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北海道新聞 2016/09/22 08:55
社説:日銀総括検証 持久戦で傷口広げるな


 日銀はきのう、3年半続けてきた異次元金融緩和の自己検証の結果を発表した。
 「2年で物価2%上昇」とした目標が達成できなかった理由について、原油価格の下落や、2014年4月の消費税増税による消費低迷を挙げた。
 これを受け「2年」の目標期限をなくし、物価が2%を超えるまで金融緩和の拡大を続ける「新しい枠組み」を示した。
 短期決戦で臨んだはずの異次元緩和を持久戦に戦術転換したとも言える。
 しかし、マイナス金利により、年金などの運用が難しくなっている。株式購入により日銀が有力企業の“大株主”になるなど市場に与えるひずみも大きい。
 持久戦になればそうした副作用も深刻さを増す。
 これ以上、傷口を広げないためにも、平時の金融政策に戻す「出口戦略」を示すべきだ。
 新しい枠組みの下、日銀は期限を切らず、マイナス金利政策や、年80兆円ペースでの国債買い増しなど現行の緩和策を続けていく。
 加えて国債の購入に当たって、長期金利の利回りを0%程度になるよう誘導する。
 マイナス金利政策は、住宅ローン金利が下がるなどの利点はあったが、貸出金利と預金金利の差が小さくなり、金融機関の経営を圧迫する。年金や保険の運用も厳しさを増している。
 長期金利に目標を設けたのは、こうした不満や反発に応え、金利が下がりすぎないようにするのが狙いと言える。
 だが、副作用はこれだけではない。日銀が買い増している国債は既に400兆円近くに膨らむ。このペースで増やすと、あと1、2年で市場で購入しにくくなると言われている。
 異例の金融政策が長引くほど、日銀が手を引くのが難しくなる。国債や株式の購入を減らす際、価格の暴落、金利急騰を招きかねないからだ。
 これほど無理をしながら、直近の物価上昇率はマイナス0・5%(生鮮食品を除く)で3年半前と同じ水準である。日銀の金融政策一辺倒には限界がある。
 そもそも物価が上昇しないのは国民が将来に不安を抱き、モノを買わないことが大きい。モノが売れなければ物価は上がらない。
 政府は日銀頼みをやめ、社会保障、子育て支援の充実、格差是正などの正攻法で、国民の不安解消に取り組む必要がある。
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河北新報 2016年09月22日木曜日
社説:金融政策/枠組み変更は限界の証左だ


 現行政策の限界・手詰まり感を覆い隠し、批判が強いマイナス金利の副作用に急ぎ対処するため、かじを切らざるを得なかった。そんな印象が否めない。
 日銀がきのう決めた金融政策の枠組み変更である。
 2日間にわたって現行の「異次元」とされる金融緩和政策について「総括的な検証」を実施。そのことを踏まえ、政策目標の軸足を現在の資金供給量から、短期・長期の金利操作に移す政策の新枠組み導入を決めた。
 具体的にはマイナス金利0.1%を維持することで短期金利をマイナスとし、10年を超す長期金利については、幅広い国債を買い入れることなどによって0%程度とする新たな誘導目標を設定した。
 政策目標の変更は、市場に出回る国債が極端に少なくなっている中、資金供給のため国債を毎年80兆円買い増す量的緩和が限界に近づいていることを改めて示す。
 長短金利の操作は、2月に導入したマイナス金利で金利全般が下がりすぎ、金融機関の経営や年金・保険の運用に支障が出ているため、その副作用改善へ、長期金利のマイナス化を避ける狙いがある。
 日銀は同時に、当初「2年程度」とした物価上昇目標2%の達成期限を事実上撤回。「2%を超えるまで」緩和政策を続けると宣言した。
 この緩和の持久戦も、国債の絶対量という制約がある量的緩和から、政策変更の余地が大きい金利誘導にかじを切ることで可能になる。
 政策枠組みの変更には、こうした背景があるとみられる。これで、長期金利のマイナスが改善に向かい、年金や保険の運用が好転すれば、将来不安は多少なりとも和らぐことにはなろう。だが、デフレ脱却の展望が開けるのかどうかは見通せない。
 というのも、政策枠組み変更の土台となった総括的検証が「手前みそ」の域を出ていないからだ。
