2016-11-23(Wed)

福島沖地震 M7.4  津波 3・11の教訓生きたか

原発地震 やはり不安は消えない  防災のための教訓は残った  「怖さ」思い出す契機に 教訓更に生かす努力を

<各紙社説・主張>
朝日新聞)東日本で地震 「怖さ」思い出す契機に(11/23)
読売新聞)福島沖の地震 津波の備えは十分だったのか(11/23)
毎日新聞)津波と避難 教訓更に生かす努力を(11/23)
産経新聞)津波警報 命守るため迷わず逃げろ(11/23)
東京新聞)原発と地震 やはり不安は消えない(11/23)

北海道新聞)福島沖地震 普段の備えが奏功した(11/23)
河北新報)福島県沖でM7.4/防災のための教訓は残った(11/23)
信濃毎日新聞)福島県沖地震 今後も警戒を怠らずに(11/23)
京都新聞)東北に津波  3・11の教訓生きたか(11/23)
神戸新聞)東北に津波/災害の備え再点検したい(11/23)

中国新聞)福島沖でM7・4 震災の教訓生かせたか(11/23)
西日本新聞)福島沖M7.4 「不断の備え」徹底したい(11/23)




以下引用



朝日新聞 2016年11月23日(水)付
社説:東日本で地震 「怖さ」思い出す契機に


 5年8カ月という歳月は、地球にとってはほんの一瞬まばたきするほどの時間でしかない。
 きのう早朝に起きた東日本大震災の余震とみられる地震は、忘れっぽい人間の記憶を呼び覚ますものになった。
 まどろみから追い立てるような揺れが、東北から関東を襲った。福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震は、宮城県仙台港で1・4メートルの津波を記録した。国内では大震災以来最大の高さとなった。
 2011年3月11日の本震の後、余震活動の領域内とされる場所でのM7以上の地震は、その年に6回、12~14年に各1回起き、きのうが10回目だ。この地域の地震活動が落ち着いたわけではない。今後も同じ程度の揺れへの警戒が必要だ。
 津波は、気象庁の予想とは違うあらわれ方をした。
 宮城県には当初「注意報」が発令されていたが、仙台港で想定を超える高さを観測し、津波到達後に「警報」に引き上げられた。震源に近い福島県小名浜(おなはま)港よりも仙台港の方が高くなった理由について、気象庁は詳しくはわからないとしている。
 地震の規模はそれほどでなくても、震源が浅ければ、断層のずれ方によって津波が大きくなることがある。予想には限界があると心にとめて、命を守る行動を取りたい。
 多くの人たちをひやりとさせたのは、東京電力福島第二原発の使用済み核燃料を保管するプールで、冷却水を循環させるポンプが一時止まったことだ。
 地震による水位変動を検知し自動停止装置が働いたためで、そのこと自体に問題はない。
 しかし3・11直後、福島第一原発では、プールの冷却停止による燃料損傷と放射性物質の大量放出が真剣に危ぶまれた。それを考えると、教訓が忘れられていないか心配になる。
 原子力規制委員会は、使用済み燃料を水ではなく、空気の自然対流で冷やす「乾式貯蔵」の導入を各電力会社に求めている。だが、敷地内での長期貯蔵に道を開くことになり、地元の反発や核燃料サイクル路線の見直しを招きかねないとする電力側の反応は鈍い。ここは、安全の確保を第一に考え、実現を急ぐべきだ。
 今回の地震は、福島第一原発の敷地内のタンクにたまり続ける汚染水のリスクにも、改めて人々の目を向けさせた。
 一つ一つの災害に謙虚に学び、個人も企業も社会も着実に対策を講じる。今日にも起きるかも知れない次の災害に備えるには、それしかない。
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読売新聞 2016年11月23日 06時23分
社説:福島沖の地震 津波の備えは十分だったのか


