2016-11-07(Mon)

電通、労働局が強制捜査 労基法違反、書類送検へ

複数社員に違法な長時間労働

----昨年12月に女性新入社員が過労自殺した電通を巡り、東京など各地の労働局は7日、労働基準法違反容疑で東京本社と関西、京都、中部の3支社を一斉に家宅捜索した。厚生労働省は法人としての電通を同法違反容疑で書類送検する方針。
 
労働局は既に「臨検」と呼ばれる立ち入り調査をしているが、電通が他の社員にも労使協定(三六協定)を超えた違法な長時間労働をさせていた疑いが強まり、強制捜査に切り替えた。
 
複数の厚労省関係者は「刑事事件としての立件を前提にしている」と述べた。労働局は会社の勤務記録を調べるなどして、労務管理の実態解明を進める。
(共同通信)


----厚生労働省は7日午前、複数の社員に違法な長時間労働をさせていた疑いが強まったとして広告代理店大手、電通(東京・港)に労働基準法違反の疑いで家宅捜索に入った。

昨年12月に過労自殺した新入女性社員、高橋まつりさん(当時24)が労災認定されて表面化した電通長時間労働問題は強制捜査に発展した。
 
遺族側代理人によると、今年9月に労災と認定された高橋さんの残業時間は昨年10月9日~11月7日で約105時間。
これを受け、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは電通の東京本社と3支社、主要5子会社を労働基準法に基づき立ち入り調査していた。

その後、複数の社員についても同様の違法な長時間労働をさせていた疑いが強まり、強制捜査が必要と判断したとみられる。
(日本経済新聞)




以下引用


共同通信 2016/11/7 11:53
電通労働局強制捜査 労基法違反書類送検
 昨年12月に女性新入社員が過労自殺した電通を巡り、東京など各地の労働局は7日、労働基準法違反容疑で東京本社と関西、京都、中部の3支社を一斉に家宅捜索した。厚生労働省は法人としての電通を同法違反容疑で書類送検する方針。
 各労働局は既に「臨検」と呼ばれる立ち入り調査をしているが、電通が他の社員にも労使協定(三六協定)を超えた違法な長時間労働をさせていた疑いが強まり、強制捜査に切り替えた。
 複数の厚労省関係者は「刑事事件としての立件を前提にしている」と述べた。労働局は会社の勤務記録を調べるなどして、労務管理の実態解明を進める。


朝日新聞 2016年11月7日09時38分
電通本社に強制捜査 過労自殺問題で東京労働局など
 広告大手、電通の女性新入社員(当時24)が昨年末に過労自殺し労災認定された問題で、東京労働局などは7日、電通本社(東京・汐留)と3支社に労働基準法違反の疑いで一斉に強制捜査に入った。違法な長時間労働が全社的に常態化していた可能性が高く、労務管理の資料などを押収して立件を視野に解明する方針。
 労災認定を受けたのは、入社1年目だった高橋まつりさん。昨年12月に電通女子寮で自殺した。三田労働基準監督署は「仕事量が著しく増加し、時間外労働も大幅に増える状況になった」と認め、今年9月に労災認定した。これを受け、東京労働局などは10月、労基法違反の疑いで電通本社や支社数カ所に一斉に立ち入り調査に入っていた。


日本経済新聞 2016/11/7 10:05
厚労省が電通を捜索 違法長時間労働強制捜査
 厚生労働省は7日午前、複数の社員に違法な長時間労働をさせていた疑いが強まったとして広告代理店大手、電通(東京・港)に労働基準法違反の疑いで家宅捜索に入った。昨年12月に過労自殺した新入女性社員、高橋まつりさん(当時24)が労災認定されて表面化した電通の長時間労働問題は強制捜査に発展した。
 遺族側代理人によると、今年9月に労災と認定された高橋さんの残業時間は昨年10月9日~11月7日で約105時間。これを受け、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などは電通の東京本社と3支社、主要5子会社を労働基準法に基づき立ち入り調査していた。
 その後、複数の社員についても同様の違法な長時間労働をさせていた疑いが強まり、強制捜査が必要と判断したとみられる。