 異次元緩和について「経済・物価の好転をもたらした」などと評価。物価目標未達成の理由として原油価格の下落や8%の消費税増税、新興国経済の減速を挙げた。日銀外の要因のせいとした。
 マイナス金利については「経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」としながらも、国債買い入れと組み合わせたことで長短金利を大きく押し下げ「有効である」と分析。
 物価目標達成には「時間がかかる可能性がある」として緩和の継続を強調、必要ならマイナス金利の幅拡大を軸に検討する方針を示した。
 今回、黒田東彦総裁は事前に追加緩和としてマイナス金利の深掘りを示唆していた。が、見送られたのは今後、国際経済の変調に伴う円高などに備えた追加緩和手段を温存しておくためとされる。これも裏を返せば、政策が限界に近づいている証左といえる。
 今後、仮にマイナス金利の幅が拡大されれば、その悪影響は金融機関にとどまらず、その利用者、つまり国民に負担が転嫁される恐れはないのか、そうした不安も覚える。
 さらなる緩和の継続・強化が、デフレ脱却につながるのか。不安と疑問は消えない。
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中国新聞 2016/9/22
社説:日銀の政策見直し 行き詰まりが露呈した


 3年半にわたる日銀の「異次元の金融緩和」が大きな潮目を迎えたのではないか。きのう開かれた金融政策決定会合で政策目標を大きく方向転換した。
 国債買い入れによる「量」の資金供給よりも、中央銀行の本来の役割である金利操作に重きを置く。しかも短期金利は現在と同じマイナス0・1%に維持するが、長期金利は0%程度に誘導する。難しい上に狙いが分かりにくい手法といえよう。
 国債を「年80兆円」買い取ってきたが、財政規律の緩みにもつながる大量購入を続けるのは難しい。日銀は発行残高の3分の1を保有し、新規発行の9割を買い取っている。このペースなら1、2年で限界に至るとの試算もあった。「量的緩和」にはさすがに見切りをつけざるを得なかったといっていい。
 もう一つ驚いたのは物価目標の期限そのものを定めないという荒業に出たことだ。2013年4月に黒田東彦(はるひこ)総裁が異次元緩和を始めたときは、2年間で2%の上昇を目指していた。それを達成できないまま、何度か期限を延長してきたが、今回は「2%を超えるまで」金融緩和を続けると宣言した。
 黒田総裁は「できるだけ早期に達成する」と何度も繰り返したが、事実上、短期決戦による目標達成を諦め、長期の持久戦へと切り替えたことになる。
 行き詰まりはそれだけではない。米国の利上げ動向を横にらみしているとはいえ、総裁が意欲を示していたマイナス金利の深掘りを見送ったことが、ある意味では象徴的である。
 ことし1月に導入を決定したマイナス金利に対し、とりわけ金融業界から反発は強まっていた。利ざやが縮小し、年金や保険の運用も悪化する「副作用」が大きいからだ。日銀側も今回は「経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と認めた。
 結局は「黒田バズーカ」とも評され、前へ前へと進めてきた金融緩和の行き詰まりを露呈した格好である。
 なのに日銀は、そのことをはっきり認めない。きのうまでの会合では異次元緩和の「総括的な検証」も初めて行ったが、いかにも自画自賛ばかりで説得力に欠けている。今回の見直しがどんな意味を持つのか。市場に伝わっていないばかりか当惑を招いているのも、こうした日銀の姿勢ゆえだろう。
 中でも「2年で物価上昇2%」の目標が達成できなかったことを、消費税率の引き上げや原油安、新興国経済の減速といった外的な要因のせいにしたのは理解に苦しむ。それがなければ目標は達成していたとまで黒田総裁は言ってのけた。
 物価が上がらないのは、急速な高齢化や人口減少、社会保障や政府債務などに対する将来不安も重なり合って生じている面もある。こうした根本的な部分をどこまで「検証」したか。
 物価目標にしても本来は明示すべきではないか。黒田総裁は達成時期について「17年度中は不確実」として明言を避けた。無責任に過ぎる。いつ達成できるか予測もできない目標は、目標と呼べない。効果が不透明な緩和策をずるずる続けることにもなりかねない。
 「失敗」を認めないまま、小手先の政策変更で取り繕うだけでは、日本経済が直面する壁は打ち破れまい。