 東日本大震災の経験は生かされたのだろうか。津波への対応を詳細に点検し、改善につなげなければならない。
 福島県沖を震源とする地震が発生し、東北から関東の広範囲で津波が到達した。大震災以降としては最大の高さ1・4メートルの津波が観測された。
 大震災の余震とみられる。東北の太平洋沿岸では依然として、津波への厳重な警戒が必要なことが改めて示されたと言えよう。
 地震の揺れなどにより、15人以上が負傷した。大きな浸水被害には至らず、津波に流された人は確認されていない。
 50市町村が避難指示・勧告などを発令した。問題は、住民への呼びかけが徹底されたかどうか、である。対象住民は55万人を超えたが、避難所に移ったのは約1万2000人にとどまった。
 津波から命を守るために最も大切なのは、迅速な避難である。それが、大震災の教訓だ。
 津波は水の塊が押し寄せる。高さ50センチで、成人男性の8割が流されるとの実験結果もある。住民の安全を確保するため、自治体も速やかに、避難指示などを発することが肝要である。
 今回、津波到達後に発令したところもある。空振りを恐れてはならない。災害の度に繰り返される教訓を胸に刻みたい。
 気象庁の津波予測にも課題が残る。地震直後、津波警報を福島県に、津波注意報を宮城県などに出した。約2時間後に高さ1・4メートルの津波が仙台港で観測された。宮城県の注意報が警報に替わったのは、この津波の到達後だった。
 気象庁は、海底の地形や波の相互作用の影響で、最初の予測通りにならなかった、と説明する。予測の精度向上が求められる。
 一帯では、陸側プレートの下に海側プレートが潜り込んでいる。これに伴い、プレート間などの歪(ひず)みが増す。大部分は大震災により解消されたが、今度は、歪みから解放されたプレートが不安定になり、断層の動きを招きやすい。
 特に、海側プレートでは、断層が上下にずれて津波を引き起こす「アウターライズ地震」が懸念される。明治三陸地震(1896年)後に起きた昭和三陸地震(1933年)が、このタイプだ。津波で約3000人の犠牲者が出た。
 常に最悪の事態を想定し、防災の態勢を整えねばならない。
 南海トラフ巨大地震の発生も現実味を帯びている。全国の自治体や住民が、津波に対する備えを点検する機会とすべきである。
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毎日新聞2016年11月23日 東京朝刊
社説:津波と避難 教訓更に生かす努力を


 福島県沖を震源とする東日本大震災の余震とみられる地震がきのうの朝発生し、沿岸各地や島しょ部で最大1・4メートルの津波を観測した。
 マグニチュード(M)7・4は、東日本大震災当日を除き最大の余震である。東日本大震災以後の陸側のプレートの特徴的な動きに起因していると考えられる。こうしたタイプの地震は、今後もこの地域で続く可能性があるという。津波への警戒を一層強めたい。
 津波警報や注意報が太平洋側の広範囲に出され、岩手、宮城、福島各県の市町村が、40万人を超える住民に避難指示や勧告を出した。
 自治体の呼びかけに応じ、高台や避難所などに避難した住民は多かったとみられている。大きな津波が住宅地を襲うことはなかったが、津波が河川をさかのぼる映像が見られた。東日本大震災の教訓を生かし、早めの避難を心掛けた被災者は少なくなかったのではないか。
 東日本大震災の時、気象庁の津波警報の第一報は「予想される津波の高さは3メートル」というものだった。これが住民の油断を招き、避難遅れにつながったと指摘された。
 気象庁は震災後、警報や注意報で津波の高さを表す際、メートル表示だけでなく、「巨大」「高い」といった表現を取り入れた。
 今回はテレビ報道も、ひらがなで「にげて」と呼びかけるなど、「簡潔で避難に結びつく表現」を試みていた。適切な情報伝達の方法をさらに考えていきたい。
 防災の最前線に立つ市町村は今回の対応を十分に検証する必要がある。車での避難者が多かった一部地域では、道路が渋滞したという。また、高齢者ら要援護者の避難支援が機能したかも丁寧に確認すべきだ。
 政府の専門調査会は東日本大震災後、津波が発生した場合、「歩いて5分で避難できるまちづくり」を目指すよう提言した。そういった視点から各自治体は今回の避難行動を見直し、課題があれば積極的に改善していく姿勢が必要だ。
 今回の地震では東京電力福島第2原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却系ポンプが自動停止した。プールの水位を調整するタンクの水位計が地震による水面の揺れに反応したためと考えられている。
 タンクの水位低下によるポンプ停止自体は設備の安全を確保するには必要だ。冷却系の一時停止によるプールの水温上昇も今回は0・2度にとどまった。
 ただ、多くの燃料が入ったプールの危険性は福島第1原発の過酷事故で改めて認識された重要ポイントでもある。東電も国も入念に安全対策を再点検すべきだ。
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産経新聞 2016.11.23 05:03
【主張】津波警報 命守るため迷わず逃げろ