TBS系(JNN)2016/11/7(月) 9:53配信
電通に厚労省が強制捜査、女性社員過労自殺問題
 大手広告会社の電通で新入社員の女性が過労自殺した問題で、厚生労働省は電通本社と全国にある支社の強制捜査に乗り出しました。電通本社前からの報告です。
 東京・港区にある電通の本社前です。7日午前9時半ごろ、厚生労働省東京労働局の監督官らおよそ30人が正面の玄関から一斉に電通の本社ビルに入り、強制捜査が始まりました。
 労働基準法違反の疑いで家宅捜索を受けているのは、電通の東京本社と大阪の関西支社、名古屋の中部支社など3つの支社です。電通では去年12月に新入社員だった高橋まつりさんが長時間労働による過労で自殺したほか、3年前にも当時30歳の男性社員が過労死しました。
 厚労省は先月、立ち入り調査を行い、長時間労働の実態について調べていましたが、電通が複数の社員に違法な長時間労働をさせていた疑いが強まったとして、7日、強制捜査に踏み切りました。厚労省は今後、労務管理の実態を詳しく調べ、電通を書類送検する方針です。
 強制捜査を受けて、電通の社員には動揺が広がっています。
 「直接、広報に聞いてください。私は個人的にはお答えできません」(電通社員)
 「ノーコメントで。(社員の働き方については?) 改善されていくとは思います」(電通社員)
 電通は「捜索が入ったことは事実です」「調査に全面的に協力してまいります」とコメントしています。電通では7日午後、石井社長が全社員に向けて働き方についてメッセージを出す予定です。(07日11:13)
最終更新:11/7(月) 11:50


時事通信 2016/11/7(月) 10:09配信
電通本社と支社を家宅捜索=労基法違反容疑―女性社員過労自殺・東京労働局など
 東京労働局などは7日、労働基準法違反の疑いで電通本社(写真、東京都港区)と3支社を家宅捜索した。これまで任意の立ち入り調査を続けてきたが、強制捜査に切り替えた。違反が確認されれば書類送検する方針。
 東京労働局などは7日、労働基準法違反の疑いで電通本社(東京都港区)と関西(大阪市)、中部(名古屋市)、京都(京都市)の3支社を家宅捜索した。
 これまで任意の立ち入り調査を続けてきたが、強制捜査に切り替えた。違反が確認されれば書類送検する方針。
 捜索には東京、大阪の両労働局に昨年設置された過重労働撲滅特別対策班(通称かとく)のメンバーが加わった。
 電通をめぐっては昨年12月、新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=が過労で自殺。今年労災と認定され、東京労働局などが電通本社と支社、主要子会社を立ち入り調査して全社的な労務管理の状況を調べていた。
 電通は1991年にも入社2年目の男性社員=当時(24)=が過労で自殺し、遺族が起こした訴訟で最高裁が会社の賠償責任を認定した。2014年6月には関西支社、15年8月には東京本社がそれぞれ労働基準監督署から労使協定を超える違法な長時間労働があったとして是正勧告を受けた。
 電通は高橋さんの自殺後、所定外労働時間の上限を月70時間から65時間に引き下げ、午後10時で全館消灯にするなどの対策を実施。今月1日には石井直社長をトップとする「労働環境改革本部」を発足させた。
 電通の話 捜索が入ったのは事実。捜査には全面的に協力する。 


