2016-09-23(Fri)

大震法見直し 予知より先に減災策を

予知」前提にせず対策を 偏りのない備えこそ必要  廃止も選択肢のひとつ

<各紙社説>
中国新聞)大震法見直し 予知より先に減災策を(9/20)
西日本新聞)大震法の見直し 「予知」前提にせず対策を(7/30)
河北新報)防災・減災 大震法見直し/偏りのない備えこそ必要(7/18)
北海道新聞)「東海地震」対応 予知に頼らない防災を(7/16)
神戸新聞)大震法見直し/現実的対策が求められる(7/14)
毎日新聞)大震法見直し 廃止も選択肢のひとつ(7/6)

2016-07-04(Mon)
大震法見直し 予知に頼らない備えを
対策地域 東海地震に限定せず 南海トラフ巨大地震の範囲に広げる
http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-4285.html





以下引用



中国新聞 2016/9/20
社説:大震法見直し 予知より先に減災策を


 残念ながら、いまの科学では地震がいつ、どこで起こるか正確には分からない。東海地震予知できるとして38年前に作られた大規模地震対策特別措置法(大震法)の見直し論議が今月始まった。当たり前のことでむしろ遅すぎたと言えよう。
 1978年制定の大震法は、静岡県沖の駿河湾を震源とする巨大地震を想定している。避難施設の整備や校舎耐震化、観測網の充実などに、これまで数兆円の税金が費やされてきた。
 幸い被害想定地域ではさかのぼっても160年余り、大きな災厄に見舞われていない。万一の備えの大切さを否定するものではない。ただ国の予算の兼ね合いなどから他地域の地震対策が置き去りになっていたことにも目を向けるべきだろう。
 政府の中央防災会議は今月、初の有識者会議を開き、予知を前提にした東海地震対策をやめる方向で大筋の一致をみた。活断層全てを警戒するのは限界があり、深海のプレート観測もまたしかりだ。阪神、東日本と続いた大震災はもとより、先の熊本地震も不意を突かれた。中央防災会議も3年前に「高い確度での予測は困難」との報告書をまとめており、政府はもっと早く現実を受け入れるべきだった。
 多くの問題や矛盾を抱える大震法だが、政府はなぜ今なお法の廃止を明言しないのだろう。今回の見直し論議にしても、南海トラフの地震対策とセットで進めることに疑問を覚える。
 これまで100~150年の周期で起きている大地震で、九州から東海まで広い範囲が甚大な被害を受けるとされる。既に3年前、南海トラフ対策の特別措置法が施行されている。防災対策推進地域の指定は広島、山口、岡山を含む29都府県にまたがり、防災計画作りや津波避難路の整備が進む。この法律は予知を前提としていない。
 有識者会議は本年度末までに見直し案をまとめる予定だが、大震法が温存され、南海トラフの震源域全体が大震法の対象となる可能性もないではない。その場合、南海トラフの特措法とどう整合性を取るつもりか。納得できる説明が求められる。
 仮に大震法を残す方向になったとしても、条文にある首相の「警戒宣言」については慎重な対応が求められよう。
 地殻のひずみなどが観測されると、首相が鉄道運行や銀行などの営業を停止させる権限である。確かに、被害を未然に防ぐ効果は一部であるかもしれない。ただ予知の可能性が薄い上に、警戒態勢が長期にわたれば社会や経済の活動を停滞させかねない。改憲論議で挙がる「緊急事態条項」と同じく、国民の自由や権利を縛ることには極めて慎重でなければならない。
 地震の正確な予知は無理だとしても、地殻変動などから何らかの兆しを探り続ける研究、分析態勢は続けるべきだ。東日本大震災も、2日前に近くの海域で大規模な地震を観測していた。こうした「前兆」をつかんだ場合、どうフィードバックしていくかも有識者会議では話し合う予定だという。
 不確かな情報を、あいまいさの度合いを含めて社会にいかに伝えていくか。東日本大震災以降、リスクをどう捉えるのか、問われていよう。情報の受け手側も見極める力を伸ばし、防災、減災に生かしたい。
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=2016/07/30付 西日本新聞朝刊=
社説:大震法の見直し 「予知」前提にせず対策を


