2016-10-09(Sun)

くい打ち工事偽装 傾斜マンション 苦悩する住民

丸投げ」禁止の新基準通達へ 「全棟建て替え」決議の攻防 くい未達の原因?


◇「丸投げ」禁止の新基準通達へ 傾斜マンション問題受け国交省
 横浜市都筑区の傾斜マンションに端を発したくい打ちデータ偽装問題を受け、国土交通省が近く、建設工事の「一括下請負」(丸投げ)を禁止する新通達を出すことが8日、分かった。曖昧だった丸投げの判断基準を廃止した上で、新たな基準を示し明確化。丸投げ業者を排除し、“無責任の温床”とされる「重層下請け構造」を解消するのが狙い。建設業界団体などにも通知し、施工不良の未然防止を図る。
(産経ニュース)


◇傾きマンション、苦悩する住民 空き家増え夏祭り中止も
----横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、管理組合は9月に全棟の建て替えを決議したが、住民の苦悩はなお続いている。傾きが明るみに出て1年。400戸はすでに引っ越し、残る300戸も工事が始まる来春までに出て行く予定だ。
(朝日新聞)

◇三井VS.管理組合 杭打ち偽装マンション「全棟建て替え」決議の攻防
----杭の一部が支持層に届いておらずマンションが傾いたとされる問題で、管理組合は全棟建て替えを決議した。「5分の4以上の賛成」の裏には熾烈な駆け引きがあった。
(AERA)

◇杭未達、明らかにすべき原因
◇LaLa横浜の地盤では大臣認定未取得
----管理組合が特に問題視しているのは、杭工法の選択だ。LaLa横浜の基礎杭には、旭化成建材のダイナウィング工法を採用した。ほとんど杭先端の根固め部で支持力を受け持つ工法だ。
 
実は同工法は、LaLa横浜の敷地の地盤である「土丹(硬質粘土層)」では大臣認定を取得していなかった。しかも同工法を採用した約400事例のなかで、土丹層での採用例はLaLa横浜のたった1件しかないことを、旭化成建材が事件発覚後に明らかにした。

大臣認定を取得していなくても、杭基礎の設計・施工に関する国土交通省告示1113号に則って施工すれば違法ではない。しかし、なぜあえて大臣認定を取得していない地盤で、ダイナウィング工法を採用したのか。管理組合はこの点について、販売主の三井不レジと設計・施工者の三井住友建設、杭施工者の旭化成建材に質問を投げかけている。しかし、現時点においても満足のいく回答を得られていない。

◇載荷試験では杭が地中で破損
----その後、これら3社と管理組合との協議のなかで、大臣認定を取得していない杭工法に求められる載荷試験が、杭施工に着手した後の2006年1月26日に行われたことが判明した。しかも実施場所は1カ所だけ。350kNの重りを、高さを変えて杭に負荷をかける「急速載荷試験」を採用したが、大きな負荷をかけた際に杭材が地中で破損したことも分かった。

----この点について管理組合が「載荷試験でNGが出たが、その後、他の場所で載荷試験を実施しなかったのか」と質問。設計・施工者の三井住友建設は「NGとなったのは試験最後の方の非常に大きな負荷の場合の問題であり、そのほかは問題ないとして、NGとなった1回のみで実施終了でよいとした」と回答している。
(日経アーキテクチュア)




以下引用

産経ニュース 2016.10.9 10:30
丸投げ」禁止の新基準通達へ 傾斜マンション問題受け国交省
 横浜市都筑区の傾斜マンションに端を発したくい打ちデータ偽装問題を受け、国土交通省が近く、建設工事の「一括下請負」(丸投げ)を禁止する新通達を出すことが8日、分かった。曖昧だった丸投げの判断基準を廃止した上で、新たな基準を示し明確化。丸投げ業者を排除し、“無責任の温床”とされる「重層下請け構造」を解消するのが狙い。建設業界団体などにも通知し、施工不良の未然防止を図る。
 この問題では、元請け建設会社の「三井住友建設」からマンションのくい打ち施工を「日立ハイテクノロジーズ」が下請けし、さらに「旭化成建材」に丸投げしていたことが判明。重層下請け構造の中で責任の所在が不明確になり、施工不良やデータ偽装を招いたとされた。
 このため国交省は実質的に施工に携わらない企業の排除を徹底する必要があると判断。丸投げを明確に定めていなかった現行通達を廃止した上で、新たな通達で元請け業者と下請け業者の役割を明文化する。具体的には、元請け業者に対し、工事全体の施工計画や進捗(しんちょく)・品質管理、下請け業者への技術指導、発注者との調整協議などを義務づける。一方で、下請け業者にも担当工事の管理や元請け業者への報告、2次下請け業者の指導などの役割を課す。
 丸投げは、施工不良だけでなく、中間搾取や労働条件の悪化も招くことから建設業法で禁止されている。違反した場合、営業停止などの行政処分を受ける。新通達について国交省幹部は「商社的な存在の業者が請負契約に入れないようにするのが狙い」と説明する。
 国交省はこれまで、くい打ち施工のルール整備や民間工事の請負契約の適正化など再発防止策を講じてきた。新通達は建設業界団体、地方公共団体などにも通知する方針だ。=26面に「嘆く住民」

