2016-11-10(Thu)

博多駅前道路陥没 NATM工法 正しかったのか

NATM区間の掘進管理が技術提案の評価項目

(1)事前の地質調査が十分だったのかどうか、
(2)地盤条件に対してNATMという工法を選択したことに問題はなかったのかどうか、
(3)大成建設JVが土砂の崩壊や地下水の出水に対して十分な安全対策を取っていたのかどうか――などが焦点

◇NATMの選択は正しかったのか
 議論は今後、(1)事前の地質調査が十分だったのかどうか、(2)地盤条件に対してNATMという工法を選択したことに問題はなかったのかどうか、(3)大成建設JVが土砂の崩壊や地下水の出水に対して十分な安全対策を取っていたのかどうか――などが焦点となりそうだ。
 七隈線の延伸区間の構造検討業務は、2012年までに日本シビックコンサルタントが手掛けた。さらに市は12年1月、有識者で構成する地下鉄七隈線建設技術専門委員会を設置して、地盤条件などを踏まえた施工上の注意点などを議論したことが分かっている。NATM区間を含む実施設計業務は12年7月、八千代エンジニヤリングが受託した。
 七隈線延伸工事は大成建設JVの工区を含めて現在、3工区に分かれて発注されている。いずれの工区も事故直後から工事を中断したままだ。
 事故現場の西側に隣接する工区は、銭高組・日本国土開発・九建JVがシールド工法で駅間トンネルを掘進する計画となっている。「現在はまだシールド機の発進たて坑を掘っている段階なので、今回の事故による影響は少ない」と角部長は話している。しかし、トンネル工事や地下工事では仮設材や建機などのリース代が工事費に占める割合が大きいので、わずかな工程の遅れが工事費の増加につながりやすい。
 大成建設JVの契約工期は19年3月まで。9日時点で工事を再開するめどはついていない。事故による工期への影響や復旧費用などは現時点で不明だ。
(日経コンストラクション)

◇NATM区間の掘進管理が技術提案の評価項目
 福岡市交通局が13年に市議会に報告した資料によると、同工区の入札には総合評価落札方式を採用。技術提案の評価項目に「NATM区間の掘進管理」を挙げている。評価の際の着目点は、以下の通りだ。
 「本工事のNATM工法による施工については、岩被りが比較的少ないとともに、掘進時の急激な地質の変化や地下水の低下による地表面沈下が懸念されることから、地上や近接する既存構造物(地下車路、下水道幹線)への影響を考慮した掘進管理について、より具体的な提案を求める」(福岡市の資料から抜粋)。
 大成建設JVは、3者が参加した入札で最も高い技術評価点を得ていた。同社は今年4月、切り羽前方の微細な地盤変形を坑内から計測できる「TN-Monitor」と呼ぶ技術を新たに開発し、同工区に初適用したと発表している。
(日経コンストラクション)




以下引用

日本経済新聞 2016/11/9 11:23
博多陥没、復旧作業続く 迂回通勤で歩道混雑
 JR博多駅(福岡市)近くの道路陥没事故で、現場では9日朝も穴を埋め戻す復旧作業が続いた。現場近くで働くサラリーマンは不安な表情で出勤する人が目立った。過去にも同種事故を起こしていた福岡市に対し、国土交通省は厳しい態度で立ち入り検査を開始。工法が妥当だったかなどを調べる。
 「はかた駅前通り」の現場では固まりやすい土砂を埋め戻す作業が続いた。8日朝には強かったガス臭は解消された。
■不安の表情
 周辺の歩道は迂回して出勤する人であふれた。現場の隣の通りに会社がある博多区の会社員、金子尚弘さん(35)は起きてすぐにテレビのニュースを確認したという。復旧作業を見つめながら「陥没の影響が広がらないか不安」と話した。
 ふくおかフィナンシャルグループは9日朝、オンラインシステムの障害が全面復旧し、営業店の窓口やATMが平常通り使えるようになったと発表した。九州電力によると、停電も9日午前9時すぎに全て解消した。
 福岡市は同日朝、九電や西部ガスなどライフライン関連の企業を集めた会議を開催し、早期復旧に向けた段取りなどを検討した。
■国交省が警告書
 事故原因となった福岡市営地下鉄七隈線の工事では、2000年と14年にも道路陥没が起きている。国交省は前回から2年でさらに大規模な事故を起こしたことを重くみて、市交通局に対し「二度とこのような事象を発生させることのないよう厳重に警告する」との警告書を出した。
 国交省は8日深夜から鉄道事業法に基づく立ち入り検査も始めた。同省担当者は「周囲の建物の基礎が見えてしまうような陥没は記憶にない。前にも事故があったのに、また陥没を起こしており、問題がなかったか調べる」と厳しい表情。
 事故の起きた工区では、硬い岩盤を掘る際に使う「ナトム工法」が使われていた。国交省によると、都市部では地下水が出ることが多いため、ナトムよりコストが高いものの遮水性が高い「シールド工法」が使われるのが一般的という。同省は工法の選択が妥当だったかなども調べる。