2016年07月30日 10時34分
 政府は、日本初の本格的な地震対策法である大規模地震対策特別措置法(大震法、1978年施行)の見直しに入る。
 法の前提である地震の「予知」が今なお実現できず、放置すれば予知への過剰な期待感を国民に与えるなどの判断からだ。廃止も視野に、現実的で実効性のある地震対策の議論を深めてほしい。
 法制定の当時は地震の予知に対する関心が急速に高まり、「不可能ではない」という学者らの意見が採用された。福田赳夫首相らの強い意向により成立した。法の対象は静岡県の駿河湾周辺を震源域にマグニチュード(M)8が見込まれる東海地震である。
 大震法により、静岡など3県内にプレスリップ(前兆すべり)と呼ばれる現象を検出できる計測器を設置した。予知は地震の数日前~数時間前に可能とされ、予知情報を受けた首相が鉄道や銀行の業務停止などの対策をとる。
 当初からその予知法には「限界がある」と批判があった。東日本大震災を受け、2013年には政府の中央防災会議の部会が「現在の科学的知見からは確度の高い地震の予測は難しい」として事実上、予知を断念している。
 気をつけたいのは、予知の対象となった東海地震は海溝型の地震であることだ。
 海溝型は海洋プレートに徐々に潜り込まれた大陸プレートが反発して起きる。このため、潜り込みの速さなどから地震の周期は比較的計算しやすいとされる。それでも予知はできていない。
 ましてや熊本地震のような内陸直下型地震は複数の活断層のずれが影響するなどメカニズムが複雑で、予測は海溝型以上に難しい。
 大震法により、要らぬ誤解を社会に与えてはならない。予知を当て込んだ対策法には無理がある。
 東日本大震災後には南海トラフ巨大地震対策特別措置法など予知を前提とせず大震法とも無関係な複数の法律が制定され、法体系も複雑になっている。大震法見直しに向けて本年度内に専門家がまとめる提言に注目したい。
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河北新報 2016年07月18日月曜日
社説:防災・減災 大震法見直し/偏りのない備えこそ必要


 地震対策の大枠に関わる大規模地震対策特別措置法(大震法)について、政府が抜本見直し作業に着手する。
 予知を前提に、限定した地域のみを対象として規制含みの対策を盛り込んだ大震法にはかねて批判があり、遅すぎる対応と言えるだろう。
 想定外とされた東日本大震災や、多くの人にとって無警戒だった熊本地震などが発生し、甚大な被害が出ていることをみれば、「いつでもどこでも」を踏まえた普遍的な対策こそが求められている。
 別途定められている南海トラフ対策特措法との整合性を図るといった程度にとどめず、偏りなく全国的な対策を推進する上で必要な措置の検討や弊害の検証まで踏み込み見直しを進めてもらいたい。
 1978年制定の大震法は当時発生が近いと予測された東海地震に備えたもので、予知と警戒宣言を柱にする。
 静岡県など8都県だけを対象に、手厚い観測網で地震の発生を予知し、政府が警戒宣言を発令して、鉄道の運行停止や銀行の営業停止など強い規制まで踏み込む内容だ。
 その後の研究では、東海単独よりも、南海地震と連動する、より広範囲の南海トラフ巨大地震への警戒が強まり、設定は時代遅れになった。
 東日本大震災を受け、政府中央防災会議自体が2013年、「確度高く地震を予測することは一般的に困難」との見解をまとめ、予知が可能という大前提も崩れた。警戒宣言とそれに続く社会規制も非現実的になっている。
 見直しは「東海偏重」を改めて南海トラフ警戒地域などへ適用範囲を広げつつ、予知に頼らない現実的な防災の取り組みと混乱回避策をどう確立するかが焦点になる。
 正確な予知につながらないまでも前兆を察知するための観測強化は必要であり、その情報を共有して備えを万全にする努力は欠かせない。
 警戒地域の自治体や住民が前提の変更を理解し、日常の備えの延長で冷静に事態に対処するためには啓発や訓練の徹底が必須になる。施設整備などハード優先の特措法の中身を、ソフト重視に転換することも重要な鍵になる。
 いつどこで発生するかが分からない以上、切迫度が高いとされる特定の地域だけを視野にした法整備では済まないのも現実だろう。特措法のつぎはぎは限界に来ている。
 この40年近くの地震対策が東海地震に特化した形で進んだことで、結果的により重い防災策が必要だった震災被災地など全国の地震対策にはどんな影響があったのか。検証も併せて進めてほしい。
 地震関連では、大震法以外にも見直しの動きが続く。
 熊本地震では、発生確率が0~0.9%と発表されていた活断層が動いた。活断層としては「やや高い」という判定だったが、数値が独り歩きして地元では「極めて低い確率」と誤解されていた。
 発表元の政府の地震調査研究推進本部は、数値に代えて地震発生のリスクを高低のランクで発表する方向で見直しの検討を始めるという。
 地震警戒は国民の命に関わるだけに、ためらいなく不断の改善努力を続けてほしい。
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北海道新聞 2016/07/16 08:50
社説:「東海地震」対応 予知に頼らない防災を