NHK 11月7日 11時31分
厚労省 電通を捜索 複数社員に違法な長時間労働か
 新入社員だった女性が過労のため自殺した大手広告会社の電通が、複数の社員に対して違法な長時間労働をさせていた疑いが強まったとして、厚生労働省は、7日午前、労働基準法違反の疑いで電通の捜索に入り、強制捜査に乗り出しました。
東京・港区にある電通の本社には、7日午前9時20分すぎ、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班などの労働基準監督官およそ30人が捜索に入りました。また、大阪の関西支社や、京都支社、それに名古屋の中部支社の3つの支社にも捜索が入りました。
 厚生労働省によりますと、電通は、本社や関西支社など3つの支社の複数の社員に対し、労働組合と取り決めた協定の上限を超えた違法な長時間の残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いが持たれています。
 厚生労働省は、電通の新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年12月、過労のため自殺し、労災が認められたことを受けて先月から電通を調査してきました。この調査で、本社ビルのゲートを通る際などに記録される出退勤の時間を基に勤務の実態を調べたところ、複数の社員の残業時間が労働組合との協定の上限を大きく上回っていた疑いが強まったということです。
 このため厚生労働省は、強制捜査に乗り出したもので、勤務記録などの資料を押収して、労務管理の実態を詳しく調べることにしています。
 今後の捜査では、違法な長時間労働が組織全体で広く行われていなかったが焦点となり、違反があれば刑事事件として書類送検する方針です。
電通は「捜索が入ったことは事実です。調査には全面的に協力してまいります」とコメントしています。また、電通は7日、働き方についての今後の取り組みなどをすべての社員に説明することを予定していて、予定どおり午後1時から石井直社長が社員を集めてメッセージを出すということです。
一連の問題の経緯は
電通の働き方をめぐる一連の問題、最初に明らかになったのは新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年自殺し、ことし9月に過労が原因の労災と認められたことでした。
 先月7日、母親の幸美さんが記者会見し、「労災認定されても娘は戻ってきません。娘が生きているうちに会社はどうして対策をしてくれなかったのか」と訴えました。
 高橋さんの過労自殺を受けて先月14日、東京労働局の過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」などが電通の立ち入り調査に乗り出します。さらに電通の主な子会社にも調査が入りました。電通では3年前に当時30歳で亡くなった男性社員もことしに入り過労による労災が認められていたことが分かりました。また、おととしには大阪の関西支社が、去年は東京の本社が社員に違法な長時間の残業をさせていたとして、それぞれ是正勧告を受けていたことも明らかになりました。
 電通では一連の問題を受けて先月24日から深夜勤務を原則、禁止することにして、本社や支社のビルを夜10時に一斉に消灯しています。また、組合と取り決めた残業時間の上限も今月から月5時間減らし、職場の環境を改善するとして社長や執行役員8人で作る「電通労働環境改革本部」を発足させていました。
過労自殺した高橋まつりさん
高橋さんは、静岡県の高校を卒業後、平成22年に東京大学に入学しました。大学では文学部で哲学を学び、中国にも留学したということです。
 当時を知る大学の後輩の女性は、「本当に努力家で、1字1句ノートをしっかり書いていてまじめだった。
一方で、留学やアルバイトなどいろんなことにチャレンジしていた」と話します。
 メディア関係の仕事に興味を持ち、大学1年生のときから週刊朝日でアルバイトとしてインターネットに配信する動画に出演していました。
動画では雑誌の最新号の宣伝をするほか、ときにはみずから国会議員やジャーナリストにインタビュー取材することもあったということです。就職先に選んだのは大手広告会社の電通でした。
 去年4月に入社し、インターネットの広告を担当する部署に配属されます。しかし、本採用となった10月以降、連日、長時間の残業が続き、ツイッターで「死にたいと思いながらこんなストレスフルな毎日を乗り越えた先に何が残るんだろうか」とか、「なんなら死んだほうがよっぽど幸福なんじゃないか」などとつづっていました。
 そして、去年12月25日、クリスマスの朝に静岡に住む母親の幸美さんに、「今までありがとう」とメールを送り、その後、住んでいた社員寮から飛び降りて命を絶ちました。
 大学の後輩の女性は高橋さんについて、「人の話を聞くのがうまくてアドバイスもたくさんしてくれる心の優しい人でした。彼女の思いとか夢とかがもう、かなえられないと思うのがつらい。これ以上、同じような悲劇は起きてほしくない」と話していました。


