2016-11-06(Sun)

海運 遅れた再編 3社コンテナ船事業統合

日本郵船商船三井川崎汽船、シェア世界6位に  貿易立国の看板を掲げる日本の転換点 

---- 日本郵船商船三井川崎汽船海運大手3社は31日、コンテナ船事業を統合すると発表した。2017年7月に共同出資会社を設立し、18年4月から共同でサービスを始める。3社のコンテナ船事業の売上高は約2兆円となり、世界シェアは約7%で6位に浮上する。海運市況の低迷でコンテナ船事業の収益は悪化しており、事業統合により経営を効率化して生き残りを目指す。

◇グローバル競争を勝ち抜く海運再編に
----貿易立国の看板を掲げる日本の転換点ともいえるだろう。
日本郵船商船三井川崎汽船海運大手3社がコンテナ船事業を統合すると発表した。共同出資会社を設立し、2018年4月から事業を始める。

高度成長期の日本では10社以上が定期航路による貨物輸送事業を手掛けていた。その流れをくむコンテナ船は、3社の統合で事実上1社に集約される。
海運は輸出入を支えるインフラで、コンテナ船はその中核だ。ただ、足元の事業環境は厳しい。世界経済の成長鈍化や資源安で需要が低迷する一方、発注済みの大型船の竣工が続きコンテナ運賃は歴史的な低水準にある。

企業が消費地の近くで生産する立地戦略を進めた結果、世界の貿易量が構造的に伸び悩むようになった、との見方も強まっている。
逆風下のグローバル競争を勝ち抜くため避けて通れない道が、3社の事業統合だといえる。
(日本経済新聞 社説)




以下引用


日本経済新聞 2016/11/1付
社説:グローバル競争を勝ち抜く海運再編に


 貿易立国の看板を掲げる日本の転換点ともいえるだろう。
 日本郵船商船三井川崎汽船海運大手3社がコンテナ船事業を統合すると発表した。共同出資会社を設立し、2018年4月から事業を始める。
 高度成長期の日本では10社以上が定期航路による貨物輸送事業を手掛けていた。その流れをくむコンテナ船は、3社の統合で事実上1社に集約される。
 海運は輸出入を支えるインフラで、コンテナ船はその中核だ。ただ、足元の事業環境は厳しい。世界経済の成長鈍化や資源安で需要が低迷する一方、発注済みの大型船の竣工が続きコンテナ運賃は歴史的な低水準にある。
 企業が消費地の近くで生産する立地戦略を進めた結果、世界の貿易量が構造的に伸び悩むようになった、との見方も強まっている。逆風下のグローバル競争を勝ち抜くため避けて通れない道が、3社の事業統合だといえる。
 現在、商船三井が運航するコンテナ船の規模は世界11位。日本郵船が12位で川崎汽船が15位だ。統合後の新会社の世界シェアは約7%となり世界6位に浮上する。
 すでに世界の海運業界では再編が加速している。コンテナ船の世界3強の一角である仏CMA CGMはシンガポールの大手を買収した。中国では国有の海運2社が合併した。今年8月には韓国大手の韓進海運が経営破綻した。
 規模で劣る日本勢が、急速な構造変化に危機感を抱くのは当然だろう。記者会見で日本郵船の内藤忠顕社長は「(世界で)18社あったコンテナ船事業会社は1年で14社になった」と語った。
 川崎汽船の村上英三社長は「海外勢に伍(ご)して戦うには規模を追求し効率を高める必要がある」と述べ、商船三井の池田潤一郎社長は今回の事業統合を「ベストの決定」と位置づけた。
 3社はコンテナ船以外にも多様な事業領域を持つ。鉱物資源や穀物などを運ぶばら積み船や石油タンカー、自動車運搬船などだ。
 コンテナ船事業の統合を機に他の事業で連携を広げることも可能だろう。一方で「オールジャパン」にこだわらず国境を越えてパートナーを求める視点も大切だ。
 海運に限らず、設備能力の過剰と過当競争に直面する日本企業は少なくない。グローバル競争をにらんだ海運業界の再編を、多くの日本企業は直視する必要がある。
ページのトップへ戻る