 政府は、東海地震を想定した大規模地震対策特別措置法(大震法)を抜本的に見直す。
 予知を前提とした運用を転換するとともに、対象を東海、東南海、南海を合わせた南海トラフ巨大地震の範囲に拡大する方針だ。
 地震の正確な予知は、現状では困難とされる。また、東海地震は単独ではなく、南海トラフの他の震源域と連動して起きる可能性が指摘されるようになった。
 大震法制定時の想定とずれが生じている以上、見直しは当然だ。
 大切なのは、地殻変動などの異常が検知された場合、情報をどう伝え、防災に生かすかだろう。
 観測態勢の整備が進む中、予知が難しいからといって、情報を軽視し、万一の際に被害が拡大するようなことがあってはならない。
 自治体や住民の意見を踏まえ、丁寧に見直しを進めるべきだ。
 大震法は静岡県の駿河湾周辺を震源とする東海地震に備え、1978年につくられた。
 発生が数日前に予知できることを前提とした法律で、異常な地殻変動など前兆現象が観測されると、気象庁の予知情報に基づいて、首相が警戒宣言を出す。
 地震防災対策強化地域の8都県157市町村に対しては、被害軽減の事前対策として、新幹線の運行停止や銀行、百貨店の営業停止など強い規制が可能となる。
 しかし、政府の中央防災会議は2013年、東海地震を含む南海トラフ巨大地震の予測は困難とする見解を示した。
 さらに、東海地震は隣接する東南海や南海エリアと連動し、広範囲で起きるとの見方が強い。
 予知にこだわらず、現実的な対応を探ろうとする方向は妥当だ。対象エリアの自治体は予知に頼ることなく、あらためて防災、減災対策に力を注ぐべきである。
 東海地震予知のため、静岡、愛知、長野県の27カ所に設置された岩盤のずれを観測するひずみ計のデータも有効に活用したい。
 予知は難しいとしても、これらの機器が異常を観測した際の対応は、防災上、重要になる。
 無用な混乱を招かないよう、どのように情報を発表し、事前対策を講じるか。柔軟に対応できるよう知恵を絞ってもらいたい。
 南海トラフ巨大地震は13年に特別措置法が施行され、29都府県707市町村に対し、防災計画策定や津波避難路整備を求めている。
 大震法見直しではこの特措法との整合性に留意し、食い違いが生じないようにすることも大事だ。
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神戸新聞 2016/07/14
社説:大震法見直し/現実的対策が求められる