NHK 11月4日 18時27分
News Up 電通で何が 現役社員が語る電通の今
 大手広告会社、電通がいま揺れています。新入社員だった女性が去年、過労のため自殺した問題をきっかけに厚生労働省の調査を受け、新たな長時間労働対策も打ち出しました。電通で何が起きているのか。電通の現役社員たちの証言から探ります。
一斉に消える電通本社ビルの明かり
 10月24日夜10時、東京・汐留にそびえ立つ48階建ての電通本社ビルの明かりが一斉に消えました。新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年、過労のため自殺した問題などを受けて電通は、夜10時以降の深夜勤務を原則、認めないことを決め、この日から本社や支社などを夜10時に消灯することにしたのです。電通本社では消灯時間を前に足早に帰宅する社員の姿が見られました。

「今こそ、全社一丸」
 電通は、このほか労働組合との間で結んでいる取り決めを見直し、所定外の残業時間の上限を月70時間から65時間に引き下げるなどしました。
 こうした対応について電通は10月28日、社内のシステムに文書を掲載し、全社員に向けて通知しました。その社内文書は「逆風を乗り越える」として「難局を変革の機会に。社を取り巻く環境は厳しい。今こそ、全社一丸となろう。働き方を変える契機としよう」と締めくくられていました。

一連の問題の受け止めは
 電通では、高橋さんの過労による自殺が明らかになって以降、3年前に亡くなった当時30歳の男性社員についてもことし、労災が認められていたことや、おととしと去年、関西支社と本社がそれぞれ社員に違法な長時間の残業をさせていたとして労働局から是正勧告を受けていたことが分かっています。
 電通の社員は一連の問題をどう受け止めているのか。取材に応じた男性社員の1人は、「社会から想像以上の厳しい目が向けられたことで今までの自分たちの認識がずれていたということをみんな、少なからず実感している」と話します。
「鬼十則」に象徴される企業体質
 相次ぐ問題を受け、電通の企業体質にも批判が向けられています。
 ある女性社員は電通の社風について「絶対的な上下関係が支配する『超体育会系』だ」と話し、「上司からのパワハラも恒常的にある」と訴えます。
 電通の中興の祖とされる4代目社長、吉田秀雄氏が昭和26年に作った社員の心得、「鬼十則」には「『難しい仕事』を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある」、「取り組んだら『放すな』、殺されても放すな」、「周囲を『引きずり回せ』」などの言葉が並んでいます。
 男性社員は「『鬼十則』をそのまま実行している人なんてほとんどいないが、猛烈な働き方で生き残ってきた会社なので、上の年次の社員ほどそうした価値観が染みついている」と話します。そして、「体育会的な文化というのはわかったうえで、みんな入社しているので、残業時間が多かったり、パワハラ的なことがあったりしても乗り越えていけると思っていた」と述べたうえで、「いままでの電通では生き残っていけないことがわかった」と話していました。
残業時間の過少申告も
 働いた時間を実際より少なく申告し、残業時間を意図的に減らしていたことも複数の社員が証言しています。
 ある若手の男性社員は「暗黙の了解で自主的に残業時間を過少申告し、月50時間程度は削っている」と話します。 
また、女性社員は「朝から次の日の朝まで24時間連続で働いたとき、上司の指示で深夜から早朝にかけての勤務時間を減らされた」といいます。
働いた時間の一部を「自己啓発」や「私的な用事」にあてたなどとして残業時間を減らし、労働組合と取り決めた上限を超えないようにしていたということです。
究極のサービス業
 なぜ、そうまでして長時間、働き続けるのか。
 社員の1人は「われわれは究極のサービス業で、クライアント(客)に言われたことはなんでもやるという仕事なので、労働時間といった概念はあまり関係ない」と話し、広告を出す客の要望に応えた結果だと説明します。この社員は「どれだけクライアントに貢献できたか、プライドを持って働いている人が多い」と話します。
 夜10時以降の深夜勤務が禁じられて以降、仕事の時間を確保しようと朝5時から働いている人もいるということです。
亡くなった高橋さんは“激務”のネット広告担当
 そうした電通の社内でも亡くなった高橋さんが所属していたインターネットの広告を扱う部署は「激務で有名だった」といいます。
 電通の複数の社員によりますと、インターネットの広告はテレビや新聞の広告とは違い、すぐに効果が見えるため、客からの要望などで細かい手直しを毎日のように行う必要があり、テレビ広告などとは比較にならないほど業務量が多くなるということです。
 高橋さんのツイッターには午前5時半すぎに「今から帰宅だよ」とか、「22時前に帰れるなんて...奇跡だ」といった書き込みがあり、連日、長時間の勤務が続いていたことがうかがえます。
改革は正念場
 電通は一連の問題を受けて、11月1日に新たな長時間労働対策を発表しました。社長や執行役員8人で作る「電通労働環境改革本部」を発足させ、若手社員からの意見も集めて、事業の内容や人事制度などを抜本的に見直す改革案を作るとしています。さらに11月7日にはこうした取り組みについて社長が全社員に説明することにしています。
 電通は「社員の健康と法令順守のために労働環境の改善に全力で取り組んでまいります」としています。
 厳しい批判にさらされている電通が、逆風の中、変わることができるのか。取材を続けたいと思います。