朝日新聞デジタル 2016年10月9日06時59分
傾きマンション、苦悩する住民 空き家増え夏祭り中止も
横浜市都筑区のマンション建て替えのこれまでと今後
 横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、管理組合は9月に全棟の建て替えを決議したが、住民の苦悩はなお続いている。傾きが明るみに出て1年。400戸はすでに引っ越し、残る300戸も工事が始まる来春までに出て行く予定だ。
 マンションの敷地で毎年8月に開かれる夏祭り。出店が並び、子どもたちがおもちゃ片手に浴衣姿で走り回る。今年は中止となり、恒例の光景が消えた。
 「築いてきたコミュニティーが破壊されてしまう」。住民でつくる「建て替え検討委員会」の委員長を務める太田哲次さん(66)は、無念そうに話す。災害時の連絡網も、避難訓練もなくなった。半分以上が空き家になったことで、犯罪の不安もよぎる。
 販売元の三井不動産レジデンシャルは、全棟建て替えや慰謝料300万円に加え、希望者には新築と仮定した場合の買い取り価格を提示した。仮住まいのための費用も負担する。好条件の提示で、手芸や花見の仲間がマンションを手放し、出て行ったとの話を太田さんは住民から聞いた。「目に見えない住民の痛みは残る。お金では癒えない問題が起きている」
 マンションに残ることを考える住民も多い。しかし、思いは複雑だ。
 杭データの偽装が見つかった棟に2年前に越してきた50代の男性会社員は、家族5人で2月から川崎市内のマンションで仮住まいを始めた。昨秋に問題が発覚して以来、妻は心労がたたり体調を崩した。
 4月から公立中学校に通う予定だった長女には、転居に左右されないよう私立中の受験を勧めた。「予期せぬことに振り回され、家族にストレスをかけてしまい申し訳ない」と話す。
 建て替えが完了する2020年には次女は小学生だ。転勤続きだった生活を振り返り、子どものために定住をと購入したマンション。子どもの思い出のためにも、建て替え後に戻ることも考えているが、「また子どもの環境を変えてしまい、苦労させるのではないか」と悩む。
 8年前から移り住んだ田中寿彦さん(52)は住み心地の良さから残ることを決めた。「今回の件で、どのマンションに移っても、何か欠陥があるのではないかと考えるようになってしまった。だったら、一度はついのすみかと決心したここに戻りたい」
 管理組合は先月19日、住民集会で全4棟の建て替えを決議した。全705戸に敷地内の保育施設を含めた議決権総数711件のうち建て替えに賛成が709件だった。区分所有者ベースでも、全635人中633人が賛成。それぞれ法律上必要な規定の5分の4の合意を上回った。
 来春にも解体作業が始まり、20年秋~冬ごろに完成する計画だ。ただ、まだ解体業者や施工会社は決まっていない。管理組合は「東京五輪前に」と工期短縮を求めていくという。(大森浩司、永田大、古田寛也)