 東海地震に備えた大規模地震対策特別措置法(大震法)が見直されることになった。内閣府は有識者会議を設置し、対象地域を南海トラフ巨大地震の想定範囲まで拡大するか、などを検討する。
 大震法は、東海地震の予知ができるとの前提で1978年に制定され、対策が講じられてきた。しかし、2013年に中央防災会議が「直前予知は一般的に困難」との報告をまとめるなど、地震予知の科学的な根拠は揺らいでいる。約40年ぶりの大幅見直しを機に、現実的で実効性ある対策に改めるべきだろう。
 静岡県中西部から遠州灘を震源域とする東海地震は「前兆すべり」と呼ばれる現象を捉えれば予知が可能だとされてきた。
 その仮説に基づき大震法は静岡など8都県の157市町村を対策強化地域に指定する。地震の直前現象が起きたと判断されると首相が警戒宣言を出し、新幹線の運行中止や銀行の営業停止などの強い規制を行い、被害を軽減させる。強化地域には消防施設や学校の耐震化などに手厚い財政支援がある。
 だが、発生が迫っているとされた東海地震は40年近くも起こらなかった。今では東海地震が単独で発生せず、東南海、南海地震と連動した南海トラフ巨大地震が起きることへの懸念が高まっている。一方で「前兆すべり」が起きること、それが検出できることは疑問視されている。大震法を見直すのは当然といえる。
 今回の見直しでは、東海地震の枠組みを単純に拡大するのか、直前予知を前提とした防災の枠組み自体を見直すのかが論点となる。
 南海トラフで被害が想定される地域では、対象拡大によって財政支援が手厚くなることへの期待感がある。観測網強化を望む声も上がる。だが、予知の有効性が問い直される中、単純に対象を拡大し、多額の予算を投じることは疑問と言うしかない。警戒宣言が出た場合の厳しい規制も再検討する必要がある。
 一方、予知情報より精度が低くても前兆現象の情報を発信すべきとの意見もある。それが現実的に可能なのか十分に議論すべきだろう。
 大切なのは事前の備えで被害を最小限に抑えることだ。東日本大震災の教訓でもある。まず減災対策を充実させる。命を守るためには何を急ぐべきかを考えてもらいたい。
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毎日新聞2016年7月6日 東京朝刊
社説:大震法見直し 廃止も選択肢のひとつ


 東海地震に備えた大規模地震対策特別措置法(大震法)が見直される見通しになった。内閣府の中央防災会議に有識者会議を設置し、今年度中に提言をまとめるという。
 大震法は、1978年に施行された法律で、東海地震の直前予知を前提に作られた。だが、大地震の予知が困難だというのは、いまや研究者の共通認識だ。現実とかけ離れている上、複数の震源域が連動しての地震も想定される中、東海地震だけを対象にする意味も薄い。見直しは遅きに失したが当然といえる。
 気になるのは、大震法の対象地域を南海トラフの巨大地震の震源域全体に拡大することで、議論を終わらせる可能性があることだ。
 南海トラフの巨大地震は、東海沖から九州沖の太平洋海底に延びる溝状の地形(トラフ)に沿って起きる可能性があり、東海、東南海、南海の三つのエリアを震源域とする。極めて広い範囲だ。
 現行の大震法では、予知に基づいて地震が迫っていると判断した場合、首相が警戒宣言を出す。鉄道の運行や銀行の一部業務の停止など強い規制を伴う措置が可能になる。
 大震法の網を広げるに当たっては、こうした市民生活を強く縛る規制を緩和する方向という。
 だが、最も肝心なのは、地震の前兆現象を検知して警戒宣言を出すという大震法の仕組みが、防災上、機能するかどうかということだろう。
 地震については、予知のみならず、30年以内の地震発生確率を示した長期予測も当てにはならないことが、東日本大震災などの経験で明らかになった。
 地震学の限界を見据え、予知ではなく減災に重きを置いた防災対策が現実的だ。
 南海トラフの巨大地震については2013年に特別措置法が施行された。29都府県の707市町村を防災対策の推進地域に指定し、防災計画づくりや、津波からの避難路整備など減災対策を国の財政支援の下で進めている。予知や発生予測は前提としていない。
 大震法を温存した場合、特措法とどう整合性をとるのか。その点についても検討が必要だ。
 有識者会議の議論では、地震の「兆し」など不確実であいまいな情報を社会でどう生かすのか議論される予定という。
 だが、中途半端な情報発信は混乱をきたすだろう。現実的な対策に結びつくのかやはり疑問が残る。予知への幻想を残すような議論になってはいけない。
 結局は、大震法が必要なのかという出発点に戻る。専門家による検討に当たっては、廃止を含めてゼロから議論を尽くしてもらいたい。
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