NHK 11月1日 20時33分
電通 月の残業時間の上限 5時間引き下げ65時間に
大手広告会社の電通は、新入社員だった女性が去年、過労のため自殺した問題を受けて1日から月の残業時間の上限を5時間引き下げるという長時間労働対策の運用を始めました。
電通は、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が去年12月、過労のため自殺した問題などを受けて、長時間労働の対策を進めています。
 深夜勤務を原則として認めないことにし、先月24日からは夜10時になると本社のビルなどを一斉に消灯しています。
 さらに今月から労働組合との間で結んでいる取り決めを見直し、所定外の残業時間の上限を月70時間から5時間減らして65時間に引き下げました。
 また、この上限を超えて残業を行う必要がある場合に、労使の合意があれば認められる範囲を定めた「特別条項」も見直し、最長で月50時間としていたものを30時間にしました。
 電通は「働く社員が健全な心身を保ち続け、一人一人の社員が自己の成長を実現・実感できる労働環境づくりを目指していきます」としています。
社内の労働環境改善へ改革本部
電通は社内の労働環境を改善するため、1日付けで新たに社長や執行役員などで作る改革本部を発足させたと発表しました。今後、若手社員からの意見も集め、事業の内容や人事制度などを抜本的に見直すことを含む改革案を作り、長時間労働の是正に向けて具体的に取り組んでいくということです。
 また、社内の労務管理に問題がないか、外部の弁護士による調査を進めていることも明らかにしました。このほか厚生労働省の調査結果に基づき、関係する役員や社員の処分も厳正に行うとしています。


朝日新聞 2016年11月1日20時13分
電通、「育児支援に熱心な企業」認定を返上 社員自殺で
 昨年末に女性新入社員が過労自殺した広告大手の電通は1日、子育て支援に熱心だと国が認めた企業に与えられる「くるみん」マークの認定を返上すると東京労働局に申し出た。厚生労働省は了承し、認定は即日失効した。電通は、広告などに「くるみん」マークを使って、「働きやすい企業」だとPRすることはできなくなった。
 電通は2007年10月以降3回認定され、14~15年に労働基準法違反に基づく是正勧告を受けた後もそのままになっていた。厚労省によると、「くるみん」の認定制度が始まった07年以降、認定の返上は初めて。
 電通広報部は「一連の事態を重く受け止めた」と返上の理由を説明した。同社のウェブサイト上に記載している「くるみん」マークは削除するという。
 一方、電通は、石井直社長を本部長とする「電通労働環境改革本部」を1日付で社内に発足させたと発表した。過労自殺などの再発防止に向け、若手社員や中間管理職、外部の有識者の提言を取り入れて包括的な改革案を策定・実行するとしている。電通の労務と関係のない法律事務所による外部調査も実施して問題点を検証し、役員・社員の責任の明確化と厳正な社内処分をして公表するという。(千葉卓朗)


