2016-10-30(Sun)

JR九州上場 不動産など多角化が奏功 課題は本業

九州新幹線新大牟田駅など 進む無人化 公共交通消える恐怖 合理化加速

◇JR九州、民営化から苦節30年で上場 不動産など多角化が奏功 課題は本業
 国鉄分割民営化から30年を前に25日、JR九州が株式上場した。車両製作に著名デザイナーを起用するほか、豪華列車の運行などで観光誘致をリードするとともに、不動産開発をはじめとする事業の多角化で、悲願の完全民営化を果たした。「ドル箱路線」を持たない同社の成長戦略は、いまだ上場の見通しが立たないJR北海道、四国、貨物3社への道しるべともなりそうだ。
(産経ニュース)

◇JR九州上場、快走演出した「不動産事業」 「非鉄道」けん引役に
----九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東京証券取引所第1部に上場した。朝方から買い注文が膨らみ、取引開始から30分ほどたって付けた初値は3100円と、売り出し価格(公開価格、2600円)を19%上回る水準。ひとまずは順調な「走り出し」といえそうだが、人気の背景を探ると、少し気掛かりな点も浮かび上がる。

■営業利益でみると「不動産会社」
----JR各社と比べて異質な収益体質を持ち、「非鉄道」事業をエンジンに成長路線を描く。
 「現在は運輸サービス事業と駅ビル・不動産事業の利益がそれぞれ全体の4割。しばらくの間はこの構成で成長を目指す」。青柳俊彦社長は午前中、経済専門チャンネルの番組に出演し、成長のけん引役として不動産事業への期待感を隠さなかった。
 
JR九州は社名の通り、鉄道事業が主力ではあるが、実は不動産事業が孝行息子。九州新幹線をはじめとする鉄道事業は2017年3月期にひとまず黒字化する計画だが、営業利益でみると連結全体の4割にすぎない。残る6割のうち、4割分を稼ぐのが駅ビル不動産事業。営業利益でみれば、鉄道事業と同じ規模なのだ。
(日本経済新聞)


◇九州新幹線、新大牟田駅などホーム無人化へ 合理化一環
----JR九州が来春から、九州新幹線の筑後船小屋駅(福岡県筑後市)と新大牟田駅(同県大牟田市)のホームに駅員を置かない方針を固めたことが29日、明らかになった。今年4月に全国で初めて新幹線のホームを無人化した新玉名駅(熊本県玉名市)に次ぐ措置で、鉄道事業の収支改善のための合理化の一環だ。

----在来線でも駅の無人化を進めており、昨年3月に32駅、今年3月に9駅を無人化した。現在、全567駅のうち289駅が無人駅となっている。来年3月にも北九州市の若松駅など7駅を無人化する方針。JR九州は今月、株式を東京と福岡の証券取引所に上場。鉄道事業の収支改善が経営課題となっている。
(朝日新聞)

<各紙社説・主張>
毎日新聞)JR九州の上場 挑戦の旅を見守りたい(10/26)
産経新聞)JR九州の上場 公共性忘れず地域支えよ(10/29)
北海道新聞)JR九州上場 鉄路守る責務忘れずに(10/25)
西日本新聞)JR九州上場 地域に根差す決意新たに(10/26)
<記事>
朝日新聞)進む無人化、公共交通消える恐怖 JR九州、合理化加速(10/27)
<調査>
東京商工リサーチ)「JR九州グループ国内取引状況」調査(10/25)