2016年10月06日 07時00分 AERA
三井VS.管理組合 杭打ち偽装マンション「全棟建て替え」決議の攻防

基礎杭の施工不良で全棟建て替えが決まった「パークシティLaLa横浜」=横浜市都筑区 (c)朝日新聞社
 杭の一部が支持層に届いておらずマンションが傾いたとされる問題で、管理組合は全棟建て替えを決議した。「5分の4以上の賛成」の裏には熾烈な駆け引きがあった。
 横浜市都筑区のパークシティLaLa横浜(以下、ララ横浜)の建て替え決議集会は、大詰めの集計にさしかかっていた。9月19日午前10時40分、壇上のホワイトボードに書かれた数字を見て、「おやっ?」と私は首をひねった。
「区分所有者総数635名─賛成633名」
 5分の4以上の賛成で全棟の建て替え決議は成立した。不可解なのは、そこではない。区分所有者数が大幅に減っていたのだ。従来の区分所有者数は705だった。つまり、短期間に事業主の三井不動産レジデンシャルは70以上もの住戸を買い取っている。全戸の1割超の議決権(票)を集めれば、賛成でも反対でも影響力を持てる。三井は何を狙っているのか。解せぬまま、管理組合の建て替え修繕委員長に「三井票」の動きを訊ねると、驚くべき答えが返ってきた。
「三井は72戸の票を持っていますが、最後の最後まで賛成か反対か言いませんでした。住民の多数派(建て替え派)を支持するよう再三説得したのですが、はっきりしない。ひと月ほど前、やっと『住民だけで5分の4以上』が賛成すれば賛成に回る、と口頭で伝えてきました」
 もしも「住民だけで5分の4」がクリアできなければ、三井側はどうするつもりだったのか?
「議決権の放棄です。
まさか全棟建て替えを言いだしておいて反対するわけにはいきません。でも議決権の放棄は反対も同じ。何が何でも住民だけで9割以上の賛成が必要でした」
「議決権の放棄」と聞いて思わず耳を疑った。
●「5分の4」のハードル
 昨年9月、ララ横浜4棟のうち1棟の杭が地盤層に届いていないことが発覚すると、翌月、三井側は「全棟、全住戸の建て替えを基本的枠組みとする」と表明。建て替え後の新築価格(再調達価格)での住戸の買い取り、戸当たり300万円の慰謝料、仮住まいの家賃、引っ越し代などの補償も示す。「さすが三井」と讃えるメディアさえあった。しかし、内心では議決権放棄で建て替えを潰し、補修に切り替える方法を探っていたのかもしれない。建物の解体、建設に約300億円、仮住まい等の補償関連で約100億円。総額約400億円の費用負担は、三井といえども軽くはない。施工をした三井住友建設、杭を担当した旭化成建材などに責任割合に応じて負担を求めるにしても、すんなりとはいくまい。
 三井の株主には全棟建て替えの経営判断への反発もあろう。建て替えではなく、杭が未達の1棟だけの補修で済めば費用は50億~100億円で収まるといわれる。「全棟建て替え」のアナウンスで三井ブランドを守りつつ、住戸を買い占めて議決権行使の影響力を高める。住民側に高いハードルを課し、場合によれば補修へ転換。そんなしたたかな戦術が浮かび上がってくる。
 メディア対応に当たる三井不動産の広報担当はこう反論する。
「一部の区分所有者の方が売却されて移られたのは、そのとおりですが、決議を賛成、反対のどちらかに誘導しようという意図は当社にはまったくありません。いろいろな所有者の考えをお聞きするなかで個別に判断して買い取った。結果的に議決権が集まったわけで、いくつ持てるかは想像もできませんでした」
●水面下で激しいバトル
 では、住戸の買い取り価格は「再調達価格」だったのか?
「買い取り価格に関しては、それぞれプライベートな問題がありますので控えたい」
 管理組合に「住民だけで5分の4以上」の賛成があれば賛成に回ると伝えたのは事実か?
「管理組合とのやりとり、各論的な部分はプライバシーにも関わるので控えさせていただく。ただ、住民の皆さんの総意に従う、と申し上げてきた。当方の票がなかったら、住民の方々はどう判断されたのか、そこには当然注目しました」
 交渉の機微への質問を三井不動産の広報はするりとかわした。
●発端は管理の見直し
 管理組合は巨大で手ごわい三井と水面下で激しいバトルをくりひろげてきた。今一度、闘いの軌跡をたどってみよう。
 発端は日常的なマンション管理の見直しだった。2006年に分譲を開始したララ横浜も、築後7年、8年と経つうちに「大規模修繕」が視野に入った。だが三井系管理会社の修繕計画では積立金が不足しそうだった。
14年夏、管理組合はコンサルティング会社に管理会社への委託業務の見直しを依頼する。そのころ、修繕委員会のメンバーが棟と棟の間の手すりの段差を見つけた。建築構造上の問題があるのではないかと感じ、三井側に調査を求める。
 当初、三井側は「問題ありません。東日本大震災の影響でしょう」と調査に消極的だったが、管理委託契約の見直しがボディーブローのように効いたのか、レベル測定を行う。15年6月には杭のボーリング調査もした。ただ、施工記録の開示は何度求めても拒んだ。同年8月、関係者立ち会いのもとやっと記録の閲覧が行われ、翌月、「杭の不健全性」を認めた。
 しかしながら、住民説明会では「補修で強度は回復します。価値は戻ります」と三井側は主張し続ける。管理組合の理事たちは情報をマスコミに流すかどうか悩んだ。報道されれば問題が公になり、相手に圧力をかけられる。半面、風評被害も生じ、資産価値が下がる。結論を出せず、悶々としていたところに日経新聞が「虚偽データで基礎工事 横浜、大型マンション傾く  三井不系が販売」とスクープを放った(15年10月14日付)。
 ここで三井側は態度を一変させる。三井不動産レジデンシャルの藤林清隆社長が住民説明会に現れ、陳謝したうえで全棟建て替えを提案した。それにしても、なぜ日経だけがスクープできたのか? 男性の住民が「これだけ大きなマンション、いろんな人が住んでますよ。
マスコミの人もね」と耳打ちした。
 管理組合は「1年以内に建て替え決議、5年以内に新築マンションに戻ろう」と目標を定める。まずは5分の4以上の賛成をとらねばならない。15年12月、管理組合は弁護士や建築ジャーナリストらを招いて住民対象の建て替えシンポジウムを開く。同月から16年1月にかけて行われたアンケートでは705戸中628戸、89.1%が全棟建て替えに賛成した。シンポジウムは奏功した。この局面で推移を見守っていた三井側は、一転、管理組合に建て替え方針再考の揺さぶりをかけたと囁かれる。
●「事前開封」で票固め
「住民だけで5分の4以上」というハードルを越えようと、管理組合は票固めに邁進する。
 そして、建て替え決議集会の直前、あっと驚く手を打った。所有者が賛成、反対を記した議決権行使書を、弁護士立ち会いのもとで「事前開封」したのだ。三井側72の議決権行使書は、事前提出されておらず、そこに含まれていない。管理組合の理事が事前開封の意図を語る。
「建て替えの議決権行使書は、通常の総会で議案に〇×をつけるようなものではなく、権利者全員のサインや判子が必要な厳格なもの。書類に不備がないかチェックしたんです。決議集会本番で調べていたらとても時間が足りませんからね」
 結果的に「住民だけで5分の4以上」に達したことが確認できた。その事実を三井側に伝え、賛成に回るようダメを押す。かくして三井側も集会当日、72の賛成票を投じたのであった。
 管理組合と三井は舞台裏で神経戦を展開してきた。来春には着工予定だ。当然、建物の安全性の担保が焦点となる。建て替え修繕委員長は「再建マンションの設計、施工には万全を期す。住民側で現場常駐の監理技術者を選びたい」と言う。三井側は「一日でも早く安心して暮らしていただけるよう、誠心誠意対応してまいります」と応じる。再建まで早くて4年。神経をすり減らす闘いはまだまだ続く。(ノンフィクション作家・山岡淳一郎)
※AERA 2016年10月10日号