------------------------------

日本経済新聞 2016/11/2付
海運 遅れた再編(上) 欧州・中国の連合に焦り
コンテナ船3社統合 日本勢、傍観2年で地盤沈下 ようやく重い腰
 日本郵船商船三井川崎汽船の海運大手3社が主力のコンテナ船事業の統合を決断した。海運市況の低迷で各社の業績が厳しくなるなか、海外大手はM&A(合併・買収)を繰り返して経営規模を拡大してきた。地位低下に危機感を覚えた日本勢がようやく重い腰を上げた格好だが、空白の2年を取り返すのは容易ではない。
 「海外の大手と戦うためには運航規模を高める必要がある」(村上英三・川崎汽船社長)
 「筋肉質のオールジャパンによる会社が誕生する。世界貿易を支える使命感を持っていきたい」(池田潤一郎・商船三井社長)
 「日本は民間の力だけで統合した」(内藤忠顕・日本郵船社長)
 10月31日、都内で記者会見した3社のトップは吹っ切れた表情だった。海運3社体制となってから17年。久しぶりの大規模な業界再編を自らの手で決めた。
 しかし、世界を見渡すとこの数年、日本の海運業界は国際競争力向上の観点で無為の時期を過ごしてきたと見られている。時計の針を2年戻す。場所は中国。
中国が待った
 「このアライアンスは認められません」。2014年、中国当局の結論に、コンテナ船世界首位のA・P・モラー・マースク(デンマーク)と、2位のメディタレニアン・シッピング・カンパニー(MSC、スイス)は即座に反応した。3位の仏CMA CGMを含む3社で連合を組もうとしていたが、中国当局の結論に1、2位は3位を外した連合に切り替えた。
 外された3位CMAは中国と中東の同業2社と提携。15年にはシンガポール社の買収を決めた。この時点で世界大再編の火がついた。
 中国では今年2月に政府主導で国有大手2社が統合して中国遠洋海運集団が発足。4月には仏CMA CGM、台湾エバーグリーン、香港OOCLとコンテナ船連合の結成を決めた。
 川崎汽船はもともと中国遠洋と同じ連合を組んで、お互いの荷物を融通し合っていたが、新たな連合に名を連ねることはなかった。日本の港湾のコンテナ取扱量は最も多い東京港でも世界30位。上海やシンガポールよりも見劣りする。生産と消費の「地産地消」が進むなか、貨物量の取り扱いで魅力に乏しい日本は再編から取り残された。
「運ぶほど赤字」
 日用品や機械部品など様々な貨物を運ぶコンテナ船は各社の売上高の3~5割を占める主力事業だが、運賃は足元でリーマン・ショック前の半分程度。「運ぶほど赤字になる状況」(海運大手幹部)となり、この2年間の3社の最終損失は5000億円を超える見通し。単独での事業継続はもはや困難だった。
 3社の話し合いは5月に始まった。世界5位の独ハパックロイドを中心に、日本3社と韓国・韓進海運、台湾・陽明海運が「ザ・アライアンス」の結成を発表。3社のコンテナ船統合は、ここで顔を合わせるようになって「話が一気に進んだ」(3社のある首脳)。
 最後に背中を押したのは韓国大手の韓進海運の経営破綻だ。荷物の差し押さえのリスクなどで港に係留できない船の様子がテレビなどで放映され、衝撃が走った。3社より規模の大きかった同社の惨状に、統合に向けた話し合いに拍車がかかった。
 日本勢が再編の嵐から離れていた理由はもう一つある。海外大手はコンテナ船専業が多いが、日本勢は原油タンカーや自動車運搬船など多様な種類の貨物船を手掛ける総合海運会社。コンテナ船が不振でも、他の事業で補える「ポートフォリオ経営」が強みとされてきた。だがすべての運賃に下落圧力がかかる現状は、負のスパイラルが大きくなる弱みとなる。
 世界中が再編を繰り返す中、気づけば周回遅れとなった現状を打破する動きに、石井啓一国土交通相が1日「安定したサービスの提供につながる」とコメント。政府関係者や市場はおおむね歓迎している。
 統合でシェアは約7%に高まるが、それでも上をみると今回の再編で安泰とはいえない。3社のある首脳は1日、「まだ(次が)ある」と語った。


