2016-10-05(Wed)

豊洲市場問題 分からないとは何事か

消えた盛り土 責任の所在は明確に 都庁の無責任体制は目を覆うばかりだ

<各紙社説>
朝日新聞)豊洲市場問題 都政改革へ徹底解明を(10/1)
読売新聞)豊洲市場問題 安全確保と都政改革が重要だ(10/1)
毎日新聞)豊洲市場 分からないとは何事か(10/1)
日本経済新聞)都庁の無責任体制は目を覆うばかりだ (10/1)
東京新聞)消えた盛り土 責任の所在は明確に(10/1)




以下引用



朝日新聞 2016年10月1日(土)付
社説:豊洲市場問題 都政改革へ徹底解明を


 およそ納得できる結論ではない。これでは小池百合子知事が掲げる「自律改革」も看板倒れになりかねない。
 東京都の豊洲市場盛り土問題について、小池氏がきのう、内部調査の報告を発表した。
 専門家会議が想定しなかった地下空間がつくられた主な原因として、職員の連携不足や組織の縦割りなどを挙げたが、責任者や時期は特定しなかった。
 「誰が、いつ、どこで、何を決めたのか。原因を探求する義務がある」。議会で明言したのは3日前。その「義務」が果たされないままでは、都民も肩すかしを食った気分だろう。
 市場の移転問題だけでなく、東京五輪の費用見直しでも次々に課題が噴出している。新任の知事がいきなり挑む問題としては相当厳しいのも確かだ。
 今回の不十分な報告は、16万人の職員からなる官僚組織に切り込むには、いかに壁が厚いかを物語っているのだろう。
 しかし、総額数千億円を投じた公共事業がここまで不透明に進められ、都民に虚偽の説明がなされてきた事実は重い。
 調査の中で元市場長の一人は「専門家会議の提言の通りにやらないことは、憲法を守らないのと同じと考えていた」と語った。ならばなぜそうなったのかとの疑問がいっそう膨らむ。
 知事が言うとおり、目的は犯人捜しではない。主眼は、これまでの都政の問題を洗い出し、是正に生かすことにある。
 巨大プロジェクトをどう決めているのか。都議会と健全な関係にあるのか。都政のブラックボックスをこじ開ける役を小池氏は有権者から託されたのだ。
 就任直後から果敢に手腕を振るう姿勢をみせたことは評価できる。一方で就任から2カ月たち、一定の結果を示す段階にさしかかっているのも確かだ。
 新市場の建物や地下水などの安全問題は、専門家会議の調べによる結論を待つべきだろう。いたずらに風評被害を招いてはならない。冷静な分析のもとで安全性を判断すべきだ。
 一方、盛り土問題は、立ち止まることなく事実解明を尽くすべきだ。都政改革本部には、外部有識者も加わって各局を点検する「内部統制プロジェクトチーム」がある。生きた検証材料になるのではないか。
 都には、4年後に迫る五輪開催の責任のほか、高齢社会にどう向き合うかなど様々な課題がある。古い密室行政の体質から脱し、透明で効率よい都政づくりを都民は待望している。
 改革の勢いを、ここで失速させてはならない。
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読売新聞 2016年10月01日 06時03分
社説:豊洲市場問題 安全確保と都政改革が重要だ