以下引用



毎日新聞 2016年10月26日
<社説>JR九州の上場 挑戦の旅を見守りたい


 JR九州が東京証券取引所への上場を果たした。1987年の国鉄分割民営化により誕生した後も、同社の株は国が保有し、事業計画から社長人事まで政府の認可が必要だった。今回、株式が市場に売却されたことにより、JR九州は純粋な民間会社として新たにスタートする。
 JR旅客6社のうち、すでに東日本、西日本、東海の3社が上場しており、九州は4例目だ。しかし今回の上場には特別な意味が伴う。
 本州以外の「島」に本社があることから「3島会社」と呼ばれる北海道、四国、九州のJR3社は、民営化当初から大幅な赤字が予想されていた。山手線や東海道新幹線のような稼ぎ頭が不在だからだ。
 立地のハンディキャップを負った3社は、国から「経営安定基金」を受け、その運用益で鉄道事業の赤字を穴埋めしてきた。3島会社の株式上場は予想されていなかった。
 ハンディを克服すべくJR九州が取り組んだのが事業の多角化とブランドの強化だ。不動産からホテル事業、農業まで、攻めの参入を重ねた。失敗もあったが、分譲マンションの販売戸数では九州のトップクラスに位置するまでになった。
 国外にも活路を求めた。博多と韓国・釜山を結ぶ高速船を就航させたほか、九州の産品を使った飲食店を中国にも開業した。発足当時、2割弱だった鉄道以外からの売り上げは、今では5割を超える。
 一方、豪華寝台列車「ななつ星in九州」は、JR九州のブランドを高めた。国鉄時代は本州で使い古された車両が回されていたため「車両の墓場」などと言われた九州だった。デザイン性の高い車両の導入は、社員の士気も高めたはずだ。
 株式上場は終点ではなく、本格的な試練は、むしろこれからである。
 経営安定基金は今春、全て取り崩しており、今後は自力で業績を改善しなければならない。新分野を切り開いたり、稼ぐ事業を育てたりする一方で、地域の足としての役目をどのように担い続けるか。
 すでに管内の駅の半数以上を無人化したが、不採算路線を廃止すれば解決するというものではない。地元にも、株主にも長期的利益をもたらすような発案に期待したい。
 「誰もやっていないことに挑戦し続ければ、20年後、30年後も立派な企業でいられる」--。ななつ星などJR九州の個性的な車両をデザインしてきた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏の言葉だ。
 試行錯誤を重ねつつ、チャレンジを続ける姿は、JR北海道、四国だけでなく、高齢化や人口減少で先行きを悲観しがちな日本の企業に可能性を示しているようだ。
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産経新聞 2016.10.29 05:02
【主張】JR九州の上場 公共性忘れず地域支えよ


 JR九州が東京証券取引所に上場し、政府が全株を保有する特殊会社の状態から完全民営化した。上場会社としての収益追求にとどまらず、公共交通機関として地元住民へのサービス向上の務めを引き続き果たしてもらいたい。
 JR各社の上場は4社目となるが、先行したJR東日本や西日本、東海と異なり、九州は不動産などの事業収入が鉄道収入を上回る構造にある。利益率が高いドル箱路線を持たずに、自らの経営努力で上場にこぎ着けた意義は大きい。
 政府関与がなくなることで、経営の自由度は高まる。同時に、地元に加え、一般投資家に対する大きな責任が生じる。上場は決してゴールとはいえない。
 昭和62年の国鉄の分割民営化で誕生したJR旅客6社のうち、厳しい経営が予想された九州と北海道、四国の「三島会社」は、国の基金による運用益で鉄道の赤字を穴埋めしてきた。
 本州3社は上場が前提だったのに対し、三島会社は上場を計画していなかったが、JR九州は独自のビジネスモデルを確立した。
 完全民営化でトップ人事や事業計画などに政府の承認は要らなくなる。迅速な経営判断が可能になり、企業イメージ向上を通じて人材確保にも寄与しそうだ。
 上場に当たってJR九州は基金を取り崩し、今後は線路修繕や車両更新などでも独り立ちを迫られる。台風などの災害復旧への対応を含め、安全な定時運行に支障が出ないように綿密な経営計画を立てる必要があろう。
 すでに利用客が少ない路線では無人駅化を進めているが、今後は投資家から、赤字路線の廃止を求める声が強まるのは必至だ。
 人口減少で全国的に赤字ローカル線の維持は難しくなっている。だが、利益優先の安易な廃線などは許されない。自治体と協力し、「地元の足」を最後まで確保する責任がある。熊本地震の被害で、一部が運行を休止している豊肥線の早期復旧も課題である。
 同社は保有不動産を活用してホテルや商業ビルを建設し、全体で黒字を確保してきた。創意を凝らした豪華寝台列車「ななつ星」は高い人気を誇り、九州観光の需要を掘り起こす成果を挙げた。
 九州の発展を抜きに同社の未来もあるまい。今後も知恵を絞り地元に尽くしてほしい。
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北海道新聞 2016/10/25 08:50
社説:JR九州上場 鉄路守る責務忘れずに