日本経済新聞 2016/11/4付
海運 遅れた再編(中)金融市場が無言の圧力 財務悪化、時価総額も縮小
 「積み増してきた自己資本が一気に減ってしまった」。日本郵船の内藤忠顕社長はうなだれる。
 10月31日、コンテナ船の事業統合と同日に発表した2017年3月期予想の連結最終赤字は2450億円の巨額。その結果、自己資本比率は前期末の34%から一気に24%に低下する。統合相手の商船三井(22%)、川崎汽船(23%台)も同水準。倒産しにくい財務安定の目安で、上場企業の平均水準でもある40%を大きく割り込み、20%割れの恐怖が迫る。
 市況次第の業績の浮沈は海運業の常とはいえ、近年は一段と業績振れ幅が激しい。3社の合計最終損益はリーマン・ショック以来、17年3月期までの9年中5年で赤字に沈む。「主犯」が統合対象の定期コンテナ船事業だ。9年間で部門赤字は川崎汽船6回、日本郵船7回、商船三井に至っては実に8回を数える。
 単なる景気変動では説明がつかない。「構造変化に気付くのが遅れた結果」(シティグループ証券の姫野良太アナリスト)だ。中国の成長が鈍化し、世界貿易量が恒常的に伸び悩み始めた時期になおも大型化投資を競い、相次ぎ新造船を投入。供給過剰を招き自らの首を絞めた。
 船の耐用年数が20~30年に及び、発注から受け渡しまで3年前後かかる一方、定期コンテナ契約は1年。運賃はその時の市況で決まる。鉄鋼や自動車など大口顧客との長期契約という安定収益源がある不定期の専用船に比べ、もろに市況の荒波をかぶる。指標となる米国向け運賃は足元、リーマン前の半値水準だ。
 コンテナ統合へ外堀を埋めたのは金融市場からの無言の圧力だろう。株式市場における3社の時価総額は、リーマン前のピークである07年の1~2割程度まで縮小した。存在感低下は覆いようもなく、銀行からも「赤字補填にローンを付けても仕方ない」(メガバンク幹部)と冷たい声が上がる。
 そんな中、商船三井が9月末に実施した資金調達が話題になった。期間60年のハイブリッドローンによる1000億円の調達。通常のローンが負債なのに対し、ハイブリッドの場合、格付け会社の判断で一定割合を資本算入できる。債務弁済順位が低い代わりに利率は高い。マイナス金利下で利回りを求める運用者に人気だが、要は借り手の懐事情の厳しさを表す。
 川崎汽船では大株主の存在が無言の圧力になった可能性もある。今年に入り筆頭株主に躍り出たのが「村上ファンド」の流れをくむエフィッシモ・キャピタル・マネージメント。「(統合は)事前に相談していない」(川崎汽船の村上英三社長)というが、投資先に中長期的に8%超の自己資本利益率(ROE)を要求する「物言う株主」の意向は無視できない。
 今回の統合で取りあえず止血はできた。発表通り1100億円の統合効果があれば、経常損益段階で130億円程度の利益が生まれる。とはいえ、リストラ後に通常みられるV字回復は今回は期待薄。市況は依然予断を許さず、3社は今も「パーフェクトストーム(未曽有の大嵐)」(郵船の内藤社長)を航行中だ。