日経アーキテクチュア 2016/10/05
杭未達、明らかにすべき原因
 「杭未達の真の原因をつかみたい。一番の問題は、基礎杭の根固め部(先端)が健全か否かを解明できていないことだ」
 横浜市の分譲マンション「パークシティLaLa横浜」(以下、LaLa横浜)に基礎杭の施工不良が見つかった問題で、マンションの管理組合は9月19日、建て替え決議集会を開き、全4棟の建て替えを決議した。決議後に開かれた記者会見で管理組合の関係者が強く訴えたのが、冒頭の言葉だ。
パークシティLaLa横浜の基礎杭の状態を示す断面図(資料:三井不動産レジデンシャルが2015年10月16日に配布した住民向け資料)
 同マンションで基礎杭の支持層未達が発覚したのは2015年10月。発覚直後に、販売主の三井不動産レジデンシャル(以下、三井不レジ)が全棟建て替えを「基本的枠組み」として提案した。同社が工事費を全額負担し、仮住まい費用や慰謝料も区分所有者に支払うという手厚い補償は異例中の異例だ。
 それにもかかわらず、管理組合の関係者の表情は決して明るいとはいえない。「傾斜」の原因とされる杭未達の原因が明らかにされていないからだ。

LaLa横浜の地盤では大臣認定未取得
 管理組合が特に問題視しているのは、杭工法の選択だ。LaLa横浜の基礎杭には、旭化成建材のダイナウィング工法を採用した。ほとんど杭先端の根固め部で支持力を受け持つ工法だ。
 実は同工法は、LaLa横浜の敷地の地盤である「土丹(硬質粘土層)」では大臣認定を取得していなかった。しかも同工法を採用した約400事例のなかで、土丹層での採用例はLaLa横浜のたった1件しかないことを、旭化成建材が事件発覚後に明らかにした。