朝日新聞2016年10月28日05時00分
電通、染みついた鬼十則 「命を削って給料もらってる」
 バブル経済の終わりが近い1991年8月。電通に入社して2年目のラジオ局(当時)の男性社員が自宅で自殺した。24歳だった。
 長時間労働でうつ病になったのが自殺の原因だとして、遺族は電通の責任を問う訴訟を東京地裁に起こした。遺族側は、深夜の退館記録などをもとに、男性が長時間労働を強いられていたと主張。会社側は男性の自己申告による記録をもとに、「時間外労働が突出して多いわけではない」「在館時間がすべて業務にあてられていたわけではない」などと反論した。
 地裁判決は、男性が亡くなった8月に10回、前の月も12回、東京の本社を午前2時以降に退社していたと認定。こうした事実をもとに、「常軌を逸した長時間労働をしていた」として遺族の訴えを認めた。
 裁判は最高裁まで争われ、2000年3月、電通に安全配慮義務違反があったと認定された。「長時間の業務で疲労が蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところだ」「会社は労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務がある」。初めてこう言い切った最高裁判決は「過労死問題のバイブル」(岩城穣弁護士)になった。
 電通は責任を認めて遺族と和解。再発防止に向け、「長年にわたって適正な勤務管理、長時間勤務抑制、社員の健康維持のための取り組みを実施してきた」(広報部)と説明する。
 しかし、14年6月に関西支社(大阪市)が、昨年8月には東京・汐留の本社が、違法な長時間労働をさせたとして労働基準監督署から是正勧告を受けていた。その4カ月後、男性と同じ24歳で新入社員の高橋まつりさんが過労自殺した。
 さらに、本社勤務だった男性社員が3年前に亡くなり、過労死を認められたと関係者は明かす。「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は「過労死を繰り返す企業には社会的な監視が必要だ」と憤る。
 違法な長時間労働が常態化していた疑いがあるとみて、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」などが今月14日、本支社に抜き打ち調査に入り、刑事事件としての立件も視野に調べを進めている。
 「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」。電通の4代目社長で、「広告の鬼」と呼ばれた故吉田秀雄氏が1951年に書いたという10カ条の遺訓「鬼十則」の一節だ。長時間労働を助長しかねない電通の企業風土を象徴する社員の心得として知られ、高橋さんの遺族側が問題視している。
 「鬼十則」は今も、電通の社員手帳に残る。中堅社員の一人は「うちの哲学。入社研修で学んだし、一部はそらんじられる」と話す。「良くも悪くも体育会系でタテ社会」の社風で、「花形の局では『1年の年次の違いは海よりも深い』と言われている」という。
 「命を削って給料をもらっているところはある。今回の過労自殺はひとごととは思えない」とも話した。
 電通は17日、石井直社長名の社員向け文書で「当社が是認してきた『働き方』は、当局をはじめとするステークホルダー(利害関係者)から受容されえない」と言及。会社は、午後10時の一斉消灯と退館、午後10時~早朝5時の深夜業務の禁止を社員に通達した。スタンドライトの点灯や社外での深夜業務も禁じた。
 25日午後10時過ぎ。本社の明かりは一斉に消えていった。しかし、社員の反応は冷ややかだ。ある中堅社員は「パソコンを自宅に持ち帰って、こっそりとサービス残業することになるだけ。立件を何としても避けようとしているようにしか思えない」と話す。
 電通の労働組合も24日、会社の対策が「場当たり的なものになってしまう可能性がある。社員にしわ寄せがいくことを懸念している」とのメッセージを組合員に出した。(高野真吾、大内奏、編集委員・沢路毅彦)
     ◇
「鬼十則」(吉田秀雄記念事業財団のHPより)
1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