日本経済新聞 2016/11/5付
海運 遅れた再編(下) 新事業、時間との戦い ばら積み船立て直し急務
 「メガシップ(超大型船)で勝負しろ」。商船三井の池田潤一郎社長は檄(げき)を飛ばす。同社は来年、2万個のコンテナ(20フィート換算)を積める世界最大級の貨物船を6隻投入する。コンテナ船を統合する日本の海運3社にとって、輸送能力が勝る海外勢にようやく対抗する武器となる。
 積載可能量を2倍にしても建造費は2倍にはならないが、2万個型は1万個型に比べてコンテナ1個あたり運航費が2割下がる。2013年に世界首位のA・P・モラー・マースク(デンマーク)が1万8千個型の運航を始め、大型化競争が始まった。遅れていた日本郵船と川崎汽船も18年度までに1万4千個型を計25隻投入する。
 しかし、超大型船はもろ刃の剣だ。荷動きの鈍化で貨物が減れば、空気を運ぶことになるからだ。マースクは海運市況の低迷を受けて15年秋に超大型船の投入を遅らせ、地上職の17%にあたる4000人の削減計画をまとめた。3社のトップはコンテナ船事業の統合で人員削減まで踏み込めるかには口を濁す。
 「3社はライバルであり、今後もこの関係は続く」。10月31日の記者会見の冒頭、商船三井の池田社長はこう言い切った。コンテナ船を切り離した各社の主力は原油タンカーや、鉱物資源・穀物を運ぶばら積み船など不定期専用船と呼ばれる事業。この分野もコンテナ船同様、厳しい状況が続いている。
 ばら積み船の運賃市況を示すバルチック海運指数は2月に史上最低を記録し、リーマン・ショック前の40分の1まで落ち込んだ。旅客機にたとえればアジア発欧州行きの10万円の航空券が2500円になったようなもの。足元でも14分の1にとどまっている。
 カギを握るのは独自色が強く、ライバルの少ない新規事業。「ブルーオーシャン」に活路を見いだそうとしている。
 8月中旬、瀬戸内海に面する下松港(山口県下松市)。カバーに覆われた長い鉄道車両が次々と川崎汽船の自動車運搬船に積み込まれていく。船内では作業員がバンドで車両をしっかりと固定する作業に励む。車両は英国の都市鉄道向けに日立製作所が製造したもので、現地まで45日ほどかけて輸送する。
 川崎汽船は1970年に日本で初めて自動車専用船を建造し、車両輸送に50年近くの蓄積を持つ。約1カ月の航海で傷が付く確率は0.02%と世界でも群を抜く技術力を、インフラ輸出に転用する。「日本車メーカーに鍛えられた技術は簡単にはまねできない」(友田圭司理事)
 郵船は液化天然ガス(LNG)事業を磨く。年内に欧州で船舶向け燃料としてLNGそのものを販売する事業を始める。20年に船舶の環境規制が強化されるため、大気汚染物質の排出が少ないLNGの需要が高まるからだ。自社でも今秋に世界初となるLNGを燃やして走る自動車運搬船を就航させた。
 だが、新事業がすぐに経営の屋台骨を支えるわけではない。昨年9月には中堅の第一中央汽船が経営破綻に追い込まれた。「このままではどの会社も経営を続けられなくなってしまう」(海運大手幹部)。時間との戦いになってきた。
 村松洋兵、菊池貴之、加藤貴行、原島大介が担当しました。


Sankei-Biz 2016.11.3 07:16
世界に後れ取り、身を寄せ合う業界再編 競争の枠組みが巨大化
海運大手の商船三井、日本郵船、川崎汽船が中核の定期コンテナ船事業の統合を決めた。「日の丸連合」を旗印に海外勢に対抗する考えだが、国際的な合従連衡の動きに後れを取ったライバル3社が名門のプライドを脇に置き、身を寄せ合うのが実態だ。
 世界経済の変調を背景に自動車や電機など各分野も再編の流れが加速し、競争の枠組みが巨大化し始めた。
 歴史的転換
 「オールジャパンで成功させる」。東京都内で10月31日、記者会見した川崎汽船の村上英三社長は、財閥や系列を超えた決断に胸を張った。
 3社は明治、大正から続く名門。日本郵船は三菱グループが源流で、商船三井と川崎汽船も発足から約1世紀がたつ。海洋国家・日本の経済発展を物流で支えてきた自負がある。商船三井の池田潤一郎社長は「歴史的な転換点だ」と強調した。
 世界的な再編と距離を置いてきた3社が方針を一変させたのは、中国やフランスなどの4社が4月、コンテナ船の共同運航に踏み切り「日本外し」(海運業界関係者)が鮮明となったためだ。業界では「中国の一帯一路政策の流れ」ともささやかれ、危機感が広がっていた。
 8月にはコンテナ船で世界7位だった韓国の韓進海運が経営破綻。市況悪化が長期化し、3社が手を取り合う道を選んだのは必然だった。
 中国停滞
 世界規模で企業の合従連衡が活発化してきた背景には、中国経済の停滞がある。海運業界は2008年のリーマン・ショック以降も中国の需要頼みで船を造り続け、供給過剰で運賃が低迷。採算が悪化した。日本郵船の工藤泰三会長は「リーマン前と同じように荷物が増えると思っていた」と判断の甘さを認める。
 一方、国内市場も円高などの影響で明るい展望が開けない。製造業は、人件費などのコストが高い国内工場を維持しながら、巨大化する欧米や中国、韓国勢と戦うのが難しくなっている。
 自動車業界では、トヨタ自動車とスズキが自動運転などの先端分野で提携協議に入った。スズキの鈴木修会長は会見で「将来が危ういことを理解していた」と焦りを隠さなかった。トヨタとはすでにマツダも提携している。燃費不正問題で経営危機に陥った三菱自動車は日産自動車のグループ入りを決断。業界はトヨタ、日産、ホンダの3陣営に集約されつつある。
 各分野で拡大も
 電機業界は、さらに厳しい。シャープが台湾の鴻海精密工業に買収され、富士通も中国の聯想(レノボ)グループとパソコン事業の統合を協議中だ。レノボはNECのパソコン事業を12年に傘下に収めており、実現すれば、国内2強だったNECと富士通が、いずれも中国企業の軍門に下ることになる。
 造船では、三菱重工業が大型客船の建造から撤退し、今治造船など3社と商船事業で提携を協議している。
 グローバルな競争の中で劣勢が目立つ日本企業の状況に政府も懸念を強めている。成長戦略を策定する未来投資会議の下に「構造改革徹底推進会合」を設け、事業再編や企業の合併・買収(M&A)の促進に向けた議論を始めた。
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は「日本企業は財閥グループの違いなど、過去にこだわっていられる状況ではない」と話し、各分野で大規模な再編がありうるとの見方を示した。