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=2016/09/22付 西日本新聞朝刊=
社説:日銀の政策検証 国民の「不安」は拭えない


 日本銀行が金融政策決定会合を開き、この3年半にわたる大規模な金融緩和の「総括的な検証」結果を公表し、金融緩和強化のための新しい枠組みを発表した。
 なぜ今、検証なのか。端的に言えば、黒田東彦総裁が2013年4月に華々しく打ち出した異次元緩和が行き詰まっているからだ。日銀はデフレ脱却に向けて2年程度で2%の物価上昇を実現する目標を掲げ、国債の購入などで市場に大量の資金供給を始めた。
 物価は当初、順調に上昇したが、3年余が経過した足元の物価上昇率はマイナスだ。この間、国債購入額を当初の年間50兆円から80兆円にまで増やした。今年2月には、銀行が日銀に預けるお金の一部に事実上0・1%の手数料をかけて銀行に貸し出しを促すマイナス金利政策も導入した。それでも目標達成のめどは立っていない。
 むしろ、これらの政策手段が限界に近く、弊害も目立つとの疑問も広がってきた。日銀は今、自らの政策の実現可能性や妥当性を説明せざるを得ない状況に追い詰められていると言っていいだろう。
 日銀の検証は「大規模な金融緩和をしても2%の物価安定目標が達成できない要因は何か」「マイナス金利の導入でどんな効果と副作用が出ているのか」を軸に行われた。その結果は-。
 ▼自画自賛と言い訳では
 市場への大量の資金供給は、経済・物価の好転をもたらし、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなったとした。
 目標未達成の原因は原油価格の下落や消費税増税の影響、新興国経済の減速などで、企業や個人が見込む物価の先行きが弱含んでいるためだとした。
 果たしてそうだろうか。前段はいささか自画自賛、後段は言い訳じみて聞こえる。「マネーを増やせば物価が上昇する」という日銀の政策の大前提が十分に機能したのかどうか、核心部分の分かりやすい説明こそ欲しかった。
 一方、マイナス金利政策については、国債買い入れと組み合わせたことで、金利を大きく押し下げたと効果を強調した上で、貸出金利低下で金融機関の収益悪化や、保険・年金の運用利回り低下など今後の経済活動に悪影響を与える可能性にも触れた。「負の側面」に言及したことは検証の成果かもしれないが、国民には十分に伝わっただろうか。
 日銀はこの検証結果を受け、長期金利を重視した新たな金融政策の枠組みを導入すると発表した。現在のマイナス金利政策を維持し、2%の物価安定目標を超えるまで金融緩和政策を続ける方針も示した。日銀としては「断固たる決意」を表明したつもりだろうが、「このまま突き進んで本当に大丈夫か」という不安は拭えない。
 新たな金融緩和の枠組みは、国債購入の継続に限界が見える中、今後の金融政策の軸を資金供給量から金利に転換するものだ。その中でもマイナス金利政策を主軸に据え、短期金利をマイナス、長期金利は新たに0%程度とするよう国債の購入を工夫することで長短金利差を広げ、金融機関の利ざやを改善して副作用の軽減を狙ったとみられる。
 ▼「出口」見据えた戦略を
 それでも、長期金利に目標を設定するのは世界的にも異例の手法だ。「異次元緩和」に「マイナス金利」、さらに今回の「新たな枠組み」と、副作用も伴う一連の金融政策は妥当かどうか。改めて検証し、教訓を引き出す努力が求められる。
 これまでの異次元緩和で日銀は、国債や上場投資信託、不動産投資信託などの資産を大量に購入している。金融緩和の強化は市場にゆがみをもたらすとともに、日銀の財務への悪影響も懸念される。「異次元」「異例」と形容される政策の連発は、いずれは必要になる緩和政策の「出口」を狭めていることも忘れてはなるまい。
 日銀は出口戦略も見据えた中長期的な政策の展望を国民に丁寧に説明すべきではないか。
 日本経済に今、大切なのは、金融政策だけに過度に依存するのではなく、確かな成長戦略を描いて構造改革に取り組み、潜在成長力を高めることだ。
 そのためにも、財政や税制、社会保障制度なども含めた総合的な政策の検証と戦略が重要なのは改めて言うまでもない。
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