 津波から命を守るためには「迷わず逃げる」ことが大原則であり、「逃げない理由」を作ってはならない。
 福島県沖を震源とする地震で、東北、関東地方の太平洋岸で津波が観測された。津波に対する心構えを再確認する機会としなければならない。
 気象庁によると、22日午前6時前に発生した地震は東日本大震災の余震と考えられ、地震の規模はマグニチュード7・4だった。発生直後に福島県に津波警報が発令され、NHKは「ただちに避難してください」と切迫した口調で呼びかけるとともに、「つなみ!にげて!」などのテロップを流し続けた。民放各局も避難を繰り返し呼びかけた。
 5年8カ月前の大震災を思い出し、すぐに避難を始めた住民は多い。一方で情報収集を優先し「とりあえず状況をみよう」と避難を遅らせ、見合わせた人もいるだろう。今回の避難行動を各自が検証し、避難を見送ったり、迷ったりした理由を、一つ一つ解消することが重要だ。
 災害時の状況把握は大事だが、情報への過度の依存は大きなリスクを伴う場合があることも、認識しておく必要がある。
 今回の地震でも、宮城県では午前8時すぎに仙台港で140センチの津波が観測され、津波注意報が警報に切り替えられた。災害予測の精度には限界がある。予測をはるかに超える大津波により多くの命が失われた大震災の教訓を、決して忘れてはならない。
 大震災を機に、気象庁や各メディアは情報発信の表現を見直した。NHKの切迫した口調もその一つで、避難を重点的に促したことは評価できる。
 しかし住民側が受け身だと、切迫調はやがて形骸化する。「また大げさに放送しているよ」と思われて避難行動に結びつかなかったケースも、過去にあった。大切なのは、住民が自分の意志で避難することである。
 大津波の頻度は数十年、数百年に1度であっても、それが今日、明日かもしれない。だから、「まず逃げる」という意識を一人一人が持ち続ける必要がある。
 第一に、自分の命を守るためである。第二は避難の呼びかけや救助活動で周囲の人を危険にさせないため。そして第三は、避難行動の積み重ねと継承により、百年後の命を救うためだ。
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東京新聞 2016年11月23日
【社説】原発と地震 やはり不安は消えない