 部局間で情報が共有されていない。コンプライアンスの意識が欠けている。豊洲市場問題を通して、都政の問題点があぶり出されたと言える。
 東京都の豊洲市場の建物下に盛り土がなかった問題に関する内部調査の結果が、小池百合子知事に提出された。専門家にも諮らずに、重大な計画変更を決めたのは誰なのか、特定には至らなかった。
 専門家会議が敷地全体の盛り土を提言したのは、2008年7月だ。その3か月後、盛り土をせずに地下空間を設ける案が内部で検討され、10年11月から13年2月にかけて段階的に計画が変更された。報告書はそう指摘する。
 責任の所在が不明確なまま、なし崩し的に計画が変更されていた経緯がうかがえる。
 報告書によると、都議会の答弁は、土壌汚染対策を所管する土木担当部門が担当していた。事実と異なるという認識のないまま、前例に沿った答弁を続けていた。
 施設の建築担当部門では建物下に盛り土がないことを把握していたにもかかわらず、答弁を修正させることはなかった。縦割りの弊害と言うほかない。
 小池氏は記者会見で、調査の継続を表明し、「意思決定のプロセスに不備があった。都の組織運営上の問題であり、だからこそ都政改革が必要だ」と強調した。
 問題を見過ごしていた都議会も責任を免れない。知事に協力し、巨大組織が抱える問題点を洗い出して改善につなげるべきだ。
 豊洲市場に移転した場合、食の安全は保たれるのか。この点が、都民の大きな関心事だろう。
 市場の3地点の地下水から、環境基準をわずかに上回るベンゼン、ヒ素が初めて検出された。
 人体に直ちに影響はないとみられるものの、都民の不安を考えれば、汚染源などを徹底的に調査してもらいたい。
 小池氏は、市場の移転について、地下水調査の最終結果を待って判断する方針を示している。専門家の意見を踏まえて、安全性を冷静に見極める必要がある。
 水産仲卸売場棟の構造計算書に不備があったことも新たに判明した。コンクリート床の一部で、計算書の数値と実際の厚さに食い違いが生じていた。都は、床の耐荷重や耐震性などに問題がないかどうか検証するという。
 そもそも、盛り土をせずに地下空間を設けたことに、安全上の問題はないのか。様々な課題に誠実に対応しなければ、市場関係者や消費者の信頼は取り戻せない。
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毎日新聞2016年10月1日 東京朝刊
社説:豊洲市場 分からないとは何事か


 豊洲市場で、主要な建物の下に土壌汚染対策の盛り土がされなかった問題について、原因を調査してきた東京都が報告書を公表した。
 新市場建設という大きなプロジェクトで、専門家の会議で決まった盛り土をせずに地下空間を作るという重大な設計変更が、なぜ行われたのかが最大の焦点だった。
 報告書は、盛り土計画の変更は2008年以降、段階的に固まっていったとして、いつ誰が決めたのかは特定していない。極めて不十分な内容だ。
 小池百合子知事の指示を受け、局長級幹部や市場長ら8人が調査に当たった。関係者のヒアリングの他、部内資料も精査したという。
 だが、部課長会議など機関決定の肝心な場面について具体的な記述はほとんどない。結局、暗黙の了解のような形で地下空間の設置が決まっていったかのように記されている。内部調査の限界は明らかだ。
 そもそも、これだけ大きな設計変更について、関係部局での議論の経過が文書で残っていないとすれば、公文書管理の点からずさんと批判されても仕方ない。都庁は行政組織として重大な欠陥を抱えているといわざるを得ない。
 今回の問題では、都議会などで「敷地全面で盛り土をしている」と事実と異なる説明を続けてきた姿勢も問われた。
 報告書によると、一部の幹部は、建物の下に盛り土がなく地下空間となっていることを認識していたが、修正しなかったという。無責任極まりない姿勢も、問題の背景にあることをうかがわせる。
 また、建物の下に盛り土がされている説明図を問題が発覚するまでホームページに載せ続けたことについては「漫然と継続した」とあるだけだ。都民への説明責任の重さに対する自覚は報告書から感じられない。
 小池知事は、公益通報者保護制度を活用して職員からの証言を集め、調査を継続する考えを示した。都議会の集中審議が来週には始まる。
 都議会は「百条委員会」を設置し、石原慎太郎元知事らを招致することも本格的に検討すべきではないか。
 豊洲市場の安全性の判断に影響を与える事態も明らかになった。都が実施した8回目の地下水モニタリングで、環境基準を超える有害物質のベンゼンとヒ素が初めて検出されたのだ。
 これまで7回の調査が正確に実施されていたのかも疑われかねない。年内に実施される9回目の調査結果は来年1月に明らかになる。ここで再び環境基準を超えたらどうするのか。移転そのものについて、先を見据えた対応が求められる。
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日本経済新聞 2016/10/1付
社説:都庁の無責任体制は目を覆うばかりだ