日本経済新聞 2016/11/1付
海運、再編圧力さらに コンテナ船3社統合
残るばら積み船も苦戦 LNG船など強化急ぐ
 コンテナ船事業の統合を決めた日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は、ばら積み船やタンカーなど残る「不定期専用船」については今後も単独で事業を継続する。しかし同分野も運賃は低迷。各社は液化天然ガス(LNG)の輸送など長期契約が見込める事業を強化し、海底資源の開発など新規事業に活路を見いだすが、すぐには経営の柱に育たない。一段の再編が必要になるとの見方もある。(1面参照)
 コンテナ船事業を切り離した後は、不定期専用船が各社の主力事業となる。この事業には鉱物資源などを運ぶばら積み船、原油タンカー、自動車運搬船などが含まれるが、それぞれ厳しい。
 2017年3月期は日本郵船が155億円の経常赤字、川崎汽船は90億円の経常赤字を見込む。唯一黒字を見込む商船三井でも黒字額を7月末時点から65億円引き下げた。中国経済の減速で石炭や鉄鉱石の輸送需要が不透明になっている。「需要期のはずの10~12月期なのに市況の勢いは弱い」(海運会社幹部)。安定した利益を稼ぎ出す自動車運搬船も足元では不安の影がちらつく。前期まで好調だった資源国向けの輸送が落ちている。
 こうしたなか、各社は海洋資源開発やシェールガスの輸出をにらんでLNG船に力を入れている。電力会社やガス会社向けに生産国からの輸送を請け負い、長期間にわたって安定的な収益が見込めるためだ。郵船は年内に三菱商事などと組んで欧州で船舶向けの燃料としてLNGそのものを販売する事業も始める。
 新規事業にも力を入れる。商船三井は18年からウルグアイでLNGを貯蔵する洋上基地の運営を始める。現地の政府系企業と20年間の契約を結び、洋上で受け入れたLNGを同国内の発電所などに供給する。
 川崎汽船は日本のインフラ輸出に商機を見いだす。18年度までに鉄道車両や大型建機を運べる自動車運搬船を15隻投入する。第1弾として日立製作所から英国向けに鉄道車両を輸送する事業を受注した。
 ただ、新規事業が経営の柱となるには時間がかかる。ばら積み船や自動車運搬船の採算改善がまずは急務となる。