 夜明け前の東北地方をマグニチュード(M)7・4の地震が襲った。東日本大震災以降最大の津波も観測した。被害は小さかったが、原発が地域の安全と安心を脅かしている姿があらわになった。
 震源は福島県沖だった。福島第一、第二原発の前に広がる海だ。
 大震災の際、原発の近くを通る国道6号は一部浸水した。堤防工事が行われているが、まだ完成していない。国道は朝夕、作業員を乗せた車で渋滞する。津波が高くなくてよかった。
 福島県いわき市ではガソリンスタンドに車の列ができた。原発からは数十キロも離れているが、原発から放射性物質が放出されるのを恐れた人たちが、遠くに避難できるように給油したのである。
 最近の同県沿岸部は、新しい商業施設や宿泊施設ができ、一見、日常生活が戻ったような印象を与える。しかし、原発事故のときの混乱や不安を忘れていなかった。それを象徴する給油の列だった。
 第二原発で一時、核燃料プールの冷却が止まった。安全には問題ないと言うが、不安を訴える住民はいる。今回の地震は、住民にとって、原発事故はまだ終わっていないことを示した。
 東京電力は福島県知事らが繰り返し廃炉を要望しているのにもかかわらず、第二原発の廃炉を決めていない。福島の復興を言うのなら、廃炉の決定が望まれる。
 気象庁は今回の地震を東日本大震災の余震としている。最近、話題にならなくなっていたが、M7前後の余震は、一二年十二月、一三年十月、一四年七月、一五年二月と続いていた。「今後も年一回程度はM7クラスの余震が起きてもおかしくない」と言う。余震だけではない。大震災を起こした日本海溝よりもさらに東側で、アウターライズ地震という巨大地震の発生を警告する専門家もいる。
 日本は地震と火山の国だ。海底で地震が起きれば津波も発生する。首都直下や南海トラフ地震が話題になるが、予想もしない場所で大地震が起きることも珍しくない。福島県沖の地震は、私たちへの警告と考えたい。
 まずは家族や職場、学校で、もしものときの対応を話し合おう。旅行先だったら、といった想像力も働かせよう。
 原発は地震などの自然災害の際、複合災害となって被害を大きくする。原発事故のつけは、推進した政治家や企業ではなく、国民に回ってくる。全原発を廃炉にすることが国土強靱(きょうじん)化につながる。
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北海道新聞 2016/11/23 08:55
社説:福島沖地震 普段の備えが奏功した


 港に鳴り響くサイレンに、多くの人が5年前の東日本大震災を思い出したのではないか。
 22日未明、福島県沖を震源とする地震が起きた。福島、茨城、栃木各県で最大震度5弱を観測し、東北、関東地方の太平洋側各地に津波が到達した。
 それでも、多くの住民は普段の訓練通りに高台などに逃げ、目立った被害はなかった。大震災以来、何度も繰り返した避難訓練が役に立ったといえるだろう。
 地震多発国の日本は、いつ、どこで巨大な揺れに襲われるか分からない。時間とともに災害の記憶は薄れがちだが、道内でも日常の備えを万全にしておきたい。
 地震による津波は、仙台港で東日本大震災以降最大の1メートル40センチを観測するなど、数十センチから1メートル超の津波が各地に到達した。
 宮城県内では河川を津波がさかのぼる様子も見られた。大震災の大津波を彷彿(ほうふつ)させる光景に、恐怖がよぎった人もいただろう。
 ただ、避難指示が出された地域では落ち着いて避難が行われ、大きな人的被害はなかった。
 防災行政無線や広報車だけでなく、電子メールで避難を呼び掛ける自治体もあった。大震災の教訓が生かされた形だ。
 気になるのは、運転停止中の東京電力福島第2原発3号機で、使用済み核燃料プールの冷却が約1時間半にわたり停止したことだ。
 プールの排水を回収するタンクの水位計が、水面の揺れを水位低下として感知し、循環ポンプが壊れるのを防ぐために自動停止したことが原因とみられている。
 東電は正常に作動した結果で、水漏れや放射性物質の漏洩(ろうえい)はなかったとする。
 だが、プールには使用済み核燃料2544体が保管されている。万が一、冷却できなければ水が蒸発し、メルトダウンという最悪の事態も想定される。
 住民の不安の大きさを考えれば、簡単には見過ごせまい。
 日本には北電泊原発(後志管内泊村)など、海岸線に多くの原発が立地する。青森県大間町では、電源開発が大間原発を建設中だ。
 けれど、これだけ頻繁に地震や津波に襲われる国で、本当に原発の安全性が確保できるのか。改めて日本の原発政策が問われよう。
 国内には2千を超える活断層がある。行政がハザードマップの更新や避難訓練のあり方を常に検証するとともに、各家庭や地域でも、災害の際の対応について確認することが大切だ。
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河北新報 2016年11月23日水曜日
社説:福島県沖でM7.4/防災のための教訓は残った