日経コンストラクション 2016/11/09
博多陥没事故、50分前にトンネル天端が「肌落ち」
 11月8日未明に福岡市のJR博多駅前で道路が陥没した現場では、夜を徹してライフラインと道路の復旧作業が続いている。市が同日午後4時半に開いた会見では、陥没に至る直前の現場の様子が明らかになった。
 事故が起こった工区は、大成建設・佐藤工業・森本組・三軌建設・西光建設JVが施工していた。JR博多駅から西に延びる「はかた駅前通り」の直下に、地下鉄七隈(ななくま)線の博多駅と線路が通るトンネルを築く。
 工事区間279.3mのうち、東側のJR博多駅寄りの83.7mはアンダーピニング工法と開削工法を併用して掘削。現在は土留め壁の構築作業などが進んでいる。一方、西側の195.6mは駅部と線路部を含むため、トンネルの断面を柔軟に変えられるNATMを採用した。
 NATMを採用する区間では、幅約9m、高さ約5mの小規模なトンネルを先行して掘り抜いた。その後、工区の西端で先行トンネルを拡幅して完成時のトンネルの上半断面を掘削している最中に、大量の土砂と地下水が坑内に流れ込み、地上の道路が陥没した。
 事故現場の土かぶりは約20m。地表から16mほどの深さまでは砂層などが堆積し、その下は花こう岩などの岩盤層となっていた。地下水位は地表から2~3mの深さにある。
 8日午前4時25分ごろ、JVの職員1人と下請け会社の作業員8人が地下でトンネルを拡幅していたところ、トンネルの天端(てんば)付近の岩肌が崩れ落ちてきていることに気づいた。「肌落ち」と呼ばれる現象だ。
 コンクリートを吹き付けるなどして対応したものの、落ちてくる土砂の量が増加。午前5時ごろには地下水もトンネル内に噴き出し始めたため、JVは現場からの退避を決断した。福岡県警に通報して、地上の道路に交通規制を張った直後の午前5時15分、路面が大きく陥没した。
 現場が素早く対応した結果、作業員だけでなく道路を通行していた人などに死傷者は出なかった。

7000m3の流動化処理土で埋め戻し
 事故現場では8日午後1時30分ごろから、流動化処理土による埋め戻し作業を開始した。先行トンネルにも注水。周辺の地下水位まで満たすことで、陥没範囲が広がるのを防いでいる。
 地表から深さ約3mの位置まで埋め戻しが終わった段階で、ライフラインの復旧作業に取り掛かる計画だ。ここまでの埋め戻しに3日間ほど要する。上下水道、電気、ガス、通信など複数のライフラインが被害を受けており、復旧に掛かる日数の見通しは立っていない。
 ライフラインの復旧後、地表部分まで埋め戻して道路を通行できるようにする。投入する流動化処理土は全体で7000m3を見込む。
 今のところ、周辺の建物が傾くといった被害は出ていない。市の派遣した専門家が現場付近にある42棟を調査し、全棟とも倒壊の危険性はないと判定した。

岩盤の風化が原因?
 市は8日午後に開いた会見で、陥没の原因は「調査中」と答えるにとどめた。「先行トンネルの掘削時に異常はなかった。岩盤質の地盤の一部が風化するなどして、弱くなっていた可能性がある」。福岡市交通局建設部の角英孝部長は、会見でこう語った。
 設計では2~3mの厚さを確保していたトンネル上の岩盤層だが、実際は想定よりも薄かった可能性も考えられる。さらに、NATMによる掘削でトンネルの外周に設けるロックボルトが岩盤層の上に載る軟弱層を打ち抜き、崩壊の引き金になったのではないかという指摘もある。
 市は今後、有識者を含む委員会を立ち上げて、事故原因の究明や復旧方法などを検討していく。併せて、責任の所在も明らかにしていく方針だ。七隈線の延伸工事では、過去にも道路が陥没する事故が起こっている。こうした教訓がなぜ生かされなかったのか、問われることなる。