 JR九州がきょう東京証券取引所第1部に新規上場する。
 JRの上場は4社目だが、鉄道事業の赤字を前提に発足した北海道、四国、九州のいわゆる「三島会社」では初めてとなる。
 国鉄分割民営化から29年。厳しい環境を乗り越え、国の監督を受ける特殊会社から完全民営化を果たすまでの努力は評価したい。
 とはいえ、上場はもろ刃の剣であることを忘れてはならない。
 上場後は資金調達が容易になり、経営の自由度も増す。半面、短期的な利益を重視する投資家から、赤字ローカル線の廃止を強く求められる可能性もある。
 収益性の低い地方路線をいかに守っていくかは三島会社に共通する課題だ。上場の利点を、鉄路を守る経営戦略に生かしてほしい。
 今回の上場で疑問を残したのが経営安定基金の扱いである。国は、JR九州が3877億円の基金全額を取り崩すことを認めた。
 2040年まで毎年102億円ずつ鉄道建設・運輸施設整備支援機構に支払う予定だった九州新幹線の貸付料を一括払いするなど、財務改善のために使ったという。
 経営安定基金は、JR発足以来、地方の鉄路を守るために三島会社に預けてきた国民の税金だ。
 基金の運用益を使って鉄道の赤字を穴埋めすることを趣旨とし、元本を取り崩すことはJR会社法で禁じられてきた。
 まして投資家から幅広く資金を集める上場を選ぶ以上、本来は国民に返すべき性格のお金である。
 JR九州はその重い意味をかみしめ、これまで以上に「鉄路第一」の経営に努めねばならない。
 九州も北海道同様、人口減に加え、高速道路網の整備が進み、鉄道利用は減少傾向にある。
 経営の安定には、鉄道以外の事業で利益を確保することも大事になる。同社はすでに東京や大阪でマンションやホテル、飲食店の開発、運営を軌道に乗せてきた。
 もっとも、それが「本業軽視」につながっては本末転倒だ。本州の不動産や外食事業で稼いだ利益を、九州の鉄道網維持と安全確保のための投資に使う。そんな確固たる流れをつくってほしい。
 北海道は九州の倍の面積に、約4割の人口しかおらず、JR北海道の経営環境はさらに厳しい。それでも三島会社の仲間内から上場を果たすJR九州が最も身近な経営モデルであることは確かだ。
 沿線人口の減少という同じ悩みをどう克服していくのか、新たな出発を期待を込めて見守りたい。
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=2016/10/26付 西日本新聞朝刊=
社説:JR九州上場 地域に根差す決意新たに


 JR九州が、東京証券取引所第1部に株式を上場した。初値は3100円で売り出し価格(2600円)を上回った。個性的な列車を走らせる同社の知名度や不動産事業の収益性の高さが個人投資家の人気を集めたようだ。
 旧国鉄の分割民営化による会社発足から30年目。本州3社に比べ脆弱(ぜいじゃく)な経営基盤を事業の多角化で克服し、完全民営化を成し遂げたことを高く評価したい。
 この先、経営は常に市場の厳しい目にさらされる。九州に根差す鉄道会社として、安全を第一に公共性を保ちつつ、着実に収益を高める経営に挑んでほしい。
 JR九州は1987年の発足時、管内の全路線が赤字だった。そこからユニークな経営が始まる。日韓高速船、大型駅ビル開発、マンション、ホテル、流通、飲食、農業、学童保育と次々に事業の多角化へ挑戦する一方、本業の鉄道事業でも「ゆふいんの森」「ななつ星in九州」など斬新な観光列車を走らせてきた。待望の九州新幹線が象徴するように「九州はひとつ」という一体感を醸成したのも、この企業の役割が大きい。
 上場後にまず求めたいのは、現在の路線の維持・発展である。管内の九州新幹線と在来線21路線の営業キロは2273キロに及ぶ。鉄道事業の収益改善のためにも、九州新幹線への訪日外国人の誘客を進めたい。旅客輸送密度が1日当たり2千人未満の七つの路線をいかに活用するかにも知恵を絞ってほしい。熊本地震で被災した豊肥線の不通区間の復旧も急務だ。九州の観光振興や街づくりへのこれまで以上の貢献に期待したい。
 今回の上場に当たっては「上場後の将来像が明確でない」「株主利益と地域の利害調整はうまくいくのか」「3877億円の経営安定基金を国に返納せず、鉄道網維持のための財務体質強化に充てたのは過度の優遇措置ではないか」といった声も聞く。
 JR九州は、九州という地域に密着した鉄道会社としての使命と責任を改めて確認し、さらなる飛躍と発展を目指してほしい。
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東京商工リサーチ
「JR九州グループ国内取引状況」調査