 大きな揺れに続き、沿岸部に押し寄せる津波-。東日本大震災のあの日の恐怖がよみがえった。きのう早朝、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7.4の地震が起きた。
 マグニチュードは阪神大震災や熊本地震のM7.3を上回り、宮城県沖地震(1978年)に匹敵する大きな規模。震源も浅かったことから、福島県など3県で震度5弱を観測したほか、仙台港では140センチを観測するなど大きな津波も引き起こした。
 にもかかわらず、建物や人的被害が限られたのは幸いだったと言っていいだろう。自治体や住民の避難対応がスムーズに行われたようで、いち早く高台に逃げる必要性を学んだ大震災の教訓が生きたに違いない。
 しかし、悪夢の再来を想起させるような事態も起きた。
 東京電力福島第2原発3号機で、使用済み核燃料など2544体が保管されていたプールの冷却設備が、一時停止してしまった。約1時間半後に再起動して再開したとはいえ、冷却設備の停止はあってはならないトラブルだ。
 核燃料は使用後も熱を出し続けるため、プールの水に沈めて冷やし続ける必要がある。それが止まれば温度が徐々に上がり、最悪の場合、融解する恐れがあるからだ。それこそ原発事故の二の舞だ。
 東電によれば、水源となるタンクの水面が揺れたことでセンサーが水位低下を検知、水を循環させるポンプが自動停止したとみられるという。
 たとえ、センサーが働いたとしても、簡単に冷却を自動停止するようなシステムは危ういのではないか。しかも1~4号機のうち、なぜ3号機だけ冷却機能が停止したのかはよく分かっておらず、今後の地震対策に不安が残る。
 東電にとって福島第1原発の廃炉作業が重要であることは分かるが、これからも起こり得る大震災の余震にも万全の備えが必要。第2原発についても怠ってはならない。
 ほかにも課題を残した。宮城県に当初出された「津波注意報」が、仙台港などへの津波到達を受けて「津波警報」に切り替えられたことだ。
 津波には絶対に必要な「即時避難」のためには好ましくなく、住民の判断を遅らせることになりかねない。気象庁は「予報なので不確定なところがある」と弁明しているものの、見通しに甘さがあったのではないか。最初の段階から、より厳しく判断して発令するよう心掛けるべきだ。
 東北の太平洋沖では海のプレートが陸のプレートの下に沈みこんでおり、その境界で大地震が起きてきた。東日本大震災は断層を境に押し合う「逆断層型」だが、今回は引っ張り合う「正断層型」。
 大震災の影響によって、さまざまなタイプの地震が起きやすくなっているのは確かで、これからも決して警戒を緩めることはできない。
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信濃毎日新聞(2016年11月23日)
社説:福島県沖地震 今後も警戒を怠らずに