NATMの選択は正しかったのか
 議論は今後、(1)事前の地質調査が十分だったのかどうか、(2)地盤条件に対してNATMという工法を選択したことに問題はなかったのかどうか、(3)大成建設JVが土砂の崩壊や地下水の出水に対して十分な安全対策を取っていたのかどうか――などが焦点となりそうだ。
 七隈線の延伸区間の構造検討業務は、2012年までに日本シビックコンサルタントが手掛けた。さらに市は12年1月、有識者で構成する地下鉄七隈線建設技術専門委員会を設置して、地盤条件などを踏まえた施工上の注意点などを議論したことが分かっている。NATM区間を含む実施設計業務は12年7月、八千代エンジニヤリングが受託した。
 七隈線延伸工事は大成建設JVの工区を含めて現在、3工区に分かれて発注されている。いずれの工区も事故直後から工事を中断したままだ。
 事故現場の西側に隣接する工区は、銭高組・日本国土開発・九建JVがシールド工法で駅間トンネルを掘進する計画となっている。「現在はまだシールド機の発進たて坑を掘っている段階なので、今回の事故による影響は少ない」と角部長は話している。しかし、トンネル工事や地下工事では仮設材や建機などのリース代が工事費に占める割合が大きいので、わずかな工程の遅れが工事費の増加につながりやすい。
 大成建設JVの契約工期は19年3月まで。9日時点で工事を再開するめどはついていない。事故による工期への影響や復旧費用などは現時点で不明だ。
長谷川 瑤子 [日経コンストラクション]


日経アーキテクチュアトップ 2016/11/08
博多駅前の陥没、NATMで掘削中に出水
 午前5時15分頃、福岡市のJR博多駅前に位置する博多駅前2丁目交差点付近で、道路が幅27m、長さ30m、深さ15mにわたって陥没する事故があった。現場の地下では、地下鉄七隈線の延伸工事を実施中。隣接工区のシールド機がUターンするための空間を、大成建設JVがNATMで構築している最中に出水した。
 事故が起こったのは「福岡市地下鉄七隈線博多駅(仮称)工区建設工事」。施工者は大成建設・佐藤工業・森本組・三軌建設・西光建設JV。契約金額は112億9800万円(税込み)、工期は2013年12月から19年3月だ。
 同工区の延長は東西に合計279.3m。このうち東側の83.7mは、JR博多駅前の地下街や住吉通りの直下を、アンダーピニング工法と開削工法を併用して掘削。西側の195.6mはNATMで掘削していた。出水したのは、NATM工区の西端だった。

土かぶり20mで大断面を掘削中に出水
 現場では、隣接する中間駅(仮称)東工区のシールド機を地下でUターンさせるために、NATMで大空間を構築していた。断面は高さ9m、幅10.5mの馬蹄形。土かぶりは約20mだった。
 午前5時頃、大成建設JVが吹き付け作業をしていたところ、坑内で出水を確認。規制を張った直後の午前5時15分に道路が陥没した。負傷者などはいなかった。
  「どこから出水したかは、まだわかっていない。現場では1m掘進するごとに鋼製支保工を組み、金網を設置して吹き付けていた。吹き付けは鏡面にも施工していた。これまでは特に問題なく工事が進んでいた」(福岡市交通局建設課)。
 午前10時時点で、博多口交差点から博多区役所南口交差点の区間が全面通行止めとなっている。福岡市は二次災害防止のため、周辺地域に避難勧告を出した。復旧は未定だ。
 福岡市地下鉄七隈線博多駅(仮称)工区の位置(資料:福岡市交通局)
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NATM区間の掘進管理が技術提案の評価項目
 福岡市交通局が13年に市議会に報告した資料によると、同工区の入札には総合評価落札方式を採用。技術提案の評価項目に「NATM区間の掘進管理」を挙げている。評価の際の着目点は、以下の通りだ。
 「本工事のNATM工法による施工については、岩被りが比較的少ないとともに、掘進時の急激な地質の変化や地下水の低下による地表面沈下が懸念されることから、地上や近接する既存構造物(地下車路、下水道幹線)への影響を考慮した掘進管理について、より具体的な提案を求める」(福岡市の資料から抜粋)。
 大成建設JVは、3者が参加した入札で最も高い技術評価点を得ていた。同社は今年4月、切り羽前方の微細な地盤変形を坑内から計測できる「TN-Monitor」と呼ぶ技術を新たに開発し、同工区に初適用したと発表している。
 なお、今回の現場から西に400mほど離れた場所でも、14年10月に道路が陥没する事故が起こっている。
木村 駿 [日経コンストラクション]

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