旭化成建材の「ダイナウィング工法」は、砂質層とれき質層では大臣認定を取得していたが、土丹層では大臣認定を取得していなかった(資料:旭化成建材)
 大臣認定を取得していなくても、杭基礎の設計・施工に関する国土交通省告示1113号に則って施工すれば違法ではない。しかし、なぜあえて大臣認定を取得していない地盤で、ダイナウィング工法を採用したのか。管理組合はこの点について、販売主の三井不レジと設計・施工者の三井住友建設、杭施工者の旭化成建材に質問を投げかけている。しかし、現時点においても満足のいく回答を得られていない。
NEXT ▶ 載荷試験では杭が地中で破損
載荷試験では杭が地中で破損
 その後、これら3社と管理組合との協議のなかで、大臣認定を取得していない杭工法に求められる載荷試験が、杭施工に着手した後の2006年1月26日に行われたことが判明した。しかも実施場所は1カ所だけ。350kNの重りを、高さを変えて杭に負荷をかける「急速載荷試験」を採用したが、大きな負荷をかけた際に杭材が地中で破損したことも分かった。
 この点について管理組合が「載荷試験でNGが出たが、その後、他の場所で載荷試験を実施しなかったのか」と質問。設計・施工者の三井住友建設は「NGとなったのは試験最後の方の非常に大きな負荷の場合の問題であり、そのほかは問題ないとして、NGとなった1回のみで実施終了でよいとした」と回答している。
 横浜市建築局建築指導部建築安全課の担当者によると、杭施工の着手後に載荷試験を実施しても、「載荷試験を杭工事の着手前に行わなければならないといった規定はないので、建基法違反には当たらない」という。
 しかし、ある杭の専門家は三井住友建設の対応について次のように話す。
 「大きな負荷をかけた際に杭が破損したからといって、その地盤に不適切とは限らない。しかし、LaLa横浜の地盤の支持層に大きな起伏があることを施工者は知っていたはず。それにもかかわらず1カ所でしか載荷試験を実施しなかったことがまず信じられない。悪条件の地盤だったことに配慮して、敷地の複数箇所で実施すべきだったろう。大きな負荷をかけた時とはいえ、杭が破損したのに再試験しなかったという対応にも、首を傾げざるを得ない」
NEXT ▶ 「根固め部は健全とは判断できない」
「根固め部は健全とは判断できない」
 管理組合は特に、杭の根固め部の状況を重視した。三井住友建設は市の要請を受け、6 月にウエストコート棟の2本の杭で根固め部の状況を調査した。このときに根固め部から抽出した供試体の圧縮強度試験のデータを、第三者機関が分析。6月21日に第三者機関が三井不レジやLaLa横浜管理組合などに、基礎杭の根固め部の調査結果に対し、「今回調査した2本の杭の根固め部は健全とは判断できない」との見解を示した。
 しかし、この第三者機関は「健全ではない」とまでは断言せず、玉虫色の回答に終わった。結局、杭工法の選択は適切だったのか、施工ミスはなかったのか、管理組合はいまだに納得できる答えを得られていない。管理組合の関係者は、「建て替え工事中に、工期を遅らせない範囲で基礎杭の状態を調査すべきだ」と強調する。
 全棟建て替えは一見、消費者保護にかなった判断に思える。しかし、それは原因を特定し、再発防止策を打ってこそだろう。欠陥住宅問題に詳しい吉岡和弘弁護士も、「瑕疵の有無を訴訟で争う選択肢があったにもかかわらず、全棟建て替えを提案したのは、取り壊して建て替える必要のある瑕疵が全棟にあることを、三井不レジらがあらかじめ知っていたからだろう」と話す。
 三井不レジの親会社である三井不動産広報部は、LaLa横浜の建て替え決議に当たり、「今年の6月7日に公表した、『分譲マンション事業における杭施工に関する再発防止策』 への取り組みなど信頼回復に向けた取り組みを徹底していく」とのコメントを公表した。しかし、真の信頼回復は杭の状態を調査し、杭未達の原因を特定しなくては実現しないだろう。
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 「分譲マンションの改修や建て替え」に関するアンケート調査を実施中です。ぜひ、ご協力ください。アンケートは[こちら]から。なお、アンケート結果は日経アーキテクチュアのウェブサイトで掲載予定です。
高市 清治 [日経アーキテクチュア]

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