 東北地方の人たちはどれほど怖かったことだろう。きのう早朝に福島県沖を震源とする地震があり、福島など3県で震度5弱を観測した。甚大な津波被害が生じなかったのは何よりだ。
 地震の規模は、マグニチュード(M)7・4で、阪神大震災や熊本地震のM7・3を上回る。
 東日本大震災以降、最大となる140センチの津波を仙台市で観測した。東京電力福島第1、第2原発にそれぞれ100センチ、岩手県の久慈港には80センチの津波が到達している。地震の規模が大きく、震源が浅かったことなどから、大きな津波になったようだ。
 太平洋沖では大震災後、M7級の余震が続いており、今回の地震もその一つとみられる。発生から5年8カ月である。影響の大きさに驚かされる。
 午前6時前に発生し、その後も揺れが続いた。気象庁は今後1週間程度、最大震度5弱の地震と津波に注意が必要としている。引き続き警戒を怠れない。
 沿岸部の自治体では、震災後に導入した防災メールで住民に高台への避難を促すといった取り組みが見られた。新たに設置された津波避難タワーに身を寄せた人たちもいる。震災の教訓が広く生かされているなら心強い。
 気になるのは、福島第2原発3号機で、使用済み核燃料プールの冷却水を循環させる系統が自動停止したことだ。タンクの水面が揺れ、水位低下の警報で停止したとみられる。東電は「ご心配をお掛けし申し訳ない」と陳謝した。
 水は十分に冷却されており、放射性物質の漏えいなどはないとしている。今回、1時間半ほどの停止で水温が0・2度上昇したものの、運転管理上の制限値の温度に達するまでには約7日間の余裕があったという。
 第2原発1〜4号機のうち3号機だけ停止したのはなぜか、深刻な事態につながる可能性はないのか、不安を残さないよう丁寧な説明が要る。使用済み核燃料プールは各地の原発にある。徹底した究明、検証を求めたい。
 4月の熊本地震、10月の鳥取中部地震と、大きな揺れが続いている。不意打ちの怖さが地震にはある。同じようなことがいつ、どこで起きてもおかしくない。
 家具の転倒防止や非常持ち出し品の準備など、日頃の備えが大事になる。万が一のときの避難場所や安全なルート、家族同士の連絡方法も折に触れて確かめ合えるといい。それぞれに防災、減災対策を点検し直したい。
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[京都新聞 2016年11月23日掲載]
社説:東北に津波  3・11の教訓生きたか


 早朝に東日本大震災の記憶がよび起こされた。
 福島県沖で地震が発生し、東北地方の沿岸に押し寄せた津波である。宮城県の仙台港では大震災以降で最高の140センチを観測した。
 さいわい大きな被害は伝えられていない。すぐに避難するなど、大震災の教訓が生かされたのか。住民、地域、行政が、それぞれの行動をふり返り、点検することで教訓を蓄えたい。今後の備えに役立つに違いない。
 つくづく日本列島は地震や津波から逃れられないと思い知らされた。京都、滋賀で暮らす私たちも人ごとではなく、突然の自然災害にどう行動すべきか、この際、頭に描いておきたい。
 大震災から5年8カ月たつが、巨大地震の影響は数年から十数年、長ければ数十年残るという。警戒を緩めるわけにはいかない。
 地震規模はマグニチュード(M)7・4と阪神大震災(M7・3)を上回り、福島、茨城、栃木の3県で震度5弱を観測した。福島、宮城両県には津波警報が出され、福島県相馬市で90センチ、岩手県の久慈港で80センチに達した。
 大震災のような10メートルを超える大津波ではないが、数十センチの津波でも人を引き込む力があることを、住民たちは震災の体験で知っている。「津波と聞いてすぐ逃げた」という声をテレビで聞いて、津波の恐ろしさが被災地に刻まれているのを感じる。
 大震災の翌年に、中央防災会議ワーキンググループが津波避難について報告している。1万9千人を超える命が津波に奪われた事実を深刻に受け止め、「自らの命を守るのは、一人一人の素早い避難しかない」と確認している。
 避難は徒歩が原則、車はなるべく避ける、とする。自力で避難できない人たちが入る福祉施設や病院には事前計画や対策を求めているが、今回の地震・津波ではどう対処したのだろう。
 気になるのは、やはり原発である。福島第2原発の使用済み核燃料プールで、冷却水の循環が自動停止し、水温が上昇した。地震の揺れでプールの水位が動いたのを検知したためという。1時間半後に冷却を再開したが、ひやりとした。
 沿岸には福島第1原発や女川原発などがある。異常は確認されなかったとはいえ、危うさを感じざるを得ない。地震列島の原発リスクを真正面から考えるべきだ。
 気象庁によれば、1週間程度は同規模の地震が発生する恐れがある。くれぐれも注意してほしい。
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神戸新聞 2016/11/23
社説:東北に津波/災害の備え再点検したい