公開日付:2016.10.25
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20161025_01.html
 東京商工リサーチは、10月25日に東証1部に株式上場した九州旅客鉄道(株)(TSR企業コード:870264311、法人番号:6290001012621、本社福岡市、以下、JR九州)とグループ各社(以下、JR九州グループ)の取引状況を調査した。
 JR九州グループと直接取引のある1次取引先は全国で1,300社(1次仕入先1,149社、1次販売先151社)に及ぶことがわかった。本社所在地では九州が1,045社(1次仕入先931社、1次販売先114社)と、全体の8割(構成80.3%)を占めた。都道府県別では、福岡県が589社(1次仕入先520社、1次販売先69社)で最多だった。JR九州の新規上場は、鉄道以外への事業拡大にも追い風となり、九州各県の地域活性化にも大きな波及効果が期待される。
 また、JR九州グループの1次仕入先1,149社の総従業員数は36万4,927人、2次仕入先3,860社も同281万9,653人に達し、総従業員数は延べ318万人と雇用面での寄与が大きいことがわかった。
 JR九州グループの1次仕入先1,149社のうち、従業員数が50人未満は903社(構成比78.5%)と約8割を占めた。JR九州グループの直接取引先は中小企業が多いだけに、上場による事業多角化が本格的に浸透すると地元企業の業績にも直結し、地域経済の浮揚をけん引する可能性も高い。
• ※JR九州とグループの仕入先、販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分類、企業情報サービス「tsr-van2」の企業相関図を活用し、業種や地区、規模などを集計、分析した。
• ※1次取引先は直接取引のある取引先。2次取引先は、1次取引先と直接取引がある間接取引先を示す。
• ※JR九州グループは、JR九州と同社の株式売出届出目論見書(2016年9月15日提出)の「関係会社の状況」に国内の連結子会社と記載された合計36社。
産業別 1次仕入先の最多は建設業
 JR九州グループと直接取引のある1次仕入先は1,149社だった。産業別では、建設業が468社(構成比40.7%)と約4割を占めた。線路、架線などの保守工事や施設工事を中心に、鉄道事業での取引が中心とみられる。次いで、卸売業が190社(同16.5%)、サービス業他が188社(同16.3%)、製造業が174社(同15.1%)の順だった。
 一方、1次販売先は151社だった。最多は旅行業などのサービス業他の69社(同45.7%)。次いで、建設業が30社(同19.8%)、運輸業が15社(同9.9%)、小売業が10社(同6.6%)と続く。

業種別 1次仕入先の最多は土木工事、1次販売先は旅行業がトップ
 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)の業種別では、最多が土木工事業の135社だった。次いで、一般電気工事業(50社)、建築工事業(47社)、とび工事業(37社)などの施設保守関連業種が上位を占めた。
 1次販売先(151社)の業種別では、最も多かったのが旅行業(19社)だった。次に、旅行業者代理業(15社)、土木工事(13社)と続く。このほか、広告業と普通鉄道業が各7社など。
従業員数別 1次仕入先では50人未満が約8割を占める
 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)を従業員規模別でみると、50名未満が903社(構成比78.5%)と約8割を占めた。これを含め100名未満は995社(同86.5%)で、圧倒的に中小企業が占めていることがわかった。
地区別 地元の九州が8割を占める
 JR九州グループの1次仕入先(1,149社)の本社所在地ではJR九州グループ各社が本社を置く福岡県が520社で最も多く、次いで、東京都の124社など。取引先が九州に集中しているが、北海道や関東圏、岡山県・広島県・香川県など全国にも所在し、取引の幅広さがうかがえる。