 豊洲市場の主要な建物で盛り土がなかった問題で、東京都の小池百合子知事が職員自らによる検証結果を公表した。段階的に地下空間への変更が検討されたため、変更を決めた個人を限定できないという内容だ。都庁のガバナンスの欠如は深刻と言わざるを得ない。
 確かに、建物の構造に関わる問題だけに、1人の職員が一夜にして変えたわけではないだろう。しかし、2008年から13年にかけて検討が進んできたのに、それがなぜ上司に伝わらなかったのか。上司はなぜ確認しなかったのか。依然として疑問はつきない。
 変更後も都議会や都民に対しては、盛り土をしているかのような説明が続けられてきた。豊洲問題は都政に関する様々な課題のなかでも重要度が高いテーマだった。おかしいと思う職員がいなかったとは到底、考えられない。
 石原慎太郎元知事も含めて、当時の幹部の責任は極めて重い。自らの関与を否定する歴代の中央卸売市場長の姿は、たとえそれが事実としてもあきれるしかない。都政史上で最大級の汚点であると、すべての職員が自覚すべきだ。
 都庁の職員は警察や学校関係まで含めて約16万8千人に上る。事務職と技術職の縦割り、同じ技術職のなかでも土木系と建築系などの縦割りは、かねて指摘されてきた問題だ。
 小池知事は新たに内部告発を受け付ける「公益通報制度」を設ける方針だ。都庁内の意思決定のあり方から見直すべきだろう。
 豊洲市場では地下水の調査で初めて、一部地点から環境基準を上回るベンゼンとヒ素が検出された。人体に影響を及ぼすレベルではないと思われるが、都民の不安はさらに高まっている。
 一方、地下空間にたまっている水も含めて、これまでの大半の調査では安全性が確認されている。地下水をくみ上げて処理するシステムが本格稼働すれば、さらに改善するという指摘も多い。
 豊洲を巡る問題は、たとえ「安全」だとしても「安心」と受け止めてもらえない状態に陥っている。小池知事や都に求められるのは専門家の意見を参考に必要な対策を講じ、わかりやすい言葉で都民に説明し続けることだろう。
 都政、そして都庁に対する信頼は著しく低下している。事実のひとつひとつを公表し、説明責任を果たすことでしか、信頼回復の糸口はつかめない。
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東京新聞 2016年10月1日
【社説】消えた盛り土 責任の所在は明確に


 豊洲新市場の建物下からなぜ盛り土が消えたのか。残念ながら、小池百合子東京都知事は震源地を特定できなかった。官僚組織の自浄能力に疑問符がついた形だ。都議会の本領発揮を期待したい。
 「誰が、いつ、どこで、何を決め、何を隠したのか。原因を探求する義務が、私たちにはある」
 先の都議会での所信表明演説では、小池氏はそう決意を語っていた。豊洲市場の主要施設の下に土壌汚染対策の盛り土が施されず、いつの間にか空洞が造られていた問題のことだ。
 にもかかわらず、公表された報告書は“ゼロ回答”だった。地下の空間化は、建物の基本設計から実施設計の流れの中で段階的に固まっていったという程度のことしか判明しなかったという。
 想定内の結果ではある。
 なぜなら、殊に官僚機構には身内の失敗を隠したがる風土が根づきがちだからだ。責任逃れや保身を図ろうとする体質は、組織が大がかりになるほど生じやすい。
 都職員らに問題の検証を委ねた小池氏の意図も、そこにあったのではないか。所信表明演説で背中を押しながら、自浄能力を試してみたのだろう。そして、やはりその欠如を確信したに違いない。
 間髪を入れず、ガバナンス機能を強めるための都庁マネジメント本部を立ち上げ、内輪の不祥事を弁護士に知らせる公益通報制度の整備を指示したのはその証左だ。強い危機感をうかがわせる。
 豊洲市場は、六千億円近くを投じて建設された首都圏の新しい台所になる。食の安心安全、人の健康にかかわる深刻な問題の発火点を見過ごしては、失墜した都政への信頼は回復できまい。
 意思決定過程をガラス張りにした風通しの良い組織をつくり、真相を引き続き究明してほしい。
 無責任体制下で造られた施設では、土壌や地下水の汚染、耐震性への懸念は拭い難い。建設費の高騰ぶりも不自然極まりない。
 一方で、盛り土が施されているように事実とは異なる説明を受けてきた都議会も、実態解明に本腰を入れねばならない。市場参加者や都民は誤った情報を垂れ流されてきた。不安と怒りをしっかりと受け止めてもらいたい。
 築地から豊洲への市場の移転が迫るまで、問題を見抜けなかった責任は重い。都の自浄機能が働かないとすれば、地方自治法に基づき、強い権限を持つ百条委員会でよく調べるべきだ。東京の自治力が問われる正念場である。
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