 川をさかのぼる波の映像が不気味だった。5年8カ月前の津波を思い出した住民は多いだろう。
 きのう朝、福島県沖を震源とするマグニチュード(M)7・4の地震があった。仙台港で東日本大震災以降では最大の140センチなど、沿岸部で大きな津波が観測された。
 東北沿岸部などでは避難指示も出され、1万人以上が避難した。一部で避難の車が渋滞するなどの混乱もあり、情報伝達の方法や避難行動などを点検し、今後に生かしたい。
 一方、福島第2原発3号機(福島県)の使用済み核燃料プールの冷却設備が一時停止した。東京電力はタンクの水面が揺れて自動停止したとし、緊急時の「正常な機能」と説明する。だが、1~4号機のうち3号機だけが停止しており、十分に検証すべきだろう。
 今回はM7・3の阪神・淡路大震災を上回る規模の地震で、震源が浅く沿岸に近いため大きな津波につながった。気象庁は断層が引っ張られる力によって上下にずれる「正断層型」と分析する。東日本大震災の余震とみられ、今後も警戒が要る。
 沿岸部では防災行政無線や広報車だけでなく、防災メールを使って住民に高台への避難を呼びかけた自治体があった。大震災後に整備した津波避難タワーなども活用された。こうした教訓を生かした取り組みを強め、被害軽減を図りたい。
 ただ地震だけでなく、台風や集中豪雨など過去の災害で、避難情報の伝達や避難行動の遅れが問題になってきた。8月末、岩手県の高齢者施設で9人が犠牲になった豪雨災害や2年前の広島県の土砂災害などでは情報提供が遅れたり、内容が正確に伝わっていなかったりした。
 今回は大震災を経験した住民が多く、比較的落ち着いて避難したとされるが、ほかの地域でも同様に行動できるかは分からない。
 内閣府の今年2月の調査によると、災害が身近で起きる可能性が高いと考える人の46%が普段から防災に取り組んでいるのに対し、可能性が低いと考える人の取り組みは2割余りにとどまるという。
 南海トラフ巨大地震の発生が懸念されている。兵庫県は発生直後に全員が避難すれば津波の死者数の99%を減少できると推計する。
 災害への危機意識を高め、命を守るための備えを進めていきたい。
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中国新聞 2016/11/23
社説:福島沖でM7・4 震災の教訓生かせたか