 JR九州は2011年3月に九州新幹線が開通し、さらに長崎県までの西九州ルートも建設中で、鉄道事業の利便性を高めている。その一方、事業の多角化も進めており、1996年にジェイアール九州フードサービス(株)(現・JR九州フードサービス(株))を設立し、「うまや」などの屋号で飲食事業へ参入。2007年には薬局チェーンを運営する(株)ドラッグイレブン(現:JR九州ドラッグイレブン(株))を買収した。さらに、2014年8月にJR九州ホテルズ(株)が都内初のビジネスホテル「ブラッサム新宿」を開業するなど、九州にとどまらず脱「鉄道事業」でも事業展開を本格的に図っている。
 今回の調査でJR九州グループの取引先は九州を中心に全国に及んでいることがわかった。大半が中小規模で、JRグループへの依存度も様々だ。ただ、各地の「駅」は地域の核として圧倒的な集客力を誇っている。それだけに株式上場を機に、幅広い業種へ事業多角化を進め、地域経済の活性化と共存共栄をけん引する企業としての発展が求められている。

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朝日新聞 2016年10月29日12時13分
九州新幹線、新大牟田駅などホーム無人化へ 合理化一環
 JR九州が来春から、九州新幹線の筑後船小屋駅(福岡県筑後市)と新大牟田駅(同県大牟田市)のホームに駅員を置かない方針を固めたことが29日、明らかになった。今年4月に全国で初めて新幹線のホームを無人化した新玉名駅(熊本県玉名市)に次ぐ措置で、鉄道事業の収支改善のための合理化の一環だ。
 関係者によると、すでに地元自治体などへの説明を終えた。新玉名駅では、駅員が担っていた乗客の乗降時の安全確認やホームドアの開閉は車掌が行っている。目立ったトラブルがないことから、対象の駅を広げられると判断した。今後、車掌がホームの安全を確認するカメラの設置、ホームドアが開いている時は列車が走れないようにするシステムの改修、車掌と駅員との通話装置の設置などの安全対策を講じる。
 在来線でも駅の無人化を進めており、昨年3月に32駅、今年3月に9駅を無人化した。現在、全567駅のうち289駅が無人駅となっている。来年3月にも北九州市の若松駅など7駅を無人化する方針。JR九州は今月、株式を東京と福岡の証券取引所に上場。鉄道事業の収支改善が経営課題となっている。