朝日新聞2016年10月26日22時00分
電通社員「部長指示でウソ申告」残業140→100時間
 25年前に若手社員が過労自殺し、責任を認めた電通。再発防止を誓ったが、再び悲劇が起きた。教訓はなぜ生かされなかったのか。
     ◇
 「もう4時だ 体が震えるよ…… しぬ もう無理そう。つかれた」
 昨年10月21日早朝。広告大手、電通の新入社員だった高橋まつりさんは、SNSにこんなメッセージを残した。東京・汐留の本社ビルの入退館記録などによると、この日退社したのは午前3時38分。前日の午前8時56分に出勤してから、19時間近くが過ぎていた。
 その4日後。日曜日だった25日は午後7時27分に出社。28日午前0時42分に退社するまで約53時間、ほぼ連続して社内にいた記録が残る。11月5日にはこう書き込んだ。「タクシー乗ったなり へろへろ」
 この日の退社時刻は午前2時7分。前日から続けて17時間近く社内にいた。深夜勤務や休日出勤が続いたこのころ、高橋さんはうつ病を発症したとみられる。
 12月25日朝、都内の電通の女子寮で身を投げ、自ら命を絶った。24歳だった。
 今年9月30日、三田労働基準監督署(東京)は高橋さんの自殺を労災と認めた。労基署が認定した1カ月(10月9日~11月7日)の時間外労働は105時間。試用期間が終わり、10月に本採用になってから倍以上に増えていて、仕事によって強い心理的負荷を受けていたと判断された。
 労働基準法は、1日8時間、週40時間を労働時間の上限と定める。これを超えて時間外労働をさせるには、労基法36条に基づいて労使が協定(36〈サブロク〉協定)を結び、労基署に届ける必要がある。電通が届けていた上限は原則として月50時間。ただし、特別な場合には月100時間まで認められる。
 電通では、社員が始業・終業の時刻を自己申告し、上司が承認することで労働時間を管理している。この記録では、高橋さんの時間外労働は月50時間の範囲に収まっていた。労基署の認定とは大きな開きがある。
 電通は一方で、「フラッパーゲート」と呼ぶ出入り口を通ると、入退館時刻を自動的に記録するようにしている。1991年に入社2年目の社員が自殺し、再発防止策として導入したしくみだ。労基署はこの記録をもとに、高橋さんが36協定の上限を超える長時間残業をしていたと認定した。
 電通広報部によると、「入館と始業、終業と退館の間に1時間以上の開きがあった場合、理由を申告し、上司が確認する」という。記録のずれが生じるのは、「ラッシュを避けるために早めに出社したり、終業後にサークル活動や自己啓発活動をしてから退館したりするなど、私的な理由で残っているケースがある」からだと説明する。
 だが、30代の現役社員の説明は異なる。夜遅くまで残業したとき、私的な理由で会社に残ったことにして残業時間の申告を減らしているという。終業と退館に1時間以上の差があれば、「『(新聞やテレビなどによる)私的情報収集』『(忘れ物などの)一時的入退館』『自己啓発』などの理由をつけて申告する」という。「勤務時間中の一部を働いていなかったことにして『中抜き』することもある」と明かす。例えば、午前1時に仕事が終わって退館した場合、午後8時から午前0時の間は働いていないことにして申告する。
 部長から「残業が100時間を超えないように処理して」と指示を受けているためだ。「ひどい月は140時間は残業しているのが実態だが、ウソをついているので、システム上は残業時間が100時間を超えていない」と打ち明ける。
 「部長『君の残業時間の20時間は会社にとって無駄』」。上司に言われたとして、高橋さんがSNSに残した言葉だ。高橋さんにも、「上司が実際より短い残業時間を記録するよう指示していたのではないか」。遺族側はそうみている。(大内奏、編集委員・沢路毅彦)

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