日本経済新聞 2016/11/1付
造船業界にも影響
 史上最悪ともいわれる海運市況は造船業界にも波及している。リーマン・ショックの前に大量に発注された船が2012年までに納入され、世界的に船余りの状況が続く。環境規制強化にともなう特需の反動減もあり、16年に入り新造船の需要は激減。発注者である海運会社の事業統合はさらなる需要減につながりかねず、造船の再編機運を高める可能性がある。
 「統合で短期的には需要は減るが、次の時代により強いコンテナ事業の会社が日本にいることは長期的にはプラスだ」
 三菱重工業の宮永俊一社長は31日、決算発表会見で日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ事業統合について歓迎する姿勢を強調した。
 ただ、足元の新造船の需要は厳しい。4~9月の輸出船の契約実績は148万総トンと前年同期に比べ87.7%も減った。大型客船で巨額の赤字を出した三菱重工は今治造船など造船専業3社との提携を発表。海洋開発に使う船の建造で巨額赤字を出した川崎重工業も撤退も含めた造船事業の構造改革の検討に入った。
 韓国メーカーなどとの価格競争が激しいコンテナ船は総合重工大手はほとんど手がけておらず、今治造船など専業大手が得意としてきた。
 総合重工各社は造船事業の見直しに取り組んでいるが、今回の日本郵船など3社の事業統合は専業各社まで構造改革や再編の動きが広がるきっかけになる可能性がある。


日本経済新聞 2016/10/31 11:10
日本郵船・商船三井・川崎汽船、コンテナ船事業統合
シェア世界6位に
 日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社は31日、コンテナ船事業を統合すると発表した。2017年7月に共同出資会社を設立し、18年4月から共同でサービスを始める。3社のコンテナ船事業の売上高は約2兆円となり、世界シェアは約7%で6位に浮上する。海運市況の低迷でコンテナ船事業の収益は悪化しており、事業統合により経営を効率化して生き残りを目指す。
Play Video
国内海運3社 コンテナ船事業を統合
 日本郵船、商船三井、川崎汽船は2017年7月にコンテナ船事業で共同出資会社を設立する。世界的に海運市況が低迷し合理化が急務。3社のトップは31日午前の記者会見で背景や狙いを説明した。
 31日午前、3社の社長が都内で記者会見した。新会社の出資額は約3000億円で、日本郵船が38%、商船三井が31%、川崎汽船が31%を出資する。3社の事業規模などを基に決めた。単純合算の運航規模は256隻、売上高は約2兆円。港湾で荷役業務をする海外のターミナル事業も統合する。
 各国の独占禁止法当局の認可を受けたうえで共同のサービスを始める。3社の事業を統合することで年間1100億円の相乗効果(シナジー)を見込み、厳しい市況が続くコンテナ船市場で各社はコスト競争力を強化する。
 3社はドイツや台湾の企業と連携して来春からコンテナ船の欧州~アジア~北米航路で共同運航することで合意していた。事業統合により一段のコスト削減とスケールメリットの拡大に取り組む。メンバーの1社だった韓国の海運大手、韓進海運が8月に経営破綻し、共同運航の枠組みから外れることも今回の統合を後押ししたとみられる。
 世界のコンテナ船のランキングではデンマークのマースクが約16%で首位、スイスのMSCが約14%で2位となっており、日本勢は商船三井が11位、日本郵船が14位、川崎汽船が16位と大きく離されていた。
 記者会見で川崎汽船の村上英三社長は今回の事業統合で「スケールメリットを追求したい」と強調。日本郵船の内藤忠顕社長は「3社そろって強い会社にしたい」とした。コンテナ船事業以外の統合に拡大することは「考えていない」(商船三井の池田潤一郎社長)とした。
 コンテナ船は食品や衣料品などの消費財や電子部品などの輸送を主に手掛ける。世界経済の減速や新造船の増加で需給バランスが悪化しており、コンテナ船の運賃は長く低迷。指標となるアジア発北米西岸向けでリーマン・ショック前のピークの約半分の水準だ。日本郵船が16年4~9月期に約1950億円の特別損失を計上するなど、各社とも厳しい業績となっている。

//////////////////////////////////////////

関連記事

テーマ : 政治・時事問題
ジャンル : 政治・経済

tag : 海運 遅れた再編 コンテナ船 日本郵船 商船三井 川崎汽船

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

コメント

プロフィール

ajimu-ra

Author:ajimu-ra

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最近の記事
リンク
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ(タブ)
RSSフィード
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
カテゴリー
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
FC2ブログランキング
↓↓クリックお願いします↓↓

FC2Blog Ranking

ブログ内検索
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

フリーエリア
blogram投票ボタン