朝日新聞 2016年10月27日13時54分
進む無人化、公共交通消える恐怖 JR九州、合理化加速


 福岡市東区に住む全盲の岩本光博さん(57)は9月末の朝、最寄りのJR西戸崎(さいとざき)駅から列車に乗った。その際、5駅先にある最初の有人駅の香椎(かしい)駅に電話し、香椎駅と博多駅での乗り換えの手伝いを頼んだ。
 だが、両駅とも駅員が現れない。香椎駅では同じホームの反対側まで杖をついて歩き、自力で乗り換えたが、巨大な博多駅ではホームで立ち往生した。転落が頭をよぎり、冷や汗が噴き出す。その様子を見かけた女性の案内で地下鉄にたどり着いた。
 昨年3月の無人化まで西戸崎駅では駅員が乗車を手助けし、正確に乗車位置や時間を伝えられない岩本さんの代わりに乗換駅に連絡してくれていた。
 無人化後もJR九州は岩本さんの電話連絡を受け、乗り換えを助けてきた。だが、広報部によると、この日は通勤時間帯で客が多く、発見できなかったという。広報部は「前日までに連絡があれば無人駅にも人を出して対応できます」と話す。
 岩本さんは「障害者は前日に予定を決めないといけないのでしょうか」とつぶやき、こう続けた。「同じことがまた起きないか。出かけるのが不安です」
 上場を見すえた鉄道部門のコスト削減策の柱として約100駅を無人化する――。JR九州ができてから最大規模の駅の無人化計画を同社幹部が取材に打ち明けたのは、昨年1月だった。昨年3月にJR九州は32駅、今年3月にも9駅を無人化し、全567駅中291駅を無人にした。来年3月にも北九州市の若松駅など7駅を無人化する方針を明らかにしている。
 無人駅では定期券や特急券は買えず、払い戻しもできない。不便さに拍車がかかり過疎が進む危機感から、税金で無人化を避ける自治体も出てきている。
 鹿児島県指宿市では昨年3月に二月田(にがつでん)駅、今年3月に山川駅が無人化した。そのうち山川駅には今月3日から市が朝夕の計4時間、駅員を置いた。乗降客数は山川が1日約400人、二月田が約600人。ともに高校生の通学利用が多い。豊留悦男市長は「両方に駅員を置きたかったが、予算が限られていた」と話す。
 今月中旬に両駅を訪ねた。市の予算措置が間に合わず、今春から半年間は無人駅だった山川駅には「日本最南端の有人駅」と書かれたポールが復活し、清潔に保たれていた。一方、無人になった二月田駅にはゴミが散乱し、トイレは異臭を放っていた。
 福岡県のほぼ中央に位置する川崎町の豊前川崎駅は1日300~400人が乗り降りする。JRはこの駅も無人化を予定していたが、町が4月から町費で職員3人を駅員として置いた。人件費や光熱費で年間210万円以上かかる。
 手嶋秀昭町長は「無人化を容認すれば駅は寂れ、次に廃線とバス転換がくる。レールがないバスの廃止はもっとやりやすい。町から公共交通が消える恐怖がある」と話す。
 先に上場したJR東日本、東海、西日本と比べ、東海道・山陽新幹線や山手線のようなドル箱路線のないJR九州の鉄道事業は赤字が続く。上場後は高配当を求める株主から事業の見直しを迫られかねない。
 JR九州の青柳俊彦社長も廃線の可能性を否定していない。9月の記者会見で不採算路線の廃線について問われ、「鉄道に限らない公共交通機関のあり方を地元と検討しなければならない」と述べた。
 07年4月、西鉄宮地岳線の半分の区間(約10キロ)が廃線になり、福岡県福津市の津屋崎地区から鉄道が消えた。柴田富美子さん(83)は「買い物が不便になった」と嘆く。車の免許はなく、外出はもっぱら列車だった。
 西鉄は廃線の5年前から、この区間で1日の乗降客1千人未満の駅は昼間の時間帯を無人にしていた。西鉄は廃線区間に代替バスを走らせているが、鉄道と比べて所要時間は17分から40分に増え、運賃も260円から470円に上がった。
 福津市は08年から地元のタクシー会社に委託し、市内を循環する小型バスを走らせている。委託費は年4千万円。小山達生市長は「マイカーのない市民の足は、行政が確保していかねばならない」と語る。
 関西大の安部誠治教授(公益事業論)は「上場で利益を追求していくJR九州は私鉄と同じ。人口減が進む中、乗客が少ない駅の無人化はやむを得ず、廃線の懸念もある」と指摘。そのうえで「無人駅が続くと事故時の対応に不安が残る。地域の足の確保も大きな課題だ。どの程度公費を負担して支えるのか、自治体は青写真を考える必要がある」と話す。(土屋亮、岩田智博)
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日本経済新聞2016/10/26 12:30
JR九州上場 「非鉄道」軸に収益拡大
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東京証券取引所に上場した。JRグループの株式上場は4社目。北海道、四国、九州の「三島会社」では初めて。資金調達力を高めて駅ビルやホテル、マンション、外食、農業などの非鉄道事業を拡大し、収益基盤を一段と強固にする。アジアでの事業拡大もめざす。その一方で、九州新幹線の活用や豪華寝台列車「ななつ星」の運行に代表される魅力づくりで国内外から観光客を呼び込み、九州経済を活性化する役割も期待される。

東京新聞 2016年10月25日 10時27分
JR九州、初値3100円 東証1部に上場、完全民営化
 JR九州は25日、東京証券取引所第1部に上場した。取引開始直後から買い注文が先行。初値は1株3100円を付け、事前に申し込んだ投資家への売り出し価格2600円を500円上回った。初値に基づく時価総額は4960億円。国は保有するJR九州の発行済み株式1億6千万株を全て放出。1987年の発足から30年目で完全民営化した。
 JRグループの上場は東日本、西日本、東海に続き4社目。本州以外の北海道、四国を含めた「三島会社」では初めて。年内では7月に上場した無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)に次ぐ大型上場となる。26日には福岡証券取引所にも上場する予定。
(共同)