 強い揺れと津波、原発への影響。きのう早朝、福島県沖で発生したマグニチュード(M)7・4の地震は2011年3月11日の東日本大震災の記憶を強く呼び覚ました。気象庁が津波警報を出すのも約4年ぶりだ。
 あの日のM9・0の巨大地震の余震と考えられるという。エネルギーの規模では21年前の阪神大震災やことしの熊本地震を上回った。5年8カ月を経ても続く海底の地殻変動が、これほどの地震を引き起こした事実はやはり重い。大震災はいまだ続いているということなのか。
 今回の地震は「正断層型」と呼ばれる津波が発生しやすいメカニズムのようだ。仙台港で観測した1・4メートルという津波の高さは3・11後では最大といい、幾つもの川を逆流する映像には確かに不気味さを覚えた。
 ただ昼までに警報も注意報も解除され、漁船の転覆などのほかは大きな津波被害がなかったのは幸いだった。一方で地上の震度は最大5弱にとどまったものの、自宅での転倒など各地でけが人が発生した。今後も同様の地震が起きる恐れがある。警戒がさらに必要だ。
 そのためにも3・11の教訓を生かせたか、十分に検証しておくべきだ。何よりリスクを最大限に想定し、人命第一でいち早く行動に移すことである。
 津波からの避難で住民の動きはどうだったか。落ち着いて高台に逃げた人は多く、全体ではスムーズに行動できたように見える。服装や持ち物を気にせず着の身着のままの人もいれば、近所の高齢者に声を掛けて一緒に避難する場面も報じられた。夜勤明けの従業員を引き留めて職場に待機させた工場もあったそうだ。津波に巻き込まれないための意識が被災地に一定に根付いていることがうかがえる。
 半面、課題も浮き彫りになった。福島県内などではマイカー避難の集中で渋滞が発生した。宮城県では市役所に避難しようとした住民を、警備員が「津波警報がまだ出ていない」と一時断る混乱が起きたという。反省すべきは反省しておきたい。
 こうした教訓は私たちの地域でも生かせる。熊本地震や鳥取中部地震の発生で内陸型地震の方に目が向いてきたが、近い将来の南海トラフ巨大地震がもたらす津波のリスクには瀬戸内海沿岸も直面している。そのことを思い起こす契機にすべきだ。
 もう一つ、きのうの地震から考えるべきは原発の安全性が地震の際に確保されるかどうかである。今度は事故を起こした福島第1原発の隣で運転を停止中の第2原発3号機で、思わぬトラブルがあったからだ。
 津波ではない。揺れに伴って使用済み核燃料プールの冷却装置が一時停止した。仮にずっと冷却できなければ燃料が溶け出す重大事態になりかねない。東京電力によればプールの水が揺れ、水位低下とみなす警報が出たためで、異常はないとして1時間半余りで冷却を再開した。だが、また事故になるのではと肝を冷やした住民もいよう。
 この停止は正常な機能と繰り返す東電は事態を軽視してはならない。第1原発の方も異常はないというが、廃炉に向けて困難で綱渡りの作業が続く。もとより災害には脆弱(ぜいじゃく)との指摘もある。これ以上の地震や津波が来ればどうするか。東電も国も十二分に備えるのは当然である。
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西日本新聞 2016年11月23日 10時53分
社説:福島沖M7.4 「不断の備え」徹底したい


 東日本大震災は発生から5年以上たっても終息していない‐。きのう福島県沖を震源に起きたマグニチュード(M)7・4の地震は、大自然災害の時間軸の大きさを改めて示したといえるだろう。
 今年の熊本地震では本震から約4カ月後、起きる可能性は低下したとされたM5クラスの地震が実際に起きた。「予測は困難」であることを前提に、引き続き大災害への備えに万全を期したい。
 気象庁は、きのうの地震は東日本大震災の一連の活動(余震)とみられると発表した。地震の規模は阪神大震災や熊本地震のM7・3を上回った。到達した津波の高さは仙台市で140センチ、福島県の福島第1、第2原発でそれぞれ100センチを観測した。
 多くの人が2011年3月11日の大震災を思い起こしたのではないか。津波は高さ100センチで人を押し流し、200センチで木造家屋を全壊させる力がある。その恐ろしさを改めて確認しておきたい。
 看過できないのは原発への影響だ。東京電力によると、福島第2原発3号機の使用済み核燃料プールの冷却設備が自動停止した。
 約1時間半後に復旧したため核燃料などに異常はないというが、不安を感じた住民も多かったはずだ。改めて地震と津波に対する原発の安全性を点検してほしい。
 九州が最大限の警戒を要するのは、東日本大震災と同じ海溝型地震で、大津波を伴うと予想される南海トラフ巨大地震である。
 海溝型の発生周期は海洋プレートの動きから数十~数百年と推測され、比較的はっきりしている。複雑な活断層の動きに左右される熊本地震など内陸直下型と違って、長い目でみれば対策は講じやすいとされる。
 政府の地震調査委員会によると、30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率は大分市55%、宮崎市43%などで、ともに南海トラフ巨大地震が想定されている。
 自治体指定の高台など避難場所確認や1週間分以上の水や食料の備蓄など大分、宮崎に限らず九州全域で不断の備えを徹底したい。
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