日本経済新聞 2016/10/25付
JR九州上場、初値3100円
売り出し価格19%上回る
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日午前、東証1部に上場した。初値は3100円と売り出し価格(2600円)を19%上回った。豪華寝台列車「ななつ星in九州」などの知名度や不動産事業の高い収益性が個人投資家の期待を集めた。初値で算出した時価総額は4960億円で、今年上場した銘柄としては対話アプリのLINEに次ぐ規模となった。
 JRグループの上場は4社目で、北海道、四国、九州の本州以外に本社を置く「三島会社」では初めて。取引開始直後から買いを集め、東証1部で売買代金は首位になっている。
 来期以降に配当性向30%を目指すのに加え、売り出し価格を基にしたPER(株価収益率)は10倍程度と不動産や運輸セクターの中では比較的割安な点も注目され、個人投資家を中心に幅広く買いが入った。市場では「配当金が高く、相場変動が小さければ年金基金など安定運用を目指す投資家の資金が集まる可能性がある」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長)との声が出ている。
 JR九州の2017年3月期の連結業績は売上高が前期比0.2%増の3788億円、営業利益は約2.5倍の518億円になる見通し。JR4社で唯一、非鉄道事業の連結売上高に占める割合が5割を超える。
 同社の青柳俊彦社長は25日午前に東証内で上場セレモニー後に開いた記者会見で、「九州も人口が減少しているが、マンション開発などで沿線人口を増やす取り組みが数字となって表れている。その戦略をさらに進めたい」と述べた。


東京新聞 2016年10月25日 夕刊
JR九州が東証上場 30年目で完全民営化
 JR九州は二十五日、東京証券取引所第一部に株式を上場した。取引開始直後から買い注文が先行。初値は一株三千百円を付け、事前に申し込んだ投資家への売り出し価格二千六百円を五百円上回った。初値に基づく時価総額は四千九百六十億円。国は保有するJR九州の発行済み株式一億六千万株を全て放出。一九八七年の発足から三十年目で完全民営化した。
 東証で記者会見した青柳俊彦社長は「三十年にわたる積み重ねの一つ一つが実を結んだ。上場はゴールではなく、新たなステージ。今後も機動的な経営をしたい」と述べた。午前の終値は二千九百二十二円だった。
 JRグループの上場は東日本、西日本、東海に続き四社目。本州以外の北海道、四国を含めた「三島会社」では初めて。年内では七月に上場した無料通信アプリを手掛けるLINE(ライン)に次ぐ大型上場となる。二十六日には福岡証券取引所にも上場する予定。
 完全民営化でJR九州は毎年度の事業計画や社長人事などで国の認可が不要になる。人口減少などで鉄道事業の環境が厳しい中、不動産や駅ビル開発など経営の多角化を進めている。上場に伴い、社債発行などで市場から調達した資金を成長事業に振り向けることができる。
 取引開始後、東証で開かれた上場セレモニーでは、青柳社長、唐池恒二(からいけこうじ)会長のほか、歴代社長らが出席し、記念の鐘を打ち鳴らした。


産経ニュース 2016.10.25 21:28
JR九州、民営化から苦節30年で上場 不動産など多角化が奏功 課題は本業
 国鉄分割民営化から30年を前に25日、JR九州が株式上場した。車両製作に著名デザイナーを起用するほか、豪華列車の運行などで観光誘致をリードするとともに、不動産開発をはじめとする事業の多角化で、悲願の完全民営化を果たした。「ドル箱路線」を持たない同社の成長戦略は、いまだ上場の見通しが立たないJR北海道、四国、貨物3社への道しるべともなりそうだ。(山沢義徳)
 上場後の記者会見で、青柳俊彦社長は「本当に長い道のりだった。30年前の発足時に、上場をイメージした人がどれだけいたか…」と感慨深げに述べた。
 首都圏路線や東海道新幹線といった収益の太い柱を持たない同社は、駅ビルなど不動産事業を筆頭に収益源を多角化。平成26年からは東京都内でホテル事業も展開し、営業エリア外へ積極的に進出した。結果、駅ビル不動産部門は28年3月期に営業利益204億円を計上。鉄道に依存しない体質を構築したことが、輸送人員の少ない「三島会社」で初の上場へと結実した。
 しかし裏を返せば、本業の鉄道部門が収益面で足を引っ張る構図は変わっていない。東京商工リサーチによると、28年3月期の鉄道部門の営業損益は115億円の赤字だった。国土交通省などによると、JR九州の在来線20路線のうち、収支が黒字なのは福岡都市圏の篠栗線だけだ。
 鉄道部門の営業損益は今年度以降、黒字化する見通しだ。ただ、それはJR発足時に国が作った経営安定化基金3877億円を取り崩し、九州新幹線の貸付料前払いに充てるなどの“ボーナス”があったからだ。
 国内では赤字ローカル線を廃止する動きが目立つ。JR西日本は9月、広島・島根両県を結ぶ三江線の廃止方針を発表。JR北海道は近く、維持が難しい路線の存続に関し、沿線自治体との協議を始める。
 これに対し、青柳社長は「ネットワークを維持してこそ鉄道の力が発揮できる」と指摘。収支改善と路線維持に向けたコスト削減を強めるという。ネットワークを維持しつつ、企業価値の向上をどう図るかが問われそうだ。


日本経済新聞 2016/10/25 12:43
JR九州上場、快走演出した「不動産事業」
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東京証券取引所第1部に上場した。朝方から買い注文が膨らみ、取引開始から30分ほどたって付けた初値は3100円と、売り出し価格(公開価格、2600円)を19%上回る水準。ひとまずは順調な「走り出し」といえそうだが、人気の背景を探ると、少し気掛かりな点も浮かび上がる。
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JR九州上場 「非鉄道」けん引役に
 九州旅客鉄道(JR九州)が25日、東証1部に上場した。JR各社と比べて異質な収益体質を持ち、「非鉄道」事業をエンジンに成長路線を描く。
■営業利益でみると「不動産会社」
 「現在は運輸サービス事業と駅ビル・不動産事業の利益がそれぞれ全体の4割。しばらくの間はこの構成で成長を目指す」。青柳俊彦社長は午前中、経済専門チャンネルの番組に出演し、成長のけん引役として不動産事業への期待感を隠さなかった。
 JR九州は社名の通り、鉄道事業が主力ではあるが、実は不動産事業が孝行息子。九州新幹線をはじめとする鉄道事業は2017年3月期にひとまず黒字化する計画だが、営業利益でみると連結全体の4割にすぎない。残る6割のうち、4割分を稼ぐのが駅ビル不動産事業。営業利益でみれば、鉄道事業と同じ規模なのだ。
 JR九州はJR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」(福岡市)や4月に開業したオフィスビル「JRJP博多ビル」(同)など駅前の不動産を活用した商業施設や賃貸用不動産を運営しており、今後も駅ビルや駅ナカを開発していく方針を示す。
 保有不動産の収益力を高めるというストーリーは、東日本旅客鉄道(JR東日本)や東海旅客鉄道(JR東海)が歩んできた成長路線と重なる。初値時点でのJR九州の時価総額は4960億円と1兆~3兆円に達する、他のJR3社と比べると小粒だが、割安なJR九州に投資する理由は十分にある。
■不動産マネーの「逃げ場」にも
 完全民営化で経営の自由度が高まれば、成長のけん引役である駅ビル運営で大規模投資や他社との連携などに踏み切りやすくなる。楽天証券の窪田真之氏も、「高収益の駅ビル不動産事業は、これからさらに利益を拡大する余地がある」と指摘する。JR九州株の初値は、不動産事業への「期待料込み」ともいえる。
 実際、日本株の運用担当者の間では、「国内外の機関投資家がJR九州の不動産事業に注目して投資しようという動きも出ていた」という。そして、もう一つのJR九州にとっての追い風も吹いたのかもしれない。
 日本国内の不動産に向かっていた投資マネーの変調だ。ここ数年来の不動産価格の高騰で、投資額に見合う利回りを得にくくなっており、今年1~9月の累計で海外勢や国内の事業法人は不動産をこぞって売り越した。
 行き場を失った不動産への投資資金が向かいやすいのは、流動性が高く、一時期に比べて過熱感が薄れた不動産投資信託(REIT)や株式。つまり、巨大な投資マネーの流れの中で、JR九州株が資金の「一時的な逃げ場」になったのかもしれない。
■初値は「追い風参考記録」か
 もっとも、期待通りの水準だった初値が「追い風参考記録」になる恐れもある。JR九州が自社で保有する不動産は九州地方が中心で、東京や東海地域の一等地に資産を持つJR東日本やJR東海とは異なるからだ。
 不動産市況の過熱感が想定外に強まれば、新規の案件の取得や開発にかかるコストが膨らむ。今後、九州より不動産市場が大きな首都圏、成長著しいアジア地域で不動産ビジネスを拡大したとしても、リスクは消えない。
 25日のJR九州株は初値に比べて178円(5.7%)安い2922円で午前の取引を終えた。シナリオ通りに不動産事業を伸ばし、JR東日本など旧国鉄民営化の成功事例に加われるだろうか。
(富田美緒)


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